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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20221109BHJP
   B42F 21/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B42F7/00 G
B42F21/02 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018162181
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020032648
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】土岐 一貴
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-251800(JP,A)
【文献】実開平07-005776(JP,U)
【文献】登録実用新案第3208597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00
B42F 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイル本体と、このファイル本体に設けられ対をなす挟持片間に見出し要素を挟持可能な閉じ姿勢をとり得る見出し要素収納部とを備えたファイルであって、
一方の挟持片の下端部分を折り返して設けられるストッパーと、このストッパーを折り返した状態で安定させ当該ストッパーにより他方の挟持片が前記一方の挟持片から離れる方向に弾性付勢されるのを規制するストッパー固定手段とを具備してなるファイル。
【請求項2】
前記ストッパー固定手段が、前記ストッパーとともに折り返され前記ファイル本体に固定されるストッパー固定要素により構成されている請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記見出し要素収納部の挟持片が、前記ファイル本体の一面に溶着により固定されたものであり、前記ストッパー固定要素も同一面においてファイル本体に溶着により固定されている請求項2記載のファイル。
【請求項4】
前記見出し要素収納部が、前記両挟持片を含む本体領域と、この本体領域に連続するストッパー形成領域に区成されたものであり、
前記ストッパー形成領域には、折り返し線を介して前記本体領域に連続する前記ストッパーと、このストッパーに連設され切り離し線を介して前記本体領域に隣接するストッパー固定要素とが設けられており、前記ストッパーを折り返した状態で前記ストッパー固定要素が前記本体領域から離間するように構成されている請求項2又は3記載のファイル。
【請求項5】
前記見出し要素収納部を展開した状態において、前記切り離し線が、前記折り返し線の一端から上方に伸びる鉛直部分と、この鉛直部分の上端から前記折り返し線と平行に伸びる水平部分とを有するL字状をなしており、前記折り返し線と前記ストッパー固定要素の下端との離間距離を、前記折り返し線と前記切り離し線の水平部分との離間距離よりも短く設定してある請求項4記載のファイル。
【請求項6】
前記見出し要素収納部が、前記両挟持片を含む本体領域を有するものであり、
前記本体領域には、前記ファイル本体の一面に基部が固定された一方の挟持片と、この一方の挟持片の先端に折り曲げ線を介して連続する他方の挟持片とが設けられており、他方の挟持片の先端に設けられた差し込み部のみを前記ファイル本体の一面と前記一方の挟持片との間に差し込むことにより当該見出し要素収納部が閉じ姿勢となるように構成されており、前記差し込み部が、中央部分が他の部分よりも先方に突出するように湾曲した形状をなしている請求項1、2、3、4又は5記載のファイル。
【請求項7】
前記見出し要素収納部が、前記両挟持片を含む本体領域を有するものであり、
