(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】画像形成装置及びインクコンテナ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 119
B41J2/175 169
(21)【出願番号】P 2018209742
(22)【出願日】2018-11-07
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】前嶌 正展
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-161759(JP,A)
【文献】特開平02-198862(JP,A)
【文献】特開平09-131895(JP,A)
【文献】特開2004-074773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0181713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドに供給されるインクを収容するインクコンテナの予め定められた装着方向への装着を案内するコンテナガイドと、
前記インクコンテナの外面に突き当てられる方向に突出するピンと、前記ピンを支持し、前記インクコンテナの外面に平行且つ前記装着方向と交差する方向に移動可能なピン支持部材と、を備えて前記コンテナガイドに設けられ、前記コンテナガイドに沿って前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記インクコンテナの外面に形成された第1収容部に前記ピンが収容されることで前記インクコンテナが前記コンテナガイドに固定され、前記コンテナガイドに固定された前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記第1収容部から前記ピンが外れることで前記コンテナガイドからの前記インクコンテナの取り外しが可能となるラッチ機構と、
前記インクコンテナの前記ピンが突き当てられる面と同一の面に向かって突き出るように前記ピン支持部材に形成されたボスと、を備え、
前記インクコンテナの外面には、前記第1収容部に前記ピンが収容されるときに前記ボスが収容され、前記第1収容部から前記ピンが外れるときに前記ボスが外れる第2収容部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ボスは、前記装着方向と交差する方向に前記ピンを挟んで互いに対向する両端部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記ピンを前記第1収容部に案内する第1ガイド部と、
前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記ボスを前記第2収容部に案内する第2ガイド部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録ヘッドに供給されるインクを収容するインクコンテナの予め定められた装着方向への装着を案内するコンテナガイドと、
前記インクコンテナの外面に突き当てられる方向に突出するピンと、前記ピンを支持し、前記インクコンテナの外面に平行且つ前記装着方向と交差する方向に移動可能なピン支持部材と、を備えて前記コンテナガイドに設けられ、前記コンテナガイドに沿って前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記インクコンテナの外面に形成された第1収容部に前記ピンが収容されることで前記インクコンテナが前記コンテナガイドに固定され、前記コンテナガイドに固定された前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記第1収容部から前記ピンが外れることで前記コンテナガイドからの前記インクコンテナの取り外しが可能となるラッチ機構と、
前記インクコンテナの前記ピンが突き当てられる面と同一の面に向かって突き出るように前記ピン支持部材に形成されたボスと、を備える画像形成装置に装着され、
前記第1収容部と、
前記ピンが前記第1収容部に収容されるときに前記ボスが収容され、前記ピンが前記第1収容部から外れるときに前記ボスが外れる、前記外面に形成された第2収容部と、を備えることを特徴とするインクコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式の画像形成装置及びインクコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式の画像形成装置においては、インクコンテナの交換によりインクの補給が行われる。インクコンテナは、画像形成装置本体に設けられたコンテナ収納部に装着される。
【0003】
