(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】蒸気発生装置
(51)【国際特許分類】
F22D 1/20 20060101AFI20221109BHJP
F22D 5/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F22D1/20
F22D5/00 B
(21)【出願番号】P 2018170545
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】秋永 草平
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 萌
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 寛
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-017825(JP,A)
【文献】特開2016-057019(JP,A)
【文献】特開平07-260103(JP,A)
【文献】特開2014-190639(JP,A)
【文献】特開平10-026301(JP,A)
【文献】特公平06-060564(JP,B2)
【文献】特開平11-325401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 1/00 - 11/06
F22B 1/00 - 37/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器、及び該圧力容器の内部に配置され内部に蒸気が流通するチューブを有し、該圧力容器の内部の貯留水を、前記チューブを流通する蒸気により加熱して蒸気を発生させる蒸気発生装置であって、
前記チューブに蒸気を供給する蒸気供給ラインと、
前記チューブを流通したドレンを排出するドレン排出ラインと、
前記圧力容器に給水する給水ライン
であって、前記給水ラインの途中に、他のタンクに貯留することなく前記圧力容器に給水する前記給水ラインと、
前記給水ラインに配置され、前記圧力容器の水位が所定の目標水位となるように前記圧力容器に連続給水する給水手段と、
前記給水ラインを流通する給水と前記ドレン排出ラインを流通するドレンとの間で熱交換を行う熱交換器
であって、前記給水ラインにおける給水手段よりも下流側に配置される前記熱交換器と、を備える蒸気発生装置。
【請求項2】
前記給水ラインにおける前記熱交換器よりも下流側に配置される圧力損失部を更に備える請求項1に記載の蒸気発生装置。
【請求項3】
一端側が前記ドレン排出ラインにおける前記熱交換器よりも上流側に接続され、他端側が前記ドレン排出ラインにおける前記熱交換器よりも下流側に接続されるバイパスラインと、
前記ドレン排出ライン側又は前記バイパスライン側にドレンの流路を切り替えるバイパス弁と、を更に備える請求項1又は請求項
2に記載の蒸気発生装置。
【請求項4】
前記熱交換器の下流側における給水の温度を測定する給水温度測定部と、
前記給水温度測定部により測定された給水の温度が予め設定された第1温度を超えた場合に、前記ドレン排出ラインを流通するドレンが前記バイパスラインを流通するように前記バイパス弁を制御するバイパス制御部と、を更に備える請求項
3に記載の蒸気発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気発生装置に関する。より詳細には、蒸気と水とを間接熱交換して清浄な蒸気を発生させる蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力タンクに貯留した純水を、ボイラで発生させた蒸気を用いて間接熱交換することで清浄な蒸気(クリーン蒸気)を発生させるクリーン蒸気発生装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案されたクリーン蒸気発生装置では、クリーン蒸気を発生させるための熱源として用いられた蒸気が凝縮して生成されるドレン水をタンクに貯留し、クリーン蒸気を発生させる水として用いている。
【0005】
