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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20221109BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/26 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018158234
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020032745
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池之上 翔
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-203543(JP,A)
【文献】実開昭61-114705(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
B60Q 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ所定の機能の配光を照射する複数個のランプユニットを有する車両用灯具装置と、
車両に前記車両用灯具装置と隣接して装備される車両用表示装置であって、視覚認識情報を表示信号として入力して表示する表示部を有する車両用表示装置と、
複数個の前記ランプユニットにそれぞれ接続されていて、オン操作あるいはオフ操作により、オン操作信号あるいはオフ操作信号を複数個の前記ランプユニットにそれぞれ出力して、複数個の前記ランプユニットをそれぞれ点灯させあるいは消灯させる複数個のスイッチを有する操作部と、
複数個の前記スイッチと前記表示部とにそれぞれ接続されていて、複数個の前記スイッチのうちオン操作された前記スイッチから出力された前記オン操作信号を入力して、複数個の前記ランプユニットのうち点灯中の前記ランプユニットに関連する前記視覚認識情報を前記表示信号として前記表示部に出力する制御部と、
を備え
前記車両用表示装置は、
車両中心線に対して傾斜した状態で前記車両に装備され、
部屋を形成するハウジングおよびアウターレンズと、
前記部屋内に配置されていて、前記制御部から前記表示信号として入力された前記視覚認識情報を画像光として前記アウターレンズ側に出射させて表示する前記表示部と、
前記アウターレンズと前記表示部との間に配置されていて、前記表示部からの前記画像光を入射して前記車両中心線に対して平行に補正して前記アウターレンズ側に出射させるインナーレンズと、
有し、
前記表示部は、
基板と、
前記基板のうち前記インナーレンズに対向する面に縦横に実装された複数個のLEDパッケージと、
を有し、
前記インナーレンズは、
前記LEDパッケージに対して1対1で前記LEDパッケージに対向して設けられていて、前記LEDパッケージから入射した前記画像光を平行光とする複数個のコリメータ素子部と、
前記アウターレンズに対向して設けられていて、平行光の前記画像光を前記車両中心線に対して平行に補正して前記アウターレンズ側に出射させる複数個の補正素子部と、
を有する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記車両用灯具装置は、テールランプの機能の配光を照射するテールランプユニットと、ストップランプの機能の配光を照射するストップランプユニットと、ターンシグナルランプの機能の配光を照射するターンシグナルランプユニットと、バックアップランプの機能の配光を照射するバックアップランプユニットと、を有するリヤコンビネーションランプである、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記視覚認識情報は、点灯中の前記ランプユニットの発光面と一連に関連するデザインを形成する発光面、または、点灯中の前記ランプユニットの機能に関連する文字、の少なくとも一方である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用灯具装置と、車両用表示装置と、を備える車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具装置と車両用表示装置とを備える車両用灯具としては、例えば、特許文献1に示すものがある。特許文献1の車両用灯具は、ヘッドランプに求められる所定の配光性能を有する照明ユニットと、ヘッドランプの画像を表示するディスプレイと、を個別に備えるものである。画像としては、静止画や動画である。また、ディスプレイにおいては、ヘッドランプの画像と同時に、ターンシグナルランプなどの信号灯の画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-234130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の車両用灯具は、照明ユニットによりヘッドランプの配光性能が得られ、一方、ディスプレイに、ヘッドランプの画像、ターンシグナルランプなどの信号灯の画像を、表示するものである。すなわち、特許文献1の車両用灯具は、1個の照明ユニットにより得られる配光性能のランプ(ヘッドランプや信号灯)の画像をディスプレイに表示するものである。この結果、特許文献1の車両用灯具は、複数個のランプユニットのうち点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報をディスプレイに表示することができない。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、車両用灯具装置の複数個のランプユニットのうち点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報を車両用表示装置の表示部に表示することができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の車両用灯具は、それぞれ所定の機能の配光を照射する複数個のランプユニットを有する車両用灯具装置と、車両に車両用灯具装置と隣接して装備される車両用表示装置であって、視覚認識情報を表示信号として入力して表示する表示部を有する車両用表示装置と、複数個のランプユニットにそれぞれ接続されていて、オン操作あるいはオフ操作により、オン操作信号あるいはオフ操作信号を複数個のランプユニットにそれぞれ出力して、複数個のランプユニットをそれぞれ点灯させあるいは消灯させる複数個のスイッチを有する操作部と、複数個のスイッチと表示部とにそれぞれ接続されていて、複数個のスイッチのうちオン操作されたスイッチから出力されたオン操作信号を入力して、複数個のランプユニットのうち点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報を表示信号として前記表示部に出力する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
この発明の車両用灯具においては、車両用灯具装置が、テールランプの機能の配光を照射するテールランプユニットと、ストップランプの機能の配光を照射するストップランプユニットと、ターンシグナルランプの機能の配光を照射するターンシグナルランプユニットと、バックアップランプの機能の配光を照射するバックアップランプユニットと、を有するリヤコンビネーションランプである、ことが好ましい。
