(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】温水システム及びこの温水システムに適用される給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/40 20220101AFI20221109BHJP
【FI】
F24H15/40
(21)【出願番号】P 2018140588
(22)【出願日】2018-07-26
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】森田 康資
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-052914(JP,A)
【文献】特開2007-032930(JP,A)
【文献】特開平10-009641(JP,A)
【文献】特開2003-222393(JP,A)
【文献】特開2016-217671(JP,A)
【文献】特開2016-038163(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0351277(US,A1)
【文献】特開2003-269795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部サーバと、この外部サーバにネットワークを介して接続され且つグループ化された複数の給湯装置とを備えた温水システムであって、
前記給湯装置は、外気温度や入水温度の温度データを検知するための複数の温度センサと、給湯装置内の湯水の流量を検知するための流量検知センサとを含む検知手段を備え、前記温度データや前記流量データを含む運転情報を前記外部サーバに送信可能に構成された制御手段を有し、
前記制御手段により前記検知手段に異常が発生していると判定された場合には、前記制御手段は異常発生を前記外部サーバに対して送信するとともに、前記外部サーバは前記複数の給湯装置の内、正常な給湯装置から送信された
凍結予防運転モードに関する 運転情報を異常が発生した給湯装置に送信して給湯運転を継続させることを特徴とする温水システム。
【請求項2】
前記異常が発生した給湯装置は、前記外部サーバから送信された前記運転情報が入水温度データと外気温度データの少なくとも一方である場合には給湯運転を継続し、それ以外の場合には給湯運転を停止することを特徴とする請求項1に記載の温水システム。
【請求項3】
前記複数の給湯装置は一棟の集合住宅に配置された給湯装置を対象としてグループ化されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温水システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の前記温水システムに適用される給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループ化した複数の給湯装置を外部サーバと通信可能に接続し、何れかの給湯装置の検出手段に異常が生じた場合に、他の正常な給湯装置の温度検出情報を受信して、給湯運転を継続可能とした温水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒートポンプ熱源機と貯湯タンクと燃焼式補助熱源機等を有する貯湯式給湯装置が広く実用化されている。この給湯装置には、入水温度センサや外気温度センサや湯水の温度を検出する複数の温度センサ等の各種温度センサ及び給湯の流量を検出する流量検知センサが設けられている。温度センサで検知した温度データ、流量検知センサに検知した流量データ等は、給湯装置の種々の制御に利用されている。
【0003】
外気温度センサや入水温度センサに異常が発生した場合、正常な給湯運転を行うことができなくなるので給湯運転を停止し、異常が発生したセンサの交換等のメンテナンスを行う必要がある。
また、外気温度センサに異常が発生した場合は、凍結予防運転を正常に行えずに給湯装置内の配管が凍結したり、給湯装置が故障したりという問題があった。
【0004】
一方、マンション等の集合住宅や分譲団地などの複数の戸建て住宅においては、同一機種の給湯装置が設置される場合が多いため、何れかの給湯装置の検出センサ等が故障した場合に、その近隣の同一機種の給湯装置の検出データを利用することができれば、給湯装置を停止させずに給湯運転を継続することができる。
しかし、従来、何れかの給湯装置の検出センサ等が故障した場合に近隣の同一機種の給湯装置の検出データを利用して給湯運転を継続可能にするというアイデアはなかった。
