(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】PET装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20221109BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20221109BHJP
【FI】
G01T1/161 D
G06F3/04842
(21)【出願番号】P 2018208678
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-02-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【氏名又は名称】江口 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【氏名又は名称】阿久津 好二
(74)【代理人】
【識別番号】100170988
【氏名又は名称】妹尾 明展
(74)【代理人】
【識別番号】100189566
【氏名又は名称】岸本 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100228865
【氏名又は名称】吉見 優人
(72)【発明者】
【氏名】大谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】御守 なつの
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-210433(JP,A)
【文献】特開2018-161488(JP,A)
【文献】特開2018-057694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者より収集されたデータに基づいて医用画像を生成するPET装置であって、前記PET装置は、操作者が複数の工程を順次実施することにより前記医用画像を生成するように構成され、
表示画面を有する表示部と、
前記表示画面に対する前記操作者の操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた操作に基づいて前記表示部を制御する制御部とを備え、
前記表示部は、前記複数の工程にそれぞれ対応する複数の設定画面を、前記表示画面に重畳させて表示するように構成され、
前記制御部は、前記操作部が受け付けた操作に基づいて、前記複数の設定画面のうちの最上層の設定画面を切り替えるように構成され、
前記表示部はさらに、前記複数の設定画面の各々において、複数の情報をウィザード形式で順次入力するための複数のウィザード画面を表示するように構成され
、
前記複数の設定画面の各々において、前記複数のウィザード画面は、被検者を選択するためのウィザード画面を含み、
前記制御部は、前記操作部が前記操作を受け付けた時点で前記最上層の設定画面に表示されていたウィザード画面を保持した状態で、前記最上層の設定画面を切り替え、
前記制御部は、ウィザード画面が保持されている設定画面を前記最上層の設定画面とする場合に、保持した状態のウィザード画面を表示するPET装置。
【請求項2】
前記表示部はさらに、前記複数の設定画面に対応して、前記操作部が前記最上層の設定画面を切り替える操作を受け付けるための複数のオブジェクトを表示するように構成される、請求項1に記載のPET装置。
【請求項3】
前記複数の設定画面は、
前記被検者に関する情報を設定するための第1の設定画面と、
前記データの収集および前記医用画像の生成に関する情報を設定するための第2の設定画面と、
前記医用画像の保存に関する情報を設定するための第3の設定画面とを含み、
前記表示部は、前記第1から第3の設定画面の各々において、前記複数のウィザード画面を表示するように構成され、
前記制御部は、前記操作部が受け付けた操作に基づいて、前記第1から第3の設定画面のうちの前記最上層の設定画面を切り替えるとともに、前記操作部が前記操作を受け付けた時点で前記最上層の設定画面に表示されていたウィザード画面を保持した状態で、前記最上層の設定画面を切り替える、請求項
1または2に記載のPET装置。
【請求項4】
前記表示部の前記表示画面は、
前記最上層の設定画面を表示する第1の表示領域と、
前記第1の表示領域に並べて配置され、前記医用画像診断装置のステータス情報を表示する第2の表示領域とを有する、請求項1から
3のいずれか1項に記載のPET装置。
【請求項5】
前記ステータス情報は、前記複数の工程の進捗状況に関する情報および前記医用画像診断装置の稼働状態に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項
4に記載のPET装置。
【請求項6】
前記表示部の前記表示画面は、さらに、前記操作者へのメッセージを表示する第3の表示領域を有する、請求項
4または
5に記載のPET装置。
【請求項7】
前記第1の表示領域は、前記ウィザード画面とともに、前記最上層の設定画面に対応する工程の進捗を表示する、請求項
4から
6のいずれか1項に記載のPET装置。
【請求項8】
被検者より収集されたデータに基づいて医用画像を生成するPET装置であって、前記PET装置は、操作者が複数の工程を順次実施することにより前記医用画像を生成するように構成され、
表示画面を有する表示部と、
前記表示画面に対する前記操作者の操作を受け付ける操作部とを備え、
前記表示部は、前記複数の工程にそれぞれ対応する複数の設定画面を有しており、前記操作部が受け付けた操作に基づいて前記複数の設定画面のうちの第1の設定画面を前記表示画面に表示するように構成され、
前記表示部はさらに、
前記複数の設定画面に対応して、前記操作部が前記第1の設定画面を選択する操作を受け付けるための複数のオブジェクトを表示するとともに、
前記複数の設定画面の各々において、複数の情報をウィザード形式で順次入力するための複数のウィザード画面を表示するように構成され
、
前記複数の設定画面の各々において、前記複数のウィザード画面は、被検者を選択するためのウィザード画面を含み、
前記表示部は、前記操作部が前記操作を受け付けた時点で前記第1の設定画面に表示されていたウィザード画面を保持した状態で、前記第1の設定画面を切り替え、
