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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】排気浄化装置および内燃機関システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20221109BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20221109BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20221109BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F01N3/20 E
F02D19/02 A
F01N3/08 A
F01N3/24 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018226269
(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公開番号】P2020090895
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-09-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100182718
【弁理士】
【氏名又は名称】木崎 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小池 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴置 哲典
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/136034(WO,A1)
【文献】特開2014-211154(JP,A)
【文献】米国特許第8370049(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F02D 19/02
F01N 3/08
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを燃料とする内燃機関の排気ガスを浄化する排気浄化装置であって、
窒素酸化物を還元する機能およびアンモニアを酸化する機能を有する触媒と、
前記触媒の活性状態を検出する活性状態検出部と、
前記触媒の上流側における前記排気ガス中の空燃比を取得する第1空燃比取得部と、
前記内燃機関にアンモニアを供給する燃料供給部によるアンモニアの供給量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記触媒が活性状態であり、かつ、
前記第1空燃比取得部により取得された空燃比を用いて算出された濃度指標値であって、前記触媒における酸素被毒の進行度合いを表す濃度指標値が、所定の閾値を超えた場合に、アンモニアの供給量を一時的に増加させ、前記排気ガスの空燃比を過濃にする、排気浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気浄化装置であって、
前記濃度指標値は、
前記第1空燃比取得部により取得された空燃比を用いて算出された空気過剰率から1を差し引いた値と、
前記第1空燃比取得部により取得された空燃比が希薄状態に移行してからの経過時間と、の積である、排気浄化装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の排気浄化装置であって、
前記制御部は、アンモニアの供給量を増加させたのち、前記濃度指標値をリセットする、排気浄化装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の排気浄化装置であって、さらに、
前記触媒の下流側における前記排気ガス中の空燃比を取得する第2空燃比取得部と、 前記排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を、前記第2空燃比取得部により取得された空燃比を用いて取得する濃度取得部と、を備え、
前記制御部は、アンモニアの供給量の増加中に、所定の閾値以上のアンモニアの濃度が前記濃度取得部により取得された場合に、アンモニアの供給量の増加を停止する、排気浄化装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の排気浄化装置であって、
前記活性状態検出部は、前記触媒の温度を検出する温度センサであり、