前記本体領域には、前記ファイル本体の一面に基部が固定された一方の挟持片と、この一方の挟持片の先端に折り曲げ線を介して連続する他方の挟持片とが設けられており、他方の挟持片の先端に設けられた差し込み部のみを前記ファイル本体に形成したスリットに差し込むことにより当該見出し要素収納部が閉じ姿勢となるように構成され、前記差し込み部が、中央部分が他の部分よりも先方に突出するように湾曲した形状をなしている請求項1、2、3、4又は5記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見出し要素収納部を有するファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のファイルとして、表紙等を有するファイル本体と、このファイル本体に設けられ対をなす挟持片間に見出し要素を挟持可能な閉じ姿勢をとり得る見出し要素収納部とを備えたものが開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、単にこれだけのものでは、温度条件など種々の悪条件が重なると、閉じ姿勢で使用している内に見出し要素収納部が膨らんで挟持片間に隙間が形成されることがある。このような隙間ができても、見出し要素が粘着性を有する付箋等の場合には大きな問題になり難いが、粘着性を有しない見出し用紙を用いた場合等には、両挟持片間からその見出し用紙が落下する可能性を否定することができない。
【0004】
このような懸念を払しょくする方策として、例えば、一方の挟持片の下端部分を折り返してストッパーを形成し、そのストッパーによって両挟持片間からの見出し要素の落下を防止又は抑制することが考えられる。しかしながら、単にこれだけのものであると、折り返したストッパーにより前記他方の挟持片が前記一方の挟持片から離れる方向に弾性付勢されることになり、経時的に見出し要素収納部が膨らんで嵩張ったり見栄えが悪くなったりすることが判明した(第1の課題)。
【0005】
また、前記見出し要素収納部が、ファイル本体の一面に基部が固定された一方の挟持片(基片)と、この一方の挟持片の先端に折り曲げ線を介して連続する他方の挟持片(先片)とを備え、先片の先端に設けられた差し込み部のみを前記ファイル本体の一面と基片との間に差し込むことにより当該見出し要素収納部が閉じ姿勢となるように構成された形式のものでは、先片の差し込み部がストッパーの弾性反発力により外されて閉じ姿勢が解除されてしまう虞もある。さらに、ストッパーが固定されていないと、見出し要素を交換するたびに、弾性反発力により開いたストッパーを元に戻す必要があり、前記差し込み部を前記ファイル本体の一面と基片との間に差し込みにくいという不具合も存在する(第2の課題)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特願2017-060196号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
請求項1~5の発明は、少なくとも前述した第1の課題を解決することを目的としている。また、請求項6~7の発明は、第1の課題に加えて第2の課題をも解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係るファイルは、ファイル本体と、このファイル本体に設けられ対をなす挟持片間に見出し要素を挟持可能な閉じ姿勢をとり得る見出し要素収納部とを備えたファイルであって、一方の挟持片の下端部分を折り返して設けられるストッパーと、このストッパーを折り返した状態で安定させ当該ストッパーにより他方の挟持片が前記一方の挟持片から離れる方向に弾性付勢されるのを規制するストッパー固定手段とを具備してなるものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係るファイルは、請求項1記載のものにおいて、前記ストッパー固定手段が、前記ストッパーとともに折り返され前記ファイル本体に固定されるストッパー固定要素により構成されているものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係るファイルは、請求項2記載のものにおいて、前記見出し要素収納部が、前記ファイル本体の一面に溶着により固定されたものであり、前記ストッパー固定要素も同一面においてファイル本体に溶着により固定されているものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係るファイルは、請求項2又は3記載のものにおいて、前記見出し要素収納部が、前記両挟持片を含む本体領域と、この本体領域に連続するストッパー形成領域に区成されたものであり、前記ストッパー形成領域には、折り返し線を介して前記本体領域に連続する前記ストッパーと、このストッパーに連設され切り離し線を介して前記本体領域に隣接するストッパー固定要素とが設けられており、前記ストッパーを折り返した状態で前記ストッパー固定要素が前記本体領域から離間するように構成されているものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係るファイルは、請求項4記載のものにおいて、前記見出し要素収納部を展開した状態において、前記切り離し線が、前記折り返し線の一端から上方に伸びる鉛直部分と、この鉛直部分の上端から前記折り返し線と平行に伸びる水平部分とを有するL字状をなしており、前記折り返し線と前記ストッパー固定要素の下端との離間距離を、前記折り返し線と前記切り離し線の水平部分との離間距離よりも短く設定してあるものである。
