(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】空気吹出装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/24 20060101AFI20221109BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20221109BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B60H1/24
B60H1/34 671A
B60H1/00 103P
B60H1/34 651B
B60H1/00 103L
B60H1/00 103H
B60H1/00 103Z
(21)【出願番号】P 2018179184
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 利徳
(72)【発明者】
【氏名】新美 康彦
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 貴子
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-105486(JP,A)
【文献】特開2010-030358(JP,A)
【文献】特開2008-120131(JP,A)
【文献】特開2004-256092(JP,A)
【文献】特開2018-105556(JP,A)
【文献】特開2006-103452(JP,A)
【文献】特開2008-114757(JP,A)
【文献】特開平08-175161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0034858(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/24
B60H 1/34
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(81)に設けられたドア開口部(82、84)と該ドア開口部を開閉するドア(86、88)とを備えた車両(80)に搭載される空気吹出装置であって、
送風機(14)を有し車室内の空調を行うエアコンユニット(11)と、
前記ドアにより前記ドア開口部が開かれているドア開放中には、前記送風機を作動させ、該送風機が流す空気を、前記エアコンユニットに接続された空調用ダクト(39、40、41、42、431、432、441、442)を介して、該空調用ダクトに接続され前記車室内に設けられた所定吹出口(Ps)から吹き出させる制御装置(12)とを備え、
前記所定吹出口は、前記ドア開口部に対する車室内側から車室外側へ前記ドア開口部を介して空気を吹き出すものであり、
前記空調用ダクトには、前記エアコンユニットが前記車室内の空調を行う際に前記エアコンユニットから流出する空調空気も流通
し、
前記エアコンユニットの内部には、前記送風機が流す空気を熱交換器(24)に通過させるための第1空気通路(19b)と、該第1空気通路と並列に設けられ、前記送風機が流す空気を前記熱交換器を迂回させて流す第2空気通路(19c)とが形成されおり、
前記エアコンユニットは、前記第2空気通路の開閉を行う通路開閉装置(26)を有し、
前記制御装置は、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる際には、前記通路開閉装置に前記第2空気通路を開かせる、空気吹出装置。
【請求項2】
前記制御装置は、外気温度(Tam)が所定の外気温下限値(T1am)以上で且つ所定の外気温上限値(T2am)以下であることを条件に、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる、請求項
1に記載の空気吹出装置。
【請求項3】
車体(81)に設けられたドア開口部(82、84)と該ドア開口部を開閉するドア(86、88)とを備えた車両(80)に搭載される空気吹出装置であって、
送風機(14)を有し車室内の空調を行うエアコンユニット(11)と、
前記ドアにより前記ドア開口部が開かれているドア開放中には、前記送風機を作動させ、該送風機が流す空気を、前記エアコンユニットに接続された空調用ダクト(39、40、41、42、431、432、441、442)を介して、該空調用ダクトに接続され前記車室内に設けられた所定吹出口(Ps)から吹き出させる制御装置(12)とを備え、
前記所定吹出口は、前記ドア開口部に対する車室内側から車室外側へ前記ドア開口部を介して空気を吹き出すものであり、
前記空調用ダクトには、前記エアコンユニットが前記車室内の空調を行う際に前記エアコンユニットから流出する空調空気も流通
し、
前記制御装置は、外気温度(Tam)が所定の外気温下限値(T1am)以上で且つ所定の外気温上限値(T2am)以下であることを条件に、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる、空気吹出装置。
【請求項4】
前記エアコンユニットは、該エアコンユニット内を流れる空気の通風経路であるエアコン通風経路を変更する経路変更装置(16、26、32、33、34)を有し、
車両起動スイッチ(125)に対する乗員操作によって前記車両が走行可能な状態から走行不可能な状態へ切り替えられた場合には、前記制御装置は、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる際に成立させる前記エアコン通風経路の目標状態を前記ドアの開閉に拘わらず予め成立させるように、前記経路変更装置を作動させる、請求項1ないし
3のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
【請求項5】
車体(81)に設けられたドア開口部(82、84)と該ドア開口部を開閉するドア(86、88)とを備えた車両(80)に搭載される空気吹出装置であって、
送風機(14)を有し車室内の空調を行うエアコンユニット(11)と、
前記ドアにより前記ドア開口部が開かれているドア開放中には、前記送風機を作動させ、該送風機が流す空気を、前記エアコンユニットに接続された空調用ダクト(39、40、41、42、431、432、441、442)を介して、該空調用ダクトに接続され前記車室内に設けられた所定吹出口(Ps)から吹き出させる制御装置(12)とを備え、
前記所定吹出口は、前記ドア開口部に対する車室内側から車室外側へ前記ドア開口部を介して空気を吹き出すものであり、
前記空調用ダクトには、前記エアコンユニットが前記車室内の空調を行う際に前記エアコンユニットから流出する空調空気も流通
し、
前記エアコンユニットは、該エアコンユニット内を流れる空気の通風経路であるエアコン通風経路を変更する経路変更装置(16、26、32、33、34)を有し、
車両起動スイッチ(125)に対する乗員操作によって前記車両が走行可能な状態から走行不可能な状態へ切り替えられた場合には、前記制御装置は、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる際に成立させる前記エアコン通風経路の目標状態を前記ドアの開閉に拘わらず予め成立させるように、前記経路変更装置を作動させる、空気吹出装置。
【請求項6】
前記所定吹出口は、前記エアコンユニットが前記車室内の空調を行う際には、前記空調用ダクトを通った前記空調空気を吹き出す、請求項1
ないし5のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
【請求項7】
前記所定吹出口から吹き出る空気の吹出向きを変更する風向変更装置(92、93)が設けられ、
前記制御装置は、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる際には、前記風向変更装置を制御することにより、前記所定吹出口の吹出向きを前記車室外側へ向ける、請求項
6に記載の空気吹出装置。
【請求項8】
前記所定吹出口は、該所定吹出口から吹き出る空気の吹出向きが、前記ドア開口部に対する前記車室内側から前記車室外側へ前記ドア開口部を介して空気を吹き出す向きになるように予め構成されたものである、請求項1
ないし5のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
【請求項9】
前記所定吹出口は、前記エアコンユニットが前記車室内の空調を行う際に前記空調空気を吹き出す空調用吹出口(911a、912a)と並列に前記空調用ダクトの空気流れ下流側に接続され、
前記空調用ダクトを通った空気が前記所定吹出口と前記空調用吹出口との何れかへ流れるように通風経路を切り替える吹出口切替装置(94、95)が設けられ、
前記制御装置は、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる際には、前記吹出口切替装置を制御することにより、前記空調用ダクトを通った空気を前記所定吹出口へ流す、請求項
8に記載の空気吹出装置。
【請求項10】
前記車両はインストルメントパネル(91)を有し、
前記空調用吹出口は、前記インストルメントパネルのうち前記車両の左右方向(DR2)の端寄りの位置で前記車室内へ開口したサイドフェイス吹出口であり、
前記所定吹出口は、前記インストルメントパネルのうち、前記車両の左右方向において前記空調用吹出口よりも更に端寄りの位置に形成されている、請求項
9に記載の空気吹出装置。
【請求項11】
前記車両は、インストルメントパネル(91)を有し、
前記インストルメントパネルは、前記車両の左右方向(DR2)において前記車室外側へ向いた側壁(91a、91b)を該左右方向の端に有し、
前記側壁は、前記ドア開口部を閉じた状態の前記ドアによって覆われ、
前記所定吹出口は前記側壁に形成されている、請求項
8または
9に記載の空気吹出装置。
【請求項12】
前記エアコンユニットは、前記送風機に車室外の空気を導く外気モードを含む複数の吸込みモードのそれぞれに切替可能に構成されており、
前記制御装置は、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる際には、前記エアコンユニットを前記外気モードにする、請求項1ないし
11のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
【請求項13】
前記エアコンユニットは、前記車両の左右方向(DR2)において該車両の中央部分に位置し前記車室内へ開口したセンターフェイス吹出口(913a、914a)へも前記エアコンユニットからの空気を流すことが可能なように設けられ、
前記センターフェイス吹出口は、前記所定吹出口とは別の吹出口であり、
前記制御装置は、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる際には、前記センターフェイス吹出口から前記車室内への空気の吹出しを止める、請求項1ないし
12のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
【請求項14】
前記制御装置は、前記ドアの開閉を検出するドア開閉センサ(121、122)からの信号に基づいて、前記ドアが前記ドア開口部を開いたことを認識する、請求項1ないし
13のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
【請求項15】
前記車両には、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させることに対する許可と不許可とを切り替える乗員操作スイッチ(124)が設けられ、
前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させることが前記乗員操作スイッチに対する乗員操作によって許可されている場合に限り、前記制御装置は、前記ドア開放中に前記所定吹出口から空気を吹き出させる、請求項1ないし
14のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
【請求項16】
前記車両に設置された車載無線機(89)に対し無線通信を行う携帯機(891)が前記車両に近づき該車両周辺の所定領域(Ax)に入った場合には、前記ドアにより前記ドア開口部が開かれなくても、前記制御装置は、前記送風機を作動させ、該送風機が流す空気を前記所定吹出口から吹き出させる、請求項1ないし
15のいずれか1つに記載の空気吹出装置。
【請求項17】
前記制御装置は、前記携帯機が前記車両に近づき前記所定領域に入った場合に前記送風機を作動させた場合において、前記ドアにより前記ドア開口部が閉じられたまま前記送風機の作動開始時から所定時間が経過した場合には、前記送風機を停止させる、請求項
16に記載の空気吹出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される空気吹出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の空気吹出装置として、例えば特許文献1に記載されたダスト低減装置が従来から知られている。この特許文献1に記載されたダスト低減装置は、前席ドア開口部の前側のAピラーから上側のルーフサイドレールに亘って設けられた複数の空気吹出口から前席ドア開口部の下側に向けて空気を吹き出し、前席ドア開口部にエアカーテンを形成するものである。
【0003】
この特許文献1には、複数の空気吹出口に対して空気を供給するための空気供給源を、車両用空調装置が備える送風機により構成したものが、ダスト低減装置の一例として記載されている。このダスト低減装置では、送風機が送風する空気を車両用空調装置から複数の空気吹出口へ導くための専用ダクトが設けられており、その専用ダクトを通った空気が複数の空気吹出口へ供給される。この専用ダクトは、前席ドア開口部にエアカーテンを形成する場合にだけ使用され、車室内の空調を行う場合には使用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、乗員の乗降時にドア開口部が開放されると、そのドア開口部から車室内へ蚊等の異物が侵入することがある。蚊は、マラリア、デング熱等の感染症を媒介する害虫である。そのため、車室内に蚊が侵入すると、安心、安全、快適な車室内空間に支障をきたすおそれがある。
【0006】
上述した特許文献1のダスト低減装置を用いれば、例えば蚊などの異物が、開放されたドア開口部から車室内へ侵入することを抑制することが可能である。
【0007】
しかし、特許文献1のダスト低減装置では、複数の空気吹出口へ空気を導くために専用ダクトが必要とされるので、車両への搭載性が悪い。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、ドア開口部から車室内への異物の侵入を抑制することが可能な空気吹出装置の車両への搭載性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の空気吹出装置は、
車体(81)に設けられたドア開口部(82、84)とそのドア開口部を開閉するドア(86、88)とを備えた車両(80)に搭載される空気吹出装置であって、
送風機(14)を有し車室内の空調を行うエアコンユニット(11)と、
ドアによりドア開口部が開かれているドア開放中には、送風機を作動させ、その送風機が流す空気を、エアコンユニットに接続された空調用ダクト(39、40、41、42、431、432、441、442)を介して、その空調用ダクトに接続され車室内に設けられた所定吹出口(Ps)から吹き出させる制御装置(12)とを備え、
所定吹出口は、ドア開口部に対する車室内側から車室外側へドア開口部を介して空気を吹き出すものであり、
空調用ダクトには、エアコンユニットが車室内の空調を行う際にエアコンユニットから流出する空調空気も流通し、
エアコンユニットの内部には、送風機が流す空気を熱交換器(24)に通過させるための第1空気通路(19b)と、その第1空気通路と並列に設けられ、送風機が流す空気を熱交換器を迂回させて流す第2空気通路(19c)とが形成されおり、
エアコンユニットは、第2空気通路の開閉を行う通路開閉装置(26)を有し、
制御装置は、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる際には、通路開閉装置に第2空気通路を開かせる。
【0010】
上述のように、ドア開口部のドア開放中には、制御装置は、送風機を作動させ、その送風機が流す空気を空調用ダクトを介して所定吹出口から吹き出させる。そして、その所定吹出口は、ドア開放中のドア開口部に対する車室内側から車室外側へそのドア開口部を介して空気を吹き出すものである。従って、蚊などの異物がドア開放中のドア開口部から車室内へ侵入しようとすると、その異物は、所定吹出口からの風流れによって車室外側へ吹き飛ばされる。このように、ドア開放中のドア開口部から車室内への異物の侵入を抑制することが可能である。
【0011】
そして、所定吹出口が接続された空調用ダクトには、エアコンユニットが車室内の空調を行う際にエアコンユニットから流出する空調空気も流通する。従って、車室内への異物の侵入を抑制する目的で所定吹出口から空気を吹き出させるために、専用のダクトは必要とはされず、車室内の空調の際に使用される空調用ダクトを流用することが可能である。そのため、車両への空気吹出装置の搭載性を向上させることが可能である。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態において、空気吹出装置が搭載された車両を示したその車両の平面透視図である。
【