前記表示部は、ウィザード画面が保持されている設定画面を前記第1の設定画面とする場合に、保持した状態のウィザード画面を表示するPET装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置は、被検者より収集されたデータに基づいて医用画像を生成するように構成される。医用画像診断装置には、被検者から放出される放射線薬剤の分布をイメージングするように構成された核医学診断装置がある。核医学診断装置の1つとして、特開2013-185855号公報(特許文献1)には、PET(Positron Emission Tomography)装置が開示される。
【0003】
PET装置は、陽電子(Positron)の消滅によって発生する放射線を円環状に並んで構成される複数の検出器により検出する。複数の検出器で同時に検出された一対の放射線(消滅放射線対)を基に被検者の断層画像を再構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したPET装置においては、放射性薬剤を被検者に投与した後、対象組織における薬剤蓄積の過程を経時的に測定することで、様々な生体機能を定量的に測定することができる。その一方で、PET装置の操作者には、被検者ごとに様々な情報を設定する作業が求められる。設定される情報には、検査直前での被検者の体重および投薬情報など、検査の直前まで確定しない情報が含まれている。そのため、操作者は、検査の直前に多くの情報を設定することが求められるため、手間が掛かってしまうことが懸念される。
【0006】
また、収集されたデータから断層画像を再構成するためには比較的長い時間が必要とされる。その結果、複数の被検者の断層画像を生成する場合には相当の時間を要するため、操作者は、複数の被検者の断層画像の生成処理を並行して行なうことで作業の効率化を図っている。
【0007】
しかしながら、従来のPET装置においては、例えば、ある被検者について断層画像を再構成する工程を実行しているときに、別の被検者について検査条件を設定する工程を実行する場合には、表示部の表示画面に断層画像が表示されている状態で、別の被検者の検査条件の設定画面をも表示画面に表示させることがある。このとき、断層画像などの重要な情報が見えなくなると困るため、断層画像の表示領域を確保しながら、検査条件の設定画面を表示させて作業ができるようにしている。そのため、各工程を表示する表示領域のサイズが小さくなり、画面の遷移が複雑化することが懸念される。また、画面が複雑化することで、操作者が誤った情報を入力する、または情報の入力漏れが生じるなどの誤操作をしてしまうことが懸念される。
【0008】
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な操作で操作者が効率的に作業することを可能にする医用画像診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面によれば、医用画像診断装置は、被検者より収集されたデータに基づいて医用画像を生成する装置であって、操作者が複数の工程を順次実施することにより医用画像を生成するように構成される。医用画像診断装置は、表示画面を有する表示部と、表示画面に対する操作者の操作を受け付ける操作部と、操作部が受け付けた操作に基づいて表示部を制御する制御部とを備える。表示部は、複数の工程にそれぞれ対応する複数の設定画面を、表示画面に重畳させて表示するように構成される。制御部は、操作部が受け付けた操作に基づいて、複数の設定画面のうちの最上層の設定画面を切り替えるように構成される。表示部はさらに、複数の設定画面の各々において、複数の情報をウィザード形式で順次入力するための複数のウィザード画面を表示するように構成される。
【0010】
上記医用画像診断装置によれば、複数の被検者の医用画像を生成するときに、ある被検者についてある工程を実行している間に、別の被検者について別の工程を実行する場合には、操作者は、表示画面の最上層の設定画面を切り替えることで、これら2つの工程を並行して実行することができる。これによると、表示部に1つの工程の設定画面が表示されているときには、別の工程の設定画面は非表示であるため、操作者にとって現在どの工程を実行しているのかが明確となる。また、2つの工程にそれぞれ対応する2つの設定画面を表示画面上に並べて表示させる態様と比べて、個々の設定画面が小型化および複雑化することを防止することができる。よって、操作者が誤った操作を行なうおそれを低減することができる。
【0011】
また、各工程の設定画面は、対応する工程で設定される複数の情報をウィザード形式で順次入力するための複数のウィザード画面を表示するように構成されるため、各設定画面に表示されるオブジェクトの数などが抑えられる。これにより、設定画面を簡素化でき、操作性を向上させることができる。また、操作者は対話形式で操作を進めていくことで複数の情報を設定することができるため、複数の情報の設定を簡易なものとすることができる。
【0012】
好ましくは、表示部はさらに、複数の設定画面に対応して、操作部が最上層の設定画面を切り替える操作を受け付けるための複数のオブジェクトを表示するように構成される。
【0013】
これによると、操作者は、複数のオブジェクトの中から1つのオブジェクトを選択する操作を行なうことで、表示画面の最上層の設定画面を切り替えることができる。
【0014】
好ましくは、制御部は、操作部が操作を受け付けた時点で最上層の設定画面に表示されていたウィザード画面を保持した状態で、最上層の設定画面を切り替えるように構成される。
【0015】
これによると、複数の工程を並行して実行する場合において、各工程の設定画面に対して入力された情報を保持したまま、複数の設定画面の間で最上層の設定画面を切り替えることができる。したがって、最上層の設定画面を切り替えたときに、切り替え後の設定画面において、最初から情報を設定し直すといった二度手間が生じることを回避することができる。その結果、複数の被検者の医用画像を生成する処理における作業効率を向上させることができる。
【0016】