従来、インクコンテナの交換を容易化する技術の検討が行われている、例えば、特許文献1には、インクカートリッジ(インクコンテナ)をカートリッジホルダ(コンテナ収納部)に押し込むだけでインクカートリッジの装着と取り外しを可能としたインクジェット記録装置(画像形成装置)が記載されている。カートリッジホルダには固定用突起が設けられ、インクカートリッジには固定部材が設けられている。インクカートリッジをバネの弾性力に抗して押し込むと、固定用突起が固定部材の凹部の奥の死点に到達する。インクカートリッジから手を離すと、インクカートリッジがバネの弾性力により挿入方向と反対の方向に移動し、固定用突起が固定部材の保持部に嵌まり込む。一方、インクカートリッジを交換する場合には、インクカートリッジをバネの弾性力に抗して押し込むと、固定用突起が固定部材の凹部の奥の山型によりガイドされて斜面を乗り越え、インクカートリッジから手を離すと、バネの弾性力によりインクカートリッジが上昇し、規制が解かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された構成では、固定用突起に荷重が集中するため、固定用突起に変形や破損が生じるおそれがある。また、装着方向に直交する方向のインクコンテナの幅が広くなると、インクコンテナの姿勢が斜めになりやすくなる。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、装着方向に押し込むだけでインクコンテナの装着と取り外しを可能とし、インクコンテナを固定する突起部に荷重が集中しにくく、幅が広くても姿勢が斜めになりにくいインクコンテナ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、記録ヘッドに供給されるインクを収容するインクコンテナの予め定められた装着方向への装着を案内するコンテナガイドと、前記インクコンテナの外面に突き当てられる方向に突出するピンと、前記ピンを支持し、前記インクコンテナの外面に平行且つ前記装着方向と交差する方向に移動可能なピン支持部材と、を備えて前記コンテナガイドに設けられ、前記コンテナガイドに沿って前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記インクコンテナの外面に形成された第1収容部に前記ピンが収容されることで前記インクコンテナが前記コンテナガイドに固定され、前記コンテナガイドに固定された前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記第1収容部から前記ピンが外れることで前記コンテナガイドからの前記インクコンテナの取り外しが可能となるラッチ機構と、前記インクコンテナの前記ピンが突き当てられる面と同一の面に向かって突き出るように前記ピン支持部材に形成されたボスと、を備え、前記インクコンテナの外面には、前記第1収容部に前記ピンが収容されるときに前記ボスが収容され、前記第1収容部から前記ピンが外れるときに前記ボスが外れる第2収容部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る画像形成装置において、前記ボスは、前記装着方向と交差する方向に前記ピンを挟んで互いに対向する両端部に形成されていてもよい。
【0009】
本発明に係る画像形成装置において、前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記ピンを前記第1収容部に案内する第1ガイド部と、前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記ボスを前記第2収容部に案内する第2ガイド部と、を備えていてもよい。
【0010】
また、本発明に係るインクコンテナは、記録ヘッドに供給されるインクを収容するインクコンテナの予め定められた装着方向への装着を案内するコンテナガイドと、前記インクコンテナの外面に突き当てられる方向に突出するピンと、前記ピンを支持し、前記インクコンテナの外面に平行且つ前記装着方向と交差する方向に移動可能なピン支持部材と、を備えて前記コンテナガイドに設けられ、前記コンテナガイドに沿って前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記インクコンテナの外面に形成された第1収容部に前記ピンが収容されることで前記インクコンテナが前記コンテナガイドに固定され、前記コンテナガイドに固定された前記インクコンテナが前記装着方向に押し込まれた場合に前記第1収容部から前記ピンが外れることで前記コンテナガイドからの前記インクコンテナの取り外しが可能となるラッチ機構と、前記インクコンテナの前記ピンが突き当てられる面と同一の面に向かって突き出るように前記ピン支持部材に形成されたボスと、を備える画像形成装置に装着され、前記第1収容部と