図2】第1実施形態において、空気吹出装置が搭載された車両を示したその車両の側面透視図である。
【
図3】第1実施形態においてエアコン制御装置に対する信号の入出力を説明するための制御ブロック図である。
【
図4】第1実施形態において、エアコンユニットとそのエアコンユニットの周辺部品とを示した分解斜視図であって、D席側ドア開口部のドア開放中にD席側サイドフェイス吹出口から空気が吹き出される状態を示した図である。
【
図5】第1実施形態において、エアコンユニット内で空気が流通する流通経路のうちの一部を模式的に示した断面図である。
【
図6】第1実施形態の空気吹出装置が有するエアコン制御装置の制御処理を示したフローチャートである。
【
図7】第1実施形態において、
図6のステップS101に続いてステップS161が実行された場合にエアコン制御装置が授受する信号の入出力系統を、
図3に対応するように示した図である。
【
図8】第1実施形態において、
図6のステップS101に続いてステップS161が実行された場合にエアコン制御装置が授受する信号の入出力系統を、
図1に対応するように矢印で示した図である。
【
図9】第1実施形態において、エアコンユニットとそのエアコンユニットの周辺部品とを
図4と同様に示した分解斜視図であって、D席側およびP席側ドア開口部のドア開放中にD席側およびP席側サイドフェイス吹出口から空気が吹き出される状態を示した図である。
【
図10】第2実施形態において、エアコンユニットとそのエアコンユニットの周辺部品とを示すと共に、D席側ドア開口部のドア開放中にD席側外向き吹出口から空気が吹き出される状態を示した分解斜視図であって、
図4に相当する図である。
【
図11】第2実施形態において、ドア開放中のP席側ドア開口部およびその周辺を示した斜視図である。
【
図12】第2実施形態において、空気吹出装置が搭載された車両を示したその車両の側面透視図であって、
図2に相当する図である。
【
図13】第2実施形態の空気吹出装置が有するエアコン制御装置の制御処理を示したフローチャートであって、
図6に相当する図である。
【
図14】第3実施形態においてエアコン制御装置に対する信号の入出力を説明するための制御ブロック図であって、
図3に相当する図である。
【
図15】第3実施形態において、
図1に相当する車両の平面透視図に車両周辺の所定領域を表した図である。
【
図16A】第3実施形態の空気吹出装置が有するエアコン制御装置の制御処理を示した第1のフローチャートであって、
図6に相当する図である。
【
図17】第4実施形態のエアコン制御装置が
図6の制御処理と並列に実行する制御処理を示したフローチャートである。
【
図18】第5実施形態において、ドア開放中のP席側ドア開口部およびその周辺を示した斜視図であって、
図11に相当する図である。
【
図19】第6実施形態において、エアコンユニットとそのエアコンユニットの周辺部品とを示すと共に、D席側ドア開口部のドア開放中にD席側外向き吹出口から空気が吹き出される状態を示した分解斜視図であって、
図10に相当する図である。
【
図20】他の実施形態において、エアコンユニットとそのエアコンユニットの周辺部品とを示すと共に、D席側ドア開口部のドア開放中に複数の吹出口から空気が吹き出される状態を示した分解斜視図であって、
図4に相当する図である。
【
図21】他の実施形態において、エアコンユニットとそのエアコンユニットの周辺部品とを示すと共に、D席側ドア開口部のドア開放中に複数の吹出口から空気が吹き出される状態を示した分解斜視図であって、
図4に相当する図である。
【
図22】他の実施形態において、エアコンユニットとそのエアコンユニットの周辺部品とを示すと共に、D席側ドア開口部のドア開放中に複数の吹出口から空気が吹き出される状態を示した分解斜視図であって、
図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0015】
(第1実施形態)
図1~
図3に示すように、本実施形態の空気吹出装置10は、車室内の空調を行うエアコンユニット11と、そのエアコンユニット11を制御するための制御装置であるエアコン制御装置12とを備えている。その空気吹出装置10は車両80に搭載される。そして、その車両80は、その車両80を構成する車体81に設けられた複数のドア開口部82、84と、その複数のドア開口部82、84を開閉する複数のドア86、88とを備えている。
【0016】
空気吹出装置10は、乗員の乗降時など、複数のドア開口部82、84のうちの少なくとも1つがドア86、88によって開かれた場合に、その開かれたドア開口部82、84に対して空気を吹き出す。これにより、空気吹出装置10は、その開かれたドア開口部82、84から車室内へ蚊99などの異物が侵入することを低減する。
【0017】
空気吹出装置10を搭載する車両80は、ハイブリッド車または電気自動車であってもよいが、本実施形態では、走行用駆動源としてエンジンだけを備えそのエンジンで走行するエンジン車両である。
図1および
図2に示すように、車両80は、複数の前座席901、902と、その前座席901、902よりも車両後側に配置された複数の後座席903と、インストルメントパネル91とを、車室内に有している。その車室内とは、別言すれば、車体81の内側に形成される車室空間内のことである。
【0018】
なお、
図1および
図2の各矢印DR1、DR2、DR3は、車両80の向きを示す。すなわち、
図1の矢印DR1は車両80の前後方向DR1(言い換えれば、車両前後方向DR1)を示し、矢印DR2は車両80の左右方向DR2(言い換えれば、車両左右方向DR2)を示している。そして、
図2の矢印DR3は車両80の上下方向DR3(言い換えれば、車両上下方向DR3)を示している。これらの方向DR1、DR2、DR3は互いに交差する方向、厳密に言えば互いに直交する方向である。また、車両左右方向DR2を車両幅方向DR2と呼んでもよい。
【0019】
複数の前座席901、902および後座席903はそれぞれ、乗員が着座する座席である。複数の前座席901、902は、全ての座席901、902、903のうち、最も車両前側に配置された座席である。
【0020】
具体的に、複数の前座席901、902には、乗員の1人である運転者が着座する運転席901と、助手席902とが含まれる。運転席901は、車両左右方向DR2において車室内の中心位置に対し一方側に配置され、助手席902は、その車室内の中心位置に対し他方側に配置されている。すなわち、運転席901は、助手席902に対し車両左右方向DR2の一方側に配置されている。本実施形態の車両80は右ハンドル車であり、本実施形態では、その車両左右方向DR2の一方側は車両右側であり、車両左右方向DR2の他方側は車両左側である。なお、運転席901は略してD席901とも呼ばれ、助手席902は略してP席902とも呼ばれる。
【0021】
車両80が有する複数のドア開口部82、84は、車両前後方向DR1においてAピラー811とBピラー812との間に形成されている。そのAピラー811とBピラー812はそれぞれ、車体81の一部を構成する柱である。Aピラー811は、車体81を構成する複数のピラーのうち最も車両前側に配置され、Bピラー812は、車両前側から数えてAピラー811の次の位置に配置されている。
【0022】
複数のドア開口部82、84には、運転席901に対応するD席側ドア開口部82と、助手席902に対応するP席側ドア開口部84とが含まれる。D席側ドア開口部82は、車体81のうち車両右側の側部に設けられ、車両右側へ向いて開口する。すなわち、D席側ドア開口部82は、運転席901に対し車両右側に配置されている。
【0023】
また、P席側ドア開口部84は、車体81のうち車両左側の側部に設けられ、車両左側へ向いて開口する。すなわち、P席側ドア開口部84は、助手席902に対し車両左側に配置されている。
【0024】
車両80が有する複数のドア86、88には、D席側ドア86とP席側ドア88とが含まれる。D席側ドア86は、車体81のうち車両右側の側部に取り付けられており、D席側ドア開口部82を開閉する。また、P席側ドア88は、車体81のうち車両左側の側部に取り付けられており、P席側ドア開口部84を開閉する。
【0025】
詳細には、D席側ドア86は、矢印Adに示すように回動することによって、D席側ドア開口部82を開閉する。すなわち、D席側ドア86は、そのD席側ドア86が有する車両前側の端部を回動中心として車両後側の端部を車室外側へ車体81から離すように回動することにより、D席側ドア開口部82を開く。そして、D席側ドア86は、車両前側の端部を回動中心として車両後側の端部を車体81に近付けるように回動することにより、D席側ドア開口部82を閉じる。P席側ドア88がP席側ドア開口部84を開閉する動作も、これと同様である。すなわち、P席側ドア88は、矢印Apに示すように回動することによって、P席側ドア開口部84を開閉する。
【0026】
インストルメントパネル91は、車室内のうち車両前側に配置されている。詳細には、インストルメントパネル91は、車両前後方向DR1において前座席901、902に対し前側に配置されている。また、インストルメントパネル91は、ドア開口部82、84と比較して車両前側に偏った配置となっている。更に、インストルメントパネル91は、車両左右方向DR2における車室内の全幅または略全幅にわたって設けられている。
【0027】
エアコンユニット11はインストルメントパネル91の内側に配置されている。エアコンユニット11は、そのエアコンユニット11内で温度調整された空調空気を車室内へ吹き出すことにより、車室内の空調を行う。
【0028】
図4に示すように、エアコンユニット11は、大まかには、送風機部111と温度調整部112とから構成されている。温度調整部112は、車室内におけるインストルメントパネル91の内側で車両左右方向DR2の中央に配置され、送風機部111は、その温度調整部112に対し車両左側に配置される。
【0029】
図3および
図4に示すように、エアコンユニット11の送風機部111は、送風機14と内外気切替ドア16と送風機部ケース18とを有している。送風機14は、車室内または車室外から空気を吸い込み、その吸い込んだ空気を温度調整部112へ送風する。なお、車室内の空気は内気と称され、車室外の空気は外気と称される。
【0030】
内外気切替ドア16は、送風機14が吸い込む空気を内気と外気との何れかに切り替える切替装置である。従って、エアコンユニット11は、外気モードを含む複数の吸込みモードのそれぞれに切替可能に構成されている。本実施形態では、複数の吸込みモードには、外気モードのほか、内気モードもある。
【0031】
要するに、本実施形態のエアコンユニット11の吸込みモードは、内外気切替ドア16の作動により、内気モードと外気モードとの切り替えられる。内気モードでは、送風機14が外気を吸い込むことは内外気切替ドア16によって阻止される一方で送風機14には専ら内気が導かれ、送風機14は内気を吸い込む。逆に、外気モードでは、送風機14が内気を吸い込むことは内外気切替ドア16によって阻止される一方で送風機14には専ら外気が導かれ、送風機14は外気を吸い込む。なお、
図4の矢印Ariは、外気モードで送風機14に吸い込まれる外気の流れを示している。
【0032】
送風機部ケース18は送風機部111の外殻を成し、送風機14の羽根車と内外気切替ドア16とを収容している。また、送風機部ケース18の内部には、送風機14から送風された空気を温度調整部112へ導く導風路が形成されている。
【0033】
図3~
図5に示すように、エアコンユニット11の温度調整部112は、温度調整部ケース19と蒸発器22とヒータコア24とエアミックスドア26とD席側サイドフェイスドア28とP席側サイドフェイスドア30とセンターフェイスドア32とを有している。温度調整部ケース19は温度調整部112の外殻を成している。そして、送風機部ケース18と温度調整部ケース19は一体的に構成され、エアコンユニット11の外殻を成す空調ケース20となっている。
【0034】
図5に示すように、温度調整部ケース19の内部には、送風機14から吹き出された空気が流通する空調通風路19aが形成されている。すなわち、この空調通風路19aは、エアコンユニット11の内部に形成された空気通路である。なお、
図5は模式図であるので、
図5において空気の流通経路は単純化されて表されている。
【0035】
また、蒸発器22とヒータコア24とエアミックスドア26は、その空調通風路19aに設けられている。すなわち、その蒸発器22とヒータコア24とエアミックスドア26は、温度調整部ケース19内に収容されている。
【0036】
蒸発器22は、空調通風路19aの中で最も空気流れ上流側に配置されている。そのため、送風機14から吹き出された空気は空調通風路19aに流入するが、その送風機14からの空気は、空調通風路19aにおいて先ず蒸発器22に流入する。
【0037】
蒸発器22は、空調通風路19aに流れる空気を冷却する冷却用の熱交換器である。蒸発器22は、空気と冷媒とを熱交換させることにより、冷媒を蒸発させると共にその空気を冷却する。
【0038】
ヒータコア24は、空調通風路19aにおいて蒸発器22に対する空気流れ下流側に配置されている。ヒータコア24は、空調通風路19aにおいて蒸発器22から流出した空気を加熱する加熱用の熱交換器である。ヒータコア24は、空気とエンジン冷却水とを熱交換させることにより、そのエンジン冷却水の熱でその空気を加熱する。
【0039】
また、空調通風路19aは、蒸発器22に対する空気流れ下流側に、ヒータコア24に空気を流通させる温風通路19bと、ヒータコア24を迂回させて空気を流すバイパス通路19cとを有している。
【0040】
その温風通路19bは、別言すれば、送風機14が流す空気をヒータコア24に通過させるための第1空気通路である。そして、バイパス通路19cは、別言すれば、温風通路19bと並列に設けられ、送風機14が流す空気をヒータコア24を迂回させて流す第2空気通路である。
【0041】
エアミックスドア26は、温風通路19bの開閉とバイパス通路19cの開閉とを行う通路開閉装置である。エアミックスドア26は、例えば矢印Damのように回動する回動ドアとして構成されている。
【0042】
詳細には、エアミックスドア26は、温風通路19bの開度とバイパス通路19cの開度とを連続的に増減することが可能である。エアミックスドア26は、それらの開度を変化させることにより、温風通路19bの通風量とバイパス通路19cの通風量との風量割合を調整する。そして、エアミックスドア26は、その風量割合の調整により、エアコンユニット11から流出する空調空気の温度を調整する。
【0043】
エアミックスドア26が温風通路19bの開度を最小にして且つバイパス通路19cの開度を最大(例えば100%)にするドア位置は、MAXCOOL位置と称される。本実施形態では、エアミックスドア26のドア位置がそのMAXCOOL位置である場合には、温風通路19bは閉塞される。
図5では、エアミックスドア26はMAXCOOL位置で図示されている。
【0044】
また、エアミックスドア26が温風通路19bの開度を最大(例えば100%)にして且つバイパス通路19cの開度を最小にするドア位置は、MAXHOT位置と称される。本実施形態では、エアミックスドア26のドア位置がそのMAXHOT位置である場合には、バイパス通路19cは閉塞される。
【0045】
図4に示すように、温度調整部ケース19は、温風通路19bとバイパス通路19cとのそれぞれに対する空気流れ下流側で空調通風路19aに連通する複数の吹出開口部191a、191b、191c、191dを有している。エアミックスドア26により温度調整された空調空気は、この複数の吹出開口部191a、191b、191c、191dの何れか又は全部から吹き出される。なお、吹出開口部191a、191b、191c、191dは、略して吹出開口部191a~191dとも記載される。
【0046】
温度調整部ケース19が有する複数の吹出開口部191a~191dには、例えば、D席側サイドフェイス吹出開口部191a、P席側サイドフェイス吹出開口部191b、および2つのセンターフェイス吹出開口部191c、191dが含まれる。
【0047】
センターフェイス吹出開口部191c、191dは、車両左右方向DR2における車室内の中央位置で前座席901、902に着座した乗員の上半身に向けて空調空気を吹き出すものである。また、D席側サイドフェイス吹出開口部191aは、運転席901に対し車両右側に偏った位置で運転席901に着座した乗員の上半身に向けて空調空気を吹き出すものである。また、P席側サイドフェイス吹出開口部191bは、助手席902に対し車両左側に偏った位置で助手席902に着座した乗員の上半身に向けて空調空気を吹き出すものである。
【0048】
また、
図4に図示されたそれらの吹出開口部191a~191d以外に、温度調整部ケース19は、吹出開口部として不図示のデフロスタ吹出開口部およびフット吹出開口部も有している。そのデフロスタ吹出開口部は、車両のフロントウインドウに向けて空調空気を吹き出すものである。また、フット吹出開口部は、車室内の乗員の足元に向けて空調空気を吹き出すものである。
【0049】
また、
図3および
図4に示すように、D席側サイドフェイス吹出開口部191aにはD席側サイドフェイスドア28が設けられている。そのD席側サイドフェイスドア28はD席側サイドフェイス吹出開口部191aを開閉する。
【0050】
また、P席側サイドフェイス吹出開口部191bにはP席側サイドフェイスドア30が設けられている。そのP席側サイドフェイスドア30はP席側サイドフェイス吹出開口部191bを開閉する。
【0051】
