(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
(21)【出願番号】P 2018214913
(22)【出願日】2018-11-15
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 和之
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】安井 祥
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-088273(JP,A)
【文献】国際公開第2009/004772(WO,A1)
【文献】特開2009-078308(JP,A)
【文献】特開平06-055475(JP,A)
【文献】特開平06-320459(JP,A)
【文献】特開2010-058202(JP,A)
【文献】米国特許第09919422(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/10-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人協働ロボットの動作を制御するロボット制御装置であって、
前記人協働ロボットの教示作業中において、前記人協働ロボットの動作特性を第1の動作特性とする第1のモードと、前記動作特性を前記第1の動作特性とは異なる第2の動作特性とする第2のモードと、を切り替え可能な切替部
と、
前記人協働ロボットの関節の機械インピーダンスを調整することにより、前記人協働ロボットの先端が外力により移動することに対する抵抗力を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1のモードにおいて前記抵抗力を第1の抵抗力に制御することで前記動作特性を第1の動作特性とし、前記第2のモードでは前記抵抗力を前記第1の抵抗力よりも大きい第2の抵抗力に制御することで前記動作特性を第2の動作特性とし、第2のモードにおいて、前記先端が移動可能な複数の移動方向のうち、任意の移動方向に対する前記抵抗力を前記第2の抵抗力に制御し、前記任意の移動方向以外の移動方向の抵抗力を前記第2の抵抗力よりも大きい第3の抵抗力に制御することを特徴とする、ロボット制御装置。
【請求項2】
前記任意の移動方向を指定可能な第1の操作部を備えることを特徴とすることを特徴とする、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記第2の抵抗力を調整可能な第2の操作部を備えることを特徴とする、
請求項1または2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
複数の第3の操作部を備え、
前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記第3の操作部が操作された場合には、操作された前記第3の操作部に対応する移動方向に所定の移動量だけ前記先端を移動させることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットに対して教示作業を行う場合には、安全教育を受けた有資格者が、産業用ロボットの動作速度に制限がかかった教示モードにおいて、ティーチングペンダントと呼ばれる操作デバイスを操作することで人協働ロボットの先端を目的の位置に位置決めしながら教示作業を行う(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、人協働ロボットでは、安全性が確保されているため、有資格者ではない一般作業者が、人協働ロボットの先端に直接手を触れて、当該先端を動かしたい方向に力をかけて目的の位置に位置決めしながら教示作業を行うことができる。このとき、人協働ロボットのロボット制御装置は、内部に設けられた力センサにより作業者から受ける力に追従して人協働ロボットの先端を移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、人協働ロボットの教示作業において、作業者が人協働ロボットの先端に加える力の加減によって想定外の方向や大きさの外力がかかり、先端の位置がずれてしまう場合がある。したがって、詳細な位置決めを行うのに多大な時間を要し、作業効率が悪い。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、人協働ロボットの教示作業の効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、人協働ロボットの動作を制御するロボット制御装置であって、前記人協働ロボットの教示作業中において、前記人協働ロボットの動作特性を第1の動作特性とする第1のモードと、前記動作特性を前記第1の動作特性とは異なる第2の動作特性とする第2のモードと、を切り替え可能な切替部を備えることを特徴とする、ロボット制御装置である。
【0008】
本発明の一態様は、上述のロボット制御装置であって、前記人協働ロボットの関節の機械インピーダンスを調整することにより、前記人協働ロボットの先端が外力により移動することに対する抵抗力を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1のモードにおいて前記抵抗力を第1の抵抗力に制御することで前記動作特性を第1の動作特性とし、前記第2のモードでは前記抵抗力を前記第1の抵抗力よりも大きい第2の抵抗力に制御することで前記動作特性を第2の動作特性とする。
