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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20221109BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20221109BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20221109BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20221109BHJP
   F24F 11/30 20180101ALI20221109BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20221109BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20221109BHJP
   F24F 140/30 20180101ALN20221109BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20221109BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20221109BHJP
【FI】
B01D53/26
F24F11/46
F24F11/64
F24F11/74
F24F11/30
F24F11/70
F24F110:10
F24F140:30
F24F140:00
F24F110:20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018223214
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020082008
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】柳内 敏行
(72)【発明者】
【氏名】壁田 知宜
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 克幸
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】露木 元
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-263425(JP,A)
【文献】特開2004-132669(JP,A)
【文献】特開2015-025631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
F24F 3/14、
11/00-11/89
D06F 58/00-53/52、
60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に含まれる水分を除去する除湿手段と、室内の空気を吸気し、前記除湿手段により除湿された乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、室内の温度を検出する温度検出手段と、室内の湿度を検出する湿度検出手段と、前記温度検出手段が検出する検出温度と前記湿度検出手段が検出する検出湿度により前記除湿手段および前記送風手段の動作を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、少なくとも快適性に関して好適と不適とを区分する指標に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報において、前記検出温度に対し好適範囲の最大の相対湿度に設定する除湿機。
【請求項2】
温度・相対湿度の前記組合せ情報において、前記指標を絶対湿度とし前記好適範囲を絶対湿度が第1の基準値以下の快適範囲とした場合に対し、前記設定湿度を前記検出温度に対し前記快適範囲の最大の相対湿度に設定したことを特徴とする請求項1記載の除湿機。
【請求項3】
温度・相対湿度の前記組合せ情報において、前記指標を不快指数とし前記好適範囲を不快指数が第2の基準値を超え第3の基準値以下の快適範囲とした場合に対し、前記設定湿度を前記検出温度に対し前記快適範囲の最大の相対湿度に設定したことを特徴とする請求項1記載の除湿機。
【請求項4】
温度・相対湿度の前記組合せ情報において、前記指標を暑さ指数とし前記好適範囲を暑さ指数が第4の基準値以下の注意範囲とした場合に対し、前記設定湿度を前記検出温度に対し前記注意範囲の最大の相対湿度に設定したことを特徴とする請求項1記載の除湿機。
【請求項5】
空気中に含まれる水分を除去する除湿手段と、室内の空気を吸気し、前記除湿手段により除湿された乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、室内の温度を検出する温度検出手段と、室内の湿度を検出する湿度検出手段と、前記温度検出手段が検出する検出温度と前記湿度検出手段が検出する検出湿度により前記除湿手段および前記送風手段の動作を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、少なくとも快適性に関して好適と不適とを区分する指標に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報において、前記検出温度に対し好適範囲の最大の相対湿度に設定する除湿機であって、
温度・相対湿度の前記組合せ情報において、前記指標を絶対湿度とし前記好適範囲を絶対湿度が第1の基準値未満の快適範囲とした場合、前記指標を不快指数とし前記好適範囲を不快指数が第2の基準値以上で第3の基準値未満の快適範囲とした場合、 及び、前記指標を暑さ指数とし前記好適範囲を暑さ指数が第4の基準値未満の注意範囲とした場合に対し、前記3つの絶対湿度、不快指数または暑さ指数の指標の内のいずれか2つが好適となる共通好適範囲に対して、前記設定湿度を前記検出温度に対し前記共通好適範囲の最大の相対湿度に設定した除湿機。
【請求項6】