【0008】
この発明の車両用灯具においては、視覚認識情報が、点灯中のランプユニットの発光面と一連に関連するデザインを形成する発光面、または、点灯中のランプユニットの機能に関連する文字、の少なくとも一方である、ことが好ましい。
【0009】
この発明の車両用灯具においては、車両用表示装置が、車両中心線に対して傾斜した状態で車両に装備され、部屋を形成するハウジングおよびアウターレンズと、部屋内に配置されていて、制御部から表示信号として入力された視覚認識情報を画像光としてアウターレンズ側に出射させる表示部と、アウターレンズと表示部との間に配置されていて、表示部からの画像光を入射して車両中心線に対して平行に補正してアウターレンズ側に出射させるインナーレンズと、を有する、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用灯具においては、表示部が、基板と、基板のうちインナーレンズに対向する面に縦横に実装された複数個のLEDパッケージと、を有し、インナーレンズが、LEDパッケージに対して1対1でLEDパッケージに対向して設けられていて、LEDパッケージから入射した画像光を平行光とする複数個のコリメータ素子部と、アウターレンズに対向して設けられていて、平行光の画像光を車両中心線に対して平行に補正してアウターレンズ側に出射させる複数個の補正素子部と、を有する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明の車両用灯具は、車両用灯具装置の複数個のランプユニットのうち点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報を車両用表示装置の表示部に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態1を示す機能ブロック図である。
図2図2は、使用状態を示す説明図である。(A)は、車両の上側から下側を見た一部平面説明図である。(B)は、車両の後側から前側を見た一部正面説明図(図2(A)におけるB矢視図)である。(C)は、アウターレンズおよびインナーレンズを除いた一部拡大正面説明図(図2(B)におけるC部の拡大図)である。
図3図3は、車両用表示装置の表示部を示す一部拡大断面図であって、図2(B)におけるIII-III線拡大断面図である。
図4図4は、インナーレンズを使用しなかった場合(この発明を実施しなかった場合)の車両用表示装置の表示部を示す一部拡大断面図(図3に対応する図)である。
図5図5は、車両用灯具装置のみを示す一部正面図(図2(B)に対応する図)である。
図6図6は、テールランプユニットが点灯し、同時に、点灯中のテールランプの発光面に関連する視覚認識情報の発光面が表示されている状態を示す一部正面図(図2(B)に対応する図)である。
図7図7は、ストップランプユニットが点灯し、同時に、点灯中のストップランプの発光面に関連する視覚認識情報の発光面が表示されている状態を示す一部正面図(図2(B)に対応する図)である。
図8図8は、ターンシグナルランプユニットが点灯し、同時に、点灯中のターンシグナルランプの発光面に関連する視覚認識情報の発光面が表示されている状態を示す一部正面図(図2(B)に対応する図)である。
図9図9は、バックアップランプユニットが点灯し、同時に、点灯中のバックアップランプの発光面に関連する視覚認識情報の発光面が表示されている状態を示す一部正面図(図2(B)に対応する図)である。
図10図10は、車両用表示装置の表示部に文字による視覚認識情報を表示している状態を示す正面説明図である。(A)は、テールランプユニットが点灯し、同時に、点灯中のテールランプに関連する視覚認識情報の文字が表示されている状態の正面説明図である。(B)は、ストップランプユニットが点灯し、同時に、点灯中のストップランプに関連する視覚認識情報の文字が表示されている状態の正面説明図である。(C)は、ターンシグナルランプユニットが点灯し、同時に、点灯中のターンシグナルランプに関連する視覚認識情報の文字が表示されている状態の正面説明図である。(D)は、バックアップランプユニットが点灯し、同時に、点灯中のバックアップランプに関連する視覚認識情報のもが表示されている状態の正面説明図である。
図11図11は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態2を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)の2例を図面に基づいて詳細に説明する。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。なお、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略する。また、図3図4において、アウターレンズ、インナーレンズ、LEDパッケージの断面のハッチングを省略する。
【0014】
(実施形態1の構成の説明)
図1図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態1を示す。以下、この実施形態1にかかる車両用灯具の構成について説明する。
【0015】
(車両用灯具1の説明)
図中、符号1は、この実施形態1にかかる車両用灯具である。車両用灯具1は、図1に示すように、車両用灯具装置2と、車両用表示装置3と、操作部4と、制御部52、53と、を備える。車両用灯具装置2と車両用表示装置3とは、図2(A)、(B)に示すように、車両10の後部の左右両側にそれぞれ隣接して装備されている。
【0016】
車両10の後部の左右両側は、図2(A)に示すように、車両中心線VCに対して、車両10の中央側から左右両端側にかけて、車両10の後側から前側に湾曲している(傾斜(スラント)している)。車両10の後部の左右両端は、固定部分12であり、車両10の後部の中央は、固定部分12に対して開閉可能の可動部分13、例えば、トランクドア(バックドア)である。
【0017】
以下、車両10の後部の右側に装備される車両用灯具装置2と車両用表示装置3とについて説明する。なお、車両10の後部の左側に装備される車両用灯具装置と車両用表示装置とは、車両10の後部の右側に装備される車両用灯具装置2の構成と車両用表示装置3の構成と同一であり、かつ、左右対称であるから、説明を省略する。
【0018】
(車両用灯具装置2の説明)
車両用灯具装置2は、この例では、車両10の左右両端の固定部分12にそれぞれ装備されているリヤコンビネーションランプである。車両用灯具装置2は、図2(A)、(B)、図5図10に示すように、灯室20を形成するランプハウジング21およびランプレンズ22と、灯室20内にそれぞれ配置された複数個のランプユニット23~26と、制御部52と、を有する。ランプレンズ22の外面の意匠面は、車両10の後部の意匠面に沿って、湾曲している。
【0019】
複数個のランプユニットは、それぞれ所定の機能の配光を照射するランプユニットであって、テールランプユニット23、ストップランプユニット24、ターンシグナルランプユニット25、および、バックアップランプユニット26である。
【0020】