、前記ピンが前記第1収容部に収容されるときに前記ボスが収容され、前記ピンが前記第1収容部から外れるときに前記ボスが外れる、前記外面に形成された第2収容部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装着方向に押し込むだけでインクコンテナの装着と取り外しを可能とし、インクコンテナを固定する突起部に荷重が集中しにくく、インクコンテナの幅が広くても姿勢が斜めになりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る左下側カバーの開放により露出したプリンターの内部を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るインクコンテナを示す斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係るインクコンテナの後側の部分を示す斜視図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係るインクコンテナの後側の下面を示す平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る第1ロック部を示す斜視図である。
【
図7A】本発明の一実施形態に係るコンテナガイドを示す斜視図である。
【
図7B】本発明の一実施形態に係るコンテナガイドの後側の部分を示す斜視図である。
【
図8A】本発明の一実施形態に係るラッチユニットの分解図である。
【
図8B】本発明の一実施形態に係るユニット本体の下側の部分を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るコンテナガイドにラッチユニットが取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るコンテナガイドにラッチユニットが取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図11A】本発明の一実施形態に係るコンテナガイドにラッチユニットが取り付けられた様子を示す斜視図である。
【
図11B】本発明の一実施形態に係るコンテナガイドにラッチユニットが取り付けられた様子を示す斜視図である。
【
図12A】本発明の一実施形態に係るインクコンテナがコンテナガイドに押し入れられる様子を示す平面図である。
【
図12B】本発明の一実施形態に係る第1ガイド部がピンの側面に突き当てられた様子を示す平面図である。
【
図13A】本発明の一実施形態に係る第1ガイド部がピンを押し出し、第2ガイド部がボスを押し出す様子を示す平面図である。
【
図13B】本発明の一実施形態に係るピンが第1ガイド部の前端部に到達した様子を示す平面図である。
【
図14A】本発明の一実施形態に係るピンが第1補助ガイド部に突き当てられ、ボスが第2補助ガイド部55に突き当てられた様子を示す平面図である。
【
図14B】本発明の一実施形態に係るピンが第1ガイド部と第1補助ガイド部との間隙に入り込み、ボスが第2ガイド部と第2補助ガイド部との間隙に入り込んだ様子を示す平面図である。
【
図15A】本発明の一実施形態に係るピンが第1収容部に入り込み、ボスが第2収容部に入り込んだ様子を示す平面図である。
【
図15B】本発明の一実施形態に係る第1収容部がピンから離間し、第2収容部がボスから離間した様子を示す平面図である。
【
図16A】本発明の一実施形態に係るピンが取り外しガイド部に突き当てられた様子を示す平面図である。
【
図16B】本発明の一実施形態に係る取り外しガイド部がピンの側面に対して摺動しながらインクコンテナが押し戻される様子を示す平面図である。
【
図17A】本発明の一実施形態に係る第1ガイド部の切り欠き部がピンの位置を通過する様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る画像形成装置及びカール矯正装置について説明する。
【0014】
まず、
図1乃至3を参照して、プリンター1(画像形成装置の一例)の全体の構成について説明する。
図1は、プリンター1の外観を示す斜視図である。
図2は、プリンター1の内部構成を模式的に示す正面図である。
図3は、左下側カバー5の開放により露出したプリンター1の内部を示す斜視図である。以下、
図1乃至3における紙面手前側をプリンター1の正面側(前側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0015】
プリンター1は、箱形の筐体2を備える。筐体2の前面の下部には、引き出し可能な複数の給紙カセット3が設けられている。筐体2の前面の上部には、開閉可能な上側カバー4が設けられている。筐体2の前面の左下部には、開閉可能な左下側カバー5が設けられている。
【0016】