空気中に含まれる水分を除去する除湿手段と、室内の空気を吸気し、前記除湿手段により除湿された乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、室内の温度を検出する温度検出手段と、室内の湿度を検出する湿度検出手段と、前記温度検出手段が検出する検出温度と前記湿度検出手段が検出する検出湿度により前記除湿手段および前記送風手段の動作を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、少なくとも快適性に関して好適と不適とを区分する指標に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報において、前記検出温度に対し好適範囲の最大の相対湿度に設定する除湿機であって、
温度・相対湿度の前記組合せ情報において、前記指標を絶対湿度とし前記好適範囲を絶対湿度が第1の基準値未満の快適範囲とした場合、前記指標を不快指数とし前記好適範囲を不快指数が第2の基準値以上で第3の基準値未満の快適範囲とした場合、及び、前記指標を暑さ指数とし前記好適範囲を暑さ指数が第4の基準値未満の注意範囲とした場合に対し、前記3つの絶対湿度、不快指数または暑さ指数の指標が全て好適となる共通好適範囲に対して、前記設定湿度を前記検出温度に対し前記共通好適範囲の最大の相対湿度に設定した除湿機。
【請求項7】
表示部または報知部をさらに備え、前記検出湿度が前記好適範囲よりも高い側に外れている場合には不適を意味する内容を表示または報知することを特徴とする請求項1記載の除湿機。
【請求項8】
表示部または報知部をさらに備え、前記検出湿度が前記快適範囲よりも高い側に外れている場合には、前記検出湿度に基づいて、おおむね快適、または、不快を意味する内容を表示または報知することを特徴とする請求項2に記載の除湿機。
【請求項9】
表示部または報知部をさらに備え、前記検出湿度が前記快適範囲よりも高い側に外れている場合には、前記検出湿度に基づいて、やや暑い、または、暑いを意味する内容を表示または報知することを特徴とする請求項3に記載の除湿機。
【請求項10】
表示部または報知部をさらに備え、前記検出湿度が前記注意範囲よりも高い側に外れている場合には、前記検出湿度に基づいて、警戒、厳重警戒または危険を意味する内容を表示または報知することを特徴とする請求項4記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を除湿する除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の除湿機として、温度、湿度を計測するセンサーを有し、動作を保証する室温の範囲が複数の温度帯域に区切られ、各温度帯域に対応した複数の運転モードを有し、温度帯域ごとに目標湿度値をそれぞれ設定し、室温の変化によって運転モードを自動的に切り換えて除湿運転を行う例が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4174752号公報(特許請求の範囲、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の除湿機においては、センサーにより計測された室温が属する温度帯域により自動で目標とする相対湿度が切り換わるようになっている。各温度帯域での相対湿度による制御のため、ある温度帯域内で設定された相対湿度に制御されたとしても、温度帯域の上限側と下限側とでは空気に含まれる水分量が異なる。また、設定された相対湿度が同じであっても快適とされる室温の範囲が異なるため、快適性を重視したきめ細やかな除湿制御ができないという課題があった。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたものであり、検出された室温に対し快適とされる湿度になるように、快適性を重視した除湿運転を行う除湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る除湿機は、空気中に含まれる水分を除去する除湿手段と、室内の空気を吸気し、前記除湿手段により除湿された乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、室内の温度を検出する温度検出手段と、室内の湿度を検出する湿度検出手段と、前記温度検出手段が検出する検出温度と前記湿度検出手段が検出する検出湿度により前記除湿手段および前記送風手段の動作を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、少なくとも快適性に関して好適と不適とを区分する指標に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報において、前記検出温度に対し好適範囲の最大の相対湿度に設定するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、少なくとも快適性に関して好適と不適とを区分する指標に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報において、検出温度に対し好適範囲の最大の相対湿度に設定するので、乾燥し過ぎを抑制し、快適な除湿運転ができる除湿機が得られる。


【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る除湿機を示す外観斜視図である。
図2】実施の形態1に係る除湿機の内部を示す概略構成図である。
図3】実施の形態1に係る除湿機の制御ブロック図である。
図4】実施の形態1の除湿機における快適除湿運転モードの動作を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1に係る除湿機における、快適と不快とを区分する指標を絶対湿度とした場合の温度・相対湿度の組合せ情報を示すマトリックス図である。
図6】実施の形態1に係る除湿機における、好適と不適とを区分する指標を不快指数とした場合の温度・相対湿度の組合せ情報を示すマトリックス図である。
図7】実施の形態1に係る除湿機における、好適と不適とを区分する指標を暑さ指数とした場合の温度・相対湿度の組合せ情報を示すマトリックス図である。
図8】実施の形態1に係る除湿機における、図5から図7における指標から設定した、検出温度に対する好適範囲の上限の相対湿度ラインを示す図である。
図9】実施の形態1の除湿機において、図5図7における指標が全て好適となる共通好適範囲に対して定めた、検出温度に対する設定湿度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。なお、各図中において、同一又は相当する部分には同一の符号を付すとともに、重複する説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
実施の形態1.
