IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライオン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20221109BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20221109BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/37
A61Q11/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018186447
(22)【出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2020055765
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 佐和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 妥治
(72)【発明者】
【氏名】宮越 美妃
(72)【発明者】
【氏名】岡田 裕希
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067587(JP,A)
【文献】米国特許第06365215(US,B1)
【文献】特表2009-519003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0207993(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
A23L27/00
A23L29/00
A61K9/00
A61K47/00
CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム及びアラントインジヒドロキシアルミニウムから選ばれる1種以上のアラントイン又はその誘導体と、
(B)混合質量比(モノメンチルグルタレート:ジメンチルグルタレート)が、1:1~9:1である、モノメンチルグルタレートとジメンチルグルタレートとの混合物
を、(A)成分をアラントインとして0.005~0.5質量%、(B)成分を0.00001~2質量%含有する口腔用組成物。
【請求項2】
(A)成分のアラントインとしての含有量と(B)成分の含有量との比率を示す(A)/(B)が、質量比として0.5~10,000である請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】
混合質量比(モノメンチルグルタレート:ジメンチルグルタレート)が、3:2~3:1である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
【請求項4】
更に、(C)エタノールを2~20質量%含有する請求項1~のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項5】
液体である請求項1~のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯茎に不快な刺激を与えることなく、収斂性化合物による歯茎の引き締め効果が向上した口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔疾患等によって衰えてきた歯茎に対し、歯茎への改善効果を実感させるには、歯茎への刺激を想起させる痛感、痺れ感ではなく、適度な引き締め感やハリ感を付与することが望ましい。
収斂性化合物は、口腔用組成物へ配合することにより歯茎の引締め感を発現させる。従来、収斂性化合物としては、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の複合リン酸塩や、塩化ナトリウム、アラントインやその誘導体が知られている(特許文献1、2;特開昭61-155315号公報、特開平11-21219号公報)。しかし、複合リン酸塩は、高濃度で使用すると粘膜剥離のおそれがあり、低濃度では歯茎への実感よりも歯のキシキシ感を強く感じることから歯茎への作用感に乏しい。また、塩化ナトリウムは、引締め感を発現する配合量では塩味が強く使用感を損なうという問題があり、特に液体口腔用組成物では練歯磨と比較して使用感が酷く損なわれる。
一方、アラントインやその誘導体は、主に歯茎への引締め感を発揮する化合物として口腔用組成物に配合可能な成分として知られており、液体口腔用組成物にも応用されているが、界面活性剤等の配合成分や製剤pHの影響を受け易く、増量すると味の低下を招くこともあり、歯茎の引き締め効果に関しては改善の余地があった。
【0003】
ところで、歯茎の引き締め効果を増強する成分としては、辛味成分であるカプサイシンや、冷涼剤のコハク酸モノメンチルが知られているが、これら成分の添加は、歯茎の引き締め感に不随して歯茎へのビリビリするような不快な刺激感を招くことにも繋がり、僅かな刺激に敏感な歯肉炎等の歯茎症状有訴者が求める歯茎をいたわる感覚に欠けるおそれもあるという問題があった。
【0004】
