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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】給水加温システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20220101AFI20221109BHJP
   F22D 5/00 20060101ALI20221109BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20221109BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20221109BHJP
   F22D 1/18 20060101ALN20221109BHJP
【FI】
F24H1/00 631Z
F22D5/00 Z
F24H1/18 H
F24H1/18 B
F24H15/212
F22D1/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018180977
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020051678
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和之
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
(72)【発明者】
【氏名】大沢 智也
(72)【発明者】
【氏名】北村 貴仁
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146032(JP,A)
【文献】特開2014-095497(JP,A)
【文献】特開2017-203574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F22D 5/00
F24H 1/18
F24H 15/212
F22D 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水を貯留する給水タンクと、
熱源水を貯留する熱源水タンクと、
給水を前記給水タンクに送給する第1給水ラインと、
熱源水を前記熱源水タンクから送出する熱源水ラインと、
前記熱源水ラインを流通する熱源水との熱交換により、前記第1給水ラインを流通する給水を加熱する熱交換器と、
前記給水タンクの水位を検出する水位検出手段と、
前記第1給水ラインに設けられ、前記給水タンクへの給水状態を切り換える給水状態切換手段と、
前記水位検出手段の検出水位値に基づいて、前記給水状態切換手段を制御する制御手段と、を備え
前記給水状態切換手段は、前記給水タンクへの給水流量を調節可能な給水流量調節手段として構成されており、
前記制御手段は、
前記水位検出手段の検出水位値が第1設定水位値以下の場合、給水流量が所要流量になるように前記給水流量調節手段を制御し、
前記検出水位値が前記第1設定水位値よりも高い第2設定水位値以上の場合、給水流量がゼロになるように前記給水流量調節手段を制御し、
前記検出水位値が前記第1設定水位値超過且つ前記第2設定水位値未満の範囲にある場合、前記検出水位値の上昇に伴って給水流量が前記所要流量からゼロに向かって段階的に減少されるように前記給水流量調節手段を制御する、
給水加温システム。
【請求項2】
前記給水流量調節手段は、
前記熱交換器の上流側の前記第1給水ラインに設けられ、予め設定された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される給水ポンプと、
前記給水ポンプの吐出側又は吸込側に設けられ、入力された開度指定信号に対応する開度で作動される第1給水弁と、を有し、
前記制御手段は、前記検出水位値に基づいて、前記第1給水弁に出力する前記開度指定信号を決定する、
請求項に記載の給水加温システム。
【請求項3】
前記給水流量調節手段は、
前記熱交換器の上流側の前記第1給水ラインに設けられ、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される給水ポンプと、
入力された周波数指定信号に対応する駆動周波数を前記給水ポンプに出力する第1インバータと、を有し、
前記制御手段は、前記検出水位値に基づいて、前記第1インバータに出力する周波数指定信号を決定する、
請求項に記載の給水加温システム。
【請求項4】
前記熱交換器を介さずに給水を前記給水タンクに送給する第2給水ラインと、
前記第2給水ラインに設けられた第2給水弁と、を備え、
前記制御手段は、
前記検出水位値が前記第1設定水位値よりも低い第3設定水位値以下になると前記第2給水弁を開放し、
前記検出水位値が前記第3設定水位値よりも高く且つ前記第2設定水位値よりも低い第4設定水位値以上になると前記第2給水弁を閉鎖する、
請求項から請求項のいずれか一項に記載の給水加温システム。
【請求項5】
給水を貯留する給水タンクと、
熱源水を貯留する熱源水タンクと、
給水を前記給水タンクに送給する第1給水ラインと、
熱源水を前記熱源水タンクから送出する熱源水ラインと、
前記熱源水ラインを流通する熱源水との熱交換により、前記第1給水ラインを流通する給水を加熱する熱交換器と、
前記給水タンクの水位を検出する水位検出手段と、
前記第1給水ラインに設けられ、前記給水タンクへの給水状態を切り換える給水状態切換手段と、
前記水位検出手段の検出水位値に基づいて、前記給水状態切換手段を制御する制御手段と、
前記第1給水ラインの上流端に接続された補給水タンクと、を備え
前記給水状態切換手段は、前記熱交換器の下流側の前記第1給水ラインから分岐し、前記熱交換器を通過後の給水を前記補給水タンクに還流させる還流ラインと、
給水の前記給水タンクへの送給と、前記補給水タンクへの還流とを切り換える第1流路切換手段と、を有して構成され、
前記制御手段は、
前記水位検出手段の検出水位値が第5設定水位値未満の場合、前記熱交換器を通過後の給水を前記給水タンクに送給するように前記第1流路切換手段を切り換え、
前記検出水位値が第5設定水位値以上の場合、前記熱交換器を通過後の給水を前記補給水タンクに還流させるように前記第1流路切換手段を切り換える、
給水加温システム。
【請求項6】
前記熱交換器に流入する熱源水の入口温度を検出する熱源水入口温度検出手段と、
前記熱交換器に流入する給水の入口温度を検出する給水入口温度検出手段と、
前記熱交換器の上流側及び下流側の前記第1給水ライン同士を連通するバイパスラインと、
給水の前記熱交換器への流通と、前記バイパスラインへの流通とを切り換える第2流路切換手段と、を備え、
前記制御手段は、前記熱交換器を通過後の給水を前記補給水タンクに還流させるように前記第1流路切換手段を切り換え中、
前記熱源水入口温度検出手段の検出温度値と前記給水入口温度検出手段の検出温度値との第1差分値が設定温度値未満になると、給水を前記バイパスラインに流通させるように前記第2流路切換手段を切り換えるとともに、前記熱源水ラインへの熱源水の流通を停止させ、
前記第1差分値が前記設定温度値以上になると、給水を前記熱交換器に流通させるように前記第2流路切換手段を切り換えるとともに、前記熱源水ラインに熱源水を流通させる、
請求項に記載の給水加温システム。
【請求項7】
給水を貯留する給水タンクと、
熱源水を貯留する熱源水タンクと、
給水を前記給水タンクに送給する第1給水ラインと、
熱源水を前記熱源水タンクから送出する熱源水ラインと、
前記熱源水ラインを流通する熱源水との熱交換により、前記第1給水ラインを流通する給水を加熱する熱交換器と、
前記給水タンクの水位を検出する水位検出手段と、
前記第1給水ラインに設けられ、前記給水タンクへの給水状態を切り換える給水状態切換手段と、
前記水位検出手段の検出水位値に基づいて、前記給水状態切換手段を制御する制御手段と、
前記熱源水ラインを流通する熱源水の流量を調節する熱源水流量調節手段と、
前記熱交換器に流入する熱源水の入口温度を検出する熱源水入口温度検出手段と、
前記熱交換器から流出する給水の出口温度を検出する給水出口温度検出手段と、を備え
