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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】調光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20221109BHJP
   H05B 45/50 20220101ALI20221109BHJP
【FI】
H05B47/20
H05B45/50
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018184117
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020053350
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 和章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄治
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142489(JP,A)
【文献】特開2002-270383(JP,A)
【文献】特開平01-240339(JP,A)
【文献】登録実用新案第3052664(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧の電圧値に応じた調光度で点灯する複数の照明機器に対して前記直流電圧を配線を介して供給する調光装置であって、
前記配線に流れる電流を検出する検出部と;
前記検出部によって検出された電流に基づく検出値を基準値と比較する比較部と;
前記比較部による比較結果を出力する出力部と;
を具備し、
前記出力部は、前記配線に正常に接続されている前記照明機器の個数の情報を出力することを特徴とする調光装置。
【請求項2】
前記基準値は、前記複数の照明機器の個数と1個あたりの消費電流とに基づいて決定される
ことを特徴とする請求項1に記載の調光装置。
【請求項3】
情報を表示する表示部;
を具備し、
前記出力部は、前記比較結果を前記表示部に出力する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の調光装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記検出値の前記基準値に対する割合が閾値以下である場合に、アラーム信号を出力する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の調光装置。
【請求項5】
前記複数の照明機器の接続状況を確認する状況確認モードに移行した場合に、予め決められた電圧値の前記直流電圧を前記配線に印加する印加部;
を具備し、
前記比較部は、
前記印加部によって前記予め決められた電圧値の前記直流電圧が前記配線に印加された場合における前記検出値を前記基準値と比較する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の調光装置。
【請求項6】
前記予め決められた電圧値は、前記複数の照明機器を100%の調光度で点灯させる電圧値である
ことを特徴とする請求項5に記載の調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(Light Emitting Diode)照明に対して直流電圧を供給することによってLED照明の駆動および調光を行う調光装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5058778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば劇場等の施設では、既に設置されている白熱電球等の照明機器をLED照明に入れ替える作業が行われる場合がある。このような場合、施工業者等は、入れ替え作業の終了後、LED照明を点灯させることにより、LED照明の設置忘れがないか、あるいは、断線している箇所がないか等を目視により確認していた。しかしながら、このような確認作業は、施設が大規模になるほど、すなわち、設置するLED照明の数が多くなるほど時間や手間がかかってしまう。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、複数の照明機器の接続状況の確認を容易化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る調光装置は、直流電圧の電圧値に応じた調光度で点灯する複数の照明機器に対して直流電圧を配線を介して供給する調光装置であって、検出部と、比較部と、出力部とを具備する。検出部は、配線に流れる電流を検出する。比較部は、検出部によって検出された電流に基づく検出値を基準値と比較する。