特許文献3(特許第5470837号公報)は、イソプロピルメチルフェノール、アラントイン又はその誘導体と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、特定の酸及びアルカリ剤、及びスピラントール、カプサイシン等を液体口腔用組成物に配合すると、アラントインの安定性及び歯茎の引き締め効果に優れ、異味もないことを提案している。特許文献4(特開2016-222582号公報)は、特定の分岐鎖状構造を有する脂肪酸又はエステルと特定香料を配合した口腔用組成物が、水溶性有効成分の口腔内滞留・吸収性に優れ、さっぱりした使用感を有し、水溶性有効成分としてアラントイン又はその誘導体が配合されることを開示している。また、特許文献5(特許第5251350号公報)は、塩化ナトリウムとコハク酸モノメンチル、メントール等を含有し、清涼感と薬効感(歯茎のひきしめ感、適度な刺激性)の付与効果に優れる歯磨組成物を提案している。各種の冷感剤等を応用した口腔用組成物は、特許文献6~9(特表2016-516429号公報、特表2009-504651号公報、特開2013-14521号公報、特開2013-189623号公報)にも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭61-155315号公報
【文献】特開平11-21219号公報
【文献】特許第5470837号公報
【文献】特開2016-222582号公報
【文献】特許第5251350号公報
【文献】特表2016-516429号公報
【文献】特表2009-504651号公報
【文献】特開2013-14521号公報
【文献】特開2013-189623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、歯茎に不快な刺激を与えることなく、収斂性化合物による歯茎の引き締め効果が向上した口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、収斂性化合物として(A)アラントイン又はその誘導体を配合した口腔用組成物に(B)メンチルグルタレートを添加すると、歯茎への不快な刺激を抑えた上で、(A)成分による歯茎の引き締め効果を高めることができることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
本発明によれば、(A)及び(B)成分を併用すると、両者が相互作用することで、歯茎への刺激が適度に抑えられてビリビリするような不快な刺激を与えることなく、歯茎の引き締め効果が増強し、これにより、液体口腔用組成物であっても、歯茎への不快な刺激を抑えて高い引き締め感を効果的に付与できる。
この場合、収斂性化合物のアラントイン又はその誘導体に、歯茎の引き締め効果を高めるために辛味成分のカプサイシンや冷涼剤のコハク酸モノメンチルを併用すると、引き締め感は改善するが、不快な刺激感が強く発現し、使用に適さなくなった。一方で、冷涼剤、清涼感付与剤として知られているメンチルグルタレートは、単独使用では不快な刺激を与えないが、歯茎の引き締め効果がほとんど認められず、また、収斂性化合物のピロリン酸ナトリウム等の複合リン酸塩や塩化ナトリウムに併用しても、歯茎の引き締め効果は改善せず、むしろ不快な刺激が発現した。しかし、本発明においては、(A)成分に(B)成分を併用すると、意外にも、両者が特異的に作用し、上記のような不快な刺激感を発現させることなく刺激を抑えた上で、(A)成分による歯茎の引き締め効果を高めることができ、格別な作用効果を奏した。
また、特に液体口腔用組成物にエタノールを添加すると、さっぱり感を高めることができる一方で、刺激が強くなる傾向にあるが、本発明では、(A)及び(B)成分を併用し、更にエタノールが添加されていても不快な刺激が抑えられ、歯茎の引き締め効果がより向上し、優れた作用効果を付与できた。
これにより、本発明では、僅かな刺激に敏感な歯茎に炎症等がある歯周疾患罹患者に対しても、歯茎で不快な刺激を感じることなく引き締め感を効果的かつ満足に与えることができる。
後述の比較例に示すように、本発明の作用効果は(A)又は(B)成分を欠くと劣るものであった。(B)成分だけが配合された比較例1は、歯茎の引き締め感が認められず(×)、刺激感のなさが良好であり(◎)、(A)成分だけが配合された比較例2は、歯茎の引き締め感が低く(△)、刺激のなさが十分でなかった(△)。そして、塩化ナトリウム又はピロリン酸ナトリウムと(B)成分とが配合されていても、(A)成分が配合されていない比較例3、4は、歯茎の引き締め感が低く(△)、刺激のなさが悪かった(△)。また、(A)成分とコハク酸モノメンチル又はカプサイシンとが配合されていても、(B)成分が配合されていない比較例5、6では、歯茎の引き締め感は高まった(○)ものの刺激感のなさが悪化した(×)。これに対して、実施例に示すように(A)及び(B)成分を配合した液体口腔用組成物は、歯茎の引き締め感が優れ(○又は◎)、被験者の歯茎症状有訴者が不快な刺激を感じることがほとんどなく、刺激感のなさも優れた(○又は◎)ものであった。
【0009】
従って、本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム及びアラントインジヒドロキシアルミニウムから選ばれる1種以上のアラントイン又はその誘導体と、
(B)メンチルグルタレートと
