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特許7172294プロジェクター、色補正システム、及びプロジェクターの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】プロジェクター、色補正システム、及びプロジェクターの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20221109BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20221109BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G03B21/00 D
H04N9/31 820
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018161460
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020034741
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 雄一郎
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-066805(JP,A)
【文献】特開2017-129703(JP,A)
【文献】特開2005-157316(JP,A)
【文献】特開2015-100088(JP,A)
【文献】特開2008-160441(JP,A)
【文献】特開2015-162807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
H04N 9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色光を発する固体光源と、
前記固体光源が発する前記第1の色光を蛍光体に当てることで所定色の色光を得て、得られた前記所定色の色光を分光することで前記所定色の色光を第2の色光と第3の色光とに分離する光源光学系と、
前記第1の色光、前記第2の色光及び前記第3の色光を変調する光変調部と、
前記光変調部により変調された前記第1の色光、前記第2の色光及び前記第3の色光を合成した画像光を投射面に投射する投射部と、
前記画像光が前記投射面に結像した画像の色を、第1表色系を構成する複数の色、及び第2表色系を構成する少なくとも1の色について測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記第1表色系を構成する複数の色の第1測定値、及び前記測定部が測定した前記第2表色系を構成する少なくとも1の色の第2測定値を前記第2表色系の色に変換した変換値に基づき、補正パラメーターを生成する補正パラメーター生成部と、を備え、
前記測定部は、前記第1の色光の波長域において、前記第1の色光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルターを備える、プロジェクター。
【請求項2】
前記光学フィルターは、前記測定部の分光感度特性のうち、前記第1の色光の波長域における、前記第1表色系を構成する色に関する分光感度特性を、前記第2表色系を構成する色の等色関数に対応させる透過率特性を有する、請求項1記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記光学フィルターは、第1光学フィルター及び第2光学フィルターを備え、
前記第2光学フィルターは、前記第1の色光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性を有し、
前記第1光学フィルターは、前記第2光学フィルターの透過率特性と組み合わされて、前記第1の色光の波長域において、前記第1表色系を構成する色に関する分光感度特性を、前記第2表色系を構成する色の等色関数に対応させる透過率特性を有する、請求項1又は2記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記第1光学フィルターは、前記第1の色光の波長域よりも長波長の領域において前記第2の色光及び前記第3の色光を透過させる透過率特性を有する、請求項3記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1光学フィルターは、前記第1の色光の波長域よりも長波長の領域の透過率が、前記第1の色光の波長域の透過率よりも低い、請求項3又は4記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記測定部は、受光素子を備え、
前記光学フィルターは、前記第2の色光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性の第3光学フィルターと、前記第3の色光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性の第4光学フィルターと、を備え、
前記第2光学フィルター、前記第3光学フィルター及び前記第4光学フィルターは、前記受光素子を構成する画素のいずれかに対応付けて配置される、請求項3から5のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記第1光学フィルターは、前記受光素子を構成する画素の各々に対応付けて配置される、請求項6記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記第1表色系はRGB表色系であり、前記第2表色系はXYZ表色系であり、
前記測定部は、前記RGB表色系を構成するR、G、及び前記XYZ表色系を構成するZの各色の測定値を出力する、請求項1から7のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項9】
第1の色光を発する固体光源と、
前記固体光源が発する前記第1の色光を蛍光体に当てることで所定色の色光を得て、得られた前記所定色の色光を分光することで前記所定色の色光を第2の色光と第3の色光とに分離する光源光学系と、
前記第1の色光、前記第2の色光及び前記第3の色光を変調する光変調部と、
前記光変調部により変調された前記第1の色光、前記第2の色光及び前記第3の色光を合成した画像光を投射面に投射する投射部と、を備えるプロジェクターと、
前記画像光が前記投射面に結像した画像の色を、第1表色系を構成する複数の色、及び第2表色系を構成する少なくとも1の色について測定する測定部と、
前記測定部が測定した前記第1表色系を構成する複数の色の第1測定値、及び前記測定部が測定した前記第2表色系を構成する少なくとも1の色の第2測定値を前記第2表色系の色に変換した変換値に基づき、補正パラメーターを生成する補正パラメーター生成装置と、を備え、
前記測定部は、前記第1の色光の波長域において、前記第1の色光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルターを備える、色補正システム。
【請求項10】
固体光源が発する第1の色光と、前記第1の色光を基に得られる第2の色光と、第3の色光とをそれぞれ変調し、合成した画像光を投射面に投射するプロジェクターの制御方法であって、
前記画像光が前記投射面に結像した画像の色を、第1表色系を構成する複数の色、及び第2表色系を構成する少なくとも1の色について測定部で測定する測定ステップと、
測定された前記第1表色系を構成する複数の色の第1測定値、及び測定された前記第2表色系を構成する少なくとも1の色の第2測定値を前記第2表色系の色に変換した変換値に基づき、補正パラメーターを生成する生成ステップと、を有し、