【0005】
特許文献1には、給湯量の集計等の給湯管理を自動的且つ集中的に行う集合住宅向けセントラル給湯システムが開示されている。このシステムによると、集合住宅の外部に設けられた情報処理装置によって、集合住宅毎の給湯に関する情報を集計して、各戸別の給湯料金や平均給湯温度を自動的に算出することでメンテナンスの効率化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術は、集合住宅の外部に設けられた情報処理装置によって給湯に関する情報を集計するだけであって、何れかの給湯装置の温度センサに異常が発生した場合に給湯運転を継続可能とする構成にはなっていない。
【0008】
前記のように、従来、何れかの給湯装置の検出センサ等が故障した場合に近隣の同一機種の給湯装置の検出データを利用して給湯運転を継続可能にするというアイデアはなかったため、故障した給湯装置の修理が完了するまで給湯運転を停止させる必要があった。
【0009】
本発明の目的は、グループ化した複数の給湯装置を外部サーバと通信可能に接続し、何れかの給湯装置の検出手段に異常が生じた場合に、他の正常な給湯装置の温度検出情報を受信して給湯運転を継続可能とした温水システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、外部サーバと、この外部サーバにネットワークを介して接続され且つグループ化された複数の給湯装置とを備えた温水システムであって、前記給湯装置は、外気温度や入水温度の温度データを検知するための複数の温度センサと、給湯装置内の湯水の流量を検知するための流量検知センサとを含む検知手段を備え、前記温度データや前記流量データを含む運転情報を前記外部サーバに送信可能に構成された制御手段を有し、前記制御手段により前記検知手段に異常が発生していると判定された場合には、前記制御手段は異常発生を前記外部サーバに対して送信するとともに、前記外部サーバは前記複数の給湯装置の内、正常な給湯装置から送信された凍結予防運転モードに関する運転情報を異常が発生した給湯装置に送信して給湯運転を継続させることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、グループ化された複数の給湯装置のうちの何れかの給湯装置の検知手段に異常が生じた場合、その異常発生を外部サーバに送信し、外部サーバは正常な給湯装置からの凍結予防運転モードに関する運転情報を異常が生じている給湯装置に送信するため、異常が生じた給湯装置ではその凍結予防運転モードに関する運転情報を利用して給湯運転を継続するため、凍結予防運転モードを実行することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記異常が発生した給湯装置は、前記外部サーバから送信された前記運転情報が入水温度データと外気温度データの少なくとも一方である場合には給湯運転を継続し、それ以外の場合には給湯運転を停止することを特徴としている。
【0013】
入水温度と外気温度については、グループ内の複数の給湯装置にとって近似の温度であるため、外部サーバから受信した入水温度データや外気温度データを利用して給湯運転を継続可能であるが、入水温度と外気温度以外の検出データについては給湯装置毎に固有のものであるので、給湯運転の継続はできず給湯運転を中止するものとする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記複数の給湯装置は一棟の集合住宅に配置された給湯装置を対象としてグループ化されていることを特徴としている。
上記構成によれば、一棟の集合住宅に配置された複数の給湯装置は、同一機種である可能性が高く、地理的にも近接しているため本発明を適用する上で有利である。
請求項4の発明は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の前記温水システムに適用される給湯装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、前記のように種々の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る貯湯給湯システムの全体構成を示す図である。
【
図2】ヒートポンプ熱源機と貯湯給湯ユニットの構成を示す構成図である。
【
図3】各給湯装置が行う異常発生時の異常対応制御のフローチャートである。
【