【0009】
本発明の一態様は、上述のロボット制御装置であって、前記制御部は、第2のモードにおいて、前記先端が移動可能な複数の移動方向のうち、任意の移動方向に対する前記抵抗力を前記第2の抵抗力に制御し、前記任意の移動方向以外の移動方向の抵抗力を前記第2の抵抗力よりも大きい第3の抵抗力に制御する。
【0010】
本発明の一態様は、上述のロボット制御装置であって、前記任意の移動方向を指定可能な第1の操作部を備える。
【0011】
本発明の一態様は、上述のロボット制御装置であって、前記第2の抵抗力を調整可能な第2の操作部を備える。
【0012】
本発明の一態様は、上述のロボット制御装置であって、複数の第3の操作部を備え、前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記第3の操作部が操作された場合には、操作された前記第3の操作部に対応する移動方向に所定の移動量だけ前記先端を移動させる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、人協働ロボットの教示作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロボット制御装置を備えたロボットシステムAの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る制御装置4の教示作業を実行するための機能部を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るロボット制御装置の変形例1の構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るロボット制御装置の変形例2の構成を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るロボット制御装置の変形例3の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るロボット制御装置を、図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るロボット制御装置を備えたロボットシステムAの概略構成の一例を示す図である。
【0017】
ロボットシステムAは、ワークに対して所定の処理を行う。ここで、ロボットシステムAがワークに対して行う処理としては、例えば、ワークのピックングや加工(切削や研削等)、溶接、塗装、仕上げ(バリ取り、面取り、R付け、磨き等)、その他の処理が挙げられる。
【0018】
以下において、本発明の一実施形態に係るロボットシステムAの構成の一例について説明する。
図1は、本本発明の一実施形態に係るロボットシステムAの概略構成図である。
【0019】
ロボットシステムAは、ロボット1及びロボット制御装置2を備える。そして、ロボット制御装置2は、モード切替操作部3及び制御装置4を備える。
【0020】
ロボット1は、人間の安全を十分に確保できるため、人間と協働して作業を実施できる、いわゆる人協働ロボットである。
【0021】
以下に、本発明の一実施形態に係るロボット1の概略構成について説明する。
ロボット1は、ロボットアーム11、ハンド部12、処理ツール13及び力センサ14を備える。
【0022】
ロボットアーム11は、複数の多関節機構を有する。ロボットアーム11の各関節には、各関節を各々駆動するモータが設けられている。ロボットアーム11は、制御装置4によりモータが駆動されることで、例えば、三次元空間を移動することができる。また、各関節には、モータの回転角度を検知するエンコーダが設けられている。
【0023】
ハンド部12は、処理ツール13をロボットアーム11に対して着脱可能に接続する。
【0024】
処理ツール13は、ハンド部12によりロボットアーム11の先端に取り付けられるエンドエフェクタである。
処理ツール13は、ロボットアーム11の駆動により、三次元空間内で位置と姿勢を移動可能である。処理ツール13は、所定の力で押圧されても変形しない剛性を有する材料で形成される。この所定の力とは、処理ツール13がワークを押し付ける押付け力である。処理ツール13は、教示作業を行うための専用の教示ツールであってもよいし、上記所定の処理を行う工具であってもよい。
【0025】
力センサ14は、処理ツール13に作用する外力Fを検出する。そして、力センサ14は、検出した外力Fを制御装置4に出力する。例えば、力センサ14は、三次元的に移動可能なロボットアーム11と処理ツール13との間に取り付けられる。この力センサ14は、例えば、直交3軸方向(X,Y,Zの各軸方向)の力と各軸周りのトルクを検出する。
【0026】
次に、本発明の一実施形態に係るモード切替操作部3について、説明する。
【0027】
モード切替操作部3は、作業者が操作可能なものであって、ロボット1の教示作業中において、ロボット1の動作特性を第1の動作特性とする第1のモードと、ロボット1の動作特性を第1の動作特性とは異なる第2の動作特性とする第2のモードと、を切り替えるための操作部材である。
ここで、本実施形態では、動作特性とは、処理ツール13が外力により移動することに対する抵抗力である。例えば、この抵抗力は、ロボットアーム11の各関節の粘性や剛性である。
【0028】
モード切替操作部3は、作業者が第1のモード及び第2のモードのいずれかを選択可能であれば、その構成には特定に限定されないが、例えば、タッチパネルであってもよいし、オルタネイト型の押ボタンスイッチでもよいし、セレクタスイッチであってもよい。
