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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】プリント注文受付機及び認証システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20221109BHJP
【FI】
G06F21/31
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018210650
(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2020077247
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】戸島 幹智
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-155647(JP,A)
【文献】特開2015-108868(JP,A)
【文献】特開2004-361769(JP,A)
【文献】特開2014-225079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データのプリント注文を受け付けるプリント注文受付機であって、
パスワードの手入力を受け付ける操作部と、
前記操作部を介して所定の第1パスワードが入力されると、第2パスワードを生成するパスワード生成部と、
前記第2パスワードを表示する表示部と、
管理者端末から無線通信によりパスワードを含むデータを受信すると共に、顧客端末から無線通信により前記画像データを受信可能な通信部と、
前記パスワード生成部が生成した前記第2パスワードと、前記管理者端末から受信したパスワードとを用いて、正当な保守員であるか否か判定する認証処理を行う認証部と、
前記認証部が正当な保守員であると判定した場合に保守を行えるようにする保守管理部と、
を備えるプリント注文受付機。
【請求項2】
前記認証部は、前記パスワード生成部が生成した前記第2パスワードに所定の共通キーを組み合わせたデータと、前記管理者端末から受信したデータとを比較することを特徴とする請求項1に記載のプリント注文受付機。
【請求項3】
前記表示部は、暗号化された前記第2パスワードを表示することを特徴とする請求項1に記載のプリント注文受付機。
【請求項4】
前記表示部は、前記第2パスワードを示す二次元コードを表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント注文受付機。
【請求項5】
プリント注文された画像データを用紙にプリントして出力するプリンタをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント注文受付機。
【請求項6】
入力された画像データのプリント注文を受け付けるプリント注文受付機と、前記プリント注文受付機と通信可能な管理者端末とを備える認証システムであって、
前記プリント注文受付機が、操作部を介して所定の第1パスワードが入力されると、第2パスワードを生成し、前記第2パスワードを二次元コードに変換して表示部に表示し、
前記管理者端末が、前記表示部に表示された前記二次元コードを読み取って前記第2パスワードを取得し、取得した前記第2パスワードを前記プリント注文受付機へ送信し、
前記プリント注文受付機が、前記生成した第2パスワードと、前記管理者端末から受信した第2パスワードとを用いて、正当な保守員であるか否か判定する認証処理を行い、正当な保守員であると判定した場合に保守を行えるようにすることを特徴とする認証システム。
【請求項7】
前記プリント注文受付機と前記管理者端末には共通キーが設定されており、
前記管理者端末は、取得した前記第2パスワードに前記共通キーを組み合わせたデータを前記プリント注文受付機へ送信し、
前記プリント注文受付機は、前記生成した第2パスワードに前記共通キーを組み合わせたデータと、前記管理者端末から受信したデータとを用いて認証処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の認証システム。
【請求項8】
前記プリント注文受付機には暗号化キーが設定され、前記管理者端末には前記暗号化キーに対応する復号化キーが設定されており、
前記プリント注文受付機は、生成した前記第2パスワードを前記暗号化キーを用いて暗号化し、暗号化した前記第2パスワードを二次元コードに変換して前記表示部に表示し、
