(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】タイヤの加硫評価方法
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20221109BHJP
B29D 30/00 20060101ALI20221109BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B60C19/00 H
B29D30/00
B29C35/02
(21)【出願番号】P 2018143862
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣末 瑛介
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-039819(JP,A)
【文献】特開2017-105086(JP,A)
【文献】特開2009-166721(JP,A)
【文献】特開2010-076218(JP,A)
【文献】特開2002-309053(JP,A)
【文献】特開2002-096610(JP,A)
【文献】特開平04-176708(JP,A)
【文献】特開2004-299243(JP,A)
【文献】特開平09-216505(JP,A)
【文献】特開2017-047854(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107955227(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0050522(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
B29D 30/00
B29C 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゴム部材が準備されるゴム部材準備工程と、
前記複数のゴム部材と識別可能な色ゴム部材を含む、識別ゴム部材を形成する識別ゴム部材形成工程と、
前記識別ゴム部材を前記複数のゴム部材と組み合わせ、ローカバーを形成する識別ゴム部材組合工程と、
前記ローカバーを加硫し、タイヤを得る加硫工程と、
前記タイヤを切断する切断工程と、
前記切断工程で切断した前記タイヤの断面を観察する観察工程と
を備え、
前記色ゴム部材が未加硫ゴムからな
り、
前記色ゴム部材の、160℃のキュラストテストにおける加硫時間T10が2.0分以上8.0分以下であり、加硫時間T95が5.0分以上20.0分以下である、タイヤの加硫評価方法。
【請求項2】
前記識別ゴム部材形成工程において、
前記識別ゴム部材をシート形状又はストリップ形状に成形する、請求項1に記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項3】
前記識別ゴム部材形成工程において、
前記色ゴム部材の厚さを0.2mm以上にする、
請求項1又は2に記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項4】
前記識別ゴム部材形成工程において、
前記色ゴム部材の幅を1mm以上にする、
請求項1から3のいずれかに記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項5】
前記識別ゴム部材形成工程において、
ベースゴム部材を準備し、前記ベースゴム部材の幅より小さい幅の色ゴム部材を準備し、
前記ベースゴム部材に前記色ゴム部材を積層して前記識別ゴム部材を形成する、
請求項1から4のいずれかに記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項6】
前記識別ゴム部材形成工程において、
欠落部を備えたベースゴム部材を準備し、
前記欠落部に前記色ゴム部材を積層して前記識別ゴム部材を形成する、
請求項1から5のいずれかに記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項7】
前記欠落部が形成された位置での、前記ベースゴム部材と前記色ゴム部材とを合わせた厚さを、前記欠落部が形成されていない位置での、前記ベースゴム部材の厚さ以下にし、
前記識別ゴムの幅を前記欠落部の幅以下にする、
請求項6に記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項8】
前記識別ゴム部材形成工程において、
ベースゴム部材を準備し、
前記ベースゴム部材に切れ目を形成し、
前記切れ目に前記色ゴム部材を流しこんで前記識別ゴム部材を形成する、
請求項1から3のいずれかに記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項9】
前記ベースゴム部材の前記切れ目を格子状に形成し、前記格子の間隔を2mm以上15mm以下にする
請求項8に記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項10】
識別ゴム部材組合工程において、
前記複数のゴム部材の一部を取り除いてゴム部材除去部を形成し、前記ゴム部材除去部に前記識別ゴムを貼り合わせる、