前記制御部は、前記温度センサにより検出された前記触媒の温度が所定温度以上である場合には、アンモニアの供給量の増加を中止する、排気浄化装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の排気浄化装置であって、
前記制御部は、前記燃料供給部が有する噴射弁から噴射されるアンモニアの噴射量を、所定回数増加させることで、アンモニアの供給量の増加を実現する、排気浄化装置。
【請求項7】
請求項6に記載の排気浄化装置であって、
前記制御部は、前記所定回数増加させるアンモニアの噴射量を、回数が増えるにつれて減らしていく、排気浄化装置。
【請求項8】
内燃機関システムであって、
アンモニアを燃料とする内燃機関と、
前記内燃機関にアンモニアを供給する燃料供給部と、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の排気浄化装置と、を備える、内燃機関システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置および内燃機関システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニア(NH3)ガスを燃焼させて、駆動力を得る内燃機関(以降、「アンモニアエンジン」とも呼ぶ。)が知られている。アンモニアエンジンが稼働すると、ガソリンエンジンと同じく窒素酸化物(NOX)が排出される。例えば、特許文献1には、ガソリンエンジンの排気ガス(排ガス)に含まれる窒素酸化物を浄化するための排気浄化装置が開示されている。この排気浄化装置は、窒素酸化物を浄化する触媒担体として表面に塩基点が存在するアルミナを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-100586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモニアエンジンは排気ガスの空燃比を量論比に制御することにより、触媒による窒素酸化物と未燃アンモニアの浄化が可能である。しかし、始動時など触媒温度が充分高くない条件では、アンモニア浄化がより進むよう、空燃比を希薄化する方法がとられることがある。この場合、窒素酸化物を浄化するために、触媒温度の上昇とともに、排気ガスの空燃比を希薄から量論比に変化させるが、このとき、触媒表面が酸素で覆われる酸素被毒が生じ、窒素酸化物の浄化がなかなか進まないという課題があった。なお、このような酸素被毒は、触媒温度が充分に高くない際に特に顕著である。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、アンモニアエンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物およびアンモニアを速やかに浄化する排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、アンモニアを燃料とする内燃機関の排気ガスの排気浄化装置が提供される。この排気浄化装置は、窒素酸化物を還元する機能およびアンモニアを酸化する機能を有する触媒と、前記触媒の活性状態を検出する活性状態検出部と、前記触媒の上流側における前記排気ガス中の空燃比を取得する第1空燃比取得部と、前記内燃機関にアンモニアを供給する燃料供給部によるアンモニアの供給量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記触媒が活性状態であり、かつ、前記第1空燃比取得部により取得された空燃比を用いて算出された濃度指標値であって、前記触媒における酸素被毒の進行度合いを表す濃度指標値が、所定の閾値を超えた場合に、アンモニアの供給量を一時的に増加させ、前記排気ガスの空燃比を過濃にする。
【0008】
アンモニアエンジンは排気ガスの空燃比を量論比に制御することにより、触媒による窒素酸化物と未燃アンモニアとの浄化が可能であるが、触媒が充分な活性状態に至るまでは(例えば、始動時など触媒温度が充分高くない条件下の場合)、アンモニア浄化がより進むよう、空燃比を希薄化する場合がある。この際、希薄状態の排気ガスには多くの酸素が含まれることから、触媒表面が酸素で覆われる酸素被毒が生じることがある。一方、触媒の温度上昇に伴う触媒の活性後は、窒素酸化物を浄化するために排気ガスの空燃比を希薄から量論比へと変化させる。しかし、触媒に酸素被毒が既に発生している場合には、触媒における窒素酸化物の浄化(還元)が進行しづらい。この構成によれば、制御部は、触媒が活性状態になったのち、触媒における酸素被毒の進行度合いを表す濃度指標値が所定の閾値を超えた場合(すなわち、酸素被毒の進行度合いを表す濃度指標値が高くなった場合)、燃料供給部におけるアンモニアの供給量を一時的に増加させることで、触媒の上流側における排気ガスの空燃比を過濃とする。この結果、触媒に流入する排気ガスには多くのアンモニアが含まれることとなり、この排気ガス中のアンモニアと、触媒に付着した酸素とを反応させることで、窒素酸化物の浄化の妨げとなる酸素被毒を解消することができる。このように、本構成の排気浄化装置によれば、アンモニアエンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物およびアンモニアを速やかに浄化することができる。