前記測定ステップは、前記第1の色光の波長域において、前記第1の色光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルターを備える前記測定部により、前記第2表色系を構成する少なくとも1の色について測定する、プロジェクターの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、色補正システム、及びプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターでは、画像光を測色して、測色結果に基づいて画像光の色調整を行っている。例えば、引用文献1は、プロジェクターの光路中に、所与のスペクトル成分を除去する光学フィルターを配置し、光路中に光学フィルターを配置した状態と、光路中に光学フィルターを配置しない状態とを切り替えることで、擬似的に6バンドのマルチバンド測定を実現するプロジェクターを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-145372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像の色を精度よく測定して画像光の色補正を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する一態様は、第1の色光を発する固体光源と、前記固体光源が発する前記第1の色光を蛍光体に当てることで所定色の色光を得て、得られた前記所定色の色光を分光することで前記所定色の色光を第2の色光と第3の色光とに分離する光源光学系と、前記第1の色光、前記第2の色光及び前記第3の色光を変調する光変調部と、前記光変調部により変調された前記第1の色光、前記第2の色光及び前記第3の色光を合成した画像光を投射面に投射する投射部と、前記画像光が前記投射面に結像した画像の色を、第1表色系を構成する複数の色、及び第2表色系を構成する少なくとも1の色について測定する測定部と、前記測定部が測定した前記第1表色系の色の第1測定値を前記第2表色系の色に変換した変換値と、前記測定部が測定した前記第2表色系を構成する少なくとも1の色の第2測定値とに基づき、補正パラメーターを生成する補正パラメーター生成部と、を備え、前記測定部は、前記第1の色光の波長域において、前記第1の色光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルターを備える、プロジェクターである。
【0006】
上記プロジェクターにおいて、前記光学フィルターは、前記測定部の分光感度特性のうち、前記第1の色光の波長域における、前記第1表色系を構成する色に関する分光感度特性を、前記第2表色系を構成する色の等色関数に対応させる透過率特性を有する構成であってもよい。
【0007】
上記プロジェクターにおいて、前記光学フィルターは、第1光学フィルター及び第2光学フィルターを備え、前記第2光学フィルターは、前記第1の色光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性を有し、前記第1光学フィルターは、前記第2光学フィルターの透過率特性と組み合わされて、前記第1の色光の波長域において、前記第1表色系を構成する色に関する分光感度特性を、前記第2表色系を構成する色の等色関数に対応させる透過率特性を有する。
【0008】
上記プロジェクターにおいて、前記第1光学フィルターは、前記第1の色光の波長域よりも長波長の領域において前記第2の色光及び前記第3の色光を透過させる透過率特性を有する構成であってもよい。
【0009】
上記プロジェクターにおいて、前記第1光学フィルターは、前記第1の色光の波長域よりも長波長の領域の透過率が、前記第1の色光の波長域の透過率よりも低い構成であってもよい。
【0010】
上記プロジェクターにおいて、前記測定部は、受光素子を備え、前記光学フィルターは、前記第2の色光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性の第3光学フィルターと、前記第3の色光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性の第4光学フィルターと、を備え、前記第2光学フィルター、前記第3光学フィルター及び前記第4光学フィルターは、前記受光素子を構成する画素のいずれかに対応付けて配置される構成であってもよい。
【0011】
上記プロジェクターにおいて、前記第1光学フィルターは、前記受光素子を構成する画素の各々に対応付けて配置される構成であってもよい。
【0012】
上記プロジェクターにおいて、前記第1表色系はRGB表色系であり、前記第2表色系はXYZ表色系であり、前記測定部は、前記RGB表色系を構成するR、G、及び前記XYZ表色系を構成するZの各色の測定値を出力する構成であってもよい。
【0013】
上記目的を達成する別の一の態様は、第1の色光を発する固体光源と、前記固体光源が発する前記第1の色光を蛍光体に当てることで所定色の色光を得て、得られた前記所定色の色光を分光することで前記所定色の色光を第2の色光と第3の色光とに分離する光源光学系と、前記第1の色光、前記第2の色光及び前記第3の色光を変調する光変調部と、前記光変調部により変調された前記第1の色光、前記第2の色光及び前記第3の色光を合成した画像光を投射面に投射する投射部と、前記画像光が前記投射面に結像した画像の色を、第1表色系を構成する複数の色、及び第2表色系を構成する少なくとも1の色について測定する測定部と、を備えるプロジェクターと、前記測定部が測定した前記第1表色系の色の第1測定値を前記第2表色系の色に変換した変換値と、前記測定部が測定した前記第2表色系を構成する少なくとも1の色の第2測定値とに基づき、補正パラメーターを生成する補正パラメーター生成装置と、を備え、前記測定部は、前記第1の色光の波長域において、前記第1の色光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルターを備える、色補正システムである。
【0014】
上記目的を達成するさらに別の一態様は、固体光源が発する第1の色光と、前記第1の色光を基に得られる第2の色光と、第3の色光とをそれぞれ変調し、合成した画像光を投射面に投射するプロジェクターの制御方法であって、前記画像光が前記投射面に結像した画像の色を、第1表色系を構成する複数の色、及び第2表色系を構成する少なくとも1の色について測定部で測定する測定ステップと、測定された前記第1表色系の色の第1測定値を前記第2表色系の色に変換した変換値と、前記測定部が測定した前記第2表色系を構成する少なくとも1の色の第2測定値とに基づき、補正パラメーターを生成する生成ステップと、を有し、前記測定ステップは、前記第1の色光の波長域において、前記第1の色光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルターを備える前記測定部により、前記第2表色系を構成する少なくとも1の色について測定する、プロジェクターの制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】プロジェクターの構成図。
図2】測定部の構成図。
図3】カラーフィルターを構成する各フィルターの配置の一例を示す図。
図4】測定値、変換値及び目標値を示す変数を示す図。
図5】撮像部の分光感度特性と、等色関数の分光感度特性とを示す図。
図6】投射光の分光波長特性を示す図。
図7】投射部が投射したB光の分光波長特性を示す図。
図8】Zフィルターを備える測定部の分光感度特性を示す図。
図9】測定部が備える光学フィルターの分光透過率を示す図。
図10】補正パラメーター生成部の動作を示すフローチャート。
図11】システム構成図。
図12】色補正システムのシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、プロジェクター100の概略構成を示す構成図である。
プロジェクター100は、光学的な画像である画像光を生成して投射面180に投射する投射部150等を含む画像投射系と、光学的な画像の元になる画像データを電気的に処理する画像処理部165等を含む画像処理系と、これら各部を制御する制御部110とを備える。
【0017】
投射部150は、光源部120、光変調部130及び投射光学系140を備える。光源部120は、固体光源として、青色レーザー光を射出する青色半導体レーザー素子により構成されるレーザー光源121、122を備える。青色レーザー光を、以下では青色光と表記する。青色光は、本発明の「第1の色光」に相当する。レーザー光源121、122の各々は、複数の半導体素子を備え、各半導体素子が青色光を射出する構成であってもよい。また、光源部120は、レーザー光源121、122が射出した青色光を走査する光走査素子、青色光の光学特性を高めるためのレンズ群、光量を低減させる調光部等を備えていてもよい。光走査素子、レンズ群及び調光部の図示は省略する。
【0018】
さらに光源部120は、レーザー光源ドライバー123、124、光源光学系127及び拡散板128を備える。光源光学系127は、蛍光体ホイール125及び分光部126を備える。
レーザー光源ドライバー123は、後述する光源駆動部153から入力される制御信号に従ってレーザー光源121を駆動する。レーザー光源ドライバー124は、光源駆動部153から入力される制御信号に従ってレーザー光源122を駆動する。