【0011】
図1は実施の形態1に係る除湿機を示す外観斜視図、図2は実施の形態1に係る除湿機の制御ブロック図、図3は実施の形態1に係る除湿機の内部を示す概略構成図である。
【0012】
実施の形態1に係る除湿機は、図1に示すように、自立可能に構成された除湿機筐体100と、除湿機筐体100内に室内空気Aを取り込むための吸込口101と、吸込口101に取り込まれた空気から除去された水分を溜める貯水タンク102と、水分が除去された乾燥空気Bを除湿機筐体100から室内へ吹き出す排気口103と、操作部8と、表示部12とを備える。除湿機筐体100において、吸込口101が設けられる側を背面とし、反対側を前面とする。排気口103には、乾燥空気Bが吹き出す風向を変えることができる風向可変手段1により構成されている。風向可変手段1は、仰角方向(縦方向)の風向を変えることができる縦方向ルーバー1aと、方位角方向(横方向)の風向を変えることができる横方向ルーバー1bとによって構成されている。運転貯水タンク102は、除湿機筐体100の下部に着脱可能に取り付けられている。
【0013】
操作部8は、除湿機筐体100の前面で排気口103の下方に設けられる。操作部8には複数の操作ボタンである運転スイッチ8a、運転モード切換スイッチ8b、運転時間設定ボタン8c、及び、風向設定キー8dが設けられる。運転スイッチ8aは、押圧することにより、除湿運転開始または除湿運転中断を指示するものである。運転モード切換スイッチ8bは、後述する快適性を重視した除湿運転モードである快適運転モード、除湿量「強」運転モード、及び、除湿量「弱」運転モードを切り換えるものである。運転時間設定ボタン8cは、運転スイッチ8aにより除湿運転を開始してから終了するまでの除湿運転継続時間を設定するボタンである。風向設定キー8dは、排気口103から吹き出される空気の風向を設定するものであり、十字キーで構成する。なお、操作部8は、除湿機筐体100の上面で、排気口103の後方に設けてもよい。
【0014】
除湿機筐体100の前面において、操作部8に隣接して表示部12が設けられる。表示部12は、LEDや液晶画面により各種情報を表示する。表示部2は、除湿運転モード(快適除湿運転モード、除湿量「強」運転モード、及び、除湿量「弱」運転モード)を表示する。また、後述するように、現在の湿度の快適性に関する情報を表示する。さらに、運転終了までの残り時間を表示する。なお、表示部12は、除湿機筐体100の上面で、排気口103の後方に設けてもよい。また、表示部12は、この位置で操作部8に隣接して設けてもよい。
【0015】
本実施の形態1の除湿機には、図2に示すように、吸込口101から室内空気Aを吸い込んで排気口103から乾燥空気Bを室内に吹き出す気流を発生させる送風ファン2と、送風ファン2を回転させるファンモーター2aと、吸込口101から吸引された室内空気Aの温度を検出する温度センサー3(温度検出手段)と、室内空気Aの相対湿度を検出する湿度センサー4(湿度検出手段)と、室内空気Aに含まれる水分を除去して乾燥空気Bを生成する除湿装置5(除湿手段)と、縦方向ルーバー1aを構成し横方向に延設される複数の導風板(図示せず)の向きを仰角方向(縦方向)に変える縦方向可変モーター1cと、横方向ルーバー1bを構成し縦方向に延設される複数の導風板(図示せず)の向きを方位角方向(横方向)に変える横方向可変モーター1dと、制御手段7とを備えている。縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dは、風向設定キー8dの操作により駆動される。十字キーの上下側のキーを押すと縦方向可変モーター1cが駆動し、十字キーの左右側のキーを押すと横方向可変モーター1dが駆動する。温度センサー3及び湿度センサー4は、それぞれ、吸込口101から吸気された室内空気Aに対し、除湿装置5の上流側で、温度及び相対湿度を検出する。
【0016】
除湿装置5は、空気中の水分を除去させることができるものであれば良い。例えば、冷媒が循環するヒートポンプ回路の一部を構成する蒸発器において、空気を露点以下に冷却して凝縮させることにより空気中の水分を除去させる方式や、吸着剤によって除去された空気中の水分を熱交換器で凝縮させるデシカント方式などが用いられている。除湿装置5によって室内空気Aから除去された水分は、凝縮水Cとして貯水タンク102に貯留される。
【0017】
本実施の形態1の除湿機はヒートポンプ回路を備えた方式の場合を例にとり説明する。また、ヒートポンプ回路における圧縮機を駆動するモータはインバータで制御されるものとし、圧縮機の単位時間当たりの回転数を可変して除湿量を調整できる構成とする。
【0018】