請求項1から9のいずれかに記載のタイヤの加硫評価方法。
【請求項11】
複数のゴム部材が準備されるゴム部材準備工程と、
前記複数のゴム部材と識別可能な色ゴム部材を含む、識別ゴム部材を形成する識別ゴム部材形成工程と、
前記識別ゴム部材を前記複数のゴム部材と組み合わせ、ローカバーを形成する識別ゴム部材組合工程と
を備え、
前記色ゴム部材が未加硫ゴムからな
り、
前記色ゴム部材の、160℃のキュラストテストにおける加硫時間T10が2.0分以上8.0分以下であり、加硫時間T95が5.0分以上20.0分以下である、タイヤ用ローカバーの製造方法。
【請求項12】
複数のゴム部材が準備されるゴム部材準備工程と、
前記複数のゴム部材と識別可能な色ゴム部材を含む、識別ゴム部材を形成する識別ゴム部材形成工程と、
前記識別ゴム部材を前記複数のゴム部材と組み合わせ、ローカバーを形成する識別ゴム部材組合工程と、
前記ローカバーを加硫し、タイヤを得る加硫工程と
を備え、
前記色ゴム部材が未加硫ゴムからな
り、
前記色ゴム部材の、160℃のキュラストテストにおける加硫時間T10が2.0分以上8.0分以下であり、加硫時間T95が5.0分以上20.0分以下である、タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの加硫評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造方法では、複数のゴム部材が組み合わされてローカバーが製造される。このローカバーを加硫することで、タイヤが得られる。この加硫では、ローカバーはモールド内で加硫される。これにより、このモールドのキャビティ面に倣った形状のタイヤが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この加硫において、ゴム流れが適正でない場合に、タイヤに、ベア、エア残り、クラック等の不具合が発生する。しかしながら、このゴム流れが適正か否かを確認することは容易でない。特に、タイヤの内部のゴム流れを確認することは容易でない。
【0005】
本発明の目的は、加硫におけるゴム流れの確認が容易にできるタイヤの加硫評価方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるタイヤの加硫評価方法は、
複数のゴム部材が準備されるゴム部材準備工程と、
前記複数のゴム部材と識別可能な色ゴム部材を含む、識別ゴム部材を形成する識別ゴム部材形成工程と、
前記識別ゴム部材を前記複数のゴム部材と組み合わせ、ローカバーを形成する識別ゴム部材組合工程と、
前記ローカバーを加硫し、タイヤを得る加硫工程と、
前記タイヤを切断する切断工程と、
前記切断工程で切断した前記タイヤの断面を観察する観察工程と
を備える。
【0007】
好ましくは、前記識別ゴム部材形成工程において、前記識別ゴム部材をシート形状又はストリップ形状に成形する。
【0008】
好ましくは、前記色ゴム部材の、160℃のキュラストテストにおける加硫時間T10は2.0分以上8.0分以下であり、加硫時間T95は5.0分以上20.0分以下である。
【0009】
好ましくは、前記識別ゴム部材形成工程において、前記色ゴム部材の厚さを0.2mm以上にする。
【0010】
好ましくは、前記識別ゴム部材形成工程において、前記色ゴム部材の幅を1mm以上にする。
【0011】
好ましくは、前記識別ゴム部材形成工程において、ベースゴム部材を準備し、前記ベースゴム部材の幅より小さい幅の色ゴム部材を準備し、前記ベースゴム部材に前記色ゴム部材を積層して前記識別ゴム部材を形成する。
【0012】
好ましくは、前記識別ゴム部材形成工程において、欠落部を備えたベースゴム部材を準備し、前記欠落部に前記色ゴム部材を積層して前記識別ゴム部材を形成する。
【0013】
好ましくは、前記欠落部が形成された位置での、前記ベースゴム部材と前記色ゴム部材とを合わせた厚さを、前記欠落部が形成されていない位置での、前記ベースゴム部材の厚さ以下にし、前記識別ゴムの幅を前記欠落部の幅以下にする。
【0014】
好ましくは、前記識別ゴム部材形成工程において、ベースゴム部材を準備し、前記ベースゴム部材に切れ目を形成し、前記切れ目に前記色ゴム部材を流しこんで前記識別ゴム部材を形成する。
【0015】
好ましくは、前記ベースゴム部材の前記切れ目を格子状に形成し、前記格子の間隔を2mm以上15mm以下にする。
【0016】
好ましくは、前記識別ゴム部材組合工程において、前記複数のゴム部材の一部を取り除いてゴム部材除去部を形成し、前記ゴム部材除去部に前記識別ゴムを貼り合わせる。
【0017】
本発明にかかるローカバーの製造方法は、
複数のゴム部材が準備されるゴム部材準備工程と、
前記複数のゴム部材と識別可能な色ゴム部材を含む、識別ゴム部材を形成する識別ゴム部材形成工程と、
前記識別ゴム部材を前記複数のゴム部材と組み合わせ、ローカバーを形成する識別ゴム部材組合工程と
を備える。
【0018】
本発明にかかるタイヤの製造方法は、
複数のゴム部材が準備されるゴム部材準備工程と、
前記複数のゴム部材と識別可能な色ゴム部材を含む、識別ゴム部材を形成する識別ゴム部材形成工程と、
前記識別ゴム部材を前記複数のゴム部材と組み合わせ、ローカバーを形成する識別ゴム部材組合工程と、
