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特許7172436画像形成装置、画像形成システム、制御方法および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20221109BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20221109BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20221109BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221109BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20221109BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G06F3/12 338
H04N1/00 838
H04N1/00 127Z
B41J29/00 Z
B41J29/38 201
B41J29/38 203
B41J5/30 Z
G06F3/12 322
G06F3/12 344
G06F3/16 530
G06F3/12 323
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018198332
(22)【出願日】2018-10-22
(65)【公開番号】P2020067695
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三縞 信広
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-110746(JP,A)
【文献】特開平08-186654(JP,A)
【文献】特開2016-091221(JP,A)
【文献】特開2009-130398(JP,A)
【文献】特開平06-320801(JP,A)
【文献】特開2002-288169(JP,A)
【文献】特開2004-208238(JP,A)
【文献】特開2008-270969(JP,A)
【文献】特開平11-028850(JP,A)
【文献】特開2011-076402(JP,A)
【文献】特開2006-311093(JP,A)
【文献】特開2014-236263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
B41J 5/30
G06F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力部と、
印刷部と、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部と、
前記テキストデータ中の漢字にふりがなを付加するための付加部とを含み、
前記出力処理部は、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記ふりがなが付加された前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させる、画像形成装置。
【請求項2】
音声出力部と、
印刷部と、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部と、
前記テキストデータ中の第1言語のテキストに第2言語の翻訳文を付加するための翻訳部とを含み、
前記出力処理部は、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記翻訳文が付加された前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させる、画像形成装置。
【請求項3】
音声出力部と、
印刷部と、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部と、
前記印刷部によって印刷された用紙を排出する排出機構とを備え、
を備え、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部とを含み、
前記出力処理部は、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、印刷面が下になるように前記排出機構から前記用紙を排出させる、画像形成装置。
【請求項4】
音声出力部と、
印刷部と、
画像を読み取るためのスキャナーと、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部とを備え、
前記指定された文書は、前記スキャナーによって読取られたスキャン画像であり、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部と、
前記テキストデータ中に漢字が含まれ、かつ、ふりがな付加指示を受け付けた場合に、当該漢字にふりがなを付加するための付加部と、
前記テキストデータ中に第1言語のテキストが含まれ、かつ、第2言語の翻訳文の付加する翻訳文付加指示を受け付けた場合に、前記第1言語のテキストに前記第2言語の翻訳文を付加するための翻訳部とを含み、
前記抽出部は、前記スキャン画像に対して文字認識処理を行なうことにより、前記スキャン画像から前記テキストデータを抽出し、
前記出力処理部は、
前記テキストデータに機密情報が含まれ、かつ、前記ふりがな付加指示を受け付けた場合に、前記ふりがなが付加された前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させ、
前記テキストデータに機密情報が含まれ、かつ、前記翻訳文付加指示を受け付けた場合に、前記翻訳文が付加された前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させ、
前記テキストデータに機密情報が含まれ、かつ、前記ふりがな付加指示および前記翻訳文付加指示のいずれも受け付けていない場合に、前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させず、前記スキャン画像および前記テキストデータの少なくとも一方を添付したメールを指定されたアドレスに送信する処理、または、前記スキャン画像および前記テキストデータの少なくとも一方を予め定められたフォルダに保存する処理を実行する、画像形成装置。
【請求項5】
音声出力部と、
印刷部と、
第1情報の入力を受け付けるための操作部と、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部と、
前記操作部が受け付けた前記第1情報と、前記音声出力要求に対して設定された第2情報とに基づいて、前記第1情報を入力したユーザーが前記音声出力要求を行なったユーザーと一致することを認証するための認証部とを含み、
前記出力処理部は、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合、前記認証部による認証に成功したときに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる、画像形成装置。
【請求項6】
音声出力部と、
印刷部と、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部と、
前記テキストデータ中の漢字にふりがなを付加するための付加部とを含み、
前記出力処理部は、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記ふりがなが付加された前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させる、画像形成システム。
【請求項7】
音声出力部と、
印刷部と、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部と、
前記テキストデータ中の第1言語のテキストに第2言語の翻訳文を付加するための翻訳部とを含み、
前記出力処理部は、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記翻訳文が付加された前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させる、画像形成システム。
