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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】自動二輪車
(51)【国際特許分類】
   B62M 7/02 20060101AFI20221109BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20221109BHJP
   B62J 25/06 20200101ALI20221109BHJP
【FI】
B62M7/02 J
F01N3/28 301V
B62J25/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018160730
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020032851
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100161953
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 敬直
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 翔太
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 昇吾
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-183652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0121707(US,A1)
【文献】特開2007-23802(JP,A)
【文献】特開2017-197103(JP,A)
【文献】実開昭50-32749(JP,U)
【文献】特開2006-281858(JP,A)
【文献】特開2017-114394(JP,A)
【文献】特開2010-23732(JP,A)
【文献】特開2007-8442(JP,A)
【文献】中国実用新案第201461054(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 7/02
F01N 3/28
B62J 25/04- 25/06
B62J 23/00
B62K 1/00- 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンからの排気ガスが流入する消音器と、
前記エンジンの排気口と前記消音器を接続する排気管と、
前記排気管内に設けられ、前記エンジンの前方に配置される触媒と、
少なくとも一部が前記エンジンよりも前方に配置されるフートレスト及びブレーキペダルと、
前記フートレストが取り付けられるフートレストブラケットと、
前記フートレストブラケットから左右方向内側に向けて突出しており、前記ブレーキペダルが取り付けられるペダル取付部と、を備え、
前記フートレスト及び前記ブレーキペダルは、前後方向の位置が前記触媒と少なくとも部分的に重なるように配置されており、
前記排気管は、
前記エンジンの前記排気口と前記触媒の上端部を接続する上流側接続管と、
前記触媒の下端部と前記消音器を接続する下流側接続管と、
前記フートレストの直上の空間の左右方向内側に配置され、前記触媒と前記上流側接続管と前記下流側接続管とを覆う触媒カバーと、を備え
前記ペダル取付部は、前記触媒の下端部よりも下方に位置し、前記下流側接続管と対向しており、
前記下流側接続管は、前記触媒の中心軸に対して左右方向内側にオフセットしていることを特徴とする自動二輪車。
【請求項2】
エンジンと、
前記エンジンからの排気ガスが流入する消音器と、
前記エンジンの排気口と前記消音器を接続する排気管と、
前記排気管内に設けられ、前記エンジンの前方に配置される触媒と、
少なくとも一部が前記エンジンよりも前方に配置されるフートレスト及びブレーキペダルと、を備え、
前記フートレスト及び前記ブレーキペダルは、前後方向の位置が前記触媒と少なくとも部分的に重なるように配置されており、
前記エンジンは
クランク軸と
前記クランク軸を収容するクランクケースと、
前記クランクケースに連結されるシリンダと、
前記シリンダに連結されるシリンダヘッドと、
前記クランクケースの左右方向外側を覆うカバーと、を備え、
前記排気管は、
前記エンジンの前記排気口と前記触媒の上端部を接続する上流側接続管と、
前記触媒の下端部と前記消音器を接続する下流側接続管と、
前記フートレストの直上の空間の左右方向内側に配置され、前記触媒と前記上流側接続管と前記下流側接続管とを覆う触媒カバーと、を備え
前記上流側接続管は、
曲げられた形状を有し、一体構造を成す第1パイプと、
排気方向において前記第1パイプの下流側に設けられ、曲げられた形状を有し、別々に成型されたフロント部分とリア部分を接合することで中空状に形成されたモナカ構造を成す第2パイプと、を備え、
車両側面視で、前記触媒の上端部は、前記クランクケースと前記シリンダの合わせ面の延長線よりも上方に位置しており、
前記触媒は、前記クランクケースと前記カバーの合わせ面の前方に配置されていることを特徴とする自動二輪車。
【請求項3】
エンジンと、
前記エンジンからの排気ガスが流入する消音器と、
前記エンジンの排気口と前記消音器を接続する排気管と、
前記排気管内に設けられ、前記エンジンの前方に配置される触媒と、
少なくとも一部が前記エンジンよりも前方に配置されるフートレスト及びブレーキペダルと、
前記ブレーキペダルに接続され、車両側面視で前記触媒と少なくとも部分的に重なるように配置されるブレーキスイッチと、
前記触媒と前記ブレーキスイッチの間に配置されるヒートガードと、を備え、
前記フートレスト及び前記ブレーキペダルは、前後方向の位置が前記触媒と少なくとも部分的に重なるように配置されており、
