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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20221109BHJP
   B65D 30/22 20060101ALI20221109BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65D33/36
B65D30/22 F
B65D75/58
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018151977
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020026296
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】土田 雅子
(72)【発明者】
【氏名】加戸 卓
(72)【発明者】
【氏名】八木 和也
(72)【発明者】
【氏名】鹿田 卓弘
(72)【発明者】
【氏名】船島 諒
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-189010(JP,A)
【文献】実開昭59-087431(JP,U)
【文献】特開2012-121583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/36
B65D 30/22
B65D 75/58
B65D 83/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料により形成された包装袋であって、
上縁と、
前記上縁と対向する下縁と、
前記上縁と前記下縁との間で延びる第1側縁と第2側縁とを備え、
前記第1側縁から前記第2側縁側に、前記第2側縁に達しない位置までシール部が延び、
前記シール部と前記下縁との間に、内容物を収容する収容部が形成され、
前記収容部よりも上方に、前記内容物を計量する計量部が形成され、
前記計量部の前記第1側縁側に、前記計量部で計量された前記内容物が通過する流路部が設けられ、
前記流路部は、前記第2側縁側から前記第1側縁側に向かうにつれて下方に傾斜し、
前記流路部の一端部は、前記計量部内に配置されている、包装袋。
【請求項2】
前記シール部は、前記第2側縁側から前記第1側縁側に向かうにつれて下方に傾斜する、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記流路部および前記シール部は互いに平行に延びている、請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記流路部は、前記包装材料とは別体に構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記流路部は、前記包装材料を熱成形することにより構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記流路部の前記第1側縁側に、前記流路部を通過した前記内容物が貯留される貯留部が設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記貯留部に、開封開始部が設けられている、請求項6に記載の包装袋。
【請求項8】
前記貯留部に、易破断部が設けられている、請求項6または7に記載の包装袋。
【請求項9】
前記貯留部に、再封止手段が設けられている、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、包装袋として、それぞれシーラント層を有する表面積層体および裏面積層体の、シーラント層同士を対向させ、周縁をシールしてなる包装袋が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような包装袋には、ジュース類、果汁類、ゼリー状飲料等の液体の内容物の他、ふりかけやインスタントコーヒー等の粉体の内容物が充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-188106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、包装袋に粉体の内容物が充填された場合、使用者が包装袋に充填された粉体を包装袋から取り出す際に、所望の量の内容物を使用者自身の感覚で振り出す必要がある。この際、包装袋から内容物が出過ぎてしまうといった問題がある。とりわけ高齢者にとっては、所望の量の内容物を使用者自身の感覚で振り出すことは困難である。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、内容物を取り出す際に、内容物が出過ぎることを抑制することが可能な、包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、包装材料により形成された包装袋であって、上縁と、前記上縁と対向する下縁と、前記上縁と前記下縁との間で延びる第1側縁と第2側縁とを備え、前記第1側縁から前記第2側縁側に、前記第2側縁に達しない位置までシール部が延び、前記シール部と前記下縁との間に、内容物を収容する収容部が形成され、前記収容部よりも上方に、前記内容物を計量する計量部が形成され、前記計量部の前記第1側縁側に、前記計量部で計量された前記内容物が通過する流路部が設けられ、前記流路部は、前記第2側縁側から前記第1側縁側に向かうにつれて下方に傾斜する、包装袋である。
【0007】
本発明は、前記シール部は、前記第2側縁側から前記第1側縁側に向かうにつれて下方に傾斜する、包装袋である。
【0008】
本発明は、前記流路部および前記シール部は互いに平行に延びている、包装袋である。
【0009】
本発明は、前記流路部は、前記包装材料とは別体に構成されている、包装袋である。
【0010】
本発明は、前記流路部は、前記包装材料を熱成形することにより構成されている、包装袋である。
【0011】
本発明は、前記流路部の前記第1側縁側に、前記流路部を通過した前記内容物が貯留される貯留部が設けられている、包装袋である。
【0012】
本発明は、前記貯留部に、開封開始部が設けられている、包装袋である。
【0013】
本発明は、前記貯留部に、易破断部が設けられている、包装袋である。