前記管理者端末は、前記復号化キーを用いて、前記二次元コードを読み取って取得したデータを復号化し、復号した前記第2パスワードを前記プリント注文受付機へ送信することを特徴とする請求項6に記載の認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント注文受付機及び認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやスマートフォン等で撮影した画像のデジタルデータを読み込んでプリント出力する画像プリント装置が知られている。例えば、利用者は、デジタルカメラで撮影した画像データが記憶された記憶媒体を持参し、記憶媒体内の画像データを画像プリント装置に読み込ませる。画像プリント装置は、記憶媒体から読み込んだ画像データをプリントしたり、タッチパネルで画像の編集を行った上でプリントしたりする。
【0003】
画像プリント装置は、家電量販店等の店舗内や駅構内など、様々な場所に設置されている。従来、店舗従業員や保守員が、画像プリント装置のプリント価格の設定や、サービス内容の設定、ログデータの参照などの保守を行う場合、タッチパネルを操作して所定のパスワードを入力し、管理画面を立ち上げていた。
【0004】
従来の画像プリント装置は、パスワードを知っている者であれば誰でも管理画面を立ち上げることができた。例えば、保守員が操作した後のタッチパネルに残った指紋からパスワードが推測され、第三者が管理画面を立ち上げて設定を変更するおそれがあった。また、第三者がパスワードの入力を繰り返し行い、管理画面が立ち上がってしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-284804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、管理者用の端末を有する保守員のみが保守を行うことができるプリント注文受付機及び認証システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるプリント注文受付機は、入力された画像データのプリント注文を受け付けるプリント注文受付機であって、パスワードを生成するパスワード生成部と、前記パスワードを表示する表示部と、管理者端末から無線通信によりパスワードを含むデータを受信すると共に、顧客端末から無線通信により前記画像データを受信可能な通信部と、前記パスワード生成部が生成したパスワードと、前記管理者端末から受信したパスワードとを用いて、正当な保守員であるか否か判定する認証処理を行う認証部と、前記認証部が正当な保守員であると判定した場合に保守を行えるようにする保守管理部と、を備えるものである。
【0008】
本発明の一態様では、前記認証部は、前記パスワード生成部が生成したパスワードに所定の共通キーを組み合わせたデータと、前記管理者端末から受信したデータとを比較する。
【0009】
本発明の一態様では、前記表示部は、暗号化されたパスワードを表示する。
【0010】
本発明の一態様では、前記表示部は、前記パスワードを示す二次元コードを表示する。
【0011】
本発明の一態様では、プリント注文された画像データを用紙にプリントして出力するプリンタをさらに備える。
【0012】
本発明による認証システムは、入力された画像データのプリント注文を受け付けるプリント注文受付機と、前記プリント注文受付機と通信可能な管理者端末とを備える認証システムであって、前記プリント注文受付機が、パスワードを生成し、前記パスワードを二次元コードに変換して表示部に表示し、前記管理者端末が、前記表示部に表示された前記二次元コードを読み取って前記パスワードを取得し、取得したパスワードを前記プリント注文受付機へ送信し、前記プリント注文受付機が、前記生成したパスワードと、前記管理者端末から受信したパスワードとを用いて、正当な保守員であるか否か判定する認証処理を行い、正当な保守員であると判定した場合に保守を行えるようにするものである。
【0013】
本発明の一態様では、前記プリント注文受付機と前記管理者端末には共通キーが設定されており、前記管理者端末は、取得したパスワードに前記共通キーを組み合わせたデータを前記プリント注文受付機へ送信し、前記プリント注文受付機は、前記生成したパスワードに前記共通キーを組み合わせたデータと、前記管理者端末から受信したデータとを用いて認証処理を行う。
【0014】
