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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】無人搬送装置の運行制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20221109BHJP
【FI】
G05D1/02 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018182258
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020052797
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】陳 瑩娟
(72)【発明者】
【氏名】本田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀和
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝典
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-256045(JP,A)
【文献】特開2003-131738(JP,A)
【文献】特開2007-264739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送装置の運行制御システムであって、
前記運行制御システムは少なくとも一つの運行制御単位を備えており、
前記運行制御単位は、
(a) 第1地点と第2地点をつなぐ一つの誘導ラインを含み、前記第1地点から前記第2地点に向かって移動する無人搬送装置及び前記第2地点から前記第1地点に向かって移動する無人搬送装置を誘導する双方向誘導路と、
(b) 前記第2地点と第1の第3地点をつなぐ一つの誘導ラインを含み、前記第2地点から前記第1の第3地点に向かって無人搬送装置を一方向に誘導する第1の一方向誘導路と、
(c) 前記第2地点と第2の第3地点をつなぐ一つの誘導ラインを含み、前記第2の第3地点から前記第2地点に向かって無人搬送装置を一方向に誘導する第2の一方向誘導路と、
(d) 前記第2地点から前記第1の第3地点に向かって移動する無人搬送装置を検知する第1検知器と、
(e) 前記双方向誘導路を前記第1地点に向かって移動する無人搬送装置又は前記第2の一方向誘導路を前記第2の第3地点から前記第2地点に向かって移動する無人搬送装置を検知する第2検知器と、
(f) 前記第2の第3地点から前記第2地点に向かう方向に関して前記第2地点の上流側に配置され、前記第2の一方向誘導路に沿って前記第2地点に向かう無人搬送装置の移動を許可する許可位置と前記第2の一方向誘導路に沿って前記第2地点に向かう無人搬送装置の移動を禁止する禁止位置との間を移動可能なゲートと、
(g) 前記ゲートを前記許可位置と前記禁止位置との間で移動させるゲート駆動部と、
(h) 前記第1検知器、前記第2検知器、及び前記ゲート駆動部を駆動する動力源と、
(i) 前記第1検知器が無人搬送装置を検知すると、前記第1検知器を介して前記動力源から前記ゲート駆動部に動力が供給されて前記ゲートが前記禁止位置から前記許可位置に移動され、前記第2検知器が無人搬送装置を検知すると、前記第2検知器を介して前記動力源から前記ゲート駆動部に動力が供給されて前記ゲートが前記許可位置から前記禁止位置に移動される動力伝達回路と、
を備えることを特徴とする無人搬送装置の運行制御システム。
【請求項2】
前記第1の第3地点と前記第2の第3地点が同一地点にあり、
前記同一地点で前記第1の一方向誘導路と前記第2の一方向誘導路が連結されて1つの一方向循環誘導路が構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送装置の運行制御システム。
【請求項3】
前記運行制御システムは、
前記運行制御単位を含む第1運行制御単位及び前記運行制御単位を含む第2運行制御単位を備えており、
前記第1運行制御単位の前記第1地点と前記第2運行制御単位の前記第1地点が連結されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運行制御システム。
【請求項4】
前記第1運行制御単位は、無人搬送装置に部品を積み込む第1ステーションを含み、
前記第2運行制御単位は、無人搬送装置から部品を積み下ろす第2ステーションを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の運行制御システム。
【請求項5】
無人搬送装置は磁気センサを備え、
前記双方向誘導路の前記誘導ラインは磁気誘導ラインを含み、
前記第1の一方向誘導路の前記誘導ラインは磁気誘導ラインを含み、
前記第2の一方向誘導路の前記誘導ラインは磁気誘導ラインを含み、
前記磁気センサが前記磁気誘導ラインを検知することによって、無人搬送装置が誘導される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の運行制御システム。
【請求項6】
前記第1検知器及び前記第2検知器は、無人搬送装置の通過領域に突出したアクチュエータを備えるリミットスイッチを備えており、前記アクチュエータが無人搬送装置に接触することで無人搬送装置が検知される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の運行制御システム。
