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  • 特許-画像形成装置 図1
  • 特許-画像形成装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20221109BHJP
   H04N 1/21 20060101ALI20221109BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H04N1/00 912
H04N1/21
G03G21/00 384
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018207903
(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公開番号】P2020077897
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】伊ヶ崎 明彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 慎一
(72)【発明者】
【氏名】島本 邦彦
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-042220(JP,A)
【文献】特開2002-033863(JP,A)
【文献】特開2000-069258(JP,A)
【文献】特開2017-030336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/21
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャンジョブに基づくスキャン処理を実行するスキャン機能と、プリントジョブに基づくプリント処理を実行するプリント機能と、コピージョブに基づく前記スキャン処理及び前記プリント処理を実行するコピー機能とを備え、前記コピージョブの実行は、前記スキャン処理と前記プリント処理とを並列処理する画像形成装置であって、
前記コピージョブの実行が指示されると、ジョブの実行に必要な作業領域の容量とメモリーの空き領域とを比較する空き領域判定部と、
前記空き領域判定部によって前記メモリーの空き領域が前記スキャンジョブの実行に必要な作業領域の容量以上で前記プリントジョブの実行に必要な作業領域の容量未満であると判定された場合、前記並列処理を解消し、前記スキャン処理を実行した後に、スキャン画像を不揮発性メモリーに保存し、再起動後に前記プリント処理を実行する分割処理実行部と、を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
スキャンジョブに基づくスキャン処理を実行するスキャン機能と、プリントジョブに基づくプリント処理を実行するプリント機能と、コピージョブに基づく前記スキャン処理及び前記プリント処理を実行するコピー機能とを備え、前記コピージョブの実行は、前記スキャン処理と前記プリント処理とを並列処理する画像形成装置であって、
前記コピージョブの実行が指示されると、ジョブの実行に必要な作業領域の容量とメモリーの空き領域とを比較する空き領域判定部と、
前記空き領域判定部によって前記メモリーの空き領域が前記スキャンジョブの実行に必要な作業領域の容量以上で前記プリントジョブの実行に必要な作業領域の容量未満であると判定された場合、前記並列処理を解消し、前記スキャン処理を実行した後に、スキャン画像を不揮発性メモリーに保存し、再起動後に前記プリント処理を実行する分割処理実行部と、
前記空き領域判定部によって前記メモリーの空き領域が前記プリントジョブの実行に必要な作業領域の容量以上で前記コピージョブの実行に必要な作業領域の容量未満であると判定された場合、前記並列処理を解消し、前記スキャン処理を実行した後に、前記プリント処理を実行する順次処理実行部と、を具備することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピージョブを実行するコピー機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリーオーバー発生時に、コピージョブを頁単位で分割して随時処理を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-58431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ジョブの分割が頁単位であるため、コピージョブに基づくスキャン処理とプリント処理とを並列処理する設定になっている場合、依然としてメモリーオーバーが発生してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