【0009】
(2)上記形態の排気浄化装置において、前記濃度指標値は、前記第1空燃比取得部により取得された空燃比を用いて算出された空気過剰率から1を差し引いた値と、前記第1空燃比取得部により取得された空燃比が希薄状態に移行してからの経過時間と、の積であってもよい。
この構成によれば、制御部は、第1空燃比取得部により取得された空燃比を用いて簡単に、酸素被毒の進行度合いを表す濃度指標値を求めることができる。
【0010】
(3)上記形態の排気浄化装置において、前記制御部は、アンモニアの供給量を増加させたのち、前記濃度指標値をリセットしてもよい。
この構成によれば、制御部は、アンモニアの供給量を増加させたのち濃度指標値をリセットするため、必要以上のアンモニアが酸素被毒の解消のために供給されずに済み、排気浄化装置から未反応のアンモニアが流出することを抑制できる。
【0011】
(4)上記形態の排気浄化装置において、さらに、前記触媒の下流側における前記排気ガス中の空燃比を取得する第2空燃比取得部と、前記排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を、前記第2空燃比取得部により取得された空燃比を用いて取得する濃度取得部と、を備え、前記制御部は、アンモニアの供給量の増加中に、所定の閾値以上のアンモニアの濃度が前記濃度取得部により取得された場合に、アンモニアの供給量の増加を停止してもよい。
この構成によれば、制御部は、アンモニアの供給量の増加中に、触媒の下流側における排気ガス中のアンモニアの濃度が高くなった場合(すなわち、濃度取得部によって取得されたアンモニア濃度が所定の閾値以上となった場合)、アンモニアの供給量の増加を停止する。このため、排気浄化装置から未反応のアンモニアが流出することを抑制できる。
【0012】
(5)上記形態の排気浄化装置において、前記活性状態検出部は、前記触媒の温度を検出する温度センサであり、前記制御部は、前記温度センサにより検出された前記触媒の温度が所定温度以上である場合には、アンモニアの供給量の増加を中止してもよい。
触媒の温度が所定温度以上である場合には、触媒の表面を覆う酸素被毒が発生しなくなる。この構成によれば、制御部は、触媒の温度が所定温度以上である場合には、アンモニアの供給量の増加を行わない、または、増加中のアンモニアの供給量の増加を中止するため、排気浄化装置から未反応のアンモニアが流出することを抑制できる。
【0013】
(6)上記形態の排気浄化装置において、前記制御部は、前記燃料供給部が有する噴射弁から噴射されるアンモニアの噴射量を、所定回数増加させることで、アンモニアの供給量の増加を実現してもよい。
この構成によれば、制御部は、噴射弁から噴射されるアンモニアの噴射量を所定回数増加させることでアンモニアの供給量の増加を実現するため、1回の噴射によってアンモニアの供給量を増加させる場合と比較して、アンモニアの供給量の増加を分散させ、過度なアンモニアが一度に触媒へ供給されることを抑制できる。
【0014】
(7)上記形態の排気浄化装置において、前記制御部は、前記所定回数増加させるアンモニアの噴射量を、回数が増えるにつれて減らしていってもよい。
複数回におけるアンモニアの増加した噴射量により、触媒における酸素被毒は徐々に解消される。そのため、最も酸素被毒が進行した状態のときに噴射される1回目のアンモニアの噴射量を最大として、回数を重ねるごとに噴射量が徐々に減ることによって、未反応のアンモニアが外部へと排出されることを抑制できる。
【0015】
(8)本発明の他の一形態によれば、内燃機関システムが提供される。この内燃機関システムは、アンモニアを燃料とする内燃機関と、前記内燃機関にアンモニアを供給する燃料供給部と、上記記載の排気浄化装置と、を備える。
【0016】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、排気浄化装置および排気浄化方法、排気浄化方法を含むシステム、これら装置およびシステムや方法を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態としての排気浄化装置を備えるエンジンシステムにおける一部の概略図である。