本発明の一態様では、前記プリント注文受付機には暗号化キーが設定され、前記管理者端末には前記暗号化キーに対応する復号化キーが設定されており、前記プリント注文受付機は、生成したパスワードを前記暗号化キーを用いて暗号化し、暗号化したパスワードを二次元コードに変換して前記表示部に表示し、前記管理者端末は、前記復号化キーを用いて、前記二次元コードを読み取って取得したデータを復号化し、復号したパスワードを前記プリント注文受付機へ送信する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、管理者用の端末を有する保守員のみが保守を行うことができるようにし、第三者による設定変更を防止し、セキュリティを向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る認証システムの概略図である。
図2】(a)~(c)は画像プリント装置の表示画面の遷移例を示す図である。
図3】同実施形態に係る画像プリント装置のブロック構成図である。
図4】画像プリント装置の斜視図である。
図5】管理プログラムを実行することで実現される機能ブロック図である。
図6】携帯端末の構成及び機能ブロックを示す図である。
図7】同実施形態に係る認証方法を説明するフローである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る認証システムは、画像プリント装置1と携帯端末2とを備え、画像プリント装置1が携帯端末(管理者端末)2を所持する保守員Pの認証を行い、画像プリント装置1の保守を行えるようにするものである。携帯端末2はスマートフォンやタブレット端末等である。
【0019】
画像プリント装置1は、顧客から入力された画像データを指定されたサイズの用紙にプリントして出力するものである。画像データは、例えば、メモリカードを画像プリント装置1に差し込んだり、スマートフォン等の顧客端末から無線通信によって転送したりすることで、画像プリント装置1に入力できる。
【0020】
画像プリント装置1の保守は、プリント物の種別による価格の設定や、サービス内容の設定、ハードウエアの保守、様々なログデータの参照等の重要な作業であり、権限の無い第三者には行えないようにする必要がある。
【0021】
保守員Pは保守を行うにあたり、まず、画像プリント装置1において管理者モードを起動させる。例えば、タッチパネル10Aの右上隅等の所定箇所を一定時間長押しして管理者モードを起動する。管理者モードが起動すると、画像プリント装置1は、パスワード(ワンタイムパスワード)を生成し、生成したパスワードを二次元コードに変換してタッチパネル10Aに表示する。
【0022】
図2(a)に示すようにパスワードを表す二次元コードCがタッチパネル10Aに表示されると、保守員Pは携帯端末2にインストールされている専用アプリ(アプリケーションプログラム)を立ち上げ、携帯端末2の内蔵カメラを用いて二次元コードCを撮影してパスワードを読み取る。
【0023】
パスワード読み取り後、タッチパネル10Aの接続開始ボタンB1を押して、画像プリント装置1と携帯端末2との無線通信(例えばWi-Fi(登録商標))の接続を行う。接続開始ボタンB1が押されると、図2(b)に示すように、画像プリント装置1は、無線ネットワーク上の自装置の識別情報(SSID:Service Set Identifier)と、無線接続用のパスキーをタッチパネル10Aに表示する。また、画像プリント装置1は、SSIDを含むビーコン信号の送信を開始する。
【0024】
保守員Pは、携帯端末2を操作し、接続可能なネットワーク一覧から、画像プリント装置1のタッチパネル10Aに表示されているSSIDを選択し、タッチパネル10Aに表示されているパスキーを入力する。これにより、画像プリント装置1と携帯端末2との無線通信の接続が確立する。
【0025】
無線通信の接続が確立すると、携帯端末2は、二次元コードCを読み取って取得していたパスワードを画像プリント装置1へ送信する。画像プリント装置1は、携帯端末2から受信したパスワードと、自装置が生成してタッチパネル10Aに表示したパスワードとを比較し、正当な保守員Pであるか否かを判定する認証処理を行う。画像プリント装置1は、パスワードが一致し、正当な保守員Pであると判定すると、図2(c)に示すような認証完了画面をタッチパネル10Aに表示する。保守員PがボタンB2を押すと、タッチパネル10Aに管理画面が表示され、各種設定の変更等の保守が行えるようになる。
【0026】
このように、本実施形態によれば専用アプリがインストールされている携帯端末2を有する保守員Pのみが画像プリント装置1の保守を行うことができる。例えば、第三者がタッチパネル10Aを操作して偶然に管理者モードが起動し、タッチパネル10Aに表示された二次元コードCを第三者のスマートフォン等で読み取っても、ランダムな英数字等がスマートフォンに表示されるだけであり、画像プリント装置1の管理画面を立ち上げることはできない。