【0013】
請求項6記載の発明に係るファイルは、請求項1、2、3、4又は5記載のものにおいて、前記見出し要素収納部が、前記両挟持片を含む本体領域を有するものであり、前記本体領域には、前記ファイル本体の一面に基部が固定された一方の挟持片と、この一方の挟持片の先端に折り曲げ線を介して連続する他方の挟持片とが設けられており、他方の挟持片の先端に設けられた差し込み部のみを前記ファイル本体の一面と前記一方の挟持片との間に差し込むことにより当該見出し要素収納部が閉じ姿勢となるように構成されており、前記差し込み部が、中央部分が他の部分よりも先方に突出するように湾曲した形状をなしているものである。
【0014】
請求項7記載の発明に係るファイルは、請求項1、2、3、4又は5記載のものにおいて、前記見出し要素収納部が、前記両挟持片を含む本体領域を有するものであり、前記本体領域には、前記ファイル本体の一面に基部が固定された一方の挟持片と、この一方の挟持片の先端に折り曲げ線を介して連続する他方の挟持片とが設けられており、他方の挟持片の先端に設けられた差し込み部のみを前記ファイル本体に形成したスリットに差し込むことにより当該見出し要素収納部が閉じ姿勢となるように構成され、前記差し込み部が、中央部分が他の部分よりも先方に突出するように湾曲した形状をなしているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1~5の発明によれば、少なくとも前述した第1の課題を解決することができる。また、請求項6~7の発明によれば、第1の課題に加えて第2の課題をも解消することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態に係るファイルを示す斜視図。
図2】同実施形態に係るファイルを示す正面図。
図3】同実施形態に係るファイルを示す背面図。
図4】同実施形態に係るファイル本体及び見出し要素収納部の展開図。
図5】同実施形態に係る見出し要素収納部を拡大して示す展開図。
図6】同実施形態に係る見出し要素収納部の状態変化を示す拡大図。
図7】同実施形態に係る見出し要素収納部の状態変化を示す拡大図。
図8】同実施形態に係る見出し要素収納部の状態変化を示す拡大図。
図9】同実施形態に係るファイルの作用説明図。
図10】同実施形態に係るファイルの作用説明図。
図11】本発明の第二実施形態に係るファイルを示す斜視図。
図12】同実施形態に係るファイルを示す正面図。
図13】同実施形態に係るファイルを示す背面図。
図14】同実施形態に係るファイル本体の展開図。
図15】同実施形態に係るファイルの作用説明図。
図16】同実施形態に係るファイルの作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係るファイル1Aは、図1図3に示すように、ファイル本体2と、このファイル本体2の外縁2aから突出して設けられ、対をなす挟持片、具体的には一方の挟持片である基片4と他方の挟持片である先片5との間に見出し要素を挟持可能な閉じ姿勢(C)をとり得る見出し要素収納部3とを具備してなる。また、このファイル1Aは、基片4の下端部分を折り返して設けられるストッパー8と、このストッパー8を折り返した状態で安定させ当該ストッパー8により先片5が基片4から離れる方向に弾性付勢されるのを規制するストッパー固定手段9とを具備してなる。このストッパー固定手段9は、ストッパー8とともに折り返されファイル本体2に固定されるストッパー固定要素91により構成されている。
【0018】
本実施形態を示す図1は、ファイル1Aを示す斜視図である。図2はファイル1Aを示す正面図であり、図3は同背面図である。図4はファイル本体2及び見出し要素収納部3を離間させた状態で示す展開図である。図5は見出し要素収納部3を拡大して示す展開図である。図6は見出し要素収納部3を図5に示す状態から後述する折り返し線3bで折り返した状態を示す図である。図7は見出し要素収納部3を図6に示す状態でファイル本体2に溶着した状態を示す図である。図8はファイル本体2に溶着した見出し要素収納部3を後述する折り曲げ線3aで折り曲げて閉じ姿勢(C)とした状態を示す図である。図7及び図8では、ファイル本体2を想像線で示している。図9は、見出し要素収納部3を、基片4と先片5との間に見出し要素である付箋Mを挿入可能な開き姿勢(O)にした状態を示す図である。なお、見出し要素は付箋Mに限らず、粘着力を有しない見出し用紙等であってもよいのはもちろんである。同図の上欄は、この見出し要素収納部3を拡大して示す斜視図であり、下欄は、この斜視図におけるA-A線に沿った概略断面図である。図10は、この見出し要素収納部3を閉じ姿勢(C)に保持した状態を示すものである。同図の上欄は、この見出し要素収納部3を拡大して示す斜視図であり、下欄は、この斜視図におけるB-B線に沿った概略断面図である。これらの概略断面図では、わかりやすくするために、ファイル本体2及び見出し要素収納部3をそれぞれ構成するシートの厚みを誇張して示している。