蛍光体ホイール125は、レーザー光源121から射出された青色光を補色となる黄色光に変換する。黄色光は、本発明の「所定色の色光」に相当する。分光部126は蛍光体ホイール125から入射された黄色光を赤色光と緑色光とに分離する。赤色光は、本発明の「第2の色光」又は「第3の色光」に相当し、緑色光は、本発明の「第3の色光」又は「第2の色光」に相当する。拡散板128は、レーザー光源122から射出された青色光を拡散させる。
【0019】
レーザー光源121から射出された青色光は、蛍光体ホイール125の蛍光体に入射され、黄色光に変換される。変換された黄色光は分光部126に入射され、黄色光を波長成分により赤色光と緑色光とに分離される。分光部126により分離された赤色光及び緑色光は、それぞれ光変調部130に入射され、赤色の画像光及び緑色の画像光に変調される。
【0020】
また、レーザー光源122から射出された青色光は、拡散板128に入射され、拡散板128によって拡散される。拡散板128により拡散された青色光は、光変調部130に入射され、青色の画像光に変調される。光変調部130により変調された青色、赤色及び緑色の画像光は、不図示のクロスダイクロイックプリズム等の合成光学系によって合成され、投射光学系により投射面180に投射される。
【0021】
光源駆動部153は、制御部110の制御に従ってレーザー光源ドライバー123、124を制御し、レーザー光源121、122の点灯及び消灯と、レーザー光源121、122が射出する光の輝度とを制御する。
【0022】
光変調部130は、光源部120から入射された青色光、赤色光及び緑色光を変調して画像光を生成し、生成した画像光を投射光学系140に出力する。光変調部130の具体的な構成は、例えば、赤色、緑色及び青色の3原色に対応した3枚の透過型又は反射型の液晶パネルを用いた方式や、DLP(Digital Light Processing)方式であってもよい。
【0023】
本実施形態では、光変調部130が赤色、緑色及び青色の3原色の色光に対応した3枚の透過型の液晶パネルを備える構成である場合について説明する。青色光を変調する液晶パネルをBパネル131と表記し、赤色光を変調する液晶パネルをRパネル133と表記し、緑色光を変調する液晶パネルをGパネル135と表記する。
【0024】
Bパネル131、Rパネル133及びGパネル135の各々は、複数の画素がマトリクス状に配置された構成を備え、各画素は液晶パネルドライバー155により駆動される。
【0025】
液晶パネルドライバー155は、後述する画像処理部165から入力された画像信号に基づいて、Bパネル131、Rパネル133及びGパネル135の各々を構成する各画素を駆動する駆動電圧を生成する。液晶パネルドライバー155は、生成した駆動電圧を不図示の透明電極に印加してBパネル131、Rパネル133及びGパネル135を構成する各画素の透過率を調整し、Bパネル131、Rパネル133及びGパネル135に画像を描画する。光変調部130により変調された赤色光、緑色光及び青色光の各色光は、クロスダイクロイックプリズムにより合成されて画像光となり、投射光学系140に射出される。
【0026】
投射光学系140は、光変調部130で変調された画像光を投射面180に投射して結像させるためのレンズ群を備える。投射光学系140は、不図示のモーターの回転によってレンズ群が駆動され、ズーム、フォーカス及び絞りの調整が行われる。レンズ群及びモーターの図示は省略する。投射光学系140は、手動の操作によりレンズ群を動かしてズーム、フォーカス及び絞りの調整が行われる構成であってもよい。
【0027】
また、プロジェクター100は、操作部171、表示部173、リモコン受光部175、測定部177及び入出力インターフェイス179を備える。操作部171、表示部173、リモコン受光部175及び測定部177の各々は、入出力インターフェイス179に接続される。また、入出力インターフェイス179は、バス101に接続され、同じくバス101に接続された制御部110とバス101を介してデータの送受信を行う。
【0028】
操作部171は、プロジェクター100の筐体表面に設けられた各種のボタンやスイッチを備え、これらのボタンヤスイッチの操作に対応した操作信号を生成して入出力インターフェイス179に出力する。入出力インターフェイス179は、操作部171から入力された操作信号を制御部110に出力する。
【0029】
表示部173は、LCD(liquid crystal display)等の表示パネルを備え、制御部110の制御により画像や図形、文字等を表示する。また、表示パネルの下に操作部171としてのタッチパネルを重ねて配置し、タッチされた表示パネルの位置をタッチパネルにより検出可能な構成としてもよい。
【0030】
リモコン受光部175は、リモコン5から送信される赤外線信号を受光し、受光した赤外線信号をデコードして操作信号を生成して入出力インターフェイス179に出力する。入出力インターフェイス179は、リモコン受光部175から入力された操作信号を制御部110に出力する。
【0031】
測定部177は、投射部150により画像光が投射された投射面180を撮像し、画像光が投射面180で結像した画像の色を測定する。本実施形態の測定部177は、赤色、緑色及び青色の各色について測定する。
【0032】
図2は、測定部177の構成を示す構成図である。
ここで、図2を参照しながら測定部177の構成について説明する。測定部177は、フィルター部210、撮像部220及びA/D変換部230を備える。撮像部220は、撮像レンズ221、カラーフィルター222及び受光素子223を備えたRGBカメラにより構成される。撮像部220は、画像光が投射面180で結像した画像の色を、RGB表色系を構成する各色で測定する。RGB表色系は、本発明の「第1表色系」に相当する。
【0033】
フィルター部210は、Zフィルター211と、Zフィルター211を固定する固定部材212とを備え、撮像レンズ221の前面に設けられる。Zフィルター211は、本発明の「第1光学フィルター」に相当する。Zフィルター211は、測定部177が備える光学フィルター240の一部を構成する。光学フィルター240は、Zフィルター211とカラーフィルター222とから構成される。
【0034】
Zフィルター211は、受光素子223の受光特性を変更する光学フィルターである。Zフィルター211は、予め設定された波長域において、撮像部220分光透過率特性を人の目の特性に近づける特性を有している。具体的には、Zフィルター211の分光透過率は、カラーフィルター222の分光透過率との積により等色関数z(λ)の分光透過率特性となるように調整されている。つまり、Zフィルター211及びカラーフィルター222を透過した色光の分光透過率が、等色関数z(λ)の分光感度に一致するようにZフィルター211の分光透過率が調整されている。従って、Zフィルター211及びカラーフィルター222を透過した色光を撮像部220で撮像することで、XYZ表色系の3刺激値のZ成分であるZ値を測定することができる。等色関数は、人間の目の分光感度分布を再現するように構成された関数であり、国際照明委員会であるCIEによって規格化されている。CIEの規格では、等色関数は人間が3次元の色座標を持っていることを反映して、x(λ)、y(λ)及びz(λ)の3つの等色関数が規定されている。λは、波長を示す。また、XYZ表色系は、CIE1931表色系とも呼ばれ、本発明の「第2表色系」に相当する。
【0035】
フィルター部210は、カラーフィルター222の前面の第1位置にZフィルター211が位置するように設置される。本実施形態のZフィルター211は、その特性により、カラーフィルター222の前面に固定設置可能であるが、測定部177にスライド自在に保持されてもよい。その場合、フィルター部210は、モーターの駆動により、スライドレールに沿って移動し、第1位置と第2位置とに移動する。第2位置は、カラーフィルター222の前面にZフィルター211が位置しない位置である。すなわち、フィルター部210が第2位置にある場合、光がZフィルター211を透過することなくカラーフィルター222に入射される。Zフィルター211が第1位置にある場合、Zフィルター211を透過した光が、Rフィルター251、Gフィルター253及びBフィルター255のいずれかを透過し、透過した光が、受光素子223を構成する画素のいずれかに受光される。
【0036】
撮像レンズ221は、撮像レンズ221を通った光を、受光素子223を構成する各素子に集光させる集光レンズである。
【0037】