前記ローカバーを加硫し、タイヤを得る加硫工程と
を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかるタイヤの加硫評価方法は、識別ゴム部材形成工程と識別ゴム部材組合工程とを備えている。この評価方法では、タイヤの断面において、他のゴムと識別が容易な色ゴムを観察することができる。この評価方法は、色ゴムによって、ゴム流れが容易に確認される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態にかかる加硫評価方法で用いられるタイヤの断面が示されている。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施形態にかかる加硫評価方法で用いられる識別ゴム部材が示された断面図である。
【
図4】
図4(a)は本発明の更に他の実施形態にかかる加硫評価方法で用いられる識別ゴム部材が示された断面図であり、
図4(b)は
図4(a)の識別ゴム部材に置き換えられるゴム部材が示された断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の更に他の実施形態にかかる加硫評価方法で用いられる識別ゴム部材の使用状態が示された説明図である。
【
図6】
図6(a)は本発明の更に他の実施形態にかかる加硫評価方法で用いられる識別ゴム部材の使用状態が示された断面図であり、
図6(b)は
図6(a)の線分B-Bに沿った断面図である。
【
図7】
図7(a)は
図6(a)の識別ゴム部材を使用して成形されたローカバーの部分断面図であり、
図7(b)はそのローカバーから得られたタイヤの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0022】
図1には、空気入りタイヤ2の断面が示されている。
図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
図1では、周方向に垂直に切断されたタイヤ2の断面が示されている。
図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
【0023】
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のクリンチ8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、インスレーション16、インナーライナー18、一対のチェーファー20及び一対の補強層22を備えている。
【0024】
トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。このトレッド4は架橋ゴムからなる。それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。それぞれのクリンチ8は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ8は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。タイヤ2がリムに組み込まれると、このクリンチ8がリムのフランジと当接する。
【0025】
それぞれのビード10は、サイドウォール6の半径方向内側に位置している。ビード10は、コア26と、このコア26から半径方向外向きに延びるエイペックス28とを備えている。コア26はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。エイペックス28は、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0026】
カーカス12は、カーカスプライ30を備えている。カーカスプライ30は、両側のビード10の間に架け渡されている。カーカスプライ30は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。ベルト14は、半径方向においてトレッド4の内側に位置している。ベルト14は、カーカス12を補強する。このベルト14は、第一層14a、第二層14b、第三層14c及び第四層14dからなる。この第一層14aから第四層14dの各層は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。
【0027】
インスレーション16は、軸方向において、サイドウォール6の内側に位置している。インスレーション16は、カーカス12とインナーライナー18とに挟まれている。インスレーション16は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。インスレーション16は、インナーライナー18とカーカス12とに強固に接着して、インナーライナー18とカーカス12との剥離を抑制する。
【0028】
インナーライナー18は、タイヤ2の内面を構成している。インナーライナー18は、架橋ゴムからなる。インナーライナー18には、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー18は、タイヤ2の内圧を保持する。
【0029】