図2に示されるように、筐体2内の上部には、記録ヘッド8K、8C、8M、8Yが設けられている。記録ヘッド8K、8C、8M、8Yは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを吐出するラインヘッドである。以下、記録ヘッド8K、8C、8M、8Yを記録ヘッド8と総称する。
【0017】
筐体2の左側面の上部に排出口25が設けられ、その下方に排出トレイ26が設けられている。搬送路6は、給紙カセット3から画像形成部8を経て排出口25に向かうように形成されている。筐体2の右側面の上部に手差し給紙口27が設けられ、その下方に手差しトレイ28が設けられている。
【0018】
搬送路6を挟んで記録ヘッド8と対向する位置に用紙搬送ユニット7が配置されている。用紙搬送ユニット7は、駆動ローラー、従動ローラー及びテンションローラーに巻き掛けられた無端状の搬送ベルトを備え、画像形成動作時に記録ヘッド8に近接した画像形成位置と、非画像形成動作時に記録ヘッド8から離間した退避位置との間で、上下方向に昇降可能である。搬送ベルトには多数の吸気孔が設けられ、搬送ベルトを挟んで記録ヘッド8と対向する位置に吸気部が設けられている。吸気部は、搬送ベルトの上方から吸気孔を通り搬送ベルトの内側へと向かう気流を発生させ、シートを搬送ベルトに吸着させる。
【0019】
左下側カバー5を開放すると、
図3に示されるように、コンテナ収納部11K、11C、11M、11Yが露出する。コンテナ収納部11K、11C、11M、11Yには、それぞれ、インクコンテナ10K、10C、10M、10Yが装着される。インクコンテナ10K、10C、10M、10Yには、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクが収容される。以下、インクコンテナ10K、10C、10M、10Yをインクコンテナ10と総称し、コンテナ収納部11K、11C、11M、11Yをコンテナ収納部11と総称する。各コンテナ収納部11の後側の部分には、インクコンテナ10と接続される接続口14が設けられている。各コンテナ収納部11には、インクコンテナ10の装着を案内し、装着されたインクコンテナ10を支持するコンテナガイド60が設けられている。
【0020】
図2に示されるように、コンテナ収納部11K、11C、11M、11Yと記録ヘッド8K、8C、8M、8Yとの間には、それぞれ独立したインク供給路が設けられている。ブラックのインク供給路には、ポンプ12Kとサブインクタンク13Kが設けられている。ポンプ12Kは、インクコンテナ10Kからインクを吸い上げてサブインクタンク13Kに送り込む。サブインクタンク13Kは、所定量のインクを貯留し、記録ヘッド8Kにインクを供給する。シアン、マゼンタ、イエローのインク供給路も、同様の構成を備えている。
【0021】
筐体2内の左上部には、キャップユニット15及びワイパーユニット16が備えられる。キャップユニット15及びワイパーユニット16は、画像形成動作時には、用紙搬送ユニット7の左方の待機位置に配置される。非画像形成動作時には、用紙搬送ユニット7が退避位置に移動し、キャップユニット15及びワイパーユニット16のいずれかが用紙搬送ユニット7と記録ヘッド8との間の処理位置へ移動する。
【0022】
キャップユニット15は、キャップ部材を備え、処理位置へ移動したときに、キャップ部材によって記録ヘッド8を覆う。ワイパーユニット16は、ワイパー部材と廃インクトレイとを備え、処理位置へ移動したときに、ワイパー部材及び廃インクトレイが記録ヘッド8の下方に配置される。このとき、記録ヘッド8のパージ処理や清掃処理が行われ、パージ処理や清掃処理で生じた廃インクは廃インクトレイに回収される。
【0023】
廃インクタンク17は、インクコンテナ10の下方に備えられている。廃インクタンク17は、ワイパーユニット16の廃インクトレイに接続されている。パージ処理や清掃処理で生じた廃インクは、廃インクトレイに落下し、廃インクタンク17に収容される。
【0024】
用紙搬送ユニット7、キャップユニット15、ワイパーユニット16のメンテナンスは、上側カバー4を開放して行われる。
【0025】
次に、プリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1が外部コンピューター等から画像形成ジョブを受信すると、画像形成ジョブで指定されたサイズのシートが、給紙カセット3又は手差しトレイから搬送路に送り出され、吸気部の吸引力によって搬送ベルトの上面に吸着される。記録ヘッド8Y、8M、8C、8Kは、それぞれインクコンテナ10Y、10M、10C、10Kからインクの供給を受け。画像形成ジョブに基づいてシートにインクを吐出して画像を形成する。画像が形成されたシートは、排出口から排紙トレイに排出される。
【0026】
次に、