前記排気管は、
前記エンジンの前記排気口と前記触媒の上端部を接続する上流側接続管と、
前記触媒の下端部と前記消音器を接続する下流側接続管と、
前記フートレストの直上の空間の左右方向内側に配置され、前記触媒と前記上流側接続管と前記下流側接続管とを覆う触媒カバーと、を備えていることを特徴とする自動二輪車。
【請求項4】
エンジンと、
前記エンジンからの排気ガスが流入する消音器と、
前記エンジンの排気口と前記消音器を接続する排気管と、
前記排気管内に設けられ、前記エンジンの前方に配置される触媒と、
少なくとも一部が前記エンジンよりも前方に配置されるフートレスト及びブレーキペダルと、
前記エンジンを支持する車体フレームと、
前記車体フレームに前記エンジンを固定するエンジン懸架ブラケットと、を備え、
前記フートレスト及び前記ブレーキペダルは、前後方向の位置が前記触媒と少なくとも部分的に重なるように配置されており、
前記排気管は、
前記エンジンの前記排気口と前記触媒の上端部を接続する上流側接続管と、
前記触媒の下端部と前記消音器を接続する下流側接続管と、
前記フートレストの直上の空間の左右方向内側に配置され、前記触媒と前記上流側接続管と前記下流側接続管とを覆う触媒カバーと、を備え
前記触媒カバーは、前記フートレストの下端部よりも上方において、前記触媒と前記上流側接続管と前記下流側接続管とを覆っており、
前記下流側接続管は、前記エンジンと前記エンジン懸架ブラケットと前記ブレーキペダルの間を通過していることを特徴とする自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスを浄化するための触媒を備えた自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車は、エンジンの排気口から排出される排気ガスが流れる排気管を備えており、この排気管内には、排気ガスを浄化するための触媒が設けられている。近年、排気ガスの規制に対応するために、排気ガスに対する触媒の浄化性能を向上させることが求められている。このような要求に応えるためには、排気管のなるべく上流に触媒を配置することが重要であり、そのために、触媒をエンジンの前方に配置する場合もある。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両側面視において、触媒の少なくとも一部は、クランクケースよりも前方に位置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-114394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エンジンの駆動時において、触媒は、非常に高温になる。そのため、上記のように触媒をエンジンの前方に配置する場合、触媒の熱によってライダーの乗り心地が低下しないように注意を払わなければならない。特に、エンジンよりも前方にフートレストが配置される機種(例えば、クルーザタイプ)では、フートレストに置かれるライダーの足が触媒の熱にさらされると、ライダーの乗り心地が低下する恐れがある。一方で、フートレストに置かれるライダーの足を触媒から離すために、フートレストを通常よりも左右方向外側にずらして配置すると、ライディングポジションに影響が出る恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、触媒がエンジンの前方に配置される自動二輪車において、触媒の熱によってライダーの乗り心地が低下するのを抑制しつつ、適切なライディングポジションを確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動二輪車は、エンジンと、前記エンジンからの排気ガスが流入する消音器と、前記エンジンの排気口と前記消音器を接続する排気管と、前記排気管内に設けられ、前記エンジンの前方に配置される触媒と、少なくとも一部が前記エンジンよりも前方に配置されるフートレスト及びブレーキペダルと、前記フートレストが取り付けられるフートレストブラケットと、前記フートレストブラケットから左右方向内側に向けて突出しており、前記ブレーキペダルが取り付けられるペダル取付部と、を備え、前記フートレスト及び前記ブレーキペダルは、前後方向の位置が前記触媒と少なくとも部分的に重なるように配置されており、前記排気管は、前記エンジンの前記排気口と前記触媒の上端部を接続する上流側接続管と、前記触媒の下端部と前記消音器を接続する下流側接続管と、フートレストの直上の空間の左右方向内側に配置され、前記触媒と前記上流側接続管と前記下流側接続管とを覆う触媒カバーと、を備え、前記ペダル取付部は、前記触媒の下端部よりも下方に位置し、前記下流側接続管と対向しており、前記下流側接続管は、前記触媒の中心軸に対して左右方向内側にオフセットしている
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、触媒がエンジンの前方に配置される自動二輪車において、触媒の熱によってライダーの乗り心地が低下するのを抑制しつつ、適切なライディングポジションを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例に係る自動二輪車を示す右側面図である。
図2】本発明の一実施例に係るエンジン及びその周辺部を示す右側面図である。
図3】本発明の一実施例に係るエンジン及びその周辺部を示す前面図である。
図4】本発明の一実施例に係るエンジン及びその周辺部を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施例に係る排気装置の一部を示す右側面図である。