【請求項7】
前記動力は、圧縮空気、油圧、又は電気のいずれかであって、
前記動力伝達回路は、前記動力を伝達する空圧回路、油圧回路、又は電気回路のいずれかである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の運行制御システム。
【請求項8】
無人搬送装置は、
前方障害物を検知する障害物センサと、
前記障害物センサからの出力に応じて無人搬送装置の前方に減速領域と停止領域を設定し、前記減速領域に障害物が存在するときは無人搬送装置を減速し、前記停止領域に前記障害物が存在するときは無人搬送装置を停止させるコントローラを備えている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の運行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送装置(AGV)の運行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産ラインにおいて部品の搬送を行う複数のAGVの運行制御システムとして、各AGVが進行する運行経路において、AGVが所定の位置に到着する予定時刻又は通過時刻を予め決めておき、これらの時刻に従ってAGVの進行を制御する運行システムが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-227716号
【0004】
このような運行システムでは、一般的に、AGVを制御する方法として無線通信及びAGV集中制御用のコンピュータが用いられ、AGVを電子的にまとめて制御する。しかし、他の電波通信との混線によってAGVを制御する通信が阻害されること、一部のAGVの位置情報について誤差が生じることでAGVの運行計画と実際の運行状況との乖離が発生すること、又は集中制御用コンピュータの故障により運行システム全体が機能しなくなることなどの課題が現実には発生し、結果的にAGVの運行が正常でなくなり、場合によってはAGVの渋滞が運行経路上に発生することで、生産に支障をきたすおそれがある。
【0005】
上述の課題に対して、AGVを検出する接触式センサ、衝突防止のためにAGVに搭載される障害物センサ、及び接触式センサなどの情報から運行経路を開閉してAGVの障害物センサに検出させることでAGVの停止と進行を制御する出退部材などの機構要素を用いる方法が好ましい。これは、この方法が、電波通信を用いず、実際にAGVが到着したこと、又は通過したことを接触式センサが検出し、さらに集中制御用コンピュータを用いないためである。
【0006】
一方、AGVが進行する運行経路は、一般的には、異なる進行方向の複数のAGVが一つの運行経路に同時に存在してしまうおそれがあるため、他の運行経路と共通でないことが好ましい。しかし、現実には、生産施設の敷地は限られ、少ない敷地を有効に活用するために運行経路の共通化が図られる場合がある。運行経路の共通化のための手法としては、上述のAGVの無線通信及び集中制御が一般的に用いられる。この場合も、上述の課題が共通化された運行経路で発生する可能性がある。最悪の場合、AGV同士の衝突の可能性もあり、多くの不良部品を発生するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、電波障害、位置情報の誤差、又は集中制御コンピュータの故障に影響を受けることなく、安全にAGVを運行制御できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1に係る実施形態のAGVの運行制御システムは、
少なくとも一つの運行制御単位を備えており、
前記運行制御単位は、
(a) 第1地点と第2地点をつなぐ一つの誘導ラインを含み、前記第1地点から前記第2地点に向かって移動するAGV及び前記第2地点から前記第1地点に向かって移動するAGVを誘導する双方向誘導路と、
(b) 前記第2地点と第1の第3地点をつなぐ一つの誘導ラインを含み、前記第2地点から前記第1の第3地点に向かってAGVを一方向に誘導する第1の一方向誘導路と、
(c) 前記第2地点と第2の第3地点をつなぐ一つの誘導ラインを含み、前記第2の第3地点から前記第2地点に向かってAGVを一方向に誘導する第2の一方向誘導路と、
(d) 前記第2地点から前記第1の第3地点に向かって移動するAGVを検知する第1検知器と、
(e) 前記双方向誘導路を前記第1地点に向かって移動するAGV又は前記第2の一方向誘導路を前記第2の第3地点から前記第2地点に向かって移動するAGVを検知する第2検知器と、
(f) 前記第2の第3地点から前記第2地点に向かう方向に関して前記第2地点の上流側に配置され、前記第2の一方向誘導路に沿って前記第2地点に向かうAGVの移動を許可する許可位置と前記第2の一方向誘導路に沿って前記第2地点に向かうAGVの移動を禁止する禁止位置との間を移動可能なゲートと、
(g) 前記ゲートを前記許可位置と前記禁止位置との間で移動させるゲート駆動部と、
(h) 前記第1検知器、前記第2検知器、及び前記ゲート駆動部を駆動する動力源と、
(i) 前記第1検知器がAGVを検知すると、前記第1検知器を介して前記動力源から前記ゲート駆動部に動力が供給されて前記ゲートが前記禁止位置から前記許可位置に移動され、前記第2検知器がAGVを検知すると、前記第2検知器を介して前記動力源から前記ゲート駆動部に動力が供給されて前記ゲートが前記許可位置から前記禁止位置に移動される動力伝達回路と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る実施形態の運行制御システムは、