【0027】
図3は画像プリント装置1のブロック構成図であり、図4は画像プリント装置1の斜視図である。図3に示すように、画像プリント装置は、第1タッチパネル10A、第2タッチパネル10B、データ入力部11、課金部12、プリンタ13、CPU(中央処理部)14、記憶部15及び通信部16を有する。
【0028】
図4に示すように、第1タッチパネル10Aは筐体の手前側の天板1A部分に設けられ、第2タッチパネル10Bは筐体の上部に設けられている。第1タッチパネル10Aへの入力操作を行い易いように、天板1A及び第1タッチパネル10Aの画面は、手前側が低く奥側が高くなるようにやや傾斜している。第2タッチパネル10Bのディスプレイ画面は、略垂直に立った状態となっている。
【0029】
第1タッチパネル10A及び第2タッチパネル10Bは、画像を含む情報を表示したり、各種指示の入力を受け付けたりする。第1タッチパネル10Aは、画像プリントモードでは、画像プリント装置への画像データの入力方法(例えば、記憶媒体の使用、携帯端末からの赤外線通信、又はスマートフォンからの無線通信)選択画面、注意事項の表示画面、プリント出力する画像データの選択やプリント枚数指定などを受け付ける注文画面、注文内容や請求金額の確認画面等の基本操作画面を表示する。第2タッチパネル10Bは、画像データに対する編集を指示するための編集アイテムを表示することができる。
【0030】
データ入力部11は、デジタルカメラ等で撮影した画像データが記憶された記憶媒体から画像データを読み取ることで、画像データの入力を受け付ける。データ入力部11は、様々な記憶媒体に対応したデータ読取装置を有している。また、データ入力部11は、赤外線通信又は無線通信により携帯端末から画像データの入力を受け付けることができる。図4に示すように、データ入力部11は筐体の上部、具体的には筐体の天板1Aと第2タッチパネル10Bとの間に設けられている。
【0031】
データ入力方法が無線通信によるものである場合は、通信部16が顧客端末と通信を行い、画像データを受信する。
【0032】
図4に示すように、課金部12は、筐体の前面側に設けられた硬貨投入口12A、紙幣投入口12B、釣銭返却口12Cを有し、硬貨投入口12A及び紙幣投入口12Bから投入された貨幣を識別計数し、釣銭を釣銭返却口12Cから放出する。また、課金部12は、電子マネーによる決済機能を有していてもよい。また、課金部12は、プリント枚数、単価、請求金額、投入金額、釣銭額等をレシートに印字して出力するレシートプリンタを有していてもよい。
【0033】
プリンタ13は、昇華型又はインクジェット型などの高解像度カラープリンタであり、注文内容に基づいて、画像データをプリントして出力する。プリンタ13は筐体内に収容されている。プリンタ13は複数台設置されていてもよい。図4に示すように、筐体の前面側には、透明な開閉扉Dが開閉自在に設けられている。開閉扉Dの裏面側には、プリンタ13がプリント出力したプリント物が集積される集積部(図示せず)が設けられており、開閉扉Dを開けると集積部に集積されたプリント物を取り出せるようになっている。
【0034】
記憶部15は、CPU14が各種の処理を実行するために必要なプログラムや、プリント物の価格設定情報、サービス内容の設定情報、ログデータ等が記憶されており、ハードディスクや半導体メモリ等が用いられる。CPU14が、記憶部15に格納されている制御プログラムを実行することで、第1タッチパネル10A、第2タッチパネル10B、課金部12、プリンタ13、通信部16等を制御する制御部140として機能する。
【0035】
CPU14が記憶部15に格納されている管理プログラムを実行することで、図5に示すように、管理者モード起動部101、パスワード生成部102、パスワード表示処理部103、接続処理部104、パスワード受信部105、認証部106及び保守管理部107の機能が実現される。
【0036】
管理者モード起動部101は、タッチパネル10Aを介して所定の操作を受け付けると、管理者モードを起動する。例えば、タッチパネル10Aの右上隅等の所定箇所が一定時間長押しされると、管理者モード起動部101は、管理者モードを起動する。
【0037】
パスワード生成部102は、管理者モードの起動に伴いパスワードを生成する。パスワード生成部102は、ハッシュ関数等を用いてワンタイムパスワードを生成する。
【0038】