好ましくは、複数の設定画面は、被検者に関する情報を設定するための第1の設定画面と、データの収集および医用画像の生成に関する情報を設定するための第2の設定画面と、医用画像の保存に関する情報を設定するための第3の設定画面とを含む。表示部は、第1から第3の設定画面の各々において、複数のウィザード画面を表示するように構成される。制御部は、操作部が受け付けた操作に基づいて、第1から第3の設定画面のうちの最上層の設定画面を切り替えるとともに、操作部が操作を受け付けた時点で最上層の設定画面に表示されていたウィザード画面を保持した状態で、最上層の設定画面を切り替える。
【0017】
これによると、複数の被検者の医用画像を生成する処理において、操作者は、簡易な操作で効率的に作業することができる。
【0018】
好ましくは、表示部の表示画面は、最上層の設定画面を表示する第1の表示領域と、第1の表示領域に並べて配置され、医用画像診断装置のステータス情報を表示する第2の表示領域とを有する。
【0019】
好ましくは、ステータス情報は、複数の工程の進捗状況に関する情報および医用画像診断装置の稼働状態に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0020】
これによると、操作者は、設定画面において情報を設定しているときにおいて、常に検査の進捗状況や医用画像診断装置のステータスを確認することができる。
【0021】
好ましくは、表示部の表示画面は、さらに、操作者へのメッセージを表示する第3の表示領域を有する。
【0022】
これによつろ、設定画面において情報を設定しているときに、エラーまたは警告などのメッセージが発生しても、設定画面とは別の表示領域にメッセージが表示されるため、設定画面を邪魔することがない。
【0023】
好ましくは、第1の表示領域は、ウィザード画面とともに、最上層の設定画面に対応する工程の進捗を表示する。
【0024】
これによると、操作者は、各工程における進捗状況を容易に確認することができる。
この発明の別の局面によれば、医用画像診断装置は、被検者より収集されたデータに基づいて医用画像を生成する装置であって、操作者が複数の工程を順次実施することにより医用画像を生成するように構成される。医用画像診断装置は、表示画面を有する表示部と、記表示画面に対する前記操作者の操作を受け付ける操作部とを備える。表示部は、複数の工程にそれぞれ対応する複数の設定画面を有している。表示部は、操作部が受け付けた操作に基づいて複数の設定画面のうちの第1の設定画面を表示画面に表示するように構成される。表示部はさらに、複数の設定画面に対応して、操作部が第1の設定画面を選択する操作を受け付けるための複数のオブジェクトを表示するとともに、複数の設定画面の各々において、複数の情報をウィザード形式で順次入力するための複数のウィザード画面を表示するように構成される。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、簡易な操作で操作者が効率的に作業することを可能にする医用画像診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明の実施の形態に従う医用画像診断装置の側面図である。
【
図2】
図1に示したPET装置のブロック図である。
【
図3】PET画像の生成処理の流れを説明するための図である。
【
図4】複数の被検者のPET画像を生成する処理の流れを説明する図である。
【
図5】表示部の表示画面の構成例を模式的に示す図である。
【
図7】情報設定工程を実行するための設定画面の表示例を示す図である。
【
図8】検査工程を実行するための設定画面の表示例を示す図である。
【
図9】画像送信工程を実行するための設定画面の表示例を示す図である。
【
図10】表示部の表示画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0028】
図1は、この発明の実施の形態に従う医用画像診断装置の側面図である。本実施の形態に従う医用画像診断装置は、被検者Mより収集されたデータに基づいて医用画像を生成するように構成される。以下の説明では、医用画像診断装置として、核医学診断装置を例示する。
図1の例では、核医学診断装置は、PET(Positron Emission Tomography)装置である。
【0029】
図1を参照して、PET装置100は、被検者Mの乳癌検出のためのマンモグラムに適用される。PET装置100は、伏臥姿勢の被検者Mを載置するためのガントリ1を備えている。ガントリ1の載置面には、載置面よりも下部で乳房を診断するために、乳房を挿入するための開口部2が形成されている。
【0030】
ガントリ1内には、PET検出器3、支持部4および駆動部5が設置されている。PET検出器3は、被検者Mから発生したγ線を検出する。支持部4は、PET検出器3を支持する。駆動部5は、支持部4の支柱部分を上下方向に昇降移動させるとともに、水平面に沿って往復運動させる。
【0031】
PET検出器3は、複数のγ線検出器群を有する。複数のγ線検出器群は、ガントリ1の載置面に沿って円状に配設される。本実施の形態では、支持面は水平面となっており、複数のγ線検出器群を支持面である水平面に沿って円状に配設する。複数のγ線検出器群は、開口部2に挿入された乳房を取り囲むように配置される。
【0032】
PET検出器3において、γ線検出器群は、シンチレータブロック、ライトガイドおよび光電子増倍管(いずれも図示せず)を有する。シンチレータブロックは、複数個のシンチレータからなる。シンチレータブロックは、放射性薬剤が投与された被検者Mから発生したγ線を光に変換する。ライトガイドは変換された光を案内する。光電子倍増管は、案内された光を光電変換して電気信号を出力する。
【0033】
支持部4の支柱部分は、支持面に対して垂直方向に移動するように構成される。このように移動することで、支持部4に支持されたPET検出器3を支持面の回転面に対して垂直方向に移動させることができる。駆動部5は、支持部の支柱部分を、支持面である水平面に対して垂直となる上下方向に昇降移動させる。
【0034】
支持部4は、上述したように支持面である水平面に対して垂直方向に移動する他に、支持面に沿って移動するように構成される。これにより、PET検出器3を支持面に沿ってガントリ1内を移動させることができる。本実施の形態では、駆動部5は、支持部4を水平面に沿って往復移動させることで、PET検出器3を水平面に沿って往復移動させることができる。
