(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】カメラモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20221109BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20221109BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221109BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221109BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221109BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20221109BHJP
B60R 1/00 20220101ALN20221109BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G03B17/56 A
G03B17/02
G03B15/00 V
H04N5/225 400
H04N5/225 100
G03B30/00
B60R1/00
(21)【出願番号】P 2018180279
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】古武 泰樹
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-048123(JP,A)
【文献】特表2007-507139(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055845(WO,A1)
【文献】特開平09-145975(JP,A)
【文献】特開2005-017951(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0117058(KR,A)
【文献】中国実用新案第207502796(CN,U)
【文献】特開2002-296475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 17/56
G03B 17/02
G03B 15/00
H04N 5/225
G03B 30/00
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)においてウインドシールド(3)の内側に装着されて、前記車両の外界(5)を撮像するように構成されるカメラモジュールであって、
前記外界を撮像するイメージャ(34)と、
外界レンズ(36)及び当該外界レンズの前記イメージャ側に位置する小径レンズ(37)を含んでなり、前記外界からの光像を前記イメージャに結像させるレンズセット(35)と、
前記レンズセットを収容するレンズ鏡筒(32)と、
前記レンズ鏡筒に内嵌されて前記小径レンズを収容する内側鏡筒(33a)と、を備え、
前記レンズ鏡筒は、前記レンズセットの光軸(Al)に沿った軸力(Fax1,Fax)によって前記外界レンズを支持する鏡筒軸力部(325)、を有し、
前記内側鏡筒は、前記小径レンズ及び前記外界レンズの間に介在し、前記小径レンズ及び前記外界レンズの一方から他方に前記軸力を伝達する軸力伝達部(332)、を有
し、
前記軸力伝達部は、前記小径レンズの外周面(370)よりも径方向内側に突き出す形状であり、
前記外界レンズは、前記外界側に位置する光学面(360)、及び当該光学面よりも外周側に形成された径方向の段差部(361)、を有し、
前記鏡筒軸力部から前記軸力が作用する前記段差部は、前記小径レンズにおいて前記軸力伝達部と接触する小径接触面(372)に対して径方向外側に形成され、
前記段差部において前記光軸と直交する姿勢で前記外界側を向く円環状の平面である前側支持面(361a)は、前記小径接触面よりも広いカメラモジュール。
【請求項2】
前記内側鏡筒の内周壁(330)には、径方向内側へ向けて突き出す形状であり、前記小径レンズを内周筒面(330b)によって支持する内凸状部(330a)、が複数設けられている請求項
1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記内側鏡筒の外周壁(331)には、径方向外側へ向けて突き出す形状であり、前記レンズ鏡筒の内周壁(320)によって支持される外凸状部(331a)、が複数設けられている請求項1
又は2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記レンズ鏡筒の前記内周壁には、径方向内側へ向けて突き出す形状であり、各前記外凸状部を各部分筒状面(320b)によって支持する鏡筒凸状部(320a)、が複数設けられている請求項
3に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記レンズ鏡筒は、
前記外界レンズを外周側から支持する支持本体(32a)と、
前記鏡筒軸力部を有し、前記支持本体により保持されて前記鏡筒軸力部から前記外界レンズに前記軸力を作用させる保持軸力体(32b)と、
を含む請求項1~
4のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書による開示は、カメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに接合された第1レンズ及び第2レンズを含む接合レンズ成分と、接合レンズ成分とは別のレンズ成分とを保持するレンズ保持装置が開示されている。特許文献1のレンズ保持装置は、複数のレンズを収容する外筒と、外筒に収容される円筒形状のスペーサを備えている。スペーサは、第2レンズの外周側に位置し、レンズ押え環を外筒のネジ部に螺着することで生じた軸力を、第1レンズに伝達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、先進運転支援又は自動運転等のために車両にて用いられるカメラモジュールには、外界の広い範囲を画像認識可能に撮像するといった光学的な性能が要求されるようになってきている。しかし、特許文献1に開示の構成を車両用のカメラモジュールに適用した場合、レンズ系の光学的な性能を確保しながら、カメラモジュールの構成を小型化することが困難となり得た。
【0005】
本開示の課題は、光学的な性能を確保しつつ、構成を小型化可能なカメラモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、開示された第1態様は、車両(2)においてウインドシールド(3)の内側に装着されて、車両の外界(5)を撮像するように構成されるカメラモジュールであって、外界を撮像するイメージャ(34)と、外界レンズ(36)及び当該外界レンズのイメージャ側に位置する小径レンズ(37)を含んでなり、外界からの光像をイメージャに結像させるレンズセット(35)と、レンズセットを収容するレンズ鏡筒(32)と、レンズ鏡筒に内嵌されて小径レンズを収容する内側鏡筒(33a)と、を備え、レンズ鏡筒は、レンズセットの光軸(Al)に沿った軸力(Fax1,Fax)によって外界レンズを支持する鏡筒軸力部(325)、を有し、内側鏡筒は、小径レンズ及び外界レンズの間に介在し、小径レンズ及び外界レンズの一方から他方に軸力を伝達する軸力伝達部(332)、を有し、軸力伝達部は、小径レンズの外周面(370)よりも径方向内側に突き出す形状であり、外界レンズは、外界側に位置する光学面(360)、及び当該光学面よりも外周側に形成された径方向の段差部(361)、を有し、鏡筒軸力部から軸力が作用する段差部は、小径レンズにおいて軸力伝達部と接触する小径接触面(372)に対して径方向外側に形成され、段差部において光軸と直交する姿勢で外界側を向く円環状の平面である前側支持面(361a)は、小径接触面よりも広いカメラモジュールとされる。
【0007】