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(A)成分のアラントインとしての含有量と(B)成分の含有量との比率を示す(A)/(B)が、質量比として0.5~10,000である〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕
(A)成分をアラントインとして0.005~0.5質量%、(B)成分を0.00001~2質量%含有する〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕
(B)メンチルグルタレートが、モノメンチルグルタレートとジメンチルグルタレートとの混合物である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕
モノメンチルグルタレートとジメンチルグルタレートとの混合割合が、質量比として1:9~9:1である〔4〕に記載の口腔用組成物。
〔6〕
更に、(C)エタノールを2~20質量%含有する〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
液体である〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、歯茎に不快な刺激を与えることなく、収斂化合物である(A)成分による引き締め感の付与効果が向上した口腔用組成物を提供できる。この口腔用組成物は、更にエタノールが添加されていても不快な刺激を与えることなく高い引き締め感を付与でき、また、歯周疾患に罹患して歯茎が衰え、僅かな刺激に敏感な状態でも、いたわる感覚のもとで歯茎の引き締め感を効果的に与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、(A)アラントイン又はその誘導体、及び(B)メンチルグルタレートを含有する。
【0012】
(A)アラントイン又はその誘導体は、歯茎の引き締め作用、抗炎症作用を有する。(A)成分としては、アラントインや、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム等のアラントイン誘導体が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
(A)成分の配合量は、特に限定されないが、アラントインとして組成物全体の0.005~0.5%(質量%、以下同様。)が好ましく、より好ましくは0.01~0.5%である。配合量が0.005%以上であると、歯茎の引き締め効果が十分に得られる。0.5%以下であると、(A)成分自体の苦味等の異味が十分に抑えられて使用感を維持できる。なお、洗口液等の液体口腔用組成物においては、(A)成分の配合量が組成物全体の0.1%以下であると、苦味等の異味が十分に抑えられ、特に好ましい。
【0014】
(B)メンチルグルタレートは、冷却剤、清涼感付与剤として知られているが、本発明においては、(A)成分と併用することで、歯茎の引き締め効果を増強する作用を奏し、不快な刺激感を抑制することもできる。
メンチルグルタレートは、例えばモノメンチルグルタレート、ジメンチルグルタレートが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、モノメンチルグルタレートとジメンチルグルタレートとの混合物を使用することが、より好ましい。
【0015】
ここで、モノメンチルグルタレートとジメンチルグルタレートとを混合する場合、両者の混合割合(モノメンチルグルタレート:ジメンチルグルタレートの量比)は、質量比として1:9~9:1が好ましく、より好ましくは1:1~9:1、更に好ましくは3:2~3:1である。混合割合が上記範囲内であると、十分な歯茎の引き締め感を付与することができ、実効感が優れ、また、刺激感を十分に抑制できる。
【0016】
(B)メンチルグルタレートの配合量は、組成物全体の0.00001~2%が好ましく、より好ましくは0.0001~1%である。0.00001%以上であると、歯茎の引き締め感の増強効果が十分に発揮される。2%以下であると、(B)成分由来の刺激が抑えられ不快な刺激感が十分に抑制される。特に洗口液等の液体口腔用組成物においては、(B)成分由来の刺激を抑える観点から、(B)成分の配合量が組成物全体の0.2%以下、特に0.1%以下であると更に好ましい。
【0017】
本発明において、(A)成分のアラントインとしての含有量と(B)成分の含有量との比率を示す(A)/(B)は、歯茎の引き締め効果と刺激感の抑制との両立の点から、質量比として0.5~10,000が好ましく、より好ましくは5~1,000である。上記範囲内であると、歯茎の引き締め感がより向上し、また、不快な刺激感が更に抑制される。0.5に満たないと歯茎の引き締め感が劣る場合があり、10,000を超えると、不快な刺激感が抑えられない場合がある。
【0018】
本発明の口腔用組成物には、更に、(C)エタノールを配合することが好ましい。本発明では、エタノールを配合すると、(A)及び(B)成分による歯茎の引き締め効果がより増強し、また、エタノールが配合されていても不快な刺激感が十分に抑制され、さっぱりとした使用感を与えることができる。
エタノールを配合する場合、その配合量は、組成物全体の2~20%、特に2~10%が好ましい。2%以上であると、歯茎の引き締め効果が十分に高まり、20%以下であると、(C)成分由来の刺激が十分に抑えられる。