【0035】
駆動部5は、例えばモータ、駆動軸、ピニオン、ラックおよびガイドレール(いずれも図示せず)により構成される。駆動部5は、モータの駆動によって駆動軸を介してピニオンを回転させることにより、ピニオンに嵌合されたラックをガイドレールに沿って昇降移動させる。このガイドレールの昇降移動に伴って、支持部4を電動で昇降移動させる。また、開口部2の下方の床面に沿ってレール(図示せず)を敷設し、支持部4の基台部分の底部に車輪等を結合してレール上を移動させることで、支持部4を水平面に沿って往復移動させる。
【0036】
図2は、
図1に示したPET装置100のブロック図である。
図2を参照して、PET装置100は、ガントリ1と、コンソール10と、タッチパネル20とを備える。ガントリ1は、上述したPET検出器3、支持部4および駆動部5に加えて、駆動制御部6およびエミッションデータ収集部7を備える。コンソール10は、吸収補正部12と、PET画像再構成部14と、撮像制御部16と、記憶部18とを備える。
【0037】
駆動制御部6は、駆動部5の駆動部分(例えばモータ)を制御し、支持部4に設けられた位置検出センサ(図示せず)に基づいて、移動終了のタイミングを受信したときに、駆動部分に制動命令を出力する。駆動制御部6は、また、撮像制御部16にデータ収集の命令を出力する。駆動制御部6および撮像制御部16は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)などで構成されている。なお、位置検出センサは、フォトセンサなどに代表される非接触型センサであってもよいし、マイクロスイッチなどで代表される接触型センサであってもよい。
【0038】
エミッションデータ収集部7は、PET検出器3で検出されたγ線に基づいて、核医学用データであるエミッションデータを収集する。エミッションデータ収集部7は、同時計数回路を有している。収集されたエミッションデータは、コンソール10内の吸収補正部12に出力される。
【0039】
吸収補正部12は、エミッションデータの吸収補正を行なう。具体的には、吸収補正部12は、被検者Mの乳房のγ線吸収係数分布を考慮した補正データを導出し、エミッションデータに作用させる。吸収補正されたエミッションデータは、PET画像再構成部14に出力される。
【0040】
PET画像再構成部14は、吸収補正されたエミッションデータを投影データとしてPET画像を再構成する。PET画像として操作者が領域指定した断層画像を再構成してもよい。あるいは、PET画像再構成部14は、3Dデータを再構成してから断層画像を作成してもよい。これらの画像データはタッチパネル20の表示部24にて表示されるとともに、記憶部18に格納される。吸収補正部12およびPET画像再構成部14は、マイクロプロセッサまたはFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成してもよいし、撮像制御部16のCPUの一部構成であってもよい。
【0041】
撮像制御部16は、PET装置100を構成する各部を統括制御する。具体的には、撮像制御部16は、駆動部5が実行する駆動を、駆動制御部6を介して制御する。支持部4に設けられた位置検出センサに基づいて移動終了のタイミングを駆動制御部6が受信したときには、駆動制御部6から出力されたデータ収集の命令を撮像制御部16が受信して、エミッションデータ収集部7および吸収補正部12に各々のデータの収集の命令を出力する。
【0042】
撮像制御部16は、また、PET画像再構成部14に投影データの再構成の命令を出力する。撮像制御部16は、さらに、タッチパネル20の操作部22が受け付けた操作に基づいて、表示部24を制御するように構成される。撮像制御部16は「制御部」の一実施例に対応する。
【0043】
タッチパネル20は、操作者の操作を受け付ける操作部22と、情報を表示する表示部24とを有する。表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、有機EL(electroluminescence)、CRTなどで構成された表示画面を有する。操作部22は、表示画面と一体的に設けられてタッチパネルを構成する。操作部22は、タッチパネル20に対する操作者のタッチ操作を受け付ける。操作部22は、設定画面を構成するGUI(Graphical User Interface)に対して文字や数値を入力するための入力キー等のオブジェクトを有する。
【0044】
操作部22は、操作者が入力したデータおよび命令を撮像制御部16へ出力する。操作者は、断層像の領域指定なども操作部22に入力する。操作部22は、上述したタッチパネル以外に、マウス、キーボード、ジョイスティック、およびトラックボールなどのポインティングデバイスで構成してもよい。
【0045】
記憶部18は、種々の画像データなどを記憶しており、フラッシュメモリ、ハードディスクおよびストレージなどで構成される。
【0046】
次に、本実施の形態に係る医用画像診断装置における医用画像の生成処理の流れについて説明する。以下の説明では、
図1に示したPET装置100におけるPET画像の生成処理について例示する。
【0047】
図3は、PET画像の生成処理の流れを説明するための図である。
図3を参照して、PET画像の生成処理は、情報設定工程SA、検査工程SB、および画像送信工程SCを備える。
【0048】
情報設定工程SAは、PET画像の生成に必要な情報を設定する工程である。情報設定工程SAは、被検者を選択する工程a1、被検者情報を設定する工程a2、プロトロコルを設定する工程a3、および投薬情報を設定する工程a4を有する。
【0049】
被検者を選択する工程a1では、予め作成されている被検者のリストの中から検査対象となる被検者が選択される。被検者情報を設定する工程a2では、工程a1で選択された被検者に関する情報が設定される。被検者に関する情報には、被検者の身長、体重および血糖値などの情報が含まれる。
【0050】
プロトコルを設定する工程a3では、検査条件が設定される。検査条件には、検査開始時刻、検査部位、エミッションデータの収集時間、および画像再構成条件などが含まれる。投薬情報を設定する工程a4では、被検者に投与された放射性薬剤の種類および、放射性薬剤が投与された日時などの情報が設定される。