図3乃至11Bを参照して、インクコンテナ10及びコンテナガイド60の構成について詳細に説明する。
図4は、インクコンテナ10を示す斜視図である。
図5Aは、インクコンテナ10の後側の部分を示す斜視図である。
図5Bは、インクコンテナ10の後側の下面を示す平面図である。
図6は、第1ロック部30(ラッチ機構の一例)を示す斜視図である。
図7Aは、コンテナガイド60を示す斜視図である。
図7Bは、コンテナガイド60の後側の部分を示す斜視図である。
図8Aは、ラッチユニット80(ラッチ機構の一例)の分解図である。
図8Bは、ユニット本体90(ピン支持部材の一例)の下側の部分を示す斜視図である。
図9、10は、コンテナガイド60にラッチユニット80が取り付けられる様子を示す斜視図である。
図11A、11Bは、コンテナガイド60にラッチユニット80が取り付けられた様子を示す斜視図である。
【0027】
プリンター1は、インクを収容するインクコンテナ10と、インクコンテナ10の予め定められた装着方向への装着を案内するコンテナガイド60と、予め定められた装着方向へのインクコンテナ10の押し込みによりコンテナガイド60へのインクコンテナ10の装着と取り外しを実現するラッチユニット80とを備える。
【0028】
図4に示されるように、インクコンテナ10は、ケース20と、キャップ21と、キャップ支持部22とを備える。ケース20は、前後方向を長手方向とする直方体の箱状に形成されている。キャップ支持部22は、ケース20の後端に設けられ、キャップ21は、キャップ支持部22に支持されている。ケース20の内部には、インクを収容するインクパック(図示省略)と、インクパックに取り付けられるスパウト(図示省略)とが設けられ、スパウトはキャップ21に接続されている。インクパックは、柔軟性(可撓性)を有するフィルム材によって形成され、インクが封入されている。インクコンテナ10は、左下側カバー5を開放してコンテナ収納部11の前側から後側に向かう方向に装着される(
図3参照)。以下、この方向を装着方向Xと呼ぶ。インクコンテナ10がコンテナ収納部11に装着されると、キャップ21が接続口14に接続される。
【0029】
図5A、5Bに示されるように、インクコンテナ10の後側の下面には、第1ロック部30と、第2ロック部50、51が設けられている。第1ロック部30は、左右方向の中央よりも右寄りの位置に形成されている。第2ロック部50、51は、第1ロック部30の左右に互いに対向するように形成されている。
【0030】
インクコンテナ10の後端の下端部における左右方向の中央よりも右寄りの位置には、開口部31が形成されている。開口部31の天井部には、後側から前側に向かって下りの勾配を有する斜面32が形成されている。開口部31は、後側から前側に向かって左右の壁面間の距離が狭まるように形成されている。第1ロック部30は、斜面32と斜面32よりも前側の水平面とにわたって形成されている。インクコンテナ10の後端の下端部における左右方向の両端部には、後側から前側に向かって下りの勾配を有する斜面52が形成されている。第2ロック部50、51は、斜面52よりも前側に形成されている。
【0031】
図5B及び6に示されるように、第1ロック部30は、第1ガイド部33と、第1収容部34と、第1補助ガイド部35と、取り外しガイド部36と、を備える。
【0032】
第1ガイド部33は、開口部31の右側の壁面から左前方に向かって延びるように形成されたリブである。第1ガイド部33よりも前側には、前後方向に延びるように形成されたリブ41、42、43が左から右に並べて設けられている。リブ41及びリブ42の前端部は、第1ガイド部33及びリブ43の前端部よりも後方に位置する。この配置により、
図5B及び6の二点鎖線で示されるように、後方へ凹んだ第1収容部34が形成されている。第1補助ガイド部35は、第1収容部34よりも前側に形成されたリブである。
【0033】
取り外しガイド部36は、リブ43よりも右側に前後方向に延びるように形成された壁面である。リブ43と取り外しガイド部36との間には、前後方向に延びるように形成されたリブ44が設けられている。リブ44の高さは、リブ43及び取り外しガイド部36の高さよりも低い。リブ44と第1ガイド部33との交点において、第1ガイド部33には、リブ44と等しい高さになるように切り欠き部37が形成されている。リブ44の前端部には、前側から後側に向かって下りの勾配を有する斜面45が形成されている。
【0034】
第2ロック部50と第2ロック部51は、同様の構成を有する。第2ロック部50、51は、第2ガイド部53と、第2収容部54と、第2補助ガイド部55と、を備える。第2ガイド部53は、左前方に向かって延びるように形成されたリブである。第2収容部54は、第2ガイド部53の前端部から右方に延びるように形成されたリブであり、第2収容部54の前側の側面は、後方へ凹んだ凹形に形成されている。第2補助ガイド部55は、第2収容部54よりも前側に形成されたリブである。