図4】外部サーバが行う運転情報送信制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0018】
最初に
図1に基づいて本発明の温水システムSの全体構成について説明する。
温水システムSは、外部サーバ50と、外部サーバ50にインターネット通信網NTを介して接続され且つグループ化された複数の貯湯給湯装置1A~1Fを備えており、各貯湯給湯装置1A~1Fの夫々の制御部13に接続された夫々の操作端末13aは、インターネット通信網NTを介して外部サーバ50に接続されている。
【0019】
貯湯給湯装置1A~1CはグループXに属するようにグループ化されて、各貯湯給湯装置1A~1Cの温度センサで検知された入水温度と外気温度の温度データや、流量検知センサで検知された流量データ等の各種情報が、グループXに属するというグループ化情報と共に外部サーバ50の記憶領域51に記憶される。
【0020】
同様に、貯湯給湯装置1D~1FはグループYに属するようにグループ化されて、各貯湯給湯装置1D~1Fの温度センサで検知された入水温度と外気温度の温度データや、流量検知センサで検知された流量データ等の各種情報が、グループYに属するというグループ化情報と共に外部サーバ50の記憶領域52に記憶される。
【0021】
ここで、グループX,Yは、マンションなどの集合住宅毎、あるいは分譲団地などの複数の戸建て住宅毎に設置された同一機種の複数の給湯装置をグループ化した一例である。同じグループに属する複数の貯湯給湯装置は、地理的にも近接しており設置条件や気象条件が共通しているため、入水温度と外気温度の温度データに関しては略共通している。
【0022】
次に、
図2に基づいて本発明の貯湯給湯装置1の全体構成について説明する。
貯湯給湯装置1は、外部熱源機として例えばヒートポンプ熱源機2と、貯湯給湯ユニット3とを備えている。貯湯給湯ユニット3は、貯湯運転によりヒートポンプ熱源機2で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク11と、貯湯タンク11の湯水を再加熱するための燃焼式の補助熱源機12と、入水温度の温度を検知するための入水温度センサ16aと、データ外気温度を検知するための外気温度センサ36aと、給湯装置内の湯水の流量を検知するための流量センサ18aと、これら各種センサの検知信号等に基づいて貯湯運転や給湯運転等を制御したり温度データや流量データを含む運転情報を外部サーバ50に送信可能な制御部13等を備えている。
【0023】
ヒートポンプ熱源機2は、制御部13からの貯湯運転の指令に基づいて、外気から吸熱して貯湯タンク11の湯水を加熱し、この加熱した湯水を貯湯タンク11に戻して貯湯する。 貯湯給湯ユニット3は、貯湯運転により貯湯タンク11に貯湯した湯水を給湯や浴槽29の湯張りに使用する。また、貯湯タンク11の湯水を使用できない温度の給湯や浴槽29の追焚運転等の場合に、補助熱源機12において燃料を燃焼させて加熱した湯水を給湯や追焚運転等に使用する。
【0024】
貯湯タンク11の上部には、貯湯タンク11に貯湯した湯水を出湯するための出湯通路14が接続されている。出湯通路14は湯水混合弁15に接続され、湯水混合弁15に供給する湯水の温度を検知するための出湯温度センサ14aを備えている。また、貯湯タンク11の下部には、貯湯タンク11に上水源から上水を供給するための給水通路16が接続されている。給水通路16には、上水の温度を検知するための入水温度センサ16a(「検知手段」に相当する。)が配設されている。
【0025】
湯水混合弁15は、出湯通路14の湯水と、給水通路16から分岐して湯水混合弁15に上水を供給可能に接続されたバイパス通路17の上水を混合する。この湯水混合弁15の混合比率を調整することによって給湯温度を調整する。湯水混合弁15には給湯通路18が接続され、湯水混合弁15で混合された湯水は、給湯時には給湯通路18を流通して図示外の給湯栓等に供給され、湯張り時には給湯通路18から分岐して追焚回路32に接続する湯張り通路19を介して浴槽29に供給される。給湯通路18には、給湯通路18内を流れる湯水の流量を検知するための流量センサ18a(「検知手段」に相当する。)と、給湯温度を検知するための給湯温度センサ18bが配設されている。
【0026】
貯湯タンク11の下部にはヒートポンプ熱源機2に湯水を供給するための上流加熱通路21aが接続され、このヒートポンプ熱源機2で加熱された湯水を貯湯タンク11に戻すための下流加熱通路21bが貯湯タンク11の上部に接続されて、循環加熱回路21(循環通路)が形成されている。
