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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】サンシェード装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/00 20060101AFI20221109BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20221109BHJP
   B60J 7/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B60J7/00 C
E06B9/24 Z
B60J7/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018239473
(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2020100276
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】淺野 太紀
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-047849(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0026055(US,A1)
【文献】米国特許第06729074(US,B1)
【文献】特開平10-016568(JP,A)
【文献】独国特許発明第19910950(DE,C1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0066308(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00- 7/22
E06B 9/24- 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成された窓開口部から前記車両の室内に入る光を遮るシェードと、
前記窓開口部の車両幅方向における両端部において、車両前後方向に延びる第1ガイドレール及び第2ガイドレールと、
前記シェードの車両幅方向における第1端を保持した状態で、前記第1ガイドレールと摺動する第1摺動部品と、
前記シェードの車両幅方向における第2端を保持した状態で、前記第2ガイドレールと摺動する第2摺動部品と、を備え、
前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールの各々は、車両上下方向に向き合う第1ガイド壁及び第2ガイド壁を有し、
前記第1摺動部品及び前記第2摺動部品の各々は、前記第1ガイド壁及び前記第2ガイド壁の間に挟まれた状態で前記第1ガイド壁及び前記第2ガイド壁と摺動する本体部と、前記シェードの車両幅方向における端部を保持した状態で前記第2ガイド壁と摺動する保持部と、前記保持部が前記本体部に対して車両幅方向に延びる回動軸線回りに相対変位できるように前記本体部と前記保持部を連結する連結部と、を有し、
前記保持部には、前記シェードの車両幅方向における端部を収容する収容孔が形成され、
前記シェードは、前記保持部の前記収容孔に圧入される挿入部を有し、
前記挿入部の車両前後方向における前端部及び後端部の一方は他方よりも車両上方又は車両下方に膨出し、
前記保持部は、前記収容孔に圧入された前記挿入部の復元力により、前記第1ガイド壁との間に空間を隔てた状態で前記第2ガイド壁に向けて付勢される
サンシェード装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記本体部の車両前方に位置する前側保持部と、前記本体部の車両後方に位置する後側保持部と、を有し、
前記連結部は、前記本体部と前記前側保持部とを連結する前側連結部と、前記本体部と前記後側保持部とを連結する後側連結部と、を有する
請求項1に記載のサンシェード装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記第2ガイド壁と摺動する第1摺動面を有し、
前記前側保持部及び前記後側保持部の各々は、前記第2ガイド壁と摺動する第2摺動面を有し、
前記前側保持部及び前記後側保持部の各々には、前記収容孔が形成され、
前記挿入部は、前記前側保持部の前記収容孔に圧入される前側挿入部と、前記後側保持部の前記収容孔に圧入される後側挿入部と、を含み、
前記前側保持部の前記収容孔に前記前側挿入部が圧入され、前記後側保持部の前記収容孔に前記後側挿入部が圧入された状態では、前記第1摺動面と前記第2摺動面との間をなす角度が180度未満となる