【0019】
詳述すると、ファイル本体2は、図1図4に示すように、透光性を有するシートを二つ折りにして表表紙6と裏表紙7とを形成したもので、表表紙6と裏表紙7との長辺を構成する外縁2a及びこの外縁2aに隣接する一方の短辺を構成する一方の縁2bが解放されているとともに、他方の短辺を構成する他方の縁2cが相互に溶着されている。この実施形態では、例えば、図1図3における下の縁同士が短辺溶着部2dにおいて溶着されている。
【0020】
見出し要素収納部3は、図1図3図7及び図8に示すように、ファイル本体2の一面、具体的には裏表紙7の外面7aに溶着により固定されたものである。この見出し要素収納部3は、両挟持片すなわち基片4と先片5とを含む本体領域3Xと、この本体領域3Xに連続するストッパー8とこのストッパー8に連設されたストッパー固定要素91とを含むストッパー形成領域3Yとに区成されている。これら本体領域3X及びストッパー形成領域3Yは、一枚の透光性シートを折り曲げることにより一体に形成されている。
【0021】
この見出し要素収納部3は、先片5の先端部5aに設けられた差し込み部51のみをファイル本体2の一面すなわち裏表紙7の外面7aと基片4との間に差し込むことにより閉じ姿勢(C)となるように構成されている。
【0022】
本体領域3Xは、図1図3及び図5図8に示すように、透光性シートを二つ折にして、基部41がファイル本体2の外面に固定された基片4と、この基片4の先端に折り曲げ線3aを介して連続する先片5とが設けられているものである。すなわち、基片4及び先片5は、双方とも透光性を有する。
【0023】
詳述すれば、基片4は、図1図3及び図5図8に示すように、表紙6の外縁2aよりも外方に突出する基片本体40と、この基片本体40の基端に連続し裏表紙7の外面7a側に溶着された基部41とを備えたものである。基片本体40は、見出し要素である付箋Mに対応する形状及び寸法を有する、例えば長方形状のものであり、この基片本体40に付箋Mの貼付領域40Aを設けている。この付箋Mの貼付領域40Aの上端に対応する部位には、型押しによる線40bが設けられている。基部41は、基片本体40よりも長手寸法が大きいものである。また、この基部41は、ファイル本体2の外縁2aと略平行な基本溶着部41b、この基本溶着部41bよりも上方に位置する第1の補助溶着部41c及び基本溶着部41bよりもファイル本体2の外縁2a寄りに位置する第2の補助溶着部41dにおいて裏表紙7に溶着されたものである。
【0024】
先片5は、図1図3及び図5図8に示すように、基片本体40の先端に折り曲げ線3aを介して連続させたもので、折り曲げ線3aで折り曲げることにより、当該先片5が基片本体40の全体に重なり合うとともに、その先端に設けられた差し込み部51が基片4の基部41の一部に重なり合うようになっている。この差し込み部51は、中央部分51aが他の部分よりも先方に突出するように湾曲した形状、より具体的には円弧状をなしている。そして、閉じ姿勢(C)では、差し込み部51が第2の補助溶着部41dに略沿った形状となるように構成している。
【0025】
ストッパー形成領域3Yには、図1図3及び図5図8に示すように、折り返し線3bを介して本体領域3Xに連続するストッパー8と、このストッパー8に連設され切り離し線3cを介して本体領域3Xに隣接するストッパー固定要素91とが透光性シートを折り曲げることにより設けられており、ストッパー8を折り返した状態でストッパー固定要素91が本体領域3Xから離間するように構成されている。
【0026】
見出し要素収納部3を展開した状態において、図5に示すように、切り離し線3cは、折り返し線3bの一端から上方に伸びる鉛直部分3c1と、この鉛直部分3c1の上端から折り返し線と平行に伸びる水平部分3c2とを有するL字状をなしており、折り返し線3bとストッパー固定要素91の下端91aとの離間距離aを、折り返し線3bと切り離し線3cの水平部分3c2との離間距離bよりも短く設定してある。
【0027】