出力部は、比較部による比較結果を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の照明機器の接続状況の確認を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る照明システムの概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る照明システムの具体的な構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る調光装置が備える制御部の構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る調光装置が実行する状況確認処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る調光装置を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する調光装置は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。たとえば、以下の実施形態では、調光装置は、劇場や映画館等といった各種施設に設置されるものとするが、これらの施設以外にも、公民館等の公共機関やビルディング等、任意の施設に設置可能であるものとする。なお、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0010】
以下に説明する実施形態に係る調光装置20は、直流電圧の電圧値に応じた調光度で点灯する複数の照明機器100a~100c(以下、「照明機器100」と総称する場合がある)に対して直流電圧を配線30を介して供給する調光装置であって、検出部25と、比較部231と、出力部233とを具備する。検出部25は、配線30に流れる電流を検出する。比較部231は、検出部25によって検出された電流に基づく検出値(たとえば、検出電圧)を基準値と比較する。出力部233は、比較部231による比較結果を出力する。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係る調光装置20において、基準値は、複数の照明機器100の個数と1個あたりの消費電流とに基づいて決定される。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る調光装置20は、情報を表示する表示部26を具備し、出力部233は、比較結果を表示部26に出力する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係る調光装置20において、出力部233は、検出値が基準値に対して予め決められた割合以下である場合に、アラーム信号を出力する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る調光装置20は、複数の照明機器100の接続状況を確認する状況確認モードに移行した場合に、予め決められた電圧値の直流電圧を配線30に印加する印加部22を具備し、比較部231は、印加部22によって予め決められた電圧値の直流電圧が配線30に印加された場合における検出値を基準値と比較する。
【0015】
また、以下に説明する実施形態に係る調光装置20において、予め決められた電圧値は、複数の照明機器100を100%の調光度で点灯させる電圧値である。
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明が開示する技術を限定するものではない。
【0017】
[実施形態]
<照明システムの概略について>
まず、実施形態に係る調光装置を含む照明システムの概略について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る照明システムの概略構成の一例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、実施形態に係る照明システム1は、照明制御装置10と、調光装置20と、配線30と、複数の照明機器100a~100cとを含む。
【0019】
照明制御装置10は、調光卓や制御卓と呼ばれる装置により実現され、操作者による操作に基づいて照明機器100の制御を行う。たとえば、照明制御装置10は、プリセットフェーダやフェーダ、ボタン等の操作部を有し、操作部を介して操作者から照明機器100の調光度の変更操作を受付けた場合に、変更後の調光度を示す調光信号を照明制御装置10に出力する。
【0020】
調光装置20は、たとえば、照明機器100から離隔して配置される分電盤等により実現される。調光装置20は、照明制御装置10から入力される調光信号に基づいて照明機器100の調光度を制御する。具体的には、調光装置20は、調光信号を電圧値に変換し、変換した電圧値の直流電圧を生成して配線30へ印加する。
【0021】
照明機器100は、配線30を介して供給される直流電圧を駆動源とする照明機器である。照明機器100は、たとえばLED光源を有するLED照明であり、配線30を介して供給される直流電圧を駆動源とし、供給された直流電力の電圧値に応じた調光度でLED光源を点灯させる。照明機器100は、たとえば舞台施設等に設置され、客席、廊下、誘導灯、エントランス等を照明する。
【0022】
<照明システムの具体的な構成例について>
次に、照明システム1の具体的な構成の一例について図2を参照して説明する。図2は、実施形態に係る照明システム1の具体的な構成の一例を示す図である。
【0023】
まず、照明制御装置10の構成例について説明する。図2に示すように、照明制御装置10は、通信部11と、表示部12と、制御部13と、操作部14とを備える。
【0024】