請求項2に記載のサンシェード装置。
【請求項4】
前記第1ガイド壁は、前記第2ガイド壁よりも車両上方に位置し、
前記前側挿入部の前端部は、前記前側挿入部の後端部よりも車両下方に膨出し、
前記後側挿入部の後端部は、前記後側挿入部の前端部よりも車両下方に膨出する
請求項3に記載のサンシェード装置。
【請求項5】
前記前側挿入部及び前記後側挿入部の各々は、第1係止部を有し、
前記前側保持部及び前記後側保持部の各々は、前記第1係止部が係止する第2係止部を有する
請求項3又は請求項4に記載のサンシェード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体のルーフに形成された窓用開口部から入射する光を遮るシェードパネルと、窓用開口部の車両幅方向における両端部で車両前後方向に延びる案内レールと、シェードパネルの四隅に組み付けられた状態で案内レールと摺動する摺動部品と、を備えるサンシェード装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このサンシェード装置において、摺動部品は、中側凹状収容部と、中側凹状収容部の前端から車両前方に延びる前側凹状収容部と、中側凹状収容部の後端から車両後方に延びる後側凹状収容部と、を有する。中側凹状収容部は、案内レールの上側レール壁を押した状態で下側レール壁と摺動する部位であり、前側凹状収容部及び後側凹状収容部は、シェードパネルの端部を収容した状態で下側レール壁と摺動する部位である。また、前側凹状収容部は、中側凹状収容部と前側区画部で区画され、後側凹状収容部は、中側凹状収容部と後側区画部で区画される。こうして、サンシェード装置は、摺動部品が湾曲する案内レールに沿って移動する場合でも、前側区画部及び後側区画部が弾性変形することで、摺動部品に生じる応力を緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-47849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のようなサンシェード装置に、車両走行時の振動などの外力が作用すると、案内レールの内部で摺動部品の前側凹状収容部及び後側凹状収容部が案内レールの内部で変位する場合がある。例えば、中側凹状収容部に対して、前側凹状収容部及び後側凹状収容部が下側レールから離れるように変位する場合がある。この場合には、一旦、下側レール壁から離れた前側凹状収容部及び後側凹状収容部が下側レール壁に接触する状態に復帰する際に、異音(打音)が発生するおそれがある。本発明の目的は、外力が作用する場合に異音が発生することを抑制できるサンシェード装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するサンシェード装置は、車両のルーフに形成された窓開口部から前記車両の室内に入る光を遮るシェードと、前記窓開口部の車両幅方向における両端部において、車両前後方向に延びる第1ガイドレール及び第2ガイドレールと、前記シェードの車両幅方向における第1端を保持した状態で、前記第1ガイドレールと摺動する第1摺動部品と、前記シェードの車両幅方向における第2端を保持した状態で、前記第2ガイドレールと摺動する第2摺動部品と、を備え、前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールの各々は、車両上下方向に向き合う第1ガイド壁及び第2ガイド壁を有し、前記第1摺動部品及び前記第2摺動部品の各々は、前記第1ガイド壁及び前記第2ガイド壁の間に挟まれた状態で前記第1ガイド壁及び前記第2ガイド壁と摺動する本体部と、前記シェードの車両幅方向における端部を保持した状態で前記第2ガイド壁と摺動する保持部と、前記保持部が前記本体部に対して車両幅方向に延びる回動軸線回りに相対変位できるように前記本体部と前記保持部を連結する連結部と、を有し、前記保持部には、前記シェードの車両幅方向における端部を収容する収容孔が形成され、前記シェードは、前記保持部の前記収容孔に圧入される挿入部を有し、前記挿入部の車両前後方向における前端部及び後端部の一方は他方よりも車両上方又は車両下方に膨出し、前記保持部は、前記収容孔に圧入された前記挿入部の復元力により、前記第1ガイド壁との間に空間を隔てた状態で前記第2ガイド壁に向けて付勢される。
【0007】
上記構成のサンシェード装置は、摺動部品の保持部が第2ガイド壁に向けて付勢されるため、サンシェード装置に車両走行時の振動などの外力が作用しても、保持部が第2ガイド壁から離れる方向に変位しにくい。このため、サンシェード装置は、外力が作用する場合であっても、保持部が第2ガイド壁を叩くように変位することを抑制できる。こうして、サンシェード装置は、保持部とガイドレールとの接触による異音の発生を抑制できる。また、摺動部品の保持部は、前端部及び後端部の形状を異ならせた挿入部を収容孔に圧入することで発生する挿入部の復元力により、第2ガイド壁に向けて付勢される。このため、シェードに摺動部品を取り付けるという作業だけで、摺動部品の保持部を第2ガイド壁に向けて付勢させる構成を実現できる。