前記制御手段は、前記熱交換器に給水を通水中、前記熱源水入口温度検出手段の検出温度値と前記給水出口温度検出手段の検出温度値との第2差分値が予め設定された目標温度値となるように前記熱源水流量調節手段を制御する、
給水加温システム。
【請求項8】
前記熱源水流量調節手段は、
前記熱交換器の上流側の前記熱源水ラインに設けられ、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される熱源水ポンプと、
入力された周波数指定信号に対応する駆動周波数を前記熱源水ポンプに出力する第2インバータと、を有し、
前記制御手段は、前記第2差分値が前記目標温度値となるように前記熱源水ポンプの駆動周波数を演算し、前記駆動周波数の演算値に対応する周波数指定信号を前記第2インバータに出力する、
請求項に記載の給水加温システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水加温システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等から排出される廃温水を熱源水として給水を加温し、加温された給水をボイラの給水タンクに供給する技術が提案されている。加温された給水が給水タンクからボイラに供給されることにより、ボイラで蒸気を生成するために必要な燃料が削減される。特許文献1には、ヒートポンプにより熱源水から熱を汲み上げて給水を加温する給水加温システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-210118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒートポンプは、高温部と低温部の温度差が小さいほど成績係数(COP)が良くなるので、低温部側となる給水の温度(10~30℃の常温)に、高温部側となる熱源水の温度が近いほど熱回収効率が高い。その一方で、ヒートポンプは、熱源水の温度が高くなり過ぎると熱回収効率が低下する。工場等から排出される廃温水の温度は、業種によって様々であり、操業中の廃温水の温度変化にも種々のパターンが存在する。そこで、熱源水の温度が高い場合には、シンプルに熱交換器のみを用いて熱回収を行う方が有利なため、熱交換器のみのシステムにおいても、熱源水から効率良く熱回収できる技術が要望される。
【0005】
本発明の態様は、熱源水から効率良く熱回収できる給水加温システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、給水を貯留する給水タンクと、熱源水を貯留する熱源水タンクと、給水を前記給水タンクに送給する第1給水ラインと、熱源水を前記熱源水タンクから送出する熱源水ラインと、前記熱源水ラインを流通する熱源水との熱交換により、前記第1給水ラインを流通する給水を加熱する熱交換器と、前記給水タンクの水位を検出する水位検出手段と、前記第1給水ラインに設けられ、前記給水タンクへの給水状態を切り換える給水状態切換手段と、前記水位検出手段の検出水位値に基づいて、前記給水状態切換手段を制御する制御手段と、を備える給水加温システムであって、次の〔1〕~〔3〕のいずれかの付加構成を有する給水加温システムが提供される。
〔1〕給水状態切換手段は、給水タンクへの給水流量を調節可能な給水流量調節手段として構成されており、制御手段は、水位検出手段の検出水位値が第1設定水位値以下の場合、給水流量が所要流量になるように給水流量調節手段を制御し、検出水位値が第1設定水位値よりも高い第2設定水位値以上の場合、給水流量がゼロになるように給水流量調節手段を制御し、検出水位値が第1設定水位値超過且つ第2設定水位値未満の範囲にある場合、検出水位値の上昇に伴って給水流量が所要流量からゼロに向かって段階的に減少されるように給水流量調節手段を制御する、給水加温システム。
〔2〕前記第1給水ラインの上流端に接続された補給水タンクと、を備え、前記給水状態切換手段は、前記熱交換器の下流側の前記第1給水ラインから分岐し、前記熱交換器を通過後の給水を前記補給水タンクに還流させる還流ラインと、給水の前記給水タンクへの送給と、前記補給水タンクへの還流とを切り換える第1流路切換手段と、を有して構成され、前記制御手段は、前記水位検出手段の検出水位値が第5設定水位値未満の場合、前記熱交換器を通過後の給水を前記給水タンクに送給するように前記第1流路切換手段を切り換え、前記検出水位値が第5設定水位値以上の場合、前記熱交換器を通過後の給水を前記補給水タンクに還流させるように前記第1流路切換手段を切り換える、給水加温システム。
〔3〕前記熱源水ラインを流通する熱源水の流量を調節する熱源水流量調節手段と、前記熱交換器に流入する熱源水の入口温度を検出する熱源水入口温度検出手段と、前記熱交換器から流出する給水の出口温度を検出する給水出口温度検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記熱交換器に給水を通水中、前記熱源水入口温度検出手段の検出温度値と前記給水出口温度検出手段の検出温度値との第2差分値が予め設定された目標温度値となるように前記熱源水流量調節手段を制御する、給水加温システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、熱源水から熱を効率良く回収できる給水加温システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る給水加温システムを示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る給水加温システムを示す機能ブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る給水制御部の処理を説明するための図である。
図4図4は、実施形態に係る給水加温システムを示す機能ブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る給水加温システムを示す模式図である。
図6図6は、実施形態に係る給水加温システムを示す模式図である。
図7図7は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[第1実施形態]
<給水加温システム>
図1は、本実施形態に係る給水加温システム1を示す模式図である。給水加温システム1は、工場のような産業施設に設けられる。給水加温システム1は、熱源水SWの熱を用いて給水CWを加温し、加温された給水CWをボイラ80の給水タンク2に供給する。熱源水SWは、産業施設から排出される廃温水を含む。
【0011】
給水加温システム1は、給水CWを貯留する給水タンク2と、熱源水SWを貯留する熱源水タンク3と、給水CWを貯留する補給水タンク4と、給水CWを給水タンク2に送給する第1給水ライン11と、給水CWを給水タンク2に送給する第2給水ライン12と、熱源水SWを熱源水タンク3から送出する熱源水ライン13と、給水CWを補給水タンク4に送給する原水ライン14と、熱源水ライン13を流通する熱源水SWとの熱交換により、第1給水ライン11を流通する給水CWを加温する熱交換器10と、を備える。
【0012】
また、給水加温システム1は、給水タンク2の水位を検出する水位センサ5と、熱交換器10に流入する給水CWの入口温度を検出する給水入口温度センサ6Aと、熱交換器10から流出する給水CWの出口温度を検出する給水出口温度センサ6Bと、熱交換器10に流入する熱源水SWの入口温度を検出する熱源水入口温度センサ7Aと、熱交換器10から流出する熱源水SWの出口温度を検出する熱源水出口温度センサ7Bと、第1給水ライン11を流通する給水CWの流量を検出する給水流量センサ8と、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量を検出する熱源水流量センサ9と、を備える。
【0013】
また、給水加温システム1は、第1給水ライン11に設けられ、給水タンク2への給水状態を切り換える給水状態切換手段20と、熱源水ライン13に設けられ、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量を調節する熱源水流量調節手段30と、制御装置50と、を備える。
【0014】
