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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】電子鍵盤楽器、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/053 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
G10H1/053 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018196018
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2020064189
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博毅
(72)【発明者】
【氏名】川島 肇
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-161658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鍵を有する鍵盤と、
押鍵に応じて出力させた楽音の振幅を離鍵に応じて減少させていく場合に、単位時間当たりの振幅の減少幅である減衰率を、離鍵後の第1期間では時間とともに増加させ、前記第1期間後の第2期間では時間とともに減少させるように制御する制御部と、
を備える電子鍵盤楽器。
【請求項2】
前記制御部は、前記減衰率を、前記第1期間では時間経過に従って第1減衰率から前記第1減衰率よりも減衰率が大きい第2減衰率へと変化させ、前記第1期間後の第2期間では時間経過に従って第3減衰率から前記第3減衰率よりも減衰率が小さい第4減衰率へと変化させる、
請求項1に記載の電子鍵盤楽器。
【請求項3】
前記制御部は、楽音の振幅が或るレベルより大きい場合は前記減衰率を時間とともに増加させ、楽音の振幅が或るレベルより小さい場合は前記減衰率を時間とともに減少させる、
請求項1または2に記載の電子鍵盤楽器。
【請求項4】
前記制御部は、離鍵速度が速いほど離鍵後の前記減衰率が大きくなるように制御する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子鍵盤楽器。
【請求項5】
複数の鍵を有する鍵盤と、
楽音データと、前記楽音データに基づいて発音されている音を離鍵後の時間経過に応じて消音化を含む弱音化させるための減衰カーブの特性を示すデータと、を記憶しているメモリーと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
離鍵の検出により、前記楽音データに基づいて発音されている音に対する消音化を含む弱音化指示を受け付ける弱音化指示受信処理と、
前記弱音化指示受信処理により受け付けられた前記弱音化指示に応じて、出力される前記楽音データの第1振幅を取得する振幅取得処理と、
前記メモリーに記憶されている前記減衰カーブの特性を示すデータを参照することにより、前記振幅取得処理により取得された前記第1振幅に応じて決定される第2振幅で前記楽音データを出力することにより、前記楽音データに基づく音を発音させる発音処理と、
を実行し、
前記減衰カーブの特性は、第1タイミングから前記第1タイミング後の第2タイミングまでの第1減衰量が、前記第2タイミングから前記第2タイミング後の第3タイミングまでの第2減衰量より少ない第1特性と、前記第3タイミング後の第4タイミングから前記第4タイミング後の第5タイミングまでの第3減衰量が、前記第5タイミングから前記第5タイミング後の第6タイミングまでの第4減衰量より少なくない第2特性と、を有することにより、前記第1振幅が或るレベルより大きい場合に前記第1特性に応じて発音される楽音が減衰し、前記第1振幅が或るレベルより小さい場合に前記第2特性に応じて発音される楽音が減衰する、
電子鍵盤楽器。
【請求項6】
前記第1振幅と、離鍵に応じて検出される離鍵速度と、に基づいて前記第2振幅を決定する決定処理、を実行し、
前記発音処理は、前記決定処理により決定された前記第2振幅で前記楽音データを出力することにより、前記楽音データに基づく音を発音させる、請求項5に記載の電子鍵盤楽器。
【請求項7】
前記決定処理により決定される前記第2振幅は、前記離鍵速度が第1速度よりも速いときは、前記第1速度のときよりも小さい、請求項6に記載の電子鍵盤楽器。
【請求項8】
前記減衰カーブの特性は、或る音よりも低域の減衰カーブの特性と、前記或る音よりも高域の減衰カーブの特性と、で異なる、請求項5~請求項7のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
【請求項9】
前記減衰カーブの特性は、設定される音色毎に異なる、請求項5~請求項8のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
【請求項10】
複数の鍵を有する鍵盤と、
楽音データと、前記楽音データに基づいて発音されている音を離鍵後の時間経過に応じて消音化を含む弱音化させるための減衰カーブの特性を示すデータと、を記憶しているメモリーと、
を有する電子鍵盤楽器のコンピュータに、
離鍵の検出により、前記楽音データに基づいて発音されている音に対する消音化を含む弱音化指示を受け付ける弱音化指示受信処理と、
前記弱音化指示受信処理により受け付けられた前記弱音化指示に応じて、出力される前記楽音データの第1振幅を取得する振幅取得処理と、
前記メモリーに記憶されている前記減衰カーブの特性を示すデータを参照することにより、前記振幅取得処理により取得された前記第1振幅に応じて決定される第2振幅で前記楽音データを出力することにより、前記楽音データに基づく音を発音させる発音処理と、
を実行させ、
前記減衰カーブの特性は、第1タイミングから前記第1タイミング後の第2タイミングまでの第1減衰量が、前記第2タイミングから前記第2タイミング後の第3タイミングまでの第2減衰量より少ない第1特性と、前記第3タイミング後の第4タイミングから前記第4タイミング後の第5タイミングまでの第3減衰量が、前記第5タイミングから前記第5タイミング後の第6タイミングまでの第4減衰量より少なくない第2特性と、を有することにより、前記第1振幅が或るレベルより大きい場合に前記第1特性に応じて発音される楽音が減衰し、前記第1振幅が或るレベルより小さい場合に前記第2特性に応じて発音される楽音が減衰するように実行させる方法。
【請求項11】
複数の鍵を有する鍵盤と、
楽音データと、前記楽音データに基づいて発音されている音を離鍵後の時間経過に応じて消音化を含む弱音化させるための減衰カーブの特性を示すデータと、を記憶しているメモリーと、
を有する電子鍵盤楽器のコンピュータに、
離鍵の検出により、前記楽音データに基づいて発音されている音に対する消音化を含む弱音化指示を受け付ける弱音化指示受信処理と、
前記弱音化指示受信処理により受け付けられた前記弱音化指示に応じて、出力される前記楽音データの第1振幅を取得する振幅取得処理と、
前記メモリーに記憶されている前記減衰カーブの特性を示すデータを参照することにより、前記振幅取得処理により取得された前記第1振幅に応じて決定される第2振幅で前記楽音データを出力することにより、前記楽音データに基づく音を発音させる発音処理と、