前記第1の第3地点と前記第2の第3地点が同一地点にあり、
前記同一地点で前記第1の一方向誘導路と前記第2の一方向誘導路が連結されて1つの一方向循環誘導路が構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る実施形態の運行制御システムは、
前記運行制御単位を含む第1運行制御単位及び前記運行制御単位を含む第2運行制御単位を備えており、
前記第1運行制御単位の前記第1地点と前記第2運行制御単位の前記第1地点が連結されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る実施形態の運行制御システムは、
前記第1運行制御単位は、AGVに部品を積み込む第1ステーションを含み、
前記第2運行制御単位は、AGVから部品を積み下ろす第2ステーションを含む、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る実施形態の運行制御システムは、
AGVは磁気センサを備え、
前記双方向誘導路の前記誘導ラインは磁気誘導ラインを含み、
前記第1の一方向誘導路の前記誘導ラインは磁気誘導ラインを含み、
前記第2の一方向誘導路の前記誘導ラインは磁気誘導ラインを含み、
前記磁気センサが前記磁気誘導ラインを検知することによって、AGVが誘導される、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る実施形態の運行制御システムは、
前記第1検知器及び前記第2検知器は、AGVの通過領域に突出したアクチュエータを備えるリミットスイッチを備えており、前記アクチュエータがAGVに接触することでAGVが検知される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る実施形態の運行制御システムは、
前記動力は、圧縮空気、油圧、又は電気のいずれかであって、
前記動力伝達回路は、前記動力を伝達する空圧回路、油圧回路、又は電気回路のいずれかである、ことを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る実施形態の運行制御システムは、
AGVは、
前方障害物を検知する障害物センサと、
前記障害物センサからの出力に応じてAGVの前方に減速領域と停止領域を設定し、前記減速領域に障害物が存在するときはAGVを減速し、前記停止領域に前記障害物が存在するときはAGVを停止させるコントローラを備えている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願の請求項1に記載の発明によれば、双方向誘導路から第1の一方向誘導路に進行するAGVを第1検知器で検知してから、第2の一方向誘導路で停止していた双方向誘導路に向かう他のAGVを進行させた後、後続の他のAGVを停止させる運行制御システムを提供できる。これにより、電波障害、位置情報の誤差、又は集中制御コンピュータの故障に影響を受けることなく、安全にAGVを運行制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る、運行制御システムを構成する運行制御単位を示す概略図である。
図2図1に第1検出器、第2検知器、ゲートを追加した運行制御単位を示す概略図である。
図3図2と異なる実施形態の運行制御単位を示す概略図である。
図4A】空圧を用いる動力伝達回路の構造と動作を示す概略図である。
図4B】空圧を用いる動力伝達回路の構造と動作を示す概略図である。
図4C】空圧を用いる動力伝達回路の構造と動作を示す概略図である。
図4D】空圧を用いる動力伝達回路の構造と動作を示す概略図である。
図5】運行制御システムによって運行が制御されるAGVの構成の概略図である。
図6図5に示すAGVの制御についてのフローチャートである。
図7図6に示すフローチャートによってAGVの運行がどのように変化するかを示す概略図である。
図8A図2に示す運行制御単位によるAGVの運行を示す概略図である。
図8B図2に示す運行制御単位によるAGVの運行を示す概略図である。
図8C図2に示す運行制御単位によるAGVの運行を示す概略図である。
図8D図2に示す運行制御単位によるAGVの運行を示す概略図である。
図8E図2に示す運行制御単位によるAGVの運行を示す概略図である。
図9A】本発明の実施形態に係る、運行制御システムによるAGVの運行を示す概略図である。
図9B】本発明の実施形態に係る、運行制御システムによるAGVの運行を示す概略図である。
図9C】本発明の実施形態に係る、運行制御システムによるAGVの運行を示す概略図である。
図9D】本発明の実施形態に係る、運行制御システムによるAGVの運行を示す概略図である。
図9E】本発明の実施形態に係る、運行制御システムによるAGVの運行を示す概略図である。
図9F】本発明の実施形態に係る、運行制御システムによるAGVの運行を示す概略図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る、運行制御システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0019】
[1.運行制御単位]
図1は、本発明の実施形態に係る無人搬送装置(AGV)運行システム(後述する。)100を構成する運行制御単位10を示す。
【0020】
[1.1:誘導路]