第1態様の小径レンズは、内側鏡筒に収容される構成であり、外界レンズよりも小径となり得る。加えて、外界レンズ及び小径レンズの間に介在する軸力伝達部が、これらの間にて軸力を伝達する機能を果たす。そのため、小径レンズ及び外界レンズの外径が異なっていても、外界レンズ及び小径レンズのそれぞれに軸力を作用させた状態が形成され得る。したがって、光学的な性能確保しつつ、外界レンズ後段のレンズの小型化が可能になる。
【0010】
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態によるカメラモジュールが適用される車両を示す前面図である。
【
図2】第1実施形態によるカメラモジュールを示す縦断面図である。
【
図3】第1実施形態によるカメラモジュールを示す上面斜視図である。
【
図4】第1実施形態によるカメラモジュールを示す平面図である。
【
図5】第1実施形態によるカメラケーシング及び光学アセンブリを示す上面斜視図である。
【
図6】第1実施形態による光学アセンブリ及び回路ユニットを示す側面斜視図である。
【
図7】第1実施形態による光学アセンブリ及び回路ユニットを示す上面斜視図である。
【
図8】第1実施形態により生成される外界画像を示す正面模式図である。
【
図9】第1実施形態によるレンズセット及びレンズ鏡筒の縦断面図であり、
図10のIX-IX線断面図である。
【
図10】第1実施形態によるレンズセット及びレンズ鏡筒の横断面図であり、
図9のX-X線断面図である。
【
図11】第1実施形態によるメインスペーサを
図9の矢印XIの方向に見た図である。
【
図12】第1実施形態によるレンズセット及びレンズ鏡筒の組み立ての詳細を示す図である。
【
図13】第1実施形態によるレンズセット及びレンズ鏡筒に作用する軸力を示す図である。
【
図14】レンズ鏡筒の先端を小径化することの効果を模式的に示す図である。
【
図15】第2実施形態によるレンズセット及びレンズ鏡筒の縦断面図である。
【
図16】第2実施形態によるレンズセット及びレンズ鏡筒の組み立ての詳細を示す図である。
【
図17】第2実施形態によるレンズセット及びレンズ鏡筒に作用する軸力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
【0013】
(第1実施形態)
図1及び
図2に示すように、第1実施形態によるカメラモジュール1は、車両2に搭載されて外界5を撮像するように構成される。尚、以下の説明では、水平面上における車両2の鉛直方向が上下方向に設定され、水平面上における車両2の水平方向のうち車長方向及び車幅方向がそれぞれ前後方向及び左右方向に設定される。
【0014】
カメラモジュール1は、車両2におけるフロントウインドシールド3の内側に、装着される。フロントウインドシールド3は、車両2において運転席の前方に位置している。フロントウインドシールド3は、自身の内側となる車室4内を外界5とは仕切っている。フロントウインドシールド3は、例えばガラス等の透光性材料により形成されることで、外界5の風景から入射する光像を車室4内へと透過させる。
【0015】
フロントウインドシールド3においてカメラモジュール1の装着箇所は、車室4内の運転席に着座した乗員の視界を実質妨げない箇所に、設定されている。具体的には
図1に示すように、上下における装着箇所は、車両2においてフロントウインドシールド3の外周縁部を枠状に保持するピラー6の開口窓6a内のうち、上縁部から例えば20%程度の範囲Xv内に設定されている。左右における装着箇所は、開口窓6aの中心から両側へ例えば15cm程度の範囲Xh内に設定されている。これらの設定により装着箇所は、フロントウインドシールド3を払拭するワイパーの払拭範囲Xr内であって、前後方向に対してフロントウインドシールド3が例えば22~90°程度傾斜する部分に、位置することとなる。
【0016】
図2~
図4に示すようにカメラモジュール1は、ブラケットアセンブリ10、カメラケーシング20、光学アセンブリ30、フード40及び回路ユニット50を備えている。
【0017】
ブラケットアセンブリ10は、ブラケット本体11を主体に構成されている。ブラケット本体11は、例えば樹脂等の比較的成形容易な硬質材料により、全体として略平板状に形成されている。ブラケット本体11は、フロントウインドシールド3の内面3aに沿って配置される。ブラケット本体11では、平面状の上面11aがフロントウインドシールド3の内面3aに接着固定される。これにより車両2においてブラケットアセンブリ10は、フロントウインドシールド3に着脱不能に装着された状態となる。
【0018】
カメラケーシング20は、
図2~
図5に示すように、一対のケーシング部材21,22を組み合わせて構成されている。各ケーシング部材21,22は、例えばアルミニウム等の比較的高放熱性を有した硬質材料により、全体として中空状に形成されている。
【0019】
逆カップ状のアッパケーシング部材21は、ブラケットアセンブリ10の下側に配置されることで、ブラケットアセンブリ10とは反対側となる下側に開口部を向けている。アッパケーシング部材21は、
図3及び
図5に示すように、外部側方へと突出する嵌合突部213を、左右両側縁部の前後2箇所ずつに有している。
【0020】
図3に示すように、前方2箇所及び後方2箇所の各嵌合突部213に個別に対応してブラケット本体11には、複数の嵌合溝部112が設けられている。各嵌合溝部112は、溝始端部112aにて開口し且つ溝終端部112bにて閉塞された略L字状を、呈している。各嵌合溝部112の溝終端部112bには、それぞれ対応する嵌合突部213がスライド嵌合によって係合固定されている。これにより車両2においてカメラケーシング20は、ブラケットアセンブリ10に対しては着脱可能にぶら下がった状態下、フロントウインドシールド3に対して位置決めされることとなる。
【0021】
アッパケーシング部材21は、
図2~
図5に示すように、対向壁部210、屈曲壁部211及び凹壁部212を上壁部に有している。対向壁部210は、ブラケットアセンブリ10を挟んでフロントウインドシールド3の内面3aと対向する姿勢に、配置される。対向壁部210は、この配置姿勢下においてフロントウインドシールド3と可及的に近接した状態に維持される。
【0022】
屈曲壁部211は、
図2及び
図5に示すように、対向壁部210に対して下側へ屈曲されている。屈曲壁部211が対向壁部210となす略山形の尾根状部分(即ち、稜線部分)は、アッパケーシング部材21のうち左右の略全域に延伸して、フロントウインドシールド3に可及的に近接している。
【0023】
凹壁部212は、屈曲壁部211に対して屈曲されている。凹壁部212は、屈曲壁部211から前側へ離間するほど、上側のフロントウインドシールド3と近接する姿勢に、配置される。凹壁部212は、この配置姿勢下においてフロントウインドシールド3との間に、フード40を収容する収容凹所215を画成する。
【0024】
皿状のロアケーシング部材22は、アッパケーシング部材21の下側に配置されることで、アッパケーシング部材21側となる上側に開口部を向けている。ロアケーシング部材22は、アッパケーシング部材21にねじで締結されている。これによりケーシング部材21,22は、光学アセンブリ30及び回路ユニット50を内部にて収容する収容空間25を、共同して画成している。
【0025】
光学アセンブリ30は、
図2~
図7に示すように、アセンブリホルダ30a、レンズホルダ31、レンズセット35及びイメージャ34等を組み合わせて構成されている。アセンブリホルダ30aは、例えば樹脂等の比較的成形容易な硬質材料により、全体として中空ブロック状に形成されている。アセンブリホルダ30aは、収容したイメージャ34へと光像を導く光路空間39を、レンズホルダ31と共同して画成している。
【0026】
レンズホルダ31は、例えば樹脂等の比較的成形容易な硬質材料により、全体として略円筒状に形成されている。
図2及び
図5に示すように、レンズホルダ31は、カメラケーシング20のうち上側のアッパケーシング部材21に対して、接着材等により接合されていてもよい。またレンズホルダ31は、アッパケーシング部材21に対しねじ締結されるアセンブリホルダ30aを介して固定されていてもよい。
【0027】
レンズホルダ31は、
図2に示すように、収容したレンズセット35を通して光像を導く光路空間39を、画成している。レンズホルダ31の前端部は、屈曲壁部211を通じてカメラケーシング20外に露出している。この露出のために屈曲壁部211には、