を実行させ、
前記減衰カーブの特性は、第1タイミングから前記第1タイミング後の第2タイミングまでの第1減衰量が、前記第2タイミングから前記第2タイミング後の第3タイミングまでの第2減衰量より少ない第1特性と、前記第3タイミング後の第4タイミングから前記第4タイミング後の第5タイミングまでの第3減衰量が、前記第5タイミングから前記第5タイミング後の第6タイミングまでの第4減衰量より少なくない第2特性と、を有することにより、前記第1振幅が或るレベルより大きい場合に前記第1特性に応じて発音される楽音が減衰し、前記第1振幅が或るレベルより小さい場合に前記第2特性に応じて発音される楽音が減衰するように実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子鍵盤楽器、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アコースティックピアノにおける楽音の減衰の様子を、電子鍵盤楽器において再現する技術が各種開発されている。例えば特許文献1に記載された電子鍵盤楽器は、押鍵されてから予め設定された時間が経過するまでの間に離鍵された場合、スタッカート奏法が行われたと判断し、スタッカート奏法用の楽音の減衰の様子を再現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-198797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された電子鍵盤楽器は、押鍵されてから予め設定された時間が経過するまでの間に離鍵された場合、すなわち、スタッカート奏法が行われたと判断した場合、楽音の減衰が開始されるタイミングを単に遅らせるだけである。このため、アコースティックピアノの演奏時の鳴り方が適切に再現されないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アコースティックピアノの演奏時の鳴り方を再現する電子鍵盤楽器、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係る電子鍵盤楽器は、複数の鍵を有する鍵盤と、押鍵に応じて出力させた楽音の振幅を離鍵に応じて減少させていく場合に、単位時間当たりの振幅の減少幅である減衰率を、離鍵後の第1期間では時間とともに増加させ、前記第1期間後の第2期間では時間とともに減少させるように制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明によれば、アコースティックピアノの演奏時の鳴り方を再現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】アコースティックピアノにおける押鍵時のアクションについて説明するための図である。
図2】アコースティックピアノにおける離鍵時のアクションについて説明するための図である。
図3A】アコースティックピアノにおける離鍵後の振幅エンベロープの一例を示す図である。
図3B】アコースティックピアノにおける離鍵後の振幅エンベロープの特性の一例を示す図である
図4A】グランドピアノの場合の離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係の一例を示す図である。
図4B】アップライトピアノの場合の離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電子鍵盤楽器のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】電子鍵盤楽器の外観の一例を示す図である。
図7】音源LSIの概略構成を示すブロック図である。
図8】CPUの処理の手順を示すフローチャートである。
図9A】離鍵後の振幅エンベロープの特性の一例を示す図である。
図9B】離鍵速度が速い場合の離鍵後の振幅エンベロープの一例を示す図である。
図9C】離鍵速度が遅い場合の離鍵後の振幅エンベロープの一例を示す図である。
図10】押鍵時のベロシティと初期振幅との関係の一例を示す図である。
図11】押鍵後の振幅エンベロープの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照して、本発明の原理について説明した後、本発明の原理に基づく実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
【0010】
[発明の原理]
図1は、アコースティックピアノにおける押鍵時のアクションについて説明するための図である。図2は、アコースティックピアノにおける離鍵時のアクションについて説明するための図である。図3Aは、アコースティックピアノにおける離鍵後の振幅エンベロープの一例を示す図である。図3Bは、アコースティックピアノにおける離鍵後の振幅エンベロープの特性の一例を示す図である。
【0011】
アコースティックピアノ100では、図1に示すように、鍵110が押鍵されると、弦120からダンパー130が外れる。そして、ハンマー140が解放された弦120を打弦することによって、弦120が振動し、楽音が発音される。また、図2に示すように、鍵110が離鍵されると、弦120にダンパー130が接触することによって、弦120の振動における振幅がしだいに減衰し、楽音が消音される。
【0012】
しかし、弦120の振幅の大きさに応じて、ダンパー130が弦120に接触する時間や、ダンパー130が弦120に接触する面積等が変化するため、弦120の振幅は、常に一定の比率で減衰するわけではない。例えば、弦120の振幅が或る程度大きい間は、ダンパー130は弦120に弾かれて(跳ね上げられて)しまい、弦120に長時間接触できない。この間、弦120の振幅は、図3Aおよび図3Bに示すように緩やかに自然減衰する。
【0013】
その後、弦120の振幅が或る程度小さくなると、ダンパー130が弦120に弾かれなくなり、弦120に接触する時間が増加する。また、ダンパー130の接触面は、フェルトのような柔らかい素材からなり、弦120を包み込むように弦120に接触する。このため、弦120の振幅が小さくなると、ダンパー130が弦120に接触する面積も増加する。このように、弦120の振幅が或る程度小さくなった後は、ダンパー130が弦120に接触する時間および面積の両方が増加するため、弦120の振幅は、図3Aおよび図3Bに示すように加速的に減衰する。すなわち、弦120の振幅は、直線的に減衰したり、指数カーブに沿って減衰したりするのではなく、図3Aおよび図3Bに示すような減衰カーブに沿って減衰するという特徴を有する。
【0014】
より具体的には、弦120の振幅は、第1特性および第2特性を減衰特性として有する。図3Bに示すように、第1特性は、第1タイミングT1から第2タイミングT2までの第1減衰量A1が、第2タイミングT2から第3タイミングT3までの第2減衰量A2よりも少ないという特性である。なお、第2タイミングは第1タイミングの後のタイミング、第3タイミングは第2タイミングの後のタイミングである。本実施形態では、第1タイミングから第2タイミングまでの経過時間(T2-T1)と、第2タイミングから第3タイミングまでの経過時間(T3-T2)とは同じ時間であるものとして説明するが、(T2-T1)は(T3-T2)よりも長くてもよい。また、第1タイミングT1、第2タイミングT2、第3タイミングT3の各々のタイミングは、図3Bに例示するタイミングに限定されず、上述した第1特性を満たすようなタイミングであれば、任意のタイミングであってもよい。