【0008】
上記サンシェード装置において、前記保持部は、前記本体部の車両前方に位置する前側保持部と、前記本体部の車両後方に位置する後側保持部と、を有し、前記連結部は、前記本体部と前記前側保持部とを連結する前側連結部と、前記本体部と前記後側保持部とを連結する後側連結部と、を有することが好ましい。
【0009】
例えば、サンシェード装置が前側保持部のみを備える場合、本体部の車両前方のみで前側保持部が第2ガイド壁に向けて付勢される点で、本体部とガイドレールとの摺動態様に影響が生じる可能性がある。この点、上記構成のサンシェード装置は、本体部の前後に位置する前側保持部及び後側保持部が第2ガイド壁に向けて付勢されるため、上記事態を回避できる。
【0010】
上記サンシェード装置において、前記本体部は、前記第2ガイド壁と摺動する第1摺動面を有し、前記前側保持部及び前記後側保持部の各々は、前記第2ガイド壁と摺動する第2摺動面を有し、前記前側保持部及び前記後側保持部の各々には、前記収容孔が形成され、前記挿入部は、前記前側保持部の前記収容孔に圧入される前側挿入部と、前記後側保持部の前記収容孔に圧入される後側挿入部と、を含み、前記前側保持部の前記収容孔に前記前側挿入部が圧入され、前記後側保持部の前記収容孔に前記後側挿入部が圧入された状態では、前記第1摺動面と前記第2摺動面との間をなす角度が180度未満となることが好ましい。
【0011】
上記構成のサンシェード装置は、シェードに摺動部品を組み付けるだけで、第1摺動面及び第2摺動面の間をなす角度が180度未満となる。そして、この摺動部品をガイドレールに挿入することで、例えば、第1摺動面及び第2摺動面の間をなす角度が180度となると、摺動部品の前側保持部及び後側保持部が挿入前の状態に復元しようとする。つまり、摺動部品の前側保持部及び後側保持部がガイドレールの第2ガイド壁を押そうとする。その結果、摺動部品がガイドレールに挿入された状態では、前側保持部及び後側保持部が第2ガイド壁に向けて付勢される。こうして、サンシェード装置は、ばねなどの付勢部材を別途に設けなくても、前側保持部及び後側保持部を第2ガイド壁に向けて付勢できる。
【0012】
上記サンシェード装置において、前記第1ガイド壁は、前記第2ガイド壁よりも車両上方に位置し、前記前側挿入部の前端部は、前記前側挿入部の後端部よりも車両下方に膨出し、前記後側挿入部の後端部は、前記後側挿入部の前端部よりも車両下方に膨出することが好ましい。
【0013】
上記構成のサンシェード装置は、シェードに摺動部品を組み付けた状態では、前側保持部の収容孔の内部で前側挿入部の前端部が後端部よりも大きく圧縮され、後側保持部の収容孔の内部で後側挿入部の後端部が前端部よりも大きく圧縮されやすくなる。このため、圧縮された前側挿入部の前端部が前側保持部の前端部を車両下方に押し、圧縮された後側挿入部の後端部が後側保持部の後端部を車両下方に押す。その結果、第1摺動面及び第2摺動面の間をなす角度が180度未満となる。こうして、サンシェード装置は、シェードの形状により、摺動部品をガイドレールに挿入したときに、前側保持部及び後側保持部を第2ガイド壁に向けて付勢できる。
【0014】
上記サンシェード装置において、前記前側挿入部及び前記後側挿入部の各々は、第1係止部を有し、前記前側保持部及び前記後側保持部の各々は、前記第1係止部が係止する第2係止部を有することが好ましい。
【0015】
上記構成のサンシェード装置は、シェードの前側挿入部及び後側挿入部を摺動部品の収容孔に圧入したときに、第1係止部が第2係止部に係止する。このため、サンシェード装置は、シェードに組み付けた摺動部品がシェードから取り外れることを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
サンシェード装置は、外力が作用する場合に異音が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両のルーフを室内から見たときの斜視図。
図2】一実施形態に係るサンシェード装置の斜視図。
図3】サンシェード装置の分解斜視図。
図4】(a)はシェードパネルの幅方向における第1端の部分側面図、(b),(c)は部分拡大図。
図5】ガイドレールの長手方向における端面図。
図6】摺動部品の斜視図。
図7】摺動部品の側面図。
図8】シェードパネルに摺動部品を組み付けた状態を示す平面図。
図9図8の9-9線矢視端面図。