図2及び
図5に示すようなレンズ窓216が設けられている。レンズ窓216は、左右中心を両壁面間にて貫通することでレンズホルダ31を挿通させる貫通孔状に形成されている。また凹壁部212には、左右中心にて上壁面に開口する逃がし孔217が設けられている。
【0028】
図2~
図7に示すレンズセット35は、ガラス等の透光性材料により形成された複数枚のレンズによって構成されている。レンズセット35は、所期のレンズ画角、例えば75~150°程度の広いレンズ画角を確保するようなレンズ構成とされている。またレンズセット35には、所期の明るさ及び分解能を確保するように、例えば2以上のFナンバーが与えられている。レンズセット35は、各レンズをレンズホルダ31によって固定された状態で、レンズホルダ31内に収容されている。レンズセット35の光軸Alは、前後方向に対しては前側ほど下側若しくは上側へ傾斜して設定、又は前後方向に沿って設定される。尚、レンズセット35には、150°よりも広い画角が与えられていてもよい。
【0029】
図2に示すイメージャ34は、例えばCCD又はCMOS等といったカラー式若しくはモノクロ式撮像素子を主体に構成されている。イメージャ34は、そうした撮像素子の前側に例えば赤外カットフィルタ等を組み合わせたものでもよい。イメージャ34は、全体として矩形平板状に形成されている。イメージャ34は、アセンブリホルダ30aに収容されることで、光路空間39内に配置されている。
【0030】
以上説明した光学アセンブリ30の構成下、外界5からフロントウインドシールド3を透過した光像は、レンズセット35を通してイメージャ34に結像される。このときイメージャ34には、外界5のうち撮像範囲からの光像が倒立像として結像される。イメージャ34は、この結像した倒立像を撮影することで、外界5を撮像してなる信号又はデータを出力可能に構築されている。
【0031】
フード40は、
図2~
図4に示すように、例えば樹脂成形等によりブラケット本体11と一体に形成されることで、ブラケットアセンブリ10の一部を構成している。上側から視たフード40の全体形状は、光学アセンブリ30におけるレンズセット35の光軸Alに関して左右対称な皿状を、呈している。フード40は、ベース壁部41、後端壁部42及び側壁部43を有している。
【0032】
ベース壁部41は、
図2に示すように、凹壁部212よりも上側且つ光軸Alよりも下側であって、屈曲壁部211よりも前側に設けられている。ベース壁部41は、凹壁部212とフロントウインドシールド3との間にて、収容凹所215に収まっている。ベース壁部41は、屈曲壁部211から前側へ離間するほど、上側のフロントウインドシールド3と近接する姿勢に、配置される。これにより、ベース壁部41の上側を向く底壁面41aは、撮像空間410を空けてフロントウインドシールド3の内面3aと対向する台形の略平面状に、広がった状態となる。外界5のうちイメージャ34による撮像範囲内の光像は、フロントウインドシールド3を透過することで、この撮像空間410へ導かれる。
【0033】
ベース壁部41には、
図2に示すような複数の規制リブ411が設けられている。各規制リブ411は、フロントウインドシールド3側となる上側の撮像空間410内へ向かって、ベース壁部41の底壁面41aから突出している。各規制リブ411は、直線状に延伸する凸条であり、左右方向に実質沿って配置される。各規制リブ411は、互いに所定間隔ずつを空けて、前後に並んでいる。各規制リブ411は、ベース壁部41へと入射する光を互いの対向壁面にて多重反射することで、当該入射光を相互間にトラップする。このトラップ機能を実現するように各規制リブ411の突出高さは、それぞれ所定値ずつに設定されている。尚、
図3及び
図4では、規制リブ411の図示が省略されている。
【0034】
後端壁部42は、光軸Alに対して左右の中心を実質心合わせして、設けられている。後端壁部42は、ベース壁部41のうち後縁部から上側へ立設されている。後端壁部42は、光軸Alに対して実質垂直な屈曲壁部211とは実質平行に、広がっている。後端壁部42には、左右中心を両壁面間にて貫通することでレンズホルダ31の挿通される貫通孔状に、レンズ窓420が設けられている。レンズホルダ31の前端部は、上述のレンズ窓216及びこのレンズ窓420を通じて、ベース壁部41よりも上側の撮像空間410内に露出している。ここで、所定の撮像対象領域となる撮像空間410には、光軸Alが向けられている。これにより、外界5の撮像範囲内から撮像空間410へと導かれた光像は、光軸Al上のレンズセット35に入射可能となっている。
【0035】
露出したレンズホルダ31の周囲においてベース壁部41には、左右中心にて底壁面41aに開口することで、入射孔421が設けられている。この入射孔421は、下側の凹壁部212に設けられた逃がし孔217によって逃がされている。これにより、外界5の撮像範囲全域から光像をレンズセット35へと入射可能にする窪み深さが、入射孔421に与えられている。
【0036】
側壁部43は、光軸Alに関して左右両側の対称位置にそれぞれ設けられることで、撮像空間410を左右両側から挟んでいる。各側壁部43は、ベース壁部41のうち左右の側縁部から上側へ立設されている。各側壁部43は、ベース壁部41の底壁面41aに対して実質垂直に形成され、上下方向に実質沿って配置される。各側壁部43では、台形平面状を呈する内部壁面43aの左右における相互間隔が、前側ほど漸次広がっている。各側壁部43では、ベース壁部41からの高さが前側ほど漸次低くなっている。これにより各側壁部43は、フロントウインドシールド3の内面3aに対して
図2の如き間隙430を前後の全域で空ける姿勢に、配置される。
【0037】
以上説明した構成のフード40は、外界5のうち撮像範囲外からレンズセット35への余剰光の入射、例えばフロントウインドシールド3の内面3aによる反射光の入射等を、規制可能となっている。それと共にフード40は、各規制リブ411による光トラップ機能により、ベース壁部41からレンズセット35への光反射も、規制可能となっている。
【0038】
回路ユニット50は、
図2,
図6及び
図7に示すように、光学アセンブリ30の構成要素と共に、収容空間25内での収容箇所を位置決めされている。回路ユニット50は、撮像基板51、フレキシブル基板(FPC)53、制御基板54等を組み合わせて構成されており、撮像回路52及び制御回路55を有している。
【0039】
撮像基板51は、
図2及び
図7に示すように、例えばガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、略矩形平板状に形成されている。撮像基板51は、光学アセンブリ30のうちアセンブリホルダ30aの後端部に対して、接着材等により接合されている。これにより撮像基板51は、光路空間39を後側から閉塞している。撮像基板51には、光路空間39内に露出する前側実装面510と、それとは反対側にて収容空間25内に露出する後側実装面511とが、形成されている。前側実装面510には、イメージャ34が実装されている。両実装面510,511には、撮像回路52を構成する複数の回路素子が、実装されている。これらの実装により撮像回路52では、イメージャ34との間にて信号又はデータの送受信が可能となっている。
【0040】
FPC53は、
図2,
図6及び
図7に示すように、例えば可撓性を有した樹脂製等のベースフィルムに導電性配線を保持させてなり、全体として略矩形帯状に形成されている。FPC53の一端部は、撮像基板51の下端部に対して接続されている。
【0041】
制御基板54は、
図2及び
図7に示すように、例えばガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、略矩形平板状に形成されている。制御基板54は、収容空間25内にて両面を上側と下側とに向けている。これにより制御基板54には、上側を向く上側実装面540と、下側を向く下側実装面541とが、それぞれ形成されている。制御基板54は、自身の外周縁部と上側実装面540の複数箇所とをアッパケーシング部材21に当接させていると共に、下側実装面541の複数箇所をロアケーシング部材22に当接させている。これにより制御基板54は、両ケーシング部材21,22の間にて位置決めされている。制御基板54には、左右中心を両実装面540,541間にて貫通することで撮像基板51及びレンズホルダ31の挿通される略矩形孔状に、接続孔542が設けられている。これにより撮像基板51及びレンズホルダ31は、制御基板54の上側と下側とに跨って配置されている。