図6】本発明の一実施例に係るブレーキペダル及びその周辺部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態では、フートレストの直上の空間の左右方向内側に、触媒と上流側接続管と下流側接続管とを覆う触媒カバーが配置されている。このような構成を採用することで、フートレストに置かれるライダーの足を触媒カバーによって触媒の熱から保護することができる。そのため、触媒の熱によってライダーの乗り心地が低下するのを抑制することができる。
【0011】
また、上記のように触媒カバーによってライダーの足を触媒の熱から保護することができるため、フートレストに置かれるライダーの足を触媒から離すためにフートレストを通常よりも左右方向外側にずらして配置する必要が無い。そのため、適切なライディングポジションを確保することができる。
【実施例
【0012】
(自動二輪車1)
以下、図1図6に基づき、本発明の一実施例に係るクルーザタイプの自動二輪車1について説明する。以下、前後、左右、上下等の方向を示す語は、自動二輪車1のライダーから見た方向を基準として用いる。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれ自動二輪車1の前方、後方、左方、右方、上方、下方を示している。
【0013】
図1図2を参照して、自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2の前方に配置されるステアリング機構3及び前輪4と、車体フレーム2の上方に配置される燃料タンク5及びライダーシート6と、車体フレーム2の後下方に配置される左右一対のスイングアーム7及び後輪8と、車体フレーム2に支持されるエンジン9と、エンジン9に接続される吸気装置11及び排気装置12と、エンジン9の前方に配置されるスタータモータ13と、エンジン9の前下方に配置される左右一対のフートレストブラケット14及び左右一対のフートレスト15と、右側のフートレストブラケット14に取り付けられるフートレストガード16、ブレーキペダル17、ブレーキシリンダ18、ブレーキスイッチ19及びヒートガード20と、を主体として構成されている。以下、上記各構成要素について順番に説明する。
【0014】
(車体フレーム2)
図1図3を参照して、車体フレーム2は、ヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21から後方に延びる1本のメインフレーム22と、ヘッドパイプ21から下方に延びる1本のダウンフレーム23と、メインフレーム22の後端部から左右に分岐しつつ下方に延びる左右一対のサイドフレーム24と、メインフレーム22の後部から後方に延びる左右一対のシートレール25と、を主体として構成されている。
【0015】
ダウンフレーム23は、エンジン9の前方に配置されている。車両側面視及び車両前面視で、ダウンフレーム23は、上下方向に沿って直線状に延びている。車両前面視で、ダウンフレーム23は、上端部から下端部までの全域にわたって、車両の左右方向の中心線Mと重なるように配置されている。
【0016】
図3図4を参照して、ダウンフレーム23の下端側には、エンジン懸架ブラケット28が配置されている。エンジン懸架ブラケット28の上部の左右両側部は、上下一対のボルトB1を介してダウンフレーム23の下端部に取り付けられている。
【0017】
エンジン懸架ブラケット28の下部には、接続部材29が取り付けられている。接続部材29は、エンジン懸架ブラケット28の下部の左右両側部に接合される左右一対の接続ブラケット29aと、左右方向に延びており、左右一対の接続ブラケット29aの下端部に接合される接続パイプ29bと、前後方向に延びており、接続パイプ29bの左右方向両端部に接合される左右一対の接続プレート29cと、を備えている。接続部材29の下方は、アンダーカウル30(図1参照)によって覆われている。
【0018】
(ステアリング機構3及び前輪4)
図1を参照して、ステアリング機構3は、ヘッドパイプ21によって回転可能に支持されている。ステアリング機構3は、ハンドル装置31及び左右一対のフロントフォーク32を備えている。左右一対のフロントフォーク32の下端部には、前輪4が回転可能に支持されている。
【0019】
(燃料タンク5及びライダーシート6)
図1を参照して、燃料タンク5は、メインフレーム22に支持されている。ライダーシート6は、燃料タンク5の後方に配置されており、左右一対のシートレール25に支持されている。
【0020】
(左右一対のスイングアーム7及び後輪8)
図1を参照して、左右一対のスイングアーム7の前端部は、左右一対のサイドフレーム24にピボット軸35を介して接続されている。これにより、左右一対のスイングアーム7がピボット軸35を中心に揺動可能となっている。左右一対のスイングアーム7の後端部には、後輪8が回転可能に支持されている。後輪8の上方には、ブレーキランプ40が設けられている。
【0021】
(エンジン9)
図2図4を参照して、エンジン9は、例えば、空冷式の単気筒エンジンである。エンジン9は、クランクケース41と、クランクケース41に上方から連結されるシリンダ42と、シリンダ42に上方から連結されるシリンダヘッド43と、シリンダヘッド43に上方から連結されるシリンダヘッドカバー44と、クランクケース41の右側(左右方向外側)を覆うクラッチカバー45(カバーの一例)と、クランクケース41の左側(左右方向外側)を覆うマグネトカバー46と、を備えている。
【0022】
図2を参照して、クランクケース41の前端部の左右方向両側部は、上下一対のボルトB2(図2において下側のボルトB2のみを表示)を介してエンジン懸架ブラケット28の下部の左右両側部に取り付けられている。これにより、クランクケース41の前端部がエンジン懸架ブラケット28を介してダウンフレーム23の下端部に固定されている。
【0023】