【0014】
本発明は、前記貯留部に、再封止手段が設けられている、包装袋である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内容物を取り出す際に、内容物が出過ぎることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態による包装袋を示す正面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態による包装袋を示す断面図(図1のII-II線断面図)である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態による包装袋の表面または裏面を示す断面図である。
図4図4(a)-(c)は、本発明の第1の実施の形態による包装袋の製造方法を示す概略斜視図である。
図5図5(a)-(c)は、本発明の第1の実施の形態による包装袋の使用状態を示す正面図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態による包装袋の流路部の変形例を示す断面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施の形態による包装袋の変形例を示す正面図である。
図8図8は、本発明の第2の実施の形態による包装袋を示す正面図である。
図9図9(a)-(b)は、本発明の第2の実施の形態による包装袋の使用状態を示す正面図である。
図10図10(a)-(b)は、本発明の第2の実施の形態による包装袋の使用状態を示す正面図である。
図11図11は、本発明の第2の実施の形態による包装袋の変形例を示す正面図である。
図12図12は、本発明の第2の実施の形態による包装袋の貯留部の第1変形例を示す正面図である。
図13図13は、本発明の第2の実施の形態による包装袋の貯留部の第1変形例の表面を示す断面図である。
図14図14は、本発明の第2の実施の形態による包装袋の貯留部の第2変形例を示す正面図である。
図15図15は、比較例としての包装袋を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
図1乃至図5により本発明の第1の実施の形態について説明する。なお、図1は、内容物が充填される前、つまり内容物が充填されていない状態の包装袋を示す図である。
【0018】
図1に示すように、包装袋10は、互いに対向するように配置された表面11および裏面12を構成する積層フィルム(包装材料)11A、12A(図3参照)により形成されており、平パウチ型の包装袋となっている。
【0019】
包装袋10は、上縁13と、上縁13と第1方向D1において対向する下縁14と、上縁13と下縁14との間で延びる第1縁(第1側縁)15と第2縁(第2側縁)16とを備えている。このうち上縁13は、第1縁15から延びる第1上縁131と、第2縁16から延びる第2上縁132とを有している。第1上縁131および第2上縁132は、第2方向D2に沿って延びる第3縁17を介して互いに接続されており、第1上縁131は、第2上縁132よりも下方(下縁14側)に位置している。
【0020】
本実施の形態において、第1縁15、第2縁16および第3縁17はそれぞれ第1方向D1に平行に延びている。この場合、第1縁15の高さ(第1縁15と第1上縁131との交点から下縁14までの第1方向D1に沿った長さ)H1は、例えば60mm以上200mm以下とすることができる。また、第2縁16の高さ(第2上縁132から下縁14までの第1方向D1に沿った長さ)H2は、例えば100mm以上250mm以下とすることができる。
【0021】
また、上縁13の第2上縁132および下縁14はそれぞれ、第1方向D1に直交する第2方向D2に平行に延びている。この場合、第2上縁132の幅(第2縁16から第3縁17までの第2方向D2に沿った長さ)W1は、例えば20mm以上100mm以下とすることができる。また、下縁14の幅(第1縁15から第2縁16までの第2方向D2に沿った長さ)W2は、例えば50mm以上150mm以下とすることができる。
【0022】
一方、上縁13の第1上縁131は、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下方に傾斜している。この場合、第1上縁131の第2方向D2に対する傾斜角度は、例えば5°以上40°以下とすることができる。
【0023】
なお、第1縁15、第2縁16および第3縁17がそれぞれ第1方向D1に対して傾斜して延びていても良く、上縁13の第2上縁132および下縁14がそれぞれ第2方向D2に対して傾斜して延びていても良い。また、上縁13の第1上縁131が第2方向D2に平行に延びていても良い。
【0024】
また、第1縁15から第2縁16側に、第2縁16に達しない位置までシール部18aが設けられている。本実施の形態では、シール部18aとして、第1上縁131に沿って、第1上縁シール部131aが設けられている。この第1上縁シール部131aは、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下方に傾斜している。これにより、後述するように、収容部30に収容された内容物を計量部31に移動させる際に、収容部30に収容された内容物を、計量部31にスムーズに移動させることができるようになっている。この場合、第1上縁シール部131aの第2方向D2に対する傾斜角度は、例えば5°以上40°以下とすることができる。また、第2上縁132に沿って第2上縁シール部132aが設けられている。また、第1縁15に沿って第1縁シール部15aが設けられ、第2縁16に沿って第2縁シール部16aが設けられている。さらに、第3縁17に沿って第3縁シール部17aが設けられている。
【0025】
表面11および裏面12は、第1縁15において第1縁シール部15aにより互いに接合され、第2縁16において第2縁シール部16aにより互いに接合され、第3縁17において第3縁シール部17aにより互いに接合されている。また、表面11および裏面12は、第1上縁131において第1上縁シール部131aにより互いに接合され、第2上縁132において第2上縁シール部132aにより互いに接合されている。そして包装袋10の下縁14には、開口された開口部が形成されている。なお、包装袋10に内容物(図5参照)が充填された後、下縁14の開口部がシールされて下縁シール部14a(仮想線)が形成される。上述した第1上縁シール部131a、第2上縁シール部132a、下縁シール部14a、第1縁シール部15a、第2縁シール部16aおよび第3縁シール部17aの幅は、それぞれ3mm以上15mm以下とすることができ、一例として5mmであっても良い。