【0042】
両実装面540,541には、制御回路55を構成する複数の回路素子が、実装されている。上側実装面540には、カメラケーシング20外に露出する外部コネクタ544が、実装されている。この外部コネクタ544は、カメラケーシング20外の例えばECU等といった外部回路に対して、接続される。
図2に示すように下側実装面541には、収容空間25内に露出する内部コネクタ543が、実装されている。この内部コネクタ543は、制御基板54よりも下側に配置されたFPC53の他端部に対して、接続されている。これにより、制御基板54がFPC53を介して撮像基板51と接続されて、制御回路55及び撮像回路52の間では信号又はデータの送受信が可能となっている。
【0043】
制御回路55は、プロセッサを主体としたマイクロコンピュータ550を、下側実装面541に実装される回路素子として、含んでいる。撮像回路52との共同により制御回路55は、イメージャ34からの出力を画像処理することで、
図8の如き外界画像551を生成する。このとき外界画像551は、外界5のうち外界画像551に映る撮像範囲内の構造物及び障害物を画像認識可能に、生成される。ここで
図8に例示するように、車両2がそのルーフパネルよりも上側の構造物となる信号機5aに近接したときには、外界画像551には信号機5aが画像認識可能に映るように、撮像範囲が設定される。また
図8に例示するように、車両2のフロントバンパが交差点5bに近接したときには、外界画像551には左右から交差点5bに進入してくる前方障害物5c(歩行者、自転車及び他車両等)が画像認識可能に映るように、撮像範囲が設定される。
【0044】
撮像回路52との共同により制御回路55はさらに、イメージャ34による撮像時の露光状態を含めたイメージャ34の撮像作動を、制御する。このとき
図8に例示するように、上述の画像処理機能によって生成された外界画像551の下部にて車両2の一部(例えばボンネット等)が映る車両撮影画素551aの範囲を避けて、有効画素551bの範囲が設定される。これにより、設定範囲における有効画素551bの画素値に基づくことで、次回撮影時の露光状態が制御可能となる。
【0045】
制御回路55は、以上説明した画像処理機能及び撮像制御機能の他、例えば外界画像551に映る撮像範囲内の構造物及び障害物を画像認識する画像認識機能等を、備えていてもよいし、備えていなくてもよい。また、画像処理機能及び撮像制御機能のうち少なくとも一方を、制御回路55のみが備えていてもよいし、撮像回路52のみが備えていてもよい。
【0046】
次に、光学アセンブリ30におけるレンズセット35及びレンズホルダ31の詳細構成を説明する。
【0047】
レンズセット35は、
図9に示すように、一例として第1レンズ36~第5レンズ38cを含んでなる5群6枚のレンズ構成とされている。第1レンズ36~第5レンズ38cは、外界側からイメージャ側へ向けて、この順で相互に実質同軸となるように配置されている。レンズセット35の光軸Alは、第1レンズ36の主点を通るよう規定される。
【0048】
レンズセット35に含まれる複数のレンズのうちで、第1レンズ36、第4レンズ38b及び第5レンズ38cは、球面レンズであり、各光学面が球面状に形成されている。第1レンズ36及び第4レンズ38bの外径は、互いに実質同一である。一方、第2レンズ37及び第3レンズ38aは、非球面状の光学面を有する非球面レンズである。第2レンズ37及び第3レンズ38aは、各球面レンズよりも小型且つ小径のレンズである。これらのレンズのうちで、第1レンズ36、第2レンズ37及び第3レンズ38aは、レンズホルダ31の第1収容室31aに収容される。一方、第4レンズ38b及び第5レンズ38cは、レンズホルダ31の第2収容室31bに収容される。
【0049】
第1レンズ36は、前側凸面360及び後側凹面362を有する凹メニスカス状等に形成されている。第1レンズ36は、上述の広いレンズ画角を可能にする広角レンズである。第1レンズ36は、レンズ鏡筒32の先端部に嵌合固定されることで、光路空間39を前側から閉塞している。前側凸面360は、外界側に位置する光学面であり、レンズ開口326を通じて撮像空間410に露出している。第1レンズ36には、段差部361、後側支持面363及び外周支持面364が形成されている。
【0050】
段差部361は、第1レンズ36の前面にて前側凸面360よりも外周側の部分に設けられており、第1レンズ36の外径を変化させる径方向の段差を形成している。段差部361は、前側支持面361a及びレンズ側面361bを有している。前側支持面361a及びレンズ側面361bには、黒色の遮光層が形成されている。前側支持面361aは、光軸Alに対して実質直交する姿勢で、外界側を向く円環状の平面である。レンズ側面361bは、光軸Alと実質同軸の円筒面であり、前側支持面361aの内縁と前側凸面360の外縁とに連続している。レンズ側面361bは、レンズ開口326を区画する内周面と径方向に間隔を空けて対向している。
【0051】
後側支持面363は、第1レンズ36の後面にて後側凹面362よりも外周側の部分に設けられている。後側支持面363は、光軸Alに対して実質直交する姿勢で、イメージャ側を向く円環状の平面である。後側支持面363の内縁は、前側支持面361aの内縁よりも径方向内側に位置している。外周支持面364は、光軸Alと実質同軸の円筒面であり、前側支持面361a及び後側支持面363の各外縁と連続している。
【0052】
第2レンズ37は、第1レンズ36のイメージャ側に位置する後段レンズの一つである。第2レンズ37は、前側凹面371及び後側凸面373を有する凹メニスカス状等に形成されている。第2レンズ37は、第1レンズ36から離れた位置に、第1レンズ36とは別体で軸力固定されている。第2レンズ37には、外周支持面370、前側支持面372及び後側支持面374が形成されている。
【0053】
外周支持面370は、第2レンズ37のコバ面に形成されている。外周支持面370は、光軸Alと実質同軸の円筒面であり、前側支持面372及び後側支持面374の各外縁と連続している。前側支持面372は、第2レンズ37の前面にて前側凹面371よりも外周側の部分に設けられている。前側支持面372は、光軸Alに対して実質直交する姿勢で、外界側を向く円環状の平面である。後側支持面374は、第2レンズ37の後面にて後側凸面373よりも外周側の部分に設けられている。後側支持面374は、光軸Alに対して実質直交する姿勢で、イメージャ側を向く円環状の平面である。
【0054】
第3レンズ38aは、前側凸面381及び後側凸面383を有する両凸状等に形成されている。第3レンズ38aには、外周支持面380及び前側支持面382が形成されている。外周支持面380は、第3レンズ38aのコバ面に形成されている。外周支持面380は、光軸Alと実質同軸の円筒面であり、前側支持面382の外縁と連続している。前側支持面382は、第3レンズ38aの前面にて前側凸面381よりも外周側の部分に設けられている。前側支持面382は、光軸Alと実施直交する姿勢で、外界側を向く円環状の平面である。
【0055】
第4レンズ38b及び第5レンズ38cは、互いに接合されて一つのレンズ要素を構成している。第4レンズ38bは、前側凸面386を有する凹メニスカス状等に形成されている。第5レンズ38cは、後側凸面389を有する両凸状等に形成されている。第4レンズ38bには、後側支持面387及び外周支持面388が形成されている。後側支持面387は、第4レンズ38bの後面にて第5レンズ38cとの接合面よりも外周側の部分に設けられている。後側支持面387は、光軸Alと実施直交する姿勢で、イメージャ側を向く円環状の平面である。外周支持面388は、第4レンズ38bのコバ面に形成されている。外周支持面388は、光軸Alと実質同軸の円筒面であり、前側凸面386及び後側支持面387の各外縁と連続している。