本実施形態において、給水状態切換手段20は、給水タンク2への給水流量を調節可能な給水流量調節手段20Aとして構成されている。給水流量調節手段20Aは、熱交換器10の上流側の第1給水ライン11に設けられた給水ポンプ21と、第1給水ライン11において給水ポンプ21の吐出側に設けられた第1給水弁22とを含む。
【0015】
熱源水流量調節手段30は、熱交換器10の上流側の熱源水ライン13に設けられた熱源水ポンプ31を含む。
【0016】
また、給水加温システム1は、第2給水ライン12に設けられた第2給水弁41を備える。
【0017】
(ボイラ)
ボイラ80は、蒸気ボイラである。ボイラ80は、給水タンク2から供給された給水CWを加熱して蒸気を生成する。給水タンク2とボイラ80とは、温水ライン81を介して接続される。温水ライン81に温水ポンプ82が設けられる。温水ポンプ82が駆動されることにより、給水タンク2に貯留されている給水CWがボイラ80に供給される。ボイラ80で生成された蒸気は、蒸気使用機器(不図示)に供給される。加温された給水CWが給水タンク2からボイラ80に供給されることにより、ボイラ80で蒸気を生成するために必要な燃料が削減される。
【0018】
(タンク)
給水タンク2は、ボイラ80に供給される給水CWを貯留する。給水タンク2は、補給水タンク4から送出され、第1給水ライン11及び第2給水ライン12の少なくとも一方を通過した給水CWを貯留する。
【0019】
熱源水タンク3は、熱交換器10に供給される熱源水SWを貯留する。熱源水タンク3は、産業施設から送出され、供給ライン15を介して供給された熱源水SWを貯留する。熱源水タンク3は、熱源水SWをオーバーフローさせるオーバーフロー路16を有する。
【0020】
補給水タンク4は、給水タンク2に供給される給水CWを貯留する。補給水タンク4は、給水供給源から送出され、原水ライン14を介して供給された給水CWを貯留する。補給水タンク4に貯留される給水CWは、加温前の給水CWである。補給水タンク4に貯留される給水CWの温度は、例えば20℃である。
【0021】
原水ライン14に水処理装置42が設けられる。水処理装置42は、原水ライン14を介して補給水タンク4に供給される給水CWを処理する。水処理装置42は、例えば給水CWの溶存酸素を除去する脱酸素装置を含む。
【0022】
(給水ライン)
図1の矢印F1で示すように、第1給水ライン11は、熱交換器10を介して給水CWを給水タンク2に送給する。第1給水ライン11は、上流端11A及び下流端11Bを有する。第1給水ライン11の上流端11Aは、補給水タンク4に接続される。第1給水ライン11の下流端11Bは、給水タンク2に接続される。上流端11Aと下流端11Bとの間の第1給水ライン11の少なくとも一部は、熱交換器10に配置される。
【0023】
図1の矢印F2で示すように、第2給水ライン12は、熱交換器10を介さずに給水CWを給水タンク2に送給する。第1給水ライン11の少なくとも一部と第2給水ライン12とは並列に配設される。第2給水ライン12は、熱交換器10の上流側の第1給水ライン11から分岐した後、熱交換器10の下流側の第1給水ライン11に合流するように配設される。第2給水ライン12は、上流端12A及び下流端12Bを有する。第2給水ライン12の上流端12Aは、熱交換器10の上流側に規定された第1給水ライン11の分岐部11Cに接続される。第2給水ライン12の下流端12Bは、熱交換器10の下流側に規定された第1給水ライン11の合流部11Dに接続される。
【0024】
(熱源水ライン)
図1の矢印F3で示すように、熱源水ライン13は、熱源水SWを熱源水タンク3から熱交換器10に送出する。熱源水ライン13は、上流端13A及び下流端13Bを有する。熱源水ライン13の上流端13Aは、熱源水タンク3に接続される。熱源水ライン13を流通した熱源水SWは、下流端13Bから排出される。上流端13Aと下流端13Bとの間の熱源水ライン13の少なくとも一部は、熱交換器10に配置される。
【0025】
(熱交換器)
熱交換器10は、第1給水ライン11を流通する給水CWと熱源水ライン13を流通する熱源水SWとの熱交換により、給水CWを加温する。熱交換器10は、シェルアンドチューブ式熱交換器でもよいし、積層プレート式熱交換器でもよい。熱交換器10で加温された給水CWは、第1給水ライン11を介して給水タンク2に供給される。
【0026】
(センサ)
水位センサ5は、給水タンク2の水位を検出する水位検出手段として機能する。給水タンク2の水位とは、給水タンク2に貯留される給水CWの表面の高さをいう。水位センサ5は、給水タンク2に設けられる。水位センサ5は、電極式水位センサを含む。水位センサ5として、複数の電極棒が給水タンク2に配置されてもよい。複数の電極棒は、電極棒の下端部の高さが異なるように給水タンク2に配置される。給水CWに接触した電極棒が特定されることにより、給水タンク2の水位が検出される。なお、水位センサ5は、給水タンク2の水位を検出できればよく、電極式水位センサ以外に静電容量式水位センサや圧力式センサを利用することもできる。水位センサ5は、給水タンク2の水位の検出値を示す検出水位値Lsを制御装置50に出力する。
【0027】
給水入口温度センサ6Aは、補給水タンク4から送出され、熱交換器10に流入する給水CWの入口温度を検出する給水入口温度検出手段として機能する。給水入口温度センサ6Aは、熱交換器10の上流側の第1給水ライン11を流通する給水CWの温度を検出する。給水入口温度センサ6Aは、熱交換器10に流入する給水CWの入口温度の検出値を示す検出温度値T1を制御装置50に出力する。
【0028】
給水出口温度センサ6Bは、熱交換器10から流出する給水CWの出口温度を検出する給水出口温度検出手段として機能する。給水出口温度センサ6Bは、熱交換器10の下流側の第1給水ライン11を流通する給水CWの温度を検出する。給水出口温度センサ6Bは、熱交換器10から流出する給水CWの出口温度の検出値を示す検出温度値T2を制御装置50に出力する。
【0029】
熱源水入口温度センサ7Aは、熱源水タンク3から送出され、熱交換器10に流入する熱源水SWの入口温度を検出する熱源水入口温度検出手段として機能する。熱源水入口温度センサ7Aは、熱交換器10の上流側の熱源水ライン13を流通する熱源水SWの温度を検出する。熱源水入口温度センサ7Aは、熱交換器10に流入する熱源水SWの入口温度の検出値を示す検出温度値T3を制御装置50に出力する。
【0030】
熱源水出口温度センサ7Bは、熱交換器10から流出する熱源水SWの出口温度を検出する。熱源水出口温度センサ7Bは、熱交換器10の下流側の熱源水ライン13を流通する熱源水SWの温度を検出する。熱源水出口温度センサ7Bは、熱交換器10から流出する熱源水SWの出口温度の検出値を示す検出温度値T4を制御装置50に出力する。
【0031】
給水流量センサ8は、熱交換器10に流入する給水CWの流量を検出する。給水流量センサ8は、熱交換器10の上流側の第1給水ライン11を流通する給水CWの流量を検出する。給水流量センサ8は、熱交換器10に流入する給水CWの流量の検出値を示す検出流量値FM1を制御装置50に出力する。
【0032】
熱源水流量センサ9は、熱交換器10に流入する熱源水SWの流量を検出する。熱源水流量センサ9は、熱交換器10の上流側の熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量を検出する。熱源水流量センサ9は、熱交換器10に流入する熱源水SWの流量の検出値を示す検出流量値FM2を制御装置50に出力する。
【0033】
(給水流量調節手段)
給水流量調節手段20Aは、第1給水ライン11に設けられ、給水タンク2への給水流量を調節可能である。給水流量調節手段20Aは、熱交換器10の上流側の第1給水ライン11に設けられ、予め設定された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される給水ポンプ21と、給水ポンプ21の吐出側に設けられ、入力された開度指定信号に対応する開度で作動される第1給水弁22と、を有する。
【0034】