通信部11は、調光装置20との間における通信インタフェースである。たとえば、通信部11は、DMX端子等を含んで構成され、調光装置20に対してDMX信号を出力する。DMX信号は、DMX規格に準拠した信号であり、調光信号の一例である。なお、通信部11は、DMX信号に代えて、たとえば、DALI(Digital Addressable Lighting Interface)に準拠した信号を調光信号として出力してもよい。
【0025】
表示部12は、調光制御に関する各種の情報を表示するための表示装置であり、たとえば、液晶パネル等により実現される。たとえば、表示部12は、制御部13の制御により、照明機器100の調光度や、照明機器100とフェーダとの対応等を表示する。
【0026】
制御部13は、各種の情報処理を実行する演算装置であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を採用できる。たとえば、制御部13は、照明機器100の調光度を変更する操作が操作部14に対して行われた場合に、通信部11を介して、変更後の調光度を示す調光信号を調光装置20へ出力する。
【0027】
操作部14は、たとえば、フェーダ等を含んで構成され、調光度の変更等、照明機器100に対する制御を受付ける。
【0028】
つづいて、調光装置20の構成例について説明する。調光装置20は、変換部21と、印加部22と、制御部23と、記憶部24と、検出部25と、表示部26と、操作部27とを備える。
【0029】
変換部21は、照明制御装置10から入力された調光信号を電圧値に変換する。たとえば、変換部21は、DMX-PWM変換器と、PWM-DC変換器とを含んで構成される。DMX-PWM変換器は、照明制御装置10からDMX信号が入力された場合に、DMX信号が示す調光度に対応する波形のPWM信号を生成してPWM-DC変換器に出力する。PWM-DC変換器は、DMX-PWM変換器からPWM信号が入力された場合に、PWM信号が示す調光度で照明機器100を点灯させるための直流電圧を配線30に印加するよう印加部22に指示する。たとえば、PWM-DC変換器は、PWM信号に対応する電圧値を示すDC信号を生成して印加部22に出力する。
【0030】
変換部21は、上記構成に限定されず、たとえば、照明制御装置10から入力されたDMX信号をDC信号に直接変換するDMX-DC変換器を含んで構成されてもよい。
【0031】
印加部22は、DC信号によって示される電圧値の直流電圧を生成して配線30に印加する。たとえば、印加部22は、整流回路、力率改善回路、平滑回路、電力変換回路等を含んで構成される。
【0032】
整流回路は、系統電源から供給される交流電圧を整流して、脈流の交流電圧に変換する。たとえば、整流回路は、全波整流回路であり、ダイオードブリッジにより構成される。力率改善回路は、整流回路から出力される脈流の交流電圧を直流電圧に変換して出力する回路であり、たとえば、昇圧電源回路、昇降圧電源回路、降圧電源回路等により実現される。このような力率改善回路は、入力される電流波形の歪を低減し、高調波を抑制することができる。平滑回路は、入力される電流の変動を吸収して、安定した直流電圧を後段の電力変換回路に供給する平滑回路であり、たとえば、電解コンデンサ等といった平滑コンデンサにより実現される。電力変換回路は、平滑回路を介して供給される直流電圧を、変換部21から入力されるDC信号によって示される電圧値の直流電圧に変換して配線30に印加する。
【0033】
制御部23は、各種の情報処理を実行する演算装置であり、たとえば、CPU、MPU等の電子回路や、ASIC、FPGA等の集積回路を採用できる。制御部23は、照明制御装置10から入力される調光信号に従って複数の照明機器100の調光を行う調光モードと、複数の照明機器100の接続状況を確認する状況確認モードとを有する。たとえば、制御部23は、調光装置20の電源投入時に状況確認モードに移行してもよい。状況確認モードに移行すると、制御部23は、複数の照明機器100の接続状況を確認する状況確認処理を実行する。状況確認処理の内容については後述する。なお、制御部23は、照明制御装置10からの指示に従って状況確認モードに移行してもよいし、調光装置20が備える操作部27への操作に従って状況確認モードに移行してもよい。
【0034】
記憶部24は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部24は、たとえば、配線30に接続される複数の照明機器100の個数と、照明機器100の1個あたりの消費電流とを記憶する。
【0035】
制御部23は、記憶部24に記憶された照明機器100の個数および1個あたりの消費電流の情報に基づき、後述する状況確認処理において用いられる基準値を決定する。たとえば、基準値は、電圧値であり、制御部23は、たとえば照明機器100を全光状態(100%の調光度で点灯させた状態)とした場合における1個あたりの消費電流に対し、照明機器100の個数と、検出部25の抵抗値として予め記憶された値とを乗じることにより基準値を決定する。制御部23は、決定した基準値を記憶部24に記憶させてもよい。
【0036】
制御部23は、たとえば、操作部27への入力操作に従って、記憶部24に記憶された照明機器100の個数および1個あたりの消費電流の情報を変更することができる。これにより、設置される照明機器100の個数や品種が異なる種々の施設において状況確認処理を適切に実施することができる。
【0037】
検出部25は、たとえば検出抵抗器であり、配線30に流れる電流を電圧として検出する。検出部25による検出結果(以下、「検出電圧」と記載する)は、制御部23に入力される。