【0027】
循環加熱回路21には循環ポンプ22が配設され、循環ポンプ22の駆動により貯湯タンク11とヒートポンプ熱源機2の間で湯水が循環する。貯湯運転では、貯湯タンク11の湯水がヒートポンプ熱源機2によって貯湯設定温度に加熱され、貯湯タンク11の上部から貯湯される。上流加熱通路21aにはヒートポンプ熱源機2に供給する湯水の温度を検知する温度センサ23aが配設され、下流加熱通路21bにはヒートポンプ熱源機2で加熱された湯水の温度を検知する温度センサ23bが配設されている。
【0028】
貯湯タンク11の外周部には、貯湯タンク11内の湯水の温度と量を検知する複数の貯湯温度センサ11a~11dが上下方向に所定の間隔を空けて設けられている。これら貯湯温度センサ11a~11d及び貯湯タンク11は、貯湯タンク11からの放熱を低減する図示外の保温材により覆われている。
【0029】
貯湯タンク11の湯水を補助熱源機12で加熱するための補助加熱通路24が、出湯通路14から分岐して補助熱源機12に接続されている。補助熱源機12で加熱した湯水を出湯するための補助出湯通路25には、調整弁26が配設され、この補助出湯通路25は出湯通路14に接続されている。補助加熱通路24には、三方弁27と補助熱源機12に湯水を送るためのポンプ28が配設されている。
【0030】
補助出湯通路25から分岐した熱交換器通路30は三方弁27に接続されている。三方弁27は、貯湯タンク11の湯水又は熱交換器通路30の湯水を補助熱源機12に供給可能となるように切換えられる。熱交換器通路30には熱交換器30aと開閉弁30bが配設されている。また、給水通路16から分岐した分岐通路部16bが熱交換器通路30の開閉弁30bと三方弁27との間に接続されている。熱交換器30aは、追焚ポンプ31の作動により追焚回路32を流れる浴槽29の湯水を補助熱源機12で加熱した湯水との熱交換により加熱する追焚運転に使用される。
【0031】
ヒートポンプ熱源機2は、圧縮機33、凝縮熱交換器34、膨張弁35、蒸発熱交換器36を冷媒配管により接続したヒートポンプ回路37を備えている。このヒートポンプ熱源機2は、冷媒配管に封入された冷媒を圧縮機33で圧縮して昇温し、凝縮熱交換器34において高温の冷媒との熱交換により循環加熱回路21を流通する湯水を加熱して貯湯タンク11に貯湯する。熱交換後の冷媒は、膨張弁35で膨張して外気より低温になり、蒸発熱交換器36で外気から吸熱した後、再び圧縮機33に導入される。
【0032】
蒸発熱交換器36は、外気温度を検知する外気温度センサ36a(「検知手段」に相当する。)と送風機36bを備えている。また、ヒートポンプ熱源機2は、圧縮機33、膨張弁35、送風機36b等を制御する補助制御部38を備えている。補助制御部38は、貯湯給湯装置1の主たる制御手段である制御部13に通信可能に接続され、制御部13の指令に基づいてヒートポンプ熱源機2を制御している。
【0033】
ここで、ヒートポンプ熱源機2は外気温度と入水温度に基づいてCOP(ヒートポンプの運転効率の指標)が高くなるようにヒートポンプの出力を調整しているため、外気温度センサ36aや入水温度センサ16aの故障等により外気温度や入水温度が検知できないとヒートポンプの効率的な出力制御ができない。
【0034】
制御部13には、ユーザによる給湯設定温度の設定等の各種設定や操作のための操作端末13aが接続されている。この操作端末13aは、インターネット通信網NTを介して外部サーバ50に接続されている。
【0035】
制御部13は、出湯温度センサ14a等の検知信号に基づいて給湯運転や後述する異常発生判定等を制御する。また、外気温度センサ36aが貯湯給湯装置1の配管内の湯水の凍結の虞がある所定温度(例えば5℃)以下の外気温度を検知した場合に、制御部13は凍結予防運転を実行する。凍結予防運転では、ヒートポンプ熱源機2を作動させない状態で、循環ポンプ22を所定の回転数で駆動して循環加熱回路21に貯湯タンク11の湯水を流通させる。
【0036】
次に、複数の貯湯給湯装置1A~1Fが設置され、そのうち、貯湯給湯装置1Bにのみ異常が発生していると仮定して以下に具体的に説明する。
【0037】
複数の貯湯給湯装置1A~1Fを一棟の集合住宅(マンションや戸建ての住宅団地)に設置した際、初期設定や確認のための試運転が行われる。この際、各貯湯給湯装置1A~1Fの操作端末13aからインターネット通信網NTを介して外部サーバ50に接続し、各貯湯給湯装置1A~1Fの設置場所の情報(例えば、郵便番号)や、各貯湯給湯装置1A~1Fの製品に関する情報(機種名、製品型番等)を送信する。