【請求項8】
音声出力部と、
印刷部と、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部と、
前記印刷部によって印刷された用紙を排出する排出機構とを備え、
を備え、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部とを含み、
前記出力処理部は、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、印刷面が下になるように前記排出機構から前記用紙を排出させる、画像形成システム。
【請求項9】
音声出力部と、
印刷部と、
第1情報の入力を受け付けるための操作部と、
指定された文書の音声出力要求に応じて、前記音声出力部および前記印刷部を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させ、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる出力処理部と、
前記操作部が受け付けた前記第1情報と、前記音声出力要求に対して設定された第2情報とに基づいて、前記第1情報を入力したユーザーが前記音声出力要求を行なったユーザーと一致することを認証するための認証部とを含み、
前記出力処理部は、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合、前記認証部による認証に成功したときに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させる、画像形成システム。
【請求項10】
音声出力部と印刷部とを制御する制御方法であって、
指定された文書の音声出力要求を受け付けるステップと、
前記指定された文書からテキストデータを抽出するステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定するステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させるステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させるステップと、
前記テキストデータ中の漢字にふりがなを付加するステップとを備え、
前記実行させるステップは、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記ふりがなが付加された前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させるステップを含む、制御方法。
【請求項11】
音声出力部と印刷部とを制御する制御方法であって、
指定された文書の音声出力要求を受け付けるステップと、
前記指定された文書からテキストデータを抽出するステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定するステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させるステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させるステップと、
前記テキストデータ中の第1言語のテキストに第2言語の翻訳文を付加するステップとを備え、
前記実行させるステップは、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記翻訳文が付加された前記テキストデータで示されるテキストの印刷を前記印刷部に実行させるステップを含む、制御方法。
【請求項12】
音声出力部と印刷部と前記印刷部によって印刷された用紙を排出する排出機構とを制御する制御方法であって、
指定された文書の音声出力要求を受け付けるステップと、
前記指定された文書からテキストデータを抽出するステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定するステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させるステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させるステップとを備え、
前記実行させるステップは、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、印刷面が下になるように前記排出機構から前記用紙を排出させるステップを含む、制御方法。
【請求項13】
音声出力部と印刷部とを制御する制御方法であって、
指定された文書の音声出力要求を受け付けるステップと、
前記指定された文書からテキストデータを抽出するステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定するステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれない場合に、前記テキストデータを音声データに変換し、前記音声データで示される音声を前記音声出力部から出力させるステップと、
前記テキストデータに機密情報が含まれる場合に、前記音声出力部からの音声出力を行なわずに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させるステップと、
操作部が受け付けた第1情報と、前記音声出力要求に対して設定された第2情報とに基づいて、前記第1情報を入力したユーザーが前記音声出力要求を行なったユーザーと一致することを認証するステップとを備え、
前記実行させるステップは、前記テキストデータに機密情報が含まれる場合、前記認証するステップにおいて認証に成功したときに、前記指定された文書および前記テキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を前記印刷部に実行させるステップを含む、制御方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項に記載の制御方法をコンピューターに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、制御方法および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平6-216831号公報(特許文献1)には、発信局からの電波を受信し文字符号に変換する携帯型文字通信音声合成装置が開示されている。この携帯型文字通信音声合成装置は、文字符号の音声合成による読み上げを禁止する読み上げ禁止命令を受信した場合に、受信内容の音声による通知を禁止して、文字表示のみで使用者に通知する。これにより、機密を要する内容の漏洩を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-216831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の携帯型文字通信音声合成装置は、ユーザーによって携帯され、音声出力の対象となる文書に機密情報が含まれる場合に、当該文書を表示する。これに対し、複数のユーザーによって共用される複合機などの画像形成装置を用いて対象となる文書を音声出力させることが考えられる。このような画像形成装置では、大型の表示パネルを有するものもある。そのため、音声出力と対象となる文書に機密情報が含まれる場合に特許文献1と同様に当該文書を表示パネルに表示すると、意図しないユーザーに機密情報が漏洩する。
【0005】
本開示は上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、音声出力の対象となる文書に機密情報が含まれる場合であっても、当該機密情報の漏洩を抑制できる画像形成装置、画像形成システム、制御方法および制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある局面に従うと、画像形成装置は、音声出力部と、印刷部と、指定された文書の音声出力要求に応じて、音声出力部および印刷部を制御するための制御部とを備える。制御部は、指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、出力処理部とを含む。出力処理部は、テキストデータに機密情報が含まれない場合に、テキストデータを音声データに変換し、音声データで示される音声を音声出力部から出力させる。出力処理部は、テキストデータに機密情報が含まれる場合に、音声出力部からの音声出力を行なわずに、指定された文書およびテキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を印刷部に実行させる。