図2】混合気の空燃比に対する触媒での窒素酸化物およびアンモニアの浄化率を示すグラフである。
図3】制御部によるアンモニアの供給量の増加制御についてのフローチャートである。
図4】本実施形態の排気浄化装置による効果を示すグラフである。
図5】比較例の排気浄化装置による効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態としての排気浄化装置10を備えるエンジンシステム100における一部の概略図である。エンジンシステム(内燃機関システム)100は、例えば車両に搭載されて、アンモニアガス(NH3)を燃料として車両を駆動させるための駆動力を生み出す。エンジンシステム100は、機関本体(内燃機関)50と、燃料のアンモニアガスを貯留している燃料タンク(燃料供給部)61と、燃料タンク61から機関本体50にアンモニアガスを噴射する噴射弁62と、機関本体50から排出される排気ガス(排ガス)を浄化する排気浄化装置10とを備える。本実施形態の燃料タンク61の内部は、加圧されており、燃料タンク61は、気体のアンモニアガスを貯留している。以降、アンモニアガスを単に「アンモニア」と呼ぶ。
【0019】
機関本体50は、アンモニアを燃焼させて駆動力を得る。本実施形態の機関本体50は火花点火式である。機関本体50は、シリンダブロック51と、シリンダヘッド52と、ピストン53とを備える。ピストン53の冠面、シリンダブロック51、およびシリンダヘッド52は、燃焼室CCを形成する。燃焼室CCはそれぞれの気筒ごとに形成されている。
【0020】
機関本体50は、外気から取り込んだ空気AIRを燃焼室CCに流入させる吸気管54と、燃焼後の排ガスを燃焼室CCから排気させる排気管55と、燃焼室CCと吸気管54との吸気経路を開閉する吸気弁56と、燃焼室CCと排気管55との排気経路を開閉する排気弁57と、燃焼室CC内の混合に点火する点火プラグ58とを備えている。点火プラグ58は、火花放電を発生させることで、燃焼室CC内の燃料に着火し、燃料を燃焼させる。
【0021】
排気浄化装置10は、機関本体50から排出される排ガスDG中の有害物質や燃料の燃え残り、例えば、窒素酸化物(NOX)およびアンモニアを浄化する。本実施形態の排気浄化装置10は、排気管55の途中に配置された触媒12と、排気管55を流れる排ガスDGの温度を測定する温度センサ(活性状態検出部)15と、排気管55を流れる排ガスDGの空燃比を取得する空燃比取得部14と、温度センサ15および空燃比取得部14の検出値に基づいて噴射弁62を制御する制御部11とを備えている。なお、本実施形態のエンジンシステム100では、空気AIRが吸い込む吸気管54側を上流側、排ガスDGが排出される排気管55側を下流側として定義する。
【0022】
触媒12は、窒素酸化物を還元する機能と、アンモニアを酸化する機能とを有している。触媒12は、活性化する温度以上の環境下で活性状態になり、酸化および還元の浄化機能を発揮する。触媒12として、例えば、三元触媒が用いられる。触媒12は、セラミックスや酸化チタン等を担体として、例えば、白金、ロジウム、パラジウム等の貴金属を活性触媒成分として担持させることにより形成される。なお、三元触媒機能を実現させる活性触媒成分は、被毒劣化耐性と熱劣化耐性を有する限りにおいて、貴金属には限定されない。三元触媒機能は、排ガスDG中のアンモニア、NOX、水素(H2)を酸化還元反応によって浄化できる。
【0023】
図1に示されるように、空燃比取得部14は、触媒12の上流側に配置された上流側空燃比センサ(第1空燃比取得部)143と、触媒12の下流側に配置された下流側空燃比センサ(第2空燃比取得部)142とを備えている。上流側空燃比センサ143および下流側空燃比センサ142は、排ガスDGの空燃比を検出する空燃比センサ(A/F(Air / fuel ratio))である。上流側空燃比センサ143は、燃焼室CCで燃焼した排ガスDGの空燃比を検出する。下流側空燃比センサ142は、触媒12の酸化還元反応によって浄化された排ガスDGの空燃比を検出する。
【0024】
温度センサ15は、図1に示されるように、触媒12の上流側における排ガスDGの温度を検出する。本実施形態では、温度センサ15の検出値が、触媒12の温度として取り扱われる。
【0025】