【0026】
なお、第1上縁シール部131aの第2縁16側の端部から第2縁16までは、未シール部18bが設けられている。これにより、後述する収容部30に収容された内容物が、未シール部18bを通過して、後述する計量部31に移動できるようになっている。
【0027】
次に、本実施の形態による包装袋10についてより詳細に説明する。本実施の形態では、第1上縁シール部131a(シール部18a)と下縁14との間に、内容物を収容する収容部30が形成されている。この収容部30は、包装袋10が密封された状態において、第1上縁シール部131aと、未シール部18bと、下縁シール部14aと、第1縁シール部15aと、第2縁シール部16aとによって画定されている。
【0028】
また、収容部30よりも上方(上縁13側)に、内容物を計量する計量部31が形成されている。この計量部31は、第2上縁シール部132aと、未シール部18bと、第2縁シール部16aと、第3縁シール部17aとによって画定されている。これにより、計量部31内には、所定の量よりも多くの内容物が収容されないようになっており、計量部31に内容物が収容されることにより、内容物が所定の量以下に計量されるように構成されている。このように、収容部30よりも上方に計量部31を形成することにより、包装袋10を上下反転させた際に、計量部31によって包装袋10から取り出される内容物を計量することができる。このため、包装袋10から内容物を取り出す際に、内容物が包装袋10から出過ぎることを抑制することができる。
【0029】
また、計量部31の第1縁15側に、計量部31で計量された内容物が通過する流路部32が設けられている。この流路部32は、流路部32の一端部(第2縁16側の端部)が計量部31内に配置され、流路部32の他端部(第1縁15側の端部)が包装袋10の外部に露出するように設けられており、計量部31と包装袋10の外部とを連通させている。このため、流路部32内を内容物が通過することにより、計量部31で計量された内容物が包装袋10から取り出されるようになっている。
【0030】
また、流路部32は、表面11および裏面12を構成する積層フィルム11A、12Aとは別体に構成されている。図1および図2に示すように、流路部32は、円筒形状の部材32Aから構成されている。この場合、流路部32を構成する円筒形状の部材32Aの外周32e(図2参照)に、表面11を構成する積層フィルム11A、および裏面12を構成する積層フィルム12Aが熱溶着されている。また、図1に示すように、流路部32を構成する部材32Aは、第1上縁シール部131aに接触していても良い。これにより、部材32Aに対して下方(下縁14側)への局所的な力が作用した際に、部材32Aが折れ曲がる不具合を抑制することができ、流路部32が屈曲する不具合を抑制することができる。なお、流路部32は、例えば四角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。また、流路部32は、図2に示す断面において、扁平形状を有していても良い。また、流路部32を構成する部材32Aは、接着剤などを用いて積層フィルム11A、12Aに接着されていても良い。
【0031】
また、図1に示すように、流路部32は、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下方に傾斜している。すなわち、流路部32は、流路部32の一端部(第2縁16側の端部)が上方(上縁13側)を向くように配置されている。これにより、後述するように、内容物を収容部30から計量部31に移動させ、計量部31によって内容物を計量する際に、収容部30から計量部31に移動中の内容物が流路部32から包装袋10の外部に取り出されることを抑制することができる。
【0032】
また、流路部32および上述した第1上縁シール部131a(シール部18a)は、互いに平行に延びている。すなわち、流路部32の第2方向D2に対する傾斜角度は、第1上縁131の第2方向D2に対する傾斜角度と略同一となっている。このため、流路部32の第2方向D2に対する傾斜角度は、例えば3°以上40°以下とすることができる。流路部32が第1上縁シール部131aと平行に延びていることにより、内容物を計量するために包装袋10を反転した際に、流路部32が上方を向く。これにより、反転時に流路部32から内容物が流出することを抑制することができる。また、後述するように、流路部32を形成する際に、流路部32を構成する部材32Aの位置決めおよび固定を容易にすることができる。
【0033】
このような流路部32を構成する部材32Aは、例えば、合成樹脂材料を射出成形することにより製作することができる。流路部32を構成する部材32Aの材料としては、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などを用いることができる。
【0034】
次に、図3により、表面11を構成する積層フィルム11Aおよび裏面12を構成する積層フィルム12Aの層構成について説明する。表面11および裏面12は、少なくとも基材層とシーラント層が積層された積層フィルム11A、12Aで構成される。
【0035】
図3に示すように表面11および裏面12を構成する積層フィルム11A、12Aは、それぞれ互いに積層された基材層20Aとシーラント層20Bとを有している。基材層20Aとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)または延伸ポリプロピレン(OPP)などを用いることができる。また、基材層20Aは延伸されていることが好ましい。他方、シーラント層20Bとしては、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などを用いることができる。
【0036】
また、基材層20Aとシーラント層20Bとの間に図示しない中間層が設けられていてもよい。このような中間層としては、酸素や水蒸気などのガスバリア性、遮光性、各種の機械的強度など、必要とされる性能に応じて適切なものが選択され得る。例えば、中間層として、アルミニウム箔などの金属層や、アルミニウムなどの金属または酸化アルミニウムなどの金属酸化物または酸化珪素などの無機酸化物の蒸着層などを設けることができる。