カラーフィルター222は、撮像レンズ221により集光された光のうち、特定の波長の光を透過させて分光する。図3は、カラーフィルター222を構成する各フィルターの配置の一例を示す図である。カラーフィルター222は、赤色光を透過するRフィルター251、緑色光を透過させるGフィルター253及び青色光を透過させるBフィルター255の3種類のフィルターが所定のパターンで2次元的に配置された構成を有する。Bフィルター255は、本発明の「第2光学フィルター」に相当する。また、Rフィルター251は、本発明の「第3光学フィルター」に相当し、Gフィルター253は、「第4光学フィルター」に相当する。
【0038】
第2光学フィルターであるBフィルター255は、青色光の波長域、例えば、445nm以上、465nm以下の波長域で透過率がピークを示す透過率特性を有する。また、第3光学フィルターであるRフィルター251は、赤色光の波長域、例えば、620nm以上、750nm以下の波長域で透過率がピークを示す透過率特性を有する。また、第4光学フィルターであるGフィルター253は、緑色光の波長域、例えば、495nm以上、570nm以下の波長域で透過率がピークを示す透過率特性を有する。
【0039】
受光素子223は、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーにより構成され、各々が光電変換素子を備える複数の画素を2次元的に配列した構成を備える。
受光素子223を構成する各画素は、カラーフィルター222のRフィルター251、Gフィルター253及びBフィルター255のいずれかに対応付けられる。受光素子223は、Rフィルター251、Gフィルター253及びBフィルター255のいずれかを通過した光を画素ごとに光電変換し、受光量に対応した電荷を蓄積する。受光素子223は、所定のタイミングで入力される信号に基づいて蓄積電荷に対応した電圧のアナログ信号を順次出力する。
【0040】
また、Zフィルター211は、受光素子223を構成する画素の各々に対応して配置される。すなわち、Zフィルター211を透過した光が、Rフィルター251、Gフィルター253及びBフィルター255のいずれかを透過し、透過した光が、受光素子223を構成する画素のいずれかに受光される。
【0041】
A/D変換部230は、受光素子223が出力したアナログ信号に対して、例えばサンプリング、ゲイン調整、A/D変換等の処理を行ってデジタル信号を出力する。A/D変換部230により変換されたデジタル信号は、測定値として制御部110に入力される。
【0042】
なお、図2には、フィルター部210は、撮像レンズ221の前面に設けた構成を示すが、Zフィルター211と、カラーフィルター222の間に設けた構成であてもよい。
【0043】
次にプロジェクター100の画像処理系について説明する。
プロジェクター100は、インターフェイス161、フレームメモリー163、画像処理部165及び制御部110を画像処理系として備える。
【0044】
インターフェイス161は、有線接続用のコネクターと、このコネクターに対応したインターフェイス回路とを備え、プロジェクター100に画像データを供給する画像供給装置に有線接続される。図1において、コネクター及びインターフェイス回路の図示は省略する。インターフェイス161は、画像供給装置から受信した画像データを画像処理部165に出力する。
図1には、プロジェクター100と画像供給装置とを有線接続した場合を示すが、プロジェクター100と画像供給装置とを無線により接続してもよい。また、画像データは、画像供給装置から受信した画像データであってもよいし、制御部110のメモリー111に予め記憶された画像データであってもよい。
【0045】
画像処理部165は、画像データをフレームメモリー163に展開する。フレームメモリー163は、複数のバンクを備える。各バンクは、画像データの1フレームを書き込み可能な記憶容量を有する。フレームメモリー163は、例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)により構成される。
【0046】
画像処理部165は、フレームメモリー163に展開した画像データに対して、例えば、解像度変換処理又はリサイズ処理、歪曲収差の補正、形状補正処理、デジタルズーム処理、画像の色合いや輝度の調整等の画像処理を行う。画像処理部165は、制御部110により指定された処理を実行し、必要に応じて、制御部110から入力されるパラメーターを使用して処理を行う。また、画像処理部165は、上記のうち複数の画像処理を組み合わせて実行することも勿論可能である。画像処理部165は、画像処理の終了した画像データをフレームメモリー163から読み出し、画像信号として液晶パネルドライバー155に出力する。
【0047】
制御部110は、メモリー111及びプロセッサー113及びその他周辺回路を備える。図1において、周辺回路の図示は省略する。メモリー111は、記憶装置である。メモリー111は、不揮発性の記憶装置により構成してもよいし、不揮発性の記憶装置及び揮発性の記憶装置により構成してもよい。不揮発性の記憶装置は、例えば、EEPROMやフラッシュメモリー等の半導体メモリーにより構成することができる。揮発性の記憶装置は、例えば、RAMにより構成することができる。メモリー111は、プロセッサー113が実行する制御プログラムや、画像処理に用いるパラメーター等を記憶する。
【0048】
プロセッサー113は、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーで構成されてもよい。また、プロセッサー113は、メモリー111の一部または全部と、その他の回路と統合されたSoC(System on a chip)で構成されてもよい。さらに、プロセッサー113は、プログラムを実行するCPUと、演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組合せにより構成してもよい。また、プロセッサー113の機能の全てを、ハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0049】
また、制御部110及び画像処理部165は、それぞれ独立して又は一体的にFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路で構成してもよい。また、制御部110及び画像処理部165は、それぞれ独立して又は一体的にプログラムを実行して所定の機能を実現するCPU(Central Processing Unit)、MPU(Microprocessor unit)で構成してもよい。
【0050】
プロセッサー113は、メモリー111が記憶する制御プログラムを実行して、プロジェクター100の各部を制御する。例えば、プロセッサー113は、操作部171やリモコン5により受け付けた操作に対応した画像処理の実行指示と、この画像処理に用いるパラメーターとを画像処理部165に出力する。パラメーターには、例えば、投射面180に投射する画像の幾何的な歪みを補正する幾何補正パラメーター等が含まれる。また、プロセッサー113は、光源駆動部153を制御してレーザー光源ドライバー123、124を制御し、レーザー光源121、122の点灯と消灯とを制御し、輝度を調整する。幾何補正パラメーターは、一般的に知られたパラメーターであるため、幾何補正パラメーターの詳細については説明を省略する。
【0051】
また、プロセッサー113は、補正パラメーター生成部115を機能ブロックとして備える。機能ブロックとは、プロセッサー113が、プログラムに従った制御動作を実行することで実現される機能に対応したブロックである。
【0052】
補正パラメーター生成部115は、画像の色合いを補正する補正パラメーターを生成する。補正パラメーター生成部115は、生成した補正パラメーターを画像処理部165に出力する。
【0053】
プロジェクター100は、投射部150が投射面180に投射した画像を撮像部220で撮像して画像の色を測定し、測定した色に基づいて投射部150が投射する画像の色を補正する色補正を行う。画像処理部165は、補正パラメーターを用いて、画像データの明るさや色合いを補正する補正処理を行う。
【0054】
図4は、測定値、変換値及び目標値を示す変数を示す。測定値、変換値及び目標値の詳細については後述する。以下、図4を参照しながらプロジェクター100の動作を説明する。