また、2つのセンターフェイス吹出開口部191c、191dにはセンターフェイスドア32が設けられている。そのセンターフェイスドア32は、2つのセンターフェイス吹出開口部191c、191dを開閉する。
【0052】
また、上記のデフロスタ吹出開口部には、そのデフロスタ吹出開口部を開閉するデフロスタドア33が設けられ、フット吹出開口部には、そのフット吹出開口部を開閉するフットドア34が設けられている。
【0053】
温度調整部ケース19が有する複数の吹出開口部191a~191dにはそれぞれ空調用ダクト39、40、41、42が接続されている。吹出開口部191a~191dから流出した空調空気はそれぞれ空調用ダクト39、40、41、42を通ってから車室内へ吹き出される。すなわち、車両80は、エアコンユニット11の吹出開口部191a~191dの数に応じて、エアコンユニット11に接続された複数の空調用ダクト39、40、41、42を備えている。そして、空調用ダクト39、40、41、42にはそれぞれ、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際にエアコンユニット11から流出する空調空気が流通する。なお、空調用ダクト39、40、41、42は、略して空調用ダクト39~42とも記載される。
【0054】
図4に示すように、車両80が有する複数の空調用ダクト39~42には、例えば、D席側サイドフェイスダクト39、P席側サイドフェイスダクト40、および2本のセンターフェイスダクト41、42が含まれる。また、車両80は、
図4に図示されたそれらの空調用ダクト39~42以外に、空調用ダクトとして、上記のデフロスタ吹出開口部に接続されたデフロスタダクト、および、フット吹出開口部に接続されたフットダクトも有している。
【0055】
図1および
図4に示すように、D席側サイドフェイスダクト39の空気流れ上流端である入口端391はD席側サイドフェイス吹出開口部191aに接続されている。そして、D席側サイドフェイスダクト39の空気流れ下流端である出口端392はD席側サイドフェイス吹出口911aに接続されている。
【0056】
そのD席側サイドフェイス吹出口911aは、インストルメントパネル91が有するD席側吹出部911に形成されている。そして、D席側サイドフェイス吹出口911aは、インストルメントパネル91のうち車両右側の端寄りの位置で車室内へ開口している。従って、D席側サイドフェイス吹出口911aは、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際には、D席側サイドフェイス吹出開口部191aから流出しD席側サイドフェイスダクト39を通った空調空気を車室内へ吹き出す。
【0057】
P席側サイドフェイスダクト40の空気流れ上流端である入口端401はP席側サイドフェイス吹出開口部191bに接続されている。そして、P席側サイドフェイスダクト40の空気流れ下流端である出口端402はP席側サイドフェイス吹出口912aに接続されている。
【0058】
そのP席側サイドフェイス吹出口912aは、インストルメントパネル91が有するP席側吹出部912に形成されている。そして、P席側サイドフェイス吹出口912aは、インストルメントパネル91のうち車両左側の端寄りの位置で車室内へ開口している。従って、P席側サイドフェイス吹出口912aは、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際には、P席側サイドフェイス吹出開口部191bから流出しP席側サイドフェイスダクト40を通った空調空気を車室内へ吹き出す。
【0059】
2本のセンターフェイスダクト41、42の空気流れ上流端である入口端411、421は、2つのセンターフェイス吹出開口部191c、191dにそれぞれ接続されている。そして、2本のセンターフェイスダクト41、42の空気流れ下流端である出口端412、422は、2つのセンターフェイス吹出口913a、914aにそれぞれ接続されている。
【0060】
その2つのセンターフェイス吹出口913a、914aは、インストルメントパネル91が有する2つのセンター吹出部913、914にそれぞれ形成されている。そして、センターフェイス吹出口913a、914aは、インストルメントパネル91のうち車両左右方向DR2の中央部分の位置で車室内へ開口している。その車両左右方向DR2の中央部分の位置とは、例えば、車両左右方向DR2におけるD席側ドア86の設置位置とP席側ドア88の設置位置との間の中央位置である。
【0061】
2つのうちの一方のセンターフェイス吹出口913aは、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際には、センターフェイス吹出開口部191cから流出しセンターフェイスダクト41を通った空調空気を車室内へ吹き出す。これと同様に、2つのうちの他方のセンターフェイス吹出口914aは、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際には、センターフェイス吹出開口部191dから流出しセンターフェイスダクト42を通った空調空気を車室内へ吹き出す。別言すれば、エアコンユニット11は、車両左右方向DR2において車両80の中央部分に位置し車室内へ開口したセンターフェイス吹出口913a、914aへエアコンユニット11からの空気を流すことが可能なように設けられている。
【0062】
これらのフェイス吹出口911a、912a、913a、914aは車室内に設けられ、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際に空調空気を吹き出す空調用吹出口である。そのフェイス吹出口911a、912a、913a、914aは、略してフェイス吹出口911a~914aとも記載される。
【0063】
また、フェイス吹出口911a~914aのほかに、車室内には空調用吹出口として、デフロスタダクトを介してデフロスタ吹出開口部に接続されたデフロスタ吹出口と、フットダクトを介してフット吹出開口部に接続されたフット吹出口とが設けられている。
【0064】
また、車両80は、D席側吹出部911に設けられたD席側風向変更装置92と、P席側吹出部912に設けられたP席側風向変更装置93とを有している。そのD席側風向変更装置92は、D席側サイドフェイス吹出口911aから吹き出る空気の吹出向きを変更する。例えば、D席側風向変更装置92は、D席側サイドフェイス吹出口911aに設けられたルーバとアクチュエータ921とを有し、アクチュエータ921でルーバの向きを変えることにより、D席側サイドフェイス吹出口911aの吹出向きを変更する。
【0065】
そして、P席側風向変更装置93は、P席側サイドフェイス吹出口912aから吹き出る空気の吹出向きを変更する。例えば、P席側風向変更装置93は、P席側サイドフェイス吹出口912aに設けられたルーバとアクチュエータ931とを有し、アクチュエータ931でルーバの向きを変えることにより、P席側サイドフェイス吹出口912aの吹出向きを変更する。
【0066】
なお、D席側風向変更装置92のルーバは、アクチュエータ921に通電されていないD席側風向変更装置92の非作動時にルーバの向きを手動で自在に変えることが可能な構成となっている。このことは、P席側風向変更装置93のルーバについても同様である。
【0067】
図3に示すエアコン制御装置12は、不図示のCPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータで構成されている。そして、エアコン制御装置12に接続されたセンサ等からの信号は、不図示の入力回路によってA/D変換された後にエアコン制御装置12に入力されるように構成されている。例えば、エアコン制御装置12とエアコン制御装置12に電気的に接続されたセンサ等の複数の接続機器とを結ぶ信号線はそれぞれ、エアコン制御装置12から各接続機器まで並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよい。その信号線が直列接続である場合にはLINプロトコル等が利用される。
【0068】
図3に示すように、エアコン制御装置12には、複数の入力側接続機器121~126が電気的に接続されている。その複数の入力側接続機器121~126とは例えば、D席側ドア開閉センサ121、P席側ドア開閉センサ122、外気温度センサ123、キャンセルスイッチ124、イグニッションスイッチ125、およびバッテリ電圧センサ126である。それらの入力側接続機器121~126からの信号は、エアコン制御装置12以外の他の制御装置を経由してエアコン制御装置12に入力されるようになっていてもよいし、他の制御装置を経ずにエアコン制御装置12に直接入力されるようになっていてもよい。
【0069】
D席側ドア開閉センサ121は、D席側ドア86がD席側ドア開口部82を開いたか否かを検出する。要するに、D席側ドア開閉センサ121は、D席側ドア86の開閉を検出する。エアコン制御装置12には、そのD席側ドア86の開閉状態を示す検出信号がD席側ドア開閉センサ121から入力される。従って、エアコン制御装置12は、D席側ドア開閉センサ121からの検出信号に基づいて、D席側ドア86がD席側ドア開口部82を開いたことを認識する。
【0070】
また、P席側ドア開閉センサ122は、P席側ドア88がP席側ドア開口部84を開いたか否かを検出する。要するに、P席側ドア開閉センサ122は、P席側ドア88の開閉を検出する。エアコン制御装置12には、そのP席側ドア88の開閉状態を示す検出信号がP席側ドア開閉センサ122から入力される。従って、エアコン制御装置12は、P席側ドア開閉センサ122からの検出信号に基づいて、P席側ドア88がP席側ドア開口部84を開いたことを認識する。
【0071】
また、外気温度センサ123は、車両80周りにおける外気の温度である外気温度Tamを検出する。エアコン制御装置12には、その外気温度Tamを示す検出信号が外気温度センサ123から入力される。
【0072】
また、キャンセルスイッチ124は、乗員に操作される乗員操作スイッチであり、例えばインストルメントパネル91上など車室内の乗員が操作し易い箇所に設けられている。具体的に、キャンセルスイッチ124は、後述の
図6の制御処理を実行することに対する許可と不許可とを切り替えるスイッチである。すなわち、キャンセルスイッチ124は、ドア86、88によりドア開口部82、84の何れかが開かれているドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させることに対する許可と不許可とを切り替えるスイッチである。なお、ここで言う所定吹出口Psには、サイドフェイス吹出口911a、912aが該当する。
【0073】
また、イグニッションスイッチ125は、車両80を走行可能な状態にするために乗員がオンオフを切り替える車両起動スイッチである。従って、イグニッションスイッチ125がオフに切り替えられると、車両80は走行不可能な状態になる。逆に、イグニッションスイッチ125がオンに切り替えられると、車両80は走行可能な状態になる。例えば、イグニッションスイッチ125がオンに切り替えられた後にアクセルペダルが踏み込まれることにより、車両80は発進する。なお、本実施形態の車両80は上述したようにエンジン車両であるが、車両80が仮にハイブリッド車または電気自動車であるとすれば、イグニッションスイッチ125は例えば車両起動スイッチと呼ばれる。
【0074】
エアコン制御装置12には、イグニッションスイッチ125のオンオフを示す信号がイグニッションスイッチ125から入力される。イグニッションスイッチ125は、例えば鍵穴に差し込まれる差込みキーであってもよいし、押しボタンであってもよい。なお、イグニッションスイッチ125がオフに切り替えられた場合には、併せて、車両80に搭載された音響機器などの所定の車載機器の電源もオフになる。
【0075】
また、バッテリ電圧センサ126は、車両80の電源であるバッテリの電圧Vb(別言すれば、電源電圧Vb)を検出する。エアコン制御装置12には、そのバッテリ電圧Vbを示す検出信号がバッテリ電圧センサ126から入力される。
【0076】
また、エアコン制御装置12には、D席側風向変更装置92、P席側風向変更装置93、およびエアコンユニット11などが、出力側接続機器として電気的に接続されている。例えば、エアコン制御装置12は、D席側風向変更装置92、P席側風向変更装置93、およびエアコンユニット11のそれぞれに対し、その作動を制御するための制御信号を出力する。エアコンユニット11に対する制御信号とは、具体的には、送風機14などエアコンユニット11が有する各構成機器の作動を制御するための制御信号である。
【0077】
エアコン制御装置12は、非遷移的実体的記憶媒体であるROM、RAMなどの半導体メモリに格納されたコンピュータプログラムを実行する。このコンピュータプログラムが実行されることで、コンピュータプログラムに対応する方法が実行される。すなわち、エアコン制御装置12は、そのコンピュータプログラムに従って、
図6の制御処理など種々の制御処理を実行する。
【0078】
図6は、本実施形態のエアコン制御装置12が実行する制御処理を示したフローチャートである。本実施形態ではキャンセルスイッチ124が設けられているので、
図6の制御処理を実行することがキャンセルスイッチ124に対する乗員操作によって許可されている場合に限り、エアコン制御装置12は、
図6の制御処理を実行する。この
図6の制御処理は、周期的に繰り返し実行される。
【0079】
図3および
図6に示すように、エアコン制御装置12は、まず、ステップS011にて、外気温度センサ123、イグニッションスイッチ125、およびバッテリ電圧センサ126からの信号を取得する。これにより、エアコン制御装置12は、外気温度Tam、イグニッションスイッチ125のオンオフ状態、およびバッテリ電圧Vbをそれぞれ認識する。ステップS011の次はステップS021へ進む。
【0080】
ステップS021において、エアコン制御装置12は、外気温度Tamが所定の外気温下限値T1am以上で且つ所定の外気温上限値T2am以下であるか否かを判定する。外気温上限値T2amは外気温下限値T1amよりも高い温度である。
【0081】
また、外気温下限値T1amと外気温上限値T2amは、その外気温下限値T1amから外気温上限値T2amまでの温度範囲が蚊の飛び回る温度範囲に合うように予め実験的に定められている。この
図6の制御処理は、蚊等の異物が車室内に侵入することを防止するために実行されるからである。
【0082】
ステップS021において、外気温度Tamが外気温下限値T1am以上で且つ所定の外気温上限値T2am以下であると判定された場合には、ステップS031へ進む。その一方で、外気温度Tamが外気温下限値T1am未満であると判定された場合、または外気温度Tamが外気温上限値T2amよりも高いと判定された場合には、ステップS171へ進む。
【0083】
ステップS031において、エアコン制御装置12は、バッテリ電圧Vbが所定の電圧判定値V1b以上であるか否かを判定する。その電圧判定値V1bは、バッテリ電圧Vbがその電圧判定値V1b未満であればバッテリが充電不足であると判断できるように予め実験的に定められている。
【0084】
ステップS031において、バッテリ電圧Vbが電圧判定値V1b以上であると判定された場合には、ステップS041へ進む。その一方で、バッテリ電圧Vbが電圧判定値V1b未満であると判定された場合には、ステップS171へ進む。
【0085】
ステップS041において、エアコン制御装置12は、イグニッションスイッチ125がオフ(すなわち、OFF)になっているか否かを判定する。
【0086】
ステップS041において、イグニッションスイッチ125がオフであると判定された場合には、ステップS051へ進む。その一方で、イグニッションスイッチ125がオフではないと判定された場合には、ステップS171へ進む。なお、イグニッションスイッチ125がオフではない場合としては、イグニッションスイッチ125がオンである場合、または、イグニッションスイッチ125がオンでもオフでもない他のスイッチ状態に切り替えられている場合が想定される。
【0087】
ステップS051において、エアコン制御装置12は、D席側ドア開閉センサ121からの信号を取得する。これにより、エアコン制御装置12は、
図1に示すD席側ドア86の開閉状態を認識する。
【0088】
そして、エアコン制御装置12は、D席側ドア86によりD席側ドア開口部82が開かれているドア開放中であるか否かを判定する。
【0089】
ステップS051において、D席側ドア開口部82がドア開放中であると判定された場合には、ステップS071へ進む。その一方で、D席側ドア開口部82がドア開放中ではないと判定された場合には、ステップS061へ進む。そのD席側ドア開口部82がドア開放中ではない場合とは、具体的に言えば、D席側ドア86によりD席側ドア開口部82が閉塞されているドア閉塞中である場合である。
【0090】
図3および
図6に示すように、ステップS061において、エアコン制御装置12は、P席側ドア開閉センサ122からの信号を取得する。これにより、エアコン制御装置12は、
図1に示すP席側ドア88の開閉状態を認識する。
【0091】
そして、エアコン制御装置12は、P席側ドア88によりP席側ドア開口部84が開かれているドア開放中であるか否かを判定する。
【0092】
ステップS061において、P席側ドア開口部84がドア開放中であると判定された場合には、ステップS131へ進む。その一方で、P席側ドア開口部84がドア開放中ではないと判定された場合には、ステップS171へ進む。そのP席側ドア開口部84がドア開放中ではない場合とは、具体的に言えば、P席側ドア88によりP席側ドア開口部84が閉塞されているドア閉塞中である場合である。