【0035】
図7A、7Bに示されるように、コンテナガイド60は、インクコンテナ10の下面に対向する底板部61と、インクコンテナ10の左右の側面に対向する2つの側板部62とを備える。底板部61の後側の部分には、左右方向を長手方向とするガイド孔63、ガイド孔64が形成されている。ガイド孔63は、底板部61の左端部から中央部にわたって形成され、ガイド孔64は、底板部の右端部に形成されている。ガイド孔63とガイド孔64との間には、下方へ切り起こされた切り起こし部65が形成されている。ガイド孔63の左方、ガイド孔64と切り起こし部65との間、ガイド孔63の後方に、それぞれネジ孔71、72、73が形成されている。底板部61の後端の縁部には、切り欠き部66が形成されており、切り欠き部66の前方にネジ孔74が形成されている。
【0036】
図8Aに示されるように、ラッチユニット80は、ユニット本体90と、ピン81と、コイルバネ83と、カバー84とを備える。ユニット本体90は、左右方向を長手方向とする概ね直方体状の部材である。ピン81は、上下方向を長手方向とする棒状の部材であり、上下方向の中央部にフランジ82が形成されている。カバー84は、左右方向を長手方向とする基部85を有し、基部85の上部には、ガイド孔63の前後方向の幅に対応する幅の凸部86が形成されている。凸部86には、ピン81の上部が挿入されるピン孔87と、ピン孔87の右側に形成されたネジ孔88とを備える。ユニット本体90の上面における左右方向の中央よりも右寄りの位置には、カバー84が嵌め込まれる凹部91が形成され、凹部91には、コイルバネ83を収容する凹部92と、ネジ孔88に対応するネジ孔93と、が形成されている。
図8Bに示されるように、凹部92には、ピン81の下部が挿抜されるピン孔94が形成されている。
【0037】
凹部91の右方と、ユニット本体90の左端部には、それぞれ上方に突き出るように形成されたボス101、102が設けられている。つまり、ボス101、102は、左右方向(装着方向Xと直交する方向)にピン81を挟んで互いに対向する両端部に形成されている。ユニット本体90の右端部、ボス102の右方、凹部91の後方に、それぞれ左右方向を長手方向とするスリット111、112、113が形成されている。凹部91とスリット112との間には、左右方向を長手方向とする空間を有するバネ収容部96が形成されている。バネ収容部96の右端には、左方に突き出るように形成された凸部97が設けられている。
【0038】
コイルバネ83が凹部92に挿入され、ピン81の下部がコイルバネ83に挿入され、ピン81の上部がピン孔87に挿入され、カバー84が凹部91に嵌め込まれ、ネジ孔93とネジ孔88にネジ95が締め付けられることにより、カバー84がユニット本体90に固定される。カバー84が固定されると、コイルバネ83が圧縮される。ピン81が下方に押し込まれた場合には、ピン81は上方に付勢される。
【0039】
図9乃至11Bに示されるように、ラッチユニット80は、コンテナガイド60の底板部61の下面の後側の部分に摺動ピン110を用いて取り付けられる。このとき、カバー84の凸部86とボス101がガイド孔63に挿入され、ボス102がガイド孔64に挿入され、切り起こし部65がバネ収容部96に挿入される。ピン81、ボス101及び102は、インクコンテナ10の下面に突き当てられる方向に突出する。摺動ピン110は、スリット111、112、113の前後方向の幅よりも小径の軸部と、スリット111、112、113の前後方向の幅よりも大径の頭部とを有する。スリット111を介してネジ孔71に、スリット112を介してネジ孔72に、スリット113を介してネジ孔73に、それぞれ摺動ピン110が締め付けられることにより、ラッチユニット80がコンテナガイド60に取り付けられる。この構成により、ラッチユニット80は、スリット111、112、113の長手方向、すなわち、インクコンテナ10の外面に平行且つ装着方向Xと交差する方向に移動可能となる。
【0040】
バネ収容部96には、圧縮されたコイルバネ98が収容される。コイルバネ98の右端に、バネ収容部96の凸部97が嵌め込まれ、コイルバネ98の左端は、切り起こし部65に突き当てられる。
【0041】
ラッチユニット80に左右方向の外力が作用した場合に、外力に応じた方向にラッチユニット80が摺動する。このとき、ボス101及びカバー84の凸部86がガイド孔63に沿って摺動し、ボス102がガイド孔84に沿って摺動する。ラッチユニット80が右方に摺動した場合には、ラッチユニット80はコイルバネ98により左方に付勢される。
【0042】