図10図8の10-10線矢視断面図。
図11】ガイドレールに挿入された状態の摺動部品の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、サンシェード装置を備える車両の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両10は、ルーフ11に窓開口部12が形成される車体13と、窓開口部12を開閉するサンルーフ装置20と、窓開口部12から車両10の室内に入る光を遮るサンシェード装置30と、を備える。以降の説明では、車両10に搭載されたときの方向に従って車両10の構成部材を説明する。また、車両前後方向を「前後方向」とも言い、車両幅方向を「幅方向」とも言い、車両上下方向を「上下方向」とも言う。
【0019】
サンルーフ装置20は、窓開口部12を開放する開位置と、窓開口部12を閉塞する閉位置と、の間を移動するガラスパネル21を備える。ガラスパネル21は、不図示のアクチュエータの駆動により、閉位置と開位置との間を移動する。
【0020】
図2に示すように、サンシェード装置30は、窓開口部12から車両10の室内に入る光を遮るシェードパネル40と、ルーフ11の窓開口部12の両端部で前後方向に延びるガイドレール50と、シェードパネル40の幅方向における端部を保持した状態でガイドレール50と摺動する摺動部品60と、を備える。
【0021】
まず、シェードパネル40について詳しく説明する。本実施形態において、シェードパネル40は、「シェード」の一例である。
図3及び図4(a)に示すように、シェードパネル40は、板状をなすパネル本体41と、摺動部品60が組み付けられる複数の組付部42と、を有する。また、図2に示すように、シェードパネル40は、取手43(図1参照)が装着される装着孔44が前端部に形成される。シェードパネル40は、例えば、表皮層、裏皮層、ガラス繊維層、発泡ウレタン層及び接着フィルム層などの材質の異なる複数のシートを含む積層体をプレスすることで構成される。つまり、シェードパネル40は、金型で形状を作り込むことが可能とされる。
【0022】
図3に示すように、組付部42は、パネル本体41の四隅に形成され、前端寄りの組付部42Fと後端寄りの組付部42Rとを有する。組付部42は、幅方向における外方に突出する前側挿入部45及び後側挿入部46を有する。前側挿入部45及び後側挿入部46は、前後方向に間隔をおいて配置され、前側挿入部45は、後側挿入部46よりもパネル本体41の前端寄りに位置する。図4(a)~(c)に示すように、前側挿入部45及び後側挿入部46は、突出方向と直交する断面形状が略矩形形状をなしている。前側挿入部45の中央部には、パネル本体41の厚さ方向に「第1係止部」の一例としての係止孔451が貫通形成され、後側挿入部46の中央部には、パネル本体41の厚さ方向に「第1係止部」の一例としての係止孔461が貫通形成される。
【0023】
図4(b)に示すように、前側挿入部45は、前端部の肉厚W2が後端部の肉厚W1よりも厚くなっている。詳しくは、前側挿入部45の上面は平面であり、前側挿入部45の前端部の下面は前側挿入部45の後端部の下面よりも下方に膨出している。同様に、図4(c)に示すように、後側挿入部46は、後端部の肉厚W2が前端部の肉厚W1よりも厚くなっている。詳しくは、後側挿入部46の上面は平面であり、後側挿入部46の後端部の下面は後側挿入部46の前端部の下面よりも下方に膨出している。以降の説明では、前側挿入部45の前端部の膨出部分を「厚肉部452」とも言い、後側挿入部46の後端部の膨出部分を「厚肉部462」とも言う。
【0024】
次に、ガイドレール50について説明する。
図2に示すように、ガイドレール50は、窓開口部12の幅方向における第1端に配置される第1ガイドレール50Rと、窓開口部12の幅方向における第2端に配置される第2ガイドレール50Lと、を有する。ガイドレール50は、車両10のルーフ11に沿うような形状を有することが好ましい。例えば、ガイドレール50は、車両10を側面視したとき、前後方向に直線状に延びるレールとしてもよいし、上方に凸となるように湾曲したレールとしてもよい。
【0025】
図5に示すように、長手方向と直交する断面視において、ガイドレール50は、上下方向と交差する第1ガイド壁51及び第2ガイド壁52と、幅方向と交差する第3ガイド壁53と、を有する。第1ガイド壁51は、第2ガイド壁52との間に空間を隔てた状態で、第2ガイド壁52よりも上方に位置する。つまり、第1ガイド壁51は、第2ガイド壁52と上下方向に向かい合う。第3ガイド壁53は、幅方向における第1ガイド壁51及び第2ガイド壁52の端部同士を接続する。こうして、ガイドレール50は、幅方向における内方に開口する略C字状の断面形状を有する。また、ガイドレール50は、第1ガイド壁51、第2ガイド壁52及び第3ガイド壁53の他、サンルーフ装置20のガラスパネル21を開閉動作させるための機能部品と摺動する壁部、内装部品が装着される壁部及び車体13に組み付けられる壁部などを有する。なお、図5に示すガイドレール50は、第1ガイドレール50Rだが、第2ガイドレール50Lも左右対称な点を除き同様の形状をなす。