【0038】
一方、外部サーバ50側では、受信したこれらの情報から各貯湯給湯装置1A~1Fのうち、同一の機種製品であって、設置場所が近接している複数の貯湯給湯装置1A~1CをグループXと識別して、グループXに属する複数の貯湯給湯装置1A~1Cの各種情報が記憶領域51に格納される。同様に、同一の機種製品であって、設置場所が近接している複数の貯湯給湯装置1D~1FをグループYと識別して、グループYに属する複数の貯湯給湯装置1D~1Fの各種情報が記憶領域52に格納される。
【0039】
次に初期設定や試運転が終了した貯湯給湯装置から実際の給湯運転が開始されるが、貯湯給湯装置1Bの制御部13により入水温度センサ16aや外気温度センサ36aに異常が発生していると判定された場合には、制御部13は異常発生を外部サーバ50に対して送信するとともに、外部サーバ50は複数の貯湯給湯装置1A~1Fの内、同一のグループX内に属し且つ正常な貯湯給湯装置1A,1Cから送信された運転情報(入水温度データや外気温度データ)を異常が発生した貯湯給湯装置1Bに送信して給湯運転を継続させる。一方、制御部13により流量センサ18aに異常が発生していると判定された場合には、給湯運転を停止する。
【0040】
尚、異常が発生した貯湯給湯装置1Bに送信される運転情報は、正常な貯湯給湯装置1A,1Cから外部サーバ50に送信された運転情報の平均値、或いは正常な貯湯給湯装置1A,1Cの何れか一方の運転情報であればよく、以下の説明においても同様である。
【0041】
この貯湯給湯装置1Bの制御部13による給湯運転継続の制御について、
図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0042】
最初にS1において、貯湯給湯装置1Bの入水温度センサ16a,外気温度センサ36a及び流量センサ18aの何れかに異常が発生したか否かを判定する。これら全てのセンサからのデータを正常に検知できている場合は判定がNoとなりS1が繰り返される。一方、何れかのセンサが故障等により異常が生じている場合は、入水温度データ,外気温度データ又は流量データのうち何れかのデータを検知できず,判定がYesとなりS2に進む。
【0043】
次にS2において、異常が発生したことを操作端末13aからインターネット通信網NTを介して外部サーバ50に送信されてS3に進み、S3において外部サーバ50から同一のグループX内の他の正常な貯湯給湯装置1A,1Cの運転情報を受信したか否かを判定し、受信していない場合は判定がNoとなりS3が繰り返される。外部サーバ50から他の正常な貯湯給湯装置1A,1Cの運転情報を受信している場合は判定がYesとなりS4に進み、その受信した運転情報が入水温度データ及び外気温度データであるか否か判定される。
【0044】
S4の判定がYesの場合はS5に進み、受信した入水温度データ及び外気温度データを用いて貯湯給湯装置1Bでの給湯運転を継続してS7に進む。
一方、S4の判定がNoの場合、すなわち、外部サーバ50から受信した運転情報が入水温度データ及び外気温度データではない場合、このまま給湯運転を継続することは安全性の問題から困難であるため、S6に進んで貯湯給湯装置1Bでの給湯運転を停止してS7に進む、
【0045】
次にS7において、貯湯給湯装置1Bが凍結予防運転モードになったか否かの判定を行う。凍結予防運転モードは、ある所定温度(例えば5℃)以下の外気温度を検知した場合に、実行するように初期設定において予め設定されている。
S7の判定がYesの場合はS8に進み、凍結予防運転モードの運転情報が操作端末13aからインターネット通信網NTを介して外部サーバ50に送信される。
一方、S7の判定がNoの場合S9に進み、外部サーバ50から他の貯湯給湯装置1A,1Cの凍結予防運転モードの運転情報を受信したか否かの判定を行う。
【0046】
すなわち、貯湯給湯装置1Bの外気温度センサ36aに異常が発生している場合、同一のグループXに属する正常な貯湯給湯装置1A,1Cの外気温度データを用いて給湯運転を継続できるが、凍結予防運転モードの実行はできない。
【0047】
このため、同じグループXに属する正常な貯湯給湯装置1A,1Cが凍結予防運転モードが実行されている運転情報を外部サーバ50から受信した場合、S9の判定がYesとなりS10に進んで、貯湯給湯装置1Bも凍結予防運転モードが実行される。
【0048】
一方、同じグループXに属する正常な貯湯給湯装置1A,1Cが凍結予防運転モードが実行されている運転情報を外部サーバ50から受信されていない場合は、凍結予防運転モードの実行が必要な外気温度ではないため、S9の判定がNoとなりリターンする。