このように、熱源として用いられる蒸気から得られたドレン水を、クリーン蒸気を発生させるための水として用いた場合、ドレン水の保有する熱を有効に利用できる一方、クリーン蒸気の清浄度を十分に確保できない場合がある。
【0006】
従って、本発明は、熱の利用効率を高めつつ、より清浄度の高いクリーン蒸気を発生させられる蒸気発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、圧力容器、及び該圧力容器の内部に配置され内部に蒸気が流通するチューブを有し、該圧力容器の内部の貯留水を前記チューブを流通する蒸気により加熱して蒸気を発生させる蒸気発生装置であって、前記チューブに蒸気を供給する蒸気供給ラインと、前記チューブを流通したドレンを排出するドレン排出ラインと、前記圧力容器に給水する給水ラインと、前記給水ラインに配置され、前記圧力容器の水位が所定の目標水位となるように前記圧力容器に連続給水する給水手段と、前記給水ラインを流通する給水と前記ドレン排出ラインを流通するドレンとの間で熱交換を行う熱交換器と、を備える蒸気発生装置に関する。
【0008】
また、蒸気発生装置は、前記給水ラインにおける前記熱交換器よりも下流側に配置される圧力損失部を更に備えることが好ましい。
【0009】
また、前記給水手段は、前記給水ラインにおける前記熱交換器よりも上流側に配置されることが好ましい。
【0010】
また、蒸気発生装置は、一端側が前記ドレン排出ラインにおける前記熱交換器よりも上流側に接続され、他端側が前記ドレン排出ラインにおける前記熱交換器よりも下流側に接続されるバイパスラインと、前記熱源流体排出ライン側又は前記バイパスライン側にドレンの流路を切り替えるバイパス弁と、を更に備えることが好ましい。
【0011】
また、蒸気発生装置は、前記熱交換器の下流側における給水の温度を測定する給水温度測定部と、前記給水温度測定部により測定された給水の温度が予め設定された第1温度を超えた場合に、前記ドレン排出ラインを流通するドレンが前記バイパスラインを流通するように前記バイパス弁を制御するバイパス制御部と、を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蒸気発生装置によれば、熱の利用効率を高めつつ、より清浄度の高いクリーン蒸気を発生させられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蒸気発生装置の全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の蒸気発生装置の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の蒸気発生装置1は、圧力容器に貯留した純水を、ボイラで発生させた蒸気を用いて間接熱交換することで清浄な蒸気(クリーン蒸気)を発生させる。蒸気発生装置1は、
図1に示すように、圧力容器10と、この圧力容器10の内部に配置されるチューブ20と、蒸気供給ラインL1と、ドレン排出ラインL2と、給水ラインL3と、熱交換器30と、バイパスラインL4と、クリーン蒸気ラインL5と、制御部90と、を備える。
【0015】
圧力容器10は、耐圧性を有する容器により構成され、内部に水(貯留水)を貯留する。本実施形態では、圧力容器10は、ステンレス製の耐圧容器により構成される。
圧力容器10には、圧力センサ11及び水位センサ12が取り付けられる。
圧力センサ11は、圧力容器10の内部の圧力を検出する。水位センサ12は、圧力容器10に貯留された貯留水の水位を検出する。
【0016】
チューブ20は、圧力容器10の内部に配置される。より具体的には、チューブ20は、一端側及び他端側が圧力容器10の側面を貫通して圧力容器10の外部に配置され、中間部分が圧力容器10の内部における貯留水が貯留される位置(液相部分)に配置される。本実施形態では、U字状に曲げられた複数本のチューブ20が圧力容器10の内部に配置される。チューブ20は、熱伝導率のよい金属素材(例えばステンレス)により構成される。
【0017】