図2は、混合気の空燃比に対する触媒12での窒素酸化物およびアンモニアの浄化率を示すグラフである。図2には、触媒12が活性化している場合において、燃焼室CCから排出される排ガスDGに含まれる窒素酸化物およびアンモニアの浄化率が示されている。窒素酸化物の浄化率が破線で示され、アンモニアの浄化率が実線で示されている。図2に示されるように、混合気の空燃比が量論比の場合に、窒素酸化物およびアンモニアの浄化率がほぼ100パーセント(%)になる。一方で、混合気の空燃比が希薄(リーン)である場合に、アンモニアの浄化率はほぼ100%になるが、窒素酸化物の浄化率は希薄になるにつれて小さくなる。逆に、混合気の空燃比が過濃(リッチ)である場合に、窒素酸化物の浄化率はほぼ100%になるが、アンモニアの浄化率は過濃になるにつれて小さくなる。このように、触媒12が活性化している状態では、混合気の空燃比が量論比の場合に、窒素酸化物およびアンモニアが共にほぼ100%浄化される。一方、混合気が希薄の場合に、排ガスDG中の窒素酸化物の濃度が高くなり、混合気が過濃の場合に、排ガスDG中のアンモニアの濃度が高くなる。
【0026】
触媒12が活性状態であり、混合気の空燃比が量論比であると、理論上では、触媒12は、窒素酸化物およびアンモニアに対する浄化性能が最も高い。一方で、触媒12が充分な活性状態にない場合(例えば、始動時など触媒温度が充分高くない条件下の場合)には、アンモニア浄化がより進むよう、混合気の空燃比を希薄化する場合がある。この際、希薄状態の排ガスには多くの酸素が含まれることから、触媒12の表面に酸素が付着する酸素被毒が発生する場合がある。酸素被毒が発生すると、窒素酸化物は、触媒12によって還元しにくくなる。この場合に、窒素酸化物の一部は、触媒12によって還元されずに外部へと排出されるおそれがある。このため、本実施形態では、酸素被毒が発生している状態で、触媒12に流れ込む排ガスを過濃状態とする(すなわち、アンモニアの供給量を多くする)ことで、触媒12の表面に付着している酸素とアンモニアとを反応させて、酸素被毒を解消できる。なお、触媒12の温度が、触媒12が活性化するよりも高い所定温度以上になると、酸素被毒が生じなくなる。
【0027】
制御部11は、上流側空燃比センサ143または下流側空燃比センサ142(以降では、単に「空燃比センサ142,143」とも呼ぶ)によって検出された空燃比と、温度センサ15によって検出された触媒12の温度とに基づいて、噴射弁62から噴射されるアンモニアの量を変化させる。制御部11は、温度センサ15の検出温度が、触媒12が活性化する温度以上であるか否かを判定する。制御部11は、触媒12が活性化していると判定した場合には、上流側空燃比センサ143によって検出された空燃比に応じて、噴射弁62から噴射されるアンモニアの量を変化させる。この場合、制御部11は、第1空燃比取得部としても機能する。
【0028】
具体的には、制御部11は、触媒12が活性状態であり、かつ、上流側空燃比センサ143により検出された空燃比を用いて算出される濃度指標値THが所定の閾値を超えた場合に、アンモニアの供給量を一時的に増加させて、混合気の空燃比を過濃にする。混合気の空燃比が過濃になると、排ガスDGの空燃比が過濃になる。濃度指標値THは、触媒12における酸素被毒の進行度合いを表す指標値である。濃度指標値THは、上流側空燃比センサ143により検出された空燃比を用いて算出された空気過剰率から1を差し引いた値と、上流側空燃比センサ143により検出された空燃比が希薄状態に移行してからの経過時間との積によって求めることができる。
【0029】
制御部11は、触媒12が活性状態であり、かつ、濃度指標値THが予め設定された所定値を超える場合に、噴射弁62からのアンモニアの噴射量を、混合気の空燃比が過濃になるように一時的に増加させる。制御部11は、アンモニアの噴射量を一時的に増加させた後に、濃度指標値THをリセットして0に戻す。制御部11は、アンモニアの噴射量を増加させて、混合気の空燃比を過濃にする際に、複数回(例えば、3回)の噴射量を増加させる。また、制御部11は、複数回行う噴射量の増加分については、回数を重ねるにつれて、噴射量を小さくしていく。例えば、3回分の噴射量が増加する場合には、1回目の噴射量が最大となり、3回目の噴射量が最小となる。一方で、制御部11は、温度センサ15の検出温度が予め設定された所定温度以上(例えば、摂氏500度以上)であった場合には、アンモニアの供給量を増加させない。また、アンモニアの供給量が増加している際に、温度センサ15が所定温度以上の温度を検出すると、制御部11は、アンモニアの増加を中止する。なお、本実施形態における「アンモニアの供給量を一時的に増加させる」とは、所定時間にわたって供給量を増加すること、および、1回以上の噴射弁62からの噴射量を増加すること表す。換言すると、「一時的」とは、時間の長短や噴射回数の多寡に無関係で有限であることを意味する。
【0030】
上記の制御に加えてさらに、制御部11は、下流側空燃比センサ142によって検出された空燃比を用いて排ガスDG中のアンモニアの濃度を算出する。そして、制御部11は、算出したアンモニアの濃度に応じて、噴射弁62から噴射されるアンモニアの量を変化させる。この場合、制御部11は、第2空燃比取得部としても機能する。