図3において、7は除湿機全体の運転を制御する制御手段で、入力回路7a、出力回路7b、CPU7c、記憶部7dを有し、運転開始からの運転時間を計時するタイマー部7eを備えている。操作部8における運転スイッチ8a、運転モード切替スイッチ8b、運転時間設定ボタン8c及び風向設定キー8dからの制御信号、温度センサー3並びに湿度センサー4の検出信号は入力回路7aに入力され、入力回路7aからCPU7cへ出力される。除湿装置5、ファンモーター2a、表示部12、縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dは出力回路7cに接続される。CPU7cからの制御指令信号が出力回路7bに出力され、出力回路7bを介して、除湿装置5、ファンモーター2a、表示部12、縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dに出力され、制御する。記憶部7dは、後述する除湿運転開始時の除湿運転モード、除湿運転時間、複数段階に区分けされた室温範囲の上限温度と下限温度、テーブル番号、設定湿度、除湿量「強」運転及び除湿量「弱」運転に対応した、圧縮機の単位時間当たりの第1の圧縮機回転数及び第2の圧縮機回転数、ファンモータの単位時間当たりの第1の送風ファン回転数及び第2の送風ファン回転数が記憶される。なお、記憶部7dは、除湿運転開始後に温度センサー3の検出温度に基づいて変更されたテーブル番号も記憶される。
【0019】
制御手段7は、除湿機筐体100の前面に配置された操作部8の運転スイッチ8aが操作されたことを検知すると、除湿装置5を駆動する。また、ファンモーター2aを駆動して送風ファン2を回転させ、吸込口101から室内空気Aを吸気し、除湿装置5により除湿された乾燥空気Bを室内に吹き出す気流を発生させる。また、運転モード切換スイッチ8bの操作により選択された除湿運転モードに対応して、除湿装置5及びファンモーター2aを制御する。また、制御手段7は、風向設定キー8dからの操作に基づいて風向可変手段1の縦方向可変モーター1cと横方向可変モーター1dを駆動して、送風方向を所望の方向に設定する。これにより、室内空気Aは、吸込口101から除湿機筐体100内に取り込まれ、温度センサー3及び湿度センサー4によりそれぞれ室内の温度と相対湿度が検出された後、除湿手段5により除湿されて乾燥空気Bとなり、排気口103から室内に吹き出される。
【0020】
次に、除湿機の除湿運転モードの動作について説明する。
図4は、実施の形態1に係る除湿機の快適除湿運転モードのときの動作を示すフローチャートである。図5は、実施の形態1に係る除湿機における、快適と不快とを区分する指標を絶対湿度とした場合の温度・相対湿度の組合せ情報を示すマトリックス図である。図6は、実施の形態1に係る除湿機における、好適と不適とを区分する指標を不快指数とした場合の温度・相対湿度の組合せ情報を示すマトリックス図である。図7は、実施の形態1に係る除湿機における、好適と不適とを区分する指標を暑さ指数とした場合の温度・相対湿度の組合せ情報を示すマトリックス図である。図8は、実施の形態1に係る除湿機における、図5から図7における指標から設定した、検出温度に対する好適範囲の上限の相対湿度ラインを示す図である。図9は、実施の形態1の除湿機において、図5図7における指標が全て好適となる共通好適範囲に対して定めた、検出温度に対する設定湿度を示す図である。
【0021】
除湿運転モードの中で快適性を重視した快適除湿運転モードの動作について、図4を用いて説明する。
【0022】
除湿機の制御手段7は、S1において運転スイッチ8aが操作されたことを検知すると、除湿運転モードを快適除湿運転モードに設定し、除湿運転時間を所定時間、例えば、2時間に設定し、タイマー部7eの計時を開始する。また、後述する室温範囲に対応するテーブル番号を「5」に設定する(図9参照)。また、圧縮機の単位時間当たりの回転数を、後述する除湿量「強」運転に対応する第1の圧縮機回転数に設定する。さらに、ファンモータ2aの単位時間当たりの回転数を、後述する除湿量「強」運転に対応する第1の送風ファン回転数に設定する。これらの初期の除湿運転モード、除湿運転時間、テーブル番号、第1の圧縮機回転数及び第1の送風ファン回転数は記憶部7dに記憶される。運転スイッチ8aが操作されたときに記憶部7dに記憶されている上記の情報が読みだされ、制御手段7の制御情報として設定される。そして、除湿装置5及びファンモーター2aへの通電を開始する。このとき、制御手段7は、表示部12に、除湿運転モードが快適除湿運転モードであることと、除湿運転終了までの残り時間を表示する。なお、運転時間設定ボタン8cを操作することにより、除湿運転継続時間を変更することができる。また、風向設定キー8dを操作することにより、排気口103から吹き出される乾燥空気Bの風向を調整して設定できる。そして、S2に進む。
【0023】
S2において、温度センサー3が室内の温度を検出し、湿度センサー4が室内の相対湿度を検出して、現在の室内温度、相対湿度の測定を行う。そしてS3へ進む。
【0024】
S3において、S2で測定した室内の検出温度が、図9に示すどの室温範囲に属するか温度判定を行い、対応するテーブル番号を設定する。例えば、検出温度が23.5℃の場合は、テーブル番号「3」を設定する。そして、S4に進む。
【0025】
S4において、除湿運転時の目標とする設定湿度(相対湿度)を後述の設定湿度テーブル(図9参照)に基づき切換えるかどうかを判断する。制御手段7は、記憶部7dに記憶されるテーブル番号とS2で設定されたテーブル番号とを比較し、両者が一致している場合は設定湿度テーブルの切り換えは不要と判断し(S4においてNo)、S6へ進む。両者が一致していない場合は設定湿度テーブルの切り換えが必要と判断し(S4においてYes)、S5へ進む。