テールランプユニット23は、夜間や悪天候時や車両10の周囲が暗くなった時に、赤色光のテールランプ機能の配光(図示せず。以下、「テール機能の配光」と称する)を車両10の主に後側に照射して、後続車に自分の車両10(以下、「自車両10」と称する)の存在を知らせる機能を有する。
【0021】
テールランプユニット23の点灯中において、車両10の後側から車両用灯具装置2を見ると、車両用灯具装置2のランプレンズ22において、図6図10(A)に示す模様のテールランプユニット23の赤色光の発光面230(図中、斜線が施されている部分の面。以下、「テール機能の発光面230」と称する)を視認することができる。
【0022】
ストップランプユニット24は、ブレーキを作動させた時に、赤色光のストップランプ機能の配光(図示せず。以下、「ストップ機能の配光」と称する)を車両10の主に後側に照射して、後続車に自車両10が減速中(制動中、ブレーキング)を知らせる機能を有する。
【0023】
ストップランプユニット24の点灯中において、車両10の後側から車両用灯具装置2を見ると、車両用灯具装置2のランプレンズ22において、図7図10(B)に示す模様のストップランプユニット24の赤色光の発光面240(図中、斜線が施されている部分の面。以下、「ストップ機能の発光面240」と称する)を視認することができる。
【0024】
ストップランプユニット24は、テールランプユニット23を含む。すなわち、ストップランプユニット24の一部が、テールランプユニット23を構成する。この結果、ストップ機能の発光面240は、テール機能の発光面230よりも広い。また、ストップ機能の配光および発光面240の光度(照度、光量)は、テール機能の配光および発光面230の光度(照度、光量)よりも高い。
【0025】
ターンシグナルランプユニット25は、ウインカを左右折に操作した時に、アンバー色光のターンシグナルランプ機能の配光(図示せず。以下、「ターンシグナル機能の配光」)を車両10の主に後側に照射して、後続車に自車両10が左右折を行うことを事前に知らせる機能を有する。
【0026】
ターンシグナルランプユニット25の点灯中において、車両10の後側から車両用灯具装置2を見ると、車両用灯具装置2のランプレンズ22において、図8図10(C)に示す模様のターンシグナルランプユニット25のアンバー色光の発光面250(図中、斜線が施されている部分の面。以下、「ターンシグナル機能の発光面250」と称する)を視認することができる。
【0027】
なお、ターンシグナルランプユニット25は、ハザードランプユニットの一部を構成する。すなわち、車両10の前後左右のターンシグナルランプユニット25が、全部一斉に点滅点灯することにより、ハザードランプユニットとなる。
【0028】
バックアップランプユニット26は、シフトレバーを後退に操作した時に、白色光のバックアップランプ機能の配光(図示せず。以下、「バックアップ機能の配光」)を車両10の主に後側に照射して、後続車に自車両10が後退中(バック中)を知らせる機能と後方の安全確認の機能とを有する。
【0029】
バックアップランプユニット26の点灯中において、車両10の後側から車両用灯具装置2を見ると、車両用灯具装置2のランプレンズ22において、図9図10(D)に示す模様のバックアップランプユニット26の白色光の発光面260(図中、斜線が施されている部分の面。以下、「バックアップ機能の発光面260」と称する)を視認することができる。
【0030】
(車両用表示装置3の説明)
車両用表示装置3は、この例では、車両10の中央の可動部分13の左右両端に、車両用灯具装置2と隣接して、それぞれ装備されている。車両用表示装置3は、図2図3図6図10に示すように、部屋30を形成するハウジング31およびアウターレンズ32と、部屋30内にそれぞれ配置された表示部33およびインナーレンズ34と、制御部53と、を有する。
【0031】
車両用表示装置3は、車両中心線VCに対して、車両10の後部の左右両側に沿って、傾斜した状態で車両10に装備される。すなわち、ハウジング31、アウターレンズ32、表示部33およびインナーレンズ34が、車両中心線VCに対して、角度θ傾斜している。この例では、アウターレンズ32の外面が車両中心線VCに対して約110°傾斜している。また、アウターレンズ32の外面の意匠面は、車両10の後部の意匠面に沿って、湾曲している。さらに、アウターレンズ32は、素通しのレンズである。
【0032】
表示部33は、視覚認識情報60~67を表示信号として入力して表示する。すなわち、表示部33は、制御部53から表示信号として入力された視覚認識情報60~67を画像光A(図3中の実線矢印を参照)としてインナーレンズ34およびアウターレンズ32側に出射させる。視覚認識情報60~67の画像光Aは、アウターレンズ32から車両10の主に後側に照射される。
【0033】
この時、車両10の後側から車両用表示装置3を見ると、車両用表示装置3のアウターレンズ32において、画像光Aによって視覚認識情報60~67を視認することができる。視覚認識情報60~67は、複数個のランプユニット23~26のうち点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報である。
【0034】
(視覚認識情報60~67の説明)
テールランプユニット23に関連する視覚認識情報(以下、「テール機能の視覚認識情報」と称する)は、図6に示す模様の赤色光の発光面(図中、斜線が施されている部分の面)としての視覚認識情報60、また、図10(A)に示す「点灯中」の文字としての視覚認識情報61である。
【0035】
ここで、テール機能の視覚認識情報60の発光面は、点灯中のテールランプユニット23のテール機能の発光面230と一連に関連するデザインを形成する。また、テール機能の視覚認識情報61の文字「点灯中」は、点灯中のテールランプユニット23のテール機能に関連する。
【0036】
ストップランプユニット24に関連する視覚認識情報(以下、「ストップ機能の視覚認識情報」と称する)は、図7に示す模様の赤色光の発光面(図中、斜線が施されている部分の面)としての視覚認識情報62、また、図10(B)に示す「停車します」の文字としての視覚認識情報63である。
【0037】
ここで、ストップ機能の視覚認識情報62の発光面は、点灯中のストップランプユニット24のストップ機能の発光面240と一連に関連するデザインを形成する。また、ストップ機能の視覚認識情報63の文字「停車します」は、点灯中のストップランプユニット24のストップ機能に関連する。
【0038】
ストップ機能の視覚認識情報62の発光面は、テール機能の視覚認識情報60の発光面を含む。すなわち、ストップ機能の視覚認識情報62の発光面の一部が、テール機能の視覚認識情報60の発光面を構成する。この結果、ストップ機能の視覚認識情報62の発光面は、テール機能の視覚認識情報60の発光面よりも広い。また、ストップ機能の視覚認識情報62の発光面の光度(照度、光量)は、テール機能の視覚認識情報60の発光面の光度(照度、光量)よりも高い。
【0039】
ターンシグナルランプユニット25に関連する視覚認識情報(以下、「ターンシグナル機能の視覚認識情報」と称する)は、図8に示す4個の矢印模様のアンバー色光の発光面(図中、斜線が施されている部分の面)としての視覚認識情報64、また、図10(C)に示す「右折します」の文字としての視覚認識情報65である。
【0040】