【0031】
具体的には、制御部11は、アンモニアの供給量を増加させている状態で、下流側空燃比センサ142の検出値から算出された排ガスDG中のアンモニアの濃度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。制御部11は、アンモニアの濃度が所定の閾値以上であった場合に、アンモニアの供給量の増加を停止する。これにより、制御部11は、混合気の空燃比を過濃から量論比へと変更する。この場合、制御部11は、濃度取得部として機能する。なお、他の実施形態では、減少後のアンモニアの供給量は、混合気の量論比のアンモニア量ではなく、希薄であってもよいし、過濃であってもよい。
【0032】
ここからは、エンジンシステム100が起動してから制御部11により行われる排ガスDGの空燃比を一時的に過濃にする増加制御フローについて説明する。図3は、制御部11によるアンモニアの供給量の増加制御についてのフローチャートである。エンジンシステム100が起動すると、制御部11は、空燃比センサ142,143の検出値を取得する(ステップS21)。以降、制御部11は、空燃比センサ142,143の検出値を取得し続ける。制御部11は、触媒12が活性状態であるか否かを判定する(ステップS22)。制御部11は、温度センサ15の検出温度が、触媒12が活性化している温度以上であるか否かを判定する。制御部11は、触媒12が活性状態ではないと判定した場合には(ステップS22:NO)、触媒12の活性状態への変化を待機する。
【0033】
制御部11は、触媒12が活性状態であると判定した場合には(ステップS22:YES)、濃度指標値THの算出する(ステップS23)。制御部11は、算出した濃度指標値THが所定の閾値を超えるか否かを判定する(ステップS24)。制御部11は、濃度指標値THが所定値以下であると判定した場合には(ステップS24:NO)、濃度指標値THが閾値を超えることを監視する。制御部11は、濃度指標値THが閾値を超えたと判定した場合には(ステップS24:YES)、混合気に噴射するアンモニアの噴射量を一時的に増加させて、混合気の空燃比を過濃に変化させる(ステップS25)。制御部11は、アンモニアの噴射量を一時的に増加させた後に、濃度指標値THをリセットしてゼロに戻す。
【0034】
次に、エンジンシステム100の稼働を終了する所定の操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS26)。なお、所定の操作の受付は、制御フローのいずれのタイミングでも受付可能であり、一例としてステップS26に示している。制御部11は、所定の操作を受け付けていない場合には(ステップS26:NO)、ステップS22以降の処理を繰り返す。制御部11は、所定の操作を受け付けた場合には(ステップS26:YES)、アンモニアの供給量の制御フローを終了する。
【0035】
なお、制御部11は、アンモニアの供給量を一時的に増加させて、排ガスDGの空燃比を過濃にしている状態で、下流側空燃比センサ142の検出値から算出されたアンモニアの濃度を監視している。監視しているアンモニアの濃度が所定の閾値以上になると、制御部11は、一時的に増加させていたアンモニアの供給量の増加を停止する。
【0036】
図4は、本実施形態の排気浄化装置10による効果を示すグラフである。図5は、比較例の排気浄化装置による効果を示すグラフである。図4および図5には、エンジンシステム100が起動してからの窒素酸化物NOXの濃度、アンモニアNH3の濃度、上流側空燃比AF1、および下流側空燃比AF2のそれぞれの時間推移が示されている。ここで、アンモニアエンジンでは、刺激臭の強いアンモニアの排出を抑えるために、始動時などの過渡状態においては、混合気の空燃比が量論比よりも希薄に制御されている。そのため、図4および図5における時間軸(横軸)の起点は、エンジンシステム100が起動した時点ではなく、触媒12が活性状態になり、制御部11によって混合気の空燃比が量論比になった時点としている。
【0037】
図4には、濃度指標値THが所定の閾値を超えて、制御部11により噴射弁62からの噴射量が3回に分けて増加した場合が示されている。図4に示されるように、噴射弁62からの噴射量が増加すると、触媒12に流入するアンモニアが多くなるため、酸素被毒が解消する。窒素酸化物は、酸素被毒が解消された触媒12によって浄化されるため、窒素酸化物の濃度は、急激に減少する。一方で、比較例の排気浄化装置は、空燃比センサ142,143の検出値である上流側空燃比AF1および下流側空燃比AF2に関わらず、混合気の空燃比を常に量論比に設定している。そのため、図5に示されるように、比較例の排気浄化装置は、本実施形態の排気浄化装置10と比較して、窒素酸化物の浄化に長い時間を要している。