図6に示すように、透光性シートを図5に示す状態から折り返し線3bで折り返し、ストッパー8を基片本体40に重ね合わせた状態では、上述したように折り返し線3bとストッパー固定要素91の下端91aとの離間距離aを折り返し線3bと切り離し線3cの水平部分3c2との離間距離bよりも短く設定してあるので、前述したようにストッパー固定要素91が本体領域3Xから離間している。
【0028】
この見出し要素収納部3は、図7に示すように、開き姿勢(O)でファイル本体2の背表紙7の背面7aに基片4の基部41が溶着される。このとき、ストッパー固定要素91も同時にファイル本体2の背表紙7の背面7aに溶着される。より具体的には、基片4の基部41は、ファイル本体2の外縁2aと略平行な基本溶着部41b、この基本溶着部41bよりも上方に位置する第1の補助溶着部41c及び基本溶着部41bよりもファイル本体2の外縁2a寄りに位置する第2の補助溶着部41dにおいて裏表紙7に溶着される。ストッパー固定要素91は、ファイル本体2の外縁2aと略平行な基本溶着部91b、この基本溶着部91bよりも下方に位置する第1の補助溶着部91c及び基本溶着部91bよりもファイル本体2の外縁2a寄りに位置する第2の補助溶着部91dにおいて裏表紙7に溶着される。基本溶着部91bは、基部4の基本溶着部41bの延長線上に位置している。また、第2の補助溶着部91dも基部4の第2の補助溶着部41dの延長線上に位置している。
【0029】
図7に示す状態から本体領域3Xを折り曲げ線3aで折り曲げ、先片5の差し込み部51を裏表紙7の外面7aと基片4との間に差し込んで図8の状態とすると、見出し要素収納部3が閉じ姿勢(C)となる。ここで、基片4の第2の補助溶着部41d及びストッパー固定要素91の第2の補助溶着部91dは、先片5の差し込み部51の先端にほぼ沿っている。
【0030】
開き姿勢(O)においては、図9に示すように、基片4における付箋Mの貼付領域40Aが解放されており、この貼付領域40Aに付箋Mを貼り付けることができる。そして、この貼付領域40Aに付箋Mを貼った状態で、付箋Mの下端部を基片本体40とストッパー8との間に挟み込み、その状態で折り曲げ線3aを境にして先片5を基片本体40に重なるように折り返すことによって、この先片5と基片本体40とで付箋Mを挟み込むことができる。この挟持状態において先片5の差し込み部51を基片4の基部41とファイル本体2の裏表紙7との間に挿入し挟持させることにより、この見出し要素収納部3が前述した閉じ姿勢(C)となり、図10に示すように、この閉じ姿勢(C)が維持される。ここで、ストッパー8に連接されたストッパー固定要素91がファイル本体2の背表紙7の外面7aに溶着により固定されているので、閉じ姿勢(C)においてストッパー8により先片5が基片4から離れる方向に弾性付勢されることが規制されるようになっている。
【0031】
このような構成のものであれば、ストッパー8によって基片4と先片5との間からの付箋Mの落下を防止又は抑制することができる。しかも、閉じ姿勢(C)でストッパー8により先片5が基片4から離れる方向に弾性付勢されることがストッパー固定要素91により規制されるので、経時的に見出し要素収納部3が膨らんで嵩張ったり見栄えが悪くなったりするという不具合の発生も防止又は抑制することができる。
<第二実施形態>
次いで、本発明の第二実施形態に係るファイル1Bについて説明する。以下の説明において、前述した第一実施形態におけるものと同一又は対応する各部位には、同一の名称及び符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0032】
このファイル1Bは、以下の点で第一実施形態のファイル1Aと異なっており、その他の点では第一実施形態のファイル1Aと同様の構成を有している。以下、第一実施形態との相違点について説明する。
【0033】
本実施形態を示す図11は、ファイル1Bを示す斜視図である。図12はファイル1Bを示す正面図であり、図13は同背面図である。図14はファイル本体2を示す展開図である。図15は、見出し要素収納部3を、基片4と先片5との間に付箋Mを挿入可能な開き姿勢(O)にした状態を示す図である。同図の上欄は、この見出し要素収納部3を拡大して示す斜視図であり、下欄は、この斜視図におけるC-C線に沿った概略断面図である。図16は、この見出し要素収納部3を閉じ姿勢(C)に保持した状態を示すものである。同図の上欄は、この見出し要素収納部3を拡大して示す斜視図であり、下欄は、この斜視図におけるD-D線に沿った概略断面図である。これらの概略断面図では、わかりやすくするために、ファイル本体2及び見出し要素収納部3をそれぞれ構成するシートの厚みを誇張して示している。