【0093】
図3および
図6に示すように、ステップS071において、エアコン制御装置12は、エアコンユニット11を、ドア開放中のドア開口部82、84から蚊等の異物が車室内へ侵入することを防止するための所定の侵入防止モードにする。エアコンユニット11が既に侵入防止モードになっていれば、その侵入防止モードのまま継続される。
【0094】
具体的に、その侵入防止モードでは、エアコンユニット11の吸込みモードは外気モードとされる。また、エアミックスドア26のドア位置はMAXCOOL位置にされる。また、エアコンユニット11の空気吹出モードはフェイスモードとされる。そのフェイスモードとは、専らフェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dから空気を吹き出すモードであるが、各フェイスドア28、30、32の開閉は後述のステップS091、S111、S141に従う。そのため、このステップS071では、エアコン制御装置12は、フェイスドア28、30、32を作動させず、デフロスタドア33とフットドア34とを閉状態にする。ステップS071の次はステップS081へ進む。
【0095】
ステップS081において、エアコン制御装置12は、上述したステップS061と同様の処理をする。すなわち、エアコン制御装置12は、P席側ドア開閉センサ122からの信号に基づき、
図1に示すP席側ドア88の開閉状態を認識する。そして、エアコン制御装置12は、P席側ドア開口部84がドア開放中であるか否かを判定する。
【0096】
ステップS081において、P席側ドア開口部84がドア開放中であると判定された場合には、ステップS111へ進む。その一方で、P席側ドア開口部84がドア開放中ではないと判定された場合には、ステップS091へ進む。
【0097】
図3および
図6に示すように、ステップS091において、エアコン制御装置12は、フェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dをD席側開放状態にする。フェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dが既にD席側開放状態になっていれば、そのD席側開放状態のまま継続される。
【0098】
具体的に、そのD席側開放状態では、D席側サイドフェイス吹出開口部191aはD席側サイドフェイスドア28により開放される。その一方で、P席側サイドフェイス吹出開口部191bはP席側サイドフェイスドア30により閉塞され、センターフェイス吹出開口部191c、191dはセンターフェイスドア32により閉塞される。従って、このステップS091の処理完了後には、D席側サイドフェイス吹出開口部191aを除く他の吹出開口部は全て閉塞されていることになる。ステップS091の次はステップS101へ進む。
【0099】
なお、
図4は、フェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dのD席側開放状態を示している。具体的には、
図4においてP席側サイドフェイス吹出開口部191bとセンターフェイス吹出開口部191c、191dとに付された点ハッチングは、それらの吹出開口部191b、191c、191dが閉塞されていることを示している。また、吹出開口部が閉塞されていることを点ハッチングが示すということは、
図4と同様の後述する図でも同様である。
【0100】
図6のステップS101において、エアコン制御装置12は、D席側風向変更装置92を、D席側サイドフェイス吹出口911aの吹出向きをD席側ドア開口部82を介した車室外側へ向ける所定の外向き吹出口モードにする。これにより、
図1および
図4に示すように、D席側サイドフェイス吹出口911aは、D席側ドア開口部82に対する車室内側から車室外側へD席側ドア開口部82を介して空気を吹き出す吹出口になる。別言すれば、D席側サイドフェイス吹出口911aは、D席側ドア開口部82に対する車室内側から車室外側へD席側ドア開口部82を通過させるように空気を吹き出す吹出口になる。例えば
図1に示すように、その外向き吹出口モードでのD席側サイドフェイス吹出口911aの吹出向きは、車両後側かつ斜め車両右側を向いた向きであり、その吹出向きは予め実験的に定められている。ステップS101の次はステップS161へ進む。
【0101】
ここで、後述のステップS161では送風機14が作動させられるので、このステップS101に続いてステップS161が実行された場合には、
図1および
図4の矢印Ardのように専らD席側サイドフェイス吹出口911aから空気が吹き出される。そして、本実施形態では、D席側サイドフェイス吹出口911aとP席側サイドフェイス吹出口912aは所定吹出口Psに対応する。すなわち、本実施形態では2つの所定吹出口Psが設けられている。
【0102】
従って、ステップS101においてエアコン制御装置12は、D席側ドア開口部82のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる際には、D席側風向変更装置92を制御することにより、その所定吹出口Psの吹出向きを車室外側へ向けると言える。
【0103】
なお、このステップS101に続いてステップS161が実行された場合においてエアコン制御装置12が授受する信号は
図7および
図8に例示されている。また、
図8に示す「I/G」はイグニッションスイッチの略である。
【0104】
図3および
図6に示すように、ステップS111において、エアコン制御装置12は、フェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dを両側開放状態にする。フェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dが既に両側開放状態になっていれば、その両側開放状態のまま継続される。
【0105】
具体的に、その両側開放状態では、D席側サイドフェイス吹出開口部191aはD席側サイドフェイスドア28により開放され、且つ、P席側サイドフェイス吹出開口部191bはP席側サイドフェイスドア30により開放される。その一方で、センターフェイス吹出開口部191c、191dはセンターフェイスドア32により閉塞される。従って、このステップS111の処理完了後には、D席側およびP席側サイドフェイス吹出開口部191a、191bを除く他の吹出開口部は全て閉塞されていることになる。ステップS111の次はステップS121へ進む。
【0106】
なお、
図9は、フェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dの両側開放状態を示している。具体的には、
図9においてセンターフェイス吹出開口部191c、191dに付された点ハッチングは、そのセンターフェイス吹出開口部191c、191dが閉塞されていることを示している。
【0107】
図6のステップS121において、エアコン制御装置12は、D席側風向変更装置92を、上述のステップS101と同様に外向き吹出口モードにする。
【0108】
これに加え、エアコン制御装置12は、P席側風向変更装置93も所定の外向き吹出口モードにする。そのP席側風向変更装置93の外向き吹出口モードでは、P席側風向変更装置93は、P席側サイドフェイス吹出口912aの吹出向きをP席側ドア開口部84を介した車室外側へ向ける。これにより、
図1および
図9に示すように、P席側サイドフェイス吹出口912aは、P席側ドア開口部84に対する車室内側から車室外側へP席側ドア開口部84を介して空気を吹き出す吹出口になる。別言すれば、P席側サイドフェイス吹出口912aは、P席側ドア開口部84に対する車室内側から車室外側へP席側ドア開口部84を通過させるように空気を吹き出す吹出口になる。例えば、その外向き吹出口モードでのP席側サイドフェイス吹出口912aの吹出向きは、車両後側かつ斜め車両左側を向いた向きであり、その吹出向きは予め実験的に定められている。ステップS121の次はステップS161へ進む。
【0109】
ここで、後述のステップS161では送風機14が作動させられる。そのため、このステップS121に続いてステップS161が実行された場合には、
図9の矢印Ard、矢印Arpのように専らD席側およびP席側サイドフェイス吹出口911a、912aから空気が吹き出される。そして、上述したように、本実施形態では、D席側サイドフェイス吹出口911aとP席側サイドフェイス吹出口912aは所定吹出口Psに対応する。
【0110】
従って、エアコン制御装置12は、ステップS121では次のようなことを行うと言える。すなわち、エアコン制御装置12は、D席側およびP席側ドア開口部82、84のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる際には、D席側およびP席側風向変更装置92、93を制御することにより、その所定吹出口Psの吹出向きを車室外側へ向けると言える。
【0111】
図3および
図6に示すように、ステップS131において、エアコン制御装置12は、上述したステップS071と同様の処理をする。すなわち、エアコン制御装置12は、エアコンユニット11を侵入防止モードにする。エアコンユニット11が既に侵入防止モードになっていれば、その侵入防止モードのまま継続される。ステップS131の次はステップS141へ進む。
【0112】
ステップS141において、エアコン制御装置12は、フェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dをP席側開放状態にする。フェイス吹出開口部191a、191b、191c、191dが既にP席側開放状態になっていれば、そのP席側開放状態のまま継続される。
【0113】
具体的に、そのP席側開放状態では、P席側サイドフェイス吹出開口部191bはP席側サイドフェイスドア30により開放される。その一方で、D席側サイドフェイス吹出開口部191aはD席側サイドフェイスドア28により閉塞され、センターフェイス吹出開口部191c、191dはセンターフェイスドア32により閉塞される。従って、このステップS141の処理完了後には、P席側サイドフェイス吹出開口部191bを除く他の吹出開口部は全て閉塞されていることになる。ステップS141の次はステップS151へ進む。
【0114】
ステップS151において、エアコン制御装置12は、P席側風向変更装置93を、上述のステップS121と同様に外向き吹出口モードにする。但し、そのステップS121とは異なり、エアコン制御装置12は、D席側風向変更装置92を作動させない。ステップS151の次はステップS161へ進む。
【0115】
ここで、後述のステップS161では送風機14が作動させられる。そのため、このステップS151に続いてステップS161が実行された場合には、
図9の矢印Arpのように専らP席側サイドフェイス吹出口912aから空気が吹き出される。そして、上述したように、本実施形態では、D席側サイドフェイス吹出口911aとP席側サイドフェイス吹出口912aは所定吹出口Psに対応する。
【0116】
従って、エアコン制御装置12は、ステップS151では次のようなことを行うと言える。すなわち、エアコン制御装置12は、P席側ドア開口部84のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる際には、P席側風向変更装置93を制御することにより、その所定吹出口Psの吹出向きを車室外側へ向けると言える。
【0117】
ステップS161において、エアコン制御装置12は、送風機14を作動させ、その送風機14に送風させる。例えば、エアコン制御装置12は、送風機14を最大風量で送風するように作動させる。送風機14が既に作動中であれば、そのまま継続される。
【0118】
ステップS171において、エアコン制御装置12は、ステップS161で作動中になった送風機14を停止させる。送風機14が既に停止中であれば、そのまま継続される。なお、このステップS171の処理は、この
図6の制御処理以外の制御処理で送風機14が作動中になっている場合に送風機14を停止させるものではない。ステップS161、S171の次はステップS011へ戻る。
【0119】
エアコン制御装置12は、以上のように
図6の制御処理を行う。これにより、エアコン制御装置12は、
図1に示すように例えばD席側ドア開口部82のドア開放中には、送風機14を作動させ、その送風機14が流す空気をD席側サイドフェイスダクト39を介してD席側サイドフェイス吹出口911aから吹き出させる。
【0120】
また、
図6の制御処理では、エアコン制御装置12は、P席側ドア開口部84のドア開放中には、送風機14を作動させ、その送風機14が流す空気をP席側サイドフェイスダクト40を介してP席側サイドフェイス吹出口912aから吹き出させる。
【0121】
例えば乗員がD席側ドア開口部82から乗車しようとする場合を例に説明すると、その例の場合には、乗員は、
図1に示すようにD席側ドア86を開く。そのようにD席側ドア86が開かれた場合、
図6のステップS021~S041の判定が全て「YES」になっていれば、送風機14が
図4の矢印Ariのように外気を吸込む。その吸い込まれた空気(具体的には、外気)は送風機14から
図5の蒸発器22とバイパス通路19cとを順に通過して、
図4のD席側サイドフェイス吹出開口部191aから流出する。
【0122】
そのD席側サイドフェイス吹出開口部191aから流出した空気は、D席側サイドフェイスダクト39を通ってD席側サイドフェイス吹出口911aから、
図1および
図4の矢印Ardのように吹き出される。そして、このD席側サイドフェイス吹出口911aから矢印Ardのように吹き出される風流れにより、例えば蚊99が車室内に侵入しようとすると車室外側へ吹き飛ばされる。その後、乗員がD席側ドア開口部82から乗車してD席側ドア86を閉めると、
図6のステップS171において送風機14が停止させられる。また、乗員がイグニッションスイッチ125をオンに切り替えると、
図6のステップS141の判定によりステップS161が実行されることはないので、エアコンユニット11は通常の車室内の空調に復帰できる。
【0123】
なお、上述した
図6の各ステップでの処理は、それぞれの機能を実現する機能部を構成しており、エアコン制御装置12は、その機能部を備えている。このことは、後述するフローチャートでも同様である。
【0124】
上述したように、本実施形態によれば、エアコン制御装置12は、
図6に示す制御処理を実行する。これにより、
図1のD席側ドア開口部82のドア開放中には、エアコン制御装置12は送風機14を作動させ、その送風機14が流す空気をD席側サイドフェイスダクト39を介して、所定吹出口PsとしてのD席側サイドフェイス吹出口911aから吹き出させる。このとき、そのD席側サイドフェイス吹出口911aは、ドア開放中のD席側ドア開口部82に対する車室内側から車室外側へそのD席側ドア開口部82を介して空気を吹き出す。
【0125】
また、P席側ドア開口部84のドア開放中には、エアコン制御装置12は、送風機14を作動させ、その送風機14が流す空気をP席側サイドフェイスダクト40を介して、所定吹出口PsとしてのP席側サイドフェイス吹出口912aから吹き出させる。このとき、そのP席側サイドフェイス吹出口912aは、ドア開放中のP席側ドア開口部84に対する車室内側から車室外側へそのP席側ドア開口部84を介して空気を吹き出す。
【0126】
従って、蚊99などの異物がドア開放中のドア開口部82、84から車室内へ侵入しようとすると、その異物は、所定吹出口Psからの風流れによって車室外側へ吹き飛ばされる。このように、ドア開放中のドア開口部82、84から車室内への異物の侵入を抑制することが可能である。
【0127】
そして、所定吹出口Psが接続された空調用ダクトであるサイドフェイスダクト39、40には何れも、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際にエアコンユニット11から流出する空調空気も流通する。従って、車室内への異物の侵入を抑制する目的で所定吹出口Psから空気を吹き出させるために、専用のダクトは必要とはされず、車室内の空調の際に使用されるサイドフェイスダクト39、40を流用することが可能である。そのため、車両80への空気吹出装置10の搭載性を向上させることが可能である。
【0128】
また、本実施形態によれば、
図4および
図9に示すように、所定吹出口PsとしてのD席側サイドフェイス吹出口911aは、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際には、D席側サイドフェイスダクト39を通った空調空気を吹き出す。また、所定吹出口PsとしてのP席側サイドフェイス吹出口912aは、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際には、P席側サイドフェイスダクト40を通った空調空気を吹き出す。
【0129】
従って、その所定吹出口Psは、車室内への異物の侵入を抑制する目的で空気を吹き出す専用の吹出口ではない。すなわち、車室内の空調の際に使用される空調用のサイドフェイス吹出口911a、912aを、所定吹出口Psとして流用することが可能である。そのため、車両80への空気吹出装置10の搭載性を向上させることが可能である。また、所定吹出口Psとして専用の吹出口を設ける場合と比較して部品点数を削減できるので、延いては、空気吹出装置10のコストダウンを実現できる。
【0130】
また、本実施形態によれば、