給水ポンプ21は、上流端11Aと分岐部11Cとの間の第1給水ライン11に設けられる。給水ポンプ21が駆動されることにより、補給水タンク4の給水CWが給水ポンプ21に吸い込まれる。給水ポンプ21に吸い込まれた給水CWは、給水ポンプ21から吐出され、第1給水ライン11及び第2給水ライン12の少なくとも一方を流通した後、給水タンク2に供給される。給水ポンプ21は、予め設定された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。給水ポンプ21は、一定の回転速度で駆動して、一定の流量で給水CWを吐出する。
【0035】
第1給水弁22は、熱交換器10と合流部11Dとの間の第1給水ライン11に設けられる。第1給水弁22は、例えば電動弁を含み、入力された開度指定信号に対応する開度で作動される。第1給水弁22の開度が調節されることにより、第1給水ライン11を介して給水タンク2に供給される給水流量が調節される。
【0036】
なお、第1給水弁22は、分岐部11Cと熱交換器10との間の第1給水ライン11に設けられてもよい。また、第1給水弁22は、給水ポンプ21の吸込側に設けられてもよく、上流端11Aと給水ポンプ21との間の第1給水ライン11に設けられてもよい。
【0037】
(熱源水流量調節手段)
熱源水流量調節手段30は、熱源水ライン13に設けられ、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量を調節可能である。熱源水流量調節手段30は、熱交換器10の上流側の熱源水ライン13に設けられ、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される熱源水ポンプ31と、入力された周波数指定信号に対応する駆動周波数を熱源水ポンプ31に出力するインバータ32(第2インバータ)と、を有する。
【0038】
熱源水ポンプ31は、上流端13Aと熱交換器10との間の熱源水ライン13に設けられる。熱源水ポンプ31が駆動されることにより、熱源水タンク3の熱源水SWが熱源水ポンプ31に吸い込まれる。熱源水ポンプ31に吸い込まれた熱源水SWは、熱源水ポンプ31から吐出され、熱源水ライン13を流通した後、下流端13Bから排出される。熱源水ポンプ31が停止されると、熱源水タンク3からの熱源水SWの送出が停止する。熱源水ポンプ31は、インバータ32から入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される。熱源水ポンプ31の回転速度が変化することにより、熱源水ポンプ31から吐出される熱源水SWの流量が変化する。インバータ32から熱源水ポンプ31に入力される駆動周波数が調節されることにより、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量が調節される。
【0039】
<給水状態の切り換え>
【0040】
給水ポンプ21は、第1給水ライン11及び第2給水ライン12における給水CWの送給の有無を切り換え可能である。給水ポンプ21が駆動されると、第1給水ライン11及び第2給水ライン12の少なくとも一方を介して給水CWが給水タンク2に送給される。給水ポンプ21が停止されると、補給水タンク4からの給水CWの送給が停止する。
【0041】
第1給水弁22は、第1給水ライン11に設けられる。第1給水弁22は、第1給水ライン11における給水CWの送給の有無を切り換え可能である。給水ポンプ21が駆動されている状態で、第1給水弁22が開放されると、補給水タンク4から送出された給水CWは、第1給水ライン11を介して給水タンク2に送給される。第1給水弁22が閉鎖されると、第1給水ライン11における給水CWの送給が停止する。
【0042】
第2給水弁41は、第2給水ライン12に設けられる。第2給水弁41は、第2給水ライン12における給水CWの送給の有無を切り換え可能である。給水ポンプ21が駆動している状態で、第2給水弁41が開放されると、補給水タンク4から送出された給水CWは、第2給水ライン12を介して給水タンク2に送給される。第2給水弁41が閉鎖されると、第2給水ライン12における給水CWの送給が停止する。
【0043】
<制御装置>
制御装置50は、水位センサ5の検出水位値Lsに基づいて、給水状態切換手段20を制御する制御手段として機能する。制御装置50は、コンピュータシステムを含む。
【0044】
図2は、本実施形態に係る給水加温システム1を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置50は、検出水位値取得部51と、検出温度値取得部52と、検出流量値取得部53と、差分値算出部54と、記憶部55と、給水制御部56と、熱源水制御部57と、判定出力部58と、を有する。
【0045】
検出水位値取得部51は、水位センサ5の検出値を示す検出水位値Lsを取得する。検出水位値Lsは、給水タンク2の水位を示す。
【0046】
検出温度値取得部52は、給水入口温度センサ6Aの検出値を示す検出温度値T1、給水出口温度センサ6Bの検出値を示す検出温度値T2、熱源水入口温度センサ7Aの検出値を示す検出温度値T3、及び熱源水出口温度センサ7Bの検出値を示す検出温度値T4を取得する。検出温度値T1は、熱交換器10に流入する給水CWの入口温度を示す。検出温度値T2は、熱交換器10から流出する給水CWの出口温度を示す。検出温度値T3は、熱交換器10に流入する熱源水SWの入口温度を示す。検出温度値T4は、熱交換器10から流出する熱源水SWの出口温度を示す。
【0047】
検出流量値取得部53は、給水流量センサ8の検出値を示す検出流量値FM1、及び熱源水流量センサ9の検出値を示す検出流量値FM2を取得する。検出流量値FM1は、熱交換器10に流入する給水CWの流量を示す。検出流量値FM2は、熱交換器10に流入する熱源水SWの流量を示す。
【0048】
差分値算出部54は、給水出口温度センサ6Bの検出温度値T2と熱源水入口温度センサ7Aの検出温度値T3との第2差分値ΔT2を算出する。すなわち、差分値算出部54は、演算[T3-T2]を実行して、演算結果を出力する。
【0049】
記憶部55は、検出水位値Lsに係る設定水位値Lr(Lr1,Lr2,Lr3,Lr4)と、第2差分値ΔT2に係る目標温度値Trとを記憶する。設定水位値Lr及び目標温度値Trのそれぞれは、予め設定された値であり、記憶部55に記憶される。
【0050】
給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsに基づいて、給水流量調節手段20Aを制御する制御信号を出力する。給水制御部56から出力される制御信号は、第1給水弁22に出力する開度指定信号を含む。給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsと、記憶部55に記憶されている設定水位値Lrとに基づいて、第1給水弁22に出力する開度指定信号を決定し、決定した開度指定信号を第1給水弁22に出力する。
【0051】
熱源水制御部57は、差分値算出部54により算出された第2差分値ΔT2に基づいて、熱源水流量調節手段30を制御する制御信号を出力する。本実施形態において、熱源水制御部57は、熱交換器10に給水CWを通水中、差分値算出部54により算出された第2差分値ΔT2が記憶部55に記憶されている目標温度値Trとなるように、熱源水流量調節手段30を制御する制御信号を出力する。熱源水制御部57から出力される制御信号は、インバータ32に出力される周波数指定信号を含む。熱源水制御部57は、第2差分値ΔT2が目標温度値TrとなるようにPIDアルゴリズムにより熱源水ポンプ31の駆動周波数を演算し、駆動周波数の演算値に対応する周波数指定信号をインバータ32に出力する。
【0052】
判定出力部58は、検出流量値FM1及び検出流量値FM2に基づいて、熱交換器10の状態を判定する。判定出力部58は、熱交換器10の状態の判定結果を示す判定データを出力装置60に出力する。出力装置60は、判定データを表示可能な表示装置でもよいし、判定データをプリントアウト可能な印刷装置でもよい。表示装置として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)又は有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display:OELD)のようなフラットパネルディスプレイが例示される。