【0015】
一方、第2特性は、第4タイミングT4から第5タイミングT5までの第3減衰量A3が、第5タイミングT5から第6タイミングT6までの第4減衰量A4よりも少なくない(A3>A4、または、A3=A4)という特性である。なお、第4タイミングは第3タイミングの後のタイミング、第5タイミングは第4タイミングの後のタイミング、第6タイミングは第5タイミングの後のタイミングである。本実施形態では、第4タイミングから第5タイミングまでの経過時間(T5-T4)と、第5タイミングから第6タイミングまでの経過時間(T6-T5)とは同じ時間であるものとして説明するが、(T5-T4)は(T6-T5)よりも短くてもよい。また、第4タイミングT4、第5タイミングT5、第6タイミングT6の各々のタイミングは、図3Bに例示するタイミングに限定されず、上述した第2特性を満たすようなタイミングであれば、任意のタイミングであってもよい。本実施形態では、(T2-T1)と、(T3-T2)と、(T5-T4)と、(T6-T5)とのいずれもが同じ時間であるものとして説明する。
【0016】
このため、図3Bに示すように、弦120の振幅レベルが或るレベルL1よりも大きい場合、弦120の振幅は、第1特性に応じて減衰することになる。一方、弦120の振幅レベルが或るレベルL1よりも小さい場合、弦120の振幅は、第2特性に応じて減衰することになる。
【0017】
以下では、上述したようなアコースティックピアノ100における弦120の振幅の減衰特性を、弦120の振幅の維持率の観点から、さらに説明する。
【0018】
図4Aは、グランドピアノの場合の離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係の一例を示す図である。図4Bは、アップライトピアノの場合の離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係の一例を示す図である。
【0019】
図4Aおよび図4Bにおいて、「振幅の維持率」は、或る時間(例えば1ms)の経過後における振幅の、元の振幅に対する維持率を意味するものとする。つまり、振幅の維持率および減衰率は、維持率が小さく(低く)なると、減衰率が大きく(高く)なるという相関関係にある。例えば、或る時間の経過後において、振幅が元の振幅を完全に維持する場合、振幅の維持率は1.000になるが、実際のピアノの弦振動は、ダンパーに接触していない場合でも、様々な物理的抵抗によって徐々に減衰するため、0.999など1に近い値となる。これは、或る時間の経過後の振幅が元の振幅に0.999を乗算した振幅に変化することを意味する。
【0020】
なお、図4Aおよび図4Bにおいて、「低音弦」は、低音域(低域)の弦として、例えば、最も低い音高から1オクターブ上の音高までの範囲におけるいずれかの音高の弦を示すものとする。また、「中音弦」は、中音域(中域)の弦として、例えば、中央付近の音高(例えばC3)の弦を示すものとする。さらに、「高音弦」は、高音域(高域)の弦として、例えば、ダンパーが備えられている音高のうち、最も高い音高から1オクターブ下の音高までの範囲におけるいずれかの音高の弦を示すものとする。ただし、低音弦、中音弦および高音弦は、これらの例に限定されない。
【0021】
図4Aおよび図4Bに示すように、グランドピアノおよびアップライトピアノのいずれの場合も、弦の振幅が大きいほど、振動エネルギーも大きくなり、振幅が減衰しにくくなるため、振幅の維持率が大きくなり、振幅は緩やかに減衰する。また、弦の音高が低いほど、弦の太さが太く、振動エネルギーが大きくなり、振幅が減衰しにくくなるため、振幅の維持率が全体的に大きくなる。また、低音域では特に、グランドピアノの弦の長さは、アップライトピアノの同じ音高の弦の長さよりも長く、グランドピアノの弦は、アップライトピアノの同じ音高の弦よりも大きい振動エネルギーを有する。このため、低音域では特に、グランドピアノの弦の振幅の維持率は、アップライトピアノの弦の振幅の維持率よりも大きくなり、グランドピアノの弦の振幅は、アップライトピアノの弦の振幅よりも緩やかに減衰する。
【0022】
本発明は、上述したようなアコースティックピアノ100における弦120の振幅の減衰特性を、電子鍵盤楽器において再現するものである。
【0023】
[発明の実施形態]
(構成)
図5は、本発明の一実施形態に係る電子鍵盤楽器のハードウェア構成を示すブロック図である。図6は、電子鍵盤楽器の外観の一例を示す図である。
【0024】
図5および図6に示すように、電子鍵盤楽器200は、CPU(Central Processing Unit)210、RAM(Random Access Memory)220、ROM(Read Only Memory)230、スイッチパネル240、LCD(液晶ディスプレイ)250、鍵盤260、音源LSI(大規模集積回路)270、D/Aコンバーター280およびアンプ290を備える。CPU210、RAM220、ROM230および音源LSI270の各々は、バス295に接続されている。また、スイッチパネル240、LCD250および鍵盤260の各々は、I/Oインターフェース245、LCDコントローラー255およびキースキャナー265の各々を介して、バス295に接続されている。
【0025】
プロセッサとしてのCPU210は、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理等を実行する。RAM220は、ワークエリアとして、一時的にプログラムやデータ等を記憶する。
【0026】
メモリーとしてのROM230は、プログラムエリアおよびデータエリアを備え、予め各種プログラムや各種データ等を記憶する。ROM230は、例えば波形メモリーとして機能し、グランドピアノやアップライトピアノ等のアコースティックピアノを含む、各楽器の楽音データ(楽音波形データ)を記憶する。
【0027】
また、本実施形態では、ROM230は、上述したようなアコースティックピアノにおける弦の振幅の減衰特性を再現するために、音色毎および音域毎に、図4Aおよび図4Bに示すような、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータを予め記憶する。より具体的には、ROM230は、楽音データに基づいて発音されている音を離鍵後の時間経過に応じて消音化を含む弱音化させるための、減衰カーブの特性を示す(減衰カーブの特性に関連する)データとして、図4Aおよび図4Bに示すようなデータを記憶する。すなわち、減衰カーブの特性は、図4Aおよび図4Bに示すような、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係によって特徴付けられる特性であるとも言える。
【0028】