制御部110のメモリー111には、色補正の目標値が記憶されている。プロジェクター100の出荷前に、原色光を投射部150により投射して、専用の測色機により投射面180で結像した画像を測色して目標値を得る。原色光は、赤の単色光であるR光、緑の単色光であるG光、及び青の単色光であるB光である。測色機は、投射面180で結像した画像を測色し、XYZ表色系の三刺激値であるX値、Y値及びZ値を測色値として出力する。R光を測色機により測色した場合の測色値を(X、Y、Z)と表記する。X、Y及びZと共に表記した小文字「r」は、R光を測色して得た測色値であることを示す。同様に、G光を測色機により測色した場合の測色値を(X、Y、Z)と表記する。X、Y及びZと共に表記した小文字「g」は、G光を測色して得た測色値であることを示す。また、B光を測色機により測色した場合の測色値を(X、Y、Z)と表記する。X、Y及びZと共に表記した小文字「b」は、光を測色して得た測色値であることを示す。また、メモリー111に記憶された目標値を(Xr0、Yr0、Zr0)、(Xg0、Yg0、Zg0)及び(Xb0、Yb0、Zb0)と表記する。(Xr0、Yr0、Zr0)、(Xg0、Yg0、Zg0)及び(Xb0、Yb0、Zb0)を総称する場合に、目標値Xと表記する。
【0055】
プロジェクター100は、プロジェクター100がR光、G光、及びB光をそれぞれ投射した投射面180をプロジェクター100の撮像部220により撮像する。撮像部220は、RGBカメラにより構成されるため、撮像部220の撮像画像により、R値、G値及びB値が測定値として得られる。以下、撮像画像により得られた測定値をRと表記する。R光の投射を撮像部220により撮像した場合の測定値を(Rr1、Gr1、Zr1)と表記し、G光の投射を撮像部220により撮像した場合の測定値を(Rg1、Gg1、Zg1)と表記し、B光の投射を撮像部220により撮像した場合の測定値を(Rb1、Gb1、Zb1)と表記する。小文字「r」、「g」及び「b」については、X値、Y値及びZ値の場合と同様である。
【0056】
また、メモリー111には、変換パラメーターMが記憶される。変換パラメーターMは、測定値(Rr1、Gr1、Zr1)、(Rg1、Gg1、Zg1)及び(Rb1、Gb1、Zb1)を、XYZ値に変換する3行3列の行列式である。変換パラメーターMの算出式を式(1)に示す。
【0057】
【数1】
【0058】
ここで、色補正の目標値をRGB値ではなく、XYZ表色系のXYZ値により設定する理由について説明する。図5は、撮像部220の分光感度特性と、等色関数の分光感度特性とを示す図である。
図5に実線で示す曲線301は、B光を撮像した撮像部220の分光感度を示す。また、破線で示す曲線302は、等色関数z(λ)の分光感度を示す。また、実線で示す曲線303は、G光を撮像した撮像部220の分光感度を示す。また、破線で示す曲線304は、等色関数y(λ)の分光感度を示す。また、実線で示す曲線305は、R光を撮像した撮像部220の分光感度を示す。また、破線で示す曲線306は、等色関数x(λ)の分光感度を示す。なお、図5は、曲線303で示すG光を撮像した撮像部220の分光感度と、曲線304で示す等色関数y(λ)の分光感度との光強度の最大値が「1.0」となるように正規化した状態を示している。
【0059】
一般的に、撮像部220の分光感度と、等色関数の分光感度とは、図5に示すように一致しない場合が多い。等色関数は、人間の目の感度分布を示す関数であり、人が実際に目で見た感度に近い特性となる。このため、撮像部220の撮像結果に基づいて色補正を行うと、撮像部220の分光感度と、等色関数の分光感度とが近似していないと、人間の目で見ると好ましい補正結果にならない場合がある。このため、色補正の目標値を、XYZ表色系の3刺激値であるXYZ値により設定しておき、撮像部220の撮像画像から得られた測定値RをXYZ値に変換する。測定値Rを変換した値を変換値X 表記する。変換値Xと目標値Xとに基づいて補正パラメーターを生成する。これにより人間の目の感度分布に従った感度で色補正を行うことができる。
【0060】
ところで、レーザー光源121、122は、経年劣化や温度変化の影響により波長スペクトルに変化が生じる。波長スペクトルに変化が生じた場合、撮像部220の撮像画像から得られたR値をX値に変換すると、変換したX値に誤差が含まれ、正確な測定結果が得られない場合がある。
【0061】
本実施形態のプロジェクター100は、レーザー光源122から射出され、拡散板128で拡散されたB光を光変調部130に入射させて変調し、画像光を生成する構成である。つまり、B光は、レーザー光源122が射出した光をそのまま用いている。このため、レーザー光源122の温度変化や経時変化等が生じた場合、B光のスペクトルに変形が生じ、ピークを示す波長位置がシフトしてしまう場合がある。
【0062】
図6は、投射部150が投射した光の分光波長特性を示す図である。図6の横軸は波長であり、縦軸は光強度である。また、波長の単位はナノメートルであり、光強度の単位は任意単位とする。図6に実線で示す曲線311は、B光の分光波長特性を示し、破線で示す曲線312は、G光の分光波長特性を示し、一点鎖線で示す曲線313は、R光の分光波長特性を示す。B光の分光波長特性を示す波形は、図6に示すように、460nm付近において急峻にピークが立ち、半値幅が狭い波形となる。これに対してR光及びG光の分光波長特性を示す波形は、ピークが立った波形とはならず、また、半値幅が広い波形となる。
【0063】
また、プロジェクター100は、レーザー光源121が射出したB光を蛍光体ホイール125で黄色光に変換し、変換した黄色光を波長成分により赤色光と緑色光とに分離してR光やG光を生成する。図6に示すように、R光やG光は、半値幅が広く、温度変化や経年劣化によりスペクトル形状や、ピーク波長のシフトが生じても、撮像部220が撮像した画像により求められる測定値に生じる誤差は小さい。
【0064】
図7は、図6の一部拡大図であり、B光の分光波長特性の435以上、475nm以下の範囲を示す図であり、さらに、B光のピークを示す波長位置がシフトした状態を示す図である。図7に示す曲線321は、ピークを示す波長位置がシフトする前のB光の分光波長特性を示し、曲線323は、ピークを示す波長位置がシフトした後のB光の分光波長特性を示す。さらに、図7において、ハッチングを施して示す波長範囲320は、B光の波長のシフト範囲を示す。
【0065】
また、図7において、実線で示す曲線301は、撮像部220の分光感度を示す。破線で示す曲線302は、等色関数z(λ)の分光感度を示す。つまり、曲線302は、人間の目の感度に対応する。図7において、曲線301が曲線321に交差する位置は、曲線302が曲線321に交差する位置よりも低い。すなわち、B光の分光波長特性が曲線321である場合、撮像部220が撮像した撮像画像は、人間の目が感じるよりもB光を暗く撮像する。
【0066】
また、図7において、曲線301が曲線323に交差する位置での光強度は、曲線302が曲線323に交差する位置での光強度よりも高い。すなわち、B光の分光波長特性が曲線323である場合、撮像部220が撮像した撮像画像は、人間の目が感じるよりもB光を明るく撮像する。
【0067】
このため本実施形態のプロジェクター100は、撮像部220の前面に等色関数Z(λ)の特性を作るZフィルター211を設け、撮像部220により3刺激値のうちのZ値を測定するように構成した。
【0068】
図8は、Zフィルター211を備えた測定部177の分光感度特性を示す図である。
図8に示す一点鎖線で示す曲線301は、撮像部220の分光感度特性、すなわちBフィルター255の分光透過率に対応する。また、図8に破線で示す曲線302は、等色関数z(λ)の分光感度特性を示す。また、図8に実線で示す曲線340は、Zフィルター211及びBフィルター255により構成された光学フィルター240の分光透過率を示す。Zフィルター211は、Bフィルター255と共に、B光の波長域において、青色の透過率特性を、XYZ表色系のZ値の透過率特性に変換するフィルターである。すなわち、光学フィルター211は、B光の波長域における、RGB表色系を構成する青色に関する分光感度特性を、XYZ表色系を構成する等色関数z(λ)の分光感度特性に対応させる透過率特性を有する。
【0069】
また、Zフィルター211の分光透過率は、カラーフィルター222を構成するBフィルター255の分光透過率との積により等色関数z(λ)の分光感度に一致又はほぼ一致するように調整されている。すなわち、フィルター211及びBフィルター255により構成される光学フィルターの分光透過率は、等色関数z(λ)の分光感度に一致又はほぼ一致する。このため、Zフィルター211及びカラーフィルター222を透過したB光を撮像部220で撮像した場合、撮像部220の分光感度は、等色関数z(λ)の分光感度に一致又はほぼ一致する。従って、投射部150が投射する色光を測定部177により人間の目の感度に近い感度で測定することができ、B光の波長のばらつきの影響を受けない高精度な測定が可能になる。
【0070】