運行制御単位10は、無人搬送装置(以下、「AGV」と表す。)11を誘導する誘導路12を有する。誘導路12は、複数の通過地点、すなわち、第1地点13、第2地点14、及び第3地点15を連結しており、第1地点13から第2地点14に伸びる第1誘導路16と、第2地点14から第3地点15に伸びる第2誘導路17と、第3地点15から第2地点14に伸びる第3誘導路18を有し、第2誘導路17と第3誘導路18によって1つの循環路19が構成されている。第1誘導路16は第1地点13から第2地点14に向かう方向と第2地点14から第1地点13に向かう方向にAGV11を誘導する双方向誘導路である。第2誘導路17は第2地点14から第3地点15に向かう方向にのみAGV11を誘導する一方向誘導路、また、第3誘導路18は第3地点15から第2地点14に向かう方向にのみAGV11を誘導する一方向誘導路である。図示する実施形態では第2誘導路17と第3誘導路18が第3地点15で連結されており、第2地点14から第3地点15を通り再び第2地点14に戻る一方向循環誘導路19を形成している。
【0021】
図示しないが、第1誘導路16、第2誘導路17、及び第3誘導路18には、それぞれの誘導路に沿って一つの磁気誘導ライン(第1磁気誘導ライン21、第2磁気誘導ライン22、及び第3磁気誘導ライン23)が配置されている。各磁気誘導ライン21,22,23は、誘導路12に沿って敷設されたマグネットテープ等の磁性体で構成されている。
【0022】
[1.2:AGV]
AGV11は、誘導路12に敷設されたマグネットテープ等の磁束を検知する磁気検知手段、すなわち磁気センサ25を備えている。図示するように、磁気センサ25は、AGV11の進行方向に伸びる中心軸26から離れてその右側又は左側に、又は中心軸26上に配置されている。図示する実施形態では、AGV11をその後方から見たとき、中心軸26の右側に配置されている。したがって、第1誘導路16を第1地点13から第2地点14に向かって移動するAGV11の通過領域27と第1誘導路16を第2地点14から第1地点13に向かって移動するAGV11の通過領域28は、それらの一部がオーバーラップするものの、両者が完全にオーバーラップすることはない。
【0023】
本発明の実施形態において、AGV11は、磁気誘導ライン21,22,23の磁性体を磁気センサ25によって検知することで進行方向を定めているが、例えば磁気誘導ライン21,22,23の代わりに白色テープを貼られたライン、また磁気センサ25の代わりに光学センサが用いられてもよい。
【0024】
[1.3:AGV検知器]
図2に示すように、第2誘導路17の近くには、第2地点14から第3地点15に移動するAGV11を検知する第1検知器31が配置されている。第3誘導路18の近くには、第3地点15から第2地点14に向かって移動するAGV11を検知する第2検知器32が配置されている。実施形態では、第1検知器31と第2検知器32はそれぞれ空圧式リミットスイッチ33,34で構成されている。空圧式リミットスイッチ33,34は、アクチュエータ(AGVに接触する部分)35,36を第2誘導路17上のAGV通過領域27’又は第3誘導路18上のAGV通過領域28’に突出させて該AGV通過領域27’,28’を通過するAGV11に接触するように配置されている。具体的に、第1検知器31と第2検知器32は、AGV11をその後方から見たとき、AGV通過領域27’,28’の左側に配置されており、そのアクチュエータ35,36がAGV通過領域27’,28’に突出している。
【0025】
図3に示すように、他の実施形態の運行制御単位10では、第2検知器32は、第1誘導路16の近くに配置することも可能である。この場合、第2検知器32は、第2地点14から第1地点13に移動するAGV11の通過領域28’’の左側に配置される。したがって、この実施形態では、第2検知器32のアクチュエータ36は、第2地点14から第1地点13に移動するAGV11に接触するが、第1地点13から第2地点14に移動するAGV11に接触することがない。
【0026】
[1.4:ゲート]
図2に戻り、第3誘導路18の近くには、AGV移動方向に関して第2検知器32の上流側に、AGV11の進行を制御(禁止/許可)するゲート38が配置されている。ゲート38は、図示するように、第3誘導路18に沿って移動するAGV11の通過領域28’に進出した位置(実線で示す「進出位置」又は「禁止位置」)と該AGV通過領域28’から待避した位置(点線で示す「待避位置」又は「許可位置」)との間を移動することができるように構成されている。
【0027】
[1.5:ゲート駆動部]
ゲート38を待避位置と進出位置との間で移動するゲート駆動部41は、図4A図4Dに示すように、空圧シリンダ42と、空圧式方向制御弁43と、圧縮空気供給源(コンプレッサ)44を有する。第1検知器31と第2検知器32の空圧式リミットスイッチ33,34も、空圧シリンダ42、空圧式方向制御弁43、及び圧縮空気供給源44と共に、ゲート駆動部41を構成している。そして、空圧シリンダ42、空圧式方向制御弁43、圧縮空気供給源44、及び空圧式リミットスイッチ33,34が一つの空圧回路(動力伝達回路)50を構成しており、該空圧回路50は空圧式リミットスイッチ33,34の動作に応じてゲート38を進出位置と待避位置との間で移動するように設計されている。
【0028】
空圧シリンダ42は、例えば2位置2ポート弁からなり、第1ポート45又は第2ポート46の一方から選択的に供給される圧縮空気の方向に応じて、ピストン47が第1位置(図4A,4D参照)と第2位置(図4B,4C参照)との間を移動するように構成されている。ピストン47は、連結機構48を介してゲート38に連結されている。連結機構38は、ピストン47の往復直線運動をゲート38の進退運動(回転運動又は旋回運動)に変換する機能を備えており、ピストン47の動作に連動してゲート38が進出位置と待避位置との間を往復移動するようになっている。