ここで、ターンシグナル機能の視覚認識情報64の4個の矢印模様の発光面は、点灯中のターンシグナルランプユニット25のターンシグナル機能の発光面250と一連に関連するデザインを形成する。また、ターンシグナル機能の視覚認識情報65の文字「右折します」は、点灯中のターンシグナルランプユニット25のターンシグナル機能に関連する。
【0041】
ターンシグナル機能の視覚認識情報64の4個の矢印模様は、一斉に点滅点灯するものであっても良いし、左側から右側に順次点灯・消灯するものであっても良い。なお、この例は、車両10の後部の右側に装備される車両用表示装置3について説明するものであるから、車両10の後部の左側に装備される車両用表示装置の場合においては、4個の矢印模様が右側から左側に順次点灯・消灯するものである。
【0042】
バックアップランプユニット26に関連する視覚認識情報(以下、「バックアップ機能の視覚認識情報」と称する)は、図9に示す白色光の発光面(図中、斜線が施されている部分の面)としての視覚認識情報66、また、図10(D)に示す「バックします」の文字としての視覚認識情報67である。
【0043】
ここで、バックアップ機能の視覚認識情報66の発光面は、点灯中のバックアップランプユニット26のバックアップ機能の発光面260と一連に関連するデザインを形成する。また、バックアップ機能の視覚認識情報67の文字「バックします」は、点灯中のバックアップランプユニット26のバックアップ機能に関連する。
【0044】
なお、視覚認識情報60、62、64、66の発光面のデザインは、図6図9に示す以外の発光面のデザインであっても良い。また、視覚認識情報61、63、65、67の文字は、図10(A)~(D)に示す以外の文字であっても良い。例えば、「点灯中」は、「先行車有」など。「停車します」は、「減速中」、「制動中」、「ブレーキング」など。「右折します」は、「右折中」、「右に曲がります」など。左折時は、「右」が「左」に代わる。「バックします」は、「バック中」「後退します」、「後退中」など。
【0045】
また、車両10の前後左右のターンシグナルランプユニット25が全部一斉に点滅点灯するハザードランプユニットの場合においては、図8に示す視覚認識情報64の発光面のデザインでも良いし、その他の発光面のデザインでも良い。視覚認識情報の文字としては、「渋滞中です」、「ありがとうございます」、「サンキュー」などである。
【0046】
(表示部33の説明)
表示部33は、基板35と、複数個のLEDパッケージ36と、を有する。複数個のLEDパッケージ36は、基板35のうちインナーレンズ34に対向する面に縦横に実装されている。LEDパッケージ36は、この例では、平面形状が正方形形状のホルダと、そのホルダに実装されたRGBの3個の発光素子(LEDチップ)と、その3個の発光素子を覆う光透過性の封止材と、を有する。
【0047】
基板35には、複数個のLEDパッケージ36の3個の発光素子の駆動を制御する駆動制御回路や配線回路などが設けられている。基板35の回路と複数個のLEDパッケージ36の3個の発光素子とは、電気的に接続されている。これにより、制御部53から入力された表示信号に基づいて、基板35の駆動制御回路を介して、複数個のLEDパッケージ36の3個の発光素子の駆動が制御される。その結果、視覚認識情報60~67が画像光Aとしてインナーレンズ34およびアウターレンズ32側に出射する。
【0048】
(インナーレンズ34の説明)
インナーレンズ34は、アウターレンズ32と表示部33との間に配置されていて、表示部33からの画像光Aを入射して車両中心線VCに対して平行に補正してアウターレンズ32側に出射させる。インナーレンズ34は、複数個のコリメータ素子部37と、複数個の補正素子部38と、を有する。
【0049】
複数個のコリメータ素子部37は、この例では、凸球面の一部からなる。複数個のコリメータ素子部37は、複数個のLEDパッケージ36に対して1対1でLEDパッケージ36に対向して設けられている。複数個のコリメータ素子部37は、複数個のLEDパッケージ36から入射した画像光Aを平行光とする。コリメータ素子部37の単一の焦点Fは、3個の発光素子の発光面の中央近傍に位置する。
【0050】
複数個の補正素子部38は、この例では、いわゆる三角プリズム素子部からなる。複数個の補正素子部38は、アウターレンズ32に対向して設けられていて、平行光の画像光Aを車両中心線VCに対して平行に補正してアウターレンズ32側に出射させる。
【0051】
(操作部4の説明)
操作部4は、この例では、ランプスイッチ(図示せず)と、ブレーキスイッチ(図示せず)と、ウインカスイッチ(図示せず)と、シフトポジションスイッチ(図示せず)と、を有する。操作部4の複数個のスイッチは、複数個のランプユニット23~26にそれぞれ接続されていて、オン操作あるいはオフ操作(以下、「オン・オフ操作」と称する)により、オン操作信号あるいはオフ操作信号(以下、「オン・オフ操作信号」と称する。図示せず)を複数個のランプユニット23~26にそれぞれ出力して、複数個のランプユニット23~26をそれぞれ点灯させあるいは消灯させる(以下、「点灯・消灯させる」と称する)。
【0052】
ランプスイッチは、車両用灯具装置2の制御部52を介してテールランプユニット23に接続されている。ランプスイッチは、オン・オフ操作により、オン・オフ操作信号をテールランプユニット23に出力して、テールランプユニット23を点灯・消灯させる。ランプスイッチのオン・オフ操作は、手動もしくは自動的に行われる。
【0053】
ブレーキスイッチは、車両用灯具装置2の制御部52を介してストップランプユニット24に接続されている。ブレーキスイッチは、オン・オフ操作により、オン・オフ操作信号をストップランプユニット24に出力して、ストップランプユニット24を点灯・消灯させる。ブレーキスイッチのオン・オフ操作は、ブレーキの作動と連動して行われる。
【0054】
ウインカスイッチは、車両用灯具装置2の制御部52を介してターンシグナルランプユニット25に接続されている。ウインカスイッチは、オン・オフ操作により、オン・オフ操作信号をターンシグナルランプユニット25に出力して、ターンシグナルランプユニット25を点滅点灯・消灯させる。ウインカスイッチのオン・オフ操作は、ウインカの左右折の操作と連動して行われる。
【0055】
シフトポジションスイッチは、車両用灯具装置2の制御部52を介してバックアップランプユニット26に接続されている。シフトポジションスイッチは、オン・オフ操作により、オン・オフ操作信号をバックアップランプユニット26に出力して、バックアップランプユニット26を点灯・消灯させる。シフトポジションスイッチのオン・オフ操作は、シフトレバーの操作と連動して行われる。
【0056】
(制御部52、53の説明)
車両用灯具装置2の制御部52は、操作部4の複数個のスイッチと複数個のランプユニット23~26とにそれぞれ接続されている。車両用灯具装置2の制御部52は、操作部4の各スイッチのオン・オフ操作信号に基づいて、各ランプユニット23~26の点灯・消灯の制御を行う。
【0057】
車両用表示装置3の制御部53は、操作部4の複数個のスイッチと表示部33とにそれぞれ接続されている。車両用表示装置3の制御部53は、複数個のスイッチのうちオン操作されたスイッチから出力されたオン操作信号を入力して、複数個のランプユニット23~26のうち点灯中のランプユニットに関連する各視覚認識情報60~67を表示する表示信号を表示部33に出力する。
【0058】