また、Zフィルター211は、予め設定された波長範囲、例えば、B光の波長域である445nm以上、465nm以下の範囲において、カラーフィルター222の分光透過率との積により等色関数z(λ)の分光感度となるように調整されている。このため、すべての可視光域において、撮像部220の分光感度が等色関数z(λ)の分光感度に一致するように分光透過率を調整されたZフィルター211を作成するよりも、Zフィルター211の作成が容易になる。
【0071】
図9は、測定部177が備える光学フィルター240の分光透過率を示す図である。
図9に破線で示す曲線301、303、305は、図5に示す曲線301、303、305と同様、B光を撮像した撮像部220の分光感度、すなわち、Bフィルター255、Gフィルター253、Rフィルター251の分光透過率に対応する。さらに、図9に一点鎖線で示す曲線341は、Zフィルター211の分光透過率を示す。また、図9に実線で示す曲線343は、Zフィルター211及びBフィルター255により構成される光学フィルター240の分光透過率を示す。
【0072】
図9を参照すると明らかなように、Zフィルター211の分光透過率は、B光の波長域である445nm以上、465nm以下の範囲において、透過率が0%となるようなことはなく、B光のスペクトル特性に対応して所定の透過率を有する。また、Zフィルター211の分光透過率は、B光の波長域において、波長が長波長になるほど、透過率が低下するように設定されている。また、Zフィルター211の分光透過率は、B光の波長域での透過率が、R光及びG光の波長域の透過率よりも高くなるように設定されている。また、Zフィルター211の分光透過率は、B光の波長域の上限である465nmよりも大きい波長域、すなわち、R光及びG光の波長域において予め設定された透過率となるように設定されており、R光及びG光を遮断することなく少なくとも一部のR光及びG光を透過させる。このため、曲線343で示す光学フィルター240の分光透過率は、R光及びG光の波長域において0%ではなく、所定の透過率となる。
【0073】
図10は、プロジェクター100の動作を示すフローチャートである。
図10を参照しながらプロジェクター100の動作を説明する。
制御部110は、例えば、撮像部220による前回の画像の測定から予め設定された時間が経過した場合、又はリモコン5や操作部171により色補正の操作を受け付けると、赤色の単色光であるR光を投射部150に投射させる(ステップS1)。例えば、制御部110は、Bパネル131及びGパネル135の透過率が0%、Rパネル133の透過率が100%となるように画像処理部165を制御してもよい。具体的には、制御部110は、画像処理部165に、赤色単色の画像データを処理させ、処理後の画像データに対応した画像信号を液晶パネルドライバー155に出力させる。赤色単色に対応した画像信号を入力した液晶パネルドライバー155は、Bパネル131及びGパネル135の透過率が0%、Rパネル133の透過率が100%となるように制御する。
【0074】
また、制御部110は、光源駆動部153を制御してレーザー光源122を消灯させ、レーザー光源121だけを点灯させてもよい。このとき、制御部110は、Gパネル135の透過率が0%、Rパネル133の透過率が100%となるように画像処理部165を制御する。
【0075】
次に、制御部110は、測定部177に測定を実行させ、測定部177から測定値を取得する(ステップS2)。ここでは、制御部110は、測定値としてR成分であるRr1、G成分であるGr1、Z成分であるZr1を取得する。ステップS2は、本発明の「測定ステップ」に相当する。図4に示す測定値(Rr1、Gr1、Zr1)が得られる。「Rr1」及び「Gr1」は、本発明の「第1測定値」に相当し、Zr1は、本発明の「第2測定値」に相当する。
【0076】
Zフィルター211は、B光の波長域よりも長波長の領域であるR光の波長域において、所定の透過率で光を透過させる透過率特性を有している。このため、Zフィルター211を撮像レンズ221の前面に配置しても、撮像部220によりR光の光強度を測定することが可能となる。
【0077】
測定値Rr1は、Zフィルター211及びカラーフィルター222のRフィルター251を通過したR光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。測定値Gr1は、Zフィルター211及びカラーフィルター222のGフィルター253を通過したR光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。また、測定値Zr1は、Zフィルター211及びカラーフィルター222のBフィルター255を通過したR光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。
【0078】
次に、制御部110は、投射面180に投射する色光をR光からG光に変更し、G光を投射面180に投射させる(ステップS3)。例えば、制御部110は、Bパネル131及びRパネル133の透過率が0%、Gパネル135の透過率が100%となるように画像処理部165を制御する。また、制御部110は、青色光の生成に使用されるレーザー光源122を消灯させ、レーザー光源121だけを点灯させてもよい。このとき、制御部110は、Rパネル133の透過率が0%、Gパネル135の透過率が100%となるように画像処理部165を制御する。
【0079】
次に、制御部110は、測定部177に測定を実行させ、測定部177から測定値を取得する(ステップS4)。ここでは、制御部110は、測定値としてR成分であるRg1、G成分であるGg1、Z成分であるZg1を取得する。ステップS4は、本発明の「測定ステップ」に相当する。図4に示す測定値(Rg1、Gg1、Zg1)が得られる。「Rg1」及び「Gg1」は、本発明の「第1測定値」に相当し、Zg1は、本発明の「第2測定値」に相当する。
【0080】
Zフィルター211は、B光の波長域よりも長波長の領域であるG光の波長域において、所定の透過率で光を透過させる透過率特性を有している。このため、Zフィルター211を撮像レンズ221の前面に配置しても、撮像部220によりG光の光強度を測定することが可能となる。
【0081】
測定値Rg1は、Zフィルター211及びカラーフィルター222のRフィルター251を通過したG光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。測定値Gg1は、Zフィルター211及びカラーフィルター222のGフィルター253を通過したG光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。また、測定値Zg1は、Zフィルター211及びカラーフィルター222のBフィルター255を通過したG光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。
【0082】
次に、制御部110は、投射面180に投射する色光をG光からB光に変更し、B光を投射面180に投射させる(ステップS5)。例えば、制御部110は、Rパネル133及びGパネル135の透過率が0%、Bパネル131の透過率が100%となるように画像処理部165を制御する。また、制御部110は、R光及びG光の生成に使用されるレーザー光源121を消灯させ、レーザー光源122だけを点灯させてもよい。Zフィルター211の分光透過率は、B光の波長域の透過率が、R光及びG光の波長域の透過率よりも高くなるように設定されている。
【0083】
次に、制御部110は、測定部177に測定を実行させ、測定部177から測定値を取得する(ステップS6)。ここでは、制御部110は、測定値としてR成分であるRb1、G成分であるGb1、Z成分であるZb1を取得する。ステップS6は、本発明の「測定ステップ」に相当する。図4に示す測定値(Rb1、Gb1、Zb1)が得られる。「Rb1」及び「Gb1」は、本発明の「第1測定値」に相当し、Zb1は、本発明の「第2測定値」に相当する。
【0084】
Zフィルター211及びBフィルター255により構成される光学フィルター240は、B光の波長域において、青色に関する分光感度特性を、XYZ表色系の等色関数z(λ)の分光感度特性に対応させる特性を有している。
【0085】
測定値Rb1は、Rフィルター251を通過したB光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。測定値Gb1は、Gフィルター253を通過したB光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。また、測定値Zb1は、Zフィルター211及びカラーフィルター222のBフィルター255を通過したB光を受光した受光素子223の出力に対応した測定値である。