【0037】
なお、このような積層フィルム11A、12Aは不透明であっても良いが、透明であることが好ましい。積層フィルム11A、12Aが透明である場合、包装袋10を透明にすることができ、包装袋10内に充填された内容物の残量を目視で確認することができる。
【0038】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。まず、包装袋10の製造方法について、図4(a)-(c)を用いて説明する。
【0039】
はじめに、図4(a)に示すように、表面11用の積層フィルム11Aおよび裏面12用の積層フィルム12Aを作製する。この場合、基材層20A(図3参照)の原反を準備し、帯状の基材層20Aを連続的に搬送させながら、溶融押出ラミネート法を用いて基材層20Aにシーラント層20B(図3参照)を積層して積層フィルム11A、12Aを作製する。なお、ドライラミネート法を用いて基材層20Aにシーラント層20Bを積層してもよい。
【0040】
次に、図4(b)に示すように、帯状の表面11用の積層フィルム11Aを個々の包装袋毎に対応する形状に切断して個片化する。同様に、帯状の裏面12用の積層フィルム12Aを個々の包装袋毎に対応する形状に切断して個片化する。
【0041】
次いで、図4(c)に示すように、個片化された表面11用の積層フィルム11Aと裏面12用の積層フィルム12Aとを、互いのシーラント層20B同士が向き合うようにして重ね合わせる。この際、表面11用の積層フィルム11Aと裏面12用の積層フィルム12Aとの間に、例えば射出成形により予め作製された、流路部32を構成する円筒形状の部材32Aを配置する。この場合、例えば、積層フィルム11A、12Aのうち第1上縁131に対応する部分と、部材32Aとが互いに平行に延びるように、部材32Aを、積層フィルム11A、12Aのうち第1上縁131に対応する部分に接触させる。これにより、部材32Aが容易に位置決めされる。このため、包装袋10の製造工程を容易にすることができる。
【0042】
その後、個片化された表面11用の積層フィルム11Aと裏面12用の積層フィルム12Aとに対してヒートシールを施すことにより、第1上縁シール部131aと、第2上縁シール部132aと、第1縁シール部15aと、第2縁シール部16aと、第3縁シール部17aとをそれぞれ形成する(図1参照)。また、この際、流路部32を構成する部材32Aの外周32eに、表面11用の積層フィルム11Aおよび裏面12用の積層フィルム12Aが熱溶着される(図2参照)。ここで、上述したように、積層フィルム11A、12Aのうち第1上縁131に対応する部分と、部材32Aとが互いに平行に延びるように、部材32Aが配置されている。これにより、部材32Aの固定を容易に行うことができる。そして、部材32Aの外周32eに積層フィルム11A、12Aが熱溶着された際に、流路部32と第1上縁シール部131aとが互いに平行に延びるように、流路部32が形成される。
【0043】
このようにして、図1に示す包装袋10を得ることができる。
【0044】
このようにして得られた包装袋10内に下縁14の開口部から内容物が充填され、開口部がヒートシールされて密封され、下縁シール部14aが形成される。
【0045】
なお、包装袋10を作製する際に、積層フィルム11A、12Aを個片化する前に、積層フィルム11Aと積層フィルム12Aとに対してヒートシールを施すことにより、第1上縁シール部131a等をそれぞれ形成するようにしても良い。この場合、図示はしないが、まず、帯状の表面11用の積層フィルム11Aと、帯状の裏面12用の積層フィルム12Aとを、互いのシーラント層20B同士が向き合うようにして重ね合わせながら連続的に搬送する。その後、積層フィルム11Aと積層フィルム12Aとの間に流路部32を構成する円筒形状の部材32Aを配置した状態で、積層フィルム11Aと積層フィルム12Aとに対してヒートシールを施すことにより、第1上縁シール部131aと、第2上縁シール部132aと、第1縁シール部15aと、第2縁シール部16aと、第3縁シール部17aとをそれぞれ形成する。
【0046】
その後、表面11と裏面12とを個々の包装袋毎に切断して個片化することにより、図1に示す包装袋10を得ることができる。
【0047】
次に、包装袋10の使用方法について、図5(a)-(c)を用いて説明する。
【0048】
まず、図5(a)に示すように、内容物Cが充填された包装袋10を準備する。この際、内容物Cは、包装袋10の収容部30に収容されている。
【0049】
次に、使用者が包装袋10を回転させて上下反転させることにより、内容物Cを収容部30から計量部31に移動させ、計量部31によって内容物Cを計量する。この際、例えば、使用者は、包装袋10を図5(a)の点線で示す矢印方向(時計回り方向)に回転させる。これにより、図5(b)に示すように、収容部30に収容されていた内容物Cの一部が、未シール部18bを通過し、計量部31に収容される。この際、第1上縁シール部131aが、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下縁14側に傾斜している。これにより、収容部30に収容された内容物Cの一部(すなわち、図5(b)に示す状態において、第1方向D1に沿って見た場合に第1上縁シール部131aの上方に位置する内容物C)は、第1上縁シール部131a上から滑り落ちるように計量部31へと移動する。このため、収容部30に収容された内容物Cを、計量部31にスムーズに移動させることができる。
【0050】
ここで、計量部31は、上述したように、第2上縁シール部132aと、未シール部18bと、第2縁シール部16aと、第3縁シール部17aとによって画定されており、計量部31内には、所定の量より多くの内容物Cが収容されないようになっている。このため、計量部31に内容物Cが収容されることにより、内容物Cが所定の量以下に計量される。また、流路部32は、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下縁14側に傾斜している。すなわち、流路部32は、流路部32の一端部(第2縁16側の端部)が上縁13側を向くように配置されており、包装袋10を上下反転させた際に、流路部32の当該一端部は鉛直下方を向く。これにより、内容物Cが収容部30から計量部31に移動する際に、移動中の内容物Cが流路部32から包装袋10の外部に取り出されることを抑制することができる。