なお、香料組成中にエタノールを含む場合は、前記エタノールも含めたエタノールの総配合量が、上記範囲内であると好ましい。
【0019】
本発明の口腔用組成物は、液体、ペースト状、ゲル状等の形態にでき、剤型としては、例えば洗口剤、マウスウォッシュや、練歯磨、液体歯磨等の歯磨剤が挙げられ、剤型に応じた常法を採用して調製できる。特に、歯磨剤又は洗口剤が好ましく、中でも液体の形態が好ましく、洗口剤がより好ましい。この場合、組成物の目的、剤型等に応じて上述した成分以外にも適宜なその他の任意成分を配合することができる。例えば、歯磨剤では、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、着色剤、(B)成分以外の香料、(A)成分以外の有効成分等が挙げられ、各成分と水を混合して調製できる。洗口剤では、湿潤剤、増粘剤、界面活性剤、水等の溶剤、甘味剤、防腐剤、着色料、pH調整剤、(B)成分以外の香料、(A)成分以外の有効成分等が挙げられ、これら成分を混合して調製することができる。
【0020】
研磨剤は、沈降性シリカ、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、チタン結合性シリカ等のシリカ系研磨剤;第2リン酸カルシウム・2水和塩又は無水和物、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のリン酸カルシウム系研磨剤;炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム系研磨剤や、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、ハイドロキシアパタイトが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合できる。これらの中で、特に上記ケイ酸塩を主成分とするシリカ系研磨剤が好ましい。これら研磨剤の配合量は、組成物全体の8~70%が好ましい。なお、洗口剤等の液体口腔用組成物には、研磨剤は通常、配合されない。
【0021】
湿潤剤は、グリセリン、プロピレングリコール、平均分子量160~400(医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量)のポリエチレングリコール等の多価アルコール、ソルビット、キシリット等の糖アルコールが挙げられる。粘稠剤の配合量は、組成物全体の5~50%、特に20~45%が好ましい。なお、洗口剤等の液体口腔用組成物では、湿潤剤の配合量は、通常、組成物全体の5~50%である。
【0022】
粘結剤は、有機粘結剤、無機粘結剤を使用し得る。例えば、有機粘結剤は、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。無機粘結剤は、増粘性シリカ、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で使用できる。粘結剤の配合量は、組成物全体の1.4~10%、特に1.4~8%が好ましい。
なお、洗口剤等の液体口腔用組成物では、増粘剤として上記物質が使用され、その配合量は、通常、組成物全体の0~1%、特に0~0.5%である。
【0023】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
具体的にアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシルタウリン塩、アシルアミノ酸塩が挙げられる。ノニオン性界面活性剤は、ショ糖脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミドが挙げられ、特にエチレンオキサイドの平均付加モル数が40~100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。両性界面活性剤は、アルキルベタイン型、ベタイン型、イミダゾリン型等が挙げられる。
界面活性剤の配合量は、組成物全体の0~10%、特に0.001~5%がよい。
【0024】
甘味剤は、サッカリンナトリウム等が挙げられる。
防腐剤は、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
着色剤として、青色1号、緑色3号、黄色4号、赤色105号等の安全性の高い水溶性色素を添加できる。
【0025】
香料は、一般的な口腔用香料成分を使用できる。例えば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及びメントール、カルボン、アネトール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更にはストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料といった、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を使用でき、実施例の香料に限定されない。
上記の香料素材は、成分により異なるが、組成物全体の0.000001~1%の範囲で使用するのが好ましい。上記香料素材を使用した賦香用香料は、組成物中に0.001~2%配合するのが好ましい。