蒸気供給ラインL1は、上流側が蒸気ボイラ等の蒸気発生装置(図示せず)に接続され、下流側がチューブ20の一端側(上流側の端部)に接続される。蒸気供給ラインL1は、チューブ20に蒸気を供給する。蒸気供給ラインL1には、蒸気流量調整弁13が配置される。蒸気流量調整弁13は、開度調整可能なモータバルブ等により構成され、蒸気供給ラインL1を流通する蒸気の流量(つまり、チューブ20に供給される蒸気の流量)を調整する。
【0018】
ドレン排出ラインL2は、上流側がチューブ20の他端側(下流側の端部)に接続される。ドレン排出ラインL2は、蒸気供給ラインL1からチューブ20に供給された蒸気が圧力容器10の内部において貯留水と間接熱交換することにより凝縮して生じたドレンを排出する。ドレン排出ラインL2には、スチームトラップ21及びバイパス弁22が配置される。
【0019】
スチームトラップ21は、ドレン排出ラインL2における上流側(圧力容器10の近傍)に配置される。スチームトラップ21は、ドレン排出ラインL2において前後に圧力差が生じた状態で作動し、チューブ20において発生したドレンを排出し、かつ、蒸気の排出を防止する。
【0020】
バイパス弁22は、ドレン排出ラインL2におけるスチームトラップ21よりも下流側に配置される。バイパス弁22は、チューブ20から排出されてドレン排出ラインL2を流れるドレンの流路を、ドレン排出ラインL2の下流側、又は後述のバイパスラインL4側に切り替える。本実施形態では、バイパス弁22は、ドレン排出ラインL2とバイパスラインL4との接続部分に取り付けられた三方弁により構成される。
【0021】
給水ラインL3は、上流側が給水源(図示せず)に接続され、下流側が圧力容器10の下部に接続される。給水ラインL3は、圧力容器10に給水を行う。本実施形態では、給水ラインL3には、純水装置31、脱気装置32、給水手段としての給水ポンプ33、熱交換器30、給水温度測定部としての給水温度センサ34及び圧力損失部としてのオリフィス35が配置される。
【0022】
純水装置31は、例えば、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂を含んで構成され、給水源から供給される原水中に含まれる各種イオンをイオン交換樹脂に吸着させて処理水(純水)を製造する。
脱気装置32は、純水装置31よりも下流側に配置される。脱気装置32は、給水ラインL3を流通する給水(純水)を脱酸素処理して脱気水を製造する。
給水ポンプ33は、脱気装置32の下流側に配置され、純水装置31及び脱気装置32を経た清浄な給水を圧力容器10に供給する。本実施形態では、給水ポンプ33は、後述の制御部90の制御により、圧力容器10の水位が所定の目標水位となるように圧力容器10に連続給水を行う。
【0023】
熱交換器30は、給水ラインL3を流通する給水と、ドレン排出ラインL2を流通するドレンとの間で間接熱交換を行う。これにより、給水ラインL3を流通する給水は、ドレン排出ラインL2を流通するドレンにより加熱される。熱交換器30は、給水ラインL3における給水ポンプ33の下流側、かつ、ドレン排出ラインL2におけるバイパス弁22の下流側に配置される。
【0024】
給水温度センサ34は、熱交換器30の下流側に配置される。給水温度センサ34は、熱交換器30の下流側における給水の温度を検出する。
オリフィス35は、給水ラインL3における最も下流側(圧力容器10との接続部分の近傍)に配置される。オリフィス35は、給水ラインL3を流通する給水に圧力損失を生じさせる。
【0025】
バイパスラインL4は、一端側がドレン排出ラインL2における熱交換器30よりも上流側に接続され、他端側がドレン排出ラインL2における熱交換器30よりも下流側に接続される。バイパスラインL4は、ドレン排出ラインL2を流通するドレンを、熱交換器30をバイパスして流通させる。本実施形態では、上述のように、ドレン排出ラインL2とバイパスラインL4の一端側(上流側)との接続部分にバイパス弁22が配置される。
【0026】
クリーン蒸気ラインL5は、上流側が圧力容器10の上部に接続され、下流側が蒸気利用設備(図示せず)に接続される。クリーン蒸気ラインL5は、圧力容器10の内部で発生した蒸気を蒸気利用設備に供給する。
【0027】