【0056】
レンズホルダ31は、
図9~
図13に示すように、レンズ鏡筒32、メインスペーサ33a及びサブスペーサ33b等によって構成されている。これらの構成は、互いに実質同一の硬質材料によって形成されている。
【0057】
レンズ鏡筒32は、鏡筒本体32aに、フロントキャップ32b及びリヤブラケット32cを組み付けてなる構成である。レンズ鏡筒32は、レンズセット35、メインスペーサ33a及びサブスペーサ33bを収容する空間として、上述の第1収容室31a及び第2収容室31bを画成している。第1収容室31a及び第2収容室31bは、光路空間39の一部である。
【0058】
鏡筒本体32aは、全体として円筒状に形成されており、第1レンズ36を外周側から支持する構成である(
図10参照)。鏡筒本体32aにおいて、第1収容室31aを区画する内周壁(以下「鏡筒内周壁320」)には、複数(6つ)の鏡筒凸状部320aが設けられている。各鏡筒凸状部320aは、鏡筒内周壁320のベース部分320dから径方向内側へ向けて突き出す形状とされている。鏡筒内周壁320のベース部分320dは、鏡筒凸状部320aの基礎となる部分である。隣接する二つの鏡筒凸状部320aの間に形成される凹溝の底部が、ベース部分330dとなる。鏡筒凸状部320aは、鏡筒本体32aの周方向に等間隔で、互いに間隔を空けて設けられている。鏡筒凸状部320aは、軸方向に沿って、第1収容室31aの後端から先端まで形成されている。鏡筒凸状部320aは、部分円筒面状の内周筒面320bを有している。6つの内周筒面320bによってなる円筒の内径は、メインスペーサ33aの外径と実質同一であり、且つ、第1レンズ36の外周支持面364の外径とも実質同一である。鏡筒凸状部320aは、内周筒面320bによってメインスペーサ33aを径方向に支持している。また鏡筒凸状部320aは、内周筒面320bの先端部分により、第1レンズ36の外周支持面364を外周側から支持している。
【0059】
鏡筒本体32aには、フロント嵌合部321、リヤ嵌合部322及び区画壁部323等が設けられている。フロント嵌合部321は、外界側となる先端部分の外周壁に形成されており、一例としてフロントキャップ32bと螺合する雄ねじ部を有している。リヤ嵌合部322は、イメージャ側となる基端部分の内周壁に形成されており、一例としてリヤブラケット32cと螺合する雌ねじ部を有している。
【0060】
区画壁部323は、鏡筒本体32aの内周壁から径方向内側に立設された円環状の壁部である。区画壁部323は、鏡筒本体32aの内部にて、第1収容室31a及び第2収容室31bを区分けしている。区画壁部323において外界側を向く前面の内縁が前側支持部323aとなり、イメージャ側を向く後面の内縁が後側支持部323bとなる。前側支持部323aは、第3レンズ38aの後側凸面383の外縁部分に円環状に線接触しており、第3レンズ38aのイメージャ側への移動を規制する。後側支持部323bは、第4レンズ38bの前側凸面386の外縁部分に円環状に線接触しており、第4レンズ38bの外界側への移動を規制する。
【0061】
フロントキャップ32bは、全体として扁平な有底円筒状に形成されている。フロントキャップ32bは、鏡筒本体32aによって保持されて、レンズセット35の第1レンズ36等に光軸Alに沿った軸力Fax1(
図13参照)を作用させる。フロントキャップ32bには、先端嵌合部324、レンズ開口326及び鏡筒軸力部325等が形成されている。
【0062】
先端嵌合部324は、フロントキャップ32bの円筒壁の内周壁に形成されており、一例としてフロント嵌合部321と螺合する雌ねじ部を有している。レンズ開口326は、フロントキャップ32bの底壁中央に形成された同軸真円状の開口であり、レンズセット35に光を到達させる透過窓として機能する。鏡筒軸力部325は、フロントキャップ32bの円筒壁から径方向内側に内フランジ状に突き出した底壁により形成されている。鏡筒軸力部325は、イメージャ側を向く円環状の先端軸力面325aを有している。鏡筒軸力部325は、先端嵌合部324のフロント嵌合部321への螺合により、第1レンズ36に先端軸力面325aを接触させる。
【0063】
リヤブラケット32cは、全体として扁平な円筒状に形成されている。リヤブラケット32cは、鏡筒本体32aに保持されて、レンズセット35の第4レンズ38bに光軸Alに沿った軸力Fax2を作用させる(
図13参照)。リヤブラケット32cによる軸力Fax2は、フロントキャップ32bによる軸力Fax1とは反対方向の力である。リヤブラケット32cには、後端嵌合部328及び後端軸力面329等が形成されている。
【0064】
後端嵌合部328は、リヤブラケット32cの円筒壁の外周壁面に形成されており、一例としてリヤ嵌合部322と螺合する雄ねじ部を有している。後端軸力面329は、外界側を向くリヤブラケット32cの円環状の端面によって形成されている。後端軸力面329は、後端嵌合部328のリヤ嵌合部322への螺合により、第4レンズ38bの後側支持面387に接触する。
【0065】
メインスペーサ33aは、全体として円筒状に形成されている。メインスペーサ33aは、実質同軸の配置となるように、レンズ鏡筒32に収容されている。メインスペーサ33aには、第2レンズ37及び第3レンズ38aと、サブスペーサ33bが収容されている。これらの構成を支持するメインスペーサ33aの内周壁(以下、「スペーサ内周壁330」)には、複数(3つ)の内凸状部330a及び複数(3つ)の中間凸状部330cが設けられている(
図11参照)。
【0066】
内凸状部330a及び中間凸状部330cは、スペーサ内周壁330のベース部分330dから径方向内側へ向けて突き出す形状とされている。スペーサ内周壁330のベース部分330dは、内凸状部330a及び中間凸状部330cの基礎となる部分である。内凸状部330a及び中間凸状部330cの間に形成される凹溝の底部が、ベース部分330dとなる。内凸状部330a及び中間凸状部330cは、メインスペーサ33aの周方向にて交互に形成されており、互いに間隔を空けて等間隔で設けられている。内凸状部330a及び中間凸状部330cは、軸方向に沿って、スペーサ内周壁330の後縁から前縁まで延伸する形状である。内凸状部330aは、部分円筒面状の内周筒面330bを有している。3つの内周筒面330bによってなる円筒の内径は、第2レンズ37及び第3レンズ38aの各外周支持面370,380の各外径、並びにサブスペーサ33bの外径と実質同一である。内凸状部330aは、内周筒面330bによって、第2レンズ37及び第3レンズ38aと、サブスペーサ33bとを外周側から支持している。一方、中間凸状部330cの内周筒面によってなる円筒の内径は、内凸状部330aの内径及び各外周支持面370,380の各外径よりも僅かに大きい。そのため中間凸状部330cは、各外周支持面370,380及びサブスペーサ33bに対して非接触となる。
【0067】
メインスペーサ33aの外周壁(以下、「スペーサ外周壁331」)には、複数(6つ)の外凸状部331aが設けられている。外凸状部331aは、スペーサ外周壁331のベース部分331dから径方向外側へ向けて突き出す形状とされている。スペーサ外周壁331のベース部分331dは、外凸状部331aの基礎となる部分である。隣接する二つの外凸状部331aの間に形成される凹溝の底部が、ベース部分331dとなる。外凸状部331aは、メインスペーサ33aの周方向に互いに間隔を空けて等間隔で設けられている。外凸状部331aは、軸方向に沿って、スペーサ外周壁331の後縁から前縁まで延伸する形状である。外凸状部331aは、部分円筒面状の外周筒面331bを有している。6つの外周筒面331bによってなる円筒の外径は、鏡筒本体32aの内周筒面320bの内径と実質同一である。そのため、メインスペーサ33aの鏡筒本体32aへの挿入により、外凸状部331aは、鏡筒内周壁320の内周筒面320bに、外周筒面331bを密着させた状態となる。これによりメインスペーサ33aは、鏡筒本体32aに内嵌された状態で、鏡筒内周壁320によって嵌合支持される。
【0068】