【0051】
次いで、使用者が包装袋10を所定の方向に回転させる。すなわち、使用者は、流路部32の第1縁15側の端部が鉛直下方を向くように、包装袋10を図5(b)の点線で示す矢印方向(反時計回り方向)に回転させる。これにより、図5(c)に示すように、計量部31に収容されていた内容物Cが、流路部32を通過し、包装袋10の外部に取り出される。ここで、計量部31に収容された内容物Cは、所定の量以下に計量されている。このため、内容物Cを取り出す際に、包装袋10から内容物Cが出過ぎることを抑制することができる。また、流路部32は、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下縁14側に傾斜している。すなわち、使用者が包装袋10を上下反転させた状態(図5(b)に示す状態)において、計量部31内に配置された、流路部32の一端部(第2縁16側の端部)が鉛直下方を向くように配置されている。これにより、包装袋10を図5(b)の点線で示す矢印方向(反時計回り方向)に回転させた際に、計量部31に収容されていた内容物Cとは異なる内容物C(すなわち、図5(b)に示す状態において、未シール部18bよりも下縁14側に位置していた内容物C)が、流路部32を通過することを抑制することができる。このため、流路部32から包装袋10の外部に取り出される内容物Cの量が、計量部31に収容されていた内容物Cの量よりも多くなることはない。
【0052】
以上のように本実施の形態によれば、第1上縁シール部131aと下縁14との間に、内容物Cを収容する収容部30が形成され、収容部30よりも上方に、内容物Cを計量する計量部31が形成され、計量部31の第1縁15側に、計量部31で計量された内容物Cが通過する流路部32が設けられている。このため、計量部31に内容物Cが収容されることにより、内容物Cを所定の量以下に計量することができる。また、流路部32は、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下方に傾斜している。これにより、内容物Cが収容部30から計量部31に移動する際に、移動中の内容物Cが流路部32から包装袋10の外部に取り出されることを抑制することができる。また、流路部32が、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下方に傾斜することにより、包装袋10を回転させた際に、計量部31に収容されていた内容物Cとは異なる内容物C(すなわち、図5(b)に示す状態において、未シール部18bよりも下縁14側に位置していた内容物C)が、流路部32を通過することを抑制することができる。このため、内容物Cを取り出す際に、包装袋10から内容物Cが出過ぎることを抑制することができる。
【0053】
また、包装袋10を傾けることにより、一旦計量部31で計量された内容物Cを流路部32から取り出すので、人手による微調整を行うことなく、略一定量の内容物Cを包装袋10から取り出すことができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、第1上縁シール部131a(シール部18a)が、第2縁16側から第1縁15側に向かうにつれて下方に傾斜している。これにより、内容物Cを収容部30から計量部31に移動させる際に、収容部30に収容された内容物Cの一部が、第1上縁シール部131a上から滑り落ちるように計量部31へと移動する。このため、収容部30に収容された内容物Cを、計量部31にスムーズに移動させることができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、流路部32および第1上縁シール部131aは互いに平行に延びている。この場合、内容物Cを計量するために包装袋10を反転した際に、流路部32が上方を向く。これにより、反転時に流路部32から内容物Cが流出することを抑制することができる。また、流路部32を形成する際に、部材32Aの位置決めおよび固定を容易に行うことができる。これにより、包装袋10の製造工程を容易にすることができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、流路部32は、積層フィルム11A、12A(包装材料)とは別体に構成されている。これにより、積層フィルム11A、12Aよりも剛性の高い材料により流路部32を構成することも可能となる。このため、流路部32の形状を安定して保つことも可能となる。
【0057】
なお、上述の実施の形態では、流路部32が、表面11および裏面12を構成する積層フィルム11A、12Aとは別体に構成されている例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、図6に示すように、流路部32は、積層フィルム11A、12A(包装材料)を熱成形することにより構成されていても良い。この場合、図6に示すように、積層フィルム11A、12Aのそれぞれに、熱成形により半円形状の凹部を形成し、積層フィルム11A、12Aを互いに接合することにより、流路部32を形成しても良い。
【0058】
また、上述の実施の形態では、包装袋10は、第1上縁131、第2上縁132、下縁14、第1縁15、第2縁16および第3縁17がいずれも直線である場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、図示はしないが、第1上縁131、第2上縁132、下縁14、第1縁15、第2縁16および第3縁17の一部または全部が曲線であっても良い。
【0059】
また、上述の実施の形態では、内容物Cが充填される前に第1上縁シール部131a、第2上縁シール部132a、第1縁シール部15a、第2縁シール部16aおよび第3縁シール部17aが形成され、下縁14の開口部から内容物Cが充填された後、この開口部がシールされて下縁シール部14aが形成される場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、内容物Cが充填される前に第1上縁シール部131a、下縁シール部14a、第1縁シール部15a、第2縁シール部16aおよび第3縁シール部17aが形成され、第2上縁132の開口部から内容物Cが充填された後、この開口部がシールされて第2上縁シール部132aが形成されても良い。