【0038】
表示部26は、制御部23の制御により各種の情報を表示する。たとえば、表示部26は、表示部26は、制御部23の制御により、検出電圧と基準値との比較結果を表示する。
【0039】
操作部27は、たとえばテンキー等の物理ボタンまたはタッチパッド等により実現され、操作者の操作を受け付ける。
【0040】
つづいて、配線30の構成例について説明する。配線30は、調光装置20から照明機器100へと直流電力を伝達する配線である。たとえば、配線30は、照明システム1が設置された施設において、調光装置20から各照明機器100が設置されている設置位置まで延伸される電源線と、設置位置から調光装置20まで戻る電源線とにより実現される。なお、上述した検出部25は、たとえば、配線30のうち、設置位置から調光装置20まで戻る電源線に設けられる。
【0041】
つづいて、照明機器100の構成例について説明する。照明機器100は、受電部101と、測定部102と、制御部103と、光源部104とを備える。
【0042】
受電部101は、配線30を介して供給される直流電力を受電する。測定部102は、所定の時間間隔で受電部101が受電した直流電圧値を測定する。そして、制御部103は、測定部102によって測定された直流電圧値に応じた調光度で点灯するように光源部104を制御する。光源部104は、受電部101によって受電された電圧値に基づく直流電圧を用いて点灯するLED等の半導体発光素子である。
【0043】
<調光装置が備える制御部の構成例について>
検出部25によって検出される検出電圧の値は、配線30に接続されている照明機器100の個数によって変化する。このため、たとえば、断線などによって配線30に対して適切に接続されていない照明機器100や設置し忘れた照明機器100が存在する場合、検出部25によって検出される検出電圧が、想定される電圧値からずれることとなる。具体的には、検出部25によって検出される検出電圧の値は、想定値よりも低くなる。制御部23は、この現象を利用して、複数の照明機器100の接続状況を確認する状況確認処理を行う。
【0044】
かかる制御部23の構成の一例について図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る調光装置20が備える制御部23の構成の一例を示す図である。
【0045】
図3に示すように、制御部23は、比較部231と、判定部232と、出力部233とを備える。
【0046】
比較部231は、検出部25から入力された検出電圧を記憶部24に記憶された基準値と比較する。具体的には、比較部231は、検出電圧の基準値に対する割合を算出し、算出結果を判定部232および出力部233に出力する。
【0047】
判定部232は、複数の照明機器100の接続状況が正常か否かを判定する。具体的には、判定部232は、比較部231による算出結果、すなわち、検出電圧の基準値に対する割合が閾値を超えている場合、複数の照明機器100の接続状況が正常であると判定する。たとえば、判定部232は、検出電圧の値が基準値に対して9割を超えている場合には、複数の照明機器100の接続状況が正常であると判定し、判定結果を出力部233に出力する。一方、検出電圧の基準値に対する割合が閾値以下である場合、制御部23は、複数の照明機器100の接続状況が異常であると判定し、判定結果を出力部233に出力する。
【0048】
出力部233は、比較部231から入力された比較結果を表示部26に出力する。これにより、表示部26には、検出電圧と基準値との比較結果、すなわち、基準値に対する検出電圧の割合が表示される。その他、表示部26には、たとえば、検出電圧や基準値が表示されてもよい。操作者は、表示部26に表示された比較結果を見ることで、複数の照明機器100の接続状況、すなわち、どの程度の割合の照明機器100が配線30に対して正常に接続されているか(あるいは正常に接続されていないか)を容易に把握することができる。
【0049】
なお、出力部233は、比較部231から入力された比較結果を調光装置20の外部に出力してもよい。たとえば、出力部233は、比較結果を照明制御装置10に出力してもよい。
【0050】
また、出力部233は、判定部232から入力された判定結果が異常を示すものであった場合に、アラーム信号を出力する処理も行う。たとえば、出力部233は、アラーム信号としての表示制御信号を表示部26に出力することで、複数の照明機器100の接続状況が異常であることを表示部26に対して表示させる。なお、アラーム信号としての表示制御信号は、照明制御装置10の表示部12に出力されてもよい。また、出力部233は、アラーム信号としての駆動制御信号を調光装置20が備える図示しない表示灯やスピーカ等に出力することにより、表示灯を点灯させたり、スピーカからアラーム音を出力させたりしてもよい。このように、アラーム信号を出力することで、操作者は、複数の照明機器100の接続状況に異常があることを容易に把握することができる。
【0051】
<状況確認処理の流れの一例>
次に、調光装置20が実行する状況確認処理の手順の一例について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る調光装置20が実行する状況確認処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図4に示すように、調光装置20は、状況確認モードへ移行するか否かを判定する(ステップS101)。たとえば、調光装置20は、調光装置20の電源が投入された場合に、状況確認モードに移行してもよい。また、制御部23は、照明制御装置10の操作部14または調光装置20の操作部27からの指示に従って状況確認モードに移行してもよい。