コピージョブの処理を分割して順に実行することで、メモリー不足を発生させずにコピージョブを実行することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、スキャンジョブに基づくスキャン処理を実行するスキャン機能と、プリントジョブに基づくプリント処理を実行するプリント機能と、コピージョブに基づく前記スキャン処理及び前記プリント処理を実行するコピー機能とを備え、前記コピージョブの実行は、前記スキャン処理と前記プリント処理とを並列処理する画像形成装置であって、前記コピージョブの実行が指示されると、ジョブの実行に必要な作業領域の容量とメモリーの空き領域とを比較する空き領域判定部と、前記空き領域判定部によって前記メモリーの空き領域が前記スキャンジョブの実行に必要な作業領域の容量以上で前記プリントジョブの実行に必要な作業領域の容量未満であると判定された場合、前記並列処理を解消し、前記スキャン処理を実行した後に、スキャン画像を不揮発性メモリーに保存し、再起動後に前記プリント処理を実行する分割処理実行部と、を具備することを特徴とする
た、本発明の画像形成装置は、スキャンジョブに基づくスキャン処理を実行するスキャン機能と、プリントジョブに基づくプリント処理を実行するプリント機能と、コピージョブに基づく前記スキャン処理及び前記プリント処理を実行するコピー機能とを備え、前記コピージョブの実行は、前記スキャン処理と前記プリント処理とを並列処理する画像形成装置であって、前記コピージョブの実行が指示されると、ジョブの実行に必要な作業領域の容量とメモリーの空き領域とを比較する空き領域判定部と、前記空き領域判定部によって前記メモリーの空き領域が前記スキャンジョブの実行に必要な作業領域の容量以上で前記プリントジョブの実行に必要な作業領域の容量未満であると判定された場合、前記並列処理を解消し、前記スキャン処理を実行した後に、スキャン画像を不揮発性メモリーに保存し、再起動後に前記プリント処理を実行する分割処理実行部と、前記空き領域判定部によって前記メモリーの空き領域が前記プリントジョブの実行に必要な作業領域の容量以上で前記コピージョブの実行に必要な作業領域の容量未満であると判定された場合、前記並列処理を解消し、前記スキャン処理を実行した後に、前記プリント処理を実行する順次処理実行部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メモリーの空き領域がコピージョブの実行に必要な作業領域の容量未満である場合でも、コピージョブの処理を分割して順に実行することで、メモリー不足を発生させずにコピージョブを実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る画像形成装置の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
図2図1に示す画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【0010】
本実施の形態の画像形成装置1は、スキャンジョブに基づくスキャン処理を実行するスキャン機能と、プリントジョブに基づくプリント処理を実行するプリント機能と、コピージョブに基づくスキャン処理及びプリント処理を実行するコピー機能とを備えたMFP(Multifunction Peripheral / Printer / Product)であり、図1を参照すると、原稿読取部2と、原稿給送部3と、画像形成部4と、操作部5と、記憶部6と、画像処理部7と、通信部8と、電源部10と、制御部100とを備えている。
【0011】
原稿読取部2は、原稿に対して光を照射し、その反射光等を受光して原稿画像を読み取る読取ユニットであり、原稿が載置されるコンタクトガラスと、原稿給送部3の搬送経路に設けられたスリットガラスとを備えている。
【0012】
原稿給送部3は、原稿載置面に載置された原稿を1枚ずつ順に繰り出して原稿読取部2に給送する。また、原稿給送部3と原稿読取部2とは、画像形成装置1の奥側でヒンジ機構によって回動可能に接続されており、原稿給送部3は、コンタクトガラスに対向して設けられた回動可能な原稿台カバーとして機能する。原稿給送部3を上方に開くことで、コンタクトガラス上面が開放され、コンタクトガラスに原稿をセットできる状態となる。
【0013】
画像形成部4は、例えば、感光体ドラムと、帯電部、露光部と、現像部と、転写部と、クリーニング部と、定着部とを備え、形成した画像を記録紙に記録する。
【0014】