【0060】
さらに、上述の実施の形態において、包装袋10が平パウチ型の包装袋となっている例を示したが、これに限られるものではない。例えば、図7に示すように、1枚の積層フィルムを用いて作成された三方シール袋型の包装袋であっても良い。図7に示す包装袋10は、1枚の積層フィルムを用いて作製されており、積層フィルムを第1縁15において折り返し、表面11と裏面12とを形成したものである。このため、図7に示す包装袋10では、第1縁15に第1縁シール部15aが設けられていない。また、図示はしないが、包装袋10は、底部ガセット部を有するガセット袋型の包装袋であっても良い。
【0061】
(第2の実施の形態)
次に、図8乃至図10を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図8は本発明の第2の実施の形態による包装袋を示す正面図であり、図9および図10は、本発明の第2の実施の形態による包装袋の使用状態を示す正面図である。図8乃至図10に示す第2の実施の形態は、流路部の第1縁側に、流路部を通過した内容物が貯留される貯留部が設けられているものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図8乃至図10において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
図8に示すように、本実施の形態による包装袋10は、流路部32の第1縁15側に、流路部32を通過した内容物C(図9および図10参照)が貯留される貯留部33が設けられている。この貯留部33は、包装袋10が密封された状態において、第1上縁シール部131aと、後述する中間シール部19aと、第1縁シール部15aと、第3縁シール部17aとによって画定されている。
【0063】
本実施の形態においては、シール部18aとして、中間シール部19aが設けられている。この中間シール部19aは、第1方向D1における第1上縁131と下縁14との間において、表面11と裏面12とを互いに接合したものである。この中間シール部19aのその他の構成は、第1の実施の形態における包装袋10のシール部18a(第1上縁シール部131a)と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0064】
また、本実施の形態では、正面視において、第1縁シール部15aおよび第3縁シール部17aが第2上縁132の上方まで延びており、第1上縁シール部131aが第2上縁132の上方に形成されている。これにより、貯留部33の容量を大きくすることができようになっている。この場合、第1縁15の高さ(第1上縁131から下縁14までの第1方向D1に沿った長さ)H3は、例えば100mm以上300mm以下とすることができる。なお、第1縁シール部15aおよび第3縁シール部17aが第2上縁132の上方まで延びることなく、第1上縁シール部131aが第2上縁132の下方に形成されていても良い。
【0065】
さらに、本実施の形態による第1上縁131は、第2方向D2に対して傾斜することなく、第2方向D2に平行に延びている。この場合、第1上縁131の幅(第1縁15から第3縁17までの第2方向D2に沿った長さ)W3は、例えば20mm以上100mm以下とすることができる。なお、第1上縁131が第2方向D2に対して傾斜して延びていても良い。
【0066】
また、本実施の形態では、流路部32は、流路部32の一端部(第2縁16側の端部)が計量部31内に配置され、流路部32の他端部(第1縁15側の端部)が貯留部33内に配置されるように設けられており、計量部31と貯留部33とを連通させている。このため、流路部32内を内容物Cが通過することにより、計量部31で計量された内容物Cが貯留部33へ収容されるようになっている。
【0067】
この場合、内容物Cが充填されていない状態で、表面11および裏面12は、第1上縁シール部131a、第2上縁シール部132a、第1縁シール部15a、第2縁シール部16a、第3縁シール部17aおよび中間シール部19aによって接合されており、内容物Cが充填された後、下縁14がシールされ下縁シール部14aが形成される。
【0068】
また、図8に示すように、貯留部33には、開封開始部41が設けられている。開封開始部41は、包装袋10を破断させる際の破断のきっかけとなる部分である。開封開始部41は、例えば、第1縁15および第3縁17に形成されたノッチを含んでいる。このノッチは、V字型などの切り欠きや、切り込みなどである。図示された例において、V字型の切り欠きが第1縁15および第3縁17に形成されており、開封開始部41を構成している。なお、開封開始部41は、第1縁15および第3縁17のいずれか一方のみに設けられていても良い。このような開封開始部41を包装袋10に設けることにより、包装袋10において開封位置を示すことができ、使用者が包装袋10を開封する際に、包装袋10を容易に開封することができる。
【0069】
次に、本実施の形態による包装袋10の使用方法について、図9(a)-(b)および図10(a)-(b)を用いて説明する。
【0070】
まず、図9(a)に示すように、内容物Cが充填された包装袋10を準備し、使用者が開封開始部41から包装袋10を開封する。次に、使用者が開封された包装袋10を上下反転させる。これにより、図9(b)に示すように、収容部30に収容されていた内容物Cの一部が、未シール部18bを通過し、計量部31に収容される。
【0071】
次に、使用者が包装袋10を所定の方向(図9(b)の点線で示す矢印方向(反時計回り方向))に回転させる。これにより、図10(a)に示すように、計量部31に収容されていた内容物Cが、流路部32を通過し、貯留部33に収容される。これにより、仮に計量部31で計量された内容物Cの量が所望の量よりも多い場合であっても、内容物Cが包装袋10の外部に取り出されることを抑制することができる。このため、内容物Cを取り出す際に、包装袋10から内容物Cが出過ぎることを更に効果的に抑制することができる。なお、貯留部33に収容された内容物Cの量が所望の量よりも多かった場合、包装袋10を当該所定の方向とは反対方向(図10(a)の点線で示す矢印方向(反時計回り方向))に回転させることにより、流路部32および計量部31を介して収容部30に戻すことができる。