【0053】
<制御方法>
(給水制御部の処理)
図3は、本実施形態に係る給水制御部の処理を説明するための図である。給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsに基づいて、給水タンク2への給水状態を切り換える。本実施形態において、給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsと記憶部55に記憶されている設定水位値Lrとに基づいて給水流量調節手段20Aを制御して、給水タンク2への給水流量を調整する。
【0054】
図3に示すように、水位センサ5の検出水位値Lsに係る給水タンク2の設定水位値Lrとして、第1設定水位値Lr1と、第1設定水位値Lr1よりも高い第2設定水位値Lr2と、第1設定水位値Lr1よりも低い第3設定水位値Lr3と、第3設定水位値Lr3よりも高く且つ第2設定水位値Lr2よりも低い第4設定水位値Lr4とが設定される。
【0055】
水位センサ5の検出水位値Lsが検出水位値取得部51に取得される。給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsが第2設定水位値Lr2以上の高水位範囲にあると判定した場合、給水タンク2への給水流量がゼロになるように、給水流量調節手段20Aを制御する。すなわち、給水制御部56は、給水タンク2への給水が停止されるように、第1給水弁22及び第2給水弁41のそれぞれの開度を制御する開度指定信号を決定して、第1給水弁22及び第2給水弁41に出力する。給水制御部56は、給水タンク2への給水流量がゼロになるように、第1給水弁22及び第2給水弁41のそれぞれを閉鎖する開度指定信号(開度:0%)を出力する。給水制御部56から開度指定信号が出力されると、第1給水弁22及び第2給水弁41のそれぞれが閉鎖され、給水タンク2への給水流量はゼロになる。
【0056】
なお、給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsが第2設定水位値Lr2以上の高水位範囲にあると判定した場合、給水ポンプ21を停止する。
【0057】
給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsが第1設定水位値Lr1超過且つ第2設定水位値Lr2未満の範囲にあると判定した場合、検出水位値Lsの上昇に伴って給水流量が所要流量からゼロに向かって段階的に減少されるように、給水流量調節手段20Aを制御する。換言すれば、給水制御部56は、検出水位値Lsが第1設定水位値Lr1超過且つ第2設定水位値Lr2未満の範囲にあると判定した場合、検出水位値Lsの下降に伴って給水流量がゼロから所要流量に向かって段階的に増加されるように、給水流量調節手段20Aを制御する。
【0058】
図3に示す例において、高水位範囲にあった検出水位値Lsが第2設定水位値Lr2を下回り、水位センサ5の検出水位値Lsが第2設定水位値Lr2と第2設定水位値Lr2よりも低い設定水位値Lraとの間の第1水位範囲にあると判定した場合、給水制御部56は、給水タンク2への給水流量が第1流量になるように、給水流量調節手段20Aを制御する。給水制御部56は、給水ポンプ21が駆動されている状態で、熱交換器10で加温された給水CWが第1給水ライン11を介して第1流量で給水タンク2に供給されるように、開度指定信号(開度:20%)を第1給水弁22に出力する。これにより、図1の矢印F1で示すように、補給水タンク4から送出され、第1給水ライン11を流通する給水CWは、熱交換器10を介して給水タンク2に供給される。
【0059】
第1水位範囲にあった検出水位値Lsが設定水位値Lraを下回り、水位センサ5の検出水位値Lsが設定水位値Lraと設定水位値Lraよりも低い設定水位値Lrbとの間の第2水位範囲にあると判定した場合、給水制御部56は、給水タンク2への給水流量が第1流量よりも多い第2流量になるように、給水流量調節手段20Aを制御する。給水制御部56は、給水ポンプ21が駆動されている状態で、熱交換器10で加温された給水CWが第1給水ライン11を介して第2流量で給水タンク2に供給されるように、開度指定信号(開度:40%)を第1給水弁22に出力する。
【0060】
第2水位範囲にあった検出水位値Lsが設定水位値Lrbを下回り、水位センサ5の検出水位値Lsが設定水位値Lrbと設定水位値Lrbよりも低い設定水位値Lrcとの間の第3水位範囲にあると判定した場合、給水制御部56は、給水タンク2への給水流量が第2流量よりも多い第3流量になるように、給水流量調節手段20Aを制御する。給水制御部56は、給水ポンプ21が駆動されている状態で、熱交換器10で加温された給水CWが第1給水ライン11を介して第3流量で給水タンク2に供給されるように、開度指定信号(開度:60%)を第1給水弁22に出力する。
【0061】
第3水位範囲にあった検出水位値Lsが設定水位値Lrcを下回り、水位センサ5の検出水位値Lsが設定水位値Lrcと設定水位値Lrcよりも低い第1設定水位値Lr1との間の第4水位範囲にあると判定した場合、給水制御部56は、給水タンク2への給水流量が第3流量よりも多い第4流量になるように、給水流量調節手段20Aを制御する。給水制御部56は、給水ポンプ21が駆動されている状態で、熱交換器10で加温された給水CWが第1給水ライン11を介して第4流量で給水タンク2に供給されるように、開度指定信号(開度:80%)を第1給水弁22に出力する。
【0062】
第4水位範囲にあった検出水位値Lsが第1設定水位値Lr1を下回り、水位センサ5の検出水位値Lsが第1設定水位値Lr1以下の所要水位範囲にあると判定した場合、給水制御部56は、給水タンク2への給水流量が第4流量よりも多い所要流量になるように、給水流量調節手段20Aを制御する。給水制御部56は、給水ポンプ21が駆動されている状態で、熱交換器10で加温された給水CWが第1給水ライン11を介して所要流量で給水タンク2に供給されるように、開度指定信号を第1給水弁22に出力する。
【0063】
所要流量は、例えば給水流量調節手段20Aが調節可能な最大流量である。給水制御部56は、給水タンク2への給水流量が最大流量になるように、第1給水弁22を開放する開度指定信号(開度:100%)を出力する。第1給水弁22の開度は、最大開度に調節される。なお、所要流量は、最大流量よりも少なくてもよく、例えば90~95%の開度指定信号を出力することもできる。
【0064】
所要水位範囲にあった検出水位値Lsが第1設定水位値Lr1よりも低い第3設定水位値Lr3以下の低水位範囲にあると判定した場合、給水制御部56は、第1給水弁22が開放されている状態で、第2給水弁41を開放する。すなわち、給水制御部56は、給水ポンプ21が駆動されている状態で、熱交換器10を通過した給水CWが第1給水ライン11を介して給水タンク2に供給され、熱交換器10を通過しない給水CWが第2給水ライン12を介して給水タンク2に供給されるように、開度指定信号を第1給水弁22及び第2給水弁41のそれぞれに出力する。これにより、図1の矢印F2で示すように、補給水タンク4から送出され、第2給水ライン12を流通する給水CWは、熱交換器10を介さずに給水タンク2に供給される。第1給水弁22の開度及び第2給水弁41の開度のそれぞれは、最大開度に調節される。これにより、低水位範囲にあった給水CWの水位は、短時間で上昇する。
【0065】
第1給水弁22及び第2給水弁41のそれぞれが開放され、給水タンク2において給水CWの水位が上昇している状態において、水位センサ5の検出水位値Lsが第3設定水位値Lr3よりも高く且つ第2設定水位値Lr2よりも低い第4設定水位値Lr4以上であると判定した場合、給水制御部56は、第1給水弁22が開放されている状態で、第2給水弁41を閉鎖する。図3に示す例では、第4設定水位値Lr4は、第1設定水位値Lr1と同一である。なお、第4設定水位値Lr4は、第1設定水位値Lr1と同一でなくてもよいが、給水タンク2の平均水温を過度に低下させない観点から、第3設定水位値Lr3超過且つ第1設定水位値Lr1以下であることが望ましい。給水タンク2において給水CWの水位が更に上昇し、水位センサ5の検出水位値Lsが第2設定水位値Lr2以上であると判定した場合、給水制御部56は、第2給水弁41が閉鎖されている状態で、第1給水弁22も閉鎖する。