制御部90は、各種弁及び給水ポンプ33等を制御することで、蒸気発生装置1の動作を制御する。制御部90の具体的な制御については後述する。
【0028】
以上の蒸気発生装置1によれば、給水源から供給された給水は、純水装置31及び脱気装置32によって処理され、給水ポンプ33により圧力容器10に導入されて貯留水として貯留される。ここで、給水ラインL3における給水ポンプ33の下流側には、熱交換器30が配置されている。これにより、給水ラインL3を流通する給水は、給水ポンプ33の下流側においてドレン排出ラインL2を流通するドレンにより加熱された状態で圧力容器10に導入される。また、給水ラインL3における最も下流側(圧力容器10の入口近傍)には、圧力損失部としてのオリフィス35が配置されている。これにより、給水ラインL3におけるオリフィス35の上流側では、給水には所定の圧力が付加され、給水の沸点(飽和温度)は上昇する。
【0029】
圧力容器10の内部に貯留された貯留水は、蒸気供給ラインL1からチューブ20に供給される蒸気によって間接熱交換されて加熱される。そして貯留水が加熱されることで沸騰し、圧力容器10の内部で蒸気が発生する。この蒸気は、清浄な貯留水が間接熱交換により加熱されて生成されたものなので、清浄なクリーン蒸気となる。
圧力容器10の内部で発生したクリーン蒸気は、クリーン蒸気ラインL5を通じて蒸気利用設備に供給される。
【0030】
一方、蒸気供給ラインL1からチューブ20に供給された蒸気は、圧力容器10の内部において貯留水と間接熱交換することで凝縮してドレンとなる。蒸気が凝縮して生じたドレンは、ドレン排出ラインL2を通じて排出される。ドレン排出ラインL2を流通するドレンは、熱交換器30において給水ラインL3を流通する給水と間接熱交換して、給水を加熱する。熱交換器30において給水の加熱に用いられたドレンは、外部(例えば、ドレンを貯留するドレンタンク(図示せず))に排出される。
また、ドレン排出ラインL2に配置されたバイパス弁22をバイパスラインL4側に切り替えた場合には、ドレン排出ラインL2を流通するドレンは、熱交換器30をバイパスしてバイパスラインL4を流れ、外部に排出される。
【0031】
次に、制御部90による制御について説明する。
本実施形態では、制御部90は、圧力容器10の水位が所定の目標水位となるように圧力容器10に連続給水させることで、給水ラインL3を流通する給水とドレン排出ラインL2を流通するドレンの流量のバランスを良好に保ち、蒸気発生装置1の装置構成を大型化することなく、熱の利用効率を向上させている。このような機能を実現するために、制御部90は、給水制御部91と、蒸気供給制御部92と、バイパス制御部93と、を含んで構成される。
【0032】
給水制御部91は、圧力容器10の水位が、予め設定された所定の目標水位となるように給水ポンプ33の出力(回転数)を制御し、給水ラインL3から圧力容器10に連続給水を行う。より具体的には、制御部90には、圧力容器10における貯留水の好適な水位である目標水位が設定されて記憶されている。そして、給水制御部91は、水位センサ12により検出される水位が目標水位に一致するように給水ポンプ33の出力を制御する。
【0033】
例えば、給水制御部91は、検出される水位が低く、目標水位との偏差が大きい場合には、給水ポンプ33の出力を増加させて給水ラインL3を流通する給水量を増加させる。一方、検出される水位が目標水位に近づき、偏差が小さくなった場合には、給水制御部91は、給水ポンプ33の出力を低下させて給水ラインL3を流通する給水量を減少させる。
【0034】
蒸気供給制御部92は、圧力容器10の内部のクリーン蒸気の蒸気圧に基づいて、チューブ20への蒸気の供給量を制御する。より具体的には、制御部90には、圧力容器10の内部におけるクリーン蒸気の目標蒸気圧が設定されて記憶されている。そして、蒸気供給制御部92は、圧力センサ11により検出されるクリーン蒸気の蒸気圧が目標蒸気圧に一致するように蒸気流量調整弁13の開度を調整して、チューブ20への蒸気の供給量を制御する。
【0035】