【0007】
ある局面に従うと、画像形成システムは、音声出力部と、印刷部と、指定された文書の音声出力要求に応じて、音声出力部および印刷部を制御するための制御部とを備える。制御部は、指定された文書からテキストデータを抽出する抽出部と、テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部と、出力処理部とを含む。出力処理部は、テキストデータに機密情報が含まれない場合に、テキストデータを音声データに変換し、音声データで示される音声を音声出力部から出力させ、テキストデータに機密情報が含まれる場合に、音声出力部からの音声出力を行なわずに、指定された文書およびテキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を印刷部に実行させる。
【0008】
ある局面に従うと、音声出力部と印刷部とを制御する制御方法は、以下の第1~第5のステップを備える。第1のステップは、指定された文書の音声出力要求を受け付けるステップである。第2のステップは、指定された文書からテキストデータを抽出するステップである。第3のステップは、テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定するステップである。第4ステップは、テキストデータに機密情報が含まれない場合に、テキストデータを音声データに変換し、音声データで示される音声を音声出力部から出力させるステップである。第5のステップは、テキストデータに機密情報が含まれる場合に、音声出力部からの音声出力を行なわずに、指定された文書およびテキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を印刷部に実行させるステップである。
【0009】
ある局面に従うと、音声出力部と印刷部とを制御するコンピューターにおいて実行される制御プログラムは、上記第1~第5のステップをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、音声出力の対象となる文書に機密情報が含まれる場合であっても、当該機密情報の漏洩を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る画像形成システムの概略を示す図である。
図2】実施の形態に係る端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
図5】本実施の形態に係る画像形成装置における音声出力ジョブの処理の全体の流れを示すフローチャートである。
図6図5のステップS1のサブルーチンを示すフローチャートである。
図7図5のステップS2のサブルーチンを示すフローチャートである。
図8図5のステップS3のサブルーチンを示すフローチャートである。
図9図5のステップS4のサブルーチンを示すフローチャートである。
図10図5のステップS5のサブルーチンを示すフローチャートである。
図11図5のステップS6のサブルーチンを示すフローチャートである。
図12図5のステップS7のサブルーチンを示すフローチャートである。
図13】変形例3に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
図14】変形例3に係るステップS5のサブルーチンを示すフローチャートである。
図15】変形例3に係るステップS7のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う実施の形態に係る画像形成装置について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0013】
[画像形成システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム100の概略を示す図である。図1を参照して、画像形成システム100は、画像形成装置1と、サーバー装置2と、端末装置3とを含む。画像形成装置1とサーバー装置2と端末装置3とは、ネットワーク4を介して、それぞれが互いに通信を行なう。ネットワーク4は、例えば、インターネット、公衆回線、公衆無線LAN(Local Area Network)等のパブリックネットワークであってもよいし、LAN、VPN(Virtual Private Network)等のプライベートネットワークであってもよい。
【0014】
端末装置3は、例えば、PC(personal computer)、スマートフォン、およびタブレットなどを含む。端末装置3は、ユーザーの操作に従って、文書生成(ワードプロセッサ)ソフトウェア、表計算ソフトウェアおよびプレゼンテーションソフトウェアに例示される各種のアプリケーションソフトウェア等を用いて文書データを作成する。
【0015】
さらに、端末装置3は、ネットワーク4を介したメール送受信を行なう。ユーザーは、端末装置3を操作して、所有するメールアドレス宛てに送信されたメールを確認したり、他のメールアドレス宛てに作成したメールを送信する。端末装置3は、文書データを添付したメールを送受信してもよい。
【0016】
サーバー装置2は、各種のデータを保存する情報処理装置である。サーバー装置2は、主な構成要素として、CPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)と記憶装置と通信装置とを備えている。CPUは、記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、サーバー装置2全体の処理を実現する。サーバー装置2は、端末装置3によって作成された文書データまたは画像形成装置1によって読取られた文書データを保存し、外部の装置からの要求に応じて保存している文書データを当該外部の装置に送信する。
【0017】
画像形成装置1は、例えば複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。画像形成装置1は、コピー機能、スキャン機能、プリンタ機能、ファックス機能、電子メール機能、および、通信機能を有する。画像形成装置1は、読取対象の文書画像を文書データとして読取ったり、サーバー装置2や端末装置3などの他の装置との間でネットワーク4を介して文書データまたは文書データが添付された電子メールを送受信したり、文書データを印刷したりする。
【0018】
文書データとは、文書に関連する情報であればよく、テキストデータを含む電子データと、文書画像を読取ったスキャン画像データとを含む。テキストデータを含む電子データは、文書生成(ワードプロセッサ)ソフトウェア、表計算ソフトウェアおよびプレゼンテーションソフトウェアに例示される各種のアプリケーションソフトウェアを用いて作成される。
【0019】
本実施の形態に係る画像形成装置1は、上記の機能に加えて、音声出力機能を有する。音声出力機能は、指定された文書データの音声出力ジョブの要求に応じて、当該指定された文書データで示される文書を音声出力する機能である。音声出力ジョブは、例えば視覚障害者や漢字の読みに不慣れな者から要求される。
【0020】
文書データに機密情報が含まれる場合に音声出力すると、第三者に機密情報が漏洩しやすい。特に、オフィスのような複数のユーザーがいる場所に画像形成装置1が設置される場合、意図しないユーザーが音声を聞くことにより、機密情報が漏洩する。そのため、画像形成装置1は、指定された文書データからテキストデータを抽出し、抽出したテキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する。テキストデータに機密情報が含まれない場合に、画像形成装置1は、テキストデータを音声データに変換し、音声データで示される音声を出力する。テキストデータに機密情報が含まれる場合に、画像形成装置1は、音声出力を行なわずに、文書データおよびテキストデータの少なくとも一方の印刷を行なう。
【0021】
[端末装置のハードウェア構成]