操作部5は、液晶ディスプレイ等の表示部と、各種の操作ボタンとが設けられている。ユーザーは操作部5を操作して指示を入力することで、画像形成装置1の各種の設定を行い、画像形成等の各種機能を実行させる。操作部5は、画像形成装置1の状態を表示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したり、タッチパネルとして、両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。
【0015】
記憶部6は、半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶手段である。
【0016】
画像処理部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の演算処理回路であり、例えば、拡大縮小処理、濃度調整処理、階調調整処理等の画像処理に係る各種ジョブを実行する。
【0017】
通信部8は、LAN等のネットワーク20を介して、パーソナルコンピュータ等の周辺機器21との間で各種データを送受信する機能を有する。また、通信部8は、ネットワーク20及びルーター22を介してインターネット23に接続可能に構成されている。そして通信部8は、インターネット23に接続されている各種通信機器との間で各種データを送受信する機能を有する。
【0018】
電源部10は、商用交流電源ACを画像形成装置1の各部で利用可能な直流電圧DCに変換し、変換した直流電圧DCを電源として画像形成装置1の各部に供給する。
【0019】
制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROM102には画像形成装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAM103に展開させることで装置全体の制御を行う。そして、RAM103の空き領域は、原稿読取部2によって読み取ったスキャン画像を記憶し、記憶したスキャン画像の補正処理を実行する作業領域となると共に、補正後のスキャン画像とジョブ設定情報とに基づいて、画像形成部4によって記録紙に印刷するプリント画像を生成する作業領域となる。
【0020】
また、制御部100は、空き領域判定部104、分割処理実行部105、順次処理実行部106として機能する。
【0021】
空き領域判定部104には、ジョブの種類毎に実行に必要な作業領域の容量が設定されている。本実施の形態では、スキャンジョブの実行に必要な作業領域は「A」に、プリントジョブの実行に必要な作業領域は「A」よりも大きい「B」に、コピージョブの実行に必要な作業領域は「A+B」にそれぞれ設定されている。なお、コピージョブの実行は、パフォーマンス向上のためにスキャン処理とプリント処理とを並列処理する設定となっている。
【0022】
空き領域判定部104は、ジョブの実行が指示されると、ジョブの実行に必要な作業領域の容量と、RAM103の空き領域Xとを比較し、その比較結果に応じて、通常処理と、分割処理実行部105による分割処理と、順次処理実行部106による順次処理とのいずれかを選択して実行させる。
【0023】
次に、画像形成装置1においてコピージョブの実行が指示された際の動作について図2を参照して詳細に説明する。
【0024】
コピージョブの実行が指示されると、空き領域判定部104は、RAM103の空き領域Xがスキャンジョブの実行に必要な作業領域「A」未満か否かを判定する(ステップS101)。
【0025】
ステップS102で空き領域Xが作業領域「A」未満である場合、空き領域判定部104は、コピージョブの実行には再起動が必要であることを通知するエラーメッセージを操作部5に表示させ(ステップS102)、動作を終了させる。なお、スキャンジョブの実行が指示され、空き領域Xが作業領域「A」未満である場合も、空き領域判定部104は、同様のエラーメッセージを操作部5に表示させ、動作を終了させる。
【0026】
ステップS102で空き領域Xが作業領域「A」以上である場合、空き領域判定部104は、RAM103の空き領域Xがスキャンジョブの実行に必要な作業領域「B」未満か否かを判断する(ステップS103)。
【0027】
ステップS103で空き領域Xが作業領域「B」未満である場合、空き領域判定部104は、分割処理実行部105による分割処理の実行を選択する(ステップS104)。
【0028】
分割処理実行部105は、スキャン処理とプリント処理との並列処理を解除し、RAM103の空き領域Xを作業領域として用いて原稿読取部2によってスキャン画像を読み取り、読み取ったスキャン画像の補正処理を実行するスキャン処理を実行する(ステップS105)。
【0029】
次に、分割処理実行部105は、補正後のスキャン画像と、ジョブ設定情報とを不揮発性の記憶手段である記憶部6に一時保存する(ステップS106)。
【0030】
次に、分割処理実行部105は、電源部10に再起動を指示し、画像形成装置1を再起動させる(ステップS107)。