【0029】
空圧式方向制御弁43は、例えば2位置5ポートスプール弁からなり、スプール51の位置を切り換えることによって圧縮空気供給源44から供給される圧縮空気の流れを切り換えるために、5つの流路切換ポート[P(給気)ポート52、E(排気)ポート53,54、Aポート55、Bポート56]と2つのスプール位置切換ポート[第1ポート57と第2ポート58]を備えており、Pポート52が圧縮空気供給源44に接続され、Aポート55が空圧シリンダ42の第1ポート45に接続され、Bポート56が空圧シリンダ42の第2ポート46に接続されている。
【0030】
第1検知器31を構成する空圧式リミットスイッチ33は、例えば常閉型の2位置3ポート弁からなり、アクチュエータ35の動きに応じて、ばね61で一方向に付勢されたスプール62の位置を切り換えることによって、圧縮空気供給源44から空圧式方向制御弁43の第1ポート57への圧縮空気の供給を制御(オン/オフ)するために、3つのポート[P(給気)ポート63、E(排気)ポート64、Aポート65]を備えており、Pポート63が圧縮空気供給源44に接続され、Aポート65が空圧式方向制御弁43の第1ポート57に接続されている。
【0031】
第2検知器32を構成する空圧式リミットスイッチ34は、例えば常閉型の2位置3ポート弁からなり、アクチュエータ36の動きに応じて、ばね71で一方向に付勢されたスプール72の位置を切り換えることによって、圧縮空気供給源44から空圧式方向制御弁43の第2ポート58への圧縮空気の供給を制御(オン/オフ)するために、3つのポート[P(給気)ポート73、E(排気)ポート74、Aポート75]を備えており、Pポート73が圧縮空気供給源44に接続され、Aポート75が空圧式方向制御弁43の第2ポート58に接続されている。
【0032】
このように構成されたゲート駆動部41によれば、第1検知器31と第2検知器32が共にAGV11を検知していない状態(図4Aに示す第1オフ-オフ状態)では、図4Aに示すように空圧式リミットスイッチ33,34のスプール62,72は共に閉鎖位置をとり、圧縮空気供給源44から空圧式方向制御弁43へ圧縮空気を供給する回路を閉鎖している。そのため、空圧シリンダ42は図示する状態を保持し、ゲート38はAGV通過領域28’に進出している。
【0033】
第1検知器31と第2検知器32が共にAGV11を検知していない状態(図4Aに示す第1オフ-オフ状態)から、第1検知器31における空圧式リミットスイッチ33のアクチュエータ35がAGV11に接触(検知)する状態(図4Bに示すオン-オフ状態)に移行すると、図4Bに示すように空圧式リミットスイッチ33のアクチュエータ35がばね61の付勢力に抗してスプール62を開放位置に移動し、圧縮空気供給源44から空圧式方向制御弁43へ圧縮空気を供給する回路を開放する。これにより、空圧式方向制御弁43のスプール51が図4Aに示す位置から図4Bに示す位置に移動し、圧縮空気供給源44から供給される圧縮空気が空圧式方向制御弁43のPポート52、Aポート55を介して空圧シリンダ42の第1ポート45に供給され、その結果、ピストン47が図4Aに示す位置から図4Bに示す位置に移動し、ゲート38が進出位置から待避位置に移動する。
【0034】
次に、第1検知器31における空圧式リミットスイッチ33のアクチュエータ35がAGV11に接触(検知)する状態(図4Bに示すオン-オフ状態)からAGV11に接触しない(非検知)状態(図4Cに示す第2オフ-オフ状態)に復帰すると、図4Cに示すように空圧式リミットスイッチ33,34のスプール62,72は共に閉鎖位置をとり、圧縮空気供給源44から空圧式方向制御弁43へ圧縮空気を供給する回路を閉鎖する。ただし、空圧シリンダ42は図4Cに示す状態を保持し、ゲート38は待避位置を保持する。
【0035】
次に、第1検知器31と第2検知器32が共にAGV11を検知していない状態(図4Cに示す第2オフ-オフ状態)から、第2検知器32における空圧式リミットスイッチ34のアクチュエータ36がAGV11に接触(検知)する状態(図4Dに示すオフ-オン状態)に移行すると、図4Dに示すように空圧式リミットスイッチ34のアクチュエータ36がばね71の付勢力に抗してスプール72を開放位置に移動し、圧縮空気供給源44から空圧式方向制御弁43へ圧縮空気を供給する回路を開放する。これにより、空圧式方向制御弁43のスプール51が図4Cに示す位置から図4Dに示す位置に移動し、圧縮空気供給源44から供給される圧縮空気が空圧式方向制御弁43のPポート52、Bポート56を介して空圧シリンダ42の第2ポート46に供給され、その結果、ピストン47が図4Cに示す位置から図4Dに示す位置に移動し、ゲート38が待避位置から進出位置に復帰する。
【0036】
次に、第2検知器32における空圧式リミットスイッチ34のアクチュエータ36がAGV11に接触(検知)する状態(図4Dに示すオフ-オン状態)からAGV11に接触しない(非検知)状態(図4Aに示す第1オフ-オフ状態)に復帰すると、図4Aに示すように空圧式リミットスイッチ33,34のスプール62,72は共に閉鎖位置をとり、圧縮空気供給源44から空圧式方向制御弁43へ圧縮空気を供給する回路を閉鎖する。ただし、空圧シリンダ42は図4Aに示す状態を保持し、ゲート38は進出位置を保持する。