図2は、実施の形態に係る端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示されるように、端末装置3は、制御部31と、RAM32と、記憶装置33と、ディスプレイ34と、キーボード35と、通信インターフェース36とを有する。
【0022】
制御部31は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成されるハードウェアプロセッサである。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0023】
制御部31は、記憶装置33に格納された各種アプリケーションを実行する。制御部31は、各種アプリケーションの実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置33からRAM32にアプリケーションプログラムを読み出す。RAM32は、制御部31がアプリケーションプログラムに基づいて動作する際の作業領域を提供するメモリーである。
【0024】
記憶装置33は、ハードディスクドライブなどにより構成され、各種アプリケーションプログラムなどを記憶する。記憶装置33は、例えば、電子メールアプリ331、文書作成アプリ332などを記憶する。
【0025】
ディスプレイ34は、例えば液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。キーボード35は、ユーザーが情報の入力を行なうために用いられる。通信インターフェース36は、ネットワーク4を介して外部の装置との通信を行なう。
【0026】
[画像形成装置のハードウェア構成]
図3は、実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3を参照して、画像形成装置1は、音声出力部11と、操作部12と、ハードディスクドライブ(HDD)13と、スキャナー14と、印刷部(プリンター)15と、排出機構16と、通信処理部17と、USB(Universal Serial Bus)インターフェース18と、制御部19と、ROM(Read Only Memory)20と、RAM21とを備える。
【0027】
音声出力部11は、スピーカーで構成され、入力された音声データで示される音声を出力する。
【0028】
操作部12は、操作画面等の各種情報を表示し、ユーザーによるタッチ操作を可能とする、タッチパネル式のディスプレイである。
【0029】
HDD13は、各種のアプリケーション、スキャナー14で読取られたスキャン画像データ、外部の装置から取得した文書データ等を記憶する。
【0030】
さらに、HDD13は、機密情報リスト131を記憶する。機密情報リスト131は、機密を要する単語(例えば、「利益」、「原価」など)の一覧である。機密情報リスト131は、予め管理者によって作成され、HDD13に格納される。
【0031】
HDD13は、公知の翻訳アプリ(翻訳アプリケーション)132、および、公知の辞書データベース133を記憶する。翻訳アプリ132は、入力された日本語の文章を英語の文章に翻訳するためのアプリケーションである。辞書データベース133は、漢字と、当該漢字のふりがなとを対応づけたデータベースである。
【0032】
スキャナー14は、写真、文字、絵などの画像情報を原稿から光電的に読取ってスキャン画像データを取得する。スキャナー14におけるスキャン画像データの生成方法は公知の方法を採用することができる。取得されたスキャン画像データ(濃度データ)は、図示しない画像処理部においてデジタルデータに変換され、周知の各種画像処理を施された後、HDD13に格納される。
【0033】
印刷部15は、たとえば電子写真方式により、スキャナー14により読取られたスキャン画像データ、外部から取得した文書データ、またはHDD13に格納されている文書データを、印刷のためのデータに変換する。印刷部15は、さらに、変換後のデータに基づいて文書画像を用紙に印刷する。電子写真方式などの画像形成の態様には、公知の技術が採用され得る。
【0034】
排出機構16は、印刷部15によって印刷された用紙を排出する機構である。排出機構16は、フェイスアップ排出モードおよびフェイスダウン排出モードのうち選択されたモードで用紙を排出する。フェイスアップ排出モードとは、印刷面が上向きの状態(フェイスアップ)で用紙を排出するモードである。フェイスダウン排出モードとは、印刷面が下向きの状態(フェイスダウン)で用紙を排出するモードである。排出機構16は、フェイスアップで用紙を排出するためのフェイスアップ排出経路と、フェイスダウンで用紙を排出するためのフェイスダウン排出経路と、用紙が搬送される経路をフェイスアップ排出経路およびフェイスダウン排出経路のいずれかに切り替える切替機構と、用紙を搬送する搬送ローラーとを含む。排出機構16の態様には、公知の技術が採用され得る。
【0035】
通信処理部17は、外部の装置(例えばサーバー装置2および端末装置3など)との間で、ネットワーク4を介してデータおよび電子メールを送受信する。通信処理部17は、CPU19から受けたデータや電子メールを外部に送信したり、外部から受信したデータや電子メールをCPU19に渡したりする。
【0036】
USBインターフェース18は、画像形成装置1に対して着脱可能なUSBメモリー5のインターフェースである。USBメモリー5は、文書データを記憶してもよい。
【0037】
制御部19は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成されるハードウェアプロセッサである。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0038】
制御部19は、本実施の形態に従う制御プログラム22などの各種プログラム、HDD13に格納された各種アプリケーションを実行することで画像形成装置1の動作を制御する。制御部19は、制御プログラム22の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM20からRAM21に制御プログラム22を読み出す。ROM20は、制御プログラム22等を格納するメモリーである。RAM21は、CPU19が制御プログラム22に基づいて動作する際の作業領域を提供するメモリーである。
【0039】
[画像形成装置の機能構成]
次に、画像形成装置1の制御部19の主な機能構成について説明する。ここでは、音声出力ジョブに関する機能構成について説明する。音声出力ジョブは、指定された文書データで示される文書を音声出力するジョブである。
【0040】
図4は、実施の形態に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。図4に示されるように、画像形成装置1の制御部19は、要求受付部191と、抽出部192と、判定部193と、付加部194と、翻訳部195と、出力処理部196とを含む。要求受付部191と、抽出部192と、判定部193と、付加部194と、翻訳部195と、出力処理部196とは、制御部19が制御プログラム22等を実行することにより実現される。
【0041】
要求受付部191は、操作部12または通信処理部17を介して、ユーザからの要求を受け付ける。具体的には、要求受付部191は、指定された文書データの音声出力ジョブの要求を受け付ける。このとき、要求受付部191は、音声出力の対象となる文書データを識別するための情報として、当該文書データが格納された記憶領域を示すフォルダ名および当該文書データのファイル名を取得する。音声出力の対象として指定される文書データは、HDD13に格納された文書データ、サーバー装置2に格納された文書データ、通信処理部17が受信した電子メールに添付された文書データ、USBメモリー5に格納された文書データ、スキャナー14が読取ったスキャン画像データ(文書データ)のいずれかである。要求受付部191は、音声出力の対象として指定された文書データを取得する。
【0042】
さらに、要求受付部191は、文書データから抽出されたテキストデータ中の英語のテキストに日本語の翻訳文を付加する指示(以下、「翻訳文付加指示」という)を受け付け可能である。要求受付部191は、文書データから抽出されたテキストデータに機密情報が含まれる場合に、当該テキストデータ中の漢字にふりがなを付加する指示(以下、「ふりがな付加指示」という)を受け付け可能である。さらに、要求受付部191は、文書データから抽出されたテキストデータに機密情報が含まれる場合に、フェイスダウン排出モードへの切り替えの指示(以下、「フェイスダウン指示」という)を受け付け可能である。