【0034】
図11図13に示すように、このファイル1Bは、裏表紙7のコーナー部7cの内面7bに、表表紙6のコーナー部6cを差し込んで保持するための脱落防止ストッパー10を設けている。この脱落防止ストッパー10は、図14に示すように、基端部を折り曲げ線10aを介して裏表紙7に一体に形成されたもので、折り曲げ線10aを境にこの脱落防止ストッパー10を裏表紙7の内面7b側に折り返したうえで、該脱落防止ストッパー10の先端縁部10bをストッパー溶着部10cにおいて裏表紙7に溶着している。
【0035】
見出し要素収納部3は、第一実施形態のものと同一の構成のものであり、先片5の先端部5aに設けられた差し込み部51のみをファイル本体2の一面すなわち裏表紙7の外面7aと基片4との間に差し込むことにより閉じ姿勢(C)となるように構成されている。
【0036】
開き姿勢(O)においては、図15に示すように、基片4における付箋Mの貼付領域40Aが解放されており、この貼付領域40Aに付箋Mを貼り付けることができる。そして、この貼付領域40Aに付箋Mを貼った状態で、付箋Mの下端部を基片本体40とストッパー8との間に挟み込み、その状態で折り曲げ線3aを境にして先片5を基片本体40に重なるように折り返すことによって、この先片5と基片本体40とで付箋Mを挟み込むことができる。この挟持状態において先片5の差し込み部51を基片4の基部41とファイル本体2の裏表紙7との間に挿入し挟持させることにより、この見出し要素収納部3が前述した閉じ姿勢(C)となり、図16に示すように、この閉じ姿勢(C)が維持される。ここで、ストッパー8に連接されたストッパー固定要素91がファイル本体2の背表紙7の外面7aに溶着により固定されているので、閉じ姿勢(C)においてストッパー8により先片5が基片4から離れる方向に弾性付勢されることが規制されるようになっている。
【0037】
このような構成のものであれば、前述した第一実施形態と同様に、ストッパー8によって基片4と先片5との間からの付箋Mの落下を防止又は抑制しつつ、ストッパー8により先片5が基片4から離れる方向に弾性付勢されるのがストッパー固定要素91により規制されるので、経時的に見出し要素収納部が膨らんで嵩張ったり見栄えが悪くなったりするという不具合の発生も防止又は抑制することができる。
【0038】
また、ストッパー8により先片5が基片4から離れる方向に弾性付勢されるのがストッパー固定要素91により規制されていることにより、従来存在していた、見出し要素である付箋Mを交換するたびに弾性反発力により開いたストッパー8を元に戻す必要があり、差し込み部51をファイル本体2の一面(背表紙7の背面7a)と基片4との間に差し込みにくいという不具合を解消することもできる。
【0039】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0040】
例えば、見出し要素は付箋に限らず、粘着力を有しない見出し用紙や、糸状のもの等であってもよい。すなわち、本発明によれば、付箋はもちろんのこと、粘着力を有しない見出し用紙などの落下も効果的に防止又は抑制することが可能となる。
【0041】
また、以上説明した各実施形態では、透光性を有するシートを二つ折りにしてファイル本体の表表紙と裏表紙とを形成しているが、ファイル本体を構成するシートについては、透光性を有するものに限られない。また、表表紙を形成するシートと裏表紙を形成するシートとを重ね合わせ隣接する二辺を溶着等の方法により止着してなるファイル本体を採用してももちろんよい。
【0042】
加えて、見出し要素収納部は、ファイル本体の外縁のどの位置に設けてもよい。また、見出し要素収納部の位置がそれぞれ異なる複数のファイルを組み合わせて利用するとなおよい。
【0043】
以上説明した各実施形態では、見出し要素収納部がファイル本体に固定された基片とこの基片に対して開閉可能な先片とを備えたものについて説明したが、見出し要素収納部は、対をなす挟持片の基端をファイル本体にそれぞれ固定した筒状のもの等であってもよい。
【0044】
また、以上説明した各実施形態では、見出し要素収納部の基片及び先片がいずれも見出し要素収納部内に収納された見出し要素に記載された内容をすべて外部から解読できるような透明性を有するが、見出し要素収納部の基片及び先片の一方のみが透明性を有するものであってもよい。さらに、見出し要素収納部の基片及び先片の一方又は双方が、前記見出し要素の色や記号の形などを外部から判別できる程度のすりガラス的な半透明性を有するもの、あるいは、不透明なシート素材に網目や窓を形成したものであってもよい。