クランクケース41の前部には、クランク軸51が収容されている。クランク軸51は、左右方向に延びる回転軸R1を中心に回転可能に設けられている。クランクケース41の右側面の右側(左右方向外側)には、クラッチ機構54が設けられている。クラッチ機構54は、クラッチカバー45によって右側(左右方向外側)から覆われている。クラッチ機構54は、一次減速機構(図示せず)を介してクランク軸51と接続されている。
【0024】
図3を参照して、クランクケース41の左側面の左側(左右方向外側)には、発電用のマグネト55が設けられている。マグネト55は、マグネトカバー46によって左側(左右方向外側)から覆われている。マグネト55は、クランク軸51(図2参照)の左端部に固定されている。
【0025】
図2を参照して、シリンダ42にはピストン(図示せず)が収容されている。ピストンは、コネクティングロッド(図示せず)を介してクランク軸51に接続されている。シリンダ42とシリンダヘッド43の間には、ピストンの上方に燃焼室58が設けられている。シリンダヘッド43の後壁部には、燃焼室58と連通する吸気口59が設けられている。シリンダヘッド43の前壁部には、燃焼室58と連通する排気口60が設けられている。シリンダヘッド43の右壁部には、点火プラグ61が取り付けられている。
【0026】
(吸気装置11)
図2を参照して、吸気装置11は、吸気管71と、吸気管71に接続されるエアクリーナ(図示せず)と、を備えている。吸気管71は、エンジン9の吸気口59に接続されている。
【0027】
(排気装置12)
以下、排気装置12の説明において、「上流側」又は「下流側」と記載する場合には、排気装置12内における排気方向(排気ガスの流動方向)における「上流側」又は「下流側」を示す。
【0028】
図2図4を参照して、排気装置12は、エンジン9の前方に配置される触媒81と、エンジン9の排気口60と触媒81の上端部(上流側の端部)を接続する上流側接続管83と、エンジン9の後方に配置される消音器84と、触媒81の下端部(下流側の端部)と消音器84を接続する下流側接続管85と、触媒81を収容する触媒カバー86と、を備えている。
【0029】
上流側接続管83と下流側接続管85と触媒カバー86は、エンジン9の排気口60と消音器84を接続する排気管87を構成している。言い換えると、排気管87は、上流側接続管83と下流側接続管85と触媒カバー86とを備えている。
【0030】
(排気装置12の触媒81)
図2図4を参照して、排気装置12の触媒81は、排気管87内に配置されている。触媒81は、例えば、ハニカム構造の三元触媒によって構成されている。触媒81は、排気ガス中の有害成分(例えば、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物)を化学反応によって無害成分(例えば、二酸化炭素、水、窒素)に変化させることで、排気ガスを浄化する。
【0031】
触媒81は、円柱状を成している。触媒81は、上端部(上流側の端部)から下端部(下流側の端部)まで同一径で設けられている。車両側面視及び車両前面視で、触媒81は、上下方向に沿って直線状に延びており、ダウンフレーム23と平行に配置されている。
【0032】
図2を参照して、車両側面視で、触媒81の一部は、ダウンフレーム23の下端部と重なっている。車両側面視で、触媒81の上端部(上流側の端部)は、クランクケース41とシリンダ42の合わせ面Yの延長線Eよりも上方に位置している。触媒81の下端部(下流側の端部)は、クランク軸51の回転軸R1と略同じ高さに位置している。
【0033】
図3を参照して、触媒81は、クランクケース41とクラッチカバー45の合わせ面Xの前方に配置されている。そのため、車両前面視で、触媒81は、クランクケース41とクラッチカバー45の合わせ面Xと重なっている。触媒81は、スタータモータ13と略同じ高さに位置している。触媒81の右端部(左右方向外側の端部)は、エンジン9の右端部(左右方向外側の端部)よりも左側(左右方向内側)に位置している。即ち、触媒81は、エンジン9の左右方向の幅内に収まっている。
【0034】
車両前面視で、触媒81は、ダウンフレーム23及びエンジン懸架ブラケット28とは間隔をおいて、ダウンフレーム23及びエンジン懸架ブラケット28の右側(左右方向外側)に配置されている。車両前面視で、触媒81は、ダウンフレーム23と右側のフートレストブラケット14の中間位置に設けられており、ダウンフレーム23と右側のフートレストブラケット14から等距離に配置されている。触媒81は、右側のフートレスト15及びブレーキペダル17とは間隔をおいて、右側のフートレスト15及びブレーキペダル17よりも左側(左右方向内側)に配置されている。
【0035】
(排気装置12の上流側接続管83)
図3を参照して、排気装置12の上流側接続管83は、触媒81の上端部(上流側の端部)から車両の左右方向の中心に向けて延びている。上流側接続管83は、第1パイプ105と、第1パイプ105の右下側(下流側)に設けられる第2パイプ106と、を備えている。
【0036】
第1パイプ105は、ダウンフレーム23を避けるように、エンジン9の排気口60から右側(左右方向外側)に向けて曲げられた形状を有する。第1パイプ105は、左上端部(上流側の端部)から右下端部(下流側の端部)まで同一径で設けられている。車両前面視で、第1パイプ105は、シリンダ42及びシリンダヘッド43の左右方向の幅内に位置し、且つ、シリンダ42及びシリンダヘッド43の高さ内に位置している。即ち、車両前面視で、第1パイプ105は、シリンダ42及びシリンダヘッド43の範囲内に収まっている。
【0037】
図5を参照して、第1パイプ105は、一体に成型された単一の部分から形成されている。即ち、第1パイプ105は、一体構造を成している。第1パイプ105の外周面には、円筒状のボス108が上方に向けて突出している。ボス108には、先端部が上側を向くように排気ガスセンサ109が取り付けられている。なお、図4では、排気ガスセンサ109は表示されていない。
【0038】