【0043】
抽出部192は、音声出力の対象として指定された文書データからテキストデータを抽出する。文書データがテキストデータを含む電子データである場合、抽出部192は、当該テキストデータを抽出する。文書データがスキャン画像データである場合、抽出部192は、当該スキャン画像データに対して文字認識処理を実行することにより、テキストデータを抽出する。抽出部192は、文字認識処理としてOCR(Optical Character Recognition)処理を実行すればよい。OCR処理の方法には、公知の技術が採用され得る。
【0044】
判定部193は、抽出部192によって抽出されたテキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する。具体的には、判定部193は、HDD13に格納された機密情報リスト131に登録された単語がテキストデータ中に含まれる場合に、テキストデータに機密情報が含まれると判定する。
【0045】
付加部194は、抽出部192によって抽出されたテキストデータ中の漢字にふりがなを付加する。付加部194は、HDD13に格納された辞書データベース133を用いて、漢字にふりがなを付加する。
【0046】
翻訳部195は、抽出部192によって抽出されたテキストデータ中の英語のテキストに日本語の翻訳文を付加する。翻訳部195は、HDD13に格納された翻訳アプリ132を用いて翻訳文を生成する。もしくは、翻訳部195は、webサイト上で提供されている翻訳エンジンから翻訳文を取得してもよい。
【0047】
出力処理部196は、音声出力の対象として指定された文書データの出力処理を実行する。具体的には、出力処理部196は、抽出されたテキストデータに機密情報が含まれていない場合に、当該テキストデータを音声データに変換する。テキストデータを音声データに変換する処理(音声合成処理)は、フォルマント音声合成などの従来から用いられているあらゆる方法を用いることができる。出力処理部196は、テキストデータから変換された音声データを音声出力部11に出力し、当該音声データで示される音声を音声出力部11から出力させる。
【0048】
なお、出力処理部196は、要求受付部191が翻訳文付加指示を受け付けている場合に、翻訳部195によって翻訳文が付加されたテキストデータを音声データに変換してもよい。これにより、ユーザーは、英語の文とそれに対応する日本語の文との音声を聞くことができる。
【0049】
出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれている場合に、音声出力部11からの音声出力を行なわずに、テキストデータを印刷部15に送り、当該テキストデータで示されるテキストの印刷を印刷部15に実行させる。
【0050】
なお、出力処理部196は、要求受付部191が翻訳文付加指示を受け付けている場合に、翻訳部195によって翻訳文が付加されたテキストデータで示されるテキストを印刷部15に送る。これにより、文書データから抽出されたテキストとともに翻訳文も印刷される。
【0051】
また、出力処理部196は、要求受付部191がふりがな付加指示を受け付けている場合に、付加部194によってふりがなが付加されたテキストデータを印刷部15に送る。これにより、文書データから抽出されたテキストとともにふりがなも印刷される。
【0052】
音声出力の対象として指定された文書データがスキャン画像データである場合、ユーザーは、スキャナー14の読取り対象となる原稿をすでに所有している。そのため、スキャン画像データをそのまま印刷しても意味がない。そこで、出力処理部196は、指定された文書データがスキャン画像データであり、かつ、要求受付部191がふりがな付加指示および翻訳文付加指示のいずれも受け付けてない場合に、テキストデータの印刷を印刷部15に実行させない。出力処理部196は、印刷の代わりに、指定された文書データ(スキャン画像データ)およびテキストデータの少なくとも一方を予め定められたフォルダに格納する。もしくは、出力処理部196は、指定された文書データおよびテキストデータの少なくとも一方を添付した電子メールを作成し、ユーザー所有のメールアドレス宛に当該電子メールを送信する。
【0053】
[音声出力ジョブの処理フロー]
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置における音声出力ジョブの処理の全体の流れを示すフローチャートである。まず、制御部19は、音声出力ジョブの要求の受付処理を行なう(ステップS1)。ステップS1において、制御部19は、音声出力の対象となる文書データの指定を受け、指定された文書データを取得する。このとき、制御部19は、文書データにテキストデータが含まれる場合、当該テキストデータを抽出する。
【0054】
制御部19は、操作部12へのユーザーの操作に従って、音声出力ジョブの要求を受け付けてもよいし、通信処理部17を介して、端末装置3から音声出力ジョブの要求を受け付けてもよい。すなわち、ユーザーは、画像形成装置1まで出向いてから操作部12を操作して、音声出力ジョブの実行を要求してもよいし、画像形成装置1の音声出力部11の音声が聞こえる範囲において端末装置3を操作して、音声出力ジョブの実行を要求してもよい。
【0055】
次に、制御部19は、指定された文書データにOCR(Optical Character Recognition)処理を実行し、テキストデータを抽出する(ステップS2)。
【0056】
次に、制御部19は、テキストデータ中の英語のテキストに日本語の翻訳文を付加する翻訳処理を実行する(ステップS3)。
【0057】
次に、制御部19は、テキストデータに機密情報が含まれているか否かの判定処理を実行する(ステップS4)。次に、制御部19は、テキストデータの音声出力処理を音声出力部11に実行させる(ステップS5)。
【0058】
さらに、制御部19は、テキストデータ中の漢字にふりがなを付加するふりがな付加処理を実行する(ステップS6)。その後、制御部19は、音声出力の代わりとなる処理(以下、「代替出力処理」という)を実行する(ステップS7)。ステップS7の後、ステップS1に戻る。
【0059】
[音声出力ジョブ受付処理]
図6は、図5のステップS1のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、制御部19は、ジョブ要求の有無を判定する(ステップS101)。ジョブ要求がない場合(ステップS101でNO)、ステップS1は終了する。ジョブ要求がある場合(ステップS101でYES)、制御部19は、要求されたジョブが音声出力ジョブであるか否かを判定する(ステップS102)。要求されたジョブが音声出力ジョブではない場合(ステップS102でNO)、ステップS1は終了する。
【0060】
要求されたジョブが音声出力ジョブである場合(ステップS102でYES)、制御部19は、音声出力の対象となる文書データの指定を促し、どの文書データが指定されたかを判定する(ステップS103)。ユーザーは、すでに作成済みの文書データを音声出力の対象として指定する場合、当該文書データの格納場所を示すフォルダ名、当該文書データのファイル名を指定する。ユーザーは、スキャン画像データを音声出力の対象として指定する場合、スキャンの対象となる原稿を画像形成装置1のスキャナー14に置き、スキャン指示を入力する。
【0061】
HDD13に格納された文書データが指定された場合、制御部19は、HDD13から指定された文書データを取得し、取得した文書データからテキストデータを抽出する。制御部19は、抽出したテキストデータを、音声出力の対象のテキストデータとして設定する(ステップS104)。
【0062】
サーバー装置2に格納された文書データが指定された場合、制御部19は、通信処理部17を介してサーバー装置2から指定された文書データを取得し、取得した文書データからテキストデータを抽出する。制御部19は、抽出したテキストデータを、音声出力の対象のテキストデータとして設定する(ステップS105)。
【0063】