図6および
図8に示すように、エアコン制御装置12は、ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる際には、次のようなことを行う。すなわち、エアコン制御装置12は、そのように空気を吹き出させる際には、D席側およびP席側風向変更装置92、93の一方または両方を制御することにより、所定吹出口Psの吹出向きを車室外側へ向ける。
【0131】
従って、蚊などの異物がドア開放中のドア開口部82、84から車室内へ侵入することを抑制する場合に、所定吹出口Psとして流用した空調用のサイドフェイス吹出口911a、912aの吹出向きを適切な向きにすることが可能である。
【0132】
また、本実施形態によれば、
図5および
図6に示すように、エアコン制御装置12は、ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる際には、エアミックスドア26にバイパス通路19cを開かせる。具体的には、エアコン制御装置12は、エアミックスドア26のドア位置をMAXCOOL位置にする。
【0133】
従って、上記ドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる際に、エアコンユニット11内でヒータコア24により通風抵抗が大きくなることを回避することが可能である。その結果、ドア開放中に所定吹出口Psから吹き出される空気の風量を多くすることが可能である。
【0134】
また、本実施形態によれば、
図1および
図6に示すように、エアコン制御装置12は、ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる際には、エアコンユニット11を外気モードにする。従って、所定吹出口Psから吹き出された空気が送風機14によって車室内側へ引き込まれることを防止することが可能である。その結果、例えばエアコンユニット11が内気モードである場合と比較して、ドア開放中のドア開口部82、84から車室内への異物の侵入を防止するという性能を向上させることが可能である。
更に、開放されたドア開口部82、84から乗員が乗車する際に、所定吹出口Psからの外気の吹出しにより車室内の空気を強制換気することになる。そのため、例えば炎天下に長時間駐車した後に乗員が乗車する場合を想定すると、その乗車の際に、車室内の熱い空気を素早く換気することが可能になり、乗車後における即冷房性と空調負荷低減の効果がある。
【0135】
また、本実施形態によれば、センターフェイス吹出口913a、914aは、所定吹出口Psとは別の吹出口である。そして、エアコン制御装置12は、ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる際には、センターフェイス吹出口913a、914aから車室内への空気の吹出しを止める。従って、ドア開口部82、84から或る程度離れたセンターフェイス吹出口913a、914aへの空気流れを止めたことに応じて、所定吹出口Psから吹き出される空気の風量を多く確保することが可能である。
【0136】
また、本実施形態によれば、
図6のフローチャートには、外気温度Tamに関する判定を行うステップS021が含まれている。すなわち、エアコン制御装置12は、外気温度Tamが所定の外気温下限値T1am以上で且つ所定の外気温上限値T2am以下であることを条件に、ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる。
【0137】
従って、ドア開口部82、84から車室内へ侵入しうる異物の代表例である蚊99等の害虫の活動が停滞する状況の下では、ドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させることは実施されないことになる。そのため、ドア開放中のドア開口部82、84から車室内への異物の侵入を抑制することの必要性が高まった場合に合わせて、ドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させることを適宜実施することが可能である。
【0138】
また、本実施形態によれば、
図3および
図8に示すように、エアコン制御装置12は、D席側ドア開閉センサ121からの検出信号に基づいて、D席側ドア86がD席側ドア開口部82を開いたことを認識する。そして、エアコン制御装置12は、P席側ドア開閉センサ122からの検出信号に基づいて、P席側ドア88がP席側ドア開口部84を開いたことを認識する。従って、D席側およびP席側ドア86、88がそれぞれドア開口部82、84を開いたか否かの情報をエアコン制御装置12は容易に得ることが可能である。
【0139】
また、本実施形態によれば、
図3に示すように、車両80には、乗員操作スイッチとしてのキャンセルスイッチ124が設けられる。そして、
図6の制御処理を実行することがキャンセルスイッチ124に対する乗員操作によって許可されている場合に限り、エアコン制御装置12は、
図6の制御処理を実行する。すなわち、具体的に言えば、上記ドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させることがキャンセルスイッチ124に対する乗員操作によって許可されている場合に限り、エアコン制御装置12は、ドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる。従って、ドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させることを、乗員の意志に沿って止めることが可能である。
【0140】
また、本実施形態によれば、
図6のフローチャートには、バッテリ電圧Vbに関する判定を行うステップS031が含まれている。すなわち、エアコン制御装置12は、バッテリ電圧Vbが所定の電圧判定値V1b以上であることを条件に、ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させる。
【0141】
従って、車両80に搭載されているバッテリが弱っている場合には、ドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させることを止めることが可能である。本実施形態では、ドア開放中に所定吹出口Psから空気を吹き出させることはイグニッションスイッチ125がオフである場合に実施されるので、ステップS031でバッテリ電圧Vbに関する判定を行うことは特に有効である。
【0142】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
【0143】
ドア開口部82、84の一方または両方が開放された場合に車室内側から車室外側へ空気を吹き出す所定吹出口Psは、
図10~
図12に示すように、空調用吹出口911a~914aとは別に設けられている。この点において本実施形態は第1実施形態と異なっている。
【0144】
具体的には
図11および
図12に示すように、インストルメントパネル91は、車両左右方向DR2において車室外側へ向いた一対の側壁91a、91bを、車両左右方向DR2の端にそれぞれ有している。すなわち、一対の側壁91a、91bのうちの一方であるD席側側壁91aは、インストルメントパネル91のうち車両右側の端に設けられ、車両右側を向いた外壁面を有している。また、一対の側壁91a、91bのうちの他方であるP席側側壁91bは、インストルメントパネル91のうち車両左側の端に設けられ、車両左側を向いた外壁面を有している。
【0145】
図11に示すように、P席側側壁91bは、P席側ドア開口部84を閉じた状態のP席側ドア88によって覆われる。これと同様に、D席側側壁91aは、D席側ドア開口部82(
図1参照)を閉じた状態のD席側ドア86によって覆われる。
【0146】
また、
図10~
図12に示すように、インストルメントパネル91は、D席側外向き吹出口915aが形成されたD席側外向き吹出部915と、P席側外向き吹出口916aが形成されたP席側外向き吹出部916とを有している。本実施形態では、D席側外向き吹出口915aとP席側外向き吹出口916aとが上述の所定吹出口Psに対応する。すなわち、本実施形態でも、第1実施形態と同様に2つの所定吹出口Psが設けられている。
【0147】
また、本実施形態において車両80は、第1実施形態のD席側およびP席側風向変更装置92、93を有してはいない。その替わりに、車両80は、D席側吹出口切替装置94とP席側吹出口切替装置95とを有している。これらの吹出口切替装置94、95はそれぞれ、エアコン制御装置12に出力側接続機器として電気的に接続されている。そして、これらの吹出口切替装置94、95の作動はエアコン制御装置12によって制御される。
【0148】
D席側外向き吹出部915はD席側側壁91aの一部を構成するので、D席側外向き吹出口915aはD席側側壁91aに形成されている。従って、D席側外向き吹出口915aは、インストルメントパネル91のうち、車両左右方向DR2においてD席側サイドフェイス吹出口911aよりも更に右端寄りの位置に形成されている。
【0149】
また、P席側外向き吹出部916はP席側側壁91bの一部を構成するので、P席側外向き吹出口916aはP席側側壁91bに形成されている。従って、P席側外向き吹出口916aは、インストルメントパネル91のうち、車両左右方向DR2においてP席側サイドフェイス吹出口912aよりも更に左端寄りの位置に形成されている。なお、D席側およびP席側外向き吹出口915a、916aは何れも、インストルメントパネル91の一部に設けられているので、車室内に設けられている。
【0150】
図10に示すように、D席側外向き吹出口915aは、空調用吹出口であるD席側サイドフェイス吹出口911aと並列にD席側サイドフェイスダクト39の空気流れ下流側に接続されている。詳細には、そのD席側外向き吹出口915aとD席側サイドフェイス吹出口911aはそれぞれ、D席側吹出口切替装置94を介してD席側サイドフェイスダクト39の出口端392に接続されている。
【0151】
D席側吹出口切替装置94は、D席側サイドフェイスダクト39を通った空気がD席側外向き吹出口915aとD席側サイドフェイス吹出口911aとの何れかへ流れるように通風経路を切り替える。すなわち、D席側吹出口切替装置94は、第1連通状態と第2連通状態とに択一的に切り替わる。そして、第1連通状態とされたD席側吹出口切替装置94は、D席側サイドフェイスダクト39の出口端392とD席側サイドフェイス吹出口911aとを連通させる一方で、その出口端392とD席側外向き吹出口915aとの間の連通を遮断する。逆に、第2連通状態とされたD席側吹出口切替装置94は、D席側サイドフェイスダクト39の出口端392とD席側外向き吹出口915aとを連通させる一方で、その出口端392とD席側サイドフェイス吹出口911aとの間の連通を遮断する。
【0152】
また、P席側外向き吹出口916aは、空調用吹出口であるP席側サイドフェイス吹出口912aと並列にP席側サイドフェイスダクト40の空気流れ下流側に接続されている。詳細には、そのP席側外向き吹出口916aとP席側サイドフェイス吹出口912aはそれぞれ、P席側吹出口切替装置95を介してP席側サイドフェイスダクト40の出口端402に接続されている。
【0153】
P席側吹出口切替装置95は、P席側サイドフェイスダクト40を通った空気がP席側外向き吹出口916aとP席側サイドフェイス吹出口912aとの何れかへ流れるように通風経路を切り替える。すなわち、P席側吹出口切替装置95は、第1連通状態と第2連通状態とに択一的に切り替わる。そして、第1連通状態とされたP席側吹出口切替装置95は、P席側サイドフェイスダクト40の出口端402とP席側サイドフェイス吹出口912aとを連通させる一方で、その出口端402とP席側外向き吹出口916aとの間の連通を遮断する。逆に、第2連通状態とされたP席側吹出口切替装置95は、P席側サイドフェイスダクト40の出口端402とP席側外向き吹出口916aとを連通させる一方で、その出口端402とP席側サイドフェイス吹出口912aとの間の連通を遮断する。
【0154】
エアコン制御装置12は、エアコンユニット11が車室内の空調を行う場合には、D席側およびP席側吹出口切替装置94、95をそれぞれ第1連通状態にする。例えば、D席側およびP席側吹出口切替装置94、95はそれぞれ、後述の
図13の制御処理により第2連通状態にされる場合がある。そのようにして吹出口切替装置94、95が第2連通状態になっている場合には、エアコン制御装置12は、エアコンユニット11が車室内の空調を開始する際に、吹出口切替装置94、95をそれぞれ第2連通状態から第1連通状態に切り替える。
【0155】
D席側外向き吹出口915aおよびP席側外向き吹出口916aは、後述の
図13の制御処理により空気を吹き出す専用の空気吹出口であり、エアコンユニット11が車室内の空調を行う際には使用されない。すなわち、D席側外向き吹出口915aおよびP席側外向き吹出口916aは、フェイス吹出口911a~914a等の空調用吹出口とは別の吹出口である。そのため、D席側外向き吹出口915aから吹き出る空気の吹出向きと、P席側外向き吹出口916aから吹き出る空気の吹出向きはそれぞれ、固定された吹出向きになっている。
【0156】
具体的には、D席側外向き吹出口915aは、そのD席側外向き吹出口915aの吹出向きが、D席側ドア開口部82に対する車室内側から車室外側へドア開放中のD席側ドア開口部82を介して空気を吹き出す向きになるように予め構成されたものである。また、P席側外向き吹出口916aは、そのP席側外向き吹出口916aの吹出向きが、P席側ドア開口部84に対する車室内側から車室外側へドア開放中のP席側ドア開口部84を介して空気を吹き出す向きになるように予め構成されたものである。
【0157】
図13は、本実施形態のエアコン制御装置12が実行する制御処理を示したフローチャートである。第1実施形態と同様に、本実施形態でも、
図13の制御処理を実行することがキャンセルスイッチ124に対する乗員操作によって許可されている場合に限り、エアコン制御装置12は、
図13の制御処理を実行する。この
図13の制御処理は、周期的に繰り返し実行される。
【0158】
図13は、第1実施形態の
図6に相当するフローチャートである。
図6のステップS101、S121、S151は、
図13では、ステップS102、S122、S152にそれぞれ置き換わっている。
図13において、
図6と同じ内容のステップについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0159】
図13のフローチャートでは、ステップS091の次はステップS102へ進む。そのステップS102では、エアコン制御装置12は、D席側吹出口切替装置94を第2連通状態にする。これにより、エアコン制御装置12は、D席側サイドフェイスダクト39を通った空気をD席側外向き吹出口915aへ流すことができる。D席側吹出口切替装置94が既に第2連通状態であれば、そのまま継続される。ステップS102の次はステップS161へ進む。
【0160】
ここで、
図13のステップS161では送風機14が作動させられるので、このステップS102に続いてステップS161が実行された場合には、
図10および
図12の矢印Ardのように専らD席側外向き吹出口915aから空気が吹き出される。すなわち、この場合、所定吹出口PsとしてのD席側外向き吹出口915aから空気が吹き出される。
【0161】
図13のフローチャートでは、ステップS111の次はステップS122へ進む。そのステップS122では、エアコン制御装置12は、D席側およびP席側吹出口切替装置94、95をそれぞれ第2連通状態にする。これにより、エアコン制御装置12は、D席側サイドフェイスダクト39を通った空気をD席側外向き吹出口915aへ流すことができる。そして、エアコン制御装置12は、P席側サイドフェイスダクト40を通った空気をP席側外向き吹出口916aへ流すことができる。
【0162】
D席側吹出口切替装置94が既に第2連通状態であれば、そのまま継続される。また、P席側吹出口切替装置95が既に第2連通状態であれば、そのまま継続される。ステップS122の次はステップS161へ進む。
【0163】
ここで、
図13のステップS161では送風機14が作動させられる。そのため、このステップS122に続いてステップS161が実行された場合には、
図12の矢印Ard、Arpのように専らD席側およびP席側外向き吹出口915a、916aから空気が吹き出される。すなわち、この場合、所定吹出口PsとしてのD席側およびP席側外向き吹出口915a、916aから空気が吹き出される。
【0164】
図13のフローチャートでは、ステップS141の次はステップS152へ進む。そのステップS152では、エアコン制御装置12は、P席側吹出口切替装置95を第2連通状態にする。これにより、エアコン制御装置12は、P席側サイドフェイスダクト40を通った空気をP席側外向き吹出口916aへ流すことができる。P席側吹出口切替装置95が既に第2連通状態であれば、そのまま継続される。ステップS152の次はステップS161へ進む。
【0165】
ここで、
図13のステップS161では送風機14が作動させられるので、このステップS152に続いてステップS161が実行された場合には、
図12の矢印Arpのように専らP席側外向き吹出口916aから空気が吹き出される。すなわち、この場合、所定吹出口PsとしてのP席側外向き吹出口916aから空気が吹き出される。
【0166】
エアコン制御装置12は、以上のように