【0026】
S5において、S2で設定されたテーブル番号を記憶部7dに更新記憶する。そして、S6へ進む。今回の例ではS3で測定した検出温度が23.5℃であり、対応するテーブル番号は「3」となる。一方、S1においてテーブル番号「5」が設定されているので、記憶部7dに記憶されるテーブル番号を「5」から「3」に更新記憶する。そして、除湿運転の目標とする相対湿度を、更新記憶したテーブル番号に対応した設定湿度に変更する(図9参照)。
【0027】
ここで図5図9を用いて実施の形態1に係る設定湿度テーブルの決め方について説明する。
【0028】
図5は縦軸に乾球温度、横軸に相対湿度を示し、各温度、相対湿度ごとの絶対湿度(重量絶対湿度)をマトリックス状に示したものである。絶対湿度は、快適性に関して好適と不適とを区分する指標の例である。図5は、好適と不適とを区分する指標(絶対湿度)に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報の例である。好適範囲は、絶対湿度が後述する第1の基準値以下の快適範囲である。ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)で規定されている快適範囲では、絶対湿度12g/kg(DA)(DA:Dry Air)以下が快適とされているが、実施の形態1ではさらに人の感じ方を考慮し尤度をとって10g/kg(DA)(請求項における第1の基準値)以下を「快適」、10~12g/kg(DA)を「おおむね快適」、12g/kg(DA)を超える範囲を「不快」として閾値を設定した。そして「快適」と「おおむね快適」の境界を絶対湿度による「快適」維持ラインとして設定している。つまり、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、温度センサー3の検出温度を代表する乾球温度に対し好適範囲である快適範囲の上限側の相対湿度に設定している。検出温度を代表する乾球温度とは、例えば、検出温度が23.5℃の場合、23℃以上で24℃未満とする23℃を、検出温度を代表する乾球温度とし、以下の図6図7及び図8の場合も同様である。
【0029】
図6は縦軸に乾球温度、横軸に相対湿度を示し、各温度、相対湿度ごとの不快指数をマトリックス状に示したものである。不快指数は、快適性に関して好適と不適とを区分する指標の例である。好適範囲は、不快指数が後述する第2の基準値を超え第3の基準値未満の快適範囲である。図5は、好適と不適とを区分する指標(不快指数)に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報の例である。不快指数は、乾球温度をTd(℃)、相対湿度をH(%)とすると、
不快指数=0.81Td+0.01H(0.99Td-14.3)+46.3
で計算される。図6は各温度(乾球温度)、湿度(相対湿度)毎の不快指数をまとめたものである。不快指数と体感の関係では、不快指数75(請求項における第3の基準値)を境にして、不快指数75以下(、不快指数65を超える)が「快適」、不快指数75を超える範囲が「不快」となっている。「不快」の範囲について、不快指数が75を超え80未満が「やや厚い」、不快指数が80を超える範囲が「暑い」となっている。実施の形態1では不快指数75を境界とした不快指数による「快適」維持ラインとして設定している。つまり、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、温度センサー3の検出温度を代表する乾球温度に対し好適範囲である快適範囲の上限側の相対湿度に設定している。
【0030】
図7は縦軸に乾球温度、横軸に相対湿度を示し、各温度、相対湿度ごとの暑さ指数をマトリックス状に示したものである。暑さ指数は、快適性に関して好適と不適とを区分する指標の例である。図7は、好適と不適とを区分する指標(暑さ指数)に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報の例である。好適範囲は、暑さ指数が後述する第4の基準値以下の注意範囲である。暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標である。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されるが、その値は気温とは異なる。暑さ指数は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい「湿度」、「日射・輻射」など周辺の熱環境、「気温」の3つを取り入れた指標となっている。近年は熱中症予防の観点から、夏季には環境省の熱中症予防情報サイトでも公表されている。暑さ指数には「快適」の指標は無いが、暑さ指数25℃を超えると熱中症予防に対して「警戒」となることから、実施の形態1では暑さ指数25℃を境界として暑さ指数による「注意」維持ラインとして設定している。つまり、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、温度センサー3の検出温度を代表する乾球温度に対し好適範囲である注意範囲の上限側の相対湿度に設定している。