【0072】
次いで、使用者が包装袋10を所定の方向(図10(a)の一点鎖線で示す矢印方向(時計回り方向))に回転させる。これにより、図10(b)に示すように、貯留部33に収容されていた内容物Cが、包装袋10の外部に取り出される。
【0073】
以上のように本実施の形態によれば、流路部32の第1縁15側に、流路部32を通過した内容物Cが貯留される貯留部33が設けられている。このため、仮に計量部31で計量された内容物Cの量が所望の量よりも多い場合であっても、内容物Cが包装袋10の外部に取り出されることを抑制することができる。このため、内容物Cを取り出す際に、包装袋10から内容物Cが出過ぎることを更に効果的に抑制することができる。
【0074】
なお、上述の実施の形態においても、包装袋10が平パウチ型の包装袋となっている例を示したが、これに限られるものではない。例えば、本実施の形態においても、図11に示すように、1枚の積層フィルムを用いて作製された三方シール袋型の包装袋であっても良い。また、図示はしないが、包装袋10は、底部ガセット部を有するガセット袋型の包装袋であっても良い。
【0075】
次に、図12乃至図14により、本実施の形態による包装袋10の貯留部の変形例について説明する。図12乃至図14において、図8と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0076】
(第1変形例)
図12に示す包装袋10において、貯留部33に、易破断部42が設けられていている。易破断部42は、表面11および裏面12のその他の部分に比べて破断し易くなるように構成された部分である。図12において、易破断部42は、第2方向D2に沿って見た場合に開封開始部41と重なる位置に設けられている。すなわち、易破断部42は、正面視において、第1方向D1において開封開始部41を跨ぐように広がっている。また、易破断部42は、第1縁15から第3縁17に至るように第2方向に沿って延びている。この易破断部42は、表面11および裏面12に形成されていても良く、表面11および裏面12のいずれか一方に形成されていても良い。この易破断部42としては、傷痕群であっても良い。例えば傷痕群は、図13に示すように、表面11および裏面12を構成する積層フィルム11A、12Aの基材層20Aのみを貫通し、シーラント層20Bを貫通していない複数の部分貫通孔20Cを含んでいても良い。なお、図13においては、裏面12を構成する積層フィルム12Aの図示を省略している。このような易破断部42を包装袋10に設けることにより、使用者が包装袋10を破断させる際、破断が生じ易くなる。このため、包装袋10を開封する際に、包装袋10をきれい破断させることができる。なお、易破断部42が包装袋10の第1縁15から第3縁17に至るように形成される例を示したが、易破断部42は、第1方向D1に沿って見た場合に、少なくとも第1縁15および第3縁17に設けられた開封開始部41に重なるように設けられていれば良い。
【0077】
図13に示す部分貫通孔20Cが設けられた積層フィルム11A、12Aを作製する場合、例えば、まず、基材層20Aを準備する。次に、切刃を備えたロータリーダイロールなどを用いて基材層20Aを加工して、基材層20Aに貫通孔(部分貫通孔20C)を形成する。その後、貫通孔が形成された基材層20Aにシーラント層20Bを積層して、部分貫通孔20Cが形成された積層フィルム11A、12Aを作製する。なお、部分貫通孔20Cは、基材層20Aとシーラント層20Bとが積層された後に、例えばレーザー加工により形成されても良い。
【0078】
(第2変形例)
図14に示す包装袋10において、貯留部33に、再封止手段43が設けられている。図14において、再封止手段43は、開封開始部41および易破断部42よりも下方に設けられている。そして、再封止手段43は、第1縁15から第3縁17に至るように設けられている。再封止手段43としては、例えばチャックテープを用いることができる。チャックテープは、雄型部材と雌型部材とで構成されるものであり、例えば、表面11に雄型部材を取り付け、裏面12に雌型部材を取り付けることができる。そして、包装袋10を開封した後、雄型部材と雌型部材を嵌合させることにより、包装袋10を再封することができる。なお、上述の例では、再封止手段43が包装袋10の第1縁15から第3縁17に至るように形成される例を示したが、再封止手段43は、少なくとも第1縁シール部15aから第3縁シール部17aに至るように設けられていればよい。このような再封止手段43を包装袋10に設けることにより、貯留部33へ収容された内容物Cが、包装袋10の外部に不用意に取り出される不具合を抑制することができる。
【実施例
【0079】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0080】
(実施例)
基材層20Aとして、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を準備した。また、シーラント層として、ポリエチレンフィルム(厚さ60μm)を準備した。
【0081】
続いて、基材層20Aとしての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、シーラント層20Bとしてのポリエチレンフィルムとを、ドライラミネート法により積層して図3に示す積層フィルム11A、12Aを作製した。この積層フィルム11A、12Aの層構成は、以下のように表現される。
PET/PEF
「/」は層と層の境界を表している。
「PET」は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを意味する。「PEF」は、ポリエチレンフィルムを意味する(以下同様)。
【0082】
<取り出し量測定試験>
得られた積層フィルム11A、12Aのシーラント層20B同士をヒートシールして、図11に示す包装袋10を作製した。この際、下縁の幅W2(図1参照)は、60mm、第1縁15の高さH3は、220mm、第1上縁131の幅W3は、60mmとした。
【0083】
次いで、下縁14が開口した空の包装袋10内に内容物Cを充填した。次に、包装袋10の下縁14の開口部をヒートシールして、下縁シール部14aを形成した。このようにして、内容物Cが封入された包装袋10を得た。この際、内容物Cとして、いりごま、粉末ミルクココア、ふりかけ、塩、顆粒だしのそれぞれを充填した5つの包装袋10を作製した。また、充填した内容物の重量は、いりごまが40g、粉末ミルクココアが40g、ふりかけが20g、塩が50g、顆粒だしが30gとした。