図13の制御処理を行う。これにより、エアコン制御装置12は、D席側ドア開口部82のドア開放中にD席側外向き吹出口915aから空気を吹き出させる際には、次のことを行う。すなわち、エアコン制御装置12は、そのように空気を吹き出させる際には、D席側吹出口切替装置94を制御することにより、D席側サイドフェイスダクト39を通った空気をD席側外向き吹出口915aへ流す。
【0167】
P席側についてもこれと同様に、エアコン制御装置12は、P席側ドア開口部84のドア開放中にP席側外向き吹出口916aから空気を吹き出させる際には、次のことを行う。すなわち、エアコン制御装置12は、そのように空気を吹き出させる際には、P席側吹出口切替装置95を制御することにより、P席側サイドフェイスダクト40を通った空気をP席側外向き吹出口916aへ流す。
【0168】
上述したように、本実施形態によれば、D席側外向き吹出口915aは、空調用吹出口911a~914aとは別の吹出口として設けられている。そして、D席側外向き吹出口915aの吹出向きは固定されている。具体的には、D席側外向き吹出口915aは、そのD席側外向き吹出口915aの吹出向きが、D席側ドア開口部82に対する車室内側から車室外側へドア開放中のD席側ドア開口部82を介して空気を吹き出す向きになるように予め構成されたものである。従って、D席側外向き吹出口915aに吹出向きを変更する機能などを持たせる必要がなく、D席側外向き吹出口915aを簡素に形成することが可能である。これにより、例えば、ドア開放中のD席側ドア開口部82から車室内への異物の侵入を防止するという性能を向上させ易いというメリットがある。このことは、P席側外向き吹出口916aについても同様である。
【0169】
また、本実施形態によれば、エアコン制御装置12は、
図13に示す制御処理を実行する。これにより、エアコン制御装置12は、D席側ドア開口部82のドア開放中にD席側外向き吹出口915aから空気を吹き出させる際には、次のことを行う。すなわち、エアコン制御装置12は、そのように空気を吹き出させる際には、D席側吹出口切替装置94を制御することにより、D席側サイドフェイスダクト39を通った空気をD席側外向き吹出口915aへ流す。そして、そのD席側外向き吹出口915aは、空調用吹出口であるD席側サイドフェイス吹出口911aと並列にD席側サイドフェイスダクト39の空気流れ下流側に接続されている。
【0170】
従って、ドア開放中のD席側ドア開口部82から車室内への異物の侵入を防止することを目的とした専用の吹出口としてD席側外向き吹出口915aを設けることが可能である。そのため、D席側外向き吹出口915aを、蚊99などの異物がドア開放中のD席側ドア開口部82から車室内へ侵入することを防止するのに適したノズル形状とすることが可能である。その結果として、例えば、ドア開放中のD席側ドア開口部82から車室内への異物の侵入を防止するという性能を向上させることが可能である。このことは、P席側外向き吹出口916aについても同様である。
【0171】
また、D席側サイドフェイスダクト39からの空気の流出先を、D席側外向き吹出口915aとD席側サイドフェイス吹出口911aとに自動的に切り替えることが可能である。P席側サイドフェイスダクト40からの空気の流出先についても同様である。
【0172】
また、本実施形態によれば、D席側外向き吹出口915aは、インストルメントパネル91のうち、車両左右方向DR2においてD席側サイドフェイス吹出口911aよりも更に右端寄りの位置に形成されている。そして、P席側外向き吹出口916aは、インストルメントパネル91のうち、車両左右方向DR2においてP席側サイドフェイス吹出口912aよりも更に左端寄りの位置に形成されている。
【0173】
従って、車室内の乗員から見て、D席側およびP席側外向き吹出口915a、916aが目立ちにくいので、車室内の意匠に対する影響を小さくすることが可能である。また、それぞれの外向き吹出口915a、916aを形成する部品の車両搭載性を良好にすることが容易である。
【0174】
また、本実施形態によれば、インストルメントパネル91のD席側側壁91aは、D席側ドア開口部82を閉じた状態のD席側ドア86によって覆われ、D席側外向き吹出口915aはそのD席側側壁91aに形成されている。また、インストルメントパネル91のP席側側壁91bは、P席側ドア開口部84を閉じた状態のP席側ドア88によって覆われ、P席側外向き吹出口916aはそのP席側側壁91bに形成されている。従って、ドア開口部82、84を閉じた状態のドア86、88によって外向き吹出口915a、916aが車室内の乗員からそれぞれ見えなくなるので、車室内の意匠に対する影響を小さくすることが可能である。
【0175】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0176】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0177】
図14に示すように、本実施形態の車両80は、車室外などで乗員が携帯する携帯機891に対し無線通信を行う車載無線機89を備えている。そして、エアコン制御装置12は、その車載無線機89と携帯機891とを利用して、閉じられていたドア開口部82、84(
図1参照)が開かれる直前から、所定吹出口Psとしてのサイドフェイス吹出口911a、912aから空気を吹き出させる。この点において本実施形態は第1実施形態と異なっている。なお、本実施形態の機械的な構成は、例えば
図1、
図2、
図4、および
図5等に示されている。
【0178】
具体的には
図14および
図15に示すように、車載無線機89は車両80に設置されており、携帯機891はその車載無線機89に対し無線通信を行う。例えば車載無線機89と携帯機891は、携帯機891の照合を実施して車両80のドア施錠およびドア解錠の制御を行う制御システムの一部を構成している。携帯機891は例えば電子キーとも呼ばれる。
【0179】
また、車載無線機89は、複数の入力側接続機器の1つとして、エアコン制御装置12に電気的に接続されている。エアコン制御装置12には、例えば車両80に対する携帯機891の位置および距離などを示す信号が車載無線機89から入力される。この車載無線機89からの信号は、エアコン制御装置12以外の他の制御装置を経由してエアコン制御装置12に入力されるようになっていてもよいし、他の制御装置を経ずにエアコン制御装置12に直接入力されるようになっていてもよい。
【0180】
車載無線機89は制御部を有し、その制御部は、携帯機891から車載無線機89が受信した電波強度などから、車両80に対する携帯機891の位置および距離などを検出することが可能である。従って、車載無線機89の制御部は、携帯機891が車両80に近づき車両周辺の所定領域Axに入ったか否かを判断することが可能である。その判断結果を示す情報は、車載無線機89からの信号としてエアコン制御装置12に入力される。
【0181】
図16Aおよび
図16Bは、本実施形態のエアコン制御装置12が実行する制御処理を示したフローチャートである。第1実施形態と同様に、本実施形態でも、
図16Aおよび
図16Bの制御処理を実行することがキャンセルスイッチ124に対する乗員操作によって許可されている場合に限り、エアコン制御装置12は、
図16Aおよび
図16Bの制御処理を実行する。この
図16Aおよび
図16Bの制御処理は、周期的に繰り返し実行される。
【0182】
【0183】
図16Aおよび
図16Bのフローチャートでは、ステップS041において、イグニッションスイッチ125がオフであると判定された場合には、ステップS053へ進む。その一方で、イグニッションスイッチ125がオフではないと判定された場合には、ステップS171へ進む。
【0184】
ステップS053において、エアコン制御装置12は、車載無線機89から入力される入力信号が示す情報を取得する。その取得する情報には、上記したように、携帯機891が車両80に近づき車両周辺の所定領域Ax(
図15参照)に入ったか否かを示す情報が含まれる。
【0185】
そして、エアコン制御装置12は、携帯機891が車両80に近づき車両周辺の所定領域Axに入ったか否かを判定する。
【0186】
ステップS053において、携帯機891が車両80に近づき車両周辺の所定領域Axに入ったと判定された場合には、ステップS071へ進む。その一方で、携帯機891が車両80に近づき車両周辺の所定領域Axに入ってはいないと判定された場合には、ステップS171へ進む。
【0187】
図16Aおよび
図16Bに示すように、ステップS071からは、ステップS111、ステップS121、ステップS161の順に進み、ステップS161の次はステップS173へ進む。なお、後述のステップS193において送風機14の作動開始時からの経過時間に関する判定が行われるので、本実施形態のステップS161では、送風機14の作動開始時を零とした経過時間の計測が実行される。
【0188】
また、
図16Aおよび
図16Bに示すように、本実施形態では、後述のステップS173、S183においてドア開口部82、84がドア開放中であるか否かが判定される前に、ステップS161で送風機14が作動させられる。従って、ドア開口部82、84が閉じられていても、D席側およびP席側サイドフェイス吹出口911a、912aから空気が吹き出される。
【0189】
ステップS173において、エアコン制御装置12は、
図6のステップS051と同様の処理をする。すなわち、エアコン制御装置12は、D席側ドア開閉センサ121からの信号に基づき、
図1に示すD席側ドア86の開閉状態を認識する。そして、エアコン制御装置12は、D席側ドア開口部82がドア開放中であるか否かを判定する。
【0190】
ステップS173において、D席側ドア開口部82がドア開放中であると判定された場合には、ステップS203へ進む。その一方で、D席側ドア開口部82がドア開放中ではないと判定された場合には、ステップS183へ進む。
【0191】
ステップS183において、エアコン制御装置12は、
図6のステップS061と同様の処理をする。すなわち、エアコン制御装置12は、P席側ドア開閉センサ122からの信号に基づき、
図1に示すP席側ドア88の開閉状態を認識する。そして、エアコン制御装置12は、P席側ドア開口部84がドア開放中であるか否かを判定する。
【0192】
ステップS183において、P席側ドア開口部84がドア開放中であると判定された場合には、ステップS203へ進む。その一方で、P席側ドア開口部84がドア開放中ではないと判定された場合には、ステップS193へ進む。
【0193】
ステップS193において、エアコン制御装置12は、ステップS161での送風機14の作動開始時から所定時間TMaが経過したか否かを判定する。
【0194】
ステップS193において、送風機14の作動開始時から所定時間TMaが経過したと判定された場合には、ステップS171へ進む。詳しく言うと、このステップS193はステップS173、S183の判定が何れも「NO」である場合に実行される。従って、ステップS193において、ドア86、88によりD席側およびP席側ドア開口部82、84が何れも閉じられたまま送風機14の作動開始時から所定時間TMaが経過したと判定された場合に、ステップS171へ進む。
【0195】
その一方で、ステップS193において、送風機14の作動開始時から所定時間TMaが未だ経過してはいないと判定された場合には、ステップS161へ進む。
【0196】
ステップS203において、エアコン制御装置12は、ステップS161で開始させた送風機14の作動を、そのまま継続する。ステップS203の次はステップS213へ進む。
【0197】
ここで、D席側ドア開口部82がドア開放中になっている場合においてステップS203が実行される場合には、エアコン制御装置12は、次のようなことを行うと言える。すなわち、エアコン制御装置12は、D席側ドア開口部82のドア開放中にD席側サイドフェイス吹出口911aから空気を吹き出させる際には、D席側風向変更装置92を制御する。そして、エアコン制御装置12は、そのD席側風向変更装置92を制御することにより、D席側サイドフェイス吹出口911aの吹出向きを車室外側へ向けると言える。
【0198】
また、P席側ドア開口部84がドア開放中になっている場合においてステップS203が実行される場合には、エアコン制御装置12は、次のようなことを行うと言える。すなわち、エアコン制御装置12は、P席側ドア開口部84のドア開放中にP席側サイドフェイス吹出口912aから空気を吹き出させる際には、P席側風向変更装置93を制御する。そして、エアコン制御装置12は、そのP席側風向変更装置93を制御することにより、そのP席側サイドフェイス吹出口912aの吹出向きを車室外側へ向けると言える。なお、本実施形態でも第1実施形態と同様に、D席側サイドフェイス吹出口911aとP席側サイドフェイス吹出口912aとが所定吹出口Psに対応する。
【0199】
ステップS213において、エアコン制御装置12は、D席側ドア開閉センサ121からの信号を取得する。これにより、エアコン制御装置12は、
図1に示すD席側ドア86の開閉状態を認識する。
【0200】
そして、エアコン制御装置12は、D席側ドア86によりD席側ドア開口部82が閉塞されているか否かを判定する。
【0201】
ステップS213において、D席側ドア開口部82が閉塞されていると判定された場合には、ステップS223へ進む。その一方で、D席側ドア開口部82が未だ閉塞されていないと判定された場合、すなわちD席側ドア開口部82が未だドア開放中であると判定された場合には、ステップS203へ進む。
【0202】
ステップS223において、エアコン制御装置12は、P席側ドア開閉センサ122からの信号を取得する。これにより、エアコン制御装置12は、
図1に示すP席側ドア88の開閉状態を認識する。
【0203】
そして、エアコン制御装置12は、P席側ドア88によりP席側ドア開口部84が閉塞されているか否かを判定する。
【0204】
ステップS223において、P席側ドア開口部84が閉塞されていると判定された場合には、ステップS171へ進む。その一方で、P席側ドア開口部84が未だ閉塞されていないと判定された場合、すなわちP席側ドア開口部84が未だドア開放中であると判定された場合には、ステップS203へ進む。
【0205】
図16BのステップS171において、エアコン制御装置12は、
図6のステップS171と同様の処理をする。すなわち、エアコン制御装置12は、ステップS161で作動中になった送風機14を停止させる。ステップS171の次はステップS011へ戻る。
【0206】
本実施形態のエアコン制御装置12は、以上のように
図16Aおよび
図16Bの制御処理を行う。これにより、エアコン制御装置12は、
図1に示すように例えばD席側ドア開口部82のドア開放中には、送風機14を作動させ、その送風機14が流す空気をD席側サイドフェイスダクト39を介してD席側サイドフェイス吹出口911aから吹き出させる。
【0207】
また、
図16Aおよび
図16Bの制御処理では、エアコン制御装置12は、P席側ドア開口部84のドア開放中には、送風機14を作動させ、その送風機14が流す空気をP席側サイドフェイスダクト40を介してP席側サイドフェイス吹出口912aから吹き出させる。
【0208】
また、携帯機891が車両80に近づき車両周辺の所定領域Axに入った場合には、ドア86、88によりドア開口部82、84が開かれなくても、エアコン制御装置12は、送風機14を作動させる。そして、エアコン制御装置12は、その送風機14が流す空気を所定吹出口Ps(
図9参照)から吹き出させる。
【0209】
従って、ドア86、88により何れかのドア開口部82、84が開かれた瞬間から遅れることなく、その開かれたドア開口部82、84に対する車室内側から車室外側へそのドア開口部82、84を通過させるように空気を吹き出すことが可能である。
【0210】
また、
図16Aおよび
図16Bのフローチャートには、上述のようにステップS193が設けられている。これにより、エアコン制御装置12は、携帯機891が車両80に近づき所定領域Axに入った場合に送風機14を作動させた場合において、次のような処理を行う。すなわち、その場合において、エアコン制御装置12は、ドア86、88によりドア開口部82、84が閉じられたまま送風機14の作動開始時から所定時間TMaが経過した場合には、送風機14を停止させる。従って、不必要に送風機14の作動が継続されることを回避することが可能である。
【0211】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0212】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。
【0213】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0214】
本実施形態では、エアコン制御装置12は、
図6の制御処理と並列に、
図17の制御処理も実行する。この点において本実施形態は第1実施形態と異なっている。
【0215】
図17は、本実施形態のエアコン制御装置12が実行する制御処理を示したフローチャートである。この
図17の制御処理は
図6の制御処理と並列に実行され、
図6の制御処理と
図17の制御処理はそれぞれ、周期的に繰り返し実行される。
【0216】
また、第1実施形態と同様に、本実施形態でも、
図6の制御処理を実行することがキャンセルスイッチ124に対する乗員操作によって許可されている場合に限り、エアコン制御装置12は、
図6の制御処理を実行する。そして、
図17の制御処理は、
図6の制御処理が実行されることを前提として実行されるものであるので、エアコン制御装置12は、