【0051】
これらの情報は、操作者が操作部22を操作して設定することができる。本実施の形態では、操作者は、タッチパネル20の表示画面に表示されたオブジェクトをタッチ操作することにより、情報を設定することができる。情報設定工程SAで設定された情報は、操作部22から撮像制御部16に送信される。撮像制御部16は、送信された情報を記憶部18に格納する。
【0052】
検査工程SBは、情報設定工程SAで設定された情報を用いて、被検者Mからエミッションデータを収集し、収集したエミッションデータを再構成してPET画像を生成する工程である。検査工程SBは、検査を選択する工程b1と、撮影する工程b2とを有する。
【0053】
検査選択工程b1では、被検者Mにおける検査部位が選択される。操作者は操作部22を操作することにより、被検者Mの検査部位を選択する。撮影する工程b2では、放射線薬剤が投与された被検者Mの検査部位から発生するγ線がPET検出器3で検出され、検出されたγ線に基づいてエミッションデータが収集される。収集されたエミッションデータを再構成することにより、PET画像が生成される。
【0054】
画像送信工程SCは、検査工程SBにて生成されたPET画像をサーバに送信する工程である。画像送信工程SCは、送信対象を選択する工程c1、シリーズを選択する工程c2、およびキャプチャを確認する工程c3を有する。
【0055】
送信対象を選択する工程c1では、PET装置100と通信接続されるサーバに送信するPET画像が選択される。シリーズを選択する工程c2では、サーバに送信するPET画像のシリーズが選択される。キャプチャを確認する工程c3では、キャプチャされたPET画像を表示部24の表示画面に表示させて、PET画像が正常に撮影されているかどうかが確認される。正常に撮影されたPET画像が記憶部18に格納される。記憶部18に格納された送信対象のPET画像は、サーバに送信される。
【0056】
PET装置100の操作者は、1人の被検者Mについて、
図3に示した情報設定工程SA、検査工程SB、および画像送信工程SCを順番に実行する。ただし、情報設定工程SAにて設定される情報には、検査直前での被検者Mの体重および投薬情報など、検査の直前まで確定しない情報が含まれている。そのため、操作者は、検査の直前に多くの情報を設定することが求められるため、手間が掛かってしまう。
【0057】
また、検査工程SBでは、通常、1人の被検者MのPET画像を生成するために5分から20分程度の比較的長い時間を要する。よって、被検者Mが複数人である場合には、被検者全員についてPET画像を生成する処理を実行するために相当長い時間がかかってしまうという問題がある。
【0058】
そこで、従来より、複数の被検者のPET画像を生成する場合には、複数の被検者のPET画像の生成処理を並行して行なうことにより、作業の効率化を図っている。例えば、
図4に示すように、1人の被検者M2の検査工程SBを実行している間に、次に検査対象となる被検者M3についての情報設定工程SAを実行する。または、既に検査が終了した被検者M3についての画像送信工程SCを実行する。例えば、被検者M2の検査工程SBにおいてPET画像を生成している間に、被検者M3に関する情報を入力する。または、被検者M1のPET画像を確認してサーバに送信する。
【0059】
ここで、従来のPET装置においては、
図4に示すように、被検者M2の検査工程SBの実行中に、被検者M1の情報設定工程SAまたは被検者M3の画像送信工程SCを行なう場合には、表示部の表示画面にPET画像のキャプチャが表示されている状態で、別の工程の設定画面をも表示画面に表示させる手法が採られている。この手法では、検査工程SBにおける重要な情報が見えなくなると困るため、キャプチャの表示領域を確保しながら、別の工程の設定画面を表示させて作業ができるようにしている。そのため、各工程を表示する表示領域のサイズが小さくなり、画面の遷移が複雑化することが懸念される。また、画面が複雑化することで、誤った情報を入力する、または情報の入力が漏れるなどの誤操作をしてしまうことが懸念される。
【0060】
さらに、従来のPET装置では、操作者独自のカスタマイズを許容していることが多く、各工程の設定画面や、誤操作をした場合の回避手段(エラーまたは警告の表示)および誤操作からの復旧手段など、標準作業以外の手順のための設定画面を用意していることがある。そのため、表示画面には多くのオブジェクトおよび情報が表示され、複雑なGUIとなっている。結果としてPET装置の取扱い説明書が分厚くなりやすく、かつ、その分厚い網羅的な取扱い説明書には、カスタムを施した操作者のルーチン作業のフローに関する記載がないため、操作者ごとに操作手順書を作成する必要が生じてしまい、操作手順が複雑化することが懸念される。
【0061】
また、従来のPET装置では、操作者の注意を喚起するためのメッセージは、一般的に、表示部の表示画面上にポップアップウィンドウを用いて表示される。このポップアップウィンドウが表示されるタイミングによっては、操作を邪魔したり、設定画面が見えなくなることが懸念される。また、ポップアップウィンドウを消すためには、操作者は、どのようなメッセージが表示されていたかを覚えておく必要がある。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、簡易な操作で操作者が効率的に作業することを可能にするPET装置を提供する。
【0063】
具体的には、本実施の形態に従うPET装置100において、表示部24は、表示画面に、情報設定工程SA、検査工程SBおよび画像送信工程SCの各々の設定画面を表示するレイヤを重畳して表示させるように構成される。
図5は、表示部24の表示画面の構成例を模式的に示す図である。
【0064】
図5を参照して、レイヤAは、情報設定工程SAを実行するための設定画面を構成する。レイヤBは、検査工程SBを実行するための設定画面を構成する。レイヤCは、画像送信工程SCを実行するための設定画面を構成する。
【0065】
表示部24は、表示画面上にこれら3つのレイヤA~Cを重畳して表示させる。表示部24は、操作部22に対する操作者の入力操作に従って、最上層に表示されるレイヤを切り替えることができる。