ROM230は、例えば、グランドピアノやアップライトピアノ等のアコースティックピアノの種類に対応する音色毎、および、最も低い音高からダンパーが備えられている最も高い音高までの範囲に含まれる複数の音域毎に、当該データを記憶する。ROM230は、最も低い音高からダンパーが備えられている最も高い音高までの範囲における一部の音高に対応するデータを、当該音高を含む或る音域の代表データとして記憶する代わりに、全ての音高に対応するデータを記憶してもよい。また、ROM230は、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータとして、アコースティックピアノにおいて実験的に取得されたデータを記憶してもよいし、数値計算等の各種シミュレーションによって予測して取得されたデータを記憶してもよい。さらに、ROM230は、図4Aまたは図4Bに示すようなグラフの形態のデータを記憶してもよいし、テーブル等の他の形態のデータを記憶してもよい。
【0029】
なお、本実施形態では、ROM230は、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータを、電子鍵盤楽器200において検出される、離鍵時のベロシティ(離鍵速度)と関連付けて記憶するものとする。以下では、ROM230が、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータを、離鍵時のベロシティ値が64である場合におけるデータとして記憶した場合を例に挙げて説明する。すなわち、ROM230は、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータとして、離鍵時のベロシティ値が64である場合を想定して実験的に取得されたデータや、各種シミュレーションによって予測して取得されたデータを記憶してもよい。ただし、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータと関連付けられるベロシティ値は、上述した値に限定されない。
【0030】
スイッチパネル240は、複数のスイッチ241を操作子として備え、複数のスイッチ241の各々を押下する演奏者の操作を受け付ける。スイッチパネル240は、例えば、複数の楽器音の中のいずれかの楽器音を選択するための操作子として、複数のスイッチ241を備える。I/Oインターフェース245は、スイッチパネル240における複数のスイッチ241を監視し、複数のスイッチ241の各々の押下を検出すると、CPU210に通知する。
【0031】
LCD250は、各種情報を表示する。LCDコントローラー255は、LCD250を制御するIC(集積回路)である。
【0032】
鍵盤260は、複数の鍵261を備え、演奏者の押鍵操作および離鍵操作を受け付ける。複数の鍵261の各々は、例えば、板バネ等の一端を支点として動作し、押鍵または離鍵によって順次オンまたはオフする複数のスイッチ(接点)を下方に備えてもよい。
【0033】
キースキャナー265は、鍵盤260における複数の鍵261を監視し、複数の鍵261の各々の押鍵または離鍵を検出する。例えば、キースキャナー265は、押鍵を検出すると、押鍵された鍵261のキーナンバー(ノートナンバー)と、押鍵時のベロシティ(押鍵速度)とを検出して、CPU210に通知する。また、キースキャナー265は、離鍵を検出すると、離鍵された鍵261のキーナンバーと、離鍵時のベロシティ(離鍵速度)とを検出して、CPU210に通知する。キースキャナー265は、例えば、複数の鍵261の各々が備える少なくとも2つのスイッチのオンまたはオフが検出される時間差を測定することによって、押鍵時または離鍵時のベロシティを検出する。CPU210は、キースキャナー265による押鍵の検出により、楽音の発音指示(ノートオン指示)を受信すると、受信した発音指示に応じて、楽音を発音するための処理を実行する。また、CPU210は、キースキャナー265による離鍵の検出により、発音されている楽音に対する消音化を含む弱音化指示(例えばノートオフ指示)を受信すると、受信した弱音化指示に応じて、楽音を弱音化して消音化させるための処理を実行する。
【0034】
プロセッサとしての音源LSI270は、周知の波形メモリー読み出し方式を採用し、波形メモリーとして機能するROM230から、選択されている楽器音の波形データを読み出す。音源LSI270は、複数のチャンネルを有し、複数のチャンネルの各々において、異なる波形データを読み出し可能に構成される。音源LSI270は、読み出した波形データを加工して、D/Aコンバーター280に出力する。音源LSI270の詳細については、後述する。
【0035】
D/Aコンバーター280は、音源LSI270から出力されたデジタル波形データをアナログ波形信号に変換して、アンプ290に出力する。アンプ290は、D/Aコンバーター280から出力されたアナログ波形信号を増幅し、スピーカーまたは出力端子(いずれも図示せず)等に出力する。
【0036】
なお、電子鍵盤楽器200は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでもよいし、上述した構成要素のうちの一部を含まなくてもよい。
【0037】
続いて、音源LSI270について、詳細に説明する。図7は、音源LSIの概略構成を示すブロック図である。
【0038】
図7に示すように、音源LSI270は、波形発生器271、ピッチエンベロープジェネレータ272、フィルタ273、フィルタエンベロープジェネレータ274、アンプ275、アンプエンベロープジェネレータ276および振幅値検出部277として機能する。音源LSI270は、複数のチャンネルの各々において、各構成要素を機能させる。また、音源LSI270は、複数のチャンネルの各々におけるアンプ275からの各出力を調整して混合する、ミキサー278としても機能する。
【0039】
波形発生器271は、ピッチエンベロープジェネレータ272によって設定される、ピッチの時間変化を示すピッチエンベロープに応じて、ピッチを制御した波形を発生させる。より具体的には、波形発生器271は、ピッチエンベロープに対応する読み出し速度で、ROM230から波形データを読み出すことによって、ピッチを制御する。波形発生器271は、ROM230から波形データを繰り返し読み出すループ処理を実行することによって、持続音の波形を発生させてもよい。フィルタ273は、フィルタエンベロープジェネレータ274によって設定される、フィルタ(例えば、ローパスフィルタ)のカットオフ周波数の時間変化を示すフィルタエンベロープに応じて、波形に基づく音の音質を制御する。アンプ275は、アンプエンベロープジェネレータ276によって設定される、レベル(音量)の時間変化を示すアンプエンベロープに応じて、波形に基づく音のレベル、すなわち波形の振幅を制御する。
【0040】
各エンベロープジェネレータ272、274、276は、CPU210から供給されるパラメータに基づいて、各エンベロープを設定する。例えば、アンプエンベロープジェネレータ276は、CPU210から供給される目標振幅値、および目標振幅値に到達するためのレートに関するパラメータに基づいて、アンプエンベロープを設定する。アンプエンベロープに応じて、波形の振幅値が0(ゼロ)に到達した場合、アンプエンベロープジェネレータ276は停止され、波形発生器271による波形データの読み出しも停止される。
【0041】
振幅値検出部277は、整流回路やローパスフィルタ等からなり、アンプ275から出力される楽音データの振幅を示す振幅値を検出する。CPU210は、振幅値検出部277によって検出された楽音データの振幅値を、振幅値検出部277から取得する。なお、本実施形態では、「振幅値」は、振幅の実効値、ピーク値および平均値のいずれかを意味してもよいし、振幅の実効値に基づいて算出される振幅レベルを意味してもよい。