【0045】
以上説明した各実施形態では、ストッパーは、ファイル本体に固定された一方の挟持片すなわち基片の下端部分を折り返して設けているが、ファイル本体に固定されていない他方の挟持片すなわち先片の下端部分を折り返して設けてもよい。
【0046】
ストッパー固定手段は、前述した各実施形態におけるもののようにストッパーとともに折り返されファイル本体に固定されるストッパー固定要素により構成されるもの以外であってもよく、例えば折り曲げ線近傍でストッパー固定要素と挟持片とを溶着するようなものや、ストッパーと別部材により構成したもの等、種々変更が可能である。但し、前述した各実施形態におけるストッパー固定手段の構成によれば、簡易な構成及び少ない製造工数により、見出し保持部の下端部の膨らみを抑制することができるという効果を得ることができる。
【0047】
特に、前述した各実施形態のように、基片の基部がファイル本体の一面においてファイル本体に溶着により固定されているとともに、ストッパー固定要素も同一面においてファイル本体に溶着により固定されている構成であれば、一度の溶着工程で基片の基部とストッパー固定要素とをファイル本体に固定することができる。そのため、製作に要する工数を最小限にとどめることができる。
【0048】
加えて、前述した各実施形態のように、見出し要素収納部が、両挟持片を含む本体領域と、この本体領域に連続するストッパー形成領域に区成され、ストッパー形成領域に、折り返し線を介して本体領域に連続するストッパーと、このストッパーに連設され切り離し線を介して本体領域に隣接するストッパー固定要素とが設けられており、前記ストッパーを折り返した状態でストッパー固定要素が本体領域から離間するように構成であれば、見出し要素収納部をファイル本体に溶着する際に本体領域とストッパー固定要素が重なることによる不具合の発生を抑制することができる。
【0049】
見出し要素収納部を展開した状態における切り離し線の形状も、前述した各実施形態におけるものに限らない。但し、前述した各実施形態のように、折り返し線の一端から上方に伸びる鉛直部分と、この鉛直部分の上端から折り返し線と平行に伸びる水平部分とを有するL字状をなしているものであれば、ストッパーを折り返してもストッパー固定部を本体領域に隣接させることができる。その上で、折り返し線とストッパー固定要素の下端との離間距離を、折り返し線と切り離し線の水平部分との離間距離よりも短く設定してあれば、上述したようなストッパー固定要素が本体領域から離間する構成を実現できる。
【0050】
そして、差し込み部の形状も、前述した各実施形態におけるものに限らない。但し、前述した各実施形態のように、中央部分が他の部分よりも先方に突出するように湾曲した形状をなしているものであれば、差し込み部が差し込みやすく抜けにくい構成となる。すなわち、閉じ姿勢では差し込み部の中央部分が深く差し込まれるので先片が不意に抜けてしまうことが起こりにくい。その上で、差し込み部の両端部分が浅く差し込まれているので、閉じ姿勢から開き姿勢とする操作を行う際には先片の端部に手指を掛ける操作により先片が差し込まれた状態を容易に解除できる。また、閉じ姿勢ではストッパー近傍で差し込み部が浅く差し込まれるが、上述したようにストッパーの弾性復帰による反発が抑制されているので、意識して閉じ姿勢を解除する操作を行わない限り容易に挟持片が抜けてしまうことがない。
【0051】
加えて、挟持片の差し込み部の中央部分が他の部分よりも先方に突出するように湾曲した形状をなしているものであれば、ファイル本体に設けた直線状のスリットに差し込み部を挿入して閉じ姿勢とすることも可能になる。この場合、差し込み部を有しない挟持片及び差し込み部を有する挟持片の双方とファイル本体とを共通のシート素材により一体に形成する等、ファイル本体の一部を利用して見出し保持部を構成することも容易になる。このような構成に限らず、ファイル本体の一部を利用して見出し保持部を構成する種々の構成を採用してもよい。
【0052】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0053】
1A、1B…ファイル
2…ファイル本体
3…見出し要素収納部
3X…本体領域
3Y…ストッパー形成領域
3b…折り返し線
3c…切り離し線
3c1…鉛直部分
3c2…水平部分
4…一方の挟持片(基片)
5…他方の挟持片(先片)
51…差し込み部
7a…ファイル本体の一面(背表紙の背面)
8…ストッパー
9…ストッパー固定手段
91…ストッパー固定要素
(C)…閉じ姿勢
図1
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