【0026】
次に、摺動部品60について説明する。
図3に示すように、摺動部品60は、シェードパネル40の前端寄りの組付部42Fに組み付けられる摺動部品60Fと、シェードパネル40の後端寄りの組付部42Rに組み付けられる摺動部品60Rと、を有する。本実施形態では、図2に示すように、シェードパネル40の幅方向における第1端に組み付けられる2つの摺動部品60F,60Rが「第1摺動部品」の一例に相当し、シェードパネル40の幅方向における第2端に組み付けられる2つの摺動部品60F,60Rが「第2摺動部品」の一例に相当する。
【0027】
図6及び図7に示すように、摺動部品60は、第1ガイド壁51及び第2ガイド壁52と摺動する本体部61と、第2ガイド壁52と摺動する前側保持部62及び後側保持部63と、を有する。また、摺動部品60は、本体部61と前側保持部62とを連結する前側連結部64と、本体部61と後側保持部63とを連結する後側連結部65と、本体部61に組み込まれる板ばね66と、を有する。摺動部品60は、適度な弾性を有する樹脂成形品である。なお、図6及び図7に示す摺動部品60は、第1ガイドレール50Rと摺動する摺動部品60であるが、第2ガイドレール50Lと摺動する摺動部品60も左右対称な点を除き同様の形状をなす。
【0028】
図6及び図7に示すように、本体部61は、前後方向に延びる上壁611及び底壁612と、上壁611及び底壁612を接続する側壁613,614と、を有する。上壁611は、前端及び後端が側壁613,614に支持された両端支持梁状の構造をなしている。つまり、上壁611は、長手方向における中央部が両端部に対して上下動できるように構成される。図7に示すように、上壁611は、長手方向における中央部に、第1ガイド壁51を押圧した状態で第1ガイド壁51と摺動する押圧部615を有する。一方、底壁612の下面は、第2ガイド壁52と摺動する第1摺動面S1となる。
【0029】
図6及び図7に示すように、前側保持部62及び後側保持部63の各々は、前後方向に延びる上壁671及び底壁672と、上壁671及び底壁672を接続する側壁673,674と、を有する。図7に示すように、前側保持部62には、シェードパネル40の前側挿入部45が圧入(挿入)される収容孔621が形成され、後側保持部63には、シェードパネル40の後側挿入部46が圧入(挿入)される収容孔631が形成される。収容孔621,631は、シェードパネル40の幅方向における端部を収容する部位である。収容孔621,631は、幅方向における内方に向かって開口する。
【0030】
図7に示すように、上壁671は、底壁672に向かって延びる「第2係止部」の一例としての係止爪675を有する。前側保持部62及び後側保持部63のうちガイドレール50に収容される部分の高さは、本体部61の高さ未満である。このため、前側保持部62及び後側保持部63の上壁671は、ガイドレール50の第1ガイド壁51と摺動する部位を有しない。一方、前側保持部62及び後側保持部63の底壁672の底面は、ガイドレール50の第2ガイド壁52と摺動する第2摺動面S2となる。ここで、摺動部品60を単体で見たとき、前側保持部62及び後側保持部63の第2摺動面S2は、本体部61の第1摺動面S1と面一となる。言い換えれば、第2摺動面S2と第1摺動面S1との間をなす角度θは、略180度となる。
【0031】
前側保持部62及び後側保持部63において、収容孔621,631は、上壁671、底壁672及び側壁673,674に囲まれた空間である。収容孔621,631の上面及び下面は前後方向に延び、収容孔621,631の側面は上下方向に延びる。収容孔621,631の下面の前端は、前方に進むに連れて上方に傾斜する傾斜面であり、収容孔621,631の下面の後端は、後方に進むに連れて上方に傾斜する傾斜面である。このため、収容孔621,631は、前端及び後端を除いて、上面及び下面の間隔が略一定の幅W3となる。
【0032】