図5を参照して、第1パイプ105の外周面の左上端部(上流側の端部)には、円環状のジョイント111が固定されている。ジョイント111は、ガスケット(図示せず)を介してエンジン9の排気口60(図2等参照)に接続されている。
【0039】
図5を参照して、第1パイプ105の外周面には、ボス108とジョイント111の間に、円環状のフランジ112が取り付けられている。フランジ112は、第1パイプ105及びジョイント111には固定されていない。フランジ112は、エンジン9の排気口60(図2等参照)の外周においてシリンダヘッド43に固定されている。
【0040】
図3を参照して、第2パイプ106は、触媒81の上端部(上流側の端部)から左側(左右方向内側)に向けて曲げられた形状を有する。第2パイプ106は、左上側(上流側)から右下側(下流側)に向けて拡径している。
【0041】
図5を参照して、第2パイプ106は、別々に成型されたフロント部分106aとリア部分106bを接合することで、中空状に形成されている。即ち、第2パイプ106は、モナカ構造を成している。第2パイプ106は、触媒81の中心軸Cを通過する面で、フロント部分106aとリア部分106bに2分割されている。
【0042】
第2パイプ106の左上端部(上流側の端部)は、第1パイプ105の右下端部(下流側の端部)に取り付けられている。第2パイプ106の右下端部(下流側の端部)には、触媒81の上端部(上流側の端部)が挿入されている。
【0043】
(排気装置12の消音器84)
図1を参照して、排気装置12の消音器84は、チャンバ114と、チャンバ114の後側(下流側)に設けられるマフラ115と、を備えている。チャンバ114の内部とマフラ115の内部には、それぞれ、消音室(図示せず)が設けられている。
【0044】
(排気装置12の下流側接続管85)
図3を参照して、排気装置12の下流側接続管85は、触媒81の下端部(下流側の端部)から車両の左右方向の中心に向けて延びている。下流側接続管85は、第1管体116と、第1管体116の左下側(下流側)に設けられる第2管体117と、を備えている。
【0045】
第1管体116の上下方向中央部には、上側(上流側)から下側(下流側)に向けて縮径する縮径部118が設けられている。縮径部118の左縁部(左右方向内側の縁部)は、鉛直方向に延びており、縮径部118の右縁部(左右方向外側の縁部)は、上方から下方に向けて左側(左右方向内側)に傾斜している。そのため、第1管体116の上下方向中央部及び下部は、触媒81の中心軸Cと同軸上に配置されておらず、触媒81の中心軸Cに対して左側(左右方向内側)にオフセットしている。
【0046】
図5を参照して、第1管体116は、別々に成型されたフロント部分116aとリア部分116bを接合することで、中空状に形成されている。即ち、第1管体116は、モナカ構造を成している。第1管体116の上端部(上流側の端部)には、触媒81の下端部(下流側の端部)が挿入されている。
【0047】
図3図4を参照して、第2管体117は、触媒カバー86に覆われておらず、外部に露出している。第2管体117は、エンジン9のクランクケース41及びクラッチカバー45とエンジン懸架ブラケット28の下部とブレーキペダル17との間を通過している。第2管体117は、接続部材29の右側の接続ブラケット29aの右側(左右方向外側)且つ接続部材29の接続パイプ29bの上方を通過している。
【0048】
第2管体117の前上端部(上流側の端部)は、第1管体116の下端部(下流側の端部)に接続されている。第2管体117の後下端部(下流側の端部)は、消音器84のチャンバ114に接続されている。
【0049】
(排気装置12の触媒カバー86)
図2を参照して、排気装置12の触媒カバー86の前縁部は、ダウンフレーム23の前縁部よりも前方に位置している。触媒カバー86の後縁部は、ダウンフレーム23の後縁部よりも後方に位置している。車両側面視で、触媒カバー86は、スタータモータ13と重ならないように配置されている。
【0050】
図3図4を参照して、触媒カバー86は、右側のフートレスト15の直上の空間S(右側のフートレスト15に置かれるライダーの足が配置される空間)の左側(左右方向内側)に配置されている。触媒カバー86は、右側のフートレスト15の下端部よりも上方において、触媒81と上流側接続管83の第1パイプ105及び第2パイプ106と下流側接続管85の第1管体116とを覆っている。触媒カバー86の上端部(上流側の端部)は、第1パイプ105のボス108よりも上流側且つフランジ112よりも下流側に位置している。触媒カバー86の下端部(下流側の端部)は、第1管体116の下端部(下流側の端部)と一致している。
【0051】
触媒カバー86は、別々に成型された右側部分86aと左側部分86bを接合することで、中空状に形成されている。即ち、触媒カバー86は、モナカ構造を成している。触媒カバー86の右側部分86aの上部には、円形の貫通穴120が設けられている。貫通穴120には、第1パイプ105のボス108が貫通している。これにより、ボス108の外周面の一部が触媒カバー86の右側部分86aによって覆われている。
【0052】
図5を参照して、触媒カバー86の内周面は、触媒81の外周面と間隔を介して対向している。なお、図5では、触媒カバー86の左側部分86bのみが表示されており、触媒カバー86の右側部分86aは表示されていない。
【0053】
(スタータモータ13)
図2を参照して、スタータモータ13は、クランクケース41の前端部に固定されている。スタータモータ13は、シリンダ42の前方且つダウンフレーム23の後方に配置されている。車両側面視で、スタータモータ13は、触媒81とシリンダ42の間に配置されている。スタータモータ13は、クランク軸51に接続されている。エンジン9の始動時には、スタータモータ13の回転がクランク軸51に伝達されることで、クランク軸51が回転する。