パスワード表示処理部103は、パスワード生成部102が生成したパスワードを二次元コードに変換し、二次元コードをタッチパネル10Aに表示する。
【0039】
接続処理部104は、接続開始ボタンB1(図2(a)参照)が押されると、接続確立処理を開始し、通信部16を用いてSSIDを含むビーコン信号の送信を開始する。また、接続処理部104は、SSID、及び通信用パスキーをタッチパネル10Aに表示する。接続処理部104は、自装置のSSIDを含む信号を送信してきた携帯端末2から通信用パスキーと共に接続要求を受け付けると、携帯端末2へ接続許可応答を送信する。これにより、画像プリント装置1と携帯端末2との無線通信の接続が確立する。
【0040】
パスワード受信部105は、画像プリント装置1との携帯端末2との接続確立後、通信部16を介して、携帯端末2からパスワードを受信する。
【0041】
認証部106は、パスワード生成部102が生成したパスワードと、パスワード受信部105が携帯端末2から受信したパスワードとを比較し、画像プリント装置1を操作している者が正当な保守員であるか否か判定する認証処理を行う。認証部106は、パスワードが一致した場合、正当な保守員であると判定する。
【0042】
正当な保守員であると判定されると、保守管理部107は、タッチパネル10Aに管理画面を表示する。保守員Pは、管理画面を操作し、保守を行うことができる。
【0043】
次に、携帯端末2の構成について説明する。図6に示すように、携帯端末2は、演算制御部20、タッチパネル22、通信部23、及び撮影部24を備えたスマートフォンやタブレット端末等である。演算制御部20は、専用アプリである保守管理プログラムを格納する記憶部21を有する。記憶部21には、演算制御部20のCPUが各種の処理を実行するために必要なプログラムやデータ等が記憶されており、半導体メモリ等が用いられる。
【0044】
演算制御部20のCPUが記憶部21に格納されている保守管理プログラムを実行することで、パスワード読取部201、接続処理部202及びパスワード送信部203の機能が実現される。
【0045】
パスワード読取部201は、撮影部24を起動し、タッチパネル10Aに表示された二次元コードCからパスワードを読み取る。撮影部24は例えばデジタルカメラである。
【0046】
接続処理部202は、画像プリント装置1に対し、保守員から入力された通信用パスキーと共に接続要求を送信する。接続処理部202が画像プリント装置1から接続許可応答を受信すると、画像プリント装置1と携帯端末2との無線通信の接続が確立する。
【0047】
パスワード送信部203は、通信部23を介して、パスワード読取部201が読み取ったパスワードを画像プリント装置1へ送信する。
【0048】
次に、本実施形態に係る認証方法を図7に示すフローに沿って説明する。
【0049】
保守員Pが画像プリント装置1のタッチパネル10Aを操作し、管理者モードを起動する(ステップS1)。管理者モードが起動すると、画像プリント装置1のパスワード生成部102がパスワードを生成する(ステップS2)。パスワード表示処理部103が、ステップS2で生成されたパスコードを二次元コードに変換してタッチパネル10Aに表示する(ステップS3)。
【0050】
保守員Pは、携帯端末2の専用アプリを立ち上げ、パスワードの読み取りを指示する。パスワード読取部201が携帯端末2の撮影部24を起動する。保守員Pは、撮影部24でタッチパネル10Aに表示されている二次元コードを撮影する。パスワード読取部201は、二次元コードからパスワードを読み取る(ステップS4)。
【0051】
保守員Pがタッチパネル10Aの接続開始ボタンB1を押すと、画像プリント装置1の接続処理部104が、SSID及び通信用パスキーをタッチパネル10Aに表示すると共にSSIDを含むビーコン信号を送信する。ビーコン信号を受信した携帯端末2では、接続可能なネットワーク一覧に、ビーコン信号に含まれるSSIDが表示される。保守員Pは、ネットワーク一覧から、タッチパネル10Aに表示されているSSIDと同じものを選択し、通信用パスキーを入力する。
【0052】
携帯端末2は、通信用パスキーを含む接続要求を送信する(ステップS5)。画像プリント装置1は、携帯端末2から接続要求を受信し、通信用パスキーが一致すると、携帯端末2へ接続許可応答を送信する(ステップS6)。
【0053】
携帯端末2は、ステップS4で読み取ったパスワードを画像プリント装置1へ送信する(ステップS7)。
【0054】
携帯端末2の認証部106は、ステップS2で生成したパスワードと、ステップS7で受信したパスワードとを比較し、認証処理を行う(ステップS8)。パスワードが一致すると、画像プリント装置1はタッチパネル10Aに管理画面を表示し、保守員Pが保守作業を行えるようにする(ステップS9)。