【0053】
状況確認モードに移行すると(ステップS101,Yes)、調光装置20は、まず、複数の照明機器100を全光状態とする(ステップS102)。具体的には、調光装置20は、複数の照明機器100を100%の調光度で点灯させるのに必要な電圧値として予め決められた電圧値の直流電圧を生成して配線30に印加する。これにより、複数の照明機器100が全光状態となるため、操作者は、複数の照明機器100の接続状況を目視にて容易に確認することができる。また、予め決められた電圧値の直流電圧を印加することで、検出電圧と基準値との比較を適切に行うことができる。
【0054】
つづいて、調光装置20は、検出部25から入力された検出電圧を取得し(ステップS103)、取得した検出電圧を記憶部24に記憶された基準値と比較する(ステップS104)。具体的には、調光装置20は、検出電圧の基準値に対する割合を算出する。
【0055】
つづいて、調光装置20は、複数の照明機器100の接続状況が正常であるか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、調光装置20は、検出電圧の基準値に対する割合が閾値を超えているか否かを判定し、閾値を超えている場合に、複数の照明機器100の接続状況が正常であると判定する。一方、調光装置20は、検出電圧の基準値に対する割合が閾値以下である場合、複数の照明機器100の接続に異常があると判定する。
【0056】
複数の照明機器100の接続状況が正常であると判定した場合(ステップS105,Yes)、調光装置20は、ステップS104の比較結果を表示部26等に出力し(ステップS106)、状況確認処理を終了する。状況確認処理を終了すると、調光装置20は、状況確認モードから通常の調光モードへ移行する。
【0057】
一方、複数の照明機器100の接続状況に異常があると判定した場合(ステップS105,No)、調光装置20は、アラーム信号を出力し(ステップS107)、比較結果を出力して(ステップS108)、状況確認処理を終了する。状況確認処理を終了すると、調光装置20は、状況確認モードから通常の調光モードへ移行する。
【0058】
上述してきたように、実施形態に係る調光装置20では、検出部25が、配線30に流れる電流を検出し、比較部231が、検出部25によって検出された電流に基づく検出値を基準値と比較し、出力部233が、比較部231による比較結果を出力することとした。これにより、操作者は、比較結果を確認することで、複数の照明機器100の接続状況、すなわち、どの程度の割合の照明機器100が配線30に対して正常に接続されているかを容易に把握することができる。したがって、実施形態に係る調光装置20によれば、複数の照明機器の接続状況の確認を容易化することができる。
【0059】
<変形例>
上述した実施形態では、比較部231における比較対象が「電圧値」である場合の例について説明したが、比較部231における比較対象は、必ずしも「電圧値」であることを要さず、たとえば「電流値」等であってもよい。比較対象が「電流値」である場合、検出部25は、配線30を流れる電流の値を出力すればよく、記憶部24は、1個あたりの消費電流に対して照明機器100の個数を乗じた値を基準値として記憶すればよい。
【0060】
その他、比較部231における比較対象は「電力値」であってもよい。このように、比較部231は、検出部25によって検出された電流に基づく検出値を基準値と比較する構成であればよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、状況確認処理において、複数の照明機器100を全光状態とすることとしたが、調光装置20は、必ずしも複数の照明機器100を全光状態とすることを要しない。すなわち、調光装置20は、状況確認処理において、予め決められた電圧値の直流電流を配線30に印加すればよく、必ずしも、複数の照明機器100を100%の調光度で点灯させるのに必要な電圧値の直流電流を配線30に印加することを要しない。
【0062】
また、上述した実施形態では、比較部231の比較結果を表示部26等に出力することとしたが、出力部233は、比較結果に加えて、たとえば、配線30に正常に接続されている照明機器100の個数の情報を出力してもよい。配線30に正常に接続されている照明機器100の個数は、たとえば、比較部231の比較結果(すなわち、検出電圧の基準値に対する割合)に対し、記憶部24に記憶されている複数の照明機器100の個数(すなわち、照明機器100の設置予定個数)を乗じることにより得ることができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 照明システム
10 照明制御装置
11 通信部
12 表示部
13 制御部
14 操作部
20 調光装置
21 変換部
22 印加部
23 制御部
24 記憶部
25 検出部
26 表示部
30 配線
100,100a~100c 照明機器
101 受電部
102 測定部
103 制御部
104 光源部
231 比較部
232 判定部
233 出力部
図1
図2
図3
図4