【0031】
再起動後、分割処理実行部105は、記憶部6に一時保存させた補正後のスキャン画像と、ジョブ設定情報とに基づいて、画像形成部4によって記録紙に印刷するプリント画像を生成し、プリント処理を実行し(ステップS108)、動作を終了する。
【0032】
ステップS103で空き領域Xが作業領域「B」以上である場合、空き領域判定部104は、RAM103の空き領域Xがコピージョブの実行に必要な作業領域「A+B」未満か否かを判定する(ステップS109)。
【0033】
ステップS109で空き領域Xが作業領域「A+B」未満である場合、空き領域判定部104は、順次処理実行部106による順次処理の実行を選択する(ステップS110)。
【0034】
順次処理実行部106は、スキャン処理とプリント処理との並列処理を解除し、RAM103の空き領域Xを作業領域として用いて原稿読取部2によってスキャン画像を読み取り、読み取ったスキャン画像の補正処理を実行するスキャン処理を実行する(ステップS111)。
【0035】
次に、順次処理実行部106は、スキャン処理完了後に、補正後のスキャン画像と、ジョブ設定情報とに基づいて、画像形成部4によって記録紙に印刷するプリント画像を生成し、プリント処理を実行し(ステップS112)、動作を終了する。
【0036】
ステップS109で空き領域Xが作業領域「A+B」以上である場合、空き領域判定部104は、スキャン処理とプリント処理とを並列処理する通常処理の実行を選択する(ステップS113)。これにより、スキャン処理とプリント処理との並行処理が実行され(ステップS114)、動作が終了する。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態は、スキャンジョブに基づくスキャン処理を実行するスキャン機能と、プリントジョブに基づくプリント処理を実行するプリント機能と、コピージョブに基づくスキャン処理及びプリント処理を実行するコピー機能とを備え、コピージョブの実行は、スキャン処理とプリント処理とを並列処理する画像形成装置1であって、コピージョブの実行が指示されると、スキャンジョブ及びプリントジョブの実行に必要な作業領域のそれぞれの容量とメモリー(RAM103)の空き領域Xとを比較する空き領域判定部104と、空き領域判定部104によってメモリーの空き領域Xがスキャンジョブの実行に必要な作業領域の容量「A」以上でプリントジョブの実行に必要な作業領域の容量「B」未満であると判定された場合、並列処理を解消し、スキャン処理を実行した後に、不揮発性メモリーに保存し、再起動後にプリント処理を実行する分割処理実行部105とを備えている。
この構成により、メモリーの空き領域Xがスキャンジョブの実行に必要な作業領域の容量「A」以上でプリントジョブの実行に必要な作業領域の容量「B」未満である場合、コピージョブの処理を分割して順に実行することで、メモリー不足を発生させずにコピージョブを実行することができる。
【0038】
また、本実施の形態は、スキャンジョブに基づくスキャン処理を実行するスキャン機能と、プリントジョブに基づくプリント処理を実行するプリント機能と、コピージョブに基づくスキャン処理及びプリント処理を実行するコピー機能とを備え、コピージョブの実行は、スキャン処理とプリント処理とを並列処理する画像形成装置1であって、コピージョブの実行が指示されると、プリントジョブ及びコピージョブの実行に必要な作業領域のそれぞれの容量とメモリー(RAM103)の空き領域Xとを比較する空き領域判定部104と、空き領域判定部104によってメモリーの空き領域Xがプリントジョブの実行に必要な作業領域の容量「B」以上でコピージョブの実行に必要な作業領域の容量「A+B」未満であると判定された場合、並列処理を解消し、スキャン処理を実行した後に、プリント処理を実行する順次処理実行部106とを備えている。
この構成により、メモリーの空き領域Xがプリントジョブの実行に必要な作業領域の容量「B」以上でコピージョブの実行に必要な作業領域の容量「A+B」未満である場合、再起動することなく、コピージョブの処理を分割して順に実行することで、メモリー不足を発生させずにコピージョブを実行することができる。
【0039】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0040】
1 画像形成装置
2 原稿読取部
3 原稿給送部
4 画像形成部
5 操作部
6 記憶部
7 画像処理部
8 通信部
10 電源部
20 ネットワーク
21 周辺機器
22 ルーター
23 インターネット
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 空き領域判定部
105 分割処理実行部
106 順次処理実行部
図1
図2