【0066】
なお、最上層に表示されるレイヤのみが設定画面への操作者の設定を受け付け可能な状態となる。後述するように、レイヤに表示される設定画面には、各工程において複数の情報を設定する方法として、ウィザード形式による設定が適用される。
【0067】
図6は、表示部24の表示画面の表示例を示す図である。
図6を参照して、表示部24の表示画面は、複数の表示領域30,32,34,36を有する。
【0068】
表示領域30は、情報設定工程SA、検査工程SBおよび画像送信工程SCの各々の設定画面を表示するための領域である。表示領域30の端部には3つのタブ40A,40B,40Cが設けられている。タブ40A,40B,40Cは、上述した3つのレイヤA~Cのうち最上層に表示されるレイヤを選択するためのオブジェクトを構成する。
図6の例では、各タブには対応するレイヤの工程名が記載されている。操作者がタブ40Aをタッチ操作した場合にはレイヤAが最上層に表示され、タブ40Bをタッチ操作した場合にはレイヤBが最上層に表示され、タブ40Cをタッチ操作した場合にはレイヤCが最上層に表示される。タブ40A~40Cは、最上層のレイヤを選択するためのオブジェクトの一実施例に対応する。
【0069】
図6の表示例は、タブ40Aがタッチ操作された状態での表示画面を示している。タブ40Aをタッチ操作することによりレイヤAを選択状態とすると、表示領域30には情報設定工程SAの設定画面が表示される。
【0070】
設定画面は、操作部22が受け付けた操作者の操作に基づいて、情報の設定を受け付ける。本実施の形態では、設定画面には、対話形式によって操作者に情報を設定させるためのウィザード画面が表示される。ウィザード画面は、複数の情報をウィザード形式で順次設定させるための画面である。
【0071】
図6の例では、表示領域30には、情報設定工程SAの進捗を表示するための表示バー42が配置されている。表示バー42は5つのセグメントに分割されている。5つのセグメントのうち4つのセグメントは、被検者を選択する工程a1、被検者情報を設定する工程a2、プロトロコルを設定する工程a3および投薬情報を設定する工程a4にそれぞれ対応する。残り1つのセグメントは、情報設定工程SAが完了したことを示すものである。表示領域30にはさらに、次のウィザード画面に遷移するためのボタン(図中のNext)および、前のウィザード画面に戻るためのボタン(図示せず)が配置される。
【0072】
撮像制御部16は、表示領域30内のウィザード画面に入力された操作に基づいて、情報設定工程SAにおける複数の情報の設定を順次受け付ける。このようにウィザード形式による設定では、操作者が対話形式で操作を進めていくことで複数の情報の設定を簡易に行なうことができる。
【0073】
なお、
図6の例では、タブ40B,40Cに対応するレイヤB,Cは非選択状態であるため、レイヤAの下層に配置され、表示画面上には現れていない。操作者がこの状態でタブ40Bをタッチ操作すると、レイヤBが選択状態となり、表示領域30は情報設定工程SAの設定画面から検査工程SBの設定画面に切り替えられる。あるいは、タブ40Cをタッチ操作すると、レイヤCが選択状態となり、表示領域30は情報設定工程SAの設定画面から画像送信工程SCの設定画面に切り替えられる。
【0074】
表示領域30の周囲には、表示領域32,34,36が配置される。表示領域32は、PET装置100のステータス情報を表示するための領域である。ステータス情報には、例えば、PET装置100が再構成したPET画像の数、サーバに送信したPET画像の数、および記憶部18の使用状況(使用容量)などの情報が含まれる。
【0075】
表示領域34は、PET装置100が検査中の情報を表示するための領域である。検査中の情報には、例えば、検査中の被検者および検査時間などの情報が含まれる。
【0076】
表示領域36は、操作者に対するメッセージを表示するための領域である。メッセージには、操作者に注意を喚起するメッセージ(エラーメッセージおよび警告など)が含まれる。
【0077】
なお、表示領域32,34,36については、表示領域30に表示される設定画面が変化しても、その表示内容が変化しないように構成されている。これによると、操作者は、PET装置100のステータス情報、検査中の情報およびメッセージを確認しながら、設定画面に対する情報の設定および設定画面の切り替えを行なうことができる。
【0078】
図6の例では、表示領域36にはさらに、表示領域30に表示される設定画面についてのカスタム設定を行なうためのメニューが配置されている。ただし、表示画面における表示領域30,32,34,36の各々の位置およびレイアウトについては、
図6の表示例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0079】
次に、情報設定工程SA、検査工程SBおよび画像送信工程SCにおける情報の設定について説明する。上述したように、各工程における情報の設定には、ウィザード形式による設定が適用される。
【0080】
(情報設定工程SA)
図7は、情報設定工程SAを実行するための設定画面の表示例を示す図である。
図7では、表示部24の表示画面から表示領域30を抜き出して示している。
【0081】
図3に示したように、情報設定工程SAは、PET画像の生成に必要な情報を設定する工程であり、被検者を選択する工程a1、被検者情報を設定する工程a2、プロトロコルを設定する工程a3、および投薬情報を設定する工程a4を有する。
【0082】
情報設定工程SAでは、最初に、
図7(a)に示す被検者を選択する工程a1を実行させるウィザード画面が表示される。
図7(a)の表示例では、ウィザード画面には被検者のリストが表示される。このリストの中から検査対象の被検者を選択する操作を操作部22が受け付けると、表示部24には、
図7(b)に示す被検者情報を設定する工程a2を実行させるウィザード画面が表示される。
【0083】
図7(b)に示す表示例では、ウィザード画面には、被検者の氏名、ID、生年月日、年齢および性別が表示されるとともに、身長、体重および血糖値を設定するためのオブジェクトが表示される。身長、体重および血糖値を設定する操作を操作部22が受け付けると、表示部24には、