それぞれのチェーファー20は、ビード10の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー20がリムと当接する。この当接により、ビード10の近傍が保護される。このタイヤ2では、チェーファー20は、クリンチ8と一体である。従って、チェーファー20の材質はクリンチ8の材質と同じである。
【0030】
それぞれの補強層22は、カーカスプライ30の外側に積層されている。補強層22は、カーカスプライ30に沿って延びている。補強層22は、コア26の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この補強層22は、タイヤ2の内部に配置されている。この補強層22は、タイヤ2の外表面に露出していない。この補強層22は、第一層22a、第二層22b及び第三層22cからなる。この第一層22aから第三層22cの各層は、架橋ゴムからなる。
【0031】
図2には、
図1の部分拡大図が示されている。第一層22aはビード10の軸方向内側に位置している。第二層22bは、第一層22aの下端からコア26の下方に向かって延びている。第三層22cは、第二層22bの下端からカーカスプライ30に沿って、半径方向外向きに延びている。この第一層22a、第二層22b及び第三層22cは、それぞれ非黒色の色ゴムからなっている。例えば、第一層22aは青色ゴムからなり、第二層22bは黄色ゴムからなり、第三層22cは赤色ゴムからなっている。
【0032】
ここで、このタイヤ2を用いた加硫評価方法が説明される。この評価方法は、ゴム部材準備工程、識別ゴム部材成形工程、識別ゴム部材組合工程、加硫工程、切断工程及び観察工程を備えている。
【0033】
ゴム部材準備工程では、複数のゴム部材が準備される。このゴム部材準備工程では、トレッド部材、一対のサイドウォール部材、一対のクリンチチェーファー部材、一対のビード部材、カーカス部材、ベルト部材、インスレーション部材、インナーライナー部材等の、タイヤの各部を形成するゴム部材が準備される。
【0034】
識別ゴム部材成形工程では、識別ゴム部材としての補強層部材が準備される。この識別ゴム部材成形工程では、色ゴム部材としての青色ゴム部材、黄色ゴム部材及び赤色ゴム部材が準備される。本発明では、他のゴム部材と識別可能な非黒色のゴムを色ゴム部材と称する。このタイヤ2では、この青色ゴム部材、黄色ゴム部材及び赤色ゴム部材から補強層部材が形成される。この青色ゴム部材、黄色ゴム部材及び赤色ゴム部材のそれぞれは、シート形状の未加硫のゴムからなる。このタイヤ2では、識別ゴム部材の全体が3種類の色ゴム部材で形成されている。
【0035】
識別ゴム部材組合工程では、ゴム部材準備工程で準備された複数のゴム部材と、識別ゴム部材成形工程で準備された識別ゴム部材とが組み合わされて、ローカバーが形成される。
【0036】
加硫工程では、識別ゴム部材組合工程で形成されたローカバーがモールドに投入される。ローカバーがモールド内で加熱及び加圧される。この加硫工程において、ローカバーからタイヤ2が得られる。
【0037】
切断工程では、タイヤ2が切断される。
図1に示される様に、この切断によって、イヤ2の内部の断面が表れる。
図1では、周方向に垂直な断面が表されているが、タイヤ2の内部が観察できる断面であればよく、これに限られない。この断面は、タイヤ2は周方向に平行な断面でもよい。この断面は、軸方向に垂直な断面でもよく、半径方向に垂直な断面であってもよく、更には、周方向、軸方向及び半径方向のいずれか又は複数の方向に対して傾斜した断面であってもよい。
【0038】
観察工程では、タイヤ2の断面が観察される。タイヤ2の内部が観察される。この補強層22とカーカス12、インスレーション16、クリンチ8及びチェーファー20との位置関係が適切か否かが観察される。各部の形状、厚さ等の寸法が適切か否かが観察される。タイヤ2の内部にエア残りが発生していないか、各部が密着しているか等が、観察される。
【0039】
この加硫評価方法は、識別ゴム部材形成工程及び識別ゴム部材組合工程を備えている。この補強層22は、第一層22a、第二層22b及び第三層22cの色ゴムからなっている。観察工程において、補強層22は、カーカス12、インスレーション16、クリンチ8及びチェーファー20から容易に識別できる。観察工程において、補強層22の周辺におけるゴム流れの観察が容易にされている。
【0040】
この加硫評価方法では、この補強層22を形成する補強層部材は、3色の色ゴム部材から形成されたが、1色の色ゴム部材で形成されてもよいし、2色の色ゴム部材で形成されてもよい。更には、4色以上の色ゴム部材で形成されてもよい。複数の色ゴム部材を組み合わせることで、この評価方法は、ゴム流れの把握をより容易にできる。
【0041】
加硫工程において、色ゴム部材の加硫速度が速過ぎたり遅過ぎたりすると、他のゴム部材の本来のゴム流れを阻害する。ゴム流れの観察の観点から、色ゴム部材の、160℃のキュラストテストにおける加硫時間T10は好ましくは2.0分以上である。この加硫時間T10は好ましくは8.0分以下である。また、加硫時間T95は、好ましくは5.0分以上である。この加硫時間T95は、好ましくは20.0分以下である。
【0042】