【0037】
[1.6:AGVの障害物検出ユニット]
図5に示すように、AGV11は、前方障害物の有無を検出して自律的にその運行速度を制御する速度制御システムを備えている。そのために、速度制御システム81は、AGVコントローラ82と、前方障害物の有無を検知する障害物センサ83を備えている。障害物センサ83とAGVコントローラ82は通信可能に有線又は無線によって接続されている。障害物センサ83には、例えばレーザ方式又は赤外線方式の測距センサが用いられるが、前方障害物の有無が検出可能である限り、あらゆるセンサが使用可能である。
【0038】
AGVコントローラ82は、AGV11の前方に減速領域(減速距離)と停止領域(停止距離)を設定するとともに、前方障害物との距離に応じてAGV11の速度、具体的にはAGV走行モータ84の回転数を制御する。具体的に図5,6,7(a)~(e)を参照して説明すると、図5に示すように、障害物センサ83はAGV11の前方にレーザ85又は赤外線を発振し、前方障害物の有無、前方障害物が有るときは該前方障害物との距離Lを計測する(図6のステップ#1、図7(a))。AGVコントローラ82は、AGV11の前方に減速領域86(減速距離L1)と該減速領域86よりも小さな停止領域87(停止距離L2(<減速距離L1))を設定する。次に、図6に示すように、AGVコントローラ82は、AGV11の前方にある障害物(例えば、別のAGV又はゲート38)が減速領域86の外側に有るか否か判断し(図6のステップ#2)、前方障害物が減速領域86の外側に有れば(すなわち、距離L>減速距離L1の場合)、AGVコントローラ82は、AGV11を所定の運行速度Vで運行する(図6のステップ#3、図7(b),(c))。AGV11の前方障害物が減速領域86の内側にある場合(距離L≦減速距離L1)、AGVコントローラ82は、AGV11を減速する(図6のステップ#4、図7(d))。次に、AGVコントローラ82は、前方障害物が停止領域87の内側に入ったか否か判断し(図6のステップ#5)、前方障害物が停止領域87の内側に入ると(距離L≦停止距離L2)、AGVコントローラ82はAGV11を停止する(図6のステップ#6、図7(e))。これにより、AGV11と前方障害物との間には、ほぼ一定の停止領域87(停止距離L2)が確保される。
【0039】
[1.7:AGV運行制御]
以上の構成を備えた運行制御単位10におけるAGVの運行制御を説明する。
【0040】
[1.7.1:初期状態(ステップ0)]
運行制御の初期状態として図2に示す状態を想定する。この初期状態において、第1検知器31と第2検知器32における空圧式リミットスイッチ33,34は共に閉状態にあり、ゲート38は進出位置にある。第1誘導路16では一台のAGV11が第1地点13から第2地点14に向かって進行しており、第3誘導路18では2台のAGV11’、11’’がゲート38の前で停止している。したがって、第1検知器31の空圧式リミットスイッチ33と第2検知器32の空圧式リミットスイッチ34は共にオフ(閉鎖)している。
【0041】
[1.7.2:ステップ1]
次に、図8Aに示すように、AGV11が第1誘導路16を通過して第2誘導路17に進入し、第1検知器31がAGV11を検知すると、すなわち、第1検知器31における空圧式リミットスイッチ33のアクチュエータ35がAGV11に接触して空圧式リミットスイッチ33が開状態に移行すると、ゲート38が進出位置から待避位置に移動する。この結果、ゲート38前に停止しているAGV11’の減速領域86及び停止領域87からゲート38が退出する。これにより、AGV11’のAGVコントローラ82は走行モータ84を起動し、第3誘導路18から第1誘導路16に向かってAGV11’を前進させる。
【0042】
[1.7.3:ステップ2]
次に、図8Bに示すように、AGV11が第1検知器31の前を通過すると、第1検知器31における空圧式リミットスイッチ33のアクチュエータ35がAGV11に非接触となり、空圧式リミットスイッチ33は閉状態に復帰するが、ゲート38は待避位置に留まる。
【0043】
[1.7.4:ステップ3]
次に、図8Cに示すように、AGV11’の進行とともにAGV11’とAGV11’’の間隔は大きくなる。ただし、後方AGV11’’の停止領域87の中に前方AGV11’が存在する限り、後方AGV11’’は停止位置に留まる。一方、後方AGV11’’の減速領域86の中に前方AGV11’が移動する場合、後方AGV11’’は通常の運行速度Vよりも低い速度で進行し始める。さらに、前方AGV11’が後方AGV11’’の減速領域86から出ると、後方AGV11’’は通常の運行速度Vで走行する。
【0044】
[1.7.5:ステップ4]
次に、図8Dに示すように、第2検知器32が前方AGV11’を検知すると、すなわち、第2検知器32における空圧式リミットスイッチ34のアクチュエータ36がAGV11’に接触して空圧式リミットスイッチ34が開状態に移行すると、ゲート38が待避位置から進出位置に移動する。この時点で、後方AGV11’’の減速領域86の外側にゲート38が位置している(L>L1)と、後方AGV11’’のAGVコントローラ82は通常の運行速度VでAGV11’’を走行させる。その後、後方AGV11’’の減速領域86にゲート38が入ると、AGVコントローラ82はAGV11’’を減速し、さらに、後方AGV11’’の停止領域87にゲート38が入るとAGV11’’を停止する。一方、後方AGV11’’の減速領域86の内側にゲート38が位置している(L≦L1)と、後方AGV11’’のAGVコントローラ82はAGV11’’を減速しながら走行させ、その後、後方AGV11’’の停止領域87にゲート38が入るとAGV11’’を停止する。または、後方AGV11’’の停止領域87の内側にゲート38が位置している(L≦L2)と、後方AGV11’’のAGVコントローラ82はAGV11’’を速やかに停止する、又は停止し続ける。