【0026】
pH調整剤は、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸やこれらの塩、リン酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。
なお、組成物のpH(25℃)は特に限定されないが、pH4~6.5が好ましく、pH4~6.2がより好ましい。
【0027】
任意の有効成分は、例えばデキストラナーゼ等の酵素、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸や、各種ビタミン等の細胞賦活剤、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤、ゼオライト等の歯石予防剤、フッ化ナトリウム等のフッ素含有化合物が挙げられる。なお、これらの配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量である。
【0028】
本発明の口腔用組成物は、水系であることが好ましく、上記各種成分の合計含有量の残部(バランス)を水とすることができる。
【実施例
【0029】
以下、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0030】
[実施例、比較例]
表1に示すメンチルグルタレート1~5を使用し、表2~4に示す組成の口腔用組成物(洗口剤)を常法によって調製し、これらをサンプルとして用いて下記方法で評価した。結果を表2~4に併記した。なお、(A)成分量は、アラントインとしての配合量である。
【0031】
【表1】
【0032】
歯茎の引き締め感の評価方法
被験者(歯茎症状有訴者)10名が、サンプル20mLを口に含み、20秒間すすいで洗口した。使用直後の歯茎の引き締め感を下記の4段階の評点基準で評価した。10名の平均点を算出し、下記の評価基準で判定した。
評点基準
4点:歯茎の引き締め感が非常にある
3点:歯茎の引き締め感がかなりある
2点:歯茎の引き締め感がややある
1点:歯茎の引き締め感があまりない
評価基準
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0033】
刺激感の評価方法
被験者(歯茎症状有訴者)10名が、サンプル20mLを口に含み、20秒間すすいで洗口し、使用中の刺激(不快な刺激感)のなさを下記の4段階の評点基準で評価した。10名の平均点を算出し、下記の評価基準で判定した。
評点基準
4点:刺激を全く感じない
3点:刺激をわずかに感じる
2点:刺激をやや感じる
1点:刺激を非常に感じる
評価基準
◎:平均点3.5点以上
○:平均点3.0点以上3.5点未満
△:平均点2.0点以上3.0点未満
×:平均点2.0点未満
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
使用した香料組成物の詳細は表5~12に示す通りであり、これら香料組成物中に(B)成分は含まれない。
また、香料組成物Aの代わりに香料組成物B、C、D、E又はFを使用する以外は、上記実施例と同組成の口腔用組成物を同様に調製し、評価したところ、それぞれ上記実施例と同様の結果が得られた。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
*;表中の部は、質量部である(以下同様)。
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】
【表10】
【0044】
【表11】
【0045】
【表12】
【0046】
下記に処方例を示す。上記と同様の原料を使用し、同様にして処方例の口腔用組成物を調製し、評価したところ、歯茎の引き締め感に優れ、また、不快な刺激感のない良い使用感であった。
【0047】
[処方例1]練歯磨
(A)アラントイン 0.1
(B)メンチルグルタレート1 0.01
無水ケイ酸 20
グリセリン 35
キサンタンガム 0.6
カラギーナン 0.2
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
サッカリンナトリウム 0.1
香料組成物A 1
精製水 バランス
合計 100%
(A)/(B)=10
【0048】
[処方例2]練歯磨
(A)アラントイン 0.5
(B)メンチルグルタレート1 2
無水ケイ酸 20
グリセリン 35
キサンタンガム 0.6
カラギーナン 0.2
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
サッカリンナトリウム 0.1
香料組成物A 1
精製水 バランス
合計 100%
(A)/(B)=0.25
【0049】
[処方例3]洗口液
(A)アラントイン 0.03
(B)メンチルグルタレート1 0.0002
ラウロイルサルコシンナトリウム 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル 0.1
グリセリン 2.0
プロピレングリコール 4.0
ポリエチレングリコール400 5.0
クエン酸 0.05
クエン酸ナトリム 0.3
香料組成物A 0.5
精製水 バランス
合計 100%
(A)/(B)=150