【0049】
次に、
図3のフローチャートに対応して外部サーバ50で行われる制御について、
図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
この制御が開始すると、外部サーバ50は、S11において貯湯給湯装置1A~1Cから異常発生を受信したか否かの判定を行う。この判定は、
図3のS2に対応しており、貯湯給湯装置1Bからの異常発生を受信した場合は、S11の判定がYesとなり、S12に進み、貯湯給湯装置1Bからの異常発生を受信していない場合は、S11の判定がNoとなり、この判定を繰り返す。
【0051】
次にS12において、同一のグループXに属する正常な貯湯給湯装置1A,1Cから運転情報を受信したのちS13に進み、S13において、正常な貯湯給湯装置1A,1Cから外部サーバ50が受信した運転情報を異常が発生した貯湯給湯装置1Bへ送信してS14へ進む。尚、このときの運転情報は、
図3のS3の運転情報に対応しており、入水温度データや外気温度データや流量センサで検知したデータ等が該当する。また、貯湯給湯装置1Bへ送信される運転情報は、正常な貯湯給湯装置1A,1Cの運転情報の平均値、或いは正常な貯湯給湯装置1A,1Cの何れか一方の運転情報である。
【0052】
次にS14において、凍結予防運転モードに関する運転情報を受信したか否かの判定を行う。この判定は、
図3のS8に対応しており、凍結予防運転モードに関する運転情報を受信した場合はS14の判定がYesとなり、S15に進んで同一のグループX内の全ての貯湯給湯装置1A~1Cから凍結予防運転モードに関する運転情報を受信したか否かを判定する。一方、S14において凍結予防運転モードに関する運転情報を受信していない場合はS14の判定がNoとなってリターンする。
【0053】
次にS15において、同一のグループX内の全ての貯湯給湯装置1A~1Cから凍結予防運転モードに関する運転情報を受信した場合は、判定がYesとなってリターンする。一方、グループX内の全ての貯湯給湯装置1A~1Cから凍結予防運転モードに関する運転情報を受信していない場合は、判定がNoとなってS16へ進む。
【0054】
次にS16において、凍結予防運転モードに関する運転情報を受信していない貯湯給湯装置1Bへ、同一のグループX内の正常な貯湯給湯装置1A,1Cの凍結予防運転モードに関する運転情報を送信する。
【0055】
すなわち、グループ内の全ての貯湯給湯装置1A~1Cから、凍結予防運転モードに関する運転情報の受信ができている場合(S15;Yes)問題ないが、グループ内の一部の貯湯給湯装置1Bの外気温度センサ36aに異常が発生している場合等、凍結予防運転の実行が必要である状況にもかかわらず、この凍結予防運転の実行されない状態が続くと、貯湯給湯装置1Bの配管内の湯水が凍結して貯湯給湯装置1Bの故障の原因となる。
従って、同一のグループX内の正常な貯湯給湯装置1A,1Cの凍結予防運転モードに関する運転情報を外部サーバ50から送信することで、貯湯給湯装置1Bでは凍結予防運転の実行が必要な状況であることを認識して、凍結予防運転モードの実行が可能となる。
【0056】
以上のように、本発明の温水システムSは、グループ化された複数の貯湯給湯装置1A~1Cのうちの何れかの貯湯給湯装置1Bの入水温度センサ16aや外気温度センサ36a(検知手段)に異常が生じた場合、その異常発生を外部サーバ50に送信し、外部サーバ50は正常な貯湯給湯装置1A,1Cからの運転情報を異常が生じている貯湯給湯装置1Bに送信するため、異常が生じた貯湯給湯装置1Bではその運転情報を利用して給湯運転を継続するため、給湯運転の停止による不便を解消することができる。
【0057】
入水温度と外気温度については、グループX内の複数の貯湯給湯装置1A~1Cにとって共通の温度であるため、外部サーバ50から受信した入水温度データや外気温度データを利用して給湯運転を継続可能であるが、入水温度と外気温度以外の検出データについては給湯装置毎に固有のものであるので、給湯運転の継続はできず給湯運転を中止する。
【0058】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0059】
S :温水システム
NT :インターネット通信網
1A~1F:貯湯給湯装置
13 :制御部(制御手段)
13a :操作端末
16a :入水温度センサ
18a :流量センサ
36a :外気温度センサ
50 :外部サーバ