ねじりコイルバネ120のコイルの一方の端部には、直線状のレバー部121が形成されている。ネジ122は、軸部と、軸部よりも外径が大きく、コイルの内径に対応する外径を有する拡径部と、頭部と、を有する。ネジ122の拡径部がコイルの内部に挿入され、レバー部121とは反対側の端部が底板部61の切り欠き部66に挿入され、ネジ122がネジ孔74に締め付けられることにより、ねじりコイルバネ120がコンテナガイド60に取り付けられる。インクコンテナ10が装着されていないときに、レバー部121の先端部は、ネジ孔74に対して左前方に位置する。
【0043】
次に、
図12A乃至15Aを参照して、インクコンテナの装着の手順について説明する。
【0044】
最初に、ユーザーが、左下側カバー5を開放し、インクコンテナ10を把持し、コンテナガイド60の前端部にインクコンテナ10の後端部を挿入し、
図12Aに示されるように、インクコンテナ10を後方(装着方向X)に押し入れる。すると、インクコンテナ10の後端部がねじりコイルバネ120のレバー部121の先端部に接触し、インクコンテナ10がねじりコイルバネ120により前方(装着方向Xと反対の方向)に付勢される。
【0045】
ユーザーがねじりコイルバネ120による付勢に抗してインクコンテナ10を後方に押し込むと、
図12Bに示されるように、第1ロック部30の第1ガイド部33がラッチユニット80のピン81の側面に突き当てられる。このとき、開口部31の斜面32がピン81の上端部に突き当てられる。
【0046】
インクコンテナ10が後方に押し込まれるにつれて、
図13Aに示されるように、第1ガイド部33が、ピン81の側面に対して摺動しながら、ピン81を左方に押し出す。これと並行して、第2ロック部50、51のそれぞれの第2ガイド部53が、ボス101、102の側面に対して摺動しながら、ボス101、102を左方に押し出す。また、開口部31の斜面32が、ピン81の上端部に対して摺動しながら、ピン81を下方に押し込む。このとき、ラッチユニット80は、右方に付勢され、ピン81は、上方に付勢される。なお、
図13A乃至15Aでは、ねじりコイルバネ120の図示が省略されている。
【0047】
図13Bには、第1ガイド部33に押し出されたピン81が第1ガイド部33の前端部に到達した様子が示されている。このとき、ボス101、102は、第2ガイド部53に対して左前方に位置する。
【0048】
ユーザーがインクコンテナ10をさらに後方に押し込むと、ラッチユニット80が右方へ付勢されているため、
図14Aに示されるように、ピン81が、第1ガイド部33の前端部を乗り越え、第1補助ガイド部35に突き当てられ。ボス101、102が、第2補助ガイド部55に突き当てられる。
【0049】
ユーザーがインクコンテナ10の押し込みをやめると、インクコンテナ10が前方へ付勢されているため、インクコンテナ10が前方に押し戻される。すると、
図14Bに示されるように、ピン81が第1ガイド部33と第1補助ガイド部35との間隙に入り込み、これに伴って、ボス101、102が第2ガイド部53と第2補助ガイド部55との間隙に入り込む。すると、ラッチユニット80が右方へ付勢されているため、
図15Aに示されるように、ピン81が第1収容部34に収容され、ボス101、102が第2収容部54に収容される。ピン81が上方へ付勢されるとともにインクコンテナ10が前方へ付勢されているため、ピン81は第1収容部34により拘束され、ボス101、102は第2収容部54により拘束される。こうして、インクコンテナ10がコンテナガイド60に固定される。
【0050】
次に、
図15B乃至17Aを参照して、インクコンテナ10の取り外しの手順について説明する。なお、
図15B乃至16Bでは、ねじりコイルバネ120の図示が省略されている。
【0051】
ユーザーがねじりコイルバネ120による付勢に抗してインクコンテナ10を後方に押し込むと、
図15Bに示されるように、第1収容部34が後方に移動してピン81から離間し、第2収容部54が後方に移動してボス101、102から離間する。すると、ラッチユニット80が右方へ付勢されているため、
図16Aに示されるように、ピン81は、第1収容部34から外れて右方に押し出され、取り外しガイド部36に突き当てられる。ボス101、102は、第2収容部54から外れて右方に押し出される。このとき、ピン81の上端がリブ44の斜面45に突き当てられる。
【0052】
ユーザーがインクコンテナ10の押し込みをやめると、インクコンテナ10が前方へ付勢されているため、
図16Bに示されるように、取り外しガイド部36がピン81の側面に対して摺動しながら、インクコンテナ10が前方に押し戻される。このとき、リブ44の斜面45がピンの上端に対して摺動し、続いて斜面45よりも後側のリブ44の下面がピン81の上端に対して摺動し、続いて、
図17Aに示されるように、第1ガイド部33の切り欠き部37がピン81の位置を通過する。第2収容部54及び第2ガイド部53は、ボス81の左方を前方に移動する。最後に、ユーザーがインクコンテナ10をコンテナガイド60から引き出す。こうして、インクコンテナ10がコンテナガイド60から取り外される。