【0054】
(左右一対のフートレストブラケット14)
図2図4を参照して、左右一対のフートレストブラケット14は、ダウンフレーム23の左右方向両側に配置されている。各フートレストブラケット14の下端部は、前後一対のボルトB3を介して、接続部材29の各接続プレート29cに取り付けられている。これにより、各フートレストブラケット14が接続部材29を介してエンジン懸架ブラケット28に接続されている。
【0055】
各フートレストブラケット14の下部には、フートレスト取付部133が接合されている。フートレスト取付部133は、各フートレストブラケット14の下部から左右方向外側に向けて突出している。フートレスト取付部133は、左右方向外側に向けて開放されたコ字状を成している。
【0056】
右側のフートレストブラケット14の下部には、ペダル取付部134が接合されている。ペダル取付部134は、右側のフートレストブラケット14の下部から左側(左右方向内側)に向けて突出している。ペダル取付部134は、円柱状を成しており、左右方向に延びている。ペダル取付部134は、触媒81の下端部よりも下方に位置しており、下流側接続管85の第1管体116と対向している。ペダル取付部134は、右側のフートレストブラケット14の下部を挟んで、右側のフートレストブラケット14の下部に接合されるフートレスト取付部133の反対側に設けられている。
【0057】
右側のフートレストブラケット14は、右側のフートレスト15の左側(左右方向内側)で上方に向けて延びる延出部135を備えている。車両側面視で、延出部135は、触媒81と部分的に重なるように配置されている。延出部135は、右側のフートレスト15の直上の空間Sと触媒81の間に配置されている。延出部135の上部には、上下一対のシリンダ取付ボス136及びスイッチ取付板137が接合されている。各シリンダ取付ボス136及びスイッチ取付板137は、延出部135の上部から左側(左右方向内側)に向けて突出している。スイッチ取付板137の前後両端部は、下方に向けて折り曲げられた形状を有している。
【0058】
(左右一対のフートレスト15)
図2図4を参照して、左右一対のフートレスト15の全体は、エンジン9よりも前方に配置されている。各フートレスト15の前部の前後方向の位置は、触媒81の後部の前後方向の位置と重なっている。即ち、各フートレスト15は、前後方向の位置が触媒81と部分的に重なるように配置されている。
【0059】
各フートレスト15の左右方向内側の端部は、各フートレストブラケット14の下部に接合されたフートレスト取付部133に支軸139を介して取り付けられている。これにより、各フートレスト15が各フートレストブラケット14及び接続部材29を介してエンジン懸架ブラケット28に取り付けられている。
【0060】
(フートレストガード16)
図2図4を参照して、フートレストガード16の前部は、右側のフートレスト15の直上の空間Sと触媒81の間に配置されている。車両側面視で、フートレストガード16は、触媒81と部分的に重なるように配置されている。フートレストガード16の後部は、上下一対のボルトB4を介して右側のフートレストブラケット14の後部に取り付けられている。
【0061】
(ブレーキペダル17)
図2図4を参照して、ブレーキペダル17の全体は、エンジン9よりも前方に配置されている。ブレーキペダル17の後部の前後方向の位置は、触媒81の前後方向の位置と重なっている。即ち、ブレーキペダル17は、前後方向の位置が触媒81と部分的に重なるように配置されている。
【0062】
図6を参照して、ブレーキペダル17は、軸部145と、軸部145から前上方に向けて延びるアーム部146と、軸部145から後上方に向けて突出する突部147と、アーム部146に接合されるばね取付部148と、アーム部146の前上端部から右側(左右方向外側)に向けて延びる被操作部149と、を備えている。
【0063】
ブレーキペダル17の軸部145は、円筒状を成しており、左右方向に延びている。軸部145は、右側のフートレストブラケット14の左側(左右方向内側)において、ペダル取付部134の外周に取り付けられている。これにより、ブレーキペダル17がペダル取付部134を介してフートレストブラケット14に回転可能に取り付けられている。ブレーキペダル17のばね取付部148は、第1コイルばね151を介して、スイッチ取付板137の後端部に接続されている。
【0064】
図2を参照して、車両側面視で、ブレーキペダル17の被操作部149の上面(ライダーの足によって操作される面)の中心点と右側のフートレスト15の上面(ライダーの足が置かれる面)の中心点を結ぶ直線L(ライダーの靴底に沿った直線)は、触媒81及び触媒カバー86を通過している。
【0065】
(ブレーキシリンダ18)
図2図3を参照して、ブレーキシリンダ18は、エンジン9よりも前方に配置されている。ブレーキシリンダ18の前部は、右側のフートレスト15の直上の空間Sと触媒81の間に配置されている。車両側面視で、ブレーキシリンダ18は、触媒81と部分的に重なるように配置されている。なお、図4では、ブレーキシリンダ18は表示されていない。
【0066】
図6を参照して、ブレーキシリンダ18は、上下一対のボルトB5を介して、各シリンダ取付ボス136に取り付けられている。これにより、ブレーキシリンダ18が各シリンダ取付ボス136を介して右側のフートレストブラケット14の延出部135に取り付けられている。
【0067】
ブレーキシリンダ18には、ピストンロッド(図示せず)が収容されている。ピストンロッドは、ブレーキペダル17の突部147に接続されている。ブレーキシリンダ18は、ホース153を介してリザーバタンク154に接続されている。
【0068】
(ブレーキスイッチ19)