【0066】
(熱源水制御部の処理)
第1給水ライン11に給水CWが流通し、熱交換器10に給水CWを通水中、熱源水制御部57は、熱源水入口温度センサ7Aの検出温度値T3と給水出口温度センサ6Bの検出温度値T2との第2差分値ΔT2が予め設定された目標温度値Trとなるように、熱源水流量調節手段30をフィードバック制御する。目標温度値Trは、例えば3℃である。なお、目標温度値Trは、3℃でなくてもよく、1℃以上10℃以下の範囲において任意に設定される。熱交換器10に流入する熱源水SWの入口温度は、熱交換器10から流出する給水CWの出口温度よりも高い。
【0067】
第2差分値ΔT2が目標温度値Trよりも大きいことは、熱交換器10から流出する給水CWが十分に加温されていないことを意味する。第2差分値ΔT2が目標温度値Trよりも大きい場合、熱源水制御部57は、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量を増加させるように、熱源水流量調節手段30を制御する。熱源水制御部57は、第2差分値ΔT2が大きいほど熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量が多くなるように、熱源水流量調節手段30を制御する。
【0068】
上述のように、給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsに基づいて、第1給水ライン11を流通する給水CWの流量を変更する。例えば第1給水ライン11を流通する給水CWの流量が多い場合、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量が少ないと、給水CWは十分に加温されず、第2差分値ΔT2は目標温度値Trよりも大きくなる。第2差分値ΔT2が目標温度値Trよりも大きい場合、熱源水制御部57は、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量を増加させるように、熱源水流量調節手段30を制御する。これにより、給水タンク2に送給される給水CWは、熱交換器10において十分に加温される。
【0069】
一方、第1給水ライン11を流通する給水CWの流量が少ない場合、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量が少なくても、第2差分値ΔT2を目標温度値Trに近付けることができる。すなわち、第1給水ライン11を流通する給水CWの流量が少ない場合、熱源水制御部57は、熱源水ポンプ31の駆動周波数を低くしても、第2差分値ΔT2を目標温度値Trにすることができる。第1給水ライン11を流通する給水CWの流量が少ない場合、熱源水ポンプ31の回転速度(駆動周波数)を高くしなくても済むため、熱源水ポンプ31の消費電力が抑制される。また、熱源水SWの流量が抑制されるため、熱源水ライン13の下流端13Bから排出される熱源水SWの量が削減される。
【0070】
(判定出力部の処理)
判定出力部58は、検出流量値FM1及び検出流量値FM2に基づいて、熱交換器10の状態を判定する。熱交換器10の状態は、熱交換器10の熱伝達性能の状態を含む。
【0071】
例えば熱交換器10が新品時においては、熱交換器10の熱伝達性能は良好である。一方、例えば熱交換器10の長期間の使用により熱交換器10が汚染されると、熱交換器10の汚染に起因して、熱伝達性能が不良になる可能性がある。熱交換器10に対する給水CWの給水状態が一定でも、熱交換器10の熱伝達性能が良好な場合と不良な場合とでは、第2差分値ΔT2を目標温度値Trに調整するために必要な熱源水SWの流量は異なる。熱交換器10の熱伝達性能が不良な状態において第2差分値ΔT2を目標温度値Trに調整するために必要な熱源水SWの流量は、熱交換器10の熱伝達性能が良好な状態において第2差分値ΔT2を目標温度値Trに調整するために必要な熱源水SWの流量よりも多くなる。
【0072】
例えば、熱交換器10の熱伝達性能が良好である場合、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量が少なくても、給水CWは十分に加温されるため、第2差分値ΔT2を目標温度値Trに近付けることができる。一方、熱交換器10の熱伝達性能が不良である場合、給水CWを十分に加温して第2差分値ΔT2を目標温度値Trに近付けるためには、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量を多くしなければならない。このように、第2差分値ΔT2を目標温度値Trに調整するために必要な熱源水SWの流量は、熱交換器10の熱伝達性能に応じて変化する。
【0073】
判定出力部58は、熱交換器10に供給される給水CWの流量を示す検出流量値FM1及び熱交換器10に供給される熱源水SWの流量を示す検出流量値FM2に基づいて、熱交換器10の熱伝達性能の状態を判定する。例えば検出流量値FM1が一定の状態において、第2差分値ΔT2を目標温度値Trにするために必要な熱源水SWの流量が多くなり、検出流量値FM2が閾値よりも増加した場合、判定出力部58は、熱交換器10の熱伝達性能が悪化したと判定することができる。
【0074】
本実施形態において、熱伝達性能が良好な状態の熱交換器10に流入する給水CWの流量と、給水CWが熱交換器10に供給されたときに第2差分値ΔT2を目標温度値Trにするために要求される熱源水SWの流量との関係を示す相関データ又は相関式が記憶部55に予め記憶されている。本実施形態においては、相関式[FM2=FM1×α]が記憶部55に記憶されている。検出流量値取得部53に取得された検出流量値FM1及び検出流量値FM2が、相関式[FM2≦FM1×α]の条件を満足する場合、熱交換器10の熱伝達性能は良好である。一方、熱交換器10の熱伝達性能が悪化すると、第2差分値ΔT2を目標温度値Trに調整するために要求される熱源水SWの流量が増加し、検出流量値FM2は増加する。すなわち、熱交換器10の熱伝達性能が悪化すると、検出流量値FM1と検出流量値FM2とは、[FM2>FM1×α]の関係を示すこととなる。熱交換器10の熱伝達性能の悪化が進行すると、[FM2]と[FM1×α]との差は大きくなる。
【0075】
判定出力部58は、検出流量値取得部53に取得された検出流量値FM1及び検出流量値FM2が[FM2≦FM1×α]の条件を満足する場合、熱交換器10の状態は良好であると判定し、検出流量値取得部53に取得された検出流量値FM1及び検出流量値FM2が[FM2≦FM1×α]の条件を満足しない場合、熱交換器10の状態は不良であると判定することができる。
【0076】
判定出力部58は、熱交換器10の状態の判定結果を示す判定データを出力装置60に出力する。出力装置60は、判定出力部58の判定データを出力する。出力装置60が表示装置である場合、判定出力部58の判定データが表示装置に表示される。作業者は、出力装置60から出力された判定データに基づいて、例えば熱交換器10の洗浄等のメンテナンスを実施することができる。
【0077】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、熱源水SWとの熱交換により給水CWを加温する熱交換器10を有する給水加温システム1において、給水タンク2の検出水位値Lsに基づいて、給水タンク2への給水状態を切り換える給水状態切換手段20が制御される。検出水位値Lsに基づいて、給水タンク2への給水状態が最適に切り換えられることにより、熱源水SWから効率良く熱回収することができる。
【0078】
本実施形態においては、図3を参照して説明したように、給水タンク2の水位の上昇に伴って、熱交換器10から給水タンク2に供給される給水流量が段階的に減少され、給水タンク2の水位の下降に伴って、熱交換器10から給水タンク2に供給される給水流量が段階的に増加される。これにより、検出水位値Lsが第2設定水位値Lr2未満の状態においては、給水タンク2の給水CWの水位を適切に維持した状態で、熱源水SWから効率良く熱回収し続けることができる。