この加硫時間T10及び加硫時間T95は、JISK6300に基づいて、キュラストメータで測定される。テスト条件は、160℃、振幅角3°、100サイクル/minである。加硫速度曲線のトルクの最小値をMLとし、最大値をMHとし、その差(MH-ML)をMEとする。このときに、加硫時間T10は、トルクが最小値MLからMLに0.1MEを加えた値に到達する時間を表す。同様に、加硫時間T95は、トルクが最小値MLからMLに0.95MEを加えた値に到達する時間を表す。
【0043】
この識別ゴム部材組合工程においては、複数のゴム部材に、識別ゴム部材としての補強層部材が積層されたが、これに限られない。積層された複数のゴム部材の一部を取り除いてゴム部材除去部を形成し、ゴム部材除去部に補強層部材が貼り合わされてもよい。
【0044】
図3には、他の識別ゴム部材として補強層部材32が示されている。この加硫評価方法では、補強層22を形成する補強層部材に代えて、この補強層部材32が用いられる。この補強層部材32は、シート形状を備えている。
図3は、補強層部材32の長手方向に垂直な断面を表している。この補強層部材32は、ベースゴム部材34及び色ゴム部材36を備えている。このベースゴム部材34に、欠落部38が形成されている。この欠落部38に、色ゴム部材36が積層されている。
【0045】
図3の両矢印Tbは、補強層部材32の厚さを表している。この厚さTbは、ベースゴム部材34の元々の厚さである。この厚さTbは、欠落部38が形成されていない位置で測定される。両矢印Trは、欠落部38が形成された位置での、ベースゴム部材34の厚さを表している。両矢印Heは欠落部38の深さを表している。両矢印Weは欠落部38の幅を表している。両矢印Tcは、色ゴム部材36の厚さを表している。両矢印Wcは色ゴム部材36の幅を表している。両矢印Taは、色ゴム部材36の厚さTcとベースゴム部材34の厚さTrとを合わせた厚さを表している。
【0046】
ここで、この補強層部材32を用いた加硫評価方法が説明される。この加硫評価方法では、識別ゴム部材として補強層部材32が用いられる他は、タイヤ2の加硫評価方法と同様の構成を備えている。ここでは、タイヤ2の加硫評価方法と異なる構成について説明がされ、同様の構成について説明が省略される。
【0047】
この加硫評価方法では、識別ゴム部材成形工程において、ベースゴム部材34及び色ゴム部材36が準備される。ベースゴム部材34の欠落部38に、色ゴム部材36が積層される。これにより、補強層部材32が形成される。この欠落部38は、ゴム部材の一部を取り除いて形成される。この欠落部38は、押し出し成形で形成されてもよい。識別ゴム部材組合工程では、ゴム部材準備工程で準備された複数のゴム部材と、補強層部材32が組み合わされて、ローカバーが形成される。
【0048】
この観察工程では、ベースゴム部材34から形成された架橋ゴムと、色ゴム部材36から形成された架橋ゴムとの境界が容易に識別できる。この加硫評価方法では、ゴム流れを観察したい特定箇所に、色ゴム部材36を配置することで、特定箇所のゴム流れが容易に観察できる。この加硫評価方法は、特定箇所のゴム流れの評価に適している。
【0049】
色ゴム部材36の厚さを大きくすることで、観察工程でのゴム流れの観察が容易にできる。この観点から、色ゴム部材36の厚さTcは、好ましくは0.2mm以上である。また、色ゴム部材36の幅を大きくすることで、観察工程でのゴム流れの観察が容易にできる。この観点から、色ゴム部材36の幅Wcは、好ましくは1mm以上である。
【0050】
ゴム流れの観察を容易にする観点から、ベースゴム部材34の厚さTrに対する色ゴム部材36の厚さTcの比(Tc/Tr)は、好ましくは、0.05以上であり、更に好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。同様の観点から、この比(Tc/Tr)は、好ましくは、0.95以下であり、更に好ましくは0.8以下であり、特に好ましくは0.7以下である。
【0051】
大き過ぎる色ゴム部材36は、欠落部38からはみ出す。色ゴム部材36が欠落部38からはみ出した補強層部材32では、加硫工程でのゴム流れが変化する。この補強層部材32は、ゴム流れの評価を、阻害する。このゴム流れの評価を阻害しない観点から、識別ゴム部材成形工程において、好ましくは、ベースゴム部材34の厚さTrと色ゴム部材36の厚さTcとを合わせた厚さTaを、ベースゴム部材34の厚さTb以下にし、更に好ましくは、厚さTaを厚さTbより小さくする。同様の観点から、好ましくは、色ゴム部材36の幅Wcを欠落部38の幅We以下にし、更に好ましくは、幅Wcを幅Weより小さくする。
【0052】
図4(a)には、更に他の識別ゴム部材としての補強層部材40が示されている。この補強層部材40は、シート形状を備えている。この
図4(a)には、補強層部材40の長手方向に垂直な断面を表している。この補強層部材40は、ベースゴム部材42及び色ゴム部材44を備えている。このベースゴム部材42は、シート形状を備えている。色ゴム部材44は、シート形状を備えている。ベースゴム42に、色ゴム部材44が積層されている。
【0053】