図4及び図7に示すように、本実施形態において、摺動部品60の前側保持部62の収容孔621の断面積は、シェードパネル40の前側挿入部45の断面積よりも小さく、摺動部品60の後側保持部63の収容孔631の断面積は、シェードパネル40の後側挿入部46の断面積よりも小さい。詳しくは、前後方向において、前側保持部62の収容孔621の長さは、前側挿入部45の長さと略等しく、後側保持部63の収容孔631の長さは、後側挿入部46の長さと略等しい。また、上下方向において、前側保持部62の収容孔621の幅W3は、前側挿入部45の前端部を除いた部分の肉厚W1と略等しく、後側保持部63の収容孔631の幅W3は、後側挿入部46の後端部を除いた部分の肉厚W1と略等しい。そして、上下方向において、前側保持部62の収容孔621の幅W3は、前側挿入部45の前端部の肉厚W2よりも短く、後側保持部63の収容孔631の幅W3は、後側挿入部46の後端部の肉厚W2よりも短い。つまり、前側保持部62の収容孔621の断面積は、前側挿入部45に厚肉部452が形成される点で、前側挿入部45の断面積よりも小さくなり、後側保持部63の収容孔631の断面積は、後側挿入部46に厚肉部462が形成される点で、後側挿入部46の断面積よりも小さくなる。
【0033】
図7に示すように、前側連結部64は、本体部61の側壁613の下部及び前側保持部62の側壁674の下部を連結し、後側連結部65は、本体部61の側壁614の下部及び後側保持部63の側壁674の下部を連結する。つまり、摺動部品60において、本体部61の側壁613の上部及び前側保持部62の側壁674の上部の間には隙間GPが形成され、本体部61の側壁614の上部及び後側保持部63の側壁674の上部の間には隙間GPが形成される。このため、前側連結部64は、前側保持部62が本体部61に対して幅方向に延びる回動軸線回りに回動できるように、前側保持部62及び本体部61を連結する。同様に、後側連結部65は、後側保持部63が本体部61に対して幅方向に延びる回動軸線回りに回動できるように、後側保持部63及び本体部61を連結する。ただし、前側保持部62及び後側保持部63が回動できる範囲は、前側連結部64及び後側連結部65が弾性変形可能な範囲に限られる。
【0034】
板ばね66は、本体部61の側壁613,614に長手方向における両端が支持される。板ばね66は、本体部61の側壁613,614に支持された状態で、本体部61の上壁611(押圧部615)を上方に付勢する。板ばね66が本体部61の上壁611を付勢する力は、サンシェード装置30において、シェードパネル40を前後に移動させるときに必要な力に比例する。
【0035】
次に、サンシェード装置30の組み立てについて説明する。
図3及び図8に示すように、サンシェード装置30を組み立てる場合には、シェードパネル40の各々の組付部42に摺動部品60を組み付ける。詳しくは、シェードパネル40の前側挿入部45及び後側挿入部46の位置と摺動部品60の前側保持部62の収容孔621及び後側保持部63の収容孔631の位置を合わせた状態で、摺動部品60をシェードパネル40に押し付ける。すると、シェードパネル40の前側挿入部45が摺動部品60の前側保持部62の収容孔621に圧入され、シェードパネル40の後側挿入部46が摺動部品60の後側保持部63の収容孔631に圧入される。そして、図8及び図9に示すように、摺動部品60の係止爪675がシェードパネル40の係止孔451,461に係止する。
【0036】
また、摺動部品60の収容孔621,631に、シェードパネル40の前側挿入部45及び後側挿入部46を圧入すると、前側挿入部45及び後側挿入部46が圧縮変形する。このとき、厚肉部452が形成された前側挿入部45の前端部及び厚肉部462が形成された後側挿入部46の後端部は、他の部位よりも大きく圧縮変形する。このため、図10に実線矢印で示すように、前側挿入部45の前端部が前側保持部62の前端部を下方に押し、後側挿入部46の後端部が後側保持部63の後端部を下方に押す。すると、図10に示すように、前側保持部62及び後側保持部63が、二点鎖線で示す状態から実線で示す状態に変位する。つまり、前側保持部62が前側連結部64を回動中心として本体部61に対して下方に傾き、前側保持部62の第2摺動面S2と本体部61の第1摺動面S1との間をなす角度θが180度未満となる。同様に、後側保持部63が後側連結部65を回動中心として本体部61に対して下方に傾き、後側保持部63の第2摺動面S2と本体部61の第1摺動面S1との間をなす角度θが180度未満となる。
【0037】
そして、図2及び図3に示すように、ガイドレール50の第1ガイド壁51及び第2ガイド壁52の間に、サンシェード装置30に組み付けた摺動部品60を挿入することで、サンシェード装置30が構成される。ガイドレール50に摺動部品60が挿入された状態では、本体部61の押圧部615が第1ガイド壁51に接触し、本体部61の第1摺動面S1が第2ガイド壁52に接触した状態となる。また、同状態では、前側保持部62及び後側保持部63と第1ガイド壁51との間に空間が形成された状態で、前側保持部62の第2摺動面S2及び後側保持部63の第2摺動面S2が第2ガイド壁52に接触した状態となる。つまり、シェードパネル40を前後方向に移動させる場合には、本体部61の押圧部615が第1ガイド壁51と摺動し、本体部61の第1摺動面S1が第2ガイド壁52と摺動する。また、この場合には、前側保持部62及び後側保持部63が第1ガイド壁51との間に空間を隔てた状態で、第2ガイド壁52と摺動する。