受信した電子メールに添付された文書データが指定された場合、制御部19は、通信処理部17が受信した電子メールから指定された文書データを取得し、取得した文書データからテキストデータを抽出する。制御部19は、抽出したテキストデータを、音声出力の対象のテキストデータとして設定する(ステップS106)。
【0064】
USBメモリー5に格納された文書データが指定された場合、制御部19は、USBインターフェース18を介してUSBメモリー5から指定された文書データを取得し、取得した文書データからテキストデータを抽出する。制御部19は、抽出したテキストデータを、音声出力の対象のテキストデータとして設定する(ステップS107)。
【0065】
ステップS104~S107の後、制御部19は、OCRフラグに0を代入する(ステップS108)。
【0066】
スキャン画像データが指定された場合、制御部19は、OCRフラグに1を代入する(ステップS109)。
【0067】
次に、制御部19は、翻訳文付加指示の有無を判定する(ステップS110)。例えば、操作部12または端末装置3に表示される操作画面に含まれる翻訳チェックボックスがチェックされた場合に、制御部19は、翻訳文付加指示ありと判定する。
【0068】
翻訳文付加指示ありの場合(ステップS110でYES)、制御部19は、翻訳フラグに1を代入する(ステップS111)。翻訳文付加指示なしの場合(ステップS110でNO)、制御部19は、翻訳フラグに0を代入する(ステップS112)。ステップS111またはステップS112の後、ステップS1は終了する。
【0069】
[OCR処理]
図7は、図5のステップS2のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、制御部19は、音声出力ジョブの要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。音声出力ジョブの要求を受け付けていない場合(ステップS201でNO)、ステップS2は終了する。音声出力ジョブの要求を受け付けている場合(ステップS201でYES)、制御部19は、OCRフラグが1であるか否かを判定する(ステップS202)。OCRフラグが1ではない場合(ステップS202でNO)、ステップS2は終了する。
【0070】
OCRフラグが1である場合(ステップS202でYES)、制御部19は、スキャナー14に対してスキャン処理を実行させ、当該スキャン処理により得られたスキャン画像データを、音声出力の対象となる文書データとして設定する(ステップS203)。
【0071】
次に、制御部19は、文書データ(スキャン画像データ)に対してOCR処理を実行し、当該OCR処理により得られたテキストデータを、音声出力の対象のテキストデータとして設定する(ステップS204)。ステップS204の後、ステップS2は終了する。
【0072】
[翻訳処理]
図8は、図5のステップS3のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、制御部19は、音声出力ジョブの要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS301)。音声出力ジョブの要求を受け付けていない場合(ステップS301でNO)、ステップS3は終了する。音声出力ジョブの要求を受け付けている場合(ステップS301でYES)、制御部19は、翻訳フラグが1であるか否かを判定する(ステップS302)。翻訳フラグが1ではない場合(ステップS302でNO)、ステップS3は終了する。
【0073】
翻訳フラグが1である場合(ステップS302でYES)、制御部19は、テキストデータ中の英語のテキストに日本語の翻訳文を付加して、テキストデータを更新する(ステップS303)。ステップS303の後、ステップS3は終了する。
【0074】
[機密情報判定処理]
図9は、図5のステップS4のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、制御部19は、音声出力ジョブの要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。音声出力ジョブの要求を受け付けていない場合(ステップS401でNO)、ステップS4は終了する。音声出力ジョブの要求を受け付けている場合(ステップS401でYES)、制御部19は、テキストデータ中の文字列と機密情報リスト131に登録された単語とを照合する(ステップS402)。そして、制御部19は、照合結果に基づいて、テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する(ステップS403)。すなわち、制御部19は、テキストデータに含まれる文字列と機密情報リストに登録された単語とが一致する場合に、テキストデータに機密情報が含まれると判定する。
【0075】
テキストデータに機密情報が含まれる場合(ステップS403でYES)、制御部19は、機密情報検出フラグに1を代入する(ステップS404)。テキストデータに機密情報が含まれない場合(ステップS403でNO)、制御部19は、機密情報検出フラグに0を代入する(ステップS405)。ステップS404またはS405の後、ステップS4は終了する。
【0076】
[音声出力処理]
図10は、図5のステップS5のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、制御部19は、音声出力ジョブの要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS501)。音声出力ジョブの要求を受け付けていない場合(ステップS501でNO)、ステップS5は終了する。音声出力ジョブの要求を受け付けている場合(ステップS501でYES)、制御部19は、機密情報検出フラグが1であるか否かを判定する(ステップS502)。
【0077】
機密情報検出フラグが0である場合(ステップS502でNO)、制御部19は、テキストデータを音声データに変換する(ステップS503)。制御部19は、変換した音声データを音声出力部11に出力し、音声出力部11から音声出力させる(ステップS504)。ステップS504の後、ステップS5は終了する。
【0078】
なお、図6のステップS110において翻訳文付加指示を受け付けている場合には、図8のステップS303においてテキストデータ中の英語のテキストに日本語の翻訳文が付加されている。この場合、ユーザーは、英語の音声に加えて日本語の音声を聞くことができる。
【0079】
機密情報検出フラグが1である場合(ステップS502でYES)、制御部19は、テキストデータの音声出力を中止し、その旨をユーザに通知する(ステップS505)。制御部19は、音声出力の中止の通知画面を操作部12または端末装置3に表示してもよいし、音声出力の中止を示す音声を音声出力部11から出力させてもよい。
【0080】
次に、制御部19は、ふりがな付加指示の有無を判定する(ステップS506)。例えば、操作部12または端末装置3に表示される操作画面に含まれるふりがな付加チェックボックスがチェックされた場合に、制御部19は、ふりがな付加指示ありと判定する。
【0081】
ふりがな付加指示ありの場合(ステップS506でYES)、制御部19は、ふりがなフラグに1を代入する(ステップS507)。ふりがな付加指示なしの場合(ステップS506でNO)、制御部19は、ふりがなフラグに0を代入する(ステップS508)。
【0082】
次に、制御部19は、フェイスダウン指示の有無を判定する(ステップS509)。例えば、操作部12または端末装置3に表示される操作画面に含まれるフェイスダウンチェックボックスがチェックされた場合に、制御部19は、フェイスダウン指示ありと判定する。
【0083】
フェイスダウン指示ありの場合(ステップS509でYES)、制御部19は、フェイスダウンフラグに1を代入する(ステップS510)。フェイスダウン指示なしの場合(ステップS509でNO)、制御部19は、フェイスダウンフラグに0を代入する(ステップS511)。ステップS510またはステップS511の後、ステップS5は終了する。
【0084】
[ふりがな付加処理]