図4(a)の両矢印Trは、ベースゴム部材42の厚さを表している。両矢印Wbはベースゴム部材42の幅を表している。両矢印Tcは、色ゴム部材44の厚さを表している。両矢印Wcは色ゴム部材44の幅を表している。両矢印Taは、補強層部材40の厚さを表している。この厚さTaは、ベースゴム部材42の厚さTrと色ゴム部材36の厚さTcとを合わせた厚さである。
【0054】
図4(b)には、補強層部材46が示されている。この加硫評価方法では、ローカバーが備える補強層部材46を、識別ゴム部材としての補強層部材40に置き換えている。この補強層46は、シート形状を備えている。
図4(b)の両矢印Tは、補強層部材46の厚さを表している。両矢印Wは、補強層部材46の幅を表している。ここでは、
図4(a)の厚さTaは、厚さT以下にされている。幅Wbは、幅Wと同じにされ、幅Wcは幅W以下にされている。
【0055】
ここで、この補強層部材40を用いたタイヤの加硫評価方法が説明される。この加硫評価方法では、識別ゴム部材として補強層部材40が用いられる他は、タイヤ2の加硫評価方法と同様の構成を備えている。ここでは、タイヤ2の加硫評価方法と異なる構成について説明がされ、同様の構成について説明が省略される。
【0056】
この加硫評価方法では、識別ゴム部材成形工程において、ベースゴム部材42及び色ゴム部材44が準備される。ベースゴム部材42に、色ゴム部材44が積層される。これにより、補強層部材40が形成される。識別ゴム部材組合工程では、ゴム部材準備工程で準備された複数のゴム部材と、補強層部材40が組み合わされて、ローカバーが形成される。
【0057】
この観察工程では、色ゴム部材44から形成された架橋ゴムの境界が容易に識別できる。この色ゴム部材44を用いることで、加硫評価方法では、ゴム流れが容易に観察できる。
【0058】
ゴム流れの観察を容易にする観点から、ベースゴム部材42の厚さTrに対する色ゴム部材44の厚さTcの比(Tc/Tr)は、好ましくは、0.05以上であり、更に好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。同様の観点から、この比(Tc/Tr)は、好ましくは、0.95以下であり、更に好ましくは0.8以下であり、特に好ましくは0.7以下である。
【0059】
大き過ぎる色ゴム部材44は、補強層部材40の幅Wc及び高さTcを大きくする。この幅Wc及び高さTcが大きすぎる補強層部材40では、加硫工程でゴム流れが変化する。この補強層部材40は、ゴム流れの評価を、阻害する。ゴム流れの評価を阻害しない観点から、好ましくは、識別ゴム部材成形工程において、ベースゴム部材42の厚さTrと色ゴム部材44の厚さTcとを合わせた厚さTaは、補強層部材46の厚さT以下にされ、好ましくは、この厚さTより小さくされる。ベースゴム部材42の幅Wbと色ゴム部材44の幅Wcとのそれぞれは、補強層部材46の幅W以下にされ、好ましくは、幅Wより小さくされる。
【0060】
ここでは、シート形状を備える識別ゴム部材を例に説明が、識別ゴム部材は細長いストリップ形状を備えていてもよい。1色の色ゴムからなる識別ゴム部材が周方向に巻回されて、例えば補強層部材が形成されてもよい。2色以上の複数の識別ゴム部材が準備され、これらの識別ゴム部材が周方向に巻回されて、例えば補強層部材が形成されてもよい。また、ストリップ形状のベースゴム部材に欠落部が形成されて、この欠落部に色ゴム部材が積層されてもよい。また、ストリップ形状のベースゴム部材に、ストリップ形状を備える色ゴム部材が積層されてもよい。
【0061】
図5には、ストリップ形状を備える識別ゴム部材として、ストリップ部材48の使用状態が示されている。
図5には、このストリップ部材48が、ゴム部材50と共に示されている。このゴム部材50も、ストリップ形状を備えている。このストリップ部材48及びゴム部材50の長手方向に垂直な断面が示されている。このストリップ部材48は、細長いストリップ形状のベースゴム部材52と細長いストリップ形状の色ゴム部材54を備えている。
【0062】
図5では、ストリップ部材48とゴム部材50とが周方向に巻回されている。このストリップ部材48は、ゴム部材50と共に巻回されている。このストリップ部材48の断面形状は、
図5に示される様に四角形である。このストリップ部材48の幅は、例えば5mm以上40mm以下である。ストリップ部材48の厚さは、例えば0.3mm以上3.0mm以下である。このストリップ部材48の断面形状は、台形であってもよいし、菱形であってもよい。
【0063】
ここで、このストリップ部材48を用いた加硫評価方法が説明される。この加硫評価方法では、ゴム部材準備工程、識別ゴム部材成形工程及び識別ゴム部材組合工程が、タイヤ2の加硫評価方法のそれらと異なる。その他の工程は、タイヤ2の加硫評価方法と同様の構成を備えている。ここでは、タイヤ2の加硫評価方法と異なる構成について説明がされ、同様の構成について説明が省略される。
【0064】
ゴム部材準備工程では、ストリップ形状を備えたゴム部材50が準備される。識別ゴム部材成形工程では、ベースゴム部材52と色ゴム部材54とが準備される。ベースゴム部材52に、色ゴム部材54が積層される。これにより、ストリップ部材48が形成される。
【0065】
識別ゴム部材組合工程では、
図5に示される様に、ゴム部材50及びストリップ部材48を周方向に巻回する。更に、ゴム部材50及びストリップ部材48が巻回されて、例えば、トレッドを形成するトレッド部材が形成される。