【0055】
このように、本実施形態によれば、第三者による管理画面の立ち上げを防止し、専用アプリがインストールされている携帯端末2を有する保守員Pのみが画像プリント装置1の保守を行えるようになる。
【0056】
上記実施形態において、画像プリント装置1と携帯端末2の専用アプリとに、共通キーを予め設定しておいてもよい。携帯端末2は、タッチパネル10Aに表示された二次元コードを読み取り、パスワードを取得すると、取得したパスワードに共通キーを組み合わせる。そして、携帯端末2は、パスワードと共通キーとを組み合わせた組み合わせデータ(パスワード関連情報)を画像プリント装置1へ送信する。
【0057】
画像プリント装置1は、生成したパスワードと共通キーとを組み合わせた組み合わせデータと、携帯端末2から受信した組み合わせデータとを比較し、認証処理を行う。事前設定された共通キーを用いることで、認証精度を向上できる。
【0058】
画像プリント装置1に暗号化キーを予め設定し、携帯端末2の専用アプリに復号化キーを予め設定しておいてもよい。画像プリント装置1は、パスワードを生成すると、生成したパスワードを、暗号化キーを用いて暗号化する。タッチパネル10Aには、暗号化されたパスワードを二次元コードに変換したものが表示される。
【0059】
携帯端末2は、二次元コードから暗号化されたパスワードを取得する。携帯端末2は、復号化キーを用いてパスワードを復号し、画像プリント装置1へ送信する。画像プリント装置1は、生成した(暗号化前の)パスワードと、携帯端末2から受信したパスワードとを比較し、認証処理を行う。事前設定された暗号化キー、復号化キーを用いることで、認証精度をさらに向上できる。
【0060】
第三者がタッチパネル10Aを操作して偶然に管理者モードが起動し、タッチパネル10Aに表示された二次元コードを第三者のスマートフォン等で読み取っても、暗号化された情報がスマートフォンに表示されるだけであり、画像プリント装置1の管理画面を立ち上げることはできない。
【0061】
上記実施形態では、画像プリント装置1で管理者モードを起動させる方法の例として、タッチパネル10Aの所定箇所を一定時間長押しすることを挙げていたが、管理者モードの起動条件に、事前に決められたパスワードの入力を含め、セキュリティを強化してもよい。例えば、保守員Pが紛失した携帯端末2を第三者が入手した場合、この第三者が管理者モードを起動することを防止できる。
【0062】
上記実施形態ではパスワードを二次元コードに変換してタッチパネル10Aに表示する例について説明したが、パスワードそのものをタッチパネル10Aに表示してもよい。この場合、保守員は、タッチパネル10Aに表示されたパスワードを携帯端末2に手入力する。
【0063】
上記実施形態では、筐体内にプリンタ13を備え、その場でプリント物を出力する画像プリント装置1について説明したが、プリンタ13を省略し、画像のプリント注文の受け付けを行う注文受付端末としてもよい。この場合、注文受付端末は、通信部16を使用し、プリント注文された画像データを、有線又は無線ネットワークを介してプリンタサーバへ送信する。プリンタサーバは、画像データをプリンタへ転送し、プリント出力される。プリント物は、店舗レジなどで利用者に渡してもよいし、利用者の自宅へ配送してもよい。
【0064】
上記実施形態において、画像プリント装置は、画面を表示すると共に顧客や保守員からの操作を受け付けるタッチパネルを有する構成について説明したが、タッチパネルの代わりにディスプレイ(表示部)と、ボタン、マウス、キーボード等の操作部とを設けた構成としてもよい。
【0065】
この認証システムは、画像プリント装置や注文受付端末のようなプリント注文受付機だけでなく、保守員が有する携帯端末との通信機能を有し、保守員による定期的な保守が必要となる様々な機器に適用できる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 画像プリント装置
2 携帯端末(管理者端末)
10A 第1タッチパネル(表示部)
10B 第2タッチパネル
12 課金部
13 プリンタ
14 CPU
15 記憶部
16 通信部
101 管理者モード起動部
102 パスワード生成部
103 パスワード表示処理部
104 接続処理部
105 パスワード受信部
106 認証部
107 保守管理部
C 二次元コード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7