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の排気浄化装置10では、触媒12は、窒素酸化物を還元し、アンモニアを酸化する。温度センサ15の検出値によって、触媒12の活性状態が判定されている。制御部11は、触媒12が活性状態であり、濃度指標値THが所定の閾値を超えた場合に、噴射弁62からのアンモニアの噴射量を一時的に増加させて、排ガスDG中の空燃比を過濃にする。濃度指標値THは、触媒12における酸素被毒の進行度合いを表しており、上流側空燃比センサ143の上流側空燃比AF1を用いて算出されている。ここで、例えば、アンモニアエンジンの始動時に、触媒12が未活性状態で、アンモニアの浄化をより進ませるために混合気の空燃比が希薄である場合に、触媒12における酸素被毒が進行するおそれがある。本実施形態では、触媒12が活性状態であり、酸素被毒が進行して、濃度指標値THが所定の閾値を超えた場合に、アンモニアの供給量を増加させて、混合気の空燃比を過濃に変化させている。アンモニアの供給量が増えると、触媒12に流入するアンモニアは、触媒12に付着した酸素と反応して、酸素被毒を解消する。酸素被毒が解消されると、触媒12による排ガスDG中の窒素酸化物が還元される。そのため、本実施形態の排気浄化装置10は、窒素酸化物およびアンモニアを速やかに浄化できる。
【0039】
また、本実施形態の排気浄化装置10では、濃度指標値THは、上流側空燃比センサ143により検出された上流側空燃比AF1を用いて算出された空気浄化率から1を差し引いた値と、上流側空燃比AF1が希薄状態に移行してからの経過時間との積である。そのため、本実施形態の排気浄化装置10は、量論比である理論空燃比を基準とした酸素被毒の進行状況に基づいて、アンモニアの供給量を制御している。これにより、外部へと流出する窒素酸化物を抑制するために用いる適切なアンモニアの量を触媒12に供給できる。また、本実施形態では、アンモニアの供給量を増加させた後に、濃度指標値THをリセットしているため、必要以上のアンモニアを触媒12に供給せずに済む。これにより、機関本体50および触媒12で未反応のアンモニアが外部へと流出することを抑制できる。
【0040】
また、本実施形態の排気浄化装置10では、下流側空燃比センサ142により検出された下流側空燃比AF2を用いて、触媒12からの排ガスDG中のアンモニアの濃度が取得される。制御部11は、取得されたアンモニアの濃度が所定の閾値以上の場合に、アンモニアの一時的な供給量の増加を停止させる。そのため、本実施形態の排気浄化装置10は、外部へと流出するアンモニアの量を用いたフィードバック制御を行っているため、外部へと流出するアンモニアの量を抑制できる。
【0041】
また、本実施形態の排気浄化装置10では、温度センサ15の検出値によって、触媒12が活性しているか否かが判定される。これにより、排気浄化装置10は、安価なセンサを用いて、触媒12の活性状態を簡単に判定できる。また、温度センサ15検出温度が所定温度以上の場合に、触媒12に酸素被毒が発生しなくなる。この場合に、制御部11が、アンモニアの供給量の増加を行わない、または、増加中のアンモニアの供給量の増加を中止するため、排気浄化装置10から未反応のアンモニアが流出することを抑制できる。また、窒素酸化物およびアンモニアの濃度を取得するために、空燃比センサ142,143により検出された空燃比が用いられている。これにより、排気浄化装置10は、安価な1種類のセンサを用いて、アンモニアの濃度を取得できる。
【0042】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0043】
[変形例1]
上記実施形態は、排気浄化装置10およびエンジンシステム100の一例であり、排気浄化装置10およびエンジンシステム100の構成については、種々変形可能である。例えば、温度センサ15は、排気管55の途中ではなく、触媒12自体に取り付けられていてもよい。排気浄化装置10が複数の温度センサを備え、各温度センサの平均値が触媒12の温度として取り扱われてもよい。また、別の方法によって、触媒12の温度が推定されてもよい。
【0044】
また、触媒12の活性状態を検出する活性状態検出部として、温度センサ15の検出値ではなく、例えば、第1実施形態の下流側空燃比センサ142と、燃焼室CCに供給される混合気との比較に基づいて、触媒12の活性状態が判定されてもよい。排ガスDGの空燃比を取得するために、空燃比センサ142,143の代わりに、排ガスDG中の酸素濃度を検出する酸素センサが用いられてもよい。排ガスDG中のアンモニアの濃度を取得する手段として、下流側空燃比センサ142の代わりに、NOXセンサやアンモニアセンサが用いられてもよい。下流側空燃比センサ142は、排気管55に配置されるのではなく、触媒12に直接取り付けられていてもよい。排気浄化装置10は、上流側空燃比センサ143のみを備えていてもよいし、3つ以上の空燃比センサを備えていてもよい。触媒12の活性状態を検出するセンサおよび排ガスDG中の各種濃度を取得するための手段の数や配置については、種々変形可能である。