車両用表示装置3の制御部53は、識別選択部54と、記憶部55と、を有する。記憶部55は、各視覚認識情報60~67の電子データが記憶されている。識別選択部54は、オン操作されたスイッチからのオン操作信号を入力して、複数個のランプユニット23~26の中から点灯中のランプユニットを識別する。
【0059】
識別選択部54は、識別した点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報を記憶部55に記憶されている複数個の視覚認識情報60~67の電子データの中から選択する。そして、識別選択部54は、選択した視覚認識情報の電子データを表示信号として車両用表示装置3の表示部33に出力する。この結果、表示部33は、複数個のランプユニット23~26のうち点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報を表示する。
【0060】
また、識別選択部54は、オン操作状態にあるスイッチがオフ操作されると、そのオフ操作されたスイッチからのオフ操作信号を入力して、表示信号の表示部33への出力を停止させる。この結果、表示部33において表示されていた視覚認識情報の表示が消える。
【0061】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0062】
(全てのランプユニット23~26の消灯状態の説明)
操作部4の複数個のスイッチが全てオフ操作の場合は、図2(B)に示すように、車両用灯具装置2の複数個のランプユニット23~26が全て消灯状態にあり、車両用表示装置3においては視覚認識情報60~67が表示されていない。
【0063】
(テールランプユニット23の点灯状態の説明)
夜間や悪天候時や車両10の周囲が暗くなった時に、操作部4のランプスイッチがオンされる。すると、ランプスイッチのオン操作信号が車両用灯具装置2の制御部52に入力され、車両用灯具装置2のテールランプユニット23が点灯し、テールランプユニット23からテール機能の配光が照射される。これにより、図6図10(A)に示すように、車両用灯具装置2において、テール機能の発光面230を視認することができる。
【0064】
それと同時に、ランプスイッチのオン操作信号が車両用表示装置3の制御部53の識別選択部54に入力される。識別選択部54は、点灯中のテールランプユニット23に関連する視覚認識情報60、61を、記憶部55から選択して表示信号として表示部33に出力する。表示部33は、制御部53から入力された表示信号に基づいてテール機能の視覚認識情報60、61を表示する。これにより、図6図10(A)に示すように、車両用表示装置3において、テール機能の視覚認識情報60の発光面、また、テール機能の視覚認識情報61の文字「点灯中」、を視認することができる。
【0065】
ランプスイッチがオフされると、テールランプユニット23が消灯して車両用灯具装置2におけるテール機能の発光面230が消える。同時に、車両用表示装置3の表示部33におけるテール機能の視覚認識情報60、61の表示が消える。
【0066】
(ストップランプユニット24の点灯状態の説明)
また、車両10を減速させるために、ブレーキを作動させることにより、操作部4のブレーキスイッチがオンされる。すると、ブレーキスイッチのオン操作信号が車両用灯具装置2の制御部52に入力され、車両用灯具装置2のストップランプユニット24が点灯し、ストップランプユニット24からストップ機能の配光が照射される。これにより、図7図10(B)に示すように、車両用灯具装置2において、ストップ機能の発光面240を視認することができる。
【0067】
この時、テールランプユニット23が点灯中の場合、テールランプユニット23から照射されるテール機能の配光は、ストップランプユニット24から照射されるストップ機能の配光中に含まれる。また、テール機能の発光面230は、ストップ機能の発光面240中に含まれる。
【0068】
それと同時に、ブレーキスイッチのオン操作信号が車両用表示装置3の制御部53の識別選択部54に入力される。識別選択部54は、点灯中のストップランプユニット24に関連する視覚認識情報62、63を、記憶部55から選択して表示信号として表示部33に出力する。表示部33は、制御部53から入力された表示信号に基づいてストップ機能の視覚認識情報62、63を表示する。これにより、図7図10(B)に示すように、車両用表示装置3において、ストップ機能の視覚認識情報62の発光面、また、ストップ機能の視覚認識情報62の文字「停車します」、を視認することができる。
【0069】
この時、テール機能の視覚認識情報60の発光面が表示部33において表示されている場合、テール機能の視覚認識情報60の発光面は、ストップ機能の視覚認識情報62の発光面中に含まれる。また、テール機能の視覚認識情報61の文字「点灯中」が表示部33において表示されている場合、テール機能の視覚認識情報61の文字「点灯中」は、ストップ機能の視覚認識情報63の文字「停車します」に切り替わる。
【0070】
ブレーキスイッチがオフされると、ストップランプユニット24が消灯して車両用灯具装置2におけるストップ機能の発光面240が消える。同時に、車両用表示装置3の表示部33におけるストップ機能の視覚認識情報62、63の表示が消える。この時、ランプスイッチがオンの場合、ストップ機能の配光からテール機能の配光に切り替わり、ストップ機能の発光面240からテール機能の発光面230に切り替わる。同時に、車両用表示装置3の表示部33における表示がストップ機能の視覚認識情報62、63からテール機能の視覚認識情報60、61に切り替わる。
【0071】
(ターンシグナルランプユニット25の点灯状態の説明)
車両10を左右折させるために、ウインカを左右折に操作することにより、操作部4のウインカスイッチがオンされる。すると、ウインカスイッチのオン操作信号が車両用灯具装置2の制御部52に入力され、車両用灯具装置2のターンシグナルランプユニット25が点滅点灯し、ターンシグナルランプユニット25からターンシグナル機能の配光が照射される。これにより、図8図10(C)に示すように、車両用灯具装置2において、ターンシグナル機能の発光面250を視認することができる。
【0072】
この時、テールランプユニット23またはストップランプユニット24が点灯中の場合、テールランプユニット23から照射されるテール機能の配光またはストップランプユニット24から照射されるストップ機能の配光は、ターンシグナルランプユニット25から照射されるターンシグナル機能の配光と共に照射される。
【0073】
それと同時に、ウインカスイッチのオン操作信号が車両用表示装置3の制御部53の識別選択部54に入力される。識別選択部54は、点灯中のターンシグナルランプユニット25に関連する視覚認識情報64、65を、記憶部55から選択して表示信号として表示部33に出力する。表示部33は、制御部53から入力された表示信号に基づいてターンシグナル機能の視覚認識情報64、65を表示する。これにより、図8図10(C)に示すように、車両用表示装置3において、ターンシグナル機能の視覚認識情報64の発光面、また、ターンシグナル機能の視覚認識情報65の文字「右折します」、を視認することができる。
【0074】