例えば、蒸気供給制御部92は、検出されるクリーン蒸気の蒸気圧が低く、目標蒸気圧との偏差が大きい場合には、蒸気流量調整弁13の開度を大きくしてチューブ20に供給される蒸気の量を増加させる。一方、検出されるクリーン蒸気の蒸気圧が目標蒸気圧に近づき、偏差が小さくなった場合には、蒸気供給制御部92は、蒸気流量調整弁13の開度を小さくしてチューブ20に供給される蒸気の量を減少させる。
【0036】
以上の制御によれば、例えば、蒸気利用設備におけるクリーン蒸気使用量が増加した場合、圧力容器10の内部のクリーン蒸気の蒸気圧は低下する。すると、蒸気供給制御部92は、蒸気流量調整弁13の開度を大きくしてチューブ20への蒸気の供給量を増加させて圧力容器10の内部でのクリーン蒸気の生成を増加させることで圧力容器10の内部のクリーン蒸気の蒸気圧を上昇させる。チューブ20への蒸気の供給量が増加すると、蒸気から生じるドレンの量も増加するため、ドレン排出ラインL2を流通するドレンの流量も増加する。また、圧力容器10の内部でのクリーン蒸気の生成量が増加すると、圧力容器10の貯留水の蒸発量が増加するため、圧力容器10の内部の水位は低下する。すると、給水制御部91は、給水ポンプ33の出力を上げて給水ラインL3を流通する給水の流量を増加させ、圧力容器10の内部の水位を上昇させる。
このように、本実施形態によれば、チューブ20への蒸気の供給量が増加し、ドレン排出ラインL2を流通するドレンの流量が増加した場合には、給水ラインL3を流通する給水の流量も増加することになる。
【0037】
一方、蒸気利用設備におけるクリーン蒸気使用量が減少した場合、圧力容器10の内部のクリーン蒸気の蒸気圧は上昇する。すると、蒸気供給制御部92は、蒸気流量調整弁13の開度を小さくしてチューブ20への蒸気の供給量を減少させて圧力容器10の内部でのクリーン蒸気の生成を減少させることで圧力容器10の内部のクリーン蒸気の蒸気圧を低下させる。チューブ20への蒸気の供給量が減少すると、蒸気から生じるドレンの量も減少するため、ドレン排出ラインL2を流通するドレンの流量も減少する。また、圧力容器10の内部でのクリーン蒸気の生成量が減少すると、圧力容器10の貯留水の蒸発量が減少するため、圧力容器10の内部の水位は上昇する。すると、給水制御部91は、給水ポンプ33の出力を下げて給水ラインL3を流通する給水の流量を減少させ、圧力容器10の内部の水位を低下させる。
このように、本実施形態によれば、チューブ20への蒸気の供給量が減少し、ドレン排出ラインL2を流通するドレンの流量が減少した場合には、給水ラインL3を流通する給水の流量も減少することになる。
【0038】
バイパス制御部93は、給水温度センサ34により測定された給水の温度が予め設定された第1温度を超えた場合に、ドレン排出ラインL2を流通するドレンがバイパスラインL4を流通するようにバイパス弁22を制御する。これにより、給水ラインL3を流通する給水の温度が上昇しすぎた場合に、熱交換器30へのドレンの供給を停止させられるので、給水ラインL3を流通する給水が沸騰してしまうことを抑制できる。第1温度としては、給水ラインL3を流通する給水の設定圧力における飽和温度を若干下回る温度に設定されることが好ましい。
【0039】
以上説明した本実施形態の蒸気発生装置1によれば、以下のような効果を奏する。
【0040】
(1)蒸気発生装置1を、給水ラインL3を流通する給水とドレン排出ラインL2を流通するドレンとの間で熱交換を行う熱交換器30と、圧力容器10の水位が目標水位となるように圧力容器10に連続給水する給水ポンプ33と、を含んで構成した。これにより、圧力容器10で発生したクリーン蒸気の蒸気利用設備における使用量が多い場合には、クリーン蒸気を多く発生させるために、給水量及びチューブ20に供給する蒸気の量を増加させ、蒸気利用設備における蒸気使用量が少ない場合には、クリーン蒸気の発生量を減少させるために、給水量及びチューブ20に供給する蒸気の量が減少される。よって、給水ラインL3を流通する給水の流通量が多いときにはドレン排出ラインL2を流通するドレンの流通量も多くでき、給水ラインL3を流通する給水の流通量が少ないときにはドレン排出ラインL2を流通するドレンの流通量も少なくできる。その結果、熱交換器30における給水とドレンの熱交換のバランスが大きく崩れないので、給水により安定的に熱回収ができる。従って、純水や軟水等の清浄度の高い水を用いてクリーン蒸気を発生させた場合であっても、熱の利用効率を高くできる蒸気発生装置1を実現できる。