図6の制御処理を実行しない場合には
図17の制御処理も実行しない。
【0217】
エアコン制御装置12は、まず、
図17のステップS014にて、車両80のエンジンがイグニッションスイッチ125の切替えにより停止したか否かを判定する。要するに、車両80のエンジンが、そのエンジンが作動しているオン状態から、エンジンが停止しているオフ状態に、イグニッションスイッチ125の切替えにより切り替わったか否かを、エアコン制御装置12は判定する。別言すれば、車両起動スイッチであるイグニッションスイッチ125に対する乗員操作によって車両80が走行可能な状態から走行不可能な状態へ切り替えられたか否かを、エアコン制御装置12は判定する。例えば車両80のエンジンの作動中にイグニッションスイッチ125がオンからオフに切り替えられた場合には、そのエンジンはオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0218】
なお、このステップS014で判定されるエンジンのオフ状態には、アイドリングストップ等による一時的なエンジン停止は含まれない。そのような一時的なエンジン停止は、イグニッションスイッチ125の切替えによるエンジン停止ではないからである。
【0219】
また、車両80のエンジンのオフ状態が既に継続している場合には、車両80のエンジンがオン状態からオフ状態にイグニッションスイッチ125の切替えにより切り替わったとは判定されない。
【0220】
ステップS014において、車両80のエンジンがオン状態からオフ状態にイグニッションスイッチ125の切替えにより切り替わったと判定された場合には、ステップS024へ進む。
【0221】
その一方で、ステップS014において、車両80のエンジンがオン状態からオフ状態にイグニッションスイッチ125の切替えにより切り替わってはいないと判定された場合には、本フローチャートの最初に戻る。すなわち、エアコン制御装置12は、このステップS014の判定を再び行う。
【0222】
ステップS024において、エアコン制御装置12は、エアコンユニット11を所定の待機モードにする。そのエアコンユニット11を待機モードにすることとは、エアコンユニット11を上述の侵入防止モードにすると共に、センターフェイス吹出開口部191c、191d(
図4参照)を閉塞し且つサイドフェイス吹出開口部191a、191bを開放することである。
【0223】
すなわち、この場合、エアコン制御装置12は、内外気切替ドア16を制御することにより、エアコンユニット11の吸込みモードを外気モードにする。また、エアコン制御装置12は、エアミックスドア26を作動させ、そのエアミックスドア26のドア位置をMAXCOOL位置にする。また、エアコン制御装置12は、センターフェイスドア32を作動させ、そのセンターフェイスドア32によりセンターフェイス吹出開口部191c、191dを閉塞する。また、エアコン制御装置12は、デフロスタドア33を作動させ、そのデフロスタドア33によりデフロスタ吹出開口部を閉塞する。また、エアコン制御装置12は、フットドア34を作動させ、そのフットドア34によりフット吹出開口部を閉塞する。また、エアコン制御装置12は、サイドフェイスドア28、30を作動させ、そのサイドフェイスドア28、30によりD席側およびP席側サイドフェイス吹出開口部191a、191bを開放する。
【0224】
このステップS024の処理完了後には、D席側およびP席側サイドフェイス吹出開口部191a、191bを除く他の吹出開口部は全て閉塞されていることになる。
【0225】
ここで、内外気切替ドア16とエアミックスドア26とセンターフェイスドア32とデフロスタドア33とフットドア34はそれぞれ、その機能からすると、エアコンユニット11内を流れる空気の通風経路であるエアコン通風経路を変更する経路変更装置である。すなわち、エアコンユニット11は複数の経路変更装置を備えている。
【0226】
例えば、経路変更装置としての内外気切替ドア16が変更するエアコン通風経路は、エアコンユニット11内で送風機14に対する空気流れ上流側の通風経路である。また、経路変更装置としてのエアミックスドア26が変更するエアコン通風経路は、
図5に示すエアミックスドア26を挟んだ空気流れ上流側から下流側に至る通風経路である。また、経路変更装置としてのセンターフェイスドア32が変更するエアコン通風経路は、エアコンユニット11内でセンターフェイス吹出開口部191c、191dへ向かう通風経路である。また、経路変更装置としてのデフロスタドア33が変更するエアコン通風経路は、エアコンユニット11内でデフロスタ吹出開口部へ向かう通風経路である。また、経路変更装置としてのフットドア34が変更するエアコン通風経路は、エアコンユニット11内でフット吹出開口部へ向かう通風経路である。
【0227】
そして、上記待機モードにおいて各経路変更装置が成立させるエアコン通風経路の状態は何れも、
図6の制御処理において、ドア開口部82、84のドア開放中にエアコン制御装置12が所定吹出口Psから空気を吹き出させる際に成立させる状態である。一例を挙げると、エアコンユニット11が待機モードとされた場合にエアミックスドア26が成立させるエアコン通風経路の状態は、
図6のステップS071、S131でエアコン制御装置12が成立させる状態である。なお、本実施形態でも第1実施形態と同様に、D席側サイドフェイス吹出口911aとP席側サイドフェイス吹出口912aとが所定吹出口Psに対応する。
【0228】
従って、エアコン制御装置12は、この
図17の制御処理により、次のようなことを行うと言える。すなわち、車両80のエンジンが停止した場合には、エアコン制御装置12は、ドア86、88の開閉に拘わらずエアコン通風経路の目標状態を予め成立させるように、各経路変更装置を作動させると言える。そして、そのエアコン通風経路の目標状態とは、ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中にエアコン制御装置12が所定吹出口Psから空気を吹き出させる際に成立させるエアコン通風経路の状態である。
【0229】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0230】
また、本実施形態によれば、車両80のエンジンが停止した場合には、エアコン制御装置12は、ドア86、88の開閉に拘わらずエアコン通風経路の目標状態を予め成立させるように、各経路変更装置を作動させる。すなわち、イグニッションスイッチ125に対する乗員操作によって車両80が走行可能な状態から走行不可能な状態へ切り替えられた場合には、エアコン制御装置12は、ドア86、88の開閉に拘わらず上記目標状態を予め成立させるように、各経路変更装置を作動させる。そして、そのエアコン通風経路の目標状態とは、ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中にエアコン制御装置12が所定吹出口Psから空気を吹き出させる際に成立させるエアコン通風経路の状態である。
【0231】
従って、ドア86、88により何れかのドア開口部82、84が開かれた瞬間から直ちに、その開かれたドア開口部82、84に対する車室内側から車室外側へそのドア開口部82、84を通過させるように空気を吹き出すことが可能である。
【0232】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態または第3実施形態と組み合わせることも可能である。
【0233】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
【0234】
図18に示すように、本実施形態のP席側外向き吹出口916aは、インストルメントパネル91のうちP席側側壁91bには形成されていない。P席側外向き吹出口916aは、インストルメントパネル91のうち、車両後側を向いた面に形成されている。
【0235】
このことは、D席側外向き吹出口915a(
図10、
図12参照)の配置についても同様である。すなわち、D席側外向き吹出口915aは、インストルメントパネル91のうちD席側側壁91aには形成されていない。D席側外向き吹出口915aは、インストルメントパネル91のうち、車両後側を向いた面に形成されている。
【0236】
なお、本実施形態では、D席側外向き吹出口915aは、インストルメントパネル91のうち、車両左右方向DR2においてD席側サイドフェイス吹出口911aよりも更に右端寄りの位置に形成されている。また、P席側外向き吹出口916aは、インストルメントパネル91のうち、車両左右方向DR2においてP席側サイドフェイス吹出口912aよりも更に左端寄りの位置に形成されている。このことは第1実施形態と同様である。
【0237】
以上説明したことを除き、本実施形態は第2実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
【0238】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
【0239】
図19に示すように、車両80は、センターフェイス開閉装置13を備えている。このセンターフェイス開閉装置13は、第2実施形態のセンターフェイスドア32に替わるものである。
【0240】
センターフェイス開閉装置13は、エアコンユニット11に対して取り付けられる装置であり、2つのセンターフェイス吹出開口部191c、191dと2本のセンターフェイスダクト41、42の入口端411、421との間に配置される。すなわち、2本のセンターフェイスダクト41、42の入口端411、421はそれぞれ、センターフェイス開閉装置13を介して2つのセンターフェイス吹出開口部191c、191dに接続されている。
【0241】
そして、センターフェイス開閉装置13は、センターフェイスダクト41、42の入口端411、421とセンターフェイス吹出開口部191c、191dとの間の通風路を開閉する。すなわち、センターフェイス開閉装置13は、エアコンユニット11の外側で2つのセンターフェイス吹出開口部191c、191dを開閉する。
【0242】
例えば、
図13の制御処理では、ステップS091、S111、S141において、センターフェイス吹出開口部191c、191dがセンターフェイス開閉装置13により閉塞される。
【0243】
以上説明したことを除き、本実施形態は第2実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
【0244】
また、本実施形態によれば、センターフェイス開閉装置13は、エアコンユニット11に対して取り付けられるものであり、センターフェイス吹出開口部191c、191dを開閉する。従って、D席側ドア開口部82、84のドア開放中に所定吹出口Psから吹き出させる空気の風量を、エアコンユニット11がセンターフェイスドア32を備えていなくても、センターフェイスドア32がある場合と同程度に得ることが可能である。なお、本実施形態でも第2実施形態と同様に、D席側外向き吹出口915aとP席側外向き吹出口916aとが上述の所定吹出口Psに対応する。
【0245】
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では、例えば
図1に示すように、車両左右方向DR2の一方側が車両右側とされ、車両左右方向DR2の他方側が車両左側とされているが、これは一例である。逆に、車両左右方向DR2の一方側が車両左側とされ、車両左右方向DR2の他方側が車両右側とされても差し支えない。
【0246】
(2)上述の第1実施形態では
図3に示すように、車両80はキャンセルスイッチ124を有しているが、そのキャンセルスイッチ124は必須の構成ではない。キャンセルスイッチ124が無い場合には、例えば、エアコン制御装置12は、
図6の制御処理を実行することが許可されているものとして、
図6の制御処理を実行する。このことは、第2実施形態以降において、
図6に相当するフローチャートが示す制御処理に関しても同様である。
【0247】
(3)上述の第1実施形態において
図6に示すフローチャートには、ステップS021、S031、S041が設けられているが、それらのステップは必須のものではない。例えば、ステップS021、S031、S041の全部が無い場合にはステップS011も不要であり、その場合のフローチャートは、ステップS051から始まる。
【0248】
(4)上述の第1実施形態において
図6に示すフローチャートのステップS071、S131では、エアコンユニット11の吸込みモードは外気モードとされるが、これは一例である。例えば、そのステップS071、S131において、エアコンユニット11の吸込みモードが外気モードにされないことも考え得る。このことは、
図6以外の他のフローチャートにおいて、
図6のステップS071、S131と同様の処理を行うステップでも同じである。
【0249】
(5)上述の第1実施形態において
図6に示すフローチャートのステップS071、S131では、エアミックスドア26のドア位置はMAXCOOL位置にされるが、これは一例である。例えば、そのステップS071、S131において、エアミックスドア26のドア位置がMAXCOOL位置にされないことも考え得る。このことは、
図6以外の他のフローチャートにおいて、
図6のステップS071、S131と同様の処理を行うステップでも同じである。
【0250】
(6)上述の第1実施形態では、
図6に示すように、エアコン制御装置12が実行する制御処理は、D席側ドア開口部82が開放された場合とP席側ドア開口部84が開放された場合とのそれぞれに対応して、空気を所定吹出口Psから吹き出させるものである。しかしながら、これは一例である。例えば、そのエアコン制御装置12の制御処理は、D席側ドア開口部82が開放された場合とP席側ドア開口部84が開放された場合との一方にだけ対応して、空気を所定吹出口Psから吹き出させるものであってもよい。
【0251】
(7)上述の各実施形態において、エアコンユニット11の内気モードでは、送風機14が外気を吸い込むことが阻止されるが、これは一例である。例えば、その内気モードは、送風機14が外気よりも内気を多く吸い込むモードであってもよい。
【0252】
(8)上述の各実施形態において、エアコンユニット11の外気モードでは、送風機14が内気を吸い込むことが阻止されるが、これは一例である。例えば、その外気モードは、送風機14が内気よりも外気を多く吸い込むモードであってもよい。
【0253】
(9)上述の第2実施形態では、エアコン制御装置12は、エアコンユニット11が車室内の空調を開始する際に、吹出口切替装置94、95をそれぞれ第1連通状態にするが、これは一例である。その吹出口切替装置94、95を第1連通状態にするタイミングは、車室内の空調開始時に限らない。例えば、
図13のステップS171において、送風機14の停止に加えて、吹出口切替装置94、95がそれぞれ第1連通状態にされてもよい。その場合、吹出口切替装置94、95が既に第1連通状態であれば、そのまま継続される。
【0254】
(10)上述の第3実施形態では、
図14の車載無線機89は、携帯機891が車両80に近づき車両周辺の所定領域Axに入ったか否かを判断するが、その判断は、車載無線機89によっては行われずに、エアコン制御装置12によって行われても差し支えない。
【0255】
(11)上述の第4実施形態において、内外気切替ドア16とエアミックスドア26とセンターフェイスドア32とデフロスタドア33とフットドア34はそれぞれ経路変更装置である。そして、
図17のフローチャートによれば、車両80のエンジンが停止した場合には、エアコン制御装置12は、ドア86、88の開閉に拘わらずエアコン通風経路の目標状態を予め成立させるように、各経路変更装置を作動させる。しかしながら、これは一例である。例えば、その場合、エアコン制御装置12は、ドア86、88の開閉に拘わらずエアコン通風経路の目標状態を予め成立させるように、全ての経路変更装置を作動させる必要はなく、複数の経路変更装置のうちの何れかを作動させるだけでもよい。
【0256】
(12)上述の第1実施形態では、
図4、
図9に示すように、エアコン制御装置12は、D席側およびP席側ドア開口部82、84の一方または両方のドア開放中には、送風機14が流す空気を所定吹出口Psから空気を吹き出させる。そして、その所定吹出口Psには、D席側サイドフェイス吹出口911aとP席側サイドフェイス吹出口912aとが対応する。しかしながら、これは一例である。その所定吹出口Psには、
図20~
図22に示すように、サイドフェイス吹出口911a、912a以外の吹出口が対応しても差し支えない。
【0257】
図20は、所定吹出口Psに、それらのサイドフェイス吹出口911a、912aに加え、センターフェイス吹出口913a、914aが対応する場合の構成を示している。この場合、
図20に示すように、2つのセンター吹出部913、914にはそれぞれ風向変更装置961、962が設けられ、その風向変更装置961、962は、センターフェイス吹出口913a、914aから吹き出る空気の吹出向きをそれぞれ変更する。例えば、P席側ドア開口部84が閉塞されている場合で且つD席側ドア開口部82のドア開放中には、センターフェイス吹出口913a、914aの吹出向きは何れも、矢印ArcのようにD席側ドア開口部82側へ向けられる。センターフェイス吹出口913a、914aから空気が吹き出される場合には、センターフェイス吹出開口部191c、191dが開放される。
【0258】
また、
図21は、所定吹出口Psに、サイドフェイス吹出口911a、912aに加え、D席側サイドデフロスタ吹出口431aおよびP席側サイドデフロスタ吹出口432aが対応する場合の構成を示している。