【0042】
(動作)
続いて、図8を参照して、CPU210が実行する処理の動作について詳細に説明する。
【0043】
図8は、CPUの処理の手順を示すフローチャートである。図8のフローチャートに示すアルゴリズムは、ROM230等にプログラムとして記憶されており、CPU210によって実行される。なお、CPU210は、図8に示す処理の前に、複数の鍵261のいずれかの押鍵の検出により、楽音を発音する処理を実行中であるものとする。
【0044】
図8に示すように、CPU210は、複数の鍵261のいずれかの離鍵の検出により、楽音データに基づいて発音されている楽音に対する消音化を含む弱音化指示を受信する(受け付ける)処理である、弱音化指示受信処理を実行したか否かを判断する(ステップS101)。
【0045】
楽音に対する弱音化指示を受信していない、すなわち、弱音化指示受信処理を実行していないと判断した場合(ステップS101:NO)、CPU210は、図8に示す処理を終了する。
【0046】
楽音に対する弱音化指示を受信した、すなわち、弱音化指示受信処理を実行したと判断した場合(ステップS101:YES)、CPU210は、ステップS102の処理に進む。そして、CPU210は、ステップS101における弱音化指示受信処理により受信された弱音化指示に応じて、アンプエンベロープをリリース状態に設定するように音源LSI270を制御する(ステップS102)。リリース状態では、或る時間(例えば1ms)毎に、アンプエンベロープに設定される目標振幅値およびレートが更新され得る。
【0047】
続いて、CPU210は、発音されている音色と、離鍵された鍵261のキーナンバーとに基づいて、ROM230に記憶されている離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータを参照するために取得する(ステップS103)。CPU210は、例えば、グランドピアノやアップライトピアノ等のアコースティックピアノの種類に対応する音色と、離鍵されたキーナンバーの音高を含む音域とに対応する、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータを取得する。なお、上述したように、ROM230に記憶されている当該データでは、低音域では特に、グランドピアノの弦の振幅の維持率は、アップライトピアノの弦の振幅の維持率よりも大きく設定されている。また、低音弦の振幅の維持率は、高音弦の振幅の維持率よりも大きく設定されている。
【0048】
なお、ROM230が、最も低い音高からダンパーが備えられている最も高い音高までの範囲における全ての音高に対応する当該データを記憶している場合、CPU210は、キーナンバーの音高に対応するデータを取得してもよい。また、ROM230が、一部の音高に対応する当該データを記憶している場合、CPU210は、ROM230に記憶されている一部の音高に対応する当該データに基づいて、キーナンバーの音高に対応するデータを予測して取得してもよい。例えば、CPU210は、上述したような低音弦および高音弦に関するデータに基づいて、低音弦および高音弦の間の音高の弦に対応するデータを補間して、取得してもよい。
【0049】
続いて、CPU210は、振幅値検出部277によって検出された、出力される楽音データの現在の振幅(第1振幅)を示す振幅値を取得する処理である、振幅値取得処理(振幅取得処理)を実行する(ステップS104)。CPU210は、ステップS104を最初に実行する際、振幅値検出部277によって検出された、離鍵時の楽音データの振幅値を取得することになる。そして、CPU210は、ステップS103において取得された離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータと、ステップS104における振幅値取得処理により取得された楽音データの振幅値とに応じて、楽音データの振幅の維持率を取得する(ステップS105)。
【0050】
ここで、楽音データの振幅の維持率は、ROM230に記憶されている弦の振幅の維持率と対応しており、或る時間(例えば1ms)の経過後における振幅の、元の振幅に対する維持率であるものとする。また、出力される楽音データの振幅は、弦の振幅と対応しているものとする。CPU210は、例えば、弦の最大および最小の振幅値を、楽音の最大および最小の振幅値に対応させ、その間の振幅値を補間することによって、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータにおける弦の振幅を、楽音データの振幅に正規化(変換)してもよい。そして、CPU210は、正規化された離鍵後の楽音データの振幅と振幅の維持率との関係を示すデータと、ステップS104において取得された楽音データの振幅値とに応じて、楽音データの振幅の維持率を取得してもよい。
【0051】
続いて、CPU210は、離鍵された鍵261の離鍵時のベロシティ値を確認し、当該ベロシティ値に基づいて、ステップS105において取得された振幅の維持率を補正(変更)して決定する(ステップS106)。なお、離鍵時のベロシティは、例えば上述したように、離鍵された鍵261が備える少なくとも2つのスイッチのオフが検出される時間差を測定することによって検出される。
【0052】
CPU210は、例えば、確認されたベロシティ値および以下の式に基づいて、振幅の維持率を補正する。
【0053】
【数1】
【0054】
ここで、d’は補正後の振幅の維持率、dはステップS105において取得された振幅の維持率、vはベロシティ値(0~127の値)である。この式は、取得される離鍵時のベロシティ値vに応じて、d’の値が変更されることを意味する。ここで、取得された離鍵時のベロシティ値が64である場合は、d’=dとなり、振幅の維持率は補正されない。CPU210は、ステップS105において取得された振幅の維持率を、実際に検出された離鍵時のベロシティ値に応じて補正する。これにより、取得された離鍵時のベロシティ値が大きいほど、すなわち離鍵速度が速いほど、振幅の維持率が小さく(振幅の減衰率が大きく)なるように調整される。すなわち、離鍵後の余韻が短くなるように調整されることになる。逆に、取得された離鍵時のベロシティ値が小さいほど、離鍵後の余韻が長くなるように調整されることになる。
【0055】
続いて、CPU210は、ステップS104において取得された楽音データの振幅値に、ステップS106において補正された振幅の維持率を乗算して、或る時間(例えば1ms)の経過後における目標振幅値を算出する(ステップS107)。すなわち、CPU210は、楽音データの現在の振幅値と、離鍵時のベロシティ値(に基づいて補正される振幅の維持率)とに基づいて、目標振幅値を算出するとも言える。さらに、CPU210は、楽音データの現在の振幅値から或る時間の経過後に目標振幅値に到達するために、アンプエンベロープに設定すべきレートを算出する(ステップS108)。
【0056】