【0053】
以上説明した本実施形態に係るプリンター1及びインクコンテナ10によれば、ラッチユニット80にピン81に加えてボス101、102が備えられ、インクコンテナ10に第1収容部34に加えて第2収容部54が備えられているから、ボス101、102と第2収容部54が備えられていない場合と比べて、ピン81に荷重が集中しにくい。また、本実施形態によれば、ボス101、102と第2収容部54が備えられていない場合と比べて、インクコンテナ10の幅が広くてもインクコンテナ10の姿勢が斜めになりにくい。よって、本実施形態によれば、インクコンテナ10を装着方向に押し込むだけで装着と取り外しを可能とし、インクコンテナ10を固定するピン81に荷重が集中しにくく、幅が広くても姿勢が斜めになりにくいインクコンテナ10及びプリンター1を提供することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、ボス101、102及び第2収容部54が1箇所のみに備えられている場合と比べて、ピン81に荷重が集中しにくく、インクコンテナ10の幅が広くてもインクコンテナ10の姿勢が斜めになりにくい。
【0055】
また、本実施形態によれば、ボス101、102がピン81を挟んで互いに対向しない位置に備えられている場合と比べて、インクコンテナ10の幅が広くてもインクコンテナ10の姿勢が斜めになりにくい。
【0056】
また、本実施形態によれば、第1ガイド部33と第2ガイド部53とが備えられていない場合と比べて、ピン81及びボス101、102を第1収容部34及び第2収容部54に確実に案内することができる。
【0057】
上記の実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0058】
上記実施形態では、ボス101、102と、それぞれに対応する第2ロック部50、51が備えられた例が示されているが、ボスが1箇所に備えられ、それに対応する箇所に第2ロック部が備えられていてもよい。また、ボスが3箇所以上に備えられ、それに対応する複数箇所に第2ロック部が備えられていてもよい。
【0059】
上記実施形態では、ボス101、102がピン81を挟んで互いに対向する2箇所に形成された例が示されているが、ボス101、102がピン81を挟んで互いに対向しない2箇所に形成されていてもよい。
【0060】
上記実施形態では、ボス101、102が左右方向にピン81を挟んで互いに対向する2箇所に形成された例が示されているが、ボス101、102が左右方向以外の方向にピン81を挟んで互いに対向する2箇所に形成されていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、第1ガイド部33、リブ41、42、43により第1収容部34が形成されている例が示されているが、第1収容部34は、第2収容部54と同様に、第1ガイド部33の前端部から右方に延びるように形成されたリブであってもよい。
【0062】
上記実施形態では、ピン81及び第1ロック部30で構成されたラッチ機構を備える例が示されているが、このラッチ機構は一例に過ぎず、インクコンテナ10の外面に突き当てられる方向に突出するピン81と、ピン81を支持し、インクコンテナ10の外面に平行且つ装着方向Xと交差する方向に移動可能なピン支持部材90と、を備えてコンテナガイド60に設けられ、コンテナガイド60に沿ってインクコンテナ10が装着方向Xに押し込まれた場合にインクコンテナ10の外面に形成された第1収容部34にピン81が収容されることでインクコンテナ10がコンテナガイド60に固定され、コンテナガイド60に固定されたインクコンテナ10が装着方向Xに押し込まれた場合に第1収容部34からピン81が外れることでコンテナガイド60からのインクコンテナ10の取り外しが可能となるように構成されていれば、いかなるラッチ機構が採用されてもよい。例えば、特許文献1に記載されているワンプッシュ型固定部材がラッチ機構として採用されてもよい。
【0063】
上記実施形態では、インクコンテナ10の装着方向Xが筐体2の前側から後側に向かう方向である例が示されているが、装着方向Xはいかなる方向でもよい。例えば、特許文献1に記載されているように、到着方向Xは、筐体2の上側から下側に向かう方向でもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 プリンター(画像形成装置)
8、8Y、8M、8C、8K 記録ヘッド
10、10Y、10M、10C、10K インクコンテナ
33 第1ガイド部
34 第1収容部
53 第2ガイド部
54 第2収容部
60 コンテナガイド
80 ラッチユニット(ラッチ機構)
81 ピン
90 ユニット本体(ピン支持部材)
101、102 ボス