【0038】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)図11に示すように、摺動部品60は、ガイドレール50に挿入されると、前側保持部62及び後側保持部63が第2ガイド壁52に押されることで、本体部61の第1摺動面S1、前側保持部62の第2摺動面S2及び後側保持部63の第2摺動面S2が面一になる。このため、前側保持部62及び後側保持部63は、図10に示すようなガイドレール50に挿入前の状態に復元しようとする。つまり、図11に実線矢印で示すように、前側保持部62は、先端が第2ガイド壁52に向かって付勢され、後側保持部63は、後端が第2ガイド壁52に向かって付勢される。言い換えれば、前側保持部62及び後側保持部63は、前側挿入部45及び後側挿入部46を収容孔621,631に圧入することで発生する前側挿入部45及び後側挿入部46の復元力により、第2ガイド壁52に向けて付勢される。このため、車両走行時の振動などの外力がサンシェード装置30に入力された場合に、摺動部品60の前側保持部62及び後側保持部63がガイドレール50の内部で動きにくくなる。
【0039】
例えば、シェードパネル40に上向きの荷重が作用した場合であっても、摺動部品60の前側保持部62の及び後側保持部63が下向きに付勢されている点で、前側保持部62及び後側保持部63が第2ガイド壁52から離れにくい。このため、第2ガイド壁52から離れた前側保持部62及び後側保持部63が再び第2ガイド壁52に接触する際に異音が生じにくくなる。こうして、サンシェード装置30は、前側保持部62及び後側保持部63と第2ガイド壁52との接触による異音(打音)の発生を抑制できる。
【0040】
なお、摺動部品60がガイドレール50に挿入された状態において、前側保持部62及び後側保持部63と第1ガイド壁51との間には、空間が形成される。このため、サンシェード装置30は、前側保持部62及び後側保持部63と第1ガイド壁51との接触による異音(打音)の発生も抑制できる。
【0041】
(2)例えば、サンシェード装置30が前側保持部62のみを備える場合、本体部61の前方のみで前側保持部62が第2ガイド壁52に向けて付勢される点で、本体部61とガイドレール50とが円滑に摺動しにくくなる可能性がある。例えば、本体部61の第1摺動面S1が部分的に第2ガイド壁52と摺動しなくなる可能性がある。この点、本実施形態のサンシェード装置30は、本体部61の前後に位置する前側保持部62及び後側保持部63が第2ガイド壁52に向けて付勢されるため、上記事態を回避できる。
【0042】
(3)サンシェード装置30は、シェードパネル40に摺動部品60を組み付けるだけで、第1摺動面S1及び第2摺動面S2の間をなす角度θが180度未満となる。このため、サンシェード装置30は、別途にばねなどの付勢部材を設けなくても、ガイドレール50に摺動部品60を挿入するだけで、前側保持部62及び後側保持部63を第2ガイド壁52に向けて付勢できる。
【0043】
(4)サンシェード装置30は、シェードパネル40に摺動部品60を組み付けた状態では、収容孔621,631の内部で、前側挿入部45の前端部が後端部よりも大きく圧縮変形し、後側挿入部46の後端部が前端部よりも大きく圧縮変形する。このため、前側挿入部45の前端部が前側保持部62の前端部を下方に押し、後側挿入部46の後端部が後側保持部63の後端部を下方に押す。その結果、第1摺動面S1及び第2摺動面S2の間をなす角度θが180度未満となる。こうして、サンシェード装置30は、摺動部品60をガイドレール50に挿入したときに、前側保持部62及び後側保持部63を第2ガイド壁52に向けて付勢できる。つまり、サンシェード装置30は、異なる車種への適用を考えた場合に、車種ごとに摺動部品60の形状を変更する必要がなくなる。言い換えれば、サンシェード装置30は、シェードパネル40とは異なり、窓開口部12の大きさに関わらず形状を変更する必要が生じない摺動部品60について、車種ごとに形状を変更する必要がなくなる。
【0044】
(5)サンシェード装置30は、シェードパネル40の前側挿入部45及び後側挿入部46を摺動部品60の収容孔621,631に圧入したときに、係止爪675が係止孔451,461に係止する。このため、サンシェード装置30は、シェードパネル40に組み付けた摺動部品60がシェードパネル40から取り外れることを抑制できる。