メインスペーサ33aには、軸力伝達部332がさらに設けられている。軸力伝達部332は、メインスペーサ33aのうちで外界側となる軸方向端部に、内フランジ状に形成されており、第1レンズ36の後側支持面363に接触しつつ、第2レンズ37の外周支持面370よりも径方向内側に突き出す形状である。軸力伝達部332は、メインスペーサ33aと実質同軸の円環状を呈しており、第1軸力面332a及び第2軸力面332bを有している。第1軸力面332aは、外界側を向く円環状の前側端面によって形成されており、軸方向にて先端軸力面325aと対向している。第1軸力面332aは、第1レンズ36の後側凹面362と円環状に面接触する。第2軸力面332bは、イメージャ側を向くフランジ状の後面によって形成されており、軸方向にてサブスペーサ33bの端面と対向している。第2軸力面332bの全体は、先端軸力面325a及び前側支持面361aよりも径方向内側に位置している。第2軸力面332bは、第2レンズ37の前側支持面372と円環状に面接触する。軸力伝達部332は、第2レンズ37及び第1レンズ36の間に介在し、第1レンズ36及び第2レンズ37の一方から他方への軸力Fax1の伝達を可能にしている。
【0069】
サブスペーサ33bは、全体として円筒状に形成されている。サブスペーサ33bは、実質同軸となる配置にてメインスペーサ33aに収容されており、第2レンズ37及び第3レンズ38aの間に位置している。サブスペーサ33bには、前端軸力面333及び後端軸力面334が設けられている。
【0070】
前端軸力面333は、サブスペーサ33bの外界側を向く前側端面によって形成されており、円環状を呈している。前端軸力面333は、軸方向にて第2軸力面332bと対向している。前端軸力面333は、第2レンズ37の後側支持面374と円環状に面接触している。後端軸力面334は、サブスペーサ33bのイメージャ側を向く後側端面によって形成されており、円環状を呈している。後端軸力面334は、区画壁部323の前側支持部323aと軸方向にて対向している。後端軸力面334は、第3レンズ38aの前側支持面382と円環状に面接触している。サブスペーサ33bは、第2レンズ37及び第3レンズ38aの間に介在し、第2レンズ37及び第3レンズ38aの一方から他方への軸力Fax1の伝達を可能にしている。
【0071】
次に、レンズホルダ31へのレンズセット35の組み立てと、組み立てにより生じる各軸力Fax1,Fax2の詳細とを、
図12及び
図13に基づき説明する。
【0072】
メインスペーサ33aには、第2レンズ37、サブスペーサ33b及び第3レンズ38aがこの順で嵌入される。こうした組み付けにより、第2レンズ37及び第3レンズ38aは、各外周支持面370,380を、内周筒面330bによって支持された状態となる。
【0073】
第2レンズ37及び第3レンズ38a等を収容したメインスペーサ33aは、第3レンズ38aの後側凸面383をイメージャ側に向けた姿勢にて、鏡筒本体32aの第1収容室31a側に嵌入される。こうした組み付けにより、メインスペーサ33aは、外周筒面331bを、レンズ鏡筒32の内周筒面320bによって支持された状態となる。
【0074】
鏡筒本体32aには、メインスペーサ33aに続き、第1レンズ36が嵌入される。第1レンズ36は、外周支持面364を内周筒面320bの先端部分によって支持された状態となる。そして、メインスペーサ33a及び第1レンズ36を第1収容室31aに順に収容させた状態で、フロントキャップ32bが鏡筒本体32aに組み付けられる。鏡筒本体32aに保持されたフロントキャップ32bは、鏡筒軸力部325の先端軸力面325aを第1レンズ36の前側支持面361aに密着させ、この前側支持面361aに軸力Fax1を作用させる。
【0075】
以上の軸力Fax1によれば、第1レンズ36の後側支持面363は、メインスペーサ33aの第1軸力面332aと円環状に密着し、フロントキャップ32bから受けた軸力Fax1を、軸力伝達部332に作用させる。これにより第1レンズ36は、鏡筒軸力部325と第1軸力面332aとの間で挟持され、レンズ鏡筒32に軸力支持された状態となる。
【0076】
さらに軸力伝達部332への軸力Fax1の伝達によれば、軸力伝達部332の第2軸力面332bは、第2レンズ37の前側支持面372と円環状に密着し、第1レンズ36から受けた軸力Fax1を、当該前側支持面372に作用させる。その結果、軸力Fax1は、第2レンズ37の後側支持面374からサブスペーサ33bの前端軸力面333に作用し、さらにサブスペーサ33bの後端軸力面334から第3レンズ38aの前側支持面382に作用する。その結果、第3レンズ38aは、後側凸面383を前側支持部323aに押圧させた状態となる。
【0077】
以上によれば、第2レンズ37及び第3レンズ38aは、サブスペーサ33bを挟みつつ、軸力伝達部332及び前側支持部323aの間にて挟持され、レンズ鏡筒32に軸力支持された状態となる。こうして第1レンズ36、第2レンズ37及び第3レンズ38aは、光軸Alに沿う方向での互いの位置を相対固定される。
【0078】
また、一体の接合レンズ要素とされた第4レンズ38b及び第5レンズ38cは、前側凸面386を外界側へ向けた姿勢にて、鏡筒本体32aの第2収容室31b側に嵌入される。こうした組み付けにより、第4レンズ38bは、外周支持面388を、鏡筒本体32aの内周壁によって支持された状態となる。そして、リヤブラケット32cの鏡筒本体32aへの組み付けにより、リヤブラケット32cは、後端軸力面329を第4レンズ38bの後側支持面387に密着させ、この後側支持面387に軸力Fax2を作用させる。
【0079】
以上の軸力Fax2によれば、第4レンズ38bの前側凸面386は、区画壁部323の後側支持部323bに押圧された状態となる。その結果、第4レンズ38bは、リヤブラケット32cと区画壁部323との間で挟持され、レンズ鏡筒32によって軸力支持された状態となる。こうして第4レンズ38b及び第5レンズ38cも、各レンズ36,37,38aに対し、光軸Alに沿う方向の位置を相対固定される。
【0080】
ここまで説明した第1実施形態の第2レンズ37は、メインスペーサ33aに収容される構成であり、第1レンズ36よりも小径となる。加えて、第1レンズ36及び第2レンズ37の間に介在する軸力伝達部332が、これらの間にて軸力Fax1を伝達する機能を果たす。そのため、第1レンズ36及び第2レンズ37の外径が異なっていても、第1レンズ36及び第2レンズ37のそれぞれに軸力Fax1を作用させた状態が形成され得る。以上によれば、第1レンズ36及び第2レンズ37は、車載条件においても、レンズ鏡筒32内において設計上の位置に精度良く固定され続ける。したがって、光学的な性能確保しつつ、第2レンズ37の小型化(小径化)が可能となる。
【0081】
加えて第1実施形態の第1レンズ36には、前側凸面360よりも外周側に径方向の段差部361が形成されている。そしてレンズ鏡筒32は、鏡筒軸力部325にて段差部361を軸力支持する。こうした構成であれば、鏡筒軸力部325は、段差部361の凹みによって生じる空間に収容されるような形状となり得る。以上によれば、レンズ鏡筒32のうちで第1レンズ36近傍となる先端部分を小型化し易くなる。故に、第1レンズ36の前側凸面360(
図14参照)の外径サイズを確保して広角化を実現しつつ、レンズ鏡筒32の先端径d1が低減され得る。したがって、レンズの光学的な性能を確保しつつ、レンズ鏡筒32の小型化が可能となる。
【0082】
そして、こうしたレンズ鏡筒32の先端径の低減によれば、
図14に示すように、フード40の小型化が可能になる。詳記すると、カメラモジュール1では、車両2に対して特定位置にある路面物体を撮影できるよう、下方向の画角を確保するため、フード40の傾斜角度が、特定の角度に規定される。以上によれば、小径化されていないレンズ鏡筒132を採用した場合、大きな先端径d2(d2>d1)に起因して、フロントウインドシールド3とフード140との上下方向の間隔が拡大する。その結果、フード140の前後長、ひいてはフード140の体格が大型化し易くなる。
【0083】