この時、テール機能の視覚認識情報60の発光面またはストップ機能の視覚認識情報62の発光面が表示部33において表示されている場合、テール機能の視覚認識情報60の発光面またはストップ機能の視覚認識情報62の発光面は、ターンシグナル機能の視覚認識情報64の発光面に切り替わる。また、テール機能の視覚認識情報61の文字「点灯中」またはストップ機能の視覚認識情報63の文字「停車します」が表示部33において表示されている場合、テール機能の視覚認識情報61の文字「点灯中」またはストップ機能の視覚認識情報63の文字「停車します」は、ターンシグナル機能の視覚認識情報65の文字「右折します」に切り替わる。
【0075】
ウインカスイッチがオフされると、ターンシグナルランプユニット25が消灯して車両用灯具装置2におけるターンシグナル機能の発光面250が消える。同時に、車両用表示装置3の表示部33におけるターンシグナル機能の視覚認識情報64、65の表示が消える。この時、ランプスイッチまたはブレーキスイッチがオンの場合、ターンシグナル機能の配光からテール機能の配光またはストップ機能の配光に切り替わり、ターンシグナル機能の発光面250からテール機能の発光面230またはストップ機能の発光面240に切り替わる。同時に、車両用表示装置3の表示部33における表示がターンシグナル機能の視覚認識情報64、65からテール機能の視覚認識情報60、61またはストップ機能の視覚認識情報62、63に切り替わる。
【0076】
(バックアップランプユニット26の点灯状態の説明)
さらにまた、車両10を後退させるために、シフトレバーを後退に操作させることにより、操作部4のシフトポジションスイッチがオンされる。すると、シフトポジションスイッチのオン操作信号が車両用灯具装置2の制御部52に入力され、車両用灯具装置2のバックアップランプユニット26が点灯し、バックアップランプユニット26からバックアップ機能の配光が照射される。これにより、図9図10(D)に示すように、車両用灯具装置2において、バックアップ機能の発光面260を視認することができる。
【0077】
この時、テールランプユニット23またはターンシグナルランプユニット25が点灯中の場合、テールランプユニット23から照射されるテール機能の配光またはターンシグナルランプユニット25から照射されるターンシグナル機能の配光は、バックアップランプユニット26から照射されるバックアップ機能の配光と共に照射される。
【0078】
それと同時に、シフトポジションスイッチのオン操作信号が車両用表示装置3の制御部53の識別選択部54に入力される。識別選択部54は、点灯中のバックアップランプユニット26に関連する視覚認識情報66、67を、記憶部55から選択して表示信号として表示部33に出力する。表示部33は、制御部53から入力された表示信号に基づいてバックアップ機能の視覚認識情報66、67を表示する。これにより、図9図10(D)に示すように、車両用表示装置3において、バックアップ機能の視覚認識情報66の発光面、また、視覚認識情報67の文字「バックします」、を視認することができる。
【0079】
この時、テール機能の視覚認識情報60の発光面またはターンシグナル機能の視覚認識情報64の発光面が表示部33において表示されている場合、テール機能の視覚認識情報60の発光面またはターンシグナル機能の視覚認識情報64の発光面は、バックアップ機能の視覚認識情報66の発光面に切り替わる。また、テール機能の視覚認識情報61の文字「点灯中」またはターンシグナル機能の視覚認識情報65の文字「右折します」が表示部33において表示されている場合、テール機能の視覚認識情報61の文字「点灯中」またはターンシグナル機能の視覚認識情報65の文字「右折します」は、バックアップ機能の視覚認識情報67の文字「バックします」に切り替わる。
【0080】
シフトポジションスイッチがオフされると、バックアップランプユニット26が消灯して車両用灯具装置2におけるバックアップ機能の発光面260が消える。同時に、車両用表示装置3の表示部33におけるバックアップ機能の視覚認識情報66、67の表示が消える。この時、ランプスイッチまたはウインカスイッチがオンの場合、バックアップ機能の配光からテール機能の配光またはターンシグナル機能の配光に切り替わり、バックアップ機能の発光面260からテール機能の発光面230またはターンシグナル機能の発光面250に切り替わる。同時に、車両用表示装置3の表示部33における表示がバックアップ機能の視覚認識情報66、67からテール機能の視覚認識情報60、61またはターンシグナル機能の視覚認識情報64、65に切り替わる。
【0081】
なお、図6図9に示す発光面の視覚認識情報60、62、64、66と、図10(A)~(D)に示す文字の視覚認識情報61、63、65、67とは、それぞれ別個に表示させても良いし、または、交互に順次表示させても良い。
【0082】
(表示部33における視覚認識情報60~67の表示状態の説明)
車両用表示装置3の表示部33は、車両用表示装置3の制御部53の識別選択部54から出力される表示信号に基づいて、各視覚認識情報60~67を表示する。すなわち、図2(C)、図3に示すように、表示部33の縦横に多数個配置されたLEDパッケージ36のうち、表示信号により、所定のLEDパッケージ36の発光素子が発光して、画像光Aが発散光として出射する。この発散光の画像光Aは、車両用表示装置3のインナーレンズ34のコリメータ素子部37(LEDパッケージ36と1対1で対向するコリメータ素子部37)からインナーレンズ34中に入射する。この時、画像光Aは、発散光から平行光となる。
【0083】
インナーレンズ34中に平行光として入射した画像光Aは、インナーレンズ34の補正素子部38から、車両中心線VCに対して平行に補正されてアウターレンズ32側に出射する。インナーレンズ34から出射した画像光Aは、アウターレンズ32をそのまま透過して外部すなわち車両10の主に後方に照射される。これにより、図2(A)、図3中の白抜き矢印に示すように、車両中心線VCに対して平行に、車両10の後方から表示部33を見る。すると、表示部33において表示されている各視覚認識情報60~67を視覚的に認識することができる。
【0084】
しかも、白抜き矢印の見る方向と、アウターレンズ32からの画像光Aの出射方向とは、共に、車両中心線VCに対して平行である。この結果、後続車のドライバーや歩行者が車両用表示装置3を、白抜き矢印の方向から見ると、アウターレンズ32から出射される画像光Aのうち高光度(高輝度、高照度、高光量)の部分を視認することができる。
【0085】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0086】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用灯具装置2の複数個のランプユニット23~26のうち点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報60~67を車両用表示装置3の表示部33に表示することができる。
【0087】
すなわち、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、複数個のランプユニット23~26を有する車両用灯具装置2と、表示部33を有する車両用表示装置3と、複数個のスイッチ(図示せず)を有する操作部4と、視覚認識情報60~67を表示信号として表示部33に出力する制御部53と、を備えるものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、複数個のスイッチのうちあるスイッチがオン操作されると、複数個のランプユニット23~26のうちオン操作されたスイッチに接続されているランプユニットが点灯し、そのランプユニットから所定の機能の配光が照射される。それと同時に、オン操作されたスイッチからのオン操作信号が制御部53に入力されて、制御部53が点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報を表示信号として表示部33に出力する。これにより、表示部33において点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報が表示される。