【0045】
(6)サンシェード装置30において、摺動部品60は、第1ガイド壁51を押す力を調整する板ばね66を有する。また、摺動部品60の前側保持部62及び後側保持部63は、第1ガイド壁51に接触しないように構成される。このため、サンシェード装置30は、板ばね66の弾性率及び弾性変形量に基づき、シェードパネル40を開閉動作させる際の摺動抵抗を管理しやすくなる。
【0046】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・シェードパネル40の前側挿入部45及び後側挿入部46の形状は適宜に変更してもよい。例えば、厚肉部452,462の形成位置を変化させてもよい。また、厚肉部452,462は、前後方向における厚さが徐々に変化するような形状としてもよい。
【0047】
・シェードパネル40において、前側挿入部45の厚肉部452は、シェードパネル40と別体としてもよい。例えば、シェードパネル40の成形後、シェードパネル40に厚肉部452に相当する部材を貼り付けることで前側挿入部45に相当する部位を構成してもよい。後側挿入部46の厚肉部462についても同様である。
【0048】
・摺動部品60は、前側保持部62及び後側保持部63の一方の保持部を有していればよい。摺動部品60が前側保持部62のみを備える場合、上記実施形態のように、前側挿入部45の前端部を後端部よりも下方に膨出させてもよいし、前側挿入部45の後端部を前端部よりも上方に膨出させてもよい。また、摺動部品60が後側保持部63のみを備える場合、上記実施形態のように、後側挿入部46の後端部を前端部よりも下方に膨出させてもよいし、前側挿入部45の前端部を後端部よりも上方に膨出させてもよい。
【0049】
・摺動部品60において、本体部61、前側保持部62及び後側保持部63は別体に構成してもよい。この場合、例えば、前側連結部64は、本体部61及び前側保持部62を回動可能に連結する軸となり、後側連結部65は、本体部61及び後側保持部63を回動可能に連結する軸となる。
【0050】
・摺動部品60をシェードパネル40に組み付けた状態において、第1摺動面S1と第2摺動面S2との間をなす角度θは、適宜に設定されることが好ましい。例えば、角度θは、ガイドレール50の湾曲態様及びサンシェード装置30に対して想定される入力の大きさに基づいて適宜に設定すればよい。
【0051】
・摺動部品60は、ガイドレール50に挿入された際に、前側保持部62及び後側保持部63が第1ガイド壁51に付勢されるように構成してもよい。
・摺動部品60は、第1摺動面S1及び第2摺動面S2を有しなくてもよい。つまり、摺動部品60は、面以外の態様で、第2ガイド壁52と摺動する部位を有していればよい。
【0052】
・シェードパネル40に係止爪を設けてもよい。この場合、摺動部品60にシェードパネル40の係止爪が係止する係止孔を設けることが好ましい。
・シェードパネル40に係止孔451,461を設けなくてもよいし、摺動部品60に係止爪675を設けなくてもよい。
【0053】
・サンシェード装置30は、アクチュエータの駆動により開閉動作する電動式のサンシェード装置としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…車両、11…ルーフ、12…窓開口部、13…車体、20…サンルーフ装置、21…ガラスパネル、30…サンシェード装置、40…シェードパネル、41…パネル本体、42…組付部、42F…組付部、42R…組付部、43…取手、44…装着孔、45…前側挿入部、451…係止孔(第1係止部の一例)、452…厚肉部、46…後側挿入部、461…係止孔(第1係止部の一例)、462…厚肉部、50…ガイドレール、50R…第1ガイドレール、50L…第2ガイドレール、51…第1ガイド壁、52…第2ガイド壁、53…第3ガイド壁、60(60F,60R)…摺動部品(第1摺動部品及び第2摺動部品の一例)、61…本体部、611…上壁、612…底壁、613…側壁、614…側壁、615…押圧部、62…前側保持部(保持部の一例)、621…収容孔、63…後側保持部(保持部の一例)、631…収容孔、64…前側連結部、65…後側連結部、66…板ばね、671…上壁、672…底壁、673…側壁、674…側壁、675…係止爪(第2係止部の一例)、GP…隙間、S1…第1摺動面、S2…第2摺動面。
図1
図2
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図5
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図7
図8
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図10
図11