【0079】
本実施形態においては、検出水位値Lsが第3設定水位値Lr3以下になると第2給水弁41が開放される。これにより、ボイラ80の高負荷運転により低水位範囲にある給水CWの水位を短時間で上昇させることができる。また、検出水位値Lsが第1設定水位値Lr1以上になると第2給水弁41が閉鎖される。これにより、給水タンク2の平均水温の過度な低下が防止される。
【0080】
本実施形態においては、熱交換器10に流入する熱源水SWの検出温度値T3と熱交換器10から流出する給水CWの検出温度値T2との第2差分値ΔT2が予め設定された目標温度値Trとなるように熱源水流量調節手段30が制御される。例えば熱交換器10に流入する給水CWの流量が多かったり給水CWの温度が低かったりした場合、第2差分値ΔT2が目標温度値Trになるように熱源水流量調節手段30が制御されることにより、給水タンク2に送給される給水CWは、熱交換器10において十分に加温される。一方、熱交換器10に流入する給水CWの流量が少なかったり給水CWの温度が高かったりした場合、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量が少なくても、第2差分値ΔT2を目標温度値Trに近付けることができる。熱交換器10に流入する給水CWの流量が少なかったり給水CWの温度が高かったりした場合、熱源水ポンプ31の回転速度(駆動周波数)を高くしなくても済むため、熱源水ポンプ31の消費電力が抑制される。また、熱源水SWの流量が抑制されるため、熱源水ライン13の下流端13Bから排出される熱源水SWの量が削減される。
【0081】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0082】
図4は、本実施形態に係る給水加温システム1を示す機能ブロック図である。上述の第1実施形態においては、給水流量調節手段20Aが、予め設定された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される給水ポンプ21と、給水ポンプ21の吐出側又は吸込側に設けられ、入力された開度指定信号に対応する開度で作動される第1給水弁22と、を有することとした。図4に示すように、給水流量調節手段20Aは、熱交換器10の上流側の第1給水ライン11に設けられ、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される給水ポンプ21Bと、入力された周波数指定信号に対応する駆動周波数を給水ポンプ21に出力するインバータ23(第1インバータ)と、を有してもよい。給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsに基づいて、インバータ23に出力する周波数指定信号を決定してもよい。この場合、第1給水弁(21)は省略されてもよい。
【0083】
また、上述の第1実施形態においては、熱源水流量調節手段30が、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される熱源水ポンプ31と、入力された周波数指定信号に対応する駆動周波数を熱源水ポンプ31に出力するインバータ32と、を有することとした。図4に示すように、熱源水流量調節手段30は、熱交換器10の上流側の熱源水ライン13に設けられ、予め設定された駆動周波数に応じた回転速度で駆動される熱源水ポンプ31Bと、熱源水ポンプ31Bの吐出側又は吸込側に設けられ、入力された開度指定信号に対応する開度で作動される熱源水弁33と、を有してもよい。
【0084】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0085】
図5は、本実施形態に係る給水加温システム1を示す模式図である。図5に示すように、給水状態切換手段20は、熱交換器10の下流側の第1給水ライン11から分岐し、熱交換器10を通過後の給水CWを補給水タンク4に還流させる還流ライン17と、給水CWの給水タンク2への送給と、補給水タンク4への還流とを切り換える第1流路切換手段24と、を有して構成される。第1流路切換手段24は、三方弁を含む。なお、複数の二方弁により第1流路切換手段24の機能が発揮されてもよい。
【0086】
第1流路切換手段24は、第1給水ライン11において、熱交換器10と下流端11Bとの間に設けられる。図5に示す例において、第1流路切換手段24は、熱交換器10と合流部11Dとの間に設けられる。第1給水弁22が設けられている場合、第1流路切換手段24は、熱交換器10と第1給水弁22との間に設けられる。
【0087】
還流ライン17の上流端17Aは、第1流路切換手段24に接続される。還流ライン17の下流端17Bは、補給水タンク4に接続される。
【0088】
給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5未満の場合、熱交換器10を通過後の給水CWを給水タンク2に送給するように第1流路切換手段24を切り換える。給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5以上の場合、熱交換器10を通過後の給水CWを補給水タンク4に還流させるように第1流路切換手段24を切り換える。
【0089】
本実施形態において、第5設定水位値Lr5は、図3を参照して説明した第2設定水位値Lr2と同一である。水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5未満の場合、給水制御部56は、熱交換器10を通過後の給水CWを給水タンク2に送給するように第1流路切換手段24を切り換えた状態で、上述の第1実施形態と同様に、検出水位値Lsの下降に伴って給水タンク2に対する給水流量がゼロから所要流量に向かって段階的に増加されるように第1給水弁22を制御する。
【0090】
水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5以上の場合、すなわち、検出水位値Lsが高水位範囲にある場合、給水制御部56は、熱交換器10を通過後の給水CWを補給水タンク4に還流させるように第1流路切換手段24を切り換える。これにより、熱交換器10で加温された給水CWは、図5の矢印F4で示すように、補給水タンク4に還流される。給水CWは、熱交換器10を含む第1給水ライン11の一部と、還流ライン17と、補給水タンク4とを含む循環ラインにおいて、循環する。熱交換器10を通過した給水CWが補給水タンク4に供給されるので、補給水タンク4に貯留される給水CWの温度は上昇する。
【0091】
水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5未満に下降した場合、給水制御部56は、補給水タンク4から送出された給水CWを、熱交換器10を介して給水タンク2に送給させる。補給水タンク4に貯留されている給水CWは加温されているため、加温された給水CWが熱交換器10に供給される。これにより、熱交換器10は、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量が少なくても、給水CWを所要温度まで加温することができる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態によれば、例えばボイラ80が給水CWの供給を要求せず、水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5以上の高水位範囲にあり、給水タンク2に対する給水CWの送給を停止する必要がある状態において、熱交換器10を通過した給水CWは、給水タンク2に供給されずに補給水タンク4に還流される。これにより、熱交換器10に供給され続けている熱源水SWから熱を回収し続けることができる。したがって、熱源水SWから効率良く熱回収することができる。
【0093】
なお、本実施形態において、第5設定水位値Lr5は、第2設定水位値Lr2とは異なってもよい。
【0094】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0095】