続いて、CPU210は、ステップS107において算出した目標振幅値と、ステップS108において算出したレートとを、音源LSI270のアンプエンベロープジェネレータ276に設定する(ステップS109)。そして、CPU210は、楽音データの現在の振幅値に応じて算出された目標振幅値およびレートに基づいて、楽音データを出力する振幅(第2振幅)を示す振幅値を決定する処理である、決定処理を実行する(ステップS110)。さらに、CPU210は、ステップS110における決定処理により決定された振幅値で楽音データを出力することにより、楽音データに基づく楽音を発生させる処理である、発音処理を実行する(ステップS111)。CPU210は、振幅値が目標振幅値に到達するまで、ステップS110およびS111の処理を繰り返す。その後、CPU210は処理を終了する。
【0057】
以降、CPU210は、振幅値検出部277によって検出される楽音データの振幅値が0に到達するまで、当該振幅値が目標振幅値に到達する度に、図8のステップS104~S111の処理を繰り返す。楽音データの振幅値が或る目標振幅値から次の目標振幅値に到達するまでの時間は一定であるため、CPU210は、楽音データの振幅値が0に到達するまで、或る時間毎に、図8のステップS104~S111の処理を繰り返すことになる。すなわち、CPU210は、或る時間毎に、楽音データの振幅値に応じて振幅の維持率を取得し、振幅の維持率に従って音源LSI270に設定する目標振幅値およびレートを更新して、楽音データの振幅を減衰させる処理を繰り返すことになる。言い換えれば、CPU210は、或る時間毎に、振幅の維持率と相関関係がある振幅の減衰率に従って、音源LSI270に設定する目標振幅値およびレートを更新して、楽音データの振幅を減衰させる処理を繰り返すとも言える。
【0058】
(作用効果)
続いて、図9A図9Cを参照して、本実施形態に係る作用効果についてさらに説明する。電子鍵盤楽器200は、図8に示す処理を実行することによって、図9A図9Cに示すような楽音データの振幅の減衰特性を実現する。
【0059】
図9Aは、離鍵後の振幅エンベロープの特性の一例を示す図である。図9Bは、離鍵速度が速い場合の離鍵後の振幅エンベロープの一例を示す図である。図9Cは、離鍵速度が遅い場合の離鍵後の振幅エンベロープの一例を示す図である。図9A図9Cにおいて、振幅値(振幅レベル)の「1.0」は、出力可能な最大の振幅値を示している。
【0060】
電子鍵盤楽器200は、楽音データの振幅値に応じて振幅の維持率を決定することによって、直後に出力する振幅値を決定する。これにより、電子鍵盤楽器200は、図9Aに示すように、離鍵後の楽音データの振幅値が或る振幅値L1よりも大きい間は、振幅を緩やかに減衰させることができる。すなわち、電子鍵盤楽器200は、振幅値が或る振幅値L1(例えば0.8)よりも大きいときは、振幅値が或る振幅値L1のときよりも、決定処理により決定される直後の振幅値を大きく(すなわち、振幅の維持率を大きく、あるいは、減衰率を小さく)設定し、振幅を緩やかに減衰させることができる。一方、電子鍵盤楽器200は、振幅値が或る振幅値L1よりも小さくなった後は、振幅を速やかに減衰させることができる。また、電子鍵盤楽器200は、振幅値が最初から或る振幅値L1(例えば0.8)よりも小さいときは、例えば指数カーブ等に従って、振幅を速やかに減衰させることができる。
【0061】
より具体的には、楽音データの振幅は、上述したような弦120の振幅と同様に、第1特性および第2特性を減衰特性として有する。図9Aに示すように、第1特性は、第1タイミングT1から第2タイミングT2までの第1減衰量A1が、第2タイミングT2から第3タイミングT3までの第2減衰量A2よりも少ないという特性である。なお、第2タイミングは第1タイミングの後のタイミング、第3タイミングは第2タイミングの後のタイミングである。図9Aに示す例では、第1タイミングから第2タイミングまでの経過時間(T2-T1)と、第2タイミングから第3タイミングまでの経過時間(T3-T2)とは同じ時間であるが、(T2-T1)は(T3-T2)よりも長くてもよい。また、第1タイミングT1、第2タイミングT2、第3タイミングT3の各々のタイミングは、図9Aに例示するタイミングに限定されず、上述した第1特性を満たすようなタイミングであれば、任意のタイミングであってもよい。
【0062】
一方、第2特性は、第4タイミングT4から第5タイミングT5までの第3減衰量A3が、第5タイミングT5から第6タイミングT6までの第4減衰量A4よりも少なくない(A3>A4、または、A3=A4)という特性である。なお、第4タイミングは第3タイミングの後のタイミング、第5タイミングは第4タイミングの後のタイミング、第6タイミングは第5タイミングの後のタイミングである。図9Aに示す例では、第4タイミングから第5タイミングまでの経過時間(T5-T4)と、第5タイミングから第6タイミングまでの経過時間(T6-T5)とは同じ時間であるが、(T5-T4)は(T6-T5)よりも短くてもよい。また、第4タイミングT4、第5タイミングT5、第6タイミングT6の各々のタイミングは、図9Aに例示するタイミングに限定されず、上述した第2特性を満たすようなタイミングであれば、任意のタイミングであってもよい。
【0063】
このため、図9Aに示すように、楽音データの振幅値が或る振幅値L1よりも大きい場合、出力される楽音データの振幅、ひいては発音される楽音は、第1特性に応じて減衰することになる。一方、楽音データの振幅値が或る振幅値L1よりも小さい場合、出力される楽音データの振幅、ひいては発音される楽音は、第2特性に応じて減衰することになる。これにより、電子鍵盤楽器200は、上述したようなアコースティックピアノにおける弦の振幅の減衰特性を再現できる。
【0064】
また、電子鍵盤楽器200は、振幅の維持率を補正することによって、離鍵速度が或る速度(以下「第1速度」と称する)よりも速いときは、振幅を速やかに減衰させることができる。すなわち、電子鍵盤楽器200は、離鍵速度が第1速度よりも速いときは、離鍵速度が第1速度のときよりも、決定処理により決定される直後の振幅値を小さく(すなわち、振幅の維持率を全体的に小さく、あるいは、減衰率を全体的に大きく)設定し、振幅を速やかに減衰させることができる。なお、離鍵速度が第1速度よりも速いときは、離鍵時のベロシティ値が第1速度に対応する第1ベロシティ値(例えば64)よりも大きいときに相当する。これにより、電子鍵盤楽器200は、振幅の減衰特性に、離鍵速度の影響を反映させることができる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る電子鍵盤楽器200は、楽音の消音化を含む弱音化指示を受け付ける弱音化指示受信処理と、楽音データの現在の振幅(第1振幅)を示す振幅値を取得する振幅取得処理と、ROM230に記憶された減衰カーブの特性を示すデータを参照することにより、現在の振幅値に応じて決定される振幅(第2振幅)を示す振幅値で楽音データを出力し、楽音データに基づく楽音を発音させる発音処理と、を実行する。減衰カーブの特性は、第1タイミングから第2タイミングまでの第1減衰量が、第2タイミングから第3タイミングまでの第2減衰量より少ない第1特性と、第4タイミングから第5タイミングまでの第3減衰量が、第5タイミングから第6タイミングまでの第4減衰量より少なくない第2特性と、を有する。そして、現在の振幅値が或るレベルより大きい場合、第1特性に応じて発音される楽音が減衰し、現在の振幅値が或るレベルより小さい場合、第2特性に応じて発音される楽音が減衰する。これにより、電子鍵盤楽器200は、楽音の減衰を開始させるタイミングを遅らせたり、スタッカート奏法が行われたか否かに影響されたりすることなく、アコースティックピアノの演奏時の鳴り方を適切に再現できる。すなわち、電子鍵盤楽器200は、弦の振幅が大きいときは、ダンパーが弦に弾かれてしまい、弦の振幅が緩やかに自然減衰するという、アコースティックピアノにおける弦の振幅の減衰特性を再現できる。