【0084】
その後、図9(a)-(b)および図10(a)-(b)を用いて説明した方法により、それぞれの包装袋10から内容物Cを取り出した。この際、内容物Cの取り出しを5回ずつ行い、各々の取り出し量および取り出された内容物Cの平均重量を測定した。
【0085】
(比較例)
他方、比較例として、図15に示す包装袋100を作製した。図15に示す包装袋100は、平パウチ型の包装袋であり、表面110と裏面120とが互いに対向するように配置されている。また、包装袋100は、上縁130と、上縁130と第1方向D1において対向する下縁140と、上縁130と下縁140との間で延びる第1縁150と第2縁160とを備えている。上縁130および下縁140はそれぞれ、第2方向D2に平行に延びており、第1縁150および第2縁160はそれぞれ第1方向D1に平行に延びている。
【0086】
また、上縁130に沿って、上縁シール部130aが設けられ、第1縁150に沿って第1縁シール部150aが設けられ、第2縁160に沿って第2縁シール部160aが設けられている。表面110および裏面120は、第1縁150において第1縁シール部150aにより互いに接合され、第2縁160において第2縁シール部160aにより互いに接合されている。また、表面110および裏面120は、上縁130において上縁シール部130aにより互いに接合されている。そして包装袋100の下縁140には、開口された開口部が形成されている。さらに、包装袋100の上縁130近傍に、再封止手段430が設けられている。
【0087】
この場合、基材層として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を準備した。また、シーラント層として、ポリエチレンフィルム(厚さ40μm)を準備した。さらに、中間層として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を準備した。
【0088】
続いて、基材層としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、中間層としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとをドライラミネート法により積層して、基材層と中間層とを積層した積層体を作製した。次に、この積層体と、シーラント層としてのポリエチレンフィルムとを、溶融押出ラミネート法により積層して積層フィルムを作製した。この際、中間層としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、シーラント層としてのポリエチレンフィルムとを接着する接着樹脂層の厚みは20μmであった。この積層フィルムの層構成は、以下のように表現される。
PET/PET/PE/PEF
「PE」は、接着樹脂層としてのポリエチレンを意味する。
【0089】
<取り出し量測定試験>
得られた積層フィルムのシーラント層同士をヒートシールして、図15に示す包装袋100を作製した。この際、下縁の幅W10は、110mm、第1縁15の高さH10は、160mmとした。
【0090】
次いで、下縁14が開口した空の包装袋100内に内容物Cを充填した。次に、包装袋100の下縁140の開口部をヒートシールして、下縁シール部140a(図15の仮想線参照)を形成した。このようにして、内容物Cが封入された包装袋100を得た。この際、内容物Cとして、いりごま、塩、顆粒だしのそれぞれを充填した3つの包装袋100を作製した。また、充填した内容物Cの重量は、いりごまが40g、塩が50g、顆粒だしが30gとした。
【0091】
その後、上縁130近傍から包装袋100を開封するとともに再封止手段430を開放し、それぞれの包装袋100から内容物Cを取り出した。この際、使用者が包装袋100の略中央部を把持した状態で、包装袋100を振り、包装袋100から内容物Cを振り出した。この際、内容物Cの振り出しを10回ずつ行い、取り出された内容物Cの重量を測定し、測定された重量の平均を内容物Cの取り出し量とした。また、取り出された内容物Cを再充填しながら、上述した作業を計5回ずつ行った。そして、各々の取り出し量および取り出された内容物Cの平均重量を測定した。また、取り出し量の最大値と最小値との差(レンジ)を算出した。
【0092】
以下の結果を表1および表2に示す。表1は、実施例における取り出し量測定試験の結果を示しており、表2は、比較例における取り出し量測定試験の結果を示している。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
表2に示すように、比較例の包装袋100においては、いりごま、塩および顆粒だしの取り出し量の平均が、それぞれ3.42g、4.29g、2.92gであった。一方、表1に示すように、実施例の包装袋10においては、いりごま、塩および顆粒だしの取り出し量の平均が、それぞれ1.86g、3.58g、2.46gであった。このように、実施例による包装袋10は、比較例による包装袋100と比べて、内容物Cを取り出す際に、包装袋10から内容物Cが出過ぎることを抑制することができる。
【0096】
表2に示すように、比較例の包装袋100においては、いりごま、塩および顆粒だしのレンジが、それぞれ1.92g、2.19g、1.15gであった。一方、表1に示すように、実施例の包装袋10においては、いりごま、塩および顆粒だしの取り出し量の平均が、それぞれ0.3g、0.6g、0.5gであった。このように、実施例による包装袋10は、比較例による包装袋100と比べて、取り出し量のバラツキを抑えることができる。
【0097】
上記各実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 包装袋
11A 積層フィルム
12A 積層フィルム
13 上縁
131 第1上縁
132 第2上縁
14 下縁
15 第1縁
16 第2縁
18a シール部
30 収容部
31 計量部
32 流路部
33 貯留部
41 開封開始部
42 易破断部
43 再封止手段
C 内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15