【0066】
図6(a)及び
図6(b)には、他の識別ゴム部材としてのインスレーション部材56が示されている。このインスレーション部材56は、シート形状を備えている。このインスレーション部材56は、ベースゴム部材58及び色ゴム部材60を備えている。
図6(a)には、インスレーション部材56の長手方向に垂直な断面が示されている。
図6(b)には、
図6(a)の線分B-Bに沿った断面が示されている。ベースゴム部材58は、多数の切れ目62を備えている。
【0067】
図6(a)及び
図6(b)では、インスレーション部材56は、インナーライナー部材64とクリンチチェーファー部材66と積層されている。
【0068】
図6(a)の両矢印Tc1及び
図6(b)の両矢印Tc2は、色ゴム部材60の厚さを表している。この厚さTc1及びTc2は、切れ目62の幅に一致している。
図6(a)の両矢印D1及び
図6(b)の両矢印D2は、切れ目62に流し込まれた色ゴム部材60のピッチを表している。このピッチD1及びD2は、切れ目62のピッチと一致している。
【0069】
図7(a)には、このインスレーション部材56、インナーライナー部材64、クリンチチェーファー部材66、ビード部材68及びカーカス部材70が組み合わされた、ローカバー72の部分断面図が示されている。
【0070】
図7(b)には、ローカバー72から得られたタイヤ74の部分断面図が示されている。このタイヤ74は、インスレーション76、インナーライナー78、クリンチ80、チェーファー82、ビード84及びカーカス86を備えている。このインスレーション76は、ベースゴム88及び色ゴム90を備えている。
【0071】
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)及び
図7(b)を参照しつつ、タイヤ74の加硫評価方法が説明される。この加硫評価方法では、識別ゴム部材成形工程及び識別ゴム部材組合工程が、タイヤ2の加硫評価方法のそれらと異なる。その他の工程は、タイヤ2の加硫評価方法と同様の構成を備えている。ここでは、タイヤ2の加硫評価方法と異なる構成について、主に説明がされる。
【0072】
識別ゴム部材成形工程では、図示されないシート形状のゴム部材が準備される。このゴム部材にカッターで複数の切れ目62が形成される(
図6(a)及び
図6(b)参照)。この切れ目62は、格子状に形成される。この様にして、シート形状のゴム部材からベースゴム部材58が形成される。ベースゴム部材58の切れ目62に、色ゴム部材60が流し込まれる。格子状の切れ目62に色ゴム部材が60が流し込まれて、インスレーション部材56が形成される。
【0073】
識別ゴム部材組合工程では、
図6(a)及び
図6(b)に示される様に、インスレーション部材56が、インナーライナー部材64及びクリンチチェーファー部材66と積層される。
図7に示される様に、更に、インスレーション部材56は、インナーライナー部材64、クリンチチェーファー部材66、ビード部材68、カーカス部材70等、他のゴム部材と組み合わされる。この様にして、ローカバー72が形成される。
【0074】
加硫工程では、このローカバー72がモールド内で加硫される。このローカバー72からタイヤ74が得られる。切断工程では、このタイヤ74が切断される。
図7(b)は、切断されたタイヤ74の断面が示されている。
【0075】
観察工程では、このタイヤ74の断面が観察される。この観察工程では、色ゴム90を観察することで、インスレーション部材56のゴム流れが容易に観察できる。この色ゴム部材60をゴム流れを観察したい特定箇所に配置することで、特定箇所のゴム流れが容易に観察できる。この加硫評価方法は、特定箇所のゴム流れの評価に適している。
【0076】
このインスレーション部材56では、
図6(a)及び
図6(b)に示される様に、切れ目62が格子状に形成されている。この切れ目62に色ゴム部材60が流し込まれている。これにより、周方向に垂直な断面に限らず、軸方向に垂直な断面、半径方向に垂直な断面、更にこれらの断面に交差する断面においても、ゴム流れが容易に観察できる。タイヤ74では、様々な方向において、ゴム流れが観察し易くされている。
【0077】
ゴム流れを観察し易くする観点から、ピッチD1及びD2のそれぞれは、好ましくは2mm以上である。同様の観点から、ピッチD1及びD2のそれぞれは、好ましくは15mm以下である。
【0078】
色ゴム部材60の厚さTc1及びTc2が大きいインスレーション部材56は、ゴムの流れが観察しやすい。この観点から、この厚さTc1及びTc2のそれぞれは、好ましくは、0.2mm以上である。一方で、厚さTc1及びTc2が大き過ぎるインスレーション部材56は、ゴムの流れが観察し難い。この観点から、厚さTc1及びTc2のそれぞれは、好ましくは、2mm以下である。
【0079】
ここでは、シート形状を備えるインスレーション部材56を例に説明がされたが、このインスレーション部材56は、細長いストリップ形状を備えていてもよい。ストリップ形状のベースゴム部材に、切れ目が形成されてもよい。この切れ目に色ゴム部材が流し込まれてもよい。
【0080】