【0086】
次に、制御部110は、R光、G光及びB光の各々を投射面180に投射して測定した測定値であるR値をX値に変換する(ステップS7)。この変換により図4に示す変換値(Xr1、Yr1、Z’r1)(Xg1、Yg1、Z’g1)及び(Xb1、Yb1、Z’b1)が得られる。制御部110は、以下に示す変換式(2)により、R値をXZ’値に変換する。Xr1、Yr1、Z’r1、Xg1、Yg1、Z’g1及びXb1、Yb1、Z’b1は、本発明の「変換値」に相当する。
【0087】
値のうちのR値は、R光を投射して測定したRr1と、G光を投射して測定したRg1と、B光を投射して測定したRb1とを含む。また、R値のうちのG値は、R光を投射して測定したGr1と、G光を投射して測定したGg1と、B光を投射して測定したGb1とを含む。また、R値のうちのZ値は、R光を投射して測定したZr1と、G光を投射して測定したZg1と、B光を投射して測定したZb1とを含む。
また、変換後の値であるX値のうちのX値は、R成分であるXr1と、G成分であるXg1と、B成分であるXb1とを含む。また、変換後の値であるX値のうちのY値は、R成分であるYr1と、G成分であるYg1と、B成分であるYb1とを含む。
【0088】
【数2】
【0089】
上記式(2)においてZ’r1は、式(2)による演算後のZ値のR成分である。また、Z’g1は、式(2)による演算後のZ値のG成分である。また、Z’b1は、式(2)による演算後のZ値のB成分である。
【0090】
制御部110は、測定部177の測定値であるR値をX値に変換すると、変換したX値と、目標値Xとに基づいて、色補正に用いる補正パラメーターを算出する(ステップS8)。ステップS8は、本発明の「生成ステップ」に相当する。変換値(Xr1、Yr1、Z’r1)と、目標値(Xr0、Yr0、Zr0)とに基づいて補正パラメーターが算出される。同様に、変換値(Xg1、Yg1、Z’g1)と、目標値(Xg0、Yg0、Zg0)とに基づいて補正パラメーターが算出される。同様に、変換値(Xb1、Yb1、Z’b1)と、目標値(Xb0、Yb0、Zb0)とに基づいて補正パラメーターが算出される。制御部110は、算出した補正パラメーターをメモリー111に保存する。
【0091】
制御部110は、画像供給装置からの画像データの供給が開始されると、メモリー111から補正パラメーターを読み出し、読み出した補正パラメーターを画像処理部165に出力する。
【0092】
画像処理部165は、インターフェイス161が受信した画像データをフレームメモリー163に展開する。画像処理部165は、制御部110から取得した補正パラメーターを用いて、展開した画像データの明るさや色合いを補正する補正処理を行う(ステップS9)。画像処理部165は、補正処理が終了すると、フレームメモリー163に展開された画像データを読み出し、画像信号として液晶パネルドライバー155に出力する。液晶パネルドライバー155は、画像処理部165から入力された画像信号に基づいて駆動電圧を生成する。液晶パネルドライバー155は、生成した駆動電圧によりBパネル131、Rパネル133及びGパネル135を駆動し、Bパネル131、Rパネル133及びGパネル135に画像を描画する。これにより補正パラメーターにより補正された画像光が投射面180に投射される(ステップS10)。
【0093】
以上説明したように本実施形態のプロジェクター100は、固体光源としてのレーザー光源121、122と、光源光学系127と、光変調部130と、投射部150と、測定部177と、補正パラメーター生成部115とを備える。
【0094】
レーザー光源121、122は、第1の色光としての青色光を発する。
光源光学系127は、レーザー光源122が発する青色光を蛍光体ホイール125に当てることで所定色の色光である黄色光を得る。また、光源光学系127は、得られた黄色光を赤色光と緑色光とに分離する。
光変調部130は、赤色光、緑色光及び青色光を変調する。
投射部150は、光変調部130により変調された赤色光、緑色光及び青色光を合成した画像光を投射面180に投射する。
測定部177は、投射面180に結像した画像光の色を、第1表色系であるRGB表色系を構成するR及びの色で測定する。また、測定部177は、XYZ表色系を構成する3刺激値のZ値を測定する。
補正パラメーター生成部115は、測定部177が測定したRGB表色系の色の測定値をXYZ表色系の色に変換した変換値を求める。また、補正パラメーター生成部115は、求めた変換値と、測定部177が測定したZ値とに基づいて補正パラメーターを生成する。
また、測定部177は、B光の波長域において、B光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルター240を備える。
従って、画像光の色を精度よく測定して画像光の色補正を行うことができる。
【0095】
また、光学フィルター240は、測定部177の分光感度特性のうち、B光の波長域における、RGB表色系を構成する色に関する分光感度特性を、XYZ表色系を構成する色の等色関数に対応させる透過率特性を有している。
従って、投射面180に結像した画像光の色のうち、XYZ表色系の色を測定部177により測定することができる。
【0096】
光学フィルター240は、第1光学フィルターとしてのZフィルター211と、第2光学フィルターとしてのBフィルター255とを備える。
Bフィルター255は、B光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性を有する。
Zフィルター211は、Bフィルター255の透過率特性と組み合わされて、B光の波長域において、青色に関する分光感度特性を、XYZ表色系を構成する色の等色関数z(λ)の分光感度に対応させる透過率特性を有する。
従って、撮像部220が備えるカラーフィルター222のBフィルター255にZフィルター211を組み合わせることで、XYZ表色系の色を測定部177により測定することができる。
【0097】
また、Zフィルター211は、青色光の波長域よりも長波長の領域において赤色光及び緑色光を透過させる透過率特性を有する。
従って、Zフィルター211を備える測定部177により赤色光及び緑色光の色を測定することができ、測定時間を短縮することができる。
【0098】
また、Zフィルター211は、青色光の波長域よりも長波長の領域の透過率が、青色光の波長域の透過率よりも低い。
従って、青色光に基づいてXYZ表色系のZ値を精度よく測定することができる。
【0099】
また、測定部177は、受光素子223を備える。
光学フィルター240を構成するカラーフィルター222は、赤色光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性のRフィルター251と、緑色光の波長域で透過率がピークを示す透過率特性のGフィルター253とを備える。
Rフィルター251、Gフィルター253及びBフィルター255は、受光素子223を構成する画素のいずれかに対応付けて配置される。
従って、Rフィルター251を透過した赤色光、及びGフィルター253を透過した緑色光の色を測定することができる。
【0100】
また、Zフィルター211は、受光素子223を構成する画素の各々に対応付けて配置される。
従って、Zフィルター211を透過した色光を受光素子223で受光することができる。
【0101】
また、第1表色系はRGB表色系であり、第2表色系はXYZ表色系であり、測定部177は、RGB表色系を構成するR、Gの色の測定値を出力し、XYZ表色系を構成するX、Y、Zのうち少なくとも1の色であるZの色の測定値を出力する。
従って、測定したR値及びG値をXYZ表色系の色に変換した変換値と、測定したXYZ表色系のZ値をXYZ表色系の色に変換した変換値とに基づいて補正パラメーターを生成することができる
【0102】
[変形例1]
上述したフローチャートの説明では、1台のプロジェクター100が投射する画像光の色を補正する場合を例に説明したが、2台のプロジェクター100が投射する画像光の色合わせを行う場合も本発明を適用可能である。
【0103】
図11は、変形例のシステム構成を示す図である。
例えば、プロジェクター100としてプロジェクター100Aとプロジェクター100Bとの2台のプロジェクター100を用意する。プロジェクター100Aとプロジェクター100Bとは、有線ケーブル又は無線通信により相互に通信可能に接続されている。プロジェクター100Aとプロジェクター100Bとは、投射面180の水平方向に平行に並べられる。
【0104】