【0259】
この
図21の例では、温度調整部ケース19は複数のデフロスタ吹出開口部191e、191f、191g、191hを有している。そして、D席側サイドデフロスタダクト431とP席側サイドデフロスタダクト432と2本のセンターデフロスタダクト433、434とがそれぞれ、そのデフロスタ吹出開口部191e、191f、191g、191hに接続されている。
【0260】
それらのデフロスタダクト431、432、433、434はそれぞれ、空気流れ下流端である出口端431a、432a、433a、434aを有し、それぞれの出口端431a、432a、433a、434aは、空気を吹き出す吹出口として機能する。すなわち、D席側サイドデフロスタダクト431の出口端431aがD席側サイドデフロスタ吹出口431aであり、P席側サイドデフロスタダクト432の出口端432aがP席側サイドデフロスタ吹出口432aである。そして、2本のセンターデフロスタダクト433、434の出口端433a、434aがセンターデフロスタ吹出口433a、434aである。
【0261】
D席側サイドデフロスタ吹出口431aは、車室内において車両前側の端寄り且つ車両右側の端寄りの位置で、D席側ドア86のサイドウインドウに向かって車室内へ開口している。P席側サイドデフロスタ吹出口432aは、車室内において車両前側の端寄り且つ車両左側の端寄りの位置で、P席側ドア88のサイドウインドウに向かって車室内へ開口している。センターデフロスタ吹出口433a、434aは、車室内において車両前側の端寄り且つ車両左右方向DR2の中央部分の位置で、フロントウインドウに向かって車室内へ開口している。
【0262】
例えば、D席側ドア開口部82のドア開放中には、送風機14が流す空気は、
図21の矢印Ard、矢印Arwで示すように吹き出される。すなわち、その送風機14が流す空気は、所定吹出口PsとしてのD席側サイドフェイス吹出口911aおよびD席側サイドデフロスタ吹出口431aから吹き出される。また、P席側ドア開口部84のドア開放中には、送風機14が流す空気は、所定吹出口PsとしてのP席側サイドフェイス吹出口912aおよびP席側サイドデフロスタ吹出口432aから吹き出される。
【0263】
なお、
図21の例では、D席側サイドデフロスタ吹出口431aの吹出向きは、ドア開放中のD席側ドア開口部82に対する車室内側から車室外側へそのD席側ドア開口部82を介して空気が吹き出されるように予め設定されている。また、P席側サイドデフロスタ吹出口432aの吹出向きは、ドア開放中のP席側ドア開口部84に対する車室内側から車室外側へそのP席側ドア開口部84を介して空気が吹き出されるように予め設定されている。
【0264】
また、
図22は、所定吹出口Psに、サイドフェイス吹出口911a、912aに加え、D席側フット吹出口441aおよびP席側フット吹出口442aが対応する場合の構成を示している。
【0265】
この
図22の例では、D席側フットダクト441とP席側フットダクト442とが設けられ、それぞれのフットダクト441、442は温度調整部ケース19のフット吹出開口部に接続されている。
【0266】
それらのフットダクト441、442はそれぞれ、空気流れ下流端である出口端441a、442aを有し、それぞれの出口端441a、442aは、空気を吹き出す吹出口として機能する。すなわち、D席側フットダクト441の出口端441aがD席側フット吹出口441aであり、P席側フットダクト442の出口端442aがP席側フット吹出口442aである。
【0267】
D席側フット吹出口441aは、車室内の運転席901に着座した乗員の足元付近で、車室内へ開口している。P席側フット吹出口442aは、車室内の助手席902に着座した乗員の足元付近で、車室内へ開口している。
【0268】
例えば、D席側ドア開口部82のドア開放中には、送風機14が流す空気は、
図22の矢印Ard、矢印Arfで示すように吹き出される。すなわち、その送風機14が流す空気は、所定吹出口PsとしてのD席側サイドフェイス吹出口911aおよびD席側フット吹出口441aから吹き出される。また、P席側ドア開口部84のドア開放中には、送風機14が流す空気は、所定吹出口PsとしてのP席側サイドフェイス吹出口912aおよびP席側フット吹出口442aから吹き出される。
【0269】
なお、
図22の例では、D席側フット吹出口441aの吹出向きは、ドア開放中のD席側ドア開口部82に対する車室内側から車室外側へそのD席側ドア開口部82を介して空気が吹き出されるように予め設定されている。また、P席側フット吹出口442aの吹出向きは、ドア開放中のP席側ドア開口部84に対する車室内側から車室外側へそのP席側ドア開口部84を介して空気が吹き出されるように予め設定されている。
【0270】
(13)上述の第1実施形態では、例えば
図4に示すように、車両80が有する空調用ダクト39~42、複数の吹出部911、912、913、914、および複数の風向変更装置92、93などは、空気吹出装置10には含まれていないが、これは一例である。例えば、それらが空気吹出装置10に含まれていても差し支えない。また、第2実施形態でいえば、複数の吹出口切替装置94、95および複数の外向き吹出部915、916も、空気吹出装置10に含まれていて差し支えない。
【0271】
(14)上述の各実施形態では、
図1に示すように、所定吹出口Psは、ドア開口部に対する車室内側から車室外側へそのドア開口部を介して空気を吹き出すものである。そして、そのドア開口部はD席側およびP席側ドア開口部82、84であるので、乗員が出入りするための開口部であるが、そのドア開口部は、乗員が出入りするための開口部でなくてもよい。
【0272】
(15)上述の第4実施形態では、
図17に示すフローチャートのステップS024において、エアコン制御装置12は、D席側およびP席側風向変更装置92、93を作動させないが、これは一例である。ステップS024において、エアコン制御装置12は、エアコンユニット11を待機モードにすることに加え、D席側およびP席側風向変更装置92、93の両方を外向き吹出口モードにしても差し支えない。
【0273】
(16)上述の各実施形態において、
図6、
図13、
図16A、
図16B、および
図17のフローチャートに示す各ステップの処理はコンピュータプログラムによって実現されるものであるが、ハードウェアで実現されるものであっても差し支えない。
【0274】
(17)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
【0275】
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0276】
また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0277】
また、上述の各実施形態において、センサから車両80の外部環境情報(例えば車外の相対湿度など)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両80の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両80の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。
【0278】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、ドア開口部のドア開放中には、制御装置は、送風機を作動させ、その送風機が流す空気を空調用ダクトを介して所定吹出口から吹き出させる。その所定吹出口は、ドア開放中のドア開口部に対する車室内側から車室外側へそのドア開口部を介して空気を吹き出すものである。そして、所定吹出口が接続された空調用ダクトには、エアコンユニットが車室内の空調を行う際にエアコンユニットから流出する空調空気も流通する。
【0279】
また、第2の観点によれば、所定吹出口は、エアコンユニットが車室内の空調を行う際には、空調用ダクトを通った空調空気を吹き出す。従って、その所定吹出口は、車室内への異物の侵入を抑制する目的で空気を吹き出す専用の吹出口ではない。すなわち、車室内の空調の際に使用される空調用の吹出口を、所定吹出口として流用することが可能である。そのため、車両への空気吹出装置の搭載性を向上させることが可能である。
【0280】
また、第3の観点によれば、所定吹出口から吹き出る空気の吹出向きを変更する風向変更装置が設けられる。そして、制御装置は、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる際には、風向変更装置を制御することにより、所定吹出口の吹出向きを車室外側へ向ける。従って、蚊などの異物がドア開放中のドア開口部から車室内へ侵入することを抑制する場合に、所定吹出口として流用した空調用の吹出口の吹出向きを適切な向きにすることが可能である。
【0281】
また、第4の観点によれば、所定吹出口は、その所定吹出口から吹き出る空気の吹出向きが、ドア開口部に対する車室内側から車室外側へドア開口部を介して空気を吹き出す向きになるように予め構成されたものである。従って、所定吹出口に吹出向きを変更する機能などを持たせる必要がなく、所定吹出口を簡素に形成することが可能である。これにより、例えば、ドア開放中のドア開口部から車室内への異物の侵入を防止するという性能を向上させ易いというメリットがある。
【0282】
また、第5の観点によれば、所定吹出口は、エアコンユニットが車室内の空調を行う際に空調空気を吹き出す空調用吹出口と並列に空調用ダクトの空気流れ下流側に接続される。空調用ダクトを通った空気が所定吹出口と空調用吹出口との何れかへ流れるように通風経路を切り替える吹出口切替装置が設けられる。そして、制御装置は、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる際には、吹出口切替装置を制御することにより、空調用ダクトを通った空気を所定吹出口へ流す。
【0283】
従って、ドア開放中のドア開口部から車室内への異物の侵入を防止することを目的とした専用の吹出口として所定吹出口を設けることが可能である。そのため、所定吹出口を、蚊などの異物がドア開放中のドア開口部から車室内へ侵入することを防止するのに適したノズル形状とすることが可能である。その結果として、例えば、ドア開放中のドア開口部から車室内への異物の侵入を防止するという性能を向上させることが可能である。
【0284】
また、空調用ダクトからの空気の流出先を、所定吹出口と空調用吹出口とに自動的に切り替えることが可能である。
【0285】
また、第6の観点によれば、車両はインストルメントパネルを有する。空調用吹出口は、インストルメントパネルのうち車両の左右方向の端寄りの位置で車室内へ開口したサイドフェイス吹出口である。そして、所定吹出口は、インストルメントパネルのうち、車両の左右方向において空調用吹出口よりも更に端寄りの位置に形成されている。従って、車室内の乗員から見て、所定吹出口が目立ちにくいので、車室内の意匠に対する影響を小さくすることが可能である。
【0286】
また、第7の観点によれば、インストルメントパネルは、車両の左右方向において車室外側へ向いた側壁をその左右方向の端に有する。そして、その側壁は、ドア開口部を閉じた状態のドアによって覆われ、所定吹出口はその側壁に形成されている。従って、ドア開口部を閉じた状態のドアによって所定吹出口が車室内の乗員から見えなくなるので、車室内の意匠に対する影響を小さくすることが可能である。
【0287】
また、第8の観点によれば、エアコンユニットの内部には、送風機が流す空気を熱交換器に通過させるための第1空気通路と、その第1空気通路と並列に設けられ、送風機が流す空気を熱交換器を迂回させて流す第2空気通路とが形成されている。また、エアコンユニットは、第2空気通路の開閉を行う通路開閉装置を有する。制御装置は、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる際には、通路開閉装置に第2空気通路を開かせる。従って、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる際に、エアコンユニット内で熱交換器により通風抵抗が大きくなることを回避することが可能である。その結果、ドア開放中に所定吹出口から吹き出される空気の風量を多くすることが可能である。
【0288】
また、第9の観点によれば、エアコンユニットは、送風機に車室外の空気を導く外気モードを含む複数の吸込みモードのそれぞれに切替可能に構成されている。そして、制御装置は、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる際には、エアコンユニットを外気モードにする。従って、所定吹出口から吹き出された空気が送風機によって車室内側へ引き込まれることを防止することが可能である。その結果、例えば送風機が内気を吸い込む場合と比較して、ドア開放中のドア開口部から車室内への異物の侵入を防止するという性能を向上させることが可能である。
【0289】
また、第10の観点によれば、エアコンユニットは、車両の左右方向においてその車両の中央部分に位置し車室内へ開口したセンターフェイス吹出口へもエアコンユニットからの空気を流すことが可能なように設けられる。そのセンターフェイス吹出口は、所定吹出口とは別の吹出口である。そして、制御装置は、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる際には、センターフェイス吹出口から車室内への空気の吹出しを止める。従って、ドア開口部から或る程度離れたセンターフェイス吹出口への空気流れを止めたことに応じて、所定吹出口から吹き出される空気の風量を多く確保することが可能である。
【0290】
また、第11の観点によれば、制御装置は、外気温度が所定の外気温下限値以上で且つ所定の外気温上限値以下であることを条件に、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる。従って、ドア開口部から車室内へ侵入しうる異物の代表例である蚊等の害虫の活動が停滞する状況の下では、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させることは実施されないことになる。そのため、ドア開放中のドア開口部から車室内への異物の侵入を抑制することの必要性が高まった場合に合わせて、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させることを適宜実施することが可能である。
【0291】
また、第12の観点によれば、エアコンユニットは、そのエアコンユニット内を流れる空気の通風経路であるエアコン通風経路を変更する経路変更装置を有する。そして、車両起動スイッチに対する乗員操作によって車両が走行可能な状態から走行不可能な状態へ切り替えられた場合には、制御装置は、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる際に成立させるエアコン通風経路の目標状態をドアの開閉に拘わらず予め成立させるように、経路変更装置を作動させる。従って、ドアによりドア開口部が開かれた瞬間から直ちに、ドア開口部に対する車室内側から車室外側へそのドア開口部を介して空気を吹き出すことが可能である。
【0292】
また、第13の観点によれば、制御装置は、ドアの開閉を検出するドア開閉センサからの信号に基づいて、ドアがドア開口部を開いたことを認識する。従って、ドアがドア開口部を開いたか否かの情報を制御装置は容易に得ることが可能である。
【0293】
また、第14の観点によれば、車両には、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させることに対する許可と不許可とを切り替える乗員操作スイッチが設けられる。そして、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させることが乗員操作スイッチに対する乗員操作によって許可されている場合に限り、制御装置は、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させる。従って、ドア開放中に所定吹出口から空気を吹き出させることを、乗員の意志に沿って止めることが可能である。
【0294】
また、第15の観点によれば、制御装置は、次のことを行う。すなわち、車両に設置された車載無線機に対し無線通信を行う携帯機が車両に近づきその車両周辺の所定領域に入った場合には、ドアによりドア開口部が開かれなくても、制御装置は、送風機を作動させ、その送風機が流す空気を所定吹出口から吹き出させる。従って、ドアによりドア開口部が開かれた瞬間から遅れることなく、ドア開口部に対する車室内側から車室外側へそのドア開口部を介して空気を吹き出すことが可能である。
【0295】
また、第16の観点によれば、制御装置は、携帯機が車両に近づき所定領域に入った場合に送風機を作動させた場合において、ドアによりドア開口部が閉じられたまま送風機の作動開始時から所定時間が経過した場合には、送風機を停止させる。従って、不必要に送風機の作動が継続されることを回避することが可能である。
【符号の説明】
【0296】
10 空気吹出装置
11 エアコンユニット
12 エアコン制御装置(制御装置)
39 D席側サイドフェイスダクト(空調用ダクト)
40 P席側サイドフェイスダクト(空調用ダクト)
82 D席側ドア開口部(ドア開口部)
84 P席側ドア開口部(ドア開口部)
86 D席側ドア(ドア)
88 P席側ドア(ドア)
Ps 所定吹出口