ここでは、識別ゴム部材として、補強層部材32、インスレーション部材56等を例示して説明がされたが、この例示したものに限られない。この加硫評価方法は、識別ゴム部材として、ビード部材、トレッド部材、バットレス部材、サイドウォール部材、クリンチチェーファー部材、インナーライナー部材等、種々のゴム部材を用いることができる。この加硫評価方法は、特に、識別ゴム部材として、タイヤの外観に表れない内部のゴム部材を用いることで、タイヤ2の内部のゴム流れが容易に評価できる。
【0081】
本発明にかかるローカバーの製造方法は、前述のいずれかの加硫評価方法における、ゴム部材準備工程、識別ゴム部材成形工程及び識別ゴム部材組合工程を備えている。この製造方法は、識別ゴム部材成形工程及び識別ゴム部材組合工程を備えているので、加硫によるゴム流れの観察に適したローカバーが得られる。
【0082】
本発明にかかるタイヤの製造方法は、前述のいずれかの加硫評価方法における、ゴム部材準備工程、識別ゴム部材成形工程、識別ゴム部材組合工程及び加硫工程を備えている。この製造方法は、識別ゴム部材成形工程及び識別ゴム部材組合工程を備えているので、加硫によるゴム流れの観察に適したタイヤが得られる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0084】
[実施例1]
シート形状のベースゴム部材と、シート形状の色ゴム部材が準備された。このベースゴム部材に色ゴム部材が積層されて識別ゴム部材が形成された。表1の部位の欄の「A」は、この識別ゴム部材がインスレーションの部位に配置されたことを表す。このベースゴム部材と色ゴム部材のそれぞれの幅及び厚さは表1に示す通りであった。色ゴム部材の加硫時間T10及び加硫時間T95は、表1に示される通りであった。この識別ゴム部材は、ビード周りでカーカス部材の外側に積層された。この識別ゴム部材を用いて、ローカバーが得られた。
【0085】
[実施例2-8]
色ゴム部材の幅、厚さ、加硫時間T10及び加硫時間T95が、表1に示される様にされた。その他は、実施例1と同様にしてローカバーが得られた。
【0086】
[実施例9-16]
ストリップ形状の色ゴム部材が準備された。色ゴム部材の幅、厚さ、加硫時間T10及び加硫時間T95は、表2に示される通りであった。その他は、実施例1と同様にしてローカバーが得られた。
【0087】
[実施例17-21]
欠落部が形成されたベースゴム部材が準備された。この欠落部の深さ及び幅は表3に示される通りにされた。ストリップ形状の色ゴム部材が準備された。色ゴム部材の幅、厚さ、加硫時間T10及び加硫時間T95は、表3に示される通りであった。また、実施例21では、識別ゴム部材が形成された。表3の部位の欄の「B」は、この識別ゴム部材がトレッドの部位に配置されたことを表す。その他は、実施例1と同様にしてローカバーが得られた。
【0088】
[実施例22-36]
ストリップ形状のベースゴム部材と、ストリップ形状の色ゴム部材が準備された。このベースゴム部材に色ゴム部材が積層されて識別ゴム部材が形成された。このベースゴム部材と色ゴム部材のそれぞれの幅及び厚さは表4から表6に示す通りであった。色ゴム部材の加硫時間T10及び加硫時間T95は、表4から表6に示される通りであった。また、実施例26、実施例31及び実施例36では、識別ゴム部材がトレッドの部位に配置された。その他は、実施例1と同様にして、ローカバーが得られた。
【0089】
[実施例37-46]
シート形状のベースゴム部材が準備された。このベースゴム部材に格子状に切れ目が形成された。この切れ目に色ゴム部材が流し込まれて識別ゴム部材が形成された。このベースゴム部材の幅及び厚さと、色ゴム部材のピッチ及び厚さとは、表7及び8に示す通りであった。また、実施例42では識別ゴム部材がトレッドの部位に配置された。その他は、実施例1と同様にしてローカバーが得られた。
【0090】
[ゴム流れ評価]
それぞれのローカバーを加硫して、ローカバーからタイヤを得た。このタイヤを切断して、ゴム流れを観察した。ここでは、ゴム流れの観察のし易さが評価される。いずれの実施例から得られるタイヤも、識別ゴム部材を用いることで、従来のタイヤに比べて、ゴム流れの観察はし易かった。ここでは、更に、それぞれの実施例について、ゴム流れの観察のし易さを5段階の指数で評価した。この指数は、数字が大きいほど、観察が容易であることを表す。この指数は、大きいほど好ましい。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上説明された方法は、加硫工程におけるタイヤのゴム流れの観察及び評価に広く適用される。
【符号の説明】
【0100】
2、74・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・クリンチ
10・・・ビード
12・・・カーカス
14・・・ベルト
16・・・インスレーション
18・・・インナーライナー
20・・・チェーファー
32、40、46・・・補強層部材
34、42、52、58・・・ベースゴム部材
36、44、54、60・・・色ゴム部材
38・・・欠落部
48・・・ストリップ部材
50・・・ゴム部材
56・・・インスレーション部材
62・・・切れ目
72・・・ローカバー
76・・・識別ゴム
88・・・ベースゴム
90・・・色ゴム