【0045】
[1.7.6:ステップ5]
最後に、第3誘導路18から第1誘導路16に進入した前方AGV11’は、第1地点13に向かって所定の運行速度で前進する。
【0046】
このように、実施形態に係るAGV運行制御単位10によれば、第1誘導路16から第2誘導路17に進行するAGV11を第1検知器31で検知してから、第3誘導路18で停止していた第1誘導路16に向かうAGV11’を1台のみ走行させる運行制御システムを提供できる。これにより、異なる進行方向のAGV11,11’が第1誘導路16に同時に存在してしまうことがなく、第1誘導路16の誘導路としての共通化が実現できる。
【0047】
[2.運行制御システム]
図9A~9Fを参照して、上述の運行制御単位10を含む車両部品を積載するAGVの運行制御システム100の実施形態を説明する。
【0048】
[2.1:運行制御システムの構成]
図示する運行制御システム100は2つの運行制御単位(第1運行制御単位10Aと第2運行制御単位10B)を組み合わせて構成されており、両運行制御単位10A,10Bは第1地点13で互いに連結されている。実施形態において、第1運行制御単位10Aにおける第3誘導路18Aには、AGV11に部品を積み込む第1ステーション88Aが配置され、第2運行制御単位10Bにおける第3誘導路18BにはAGV11に積載された部品を積み下ろす第2ステーション88Bが配置されている。例えば、第1ステーション88Aは、自動車に搭載する部品をAGV11に積載するステーションである。第2ステーション88Bは、AGV11に積載された部品を自動車に搭載するステーションである。
【0049】
[2.2:運行制御システムの動作]
運行制御システム100のAGV運行制御を説明する。この説明では、第1運行制御単位10Aの構成要素と第2運行制御単位10Bの構成要素を区別するために、第1運行制御単位10Aの構成要素の符号には添字「A」を付け、第2運行制御単位10Bの構成要素の符号には添字「B」を付ける。
【0050】
[初期状態]
図9Aは、以下に説明する運行制御システムの初期状態である。この初期状態において、表1に示すように、第1運行制御単位10Aの第1検知器31Aと第2検知器32Aの空圧式リミットスイッチ33A,34Aは共に閉じており、ゲート38Aは進出位置にあって誘導路を閉鎖している。同様に、第2運行制御単位10Bの第1検知器31Bと第2検知器32Bの空圧式リミットスイッチ33B,34Bは共に閉じており、ゲート38Bは進出位置にあって誘導路を閉鎖している。
【0051】
この状況で、第1運行制御単位10Aでは、一台のAGV11A’がゲート38Aの手前で待機しており、一台のAGV11A’’が第1ステーション88Aに停止している。第2運行制御単位10Bでは、一台のAGV11B’がゲート38Bの手前で待機しており、一台のAGV11B’’が第2ステーション88Bに停止している。
【0052】
第1運行制御単位10Aの第1ステーション88Aで部品が搭載された一台のAGV11Aが、第1運行制御単位10Aと第2運行制御単位10Bを連結する第1誘導路16を、第1運行制御単位10Aから第2運行制御単位10Bに向かって前進している。
【0053】
【表1】
【0054】
[ステップ1]
図9Bに示すように、AGV11Aが第1誘導路16を通過して第2運行制御単位10Bの第2誘導路17Bに入り第1検知器31Bで検知されると、第2運行制御単位10Bのゲート38Bが待避位置に移動する。このときの、第1運行制御単位10Aの第1検知器31Aと第2検知器32Aの空圧式リミットスイッチ33A,34A、及びゲート38Aの状態、また第2運行制御単位10Bの第1検知器31Bと第2検知器32Bの空圧式リミットスイッチ33B,34B、及びゲート38Bの状態を表2に示す。
【0055】
これにより、第2運行制御単位10Bにおいてゲート38Bの手前で待機していたAGV11B’が始動し、第3誘導路18Bから第1誘導路16に向かって前進する。また、AGV11B’の進行とともにAGV11B’とAGV11B’’の間隔は大きくなる。AGV11B’がAGV11B’’の停止領域87B’’から出ると、AGV11B’’が始動し、第3誘導路18Bを前進する。
【0056】
【表2】
【0057】
[ステップ2]
次に、図9Cに示すように、第2運行制御単位10Bの第2検知器32BがAGV11B’を検知すると、ゲート38Bが進出位置に移動する。このときの、第1運行制御単位10Aの第1検知器31Aと第2検知器32Aの空圧式リミットスイッチ33A,34A、及びゲート38Aの状態、また第2運行制御単位10Bの第1検知器31Bと第2検知器32Bの空圧式リミットスイッチ33B,34B、及びゲート38Bの状態を表3に示す。
【0058】
これにより、AGV11B’’はゲート38Bの手前で停止する。一方、AGV11B’は第1誘導路16に向かって前進し続ける。
【0059】
【表3】
【0060】
[ステップ3]