図2図3を参照して、ブレーキスイッチ19は、エンジン9よりも前方に配置されている。ブレーキスイッチ19は、右側のフートレスト15の直上の空間Sと触媒81の間に配置されている。車両側面視で、ブレーキスイッチ19は、触媒81と部分的に重なるように配置されている。なお、図4では、ブレーキスイッチ19は表示されていない。
【0069】
図6を参照して、ブレーキスイッチ19は、スイッチ取付板137の後部に取り付けられている。これにより、ブレーキスイッチ19がスイッチ取付板137を介して右側のフートレストブラケット14の延出部135に取り付けられている。ブレーキスイッチ19は、第2コイルばね158を介して、ブレーキペダル17のばね取付部148に接続されている。
【0070】
(ヒートガード20)
図2図4を参照して、ヒートガード20は、上下方向に延びている。ヒートガード20は、エンジン9よりも前方に配置されている。車両側面視で、ヒートガード20は、触媒81と部分的に重なるように配置されている。ヒートガード20は、右側のフートレスト15の直上の空間Sと触媒81の間に配置されている。ヒートガード20は、触媒81とブレーキスイッチ19の間に配置されている。
【0071】
ヒートガード20の下部は、スイッチ取付板137の後部に接合されている。これにより、ヒートガード20がスイッチ取付板137を介して右側のフートレストブラケット14の延出部135に取り付けられている。
【0072】
(エンジン9の排気)
エンジン9の駆動時には、エンジン9の排気口60から排気ガスが排出される。エンジン9の排気口60から排出された排気ガスは、上流側接続管83の第1パイプ105と第2パイプ106を順次通過して触媒81に流入し、触媒81によって浄化される。触媒81によって浄化された排気ガスは、下流側接続管85の第1管体116と第2管体117を順次通過して消音器84のチャンバ114に流入する。消音器84のチャンバ114に流入した排気ガスは、消音器84のチャンバ114とマフラ115を順次通過し、車両の後方に排出される。
【0073】
(後輪8のブレーキ)
車両の走行時に、ライダーがブレーキペダル17の被操作部149を下方に踏み込むと、ブレーキペダル17が軸部145を中心に右側面視で時計回りに回転する。これに伴って、ブレーキペダル17の突部147が上昇し、ブレーキシリンダ18に収容されたピストンロッド(図示せず)がブレーキペダル17の突部147によって押し上げられ、ブレーキシリンダ18内の油圧が上昇する。これに伴って、後輪8に設けられたブレーキ装置(図示せず)が作動し、後輪8にブレーキが掛かる。
【0074】
また、上記のようにブレーキペダル17が軸部145を中心に右側面視で時計回りに回転すると、ブレーキペダル17が第2コイルばね158を介してブレーキスイッチ19を下方に引っ張る。これに伴って、ブレーキスイッチ19が作動し、ブレーキランプ40が点灯する。
【0075】
(効果)
本実施例では、右側のフートレスト15の直上の空間S(右側のフートレスト15に置かれるライダーの足が配置される空間)の左側(左右方向内側)に、触媒81と上流側接続管83の第1パイプ105及び第2パイプ106と下流側接続管85の第1管体116とを覆う触媒カバー86が配置されている。このような構成を採用することで、右側のフートレスト15に置かれるライダーの足を触媒カバー86によって触媒81の熱から保護することができる。そのため、触媒81の熱によってライダーの乗り心地が低下するのを抑制することができる。
【0076】
また、上記のように触媒カバー86によってライダーの足を触媒81の熱から保護することができるため、右側のフートレスト15に置かれるライダーの足を触媒81から離すために右側のフートレスト15を通常よりも右側(左右方向外側)にずらして配置する必要が無い。そのため、適切なライディングポジションを確保することができる。
【0077】
また、ペダル取付部134は、触媒81の下端部よりも下方に位置し、下流側接続管85の第1管体116と対向しており、下流側接続管85の第1管体116は、触媒81の中心軸Cに対して左側(左右方向内側)にオフセットしている。このような構成を採用することで、ペダル取付部134を通常よりも右側(左右方向外側)にずらして配置することなく、ペダル取付部134と下流側接続管85の第1管体116の隙間を十分に確保することができる。そのため、右側のフートレスト15及びブレーキペダル17を通常よりも右側(左右方向外側)にずらして配置する必要が無く、適切なライディングポジションを確保することができる。
【0078】
右側のフートレストブラケット14は、右側のフートレスト15の左側(左右方向内側)で上方に向けて延びる延出部135を備え、車両側面視で、延出部135は、触媒81と部分的に重なるように配置されている。このような配置を採用することで、延出部135がヒートシールドの役割を果たすため、右側のフートレスト15に置かれるライダーの足を触媒81の熱から更に効果的に保護することができる。
【0079】
また、車両前面視で、触媒81は、ダウンフレーム23と右側のフートレストブラケット14の中間位置に設けられている。このような配置を採用することで、触媒81がダウンフレーム23に過度に近づくのを抑制することができるため、触媒81の熱によってダウンフレーム23が熱害を受けるのを抑制することができる。
【0080】
また、上流側接続管83は、曲げられた形状を有し、一体構造を成す第1パイプ105と、第1パイプ105の下流側に設けられ、曲げられた形状を有し、モナカ構造を成す第2パイプ106と、を備え、車両側面視で、触媒81の上端部は、クランクケース41とシリンダ42の合わせ面Yの延長線Eよりも上方に位置している。このような配置を採用することで、触媒81をエンジン9の排気口60に近づけて配置することができ、エンジン9の排気口60から排出された直後の高温の排気ガスによって触媒81の早期活性化を促し、排気ガスに対する触媒81の浄化性能を向上させることができる。
【0081】