図11は、図5のステップS6のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、制御部19は、音声出力ジョブの要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS601)。音声出力ジョブの要求を受け付けていない場合(ステップS601でNO)、ステップS6は終了する。音声出力ジョブの要求を受け付けている場合(ステップS601でYES)、制御部19は、ふりがなフラグが1であるか否かを判定する(ステップS602)。ふりがなフラグが0である場合(ステップS602でNO)、ステップS6は終了する。
【0085】
ふりがなフラグが1である場合(ステップS602でYES)、制御部19は、テキストデータ中の漢字にふりがなを付加し、テキストデータを更新する(ステップS603)。ステップS603の後、ステップS3は終了する。
【0086】
[代替出力処理]
図12は、図5のステップS7のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、制御部19は、音声出力ジョブの要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS701)。音声出力ジョブの要求を受け付けていない場合(ステップS701でNO)、ステップS7は終了する。音声出力ジョブの要求を受け付けている場合(ステップS701でYES)、制御部19は、機密情報検出フラグが1であるか否かを判定する(ステップS702)。機密情報フラグが0である場合(ステップS702でNO)、ステップS7は終了する。
【0087】
機密情報検出フラグが1である場合(ステップS702でYES)、制御部19は、OCRフラグが1であり、ふりがなフラグが0であり、かつ、翻訳フラグが0であるか否かを判定する(ステップS703)。
【0088】
ステップS703でYESの場合、制御部19は、指定された文書データ(スキャン画像データ)およびテキストデータの少なくとも一方を添付した電子メールを作成し、音声出力ジョブを要求したユーザー所有のメールアドレス宛に送信する(ステップS704)。もしくは、制御部19は、スキャン画像データおよびテキストデータの少なくとも一方をHDD13内の予め定められたフォルダに保存してもよい。
【0089】
なお、制御部19は、ユーザーとメールアドレスとを対応付けてテーブルを予め記憶しておき、当該テーブルに基づいて、電子メールの送信先のメールアドレスを設定してもよい。もしくは、制御部19は、操作部12または端末装置3に表示される操作画面に表示されたメールアドレスの入力欄に入力されたメールアドレスを、電子メールの送信先に設定してもよい。
【0090】
ステップS704において、制御部19は、音声出力の代わりにメール送信またはデータ保存を行なった旨をユーザーに通知してもよい。制御部19は、通知画面を操作部12または端末装置3に表示してもよいし、通知内容を音声出力部11から出力させてもよい。このとき、制御部19は、指定された文書データおよびテキストデータの少なくとも一方の保存先フォルダをユーザーに通知してもよい。ステップS704の後、ステップS7は終了する。
【0091】
ステップS703でNOの場合、制御部19は、テキストデータで示されるテキストの印刷を印刷部15に実行させる(ステップS705)。このとき、制御部19は、指定された文書データに機密情報が含まれるために音声出力の代わりに印刷処理を行なった旨をユーザーに通知してもよい。制御部19は、通知画面を操作部12または端末装置3に表示してもよいし、通知内容を音声出力部11から出力させてもよい。
【0092】
次に、制御部19は、フェイスダウンフラグが1であるか否かを判定する(ステップS706)。フェイスダウンフラグが1である場合(ステップS706でYES)、制御部19は、フェイスダウン排出モードで印刷用紙を排出機構16から排出させる(ステップS707)。フェイスダウンフラグが0である場合(ステップS706でNO)、制御部19は、現在設定されている排出モード(フェイスダウン排出モードまたはフェイスアップ排出モード)で印刷用紙を排出機構16から排出させる(ステップS708)。ステップS707またはS708の後、ステップS7は終了する。
【0093】
[変形例1]
上記の説明では、図12のステップS705において、テキストデータで示されるテキストの印刷が実行される。しかしながら、ステップS705において、制御部19は、テキストデータで示されるテキストの印刷とともに、指定された文書データで示される文書の印刷を印刷部15に実行させてもよい。もしくは、翻訳文付加指示およびふりがな付加指示のいずれも受け付けていない場合、ステップS705において、制御部19は、指定された文書データで示される文書の印刷のみを印刷部15に実行させてもよい。
【0094】
[変形例2]
上記の説明では、フェイスダウン指示を受け付けた場合にのみ、制御部19は、フェイスダウン排出モードで印刷用紙を排出機構16から排出させる。しかしながら、制御部19は、テキストデータに機密情報が含まれる場合には常に、フェイスダウン排出モードで印刷用紙を排出機構16から排出させてもよい。
【0095】
[変形例3]
上記の説明では、音声出力の対象として指定された文書データに機密情報が含まれる場合、当該文書データおよび当該文書データから抽出されたテキストデータの少なくとも一方の印刷が実行される。ユーザーが端末装置3を用いて音声出力ジョブの要求を行なった場合、端末装置3の場所から画像形成装置までユーザーが移動する間に、画像形成装置から排出された印刷用紙が他のユーザーの目に触れる可能性がある。そのため、ユーザーが端末装置3を用いて音声出力ジョブの要求を行なった場合、画像形成装置は、文書データおよび当該文書データから抽出されたテキストデータの少なくとも一方の印刷を実行する前に、ユーザー認証を行なうことが好ましい。
【0096】
図13は、変形例3に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。図13に示されるように、変形例3に係る画像形成装置の制御部19Aは、認証部197をさらに含む点で、図4に示す制御部19と相違する。
【0097】
認証部197は、要求受付部191が端末装置3から音声出力ジョブの要求を受け付けた場合に、当該音声出力ジョブに対してパスワードを設定する。ユーザーは、端末装置3のキーボード35にパスワードを入力する。認証部197は、端末装置3への入力に従ってパスワードを設定すればよい。認証部197は、音声出力の対象として指定された文書データに機密情報が含まれる場合に、操作部12へのパスワードの入力を促す。認証部197は、操作部12が受け付けたパスワードである第1情報と、音声出力ジョブに対して設定したパスワードである第2情報とに基づいて、パスワードを操作部12に入力したユーザーが音声出力ジョブの要求を行なったユーザーと一致することを認証する。具体的には、認証部197は、操作部12が受け付けたパスワード(第1情報)と音声出力ジョブに対して設定したパスワード(第2情報)とが一致する場合に、認証成功と判定する。
【0098】
出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれる場合、認証部197によって認証成功と判定されたときに、指定された文書データおよびテキストデータの少なくとも一方の印刷を印刷部15に実行させる。
【0099】
変形例3に係る画像形成装置は、上記の実施の形態に係る画像形成装置1と同様に、図5に示すステップS1~S7に従って、音声出力ジョブの処理を行なう。ただし、ステップS5において、画像形成装置は、音声出力ジョブに対してパスワードを設定する。さらに、ステップS7において、画像形成装置はユーザー認証を行なう。
【0100】
図14は、変形例3に係るステップS5のサブルーチンを示すフローチャートである。図14に示すフローチャートは、図10に示すフローチャートと比較して、ステップS512を含む点で相違する。ステップS505の後のステップS512において、制御部19Aは、端末装置3へのユーザー入力に基づいて、音声出力ジョブに対してパスワードを設定する。制御部19Aは、設定したパスワードを音声出力ジョブと対応付けて記憶する。
【0101】
図15は、変形例3に係るステップS7のサブルーチンを示すフローチャートである。図15に示すフローチャートは、図12に示すフローチャートと比較して、ステップS709およびS710を含む点で相違する。
【0102】