次に、図9Dに示すように、AGV11B’が、第1運行制御単位10Aと第2運行制御単位10Bを連結する第1誘導路16を、第1運行制御単位10Bから第2運行制御単位10Aに向かって前進している。このときの、第1運行制御単位10Aの第1検知器31Aと第2検知器32Aの空圧式リミットスイッチ33A,34A、及びゲート38Aの状態、また第2運行制御単位10Bの第1検知器31Bと第2検知器32Bの空圧式リミットスイッチ33B,34B、及びゲート38Bの状態を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
[ステップ4]
図9Eに示すように、AGV11B’が第1誘導路16を通過して第1運行制御単位10Aの第2誘導路17Aに入り第1検知器31Aで検知されると、第1運行制御単位10Aのゲート38Aが待避位置に移動する。このときの、第1運行制御単位10Aの第1検知器31Aと第2検知器32Aの空圧式リミットスイッチ33A,34A、及びゲート38Aの状態、また第2運行制御単位10Bの第1検知器31Bと第2検知器32Bの空圧式リミットスイッチ33B,34B、及びゲート38Bの状態を表5に示す。
【0063】
これにより、第1運行制御単位10Aにおいてゲート38Aの手前で待機していたAGV11A’が始動し、第3誘導路18Aから第1誘導路16に向かって前進する。また、AGV11A’の進行とともにAGV11A’とAGV11A’’の間隔は大きくなる。AGV11A’がAGV11A’’の停止領域87A’’から出ると、AGV11A’’が始動し、第3誘導路18Aを前進する。
【0064】
【表5】
【0065】
[ステップ5]
次に、図9Fに示すように、第1運行制御単位10Aの第2検知器32AがAGV11A’を検知すると、ゲート38Aが進出位置に移動する。このときの、第1運行制御単位10Aの第1検知器31Aと第2検知器32Aの空圧式リミットスイッチ33A,34A、及びゲート38Aの状態、また第2運行制御単位10Bの第1検知器31Bと第2検知器32Bの空圧式リミットスイッチ33B,34B、及びゲート38Bの状態を表6に示す。
【0066】
これにより、AGV11A’’はゲート38Aの手前で停止する。一方、AGV11A’は第1誘導路16に向かって前進し続ける。
【0067】
【表6】
【0068】
[2.3:他の実施形態]
上述の説明では、運行制御システム100は、第1運行制御単位10Aの構成要素と第2運行制御単位10Bで構成されているが、さらに複数の運行制御単位、例えば第1運行制御単位10Aの構成要素、第2運行制御単位10B、及び第3運行制御単位10Cで構成されてもよい(図10参照)。この場合、第2運行制御単位10Bの第1検知器31Bが、第1地点13から第3地点15Bに向かって第2誘導路17Bを走行するAGV11Aを検知すると、第2運行制御単位10Bのゲート38Bは進出位置を保ち、AGV11B’は待機し続ける。一方、第3運行制御単位10Cのゲート38Cは待避位置に移動し、待機していたAGV11C’が始動し、第2地点14Cに向かって前進する。また、第3運行制御単位10Cの第1検知器31Cが、第1地点13から第3地点15Cに向かって第2誘導路17Cを走行するAGV11Aを検知すると、第2運行制御単位10Cのゲート38Cは進出位置を保ち、AGV11C’は待機し続ける。一方、第2運行制御単位10Bのゲート38Bは待避位置に移動し、待機していたAGV11B’が始動し、第2地点14Bに向かって前進する。この場合、第2運行制御単位10Bの第2誘導路17Bを走行するAGV11Aを、第2運行制御単位10Bの第3地点15B、又は第3運行制御単位10Cの第2地点14Cのいずれかに向かうように分岐させる必要がある。そのため、AGV11Aの側面に増設されたセンサ、例えば磁気センサ(図示せず)によって検知される磁気媒体90が、第2地点14Bと分岐点92との間で、分岐点92の手前に設けられてもよい。この場合、各AGV11Aは、側面に増設されたセンサが磁気媒体90を検知することで、第3地点15Bに向かうように第2誘導路17Bに沿って分岐点92で右折する、又は第1誘導路91に向けて直進するように設定されている。これにより、各AGV11Aは、第2運行制御単位10B、又は第3運行制御単位10Cのいずれかに向かうように分岐することができる。
【0069】
また、上述の説明では、第1検知器31と第2検知器32、及びゲート駆動部41として空圧式機器を使用し、それらの動力として圧縮空気を利用したが、検知器とゲート駆動部に油圧式機器を使用し、それらの動力として油圧を利用してもよい。また、検知器とゲート駆動部に電気式機器を使用し、それらの動力として電気を利用してもよい。例えば、動力として電気を使用する場合、第1検知器31と第2検知器32に電気式リミットスイッチを使用し、またゲート駆動部41にはサーボモータを使用する。
【0070】
以上、本発明を車両部品搬送用AGVの運行制御システムに適用した例について説明したが、本発明はその他の製品又は部品を搬送するシステムにも適用できる。
【符号の説明】
【0071】
100:運行制御システム
10:運行制御単位
11:AGV
12:誘導路
13:第1地点
14:第2地点
15:第3地点
16:第1誘導路(双方向誘導路)
19:循環誘導路
21,22,23:磁気誘導ライン
25:磁気センサ
27,27’,28,28’,28’’:通過領域
31:第1検知器
32:第2検知器
33,34:空圧式リミットスイッチ
35,36:アクチュエータ
38:ゲート
41:ゲート駆動部
44:圧縮空気供給源(動力源)
50:空圧回路(動力伝達回路)
83:障害物センサ
86:減速領域
87:停止領域
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10