【0066】
また、電子鍵盤楽器200では、現在の振幅値および離鍵速度に基づいて、出力する振幅値を決定する。これにより、電子鍵盤楽器200は、振幅の減衰特性に、離鍵速度の影響を反映させることができる。すなわち、電子鍵盤楽器200は、離鍵速度が速いときは振幅が速やかに減衰するという離鍵速度の影響を、振幅の減衰特性に反映させることができる。
【0067】
また、電子鍵盤楽器200では、或る音よりも低域の減衰カーブの特性と、或る音よりも高域の減衰カーブの特性とが異なるように設定される。これにより、電子鍵盤楽器200は、弦の太さが太いときは振幅が緩やかに減衰するという弦の太さの影響を、振幅の減衰特性に反映させることができる。
【0068】
また、電子鍵盤楽器200では、減衰カーブの特性は、音色毎に異なるように設定されている。これにより、電子鍵盤楽器200は、グランドピアノやアップライトピアノ等のアコースティックピアノの種類に対応する音色毎に異なる振幅の減衰特性を、正確に再現できる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲内において、種々の変更や改良等が可能である。
【0070】
例えば、上述した実施形態では、離鍵後の弦の振幅と振幅の維持率との関係を示すデータに基づいて、振幅の維持率が取得される場合を例に挙げて説明した。しかし、電子鍵盤楽器200は、離鍵後の弦の振幅と振幅の減衰率との関係を示すデータを予め記憶してもよく、当該データに基づいて振幅の減衰率を取得してもよい。そして、電子鍵盤楽器200は、振幅の維持率の代わりに、振幅の減衰率に基づいて、目標振幅値およびレートを算出してもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、ステップS105において、楽音データの振幅値に応じて振幅の維持率が取得される場合を例に挙げて説明したが、振幅の維持率は他の方法によって取得されてもよい。例えば、電子鍵盤楽器200は、振幅の維持率の時間変化を示す複数のデーブルやグラフ等を予め記憶してもよい。そして、電子鍵盤楽器200は、離鍵時の楽音データの振幅値に応じて、複数のテーブルやグラフ等から適切なものを選択し、以降は選択したテーブルやグラフ等が示す振幅の維持率の時間変化に従って、振幅の維持率を取得してもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、ステップS106において、振幅の維持率が式に基づいて補正される場合を例に挙げて説明したが、振幅の維持率は他の方法によって補正されてもよい。例えば、電子鍵盤楽器200は、離鍵時のベロシティと振幅の維持率の補正量との関係を示すテーブルやグラフ等を予め記憶してもよく、式の代わりにテーブルやグラフ等に基づいて、振幅の維持率を補正してもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、CPU210が図8に示す処理を実行する場合を例に挙げて説明したが、図8に示す処理の少なくとも一部は、音源LSI270によって実行されてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、ステップS104において、楽音データの振幅値が振幅値検出部277によって検出される場合を例に挙げて説明したが、当該振幅値は他の方法によって取得されてもよい。以下、図10および図11を参照して、楽音データの振幅値を取得するための他の方法を変形例として説明する。
【0075】
(変形例)
図10は、押鍵時のベロシティと初期振幅との関係の一例を示す図である。図11は、押鍵後の振幅エンベロープの一例を示す図である。
【0076】
変形例では、CPU210は、図10および図11に示すようなデータに基づいて、離鍵時の楽音データの振幅値を予測して取得する。より具体的には、CPU210は、ステップS104における振幅値取得処理として、振幅値検出部277によって検出される楽音データの振幅値を取得する代わりに、図10および図11に示すようなデータに基づいて、楽音データの振幅値を予測して取得する処理を実行する。このため、変形例では、ROM230は、音色毎および音域毎に、図10に示すような押鍵時のベロシティと初期振幅との関係を示すデータと、図11に示すような押鍵後の振幅エンベロープの設定データとを、予め記憶するものとする。また、CPU210は、振幅値検出部277によって検出された楽音データの振幅値を取得しないため、音源LSI270は、振幅値検出部277としての機能を備えなくてもよい。
【0077】
CPU210は、以下に示すような、楽音の初期振幅の予測値を取得する処理と、押鍵中の振幅の時間変化を確認する処理とを実行することによって、離鍵時の楽音データの振幅値を予測して取得する。
【0078】
まず、CPU210は、押鍵時のベロシティと、ROM230に記憶されている押鍵時のベロシティと初期振幅との関係を示すデータとに基づいて、楽音の初期振幅の予測値を取得する。一例では、図10に示すように、押鍵時のベロシティ値が64である場合、楽音の初期振幅の予測値として0.8が取得される。ただし、押鍵時のベロシティと初期振幅との関係を示すデータの内容は、図10に示す例に限定されない。なお、押鍵時のベロシティは、例えば上述したように、押鍵された鍵261が備える少なくとも2つのスイッチのオンが検出される時間差を測定することによって検出される。
【0079】
そして、CPU210は、押鍵されてから離鍵されるまでの経過時間と、ROM230に記憶されている押鍵後の振幅エンベロープの設定データとに基づいて、離鍵時の楽音データの振幅の予測値を取得する。すなわち、CPU210は、経過時間および当該データに基づいて、上述した楽音の初期振幅の押鍵中の時間変化を確認する。一例では、図11に示すように、経過時間がt時間である場合、離鍵時の楽音データの振幅の予測値として、楽音の初期振幅の予測値に、さらに0.5を乗算した値が取得される。ただし、押鍵後の振幅エンベロープの設定は、図11に示す例に限定されない。
【0080】
その後、CPU210は、上述した離鍵時の楽音データの振幅の予測値を、振幅値取得処理により取得された楽音データの振幅値として、ステップS105~109の処理を実行する。ただし、CPU210は、ステップS107において目標振幅値を算出する度に、当該目標振幅値をRAM220等に一時的に記憶する必要がある。
【0081】
以降、CPU210は、楽音データの振幅の予測値が目標振幅値に到達する度に、図8のステップS105~S111の処理を繰り返す。CPU210は、楽音データの振幅の予測値が目標振幅値に到達する度に、すなわち或る時間毎に、到達した目標振幅値を、新たな楽音データの振幅の予測値としてRAM220等から取得する。そして、CPU210は、新たな楽音データの振幅の予測値に応じて楽音データの振幅の維持率を取得し、振幅の維持率に従って音源LSI270に設定する目標振幅値およびレートを更新して、楽音データの振幅を減衰させる処理を繰り返す。これにより、CPU210は、例えば、音源LSI270が振幅値検出部277として機能できず、楽音データの振幅の実測値を取得できない場合でも、本実施形態に係る処理を実行でき、アコースティックピアノの演奏時の鳴り方を適切に再現できる。