図7(c)に示すプロトコルを設定する工程a3を実行させるウィザード画面が表示される。
【0084】
図7(c)に示す表示例では、ウィザード画面には、検査条件として、検査部位、検査時間、画像再構成条件などを設定するためのオブジェクトが表示される。これらの検査条件を設定する操作を操作部22が受け付けると、表示部24には、
図7(d)に示す投薬情報を設定する工程a4を実行させるウィザード画面が表示される。
【0085】
図7(d)に示す表示例では、ウィザード画面には、被検者に投与された放射性薬剤の種類および、放射性薬剤が投与された日時などを設定するためのオブジェクトが表示される。投薬情報を設定する操作を操作部22が受け付けると、表示部24は、情報設定工程SAが完了したことを表示バー42を用いて操作者に知らせる。
【0086】
(検査工程SB)
図8は、検査工程SBを実行するための設定画面の表示例を示す図である。
図8では、
図7と同様に、表示部24の表示画面から表示領域30を抜き出して示している。
【0087】
図3に示したように、検査工程SBは、情報設定工程SAで設定された情報を用いて、被検者Mからエミッションデータを収集し、収集したエミッションデータを再構成してPET画像を生成する工程であり、検査を選択する工程b1と、撮影する工程b2とを有する。
【0088】
検査工程SBでは、最初に、
図8(a)に示す検査選択工程b1を実行させるためのウィザード画面が表示される。
図8(a)の表示例では、ウィザード画面には、被検者およびその検査部位を示すリストが表示される。このリストの中から検査対象を選択する操作を操作部22が受け付けると、表示部24には、
図8(b)に示す撮影工程b2を実行させるウィザード画面が表示される。
【0089】
図8(b)に示す表示例では、検査のシリーズを選択するためのオブジェクトと、検査開始を指示するためのオブジェクトとが表示される。検査のシリーズが選択され、検査開始を指示する操作を操作部22が受け付けると、PET装置100は、検査工程SBで設定された検査条件に従って、エミッションデータの収集を開始し、収集したエミッションデータに基づいてPET画像を再構成する。なお、
図8(b)のウィザード画面には、再構成されたPET画像を表示させるためのプレビュー画面が設けられている。再構成されたPET画像はタッチパネル20の表示部24に送られる。
【0090】
(画像送信工程SC)
図9は、画像送信工程SCを実行するための設定画面の表示例を示す図である。
図9では、
図7および
図8と同様に、表示部24の表示画面から表示領域30を抜き出して示している。
【0091】
図3に示したように、画像送信工程SCは、検査工程SBで生成されたPET画像をサーバに送信する工程であり、送信対象を選択する工程c1、シリーズを選択する工程c2、およびキャプチャを選択する工程c3を有する。
【0092】
画像送信工程SCでは、最初に、
図9(a)示す送信対象を選択する工程c1を実行させるためのウィザード画面が表示される。
図9(a)の表示例では、ウィザード画面には、検査が終了した被検者およびその検査部位を示すリストが表示される。このリストの中から送信対象を選択する操作を操作部22が受け付けると、表示部24には、
図9(b)に示すシリーズを選択する工程c2を実行させるウィザード画面が表示される。
【0093】
図9(b)に示す表示例では、送信対象に選択された被検者および検査部位について、検査を終了したシリーズのリストが表示される。このリストの中から送信対象のシリーズ選択する操作を操作部22が受け付けると、表示部24には、
図9(c)に示すキャプチャを確認する工程c2を実行させるウィザード画面が表示される。
【0094】
図9(b)に示す表示例では、ウィザード画面には、送信対象のシリーズについてPET画像のキャプチャを表示させるためのプレビュー画面が設けられている。操作者は、プレビュー画面に表示されたキャプチャ画像を見て、PET画像が正常に撮影されているかどうかを確認する。正常に撮影されたことが確認されると、操作者はPET画像を記憶部18に保存する。記憶部18に保存された送信対象のPET画像は、サーバに送信される。
【0095】
次に、本実施の形態に従うPET装置100を用いて、複数の被検者のPET画像を生成する場合の処理の流れについて説明する。
【0096】
以下の説明では、2人の被検者M1,M2のPET画像の生成処理を並行して行なう場合を想定する。例えば、被検者M1について情報設定工程SAを実行している間に、別の被検者M2について画像送信工程SCを実行する場合を想定する。
【0097】
図10は、表示部24の表示画面の表示例を示す図である。
図10では、表示部24の表示画面から表示領域30を抜き出して示している。
【0098】
図10(a)に示すように、操作者がタブ40Aをタップ操作することによりレイヤAを選択状態とすると、表示部24の表示領域30には、被検者M1(
図10ではJane Smith)について情報設定工程SAの設定画面が表示される。
図7で説明したように、情報設定工程SAの設定画面には、複数の情報をウィザード形式で設定させるためのウィザード画面が表示される。
図10(a)の表示例では、表示領域30には、被検者情報を設定する工程a2を実行させるウィザード画面が表示されている。ウィザード画面は、操作者による被検者M1の情報の設定を受け付ける。
【0099】
このとき、操作者がタブ40Cをタップ操作することによりレイヤCを選択状態とすると、
図10(b)に示すように、表示領域30は、被検者M1についての情報設定工程SAの設定画面から、被検者M2についての画像送信工程SCの設定画面に切り替えられる。これにより、PET装置100では、被検者M1についての情報設定工程SAが中断され、被検者M2についての画像送信工程SCが実行可能となる。
【0100】
図9で説明したように、画像送信工程SCの設定画面には、複数の情報をウィザード形式で設定させるためのウィザード画面が表示される。
図10(b)の表示例では、表示領域30には、キャプチャを確認する工程c3を実行させるウィザード画面が表示されている。ウィザード画面のプレビュー画面には、被検者M2のPET画像のキャプチャが表示される。操作者は、キャプチャ画像が正常に撮影されているかどうかを確認し、正常に撮影されていることが確認されると、キャプチャ画像を記憶部18に保存する。