このモード切替操作部3は、例えば、ハンド部12に設置される。
【0029】
モード切替操作部3は、作業者に第1の操作が行われると、第1のモードを示す第1のモード信号を制御装置4に出力する。一方、モード切替操作部3は、作業者により第2の操作が行われると、第2のモードを示す第2のモード信号を制御装置4に出力する。
【0030】
制御装置4は、教示作業において、ロボットアーム11の動作を制御するとともに、ロボットアーム11の先端(本実施形態では、処理ツール13)の位置及びロボットアーム11の姿勢(例えば、各関節の角度)を記憶する。この制御装置4は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。
【0031】
以下において、本発明の一実施形態に係る制御装置4の教示作業を実行するための機能部について、
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る制御装置4の教示作業を実行するための機能部を示す図である。
【0032】
図2に示すように、制御装置4は、切替部41及び制御部42を備える。
【0033】
切替部41は、ロボット1の教示作業中において、第1のモードと第2のモードとを切り替え可能である。例えば、切替部41は、モード切替操作部3と電気的に接続されており、モード切替操作部3から第1のモード信号を取得した場合には、ロボット1の動作特性を第1の動作特性とする第1のモード指令信号を制御部42に出力する。一方、切替部41は、モード切替操作部3から第2のモード信号を取得した場合には、ロボット1の動作特性を第2の動作特性とする第2のモード指令信号を制御部42に出力する。
【0034】
制御部42は、教示作業時において、ロボットアーム11の各関節に設けられたモータの駆動を制御することで、ロボット1の関節の機械インピーダンスを調整し、ロボット1の処理ツール13が外力により移動することに対する抵抗力を制御する。
【0035】
すなわち、制御部42は、教示作業時において、第1のモード指令信号を取得した場合には、上記モータの制御を第1の制御とすることでロボット1の動作特性を第1の動作特性とする第1のモードに移行し、第2のモード指令信号を取得した場合には、上記モータの制御を第1の制御とは異なる第2の制御とすることでロボット1の動作特性を第2の動作特性とする第2のモードに移行する。
【0036】
より具体的には、教示モードにおいて、制御部42は、力センサ14により検出された処理ツール13に作用する外力Fに基づいて、当該外力Fが加えられた方向に、当該外力Fの大きさに応じた移動量ΔHだけ処理ツール13を移動させる。この際に、制御部42は、ロボット1の各関節の機械インピーダンスを制御して、第1のモードと第2のモードとで上記移動量ΔHを変化させる。すなわち、制御部42は、第1のモードと第2のモードとで、ロボット1の各関節の機械インピーダンスを変化させることにより、ロボット1の処理ツール13が外力により移動することに対する抵抗力を変化させる。
【0037】
例えば、制御部42は、ロボット1の各関節の機械インピーダンス(粘性や剛性)を制御して、第1のモードにおける抵抗力を第1の抵抗力に制御することで動作特性を第1の動作特性とし、第2のモードでは上記抵抗力を第1の抵抗力よりも大きい第2の抵抗力に制御する。
これにより、作業者により処理ツール13に外力Fが加えられた場合には、制御部42は、処理ツール13を当該外力Fが加えられた方向に第1の移動量ΔH1だけ移動させ、第2のモードでは第1の移動量ΔH1よりも小さい第2の移動量Δ2だけ移動させることになる。
【0038】
したがって、作業者は、ロボット1の教示作業を実行する場合において、まず、モード切替操作部3に対して第1の操作を行う。これにより、ロボット1がロボット1の各関節の剛性や粘性が低い第1のモードとなるため、作業者は、処理ツール13に直接手を触れて、当該処理ツール13を動かしたい方向に力をかけて、処理ツール13を粗く位置決めを行う。その後、作業者は、モード切替操作部3に対して第2の操作を行うことで、ロボット1をロボット1の各関節の剛性や粘性が高い第2のモードに移行させて処理ツール13の細い位置決めを行う。この際に、作業者が処理ツール13に加える力の加減によって想定外の方向や大きさの外力がかかってしまった場合であっても、処理ツール13の位置がずれることが抑制される。したがって、作業者は、処理ツール13に直接手を触れて当該処理ツール13の細い位置決めを容易に行うことができる。そのため、詳細な位置決めを行う作業の効率を向上させることができる。
【0039】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0040】
(変形例1)上記実施形態において、制御部42は、第2のモードにおいて、処理ツール13が移動可能な複数の移動方向(例えば、直交3軸方向)のうち、任意の移動方向に対する抵抗力(例えば、粘性や剛性)を第2の抵抗力に制御し、任意の移動方向以外の移動方向の抵抗力を第2の抵抗力よりも大きい第3の抵抗力に制御してもよい。
【0041】
この任意の移動方向とは、教示作業において、作業者が処理ツール13を移動させたい方向である。例えば、