【0045】
また、排気浄化装置10は、触媒12からの排ガスDG中に含まれるアンモニアを吸着する吸着材を備えていてもよい。吸着材により、排気浄化装置10の外部へと流出するアンモニアの量を抑制できる。吸着材は、触媒12と同じように、窒素酸化物を還元する機能と、アンモニアを酸化する機能とを有していてもよい。
【0046】
[変形例2]
制御部11が行う制御についても、種々変形可能である。上記実施形態の制御部11は、噴射弁62から噴射されるアンモニアの量を増加させているときに、下流側空燃比センサ142により検出される排ガスDG中のアンモニアの濃度が所定の閾値以上であった場合に、アンモニアの噴射量の増加を停止させているが、アンモニアの濃度に関係なく噴射量の増加を停止させてもよい。例えば、制御部11は、濃度指標値THが所定値を超えた場合に、アンモニアの噴射量を一時的に増加させて混合気の空燃比を過濃にし、その後に取得される上流側空燃比AF1と、下流側空燃比AF2と、アンモニアとのいずれかの濃度に応じて異なる制御を行ってもよい。
【0047】
制御部11によるアンモニアの供給量を一時的に増加させる増加制御フローは、触媒12の活性状態の判定処理、濃度指標値THの算出処理、濃度指標値THと所定の閾値との判定処理、およびアンモニアの供給量を一時的に増加させる処理を備えていればよく、その他の処理を備えていなくてもよい。アンモニアの供給量の増加を中止する所定温度として、実施形態では500℃の例を挙げたが、所定温度については、触媒12に応じて変化する温度であり、500℃以外の温度であってもよい。また、制御部11は、アンモニアの噴射量を一時的に増加させた後に、濃度指標値THをリセットしなくてもよい。制御部11は、濃度指標値THをリセットせずに記憶しておき、累積で記憶された濃度指標値THに基づいて、アンモニアの噴射量を制御してもよい。
【0048】
制御部11は、混合気の空燃比を過濃にするために、噴射弁62から噴射されるアンモニアの量を、所定回数だけ増加させてもよい。これにより、一回の噴射で供給する場合に比べてアンモニアを分散できるので、過度なアンモニアが触媒12に供給されることを防ぐことができる。また、1回きりの噴射で多くのアンモニアを供給する場合と比較して、燃焼室CCにおける燃焼ムラを減少できる。さらに、制御部11は、噴射弁62からのアンモニアの噴射量を、噴射回数が増えるにつれて減らしていく。そのため、最も酸素被毒が進行した状態のときに噴射される1回目のアンモニアの噴射量を最大として、回数を重ねるごとに噴射量が徐々に減ることによって、酸素被毒が効率的に解消される。
【0049】
制御部11は、混合気に供給するアンモニアの量を一時的に増加させる場合に、噴射弁62によるアンモニアの噴射量を複数回に分けて変化させたが、噴射量の制御については種々変形可能である。例えば、一定の噴射量が、一定時間続けられてもよいし、1度の噴射のみ噴射量が増えてもよい。また、制御部11は、混合気に燃料のアンモニアを供給する方法として、必ずしも噴射弁62を用いる必要はなく、周知の方法を適用できる。混合気の空燃比を過濃にするための制御部11による噴射弁62の制御については、種々変形可能である。
【0050】
上記実施形態では、濃度指標値THは、上流側空燃比AF1を用いて算出された空気過剰率から1を差し引いた値と、希薄状態に移行してからの経過時間との積であったが、濃度指標値THについては、種々変形可能である。例えば、濃度指標値THは、上流側空燃比AF1と、経過時間とに基づいて算出されてもよい。また、必ずしも、量論比の空燃比を基準とした空気過剰率を用いた濃度指標値THが算出されなくてもよく、別の空燃比を基準として濃度指標値THが算出されてもよい。
【0051】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0052】
10…排気浄化装置
11…制御部
12…触媒
14…空燃比取得部
15…温度センサ(活性状態検出部)
50…機関本体
61…燃料タンク
62…噴射弁
100…エンジンシステム(内燃機関システム)
143…上流側空燃比センサ(第1空燃比取得部)
142…下流側空燃比センサ(第2空燃比取得部)
AF1…上流側空燃比
AF2…下流側空燃比
AIR…空気
AN…燃料噴射量
CC…燃焼室
DG…排ガス
TH…濃度指標値
図1
図2
図3
図4
図5