また、触媒81は、クランクケース41とクラッチカバー45の合わせ面Xの前方に配置されている。このような配置を採用することで、触媒81がクランクケース41とクラッチカバー45の合わせ面Xよりも右側(左右方向外側)に配置される場合と比較して、触媒81を左側(左右方向内側)に寄せて配置することができるため、触媒81の右側(左右方向外側)に配置される右側のフートレスト15も左側(左右方向内側)に寄せて配置することができる。そのため、適切なライディングポジションを更に確保しやすくなる。
【0082】
また、触媒81とブレーキスイッチ19の間には、ヒートガード20が配置されている。このような配置を採用することで、ヒートガード20によってブレーキスイッチ19を触媒81の熱から保護することができるため、ブレーキスイッチ19をブレーキペダル17と共に触媒81の近傍に配置することができる。そのため、ブレーキスイッチ19をブレーキペダル17に近づけて配置することができ、ブレーキスイッチ19の応答性を高めることができる。
【0083】
また、触媒カバー86は、右側のフートレスト15の下端部よりも上方において、触媒81と上流側接続管83の第1パイプ105及び第2パイプ106と下流側接続管85の第1管体116とを覆っている。このような構成を採用することで、排気管87が必要以上に太くなるのを抑制することができ、車両の大型化を抑制することができる。
【0084】
また、下流側接続管85の第2管体117(下流側接続管85のうちで触媒カバー86によって覆われていない部分)は、エンジン9のクランクケース41及びクラッチカバー45とエンジン懸架ブラケット28の下部とブレーキペダル17との間を通過している。このような構成を採用することで、エンジン9の周りの限られたスペースを有効に利用して第2管体117を配置することができ、車両の大型化を更に効果的に抑制することができる。
【0085】
また、フートレストガード16の前部は、右側のフートレスト15の直上の空間Sと触媒81の間に配置されている。このような配置を採用することで、右側のフートレスト15に置かれるライダーの足をフートレストガード16によって触媒81の熱から保護することができる。そのため、触媒81の熱によってライダーの乗り心地が低下するのを更に効果的に抑制することができる。
【0086】
(変形例)
本実施例では、各フートレスト15は、前後方向の位置が触媒81と部分的に重なるように配置されている。一方で、他の異なる実施例では、各フートレスト15は、前後方向の位置が触媒81と全体的に重なるように配置されていても良い。
【0087】
本実施例では、各フートレスト15の全体がエンジン9よりも前方に配置されている。一方で、他の異なる実施例では、各フートレスト15の一部がエンジン9よりも前方に配置されていても良い。
【0088】
本実施例では、ブレーキペダル17は、前後方向の位置が触媒81と部分的に重なるように配置されている。一方で、他の異なる実施例では、ブレーキペダル17は、前後方向の位置が触媒81と全体的に重なるように配置されていても良い。
【0089】
本実施例では、ブレーキペダル17の全体がエンジン9よりも前方に配置されている。一方で、他の異なる実施例では、ブレーキペダル17の一部がエンジン9よりも前方に配置されていても良い。
【0090】
本実施例では、車両側面視で、延出部135が触媒81と部分的に重なるように配置されている。一方で、他の異なる実施例では、車両側面視で、延出部135が触媒81と全体的に重なるように配置されていても良い。
【0091】
本実施例では、車両側面視で、ブレーキスイッチ19が触媒81と部分的に重なるように配置されている。一方で、他の異なる実施例では、車両側面視で、ブレーキスイッチ19が触媒81と全体的に重なるように配置されていても良い。
【0092】
本実施例では、触媒81は、クランクケース41とクラッチカバー45の合わせ面Xの前方に配置されている。一方で、他の異なる実施例では、触媒81は、クランクケース41とクラッチカバー45以外のカバー(例えば、マグネトカバー46)の合わせ面の前方に配置されていても良い。
【0093】
本実施例では、触媒カバー86の全体が右側のフートレスト15の下端部よりも上方に配置されている。一方で、他の異なる実施例では、触媒カバー86の一部が右側のフートレスト15の下端部よりも下方に配置されていても良い。
【0094】
本実施例では、空冷式の単気筒エンジンをエンジン9の一例としている。一方で、他の異なる実施例では、水冷式エンジンや油冷式エンジン等、空冷式以外の冷却方式のエンジンをエンジン9の一例としても良い。また、他の異なる実施例では、多気筒エンジンをエンジン9の一例としても良い。
【0095】
本実施例では、クルーザタイプの自動二輪車1を自動二輪車の一例としている。一方で、他の異なる実施例では、クルーザタイプ以外のタイプの自動二輪車を自動二輪車の一例としても良い。
【符号の説明】
【0096】
1 自動二輪車
2 車体フレーム
9 エンジン
14 フートレストブラケット
15 フートレスト
16 フートレストガード
17 ブレーキペダル
19 ブレーキスイッチ
20 ヒートガード
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム
23 ダウンフレーム
28 エンジン懸架ブラケット
41 クランクケース
42 シリンダ
43 シリンダヘッド
45 クラッチカバー(カバーの一例)
51 クランク軸
60 排気口
81 触媒
83 上流側接続管
84 消音器
85 下流側接続管
86 触媒カバー
87 排気管
105 第1パイプ
106 第2パイプ
134 ペダル取付部
135 延出部
C 触媒の中心軸
S フートレストの直上の空間
X クランクケースとクラッチカバーの合わせ面
Y クランクケースとシリンダの合わせ面
E クランクケースとシリンダの合わせ面の延長線
図1
図2
図3
図4
図5
図6