また、プロジェクター100Aが投射面180の左側の投射領域に画像光を投射し、プロジェクター100Bが投射面180の右側の投射領域に画像光を投射する。プロジェクター100Aが画像を投射する投射領域を投射領域181という。また、プロジェクター100Bが画像を投射する投射領域を投射領域183という。プロジェクター100Aは、測定部177を備える。この測定部177は、投射領域181及び183を測定できる画角を有する。また、測定部177の撮像部220が撮像した撮像画像から投射領域181と、投射領域183とを区別するため、プロジェクター100Aは、予め設定されたパターン画像を投射領域181に投射して撮像部220により撮像する。そして、プロジェクター100Aは、撮像画像においてパターン画像が撮像された領域を投射領域181として特定する。同様に、プロジェクター100Aは、プロジェクター100Bに、予め設定されたパターン画像を投射領域183に投射させて撮像部220により撮像する。プロジェクター100Aは、撮像画像においてパターン画像が撮像された領域を投射領域183として特定する。
【0105】
プロジェクター100Aは、図10に示すフローチャートに従って投射領域181にR光、G光、B光を順次投射し、測定部177により測定を行う。具体的には、R光が投射された投射領域181を測定してR成分であるRr、G成分であるGr、Z成分であるZrを測定する。また、G光が投射された投射領域181を測定してR成分であるRg、G成分であるGg、Z成分であるZgを測定する。また、B光が投射された投射領域181を測定してR成分であるRb、G成分であるGb、Z成分であるZbを測定する。その後、プロジェクター100Aは、上述した式(2)を用いてRGZ値をXYZ値に変換する。
【0106】
次に、プロジェクター100Aは、プロジェクター100BにR光の投射を指示する。プロジェクター100Bは、プロジェクター100Aの指示に従い、投射領域183にR光を投射する。プロジェクター100Aは、プロジェクター100BがR光を投射すると、測定部177により投射領域183を測定してR成分であるRr、G成分であるGr、Z成分であるZrを測定する。同様に、プロジェクター100Aは、プロジェクター100BがG光を投射すると、測定部177により投射領域183を測定してR成分であるRg、G成分であるGg、Z成分であるZgを測定する。同様に、プロジェクター100Aは、プロジェクター100BがB光を投射すると、測定部177により投射領域183を測定してR成分であるRb、G成分であるGb、Z成分であるZbを測定する。
【0107】
次に、プロジェクター100Aは、上述した式(2)を用いてRGB値をXYZ値に変換する。
【0108】
次に、プロジェクター100Aは、投射領域181の測定値を変換したXYZ値を目標値とし、投射領域183の測定値を変換したXYZ値を目標値に補正パラメーターを生成する。プロジェクター100Aは、生成した補正パラメーターをプロジェクター100Bに送信する。プロジェクター100Bは、プロジェクター100Aから受信した補正パラメーターを用いて画像データを補正し、補正した画像データに基づく画像光を投射領域183に投射する。
【0109】
[変形例2]
また、上述した実施形態では、プロジェクター100に、測定部177と、補正パラメーター生成部115とを設けた構成について説明したが、プロジェクター100の外部に、補正パラメーター生成部115を設けた構成であってもよい。
【0110】
図12は、通信部401及び補正パラメーター生成部402を備える制御装置400と、プロジェクター100とを備える色補正システムのシステム構成図である。制御装置400は、例えば、プロセッサーやメモリーを備えるコンピューターにより実現される。制御装置400は、本発明の「補正パラメーター生成装置」に相当する。
【0111】
通信部401は、有線接続用のコネクターと、このコネクターに対応したインターフェイス回路とを備え、プロジェクター100に有線接続される。コネクター及びインターフェイス回路の図示は省略する。
補正パラメーター生成部402は、プロジェクター100の測定部177が測定した測定値をプロジェクター100から受信する。補正パラメーター生成部402は、受信した測定値R値、G値、B値及びZ値に基づいて補正パラメーターを生成する。補正パラメーター生成部402は、生成した補正パラメーターをプロジェクター100に送信する。
【0112】
補正パラメーター生成部402は、制御プログラムをプロセッサーが実行することで実現してもよいし、FPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路で構成してもよい。
【0113】
また、測定部177に代えて、プロジェクター100の外部に設けられたカメラ等の撮像装置を使用してもよい。例えば、上述した制御装置400に測定部を設けて、この測定部により投射面180に結像した画像光の色を測定してもよい。
【0114】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施の形態である。ただし、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、投射部150により投射面180にR光、G光及びB光を投射したが、R光、G光及びB光の各々の階調を変更して、変更した各階調で測定部177が測定して測定値を出力してもよい。このように構成することで、色補正の精度をさらに高めることができる。
【0115】
また、本発明のプロジェクターの制御方法を、プロジェクター100が備えるコンピューター、又はプロジェクター100に接続した外部装置により実現することも可能である。この場合、本発明のプロジェクターの制御方法を、当該方法を実現するためにコンピューターが実行するプログラムの態様で構成してもよい。また、プロジェクターの制御方法を、このプログラムをコンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体、或いは、このプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。
【0116】
また、図10に示すフローチャートの処理単位は、プロジェクター100の制御部110の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。図10のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が制限されることはない。また、制御部110の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0117】
また、プロセッサー113が実行するプログラムは、メモリー111に限らず、プロジェクター100とは別体として構成される記憶装置や記憶媒体等に記憶しておくことも可能である。また、プロセッサー113が、外部の装置に記憶されたプログラムを取得して実行する構成としてもよい。
【0118】
また、上述した実施形態では、光変調部130が透過型の液晶パネルを備える構成を例にして説明したが、液晶パネルは、反射型の液晶パネルであってもよい。また、液晶パネルに代えてDMD(Digital Micromirror Device)を用いたDLP(Digital Light Processing)によりプロジェクター100を構成してもよい。
【符号の説明】
【0119】
5…リモコン、100、100A、100B…プロジェクター、101…バス、110…制御部、111…メモリー、113…プロセッサー、115…補正パラメーター生成部、120…光源部、121、122…レーザー光源、123、124…レーザー光源ドライバー、125…蛍光体ホイール、126…分光部、127…光源光学系、128…拡散板、130…光変調部、131…Bパネル、133…Rパネル、135…Gパネル、140…投射光学系、150…投射部、153…光源駆動部、155…液晶パネルドライバー、161…インターフェイス、163…フレームメモリー、165…画像処理部、171…操作部、175…リモコン受光部、177…測定部、179…入出力インターフェイス、180…投射面、181…投射領域、183…投射領域、210…フィルター部、211…Zフィルター、212…固定部材、220…撮像部、221…撮像レンズ、222…カラーフィルター、223…受光素子、230…A/D変換部、240…光学フィルター、251…Rフィルター、253…Gフィルター、255…Bフィルター、400…制御装置(補正パラメーター生成装置)、401…通信部、402…補正パラメーター生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12