ステップS703でNOの場合、制御部19Aは、操作部12へのパスワードの入力を受け付ける(ステップS709)。すなわち、ユーザーは、端末装置3の場所から画像形成装置まで移動し、操作部12にパスワードを入力する。次に、制御部19Aは、受け付けたパスワードと、ステップS512において設定したパスワードとを照合することにより、認証に成功したか否かを判定する(ステップS710)。認証に失敗した場合(ステップS710でNO)、ステップS7は終了する。認証に成功した場合(ステップS710でYES)、処理はステップS705に移る。
【0103】
変形例3によれば、ユーザーが端末装置3を用いて音声出力ジョブの要求を行なった場合、画像形成装置の操作部12に入力されたパスワードに基づいて認証に成功したときに限り、文書データおよびテキストデータの少なくとも一方の印刷が実行される。そのため、ユーザーが端末装置3の場所から画像形成装置まで移動する間に他のユーザーの目に印刷用紙が触れることを抑制できる。
【0104】
[変形例4]
上記の説明では、画像形成装置が音声出力部11を備え、画像形成装置の制御部19,19Aが要求受付部191、抽出部192、判定部193、付加部194、翻訳部195および出力処理部196を備えるものとした。しかしながら、端末装置3が音声出力部11を備え、端末装置3の制御部31が要求受付部191、抽出部192、判定部193、付加部194、翻訳部195および出力処理部196を備えてもよい。この場合、端末装置3の制御部31は、図5図12に示す各ステップを実行すればよい。ただし、図7のステップS202では、制御部31は、スキャン指示を画像形成装置1に出力し、画像形成装置1のスキャナー14にスキャンを実行させる。また、図12のステップS705では、制御部31は、文書データおよびテキストデータの少なくとも一方の印刷指示を画像形成装置1に出力する。これにより、文書データおよびテキストデータの少なくとも一方の印刷用紙が画像形成装置1から排出される。
【0105】
[変形例5]
上記の説明では、翻訳部195は、テキストデータ中の英語のテキストに日本語の翻訳文を追加する。しかしながら、翻訳部195は、英語以外の言語のテキストに日本語の翻訳文を追加してもよい。もしくは、翻訳部195は、英語のテキストに日本語以外の言語の翻訳文を追加してもよい。もしくは、翻訳部195は、英語以外の言語のテキストに日本語以外の言語の翻訳文を追加してもよい。
【0106】
[利点]
以上のように、画像形成装置1は、音声出力部11と、印刷部15と、指定された文書データの音声出力ジョブの要求に応じて、音声出力部11および印刷部15を制御するための制御部19,19Aとを備える。制御部19,19Aは、指定された文書データからテキストデータを抽出する抽出部192と、テキストデータに機密情報が含まれるか否かを判定する判定部193と、出力処理部196とを備える。出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれない場合に、テキストデータを音声データに変換し、音声データで示される音声を音声出力部11から出力させる。出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれる場合に、音声出力部11からの音声出力を行なわずに、指定された文書およびテキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を印刷部15に実行させる。
【0107】
上記の構成によれば、音声出力の対象として指定された文書に機密情報が含まれる場合に、音声出力が中止され、その代わりに文書およびテキストの少なくとも一方の印刷が実行される。そのため、複数のユーザーがいる場所に画像形成装置1が設置されたとしても、機密情報を含む文書が意図しないユーザーの目に触れることを抑制できる。すなわち、機密情報の漏洩を抑制できる。
【0108】
指定された文書データは、画像形成装置1が備える記憶部であるHDD13に格納された文書データ、画像形成装置1とネットワーク4を介して接続されたサーバー装置2に格納された文書データ、画像形成装置1が受信した電子メールに添付された文書データ、および、画像形成装置1に接続された記憶媒体であるUSBメモリー5に格納された文書データのいずれかである。
【0109】
あるいは、指定された文書データは、画像形成装置1が備えるスキャナー14によって読取られたスキャン画像データであってもよい。この場合、抽出部192は、スキャン画像データに対して文字認識処理を行なうことにより、スキャン画像データからテキストデータを抽出する。
【0110】
制御部19,19Aは、テキストデータ中の漢字にふりがなを付加するための付加部194をさらに含んでもよい。出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれる場合に、ふりがなが付加されたテキストデータで示されるテキストの印刷を印刷部15に実行させる。これにより、漢字に不慣れな者であっても、印刷用紙を確認することにより、漢字の読み方を認識することができる。
【0111】
制御部19,19Aは、テキストデータ中の第1言語のテキストに第2言語の翻訳文を付加するための翻訳部195をさらに含んでもよい。出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれる場合に、翻訳文が付加されたテキストデータで示されるテキストの印刷を印刷部15に実行させる。これにより、第1言語に不慣れな者であっても、印刷用紙の翻訳文を確認することにより、第1言語のテキストの意味を認識することができる。
【0112】
画像形成装置1は、印刷部15によって印刷された用紙を排出する排出機構16をさらに備える。出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれる場合に、印刷面が下になるように排出機構16から用紙を排出させる。これにより、機密情報が含まれる印刷用紙が意図しないユーザーの目に触れることを抑制できる。
【0113】
出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれ、かつ、ふりがな付加指示および翻訳文付加指示のいずれも受け付けていない場合に、テキストデータで示されるテキストの印刷を印刷部15に実行させない。その代わりに、出力処理部196は、スキャン画像データおよびテキストデータの少なくとも一方を添付した電子メールを指定されたアドレスに送信する処理、または、スキャン画像データおよびテキストデータの少なくとも一方を予め定められたフォルダに保存する処理を実行する。これにより、機密情報の漏洩を抑制できる。
【0114】
画像形成装置1は、第1情報であるパスワードの入力を受け付けるための操作部12をさらに備える。制御部19Aは、認証部197をさらに含む。認証部197は、操作部12が受け付けたパスワードと、音声出力ジョブの要求に対して設定された第2情報であるパスワードとに基づいて、パスワードを入力したユーザーが音声出力ジョブの要求を行なったユーザーと一致することを認証する。出力処理部196は、テキストデータに機密情報が含まれる場合、認証部197による認証に成功したときに、指定された文書およびテキストデータで示されるテキストの少なくとも一方の印刷を印刷部15に実行させる。これにより、機密情報を含む印刷用紙が意図しないユーザーの目に触れることを抑制できる。
【0115】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0116】
1 画像形成装置、2 サーバー装置、3 端末装置、4 ネットワーク、5 USBメモリー、11 音声出力部、12 操作部、13 HDD、14 スキャナー、15 印刷部、16 排出機構、17 通信処理部、18 USBインターフェース、19,19A,31 制御部、20 ROM、21,32 RAM、22 制御プログラム、33 記憶装置、34 ディスプレイ、35 キーボード、36 通信インターフェース、100 画像形成システム、131 機密情報リスト、132 翻訳アプリ、133 辞書データベース、191 要求受付部、192 抽出部、193 判定部、194 付加部、195 翻訳部、196 出力処理部、197 認証部、331 電子メールアプリ、332 文書作成アプリ。
図1
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