【0031】
以上の3つの指標(絶対湿度、不快指数、暑さ指数)にて設定した「好適」もしくは「不適」維持ライン(温湿度制御ライン)を一つの温度・湿度マトリックス上に示したものが図8である。一点鎖線が絶対湿度における好適範囲の上限側の相対湿度である「快適」維持ライン、実線が不快指数における好適範囲の上限側の相対湿度である「快適」維持ライン、破線が暑さ指数における好適範囲の上限側の相対湿度である「注意」維持ラインである。また網掛け部はこれら3つの指標をすべて満足する共通好適範囲となっている。除湿運転によりこの共通好適範囲の温度湿度を保つことができれば熱中症予防をしつつ快適性も維持することが可能となる。実施の形態1では、図8の網掛け部の共通好適範囲において、境界線を、3指標すべてを満足する温湿度制御ラインとして設定している。つまり、3つの指標が全て好適となる共通好適範囲に対して、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、温度センサー3の検出温度を代表する乾球温度に対し共通好適範囲の上限側の相対湿度に設定している。
【0032】
除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、温度センサー3の検出温度を代表する乾球温度に対し共通好適範囲の上限側の相対湿度よりも低い相対湿度に設定した場合は、より空気が乾燥するものの、快適性という観点では快適の範囲となり問題がない。しかし、除湿運転開始時の室内湿度が共通好適範囲の上限側の設定湿度より高い場合に、この目標とする設定湿度を、温度センサー3の検出温度を代表する乾球温度に対し共通好適範囲の上限側の相対湿度に設定することにより、室内湿度が設定湿度に至るまでの時間が短くなり、除湿機の消費電力量を抑制できるので、使い勝手がよい除湿機が得られる。また、共通好適範囲の上限側の相対湿度よりも低い相対湿度では、空気が乾燥し、肌が乾燥したり、インフルエンザに感染しやすくなる虞があるが、共通好適範囲の上限側の相対湿度では、快適性を担保できるとともに、肌の乾燥やインフルエンザの感染のリスクを低減できる効果がある。
【0033】
このようにして設定した温湿度制御ラインを元にして、実施の形態1では図9に示すように、除湿運転に使用する室温を1℃刻みの複数の室温範囲に区切って、各室温範囲に対応して、テーブル番号と除湿運転の目標とする設定湿度を定めた設定湿度テーブルを作成した。記憶部7dには、各室温範囲の下限値または上限値、テーブル番号、及び設定湿度からなるテーブル情報を記憶している。
【0034】
図4の快適除湿運転モードの動作の説明に戻る。
S6において、S2にて測定した現在の室内の相対湿度である湿度センサー4の検出湿度と設定湿度との差ΔH(=現在湿度-設定湿度)を算出する。そして、S7へ進む。
【0035】
S7において、算出したΔHが0%を超えるか否かを判定する。すなわち現在湿度が設定湿度に達しているか否かを判定する。現在湿度が設定湿度に達していない場合(S7にてYesの場合)、S8に進む。現在湿度が設定湿度に達している場合(S7にてNoの場合)、S8に進む。
【0036】
S8において、制御手段7は、送風ファン2および除湿手段5を除湿量「強」運転で制御する。すなわち、制御手段7は、圧縮機の単位時間当たりの回転数を第1の圧縮機回転数に設定し、ファンモーター2aの単位時間当たりの回転数を第1の送風ファン回転数に設定して、圧縮機を有するヒートポンプ回路を備えた除湿装置5及び送風ファン2を駆動する。そして、S10へ進む。
【0037】
S9において、制御手段7は、送風ファン2および除湿手段5を除湿量「弱」運転で制御する。すなわち、制御手段7は、圧縮機の単位時間当たりの回転数を、第1の圧縮機回転数より小さい第2の圧縮機回転数に設定し、ファンモーター2aの単位時間当たりの回転数を第1の送風ファン回転数よりも小さい第2の送風ファン回転数に設定して、圧縮機を有するヒートポンプ回路を備えた除湿装置5及び送風ファン2を駆動する。そして、S10へ進む。
【0038】
なお、S9では除湿量「弱」運転としなくても、送風ファン2だけを運転させて、単に送風運転としても良い。また送風ファン2、除湿手段5を共に一旦停止させて待機状態とするようにしても良い。
【0039】
S10において、運転モード切換スイッチ8bが操作されない場合はS12に進む。運転モード切換スイッチ8bが操作され、快適除湿運転モードと異なる他の除湿運転モード、が選択されたことを検知すると、S11で他の除湿運転モードに移行する。他の除湿運転モードとしては、「強」運転モード、及び、「弱」運転モードがある。「強」運転モードは、除湿運転において目標」とする設定湿度を設けず、前記の除湿量「強」運転を運転時間設定ボタンにより設定された運転終了時間まで継続して運転するモードである。「強」運転モードに移行すると、制御手段7は表示部12に、除湿運転モードが「強」運転モードであることを表示する。次に、「弱」運転モードは、除湿運転において目標」とする設定湿度を設けず、前記の除湿量「弱」運転を運転時間設定ボタンにより設定された運転終了時間まで継続して運転するモードである。「弱」運転モードに移行すると、制御手段7は表示部12に、除湿運転モードが「弱」運転モードであることを表示する。なお、除湿量「強」運転中、または、除湿量「弱」運転中に運転スイッチ8aが操作されると、運転を停止する。