また、給水ラインL3において連続給水を行うことで、給水ラインL3の給水が滞留することを防げるので、熱交換器30において給水ラインL3を流通する給水が過熱されて沸騰してしまうことを抑制できる。
更に、例えば、純水装置31により製造された純水等の清浄度の高い水を、給水ラインL3の途中で他のタンク等に貯留することなくワンパスにて圧力容器10に供給できるため、水の清浄度をより高く保てる。
【0041】
(2)蒸気発生装置1を、給水ラインL3における熱交換器30よりも下流側に配置されるオリフィス35を含んで構成した。これにより、給水ラインL3を流通する給水に所定の圧力を付加して給水の沸点を高くできるので、熱交換器30において、給水ラインL3を流通する給水とドレン排出ラインL2を流通するドレンとの間でより多くの熱を交換させられる。よって、熱回収率を高められる。
【0042】
(3)給水ポンプ33を給水ラインL3における熱交換器30よりも上流側に配置した。これにより、給水の温度が低い位置に給水ポンプ33を配置できるので、高温水対応給水ポンプを用いることなく蒸気発生装置1を構成できる。
【0043】
(4)蒸気発生装置1を、ドレン排出ラインL2に接続され熱交換器30をバイパスするバイパスラインL4と、バイパス弁22と、を含んで構成した。これにより、給水ラインL3による圧力容器10への給水が止まった場合等に、ドレン排出ラインL2を流通するドレンを、熱交換器30をバイパスさせて流通させられる。よって、蒸気発生装置1の安全性を向上させられる。
【0044】
(5)蒸気発生装置1を、熱交換器30の下流側における給水の温度を測定する給水温度センサ34と、給水温度センサ34により測定された給水の温度が予め第1温度を超えた場合に、ドレン排出ラインL2を流通するドレンがバイパスラインL4を流通するようにバイパス弁22を制御するバイパス制御部93と、を含んで構成した。これにより、給水の温度が上昇しすぎた場合に、熱交換器30へのドレンの供給を停止させられる。よって、給水が沸騰してしまうことを抑制できるので、蒸気発生装置1の安全性をより向上させられる。
【0045】
以上、本発明の蒸気発生装置1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、バイパス弁22として三方弁を用いたが、これに限らない。即ち、バイパス弁を、バイパスラインL4及びドレン排出ラインL2におけるバイパスラインL4との接続部よりも下流側のそれぞれに配置される2つの開閉弁により構成してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、蒸気供給制御部92に、圧力センサ11により検出されるクリーン蒸気の蒸気圧が目標蒸気圧に一致するように蒸気流量調整弁13の開度を調整して、チューブ20への蒸気の供給量を制御させたが、これに限らない。即ち、制御部に、圧力容器の内部のクリーン蒸気の蒸気圧と蒸気流量調整弁の開度と、を対応付けて記憶させ、蒸気供給制御部に、圧力センサにより検出されるクリーン蒸気の蒸気圧に対応した開度で蒸気流量調整弁の開度を制御させてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、蒸気発生装置1を、純水装置31及び脱気装置32を含んで構成し、圧力容器10に純水を供給したが、これに限らない。圧力容器に供給する給水は、例えば、硬度成分が除去された軟水であってもよい。この場合、蒸気発生装置を、軟水装置を含んで構成することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 蒸気発生装置
10 圧力容器
20 チューブ
22 バイパス弁
30 熱交換器
33 給水ポンプ(給水手段)
34 給水温度センサ(給水温度測定部)
35 オリフィス(圧力損失部)
93 バイパス制御部
L1 蒸気供給ライン
L2 ドレン排出ライン
L3 給水ライン
L4 バイパスライン