対して、第1実施形態のように、小径化されたレンズ鏡筒32の採用によれば、フード40をフロントウインドシールド3に近接させることが可能になる。その結果、フード40の前後長は、レンズ鏡筒32を小径化分よりも、短くなり得る。以上のように、レンズ鏡筒32の小径化は、フード40の小型化、ひいてはカメラモジュール1の小型化に寄与可能となる。
【0084】
また第1実施形態では、段差部361の全体が、第2レンズ37の前側支持面372に対して径方向外側に位置しているため、各レンズ36,37に対する軸力Fax1の作用位置は、径方向に大きくずれてしまう。しかし、第1レンズ36に接触しつつ、外周支持面370よりも径方向内側まで突き出す形状とされた軸力伝達部332によれば、第2レンズ37よりも外周側に作用する軸力Fax1であっても、内周側の前側支持面372に効率的に伝達され得る。このように、内フランジ状に形成された軸力伝達部332は、外径差の大きい第1レンズ36及び第2レンズ37間であっても、確実な軸力Fax1の伝達を可能にする。
【0085】
さらに第1実施形態では、スペーサ内周壁330に設けられた3つの内凸状部330aが、第2レンズ37の径方向の相対位置を、内周筒面330bによって規定している。3つの内周筒面330bについての真円度を確保することは、スペーサ内周壁330の全体の真円度を確保するよりも、容易である。故に、スペーサ内周壁330の全体ではなく、内凸状部330aの内周筒面330bによって第2レンズ37を支持する構成を採用すれば、メインスペーサ33aと第2レンズ37との同心度が確保され易くなる。その結果、第1レンズ36に対する第2レンズ37の軸ズレが回避可能となる。
【0086】
また第1実施形態では、スペーサ外周壁331に設けられた6つの外凸状部331aの外周筒面331bが、鏡筒内周壁320に支持されて、メインスペーサ33aの径方向の相対位置が規定されている。スペーサ内周壁330と同様に、各外周筒面331bについての真円度を確保することは、スペーサ外周壁331の全体の真円度を確保するよりも、容易である。故に、外凸状部331aの外周筒面331bを鏡筒内周壁320によって支持させる構成を採用すれば、レンズ鏡筒32とメインスペーサ33aとの同心度が確保され易くなる。その結果、第1レンズ36に対する第2レンズ37の軸ズレを発生しに難くすることが可能となる。
【0087】
加えて第1実施形態では、鏡筒内周壁320に設けられた6つの鏡筒凸状部320aが、メインスペーサ33aの径方向の位置を、内周筒面320bによって規定している。こうした鏡筒本体32aについてもメインスペーサ33aと同様に、各内周筒面320bの真円度を確保することは、鏡筒内周壁320の全体の真円度を確保するよりも、容易である。故に、内周筒面320bを外凸状部331aに嵌合させて、メインスペーサ33aを支持する構成を採用すれば、レンズ鏡筒32とメインスペーサ33aとの同心度は、いっそう確保され易くなる。その結果、第1レンズ36に対する第2レンズ37の軸ズレは、さらに発生し難くなる。
【0088】
さらに第1実施形態のレンズ鏡筒32は、鏡筒軸力部325を有するフロントキャップ32bを、鏡筒本体32aに組み付けてなる構成である。故に、レンズセット35を構成する複数のレンズに対し、イメージャ側からだけでなく、外界側からも、軸力Fax1を作用させる構成が実現され得る。以上によれば、多数のレンズを含んでなるレンズセット35を採用した光学アセンブリ30においても、第1レンズ36及び第2レンズ37に作用する軸力Fax1は、低く抑制され得る。その結果、第1レンズ36及び第2レンズ37の外径が異なっていても、これらのレンズの安定的な軸力固定が可能となる。
【0089】
尚、第1実施形態では、フロントウインドシールド3が「ウインドシールド」に相当し、鏡筒本体32aが「支持本体」に相当し、鏡筒内周壁320が「レンズ鏡筒の内周壁」に相当し、内周筒面320bが「部分筒状面」に相当する。また、フロントキャップ32bが「保持軸力体」に相当し、メインスペーサ33aが「内側鏡筒」に相当し、スペーサ内周壁330が「内側鏡筒の内周壁」に相当し、スペーサ外周壁331が「内側鏡筒の外周壁」に相当する。さらに、第1レンズ36が「外界レンズ」に相当し、前側凸面360が「光学面」に相当し、第2レンズ37が「小径レンズ」に相当し、外周支持面370が「外周面」に相当し、前側支持面372が「小径接触面」に相当する。
【0090】
(第2実施形態)
図15~
図17に示すように第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第2実施形態のレンズホルダ231は、第1実施形態と実質同一のメインスペーサ33a及びサブスペーサ33bに加えて、中間スペーサ33c及びレンズ鏡筒232等によって構成されている。
【0091】
中間スペーサ33cは、全体として円筒状に形成されている。中間スペーサ33cは、メインスペーサ33aと実質同一の外径を有しており、メインスペーサ33aと軸方向に並ぶ配置にて、鏡筒内周壁320に内嵌されている。中間スペーサ33cは、第3レンズ38aと第4レンズ38bの間に介在し、第3レンズ38aと第4レンズ38bとの間隔を規定する。中間スペーサ33cは、前側支持部323a及び後側支持部323bを有している。
【0092】
レンズ鏡筒232は、鏡筒本体232aにリヤブラケット32cを組み付けてなる構成である。レンズ鏡筒232は、第1実施形態における各収容室31a,31b(
図9参照)に相当する空間として、一つの収容室231aを、光路空間39の一部として画成している。
【0093】
鏡筒本体232aは、全体として円筒状に形成されている。鏡筒本体232aの鏡筒内周壁320の内径は、第4レンズ38bの外周支持面388を支持する箇所から、第1レンズ36の外周支持面364を支持する箇所まで、実質一定である。鏡筒内周壁320には、鏡筒凸状部320aが設けられている。
【0094】
鏡筒凸状部320aは、内周筒面320bにより、第1レンズ36、メインスペーサ33a、中間スペーサ33c及び第4レンズ38b等に外嵌している。鏡筒本体232aには、リヤブラケット32cを保持するリヤ嵌合部322に加えて、鏡筒軸力部325が形成されている。鏡筒軸力部325は、鏡筒内周壁320から径方向内側に内フランジ状に突き出した凸壁により形成されている。鏡筒軸力部325は、先端軸力面325aを前側支持面361aに接触させることにより、第1レンズ36の外界側への移動を規制する。
【0095】
こうしたレンズホルダ231へのレンズセット35の組み立てと、組み立てにより生じる軸力Faxの詳細とを説明する。
【0096】
鏡筒本体232aには、第1レンズ36、メインスペーサ33a、中間スペーサ33c、及び接合レンズ要素が、この順で嵌入される(
図16参照)。詳記すると、まず第1レンズ36が、前側凸面360を外界側に向けた姿勢にて、鏡筒本体232aの後方開口から、収容室231aに挿入される。第1レンズ36は、前側支持面361aを先端軸力面325aに接触させる位置まで挿入され、レンズ開口326を閉塞する。こうして第1レンズ36は、外周支持面364を内周筒面320bの先端部分によって支持された状態となる。
【0097】
次に、第2レンズ37、サブスペーサ33b及び第3レンズ38aを収容したメインスペーサ33aが、第1軸力面332aを外界側へ向けて姿勢にて、鏡筒本体232aの収容室231aに挿入される。メインスペーサ33aは、第1軸力面332aを後側支持面363に接触させる位置まで挿入され、外界側への移動を第1レンズ36によって規制される。こうしてメインスペーサ33aは、鏡筒凸状部320aにより外周筒面331bを支持された状態となる。
【0098】
さらに、中間スペーサ33cが、前側支持部323aを外界側へ向けた姿勢にて、鏡筒本体232aの収容室231aに挿入される。中間スペーサ33cは、前側支持部323aを第3レンズ38aの後側凸面383に接触させる位置まで挿入され、外界側への移動を規制される。こうして中間スペーサ33cは、鏡筒凸状部320aによって径方向に支持された状態となる。
【0099】