【0040】
S12において、タイマー部7eが計時する除湿運転時間が運転時間設定ボタン8cにより設定された除湿運転継続時間に達したか否かを判定する。タイマー部7eが計時する除湿運転時間が運転時間設定ボタン8cにより設定された除湿運転継続時間に達した場合(S12でYesの場合)はS13に進む。タイマー部7eが計時する除湿運転時間が運転時間設定ボタン8cにより設定された除湿運転継続時間に達していない場合(S12でNoの場合)はS2に戻る。なお、運転スイッチ8aが操作された場合もS13へ進む。
【0041】
S13において、制御手段7は除湿装置5及びファンモーター2aへの通電を停止し、除湿運転を終了する。
【0042】
以上のように本実施の形態1によれば、空気中に含まれる水分を除去する除湿手段と、室内の空気を吸気し、前記除湿手段により除湿された乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、室内の温度を検出する温度検出手段と、室内の湿度を検出する湿度検出手段と、温度検出手段が検出する検出温度と湿度検出手段が検出する検出湿度により除湿手段および送風手段の動作を制御する制御手段を備え、制御手段は、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を、少なくとも快適性に関して好適と不適とを区分する指標に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報において、検出温度に対し好適範囲の上限側の相対湿度に設定したので、乾燥し過ぎを抑制し、快適な除湿運転ができる除湿機が得られる。
【0043】
また、検出温度に対して検出湿度が好適範囲を外れている場合、制御手段7は表示部12に不適である内容を意味する表示をしてもよい。さらに、制御手段7に接続される報知部をさらに設け、制御手段7は報知部に不適である内容を報知するようにしてもよい。
【0044】
また、温度・相対湿度の組合せ情報において、指標を絶対湿度とし好適範囲を絶対湿度が第1の基準値未満の快適範囲とした場合、指標を不快指数とし好適範囲を不快指数が第2の基準値以上で第3の基準値未満の快適範囲とした場合、及び、指標を暑さ指数とし好適範囲を暑さ指数が第4の基準値未満の注意範囲とした場合に対し、これら3つの指標が全て好適となる共通好適範囲に対して、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を前記検出温度に対し共通好適範囲の上限側の相対湿度に設定したので、乾燥し過ぎを抑制し、熱中症を予防できるとともに快適な除湿運転ができる除湿機が得られる。
【0045】
また、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を絶対湿度とし、好適範囲を絶対湿度が第1の基準値未満の快適範囲として、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を検出温度に対好適範囲の上限側の相対湿度に設定してもよい。乾燥し過ぎを抑制し、快適な除湿運転ができる除湿機が得られる。
【0046】
また、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を絶対湿度とした場合、検出温度に対して検出湿度が好適範囲を外れている場合、制御手段7は、表示部12に、検出湿度に基づいて、「おおむね快適」(例えば、絶対湿度が10g/kg(DA)以上12g/kg(DA)未満)または「不快」(例えば、絶対湿度が12g/kg(DA)以上)(図5参照)を意味する内容を表示するようにしてもよい。記憶部7dに、予め、検出温度を代表する乾球温度毎に「おおむね快適」と「不快」を判断する相対湿度を記憶しておく。検出温度に対して検出湿度が快適範囲を外れている場合、制御手段7は、表示部12に、検出温度と検出湿度により記憶部7dに記憶される情報から、「おおむね快適」または「不快」を意味する内容を表示する。除湿機の使用者は現在の温湿度状況を認識することができ、使い勝手がよい除湿機が得られる。
【0047】
さらに、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を絶対湿度とした場合、制御手段7に接続される報知部をさらに設け、検出湿度が快適範囲よりも高い側に外れている場合には、制御手段7は報知部に「おおむね快適」または「不快」を意味する報知をしてもよい。さらに除湿を促すように報知するようにしても良い。除湿機の使用者は現在の快適性の状況を容易に認識することができ、使い勝手がよい除湿機が得られる。