【0088】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、複数個のランプユニット23~26を有する車両用灯具装置2と表示部33を有する車両用表示装置3とが隣接して車両10に装備されるものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、図6図10に示すように、車両用灯具装置2における点灯中のランプユニット23~26の発光面230、240、250、260と、車両用表示装置3における表示中の視覚認識情報60~67の発光面および文字とが、隣り合わせに連なる。これにより、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、点灯中のランプユニット23~26の機能を一目で視覚的に認識することができ、被視認性が向上され、交通安全に貢献することができる。
【0089】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用灯具装置2がリヤコンビネーションランプであって、テールランプユニット23と、ストップランプユニット24と、ターンシグナルランプユニット25と、バックアップランプユニット26と、を有するものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用灯具装置2としてのリヤコンビネーションランプの複数個のランプユニット23~26のうち、点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報60~67を、車両用表示装置3の表示部33に表示することができる。これにより、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用灯具装置2として、複数個のランプユニット23~26を有するリヤコンビネーションランプに最適である。
【0090】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、視覚認識情報60~67が、点灯中のランプユニット23~26の発光面230、240、250、260と一連に関連するデザインを形成する発光面と、点灯中のランプユニット23~26の機能に関連する文字である。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用表示装置3の表示部33において表示される視覚認識情報60~67を視覚的に捉えることにより、車両用灯具装置2の複数個のランプユニット23~26のうち、点灯中のランプユニットの機能を、補助的に認識することができる。これにより、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、交通安全に貢献することができる。
【0091】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、図3に示すように、アウターレンズ32と表示部33との間に、表示部33からの画像光Aを車両中心線VCに対して平行に補正するインナーレンズ34を、配置するものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用表示装置3を、車両10の意匠面に合わせて、車両中心線VCに対して傾斜した状態で車両10に装備したとしても、画像光Aをインナーレンズ34を経てアウターレンズ32から車両中心線VCに対して平行に出射させることができる。
【0092】
これにより、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、図3中の白抜き矢印に示すように、後続車のドライバーや歩行者が車両10の後側から車両用表示装置3を見ると、車両用表示装置3を見る方向と、画像光Aのアウターレンズ32からの出射方向とが、共に、車両中心線VCに対して平行である。従って、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、アウターレンズ32から出射される画像光Aが高光度(高輝度、高照度、高光量)であり、車両用表示装置3において表示される視覚認識情報60~67の被視認性が向上される。
【0093】
また、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、図3に示すように、車両用表示装置3の構成部品のハウジング31およびアウターレンズ32と、表示部33と、インナーレンズ34とを、相互に平行に配列することができる。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用表示装置3のハウジング31からアウターレンズ32までの車両中心線VC方向の寸法Tを小さくすることができる。
【0094】
ここで、インナーレンズ34を配置しなかった場合、すなわち、この発明を実施しなかった場合の第1車両用表示装置301および第2車両用表示装置302について、図4を参照して説明する。なお、図4中において、図3と同符号は、同一の物を示す。
【0095】
第1車両用表示装置301は、ハウジング31およびアウターレンズ32と、表示部33とを、車両10の意匠面に合わせて、車両中心線VCに対して傾斜した状態で車両10に装備するものである。この結果、第1車両用表示装置301は、構成部品のハウジング31およびアウターレンズ32と、表示部33とを、相互に平行に配列することができるので、ハウジング31からアウターレンズ32までの車両中心線VC方向の寸法T1を小さくすることができる。
【0096】
しかしながら、第1車両用表示装置301は、表示部33からの画像光A1をアウターレンズ32から車両中心線VCに対して傾斜させて出射させるものである。この結果、第1車両用表示装置301は、図4中の白抜き矢印に示すように、車両10の後側から見ると、第1車両用表示装置301を見る方向と、画像光A1のアウターレンズ32からの出射方向とが、車両中心線VCに対して交差している。これにより、第1車両用表示装置301は、アウターレンズ32から出射される画像光A1の光度(照度、光量)が車両中心線VCに対して平行に出射される図4中の画像光A2および図3中の画像光Aと比較して低く、視覚認識情報60~67の被視認性が低下する傾向にある。
【0097】
第2車両用表示装置302は、表示部33からの画像光A2をアウターレンズ32から車両中心線VCに対して平行に出射させるものである。この結果、第2車両用表示装置302は、図4中の白抜き矢印に示すように、車両10の後側から見ると、第2車両用表示装置302を見る方向と、画像光A2のアウターレンズ32からの出射方向とが、共に、車両中心線VCに対して平行である。これにより、第2車両用表示装置302は、アウターレンズ32から出射される画像光A2が高光度(高輝度、高照度、高光量)であり、視覚認識情報60~67の被視認性が向上される。