【0101】
被検者M2について画像送信工程SCを実行した後、操作者は、中断した被検者M1についての情報設定工程SAを再開することができる。具体的には、操作者は、タブ40Aをタップ操作することによりレイヤAを選択状態とする。これにより、表示領域30は、被検者M2についての画像送信工程SCの設定画面から被検者M1についての情報設定工程SAの設定画面に切り替わる。
【0102】
このとき、
図10(c)に示すように、情報設定工程SAの設定画面では、画像送信工程SCの設定画面に切り替えられた時点で表示されていたウィザード画面が再び表示される。
図10(c)のウィザード画面は、
図10(a)のウィザード画面と同じである。すなわち、ウィザード画面には、設定画面が切り替えれた時点で表示されていた内容がそのまま保持されている。したがって、操作者は、被検者M1についての情報設定工程SAを、中断した状態から再開することができる。
【0103】
(作用効果)
以下、本実施の形態に従う医用画像診断装置が奏する作用効果について説明する。
【0104】
本実施の形態に従う医用画像診断装置においては、被検者の医用画像を生成する処理を複数の工程に分割して、複数の工程にそれぞれ対応する複数の設定画面を、表示部24の表示画面に重畳させて表示する。表示部24の表示画面は、医用画像診断装置の操作者の操作に従って、最上層の設定画面が切り替えられる。
【0105】
このようにすると、医用画像診断装置を用いて複数の被検者の医用画像を生成するときにおいて、ある被検者についてある工程を実行している間に、別の被検者について別の工程を実行する場合には、操作者は、表示画面の最上層の設定画面を切り替えることで、2つの工程を並行して実行することができる。これによると、1つの工程の設定画面が表示されているときには、別の工程の設定画面は非表示であるため、操作者にとって現在どの工程を実行しているのかが明確となる。また、2つの工程にそれぞれ対応する2つの設定画面を表示画面上に並べて表示させる態様と比較して、個々の設定画面が小型化および複雑化することを防止することができる。この結果、操作者が誤った操作を行なうおそれを低減することができる。
【0106】
また、本実施の形態に従う医用画像診断装置において、複数の設定画面の各々は、対応する工程で設定される複数の情報をウィザード形式で順次入力するための複数のウィザード画面を表示するように構成される。このようにすると、各設定画面に表示されるオブジェクトの数などが抑えられるため、設定画面を簡素化でき、操作性を向上させることができる。また、操作者は対話形式で操作を進めていくことで複数の情報を設定することができるため、複数の情報の設定を簡易なものとすることができる。
【0107】
本実施の形態に従う医用画像診断装置では、さらに、操作部22が最上層の設定画面を切り替えるための操作を受け付けた場合には、当該操作を受け付けた時点で最上層の設定画面に表示されていたウィザード画面を保持した状態で、最上層の設定画面が切り替えられる。これによると、複数の工程を並行して実行する場合において、各工程の設定画面に対して入力された情報を保持したまま、複数の設定画面の間で最上層の設定画面を切り替えることができる。したがって、最上層の設定画面を切り替えたときに、切り替え後の設定画面において、最初から情報を設定し直すといった二度手間が生じることを回避することができる。その結果、複数の被検者の医用画像を生成する処理における作業効率を向上させることができる。
【0108】
また、本実施の形態に従う医用画像診断装置において、表示部24の表示画面には、設定画面が表示される表示領域とは別に、医用画像診断装置のステータス情報、検査中の情報および操作者へのメッセージなどを表示する領域が設けられている。これによると、操作者は、設定画面において情報を設定しているとき、または医用画像のキャプチャを確認しているときにおいて、常に検査の進捗状況や医用画像診断装置の稼働状態を確認することができる。また、設定画面において情報を設定しているときに、エラーまたは警告などのメッセージが発生しても、設定画面とは別の表示領域にメッセージが表示されるため、設定画面を邪魔することがない。
【0109】
さらに、
図5に示したように、表示部24の表示画面において、各工程での設定をカスタムするための設定画面は、メニュー画面にまとめられて設定画面とは別の表示領域に表示される。これによると、ウィザード画面内での操作を最小化することができる。また、メニュー画面から設定をカスタムした場合には、予め設定されているウィザード形式の順序に反映させる構成としてもよい。これによると、操作者ごとに異なる設定または操作があっても、作業手順に反映されるため、ウィザード形式の欠点を補うことができる。
【0110】
なお、上述した実施の形態に従うPET装置100では、PET画像を生成する処理を3つの工程(情報設定工程、検査工程、画像送信工程)に分割し、これら3つの工程にそれぞれに対応する3つの設定画面を表示させる構成について説明したが、PET画像を生成する処理を2または4以上の工程に分割してもよい。また、各工程におけるウィザード形式による情報の設定において、表示するウィザード画面の構成および数は実施の形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。
【0111】
また、上述した実施の形態では、被検者の乳房を診断するPET装置を例示したが、この発明に従う医用画像診断装置は、PET装置に限定されることなく、被検者の医用画像を生成する装置に適用することができる。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 ガントリ、2 開口部、3 PET検出器、4 支持部、5 駆動部、6 駆動制御部、7 エミッションデータ収集部、10 コンソール、12 吸収補正部、14 PET再構成部、16 撮像制御部、18 記憶部、20 タッチパネル、22 操作部、24 表示部、30,32,34,36 表示領域、40A,40B,40C タブ、42 表示バー、100 PET装置、M,M1~M3 被検者。