【0048】
また、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を不快指数とし、好適範囲を不快指数が第2の基準値を超え第3の基準値以下の快適範囲として、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を検出温度に対好適範囲の上限側の相対湿度に設定してもよい。快適性を重視した除湿運転ができる除湿機が得られる。
【0049】
また、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を不快指数とした場合、検出温度に対して検出湿度が好適範囲を外れている場合、制御手段7は、表示部12に、検出湿度に基づいて、「やや暑い」(例えば、不快指数が75以上80未満)または「暑い」(例えば、不快指数が80以上)(図6参照)を意味する内容を表示するようにしてもよい。記憶部7dに、予め、検出温度を代表する乾球温度毎に「やや暑い」と「暑い」を判断する相対湿度を記憶しておく。検出温度に対して検出湿度が快適範囲を外れている場合、制御手段7は、表示部12に、検出温度と検出湿度により記憶部7dに記憶される情報から、「やや暑い」または「暑い」を意味する内容を表示する。除湿機の使用者は現在の快適性の状況を認識することができ、使い勝手がよい除湿機が得られる。
【0050】
さらに、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を不快指数とした場合、制御手段7に接続される報知部をさらに設け、検出湿度が快適範囲よりも高い側に外れている場合には、制御手段7は報知部に「やや暑い」または「暑い」を意味する報知をしてもよい。さらに除湿を促すように報知するようにしても良い。除湿機の使用者は現在の快適性の状況を容易に認識することができ、使い勝手がよい除湿機が得られる。
【0051】
また、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を暑さ指数とし、好適範囲を暑さ指数が第4の基準値以下の注意範囲として、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を検出温度に対し注意範囲の上限側の相対湿度に設定してもよい。熱中症の予防を重視した除湿運転ができる除湿機が得られる。
【0052】
また、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を暑さ指数とした場合、検出温度に対して検出湿度が好適範囲を外れている場合、制御手段7は、表示部12に、検出湿度に基づいて、「警戒」(例えば、暑さ指数が25℃以上28℃未満)、「厳重警戒」(例えば、暑さ指数が28℃以上31℃未満)、または、「危険」(例えば、暑さ指数が31℃以上)(図7参照)を意味する内容を表示するようにしてもよい。記憶部7dに、検出温度を代表する乾球温度毎に「警戒」、「厳重警戒」及び「危険」を判断する相対湿度を記憶しておく。検出温度に対して検出湿度が快適範囲を外れている場合、制御手段7は、表示部12に、検出温度と検出湿度により記憶部7dに記憶される情報から、「警戒」、「厳重警戒」または「危険」を意味する内容を表示する。
【0053】
さらに、制御手段7に接続される報知部をさらに設け、検出湿度が快適範囲よりも高い側に外れている場合には、制御手段7は報知部に「警戒」、「厳重警戒」または「危険」を意味する報知をしてもよい。さらに除湿を促すように報知するようにしても良い。
【0054】
また、快適性に関して好適と不適とを区分する指標を絶対湿度、不快指数、または暑さ指数の3つの指標の内のいずれか2つの指標が好適となる共通好適範囲として、除湿運転を行う際の目標とする設定湿度を検出温度に対し共通好適範囲の上限側の相対湿度に設定してもよい。乾燥し過ぎを抑制し、快適な除湿運転ができる除湿機が得られる。
【0055】
なお、実施の形態1では、好適と不適とを区分する指標に基づいた温度・相対湿度の組合せ情報に基づき設定した温湿度制御ラインを元に設定湿度テーブルを作成したが、テーブルではなく温度と湿度の関係を数式化して、CPU7cにて演算処理させて、検知温度に対する設定湿度を決定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 風向可変手段
1a 縦方向ルーバー
1b 横方向ルーバー
1c 縦方向可変モーター
1d 横方向可変モーター
2 送風ファン
2a ファンモーター
3 温度センサー
4 湿度センサー
5 除湿装置
7 制御手段
7a 入力回路
7b 出力回路
7c CPU
7d 記憶部
7e タイマー部
8 操作部
8a 運転スイッチ
8b 運転モード切換スイッチ
8c 運転時間設定ボタン
8d 風向設定キー
12 表示部
100 除湿機筐体
101 吸込口
102 貯水タンク
103 排気口
A 室内空気
B 乾燥空気。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9