【0082】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態において実行される機能は、可能な限り適宜組み合わせて実施してもよい。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合わせにより、種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。以下では、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明について、付記する。
【0083】
(付記)
[請求項1]
複数の鍵を有する鍵盤と、
楽音データと、前記楽音データに基づいて発音されている音を離鍵後の時間経過に応じて消音化を含む弱音化させるための減衰カーブの特性を示すデータと、を記憶しているメモリーと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
離鍵の検出により、前記楽音データに基づいて発音されている音に対する消音化を含む弱音化指示を受け付ける弱音化指示受信処理と、
前記弱音化指示受信処理により受け付けられた前記弱音化指示に応じて、出力される前記楽音データの第1振幅を取得する振幅取得処理と、
前記メモリーに記憶されている前記減衰カーブの特性を示すデータを参照することにより、前記振幅取得処理により取得された前記第1振幅に応じて決定される第2振幅で前記楽音データを出力することにより、前記楽音データに基づく音を発音させる発音処理と、
を実行し、
前記減衰カーブの特性は、第1タイミングから前記第1タイミング後の第2タイミングまでの第1減衰量が、前記第2タイミングから前記第2タイミング後の第3タイミングまでの第2減衰量より少ない第1特性と、前記第3タイミング後の第4タイミングから前記第4タイミング後の第5タイミングまでの第3減衰量が、前記第5タイミングから前記第5タイミング後の第6タイミングまでの第4減衰量より少なくない第2特性と、を有することにより、前記第1振幅が或るレベルより大きい場合に前記第1特性に応じて発音される楽音が減衰し、前記第1振幅が或るレベルより小さい場合に前記第2特性に応じて発音される楽音が減衰する、
電子鍵盤楽器。
【0084】
[請求項2]
前記第1振幅と、離鍵に応じて検出される離鍵速度と、に基づいて前記第2振幅を決定する決定処理、を実行し、
前記発音処理は、前記決定処理により決定された前記第2振幅で前記楽音データを出力することにより、前記楽音データに基づく音を発音させる、請求項1に記載の電子鍵盤楽器。
【0085】
[請求項3]
前記決定処理により決定される前記第2振幅は、前記離鍵速度が第1速度よりも速いときは、前記第1速度のときよりも小さい、請求項2に記載の電子鍵盤楽器。
【0086】
[請求項4]
前記減衰カーブの特性は、或る音よりも低域の減衰カーブの特性と、前記或る音よりも高域の減衰カーブの特性と、で異なる、請求項1~請求項3のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
【0087】
[請求項5]
前記減衰カーブの特性は、設定される音色毎に異なる、請求項1~請求項4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
【0088】
[請求項6]
複数の鍵を有する鍵盤と、
楽音データと、前記楽音データに基づいて発音されている音を離鍵後の時間経過に応じて消音化を含む弱音化させるための減衰カーブの特性を示すデータと、を記憶しているメモリーと、
を有する電子鍵盤楽器のコンピュータに、
離鍵の検出により、前記楽音データに基づいて発音されている音に対する消音化を含む弱音化指示を受け付ける弱音化指示受信処理と、
前記弱音化指示受信処理により受け付けられた前記弱音化指示に応じて、出力される前記楽音データの第1振幅を取得する振幅取得処理と、
前記メモリーに記憶されている前記減衰カーブの特性を示すデータを参照することにより、前記振幅取得処理により取得された前記第1振幅に応じて決定される第2振幅で前記楽音データを出力することにより、前記楽音データに基づく音を発音させる発音処理と、
を実行させ、
前記減衰カーブの特性は、第1タイミングから前記第1タイミング後の第2タイミングまでの第1減衰量が、前記第2タイミングから前記第2タイミング後の第3タイミングまでの第2減衰量より少ない第1特性と、前記第3タイミング後の第4タイミングから前記第4タイミング後の第5タイミングまでの第3減衰量が、前記第5タイミングから前記第5タイミング後の第6タイミングまでの第4減衰量より少なくない第2特性と、を有することにより、前記第1振幅が或るレベルより大きい場合に前記第1特性に応じて発音される楽音が減衰し、前記第1振幅が或るレベルより小さい場合に前記第2特性に応じて発音される楽音が減衰するように実行させる方法。
【0089】
[請求項7]
複数の鍵を有する鍵盤と、
楽音データと、前記楽音データに基づいて発音されている音を離鍵後の時間経過に応じて消音化を含む弱音化させるための減衰カーブの特性を示すデータと、を記憶しているメモリーと、
を有する電子鍵盤楽器のコンピュータに、
離鍵の検出により、前記楽音データに基づいて発音されている音に対する消音化を含む弱音化指示を受け付ける弱音化指示受信処理と、
前記弱音化指示受信処理により受け付けられた前記弱音化指示に応じて、出力される前記楽音データの第1振幅を取得する振幅取得処理と、
前記メモリーに記憶されている前記減衰カーブの特性を示すデータを参照することにより、前記振幅取得処理により取得された前記第1振幅に応じて決定される第2振幅で前記楽音データを出力することにより、前記楽音データに基づく音を発音させる発音処理と、
を実行させ、
前記減衰カーブの特性は、第1タイミングから前記第1タイミング後の第2タイミングまでの第1減衰量が、前記第2タイミングから前記第2タイミング後の第3タイミングまでの第2減衰量より少ない第1特性と、前記第3タイミング後の第4タイミングから前記第4タイミング後の第5タイミングまでの第3減衰量が、前記第5タイミングから前記第5タイミング後の第6タイミングまでの第4減衰量より少なくない第2特性と、を有することにより、前記第1振幅が或るレベルより大きい場合に前記第1特性に応じて発音される楽音が減衰し、前記第1振幅が或るレベルより小さい場合に前記第2特性に応じて発音される楽音が減衰するように実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0090】
200 電子鍵盤楽器、
210 CPU、
220 RAM、
230 ROM、
240 スイッチパネル、
241 スイッチ、
245 I/Oインターフェース、
250 LCD、
255 LCDコントローラー、
260 鍵盤、
261 鍵、
265 キースキャナー、
270 音源LSI、
280 D/Aコンバーター、
290 アンプ。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
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図9C
図10
図11