次に、一体の接合レンズ要素とされた第4レンズ38b及び第5レンズ38cが、前側凸面386を外界側へ向けた姿勢にて、鏡筒本体232aの収容室231aに収容される。こうした組み付けにより、第4レンズ38bは、前側凸面360を後側支持部323bに接触させる位置まで挿入されて、鏡筒凸状部320aにより径方向に支持された状態となる。そして、リヤブラケット32cが鏡筒本体232aに組み付けられる。リヤブラケット32cは、後端軸力面329を第4レンズ38bの後側支持面387に密着させ、当該後側支持面387に軸力Faxを作用させる。尚、第2実施形態の軸力Faxは、第1実施形態の各軸力Fax1,Fax2(
図13参照)よりも大きい力となる。
【0100】
以上の軸力Faxによれば、第4レンズ38bの前側凸面386は、中間スペーサ33cの後側支持部323bに押圧された状態となる。その結果、第4レンズ38bは、リヤブラケット32cと中間スペーサ33cとの間で挟持され、レンズ鏡筒232によって軸力支持された状態となる。
【0101】
またリヤブラケット32cによる軸力Faxは、中間スペーサ33cを介して第3レンズ38aに伝達され、第3レンズ38aを介してサブスペーサ33bに伝達される。さらに軸力Faxは、サブスペーサ33bを介して第2レンズ37に伝達され、第2レンズ37を介して軸力伝達部332に伝達される。以上により、後側凸面383、後端軸力面334、後側支持面374及び第2軸力面332bのそれぞれに、軸力Faxが作用した状態となる。その結果、第2レンズ37及び第3レンズ38aは、サブスペーサ33bを挟みつつ、軸力伝達部332及び中間スペーサ33cの間にて挟持され、レンズ鏡筒232に軸力支持された状態となる。
【0102】
さらに、軸力伝達部332への軸力Faxの伝達によれば、軸力伝達部332の第1軸力面332aは、第1レンズ36の後側支持面363と円環状に密着し、第2レンズ37から受けた軸力Faxを、当該後側支持面363に作用させる。その結果、第1レンズ36は、前側支持面361aを先端軸力面325aに押圧させた状態となる。以上によれば、第1レンズ36は、鏡筒軸力部325と軸力伝達部332との間で挟持されて、レンズ鏡筒232によって軸力支持された状態となる。こうしてレンズセット35の各レンズは、光軸Alに沿う方向での互いの位置を相対固定される。
【0103】
ここまで説明した第2実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を奏し、外径の異なる第1レンズ36及び第2レンズ37のそれぞれに軸力Faxを作用させた状態が形成され得る。以上によれば、第2レンズ37の小径化を可能にしつつ、光学的な性能確保が確保される。
【0104】
加えて第2実施形態のレンズ鏡筒232の構成でも、鏡筒軸力部325は、第1レンズ36に設けられた段差部361の凹みによって生じる空間に収容される態様となる。以上によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、レンズ鏡筒232の先端径の低減によるカメラモジュールの小型化が可能となる。
【0105】
また第2実施形態では、小径とされた第2レンズ37及び第3レンズ38aをメインスペーサ33aに保持させる構成により、鏡筒本体232aの鏡筒内周壁320は、全体を第1レンズ36の外径に合わせた内径に形成され得る。その結果、全てのレンズをイメージャ側から順に挿入する構成が実現可能となる。以上によれば、フロントキャップの省略により、第1レンズ36近傍におけるレンズ鏡筒232の外径は、いっそう低減容易となる。そのため、レンズの光学的な性能を確保しつつ、フード、ひいてはカメラモジュールのいっそうの小型化が可能となる。
【0106】
(他の実施形態)
以上、本開示についての複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0107】
上記実施形態の変形例1では、レンズ鏡筒は、第1レンズの前側凸面又はコバ部分に鏡筒軸力部を当接させる構成により、第1レンズに軸力を作用させる。こうした変形例1では、レンズセットへの段差部の形成が不要になる。
【0108】
上記実施形態の変形例2では、第2レンズ及び第3レンズは、第1レンズと実質同一の外径とされている。第2レンズ及び第3レンズは、第1レンズと同様に、鏡筒内周壁に直接的に外周支持面を支持される。こうした変形例2では、メインスペーサが不要となる。
【0109】
上記実施形態の変形例3のメインスペーサは、第2レンズのみを収容する構成である。変形例3では、第2レンズよりも後段に配置される少なくとも1つのレンズは、鏡筒内周壁に外周面を支持される。こうした変形例3のように、レンズセットを構成する各レンズの枚数、配置及びサイズ等は、適宜変更可能である。さらに、レンズセットに含まれる過半数のレンズが非球面レンズであってもよい。又は、全てのレンズが球面レンズであってもよい。
【0110】
メインスペーサに設けられる内凸状部及び外凸状部の数、形状及び配置等は、適宜変更可能である。内凸状部及び外凸状部は、3つ以上設けられていることが望ましい。また、中間凸状部の省略により、例えば6つの内凸状部がスペーサ内周壁に設けられていてもよい。加えて、スペーサ内周壁に形成されたリブが、複数設けられた内凸状部を相互に接続していてもよい。同様に、スペーサ外周壁に形成されたリブが、複数設けられた外凸状部を相互に接続していてもよい。さらに加えて、レンズ鏡筒に設けられる鏡筒凸状部の数、形状及び配置等も、内凸状部と同様に適宜変更されてよい。鏡筒凸状部も、3つ以上設けられていることが望ましい。尚、レンズ鏡筒又は第2レンズとメインスペーサとの同心度が確保可能であれば、内凸状部、外凸状部、及び鏡筒凸状部は、適宜省略されてよい。
【0111】
上記実施形態にて、鏡筒本体にねじ部の締結によって保持されていたフロントキャップ及びリヤブラケットは、ねじとは異なる保持構成、例えば、加締めや接着等により、鏡筒本体に保持されてもよい。また、上記第2実施形態とは反対に、全てのレンズが、鏡筒本体の収容室に、外界側から順に挿入されてもよい。こうした構成では、リヤブラケットが不要となり、フロントキャップによる軸力が全てのレンズに作用する。
【0112】
イメージャを制御する制御回路の少なくとも一部は、カメラケーシング外の例えばECU等といった外部回路により、実現されていてもよい。また、外界画像のうち車両撮影画素を含んだ所定画素の画素値に基づくことで、次回撮影時の露光状態が制御されてもよい。さらに、制御基板の接続孔は設けられなくてもよい。この場合に撮像基板は、制御基板の上側実装面に実装された内部コネクタに対し、FPCを介して又は介さずに接続されてよい。また撮像基板は、制御基板の下側実装面に実装された内部コネクタに対し、制御基板の外周側を回り込むFPCを介して接続されてもよい。
【0113】
また対向壁部及び凹壁部のうち少なくとも一方がカメラケーシングに設けられていなくてもよい。さらに、ブラケット本体が設けられず、カメラケーシングにより直接的に保持される装着パッドがフロントウインドシールドに固定されてもよい。またフードは、ブラケット本体とは別体に形成されていてもよい。こうしたフードにおいて、各側壁部の内壁面は、屈曲面状又は湾曲面状であってもよい。さらに、フードに設けられた規制リブの高さが実質等しくてもよい。また規制リブは、フードに設けられていなくてもよい。
【0114】
カメラモジュールは、複数のイメージャ及びレンズホルダを備えていてもよい。またカメラモジュールは、車両におけるリアウインドシールドの内側に装着されてもよい。この変形例では、上記各実施形態とは前後の関係が逆となる。
【符号の説明】
【0115】
1 カメラモジュール、2 車両、3 フロントウインドシールド(ウインドシールド)、5 外界、32,232 レンズ鏡筒、32a,232a 鏡筒本体(支持本体)、320 鏡筒内周壁(内周壁)、320a 鏡筒凸状部、320b 内周筒面(部分筒状面)、32b フロントキャップ(保持軸力体)、325 鏡筒軸力部、33a メインスペーサ(内側鏡筒)、330 スペーサ内周壁(内周壁)、330a 内凸状部、330b 内周筒面、331 スペーサ外周壁(外周壁)、331a 外凸状部、332 軸力伝達部、34 イメージャ、35 レンズセット、36 第1レンズ(外界レンズ)、360 前側凸面(光学面)、361 段差部、37 第2レンズ(小径レンズ)、370 外周支持面(外周面)、372 前側支持面(小径接触面)、Al 光軸、Fax,Fax1,Fax2 軸力