図3に示すように、ロボット制御装置2は、任意の方向を指定する方向指定部5(第1の操作部)をさらに備えてもよい。この方向指定部5は、作業者に操作されることで任意の方向を指定する。すなわち、作業者は、方向指定部5を操作して、作業者が処理ツール13を移動させたい方向(以下、「位置決め方向」という。)を指定することができる。方向指定部5は、作業者に操作されることで指定した位置決め方向を制御部42に送信する。そして、制御部42は、第2のモードにおいて、処理ツール13が移動可能な複数の移動方向(例えば、直交3軸方向)のうち、位置決め方向に対する抵抗力を第2の抵抗力に制御し、位置決め方向以外の移動方向の抵抗力を第2の抵抗力よりも大きい第3の抵抗力に制御してもよい。すなわち、制御部42は、外力に対する抵抗力の強さに異方性を持たせ、処理ツール13が位置決め方向以外に動くことを制限する。これにより、作業者が処理ツール13を位置決め方向に移動させやすくなり、詳細な位置決めを行う作業の効率を向上させることができる。なお、方向指定部5は、表示装置(例えば、タッチパネル)上に表示されたGUI(Graphical User Interface)の選択ボタンであてもよいし、オルタネイト型の押ボタンスイッチでもよいし、セレクタスイッチであってもよい。
【0042】
(変形例2)上記実施形態や上記変形例1において、ロボット制御装置2は、作業者に操作されるものであって、第2のモードにおける第2の抵抗力を調整可能な調整部6(第2の操作部)を備えてもよい(例えば、
図4)。例えば、調整部6は、つまみを備え、作業者によってつまみが操作されることによって第2の抵抗力を調整することができる。例えば、調整部6は、作業者によって操作されたつまみの操作量を制御部42に送信する。そして、制御部42は、第2のモードにおける第2の抵抗力を、調整部6から得られたつまみの操作量に応じた値に制御する。
これにより、作業者は、第2のモードにおいて、第2の抵抗力を所望の抵抗力に調整することができ、詳細な位置決めを行う作業の効率を向上させることができる。
【0043】
(変形例3)上記実施形態、変形例1、及び変形例2の少なくともいずれかにおいて、ロボット制御装置2は、複数の第3の操作部7をさらに備えてもよい(例えば、
図5)。
【0044】
第3の操作部7は、作業者に操作されるものであって、処理ツール13が移動可能な複数の移動方向(例えば、直交3軸方向)のそれぞれに対応して設けられている。
そして、制御部42は、第2のモードにおいて、第3の操作部7が操作された場合には、その操作された第3の操作部7に対応する移動方向に所定の移動量だけ処理ツール13を移動させる。この所定の移動量は、作業者が任意に設定可能である。
【0045】
例えば、任意の第3の操作部7が作業者により操作された場合には、制御部42は、その操作された第3の操作部7に対応する移動方向に処理ツール13を所定の移動量だけ移動させる。したがって、処理ツール13は、作業者により第3の操作部7が操作されるごとに所定の移動量だけ移動することになる。なお、この処理ツール13を移動させる速度は、予め設定されている。さらに、第3の操作部7が操作されていない場合には、制御部42は、ロボット1の各関節の姿勢を保持するように制御してもよい。なお、第3の操作部7は、表示装置(例えば、タッチパネル)上に表示されたGUI(Graphical User Interface)の選択ボタンであてもよいし、オルタネイト型の押ボタンスイッチでもよいし、セレクタスイッチであってもよい。
【0046】
これにより、作業者は、第3の操作部7を操作するだけで、詳細な位置決めを行うことができ、作業の効率を向上させることができる。
【0047】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係るロボット制御装置2は、ロボット1(人協働ロボット)の教示作業中において、ロボット1の動作特性を第1の動作特性とする第1のモードと第1の動作特性とは異なる第2の動作特性とする第2のモードと、を切り替え可能な切替部41を備える。
【0048】
このような構成によれば、作業者は、第1にモードにおいて目標とする位置の近くまで処理ツール13を移動させた後に第1のモードから第2のモードに切り替えて微小な移動量で細かく処理ツール13を位置決めすることができる。したがって、ロボット1の教示作業の効率を向上させることができる。
【0049】
さらに、教示作業の作業性が向上することで、処理ツール13の位置決めに関して、大雑把な位置決めでもかまわない作業と詳細な位置決めが必要な作業(例えば処理ツール13の大きさに対して小サイズのワークと大きなサイズのワークが混ざって流れてくるような作業)にも大きな仕組み変更なく迅速に対応できるようになる。
【0050】
また、ロボット制御装置2は、ロボット1の関節の機械インピーダンスを調整することにより、ロボット1の先端が外力により移動することに対する抵抗力を制御する制御部42をさらに備えてもよい。そして、制御部42は、第1のモードにおいて抵抗力を第1の抵抗力に制御することで動作特性を第1の動作特性とし、第2のモードでは抵抗力を第1の抵抗力よりも大きい第2の抵抗力に制御することで動作特性を第2の動作特性としてもよい。
【0051】
このような構成によれば、処理ツール13の詳細な位置決めを行う場合であって、決まった場所に処理ツール13を停止させる際にロボット1の自重や意図しない力加減で処理ツール13の位置がずれることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ロボット1(人協働ロボット)
2 ロボット制御装置
3 モード切替操作部
5 方向指定部(第1の操作部)
6 調整部(第2の操作部)
7 第3の操作部
4 制御装置
41 切替部
42 制御部