【0098】
しかしながら、第2車両用表示装置302は、アウターレンズ32を車両10の意匠面に合わせて車両中心線VCに対して傾斜した状態で、一方、ハウジング31と、表示部33とを、車両10の意匠面に合わせずに、車両中心線VCに対して垂直な状態で、それぞれ、車両10に装備するものである。この結果、第2車両用表示装置302は、構成部品のアウターレンズ32と、ハウジング31および表示部33とが相互に傾斜した状態で配列されるので、ハウジング31からアウターレンズ32までの車両中心線VC方向の寸法T2が大きくなる傾向にある。
【0099】
第1車両用表示装置301および第2車両用表示装置302に対して、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、前記の通り、アウターレンズ32から出射される画像光Aが高光度(高輝度、高照度、高光量)であり、視覚認識情報60~67の被視認性が向上され、また、ハウジング31からアウターレンズ32までの車両中心線VC方向の寸法Tを小さくすることができる。なお、この実施形態1にかかる車両用灯具1の寸法Tは、インナーレンズ34を配置するので、第1車両用表示装置301の寸法T1よりも大きいが、第2車両用表示装置302の寸法T2よりも小さい。
【0100】
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用表示装置3として、基板35に複数個のLEDパッケージ36を縦横に実装し、インナーレンズ34に複数個のコリメータ素子部37を、LEDパッケージ36に対して1対1でLEDパッケージ36に対向して設けたものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用表示装置3において、1個のLEDパッケージ36のRGBの3個の発光素子から放射される赤色光、緑色光、青色光が、それぞれ、1個のコリメータ素子部37を経てインナーレンズ34中に入射し、かつ、補正素子部38を経てインナーレンズ34からアウターレンズ32側に出射する。これにより、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用表示装置3において、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ狙った光路に沿ってアウターレンズ32から外部に出射させることができるので、表示部33で表示された視覚認識情報60~67を色が異なることなく(変化することなく)表示させることができる。従って、この実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用表示装置3において、配光や発光面の色が機能毎に規定されている車両用として最適である。
【0101】
(実施形態2の構成、作用、効果の説明)
図11は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態2を示す。以下、この実施形態2にかかる車両用灯具100の構成、作用、効果について説明する。図中、図1図10と同符号は、同一物を示す。
【0102】
前記の実施形態1にかかる車両用灯具1は、車両用灯具装置2の制御部52と車両用表示装置3の制御部53とをそれぞれ別個に設けたものである。これに対して、この実施形態2にかかる車両用灯具100は、車両用灯具装置2の制御部と車両用表示装置3の制御部とを1個の制御部50にまとめたものである。
【0103】
1個の制御部50は、操作部4の複数個のスイッチ(図示せず)と、車両用灯具装置2の複数個のランプユニット23~26と、車両用表示装置3の表示部33とに、それぞれ接続されている。1個の制御部50は、前記の実施形態1の車両用灯具装置2の制御部52および車両用表示装置3の制御部53と、同様の構成をなす。すなわち、車両用表示装置3の制御部53の識別選択部54および記憶部55と、同様の構成を有する。なお、制御部50、52、53は、ECUであり、また、1個の制御部50の場合は、車両10に搭載されている1個のCPUなどに組み込んでも良い。
【0104】
この実施形態2にかかる車両用灯具100は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施形態1にかかる車両用灯具1と同様の作用、効果を達成することができる。
【0105】
(実施形態1、2以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、2においては、車両用灯具装置2としてリヤコンビネーションランプについて説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用灯具装置として、リヤコンビネーションランプ以外、例えば、フロントコンビネーションランプなどであっても良い。すなわち、ランプユニットとして、テールランプユニット23、ストップランプユニット24、ターンシグナルランプユニット25、バックアップランプユニット26以外のランプユニットであっても良い。たとえば、ヘッドランプユニット、フォグランプユニット、デイタイムランニングランプユニット、クリアランスランプユニット、リヤフォグランプユニットなどである。
【0106】
また、前記の実施形態1、2においては、車両用表示装置3において表示する視覚認識情報60~67が点灯中のランプユニットに関連する視覚認識情報である。しかしながら、この発明においては、車両用表示装置3において表示する視覚認識情報が点灯中のランプユニットに関連する以外の視覚認識情報であっても良い。たとえば、ガソリンの供給量を示すイラスト、電気自動車のバッテリーへの充電量を示すイラスト、キーレスのドアロックとドアアンロックのイラストなど。また、後続車からのハイビーム(走行用配光パターン)がまぶしい時の文字「眩しいです」、「ハイビームが照射されています」などであっても良い。すなわち、視覚認識情報は、点灯中のランプユニットに関連する機能を示すコミュニケーションシグナルである。
【0107】
なお、この発明は、前記の実施形態1により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0108】
1、100 車両用灯具
10 車両
12 固定部分
13 可動部分
2 車両用灯具装置
20 灯室
21 ランプハウジング
22 ランプレンズ
23 テールランプユニット
24 ストップランプユニット
25 ターンシグナルランプユニット
26 バックアップランプユニット
230 テール機能の発光面
240 ストップ機能の発光面
250 ターンシグナル機能の発光面
260 バックアップ機能の発光面
3 車両用表示装置
30 部屋
31 ハウジング
32 アウターレンズ
33 表示部
34 インナーレンズ
35 基板
36 LEDパッケージ
37 コリメータ素子部
38 補正素子部
301 第1車両用表示装置
302 第2車両用表示装置
4 操作部
50、52、53 制御部
54 識別選択部
55 記憶部
60,61、62、63、64、65、66、67 視覚認識情報
A、A1、A2 画像光
F 焦点
T、T1、T2 寸法
VC 車両中心線
θ 角度

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11