図6は、本実施形態に係る給水加温システム1を示す模式図である。上述の実施形態と同様、給水加温システム1は、還流ライン17と、第1流路切換手段24とを備える。本実施形態において、給水加温システム1は、熱交換器10の上流側及び下流側の前記第1給水ライン同士を連通するバイパスライン18と、給水CWの熱交換器10への流通と、バイパスライン18への流通とを切り換える第2流路切換手段25と、を備える。第2流路切換手段25は、三方弁を含む。なお、複数の二方弁により第2流路切換手段25の機能が発揮されてもよい。
【0096】
第2流路切換手段25は、第1給水ライン11において、上流端11Aと熱交換器10との間に設けられる。図5に示す例において、第2流路切換手段25は、分岐部11Cと熱交換器10との間に設けられる。
【0097】
バイパスライン18の上流端18Aは、第2流路切換手段25に接続される。バイパスライン18の下流端18Bは、熱交換器10と還流ライン17の下流端17Bとの間の第1給水ライン11に接続される。
【0098】
給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5未満の場合、熱交換器10を通過後の給水CWを給水タンク2に送給するように第1流路切換手段24を切り換える。給水制御部56は、水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5以上の場合、熱交換器10を通過後の給水CWを補給水タンク4に還流させるように第1流路切換手段24を切り換える。
【0099】
給水制御部56は、熱交換器10を通過後の給水CWを補給水タンク4に還流させるように第1流路切換手段24を切り換え中において、熱源水入口温度センサ7Aの検出温度値T3と給水入口温度センサ6Aの検出温度値T1との第1差分値Δ1が設定温度値Tm未満になると、給水CWをバイパスライン18に流通させるように第2流路切換手段25を切り換えるとともに、熱源水ライン13への熱源水SWの流通を停止させる。設定温度値Tmは、例えば5℃である。なお、設定温度値Tmは、5℃でなくてもよく、1℃以上10℃以下の範囲において任意に設定される。
【0100】
これにより、補給水タンク4から送出された給水CWは、図6の矢印F5で示すように、熱交換器10を通過することなく、バイパスライン18を流通した後、還流ライン17を介して、補給水タンク4に還流される。給水CWは、熱交換器10を含まない第1給水ライン11の一部と、バイパスライン18と、還流ライン17と、補給水タンク4とを含む循環ラインにおいて、循環する。
【0101】
給水制御部56は、熱交換器10を通過後の給水CWを補給水タンク4に還流させるように第1流路切換手段24を切り換え中において、熱源水入口温度センサ7Aの検出温度値T3と給水入口温度センサ6Aの検出温度値T1との第1差分値Δ1が設定温度値Tm以上になると、給水CWを熱交換器10に流通させるように第2流路切換手段25を切り換えるとともに、熱源水ライン13に熱源水SWを流通させる。
【0102】
これにより、補給水タンク4から送出された給水CWは、熱交換器10を通過した後、還流ライン17を介して、補給水タンク4に還流される。給水CWは、熱交換器10を含む第1給水ライン11の一部と、還流ライン17と、補給水タンク4とを含む循環ラインにおいて、循環する。熱源水ライン13において熱源水SWが流通しているので、熱交換器10において給水CWは加温される。熱交換器10を通過した給水CWが補給水タンク4に供給されるので、補給水タンク4に貯留される給水CWの温度は上昇する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態によれば、水位センサ5の検出水位値Lsが高水位範囲にあり、給水タンク2に対する給水CWの送給を停止する必要がある状態において、第1差分値ΔT1が設定温度値Tm未満の場合、熱源水SWからの熱の回収は実施されない。第1差分値Δ1が設定温度値Tm未満であることは、熱交換器10に流入する給水CWが高温となり、熱回収効率が低下していることを意味する。第1差分値ΔT1が設定温度値Tm未満である場合、熱源水制御部57は、熱源水ポンプ31を停止して、熱源水ライン13への熱源水SWの流通を停止させる。熱交換器10において給水CWを加温する必要が無い場合、熱源水ポンプ31を駆動させないことにより、熱源水ポンプ31の消費電力が抑制される。また、熱源水ライン13の下流端13Bから排出される熱源水SWの量が削減される。
【0104】
また、水位センサ5の検出水位値Lsが高水位範囲にあり、給水タンク2に対する給水CWの送給を停止する必要がある状態において、第1差分値ΔT1が設定温度値Tm以上の場合、熱源水ライン13に熱源水SWが流通され、給水CWは熱交換器10に供給される。第1差分値ΔT1が設定温度値Tm以上であることは、熱交換器10に流入する給水CWが低温であり、熱回収効率が良好であることを意味する。第1差分値ΔT1が設定温度値Tm以上である場合、熱源水制御部57は、熱源水ポンプ31を駆動して、熱源水ライン13に熱源水SWを流通させる。熱交換器10において給水CWを加温できる場合、熱源水ポンプ31を駆動させることにより、熱交換器10において十分に加温された給水CWが補給水タンク4に供給される。補給水タンク4に貯留される給水CWの温度が上昇した状態で、水位センサ5の検出水位値Lsが第5設定水位値Lr5未満に下降した場合、加温された給水CWが熱交換器10に供給される。これにより、熱交換器10は、熱源水ライン13を流通する熱源水SWの流量が少なくても、給水CWを所要温度まで加温することができる。
【0105】
[コンピュータシステム]
図7は、コンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の制御装置50は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の制御装置50の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0106】
[他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、第2給水ライン12の上流端12Aが熱交換器10の上流側の第1給水ライン11に接続され、第2給水ライン12の下流端12Bが熱交換器10の下流側の第1給水ライン11に合流することとした。第2給水ライン12の上流端12Aが補給水タンク4に接続され、第2給水ライン12の下流端12Bが給水タンク2に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…給水加温システム、2…給水タンク、3…熱源水タンク、4…補給水タンク、5…水位センサ、6A…給水入口温度センサ、6B…給水出口温度センサ、7A…熱源水入口温度センサ、7B…熱源水出口温度センサ、8…給水流量センサ、9…熱源水流量センサ、10…熱交換器、11…第1給水ライン、11A…上流端、11B…下流端、11C…分岐部、11D…合流部、12…第2給水ライン、12A…上流端、12B…下流端、13…熱源水ライン、13A…上流端、13B…下流端、14…原水ライン、15…供給ライン、16…オーバーフロー路、17…還流ライン、17A…上流端、17B…下流端、18…バイパスライン、18A…上流端、18B…下流端、20…給水状態切換手段、20A…給水流量調節手段、21…給水ポンプ、21B…給水ポンプ、22…第1給水弁、23…インバータ(第1インバータ)、24…第1流路切換手段、25…第2流路切換手段、30…熱源水流量調節手段、31…熱源水ポンプ、31B…熱源水ポンプ、32…インバータ(第2インバータ)、33…熱源水弁、41…第2給水弁、42…水処理装置、50…制御装置、51…検出水位値取得部、52…検出温度値取得部、53…検出流量値取得部、54…差分値算出部、55…記憶部、56…給水制御部、57…熱源水制御部、58…判定出力部、60…出力装置、80…ボイラ、81…温水ライン、82…温水ポンプ、CW…給水、FM1…検出流量値、FM2…検出流量値、Ls…検出水位値、SW…熱源水、T1…検出温度値、T2…検出温度値、T3…検出温度値、T4…検出温度値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7