(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】電源供給装置、パワーコンディショナ及び電源装置
(51)【国際特許分類】
H02S 50/15 20140101AFI20221109BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20221109BHJP
H02S 40/38 20140101ALN20221109BHJP
【FI】
H02S50/15
H02J7/34 A
H02S40/38
(21)【出願番号】P 2018240320
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】今久保 知史
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-200285(JP,A)
【文献】特開2016-019408(JP,A)
【文献】特開2015-043395(JP,A)
【文献】特開2008-278666(JP,A)
【文献】特開2017-192278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 50/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の太陽電池モジュールに電流を供給することで当該太陽電池モジュールに発生するエレクトロルミネッセンスを撮像装置で撮像し、撮像した撮像画像を用いて前記太陽電池モジュールの品質を診断するにあたり、前記エレクトロルミネッセンスを発生させるために前記太陽電池モジュールに前記電流を供給する電源供給装置であって、ディーゼル発電機の電力を用いることなく、商用電源又はバッテリの電力を用いて前記太陽電池モジュールに前記電流を供給する
電源供給装置と、
前記商用電源を動作電源として前記太陽電池モジュールが発電した電力を所定の交流電力に変換するインバータとを備え、
前記電源供給装置は、スイッチと、前記商用電源からの交流電流を直流電流に変換するコンバータと、前記スイッチをオフ状態からオン状態に制御することで前記直流電流を前記太陽電池モジュールに供給する制御部と、操作部と、前記太陽電池モジュールから前記インバータに入力される電圧を計測する電圧センサとを備え、
前記制御部は、前記操作部に対して操作が行われた場合に、前記スイッチをオン状態に制御し、前記操作部に対して操作が行われた際に前記電圧センサが計測した電圧が閾値を超えている場合には、前記スイッチをオフ状態に保持することを特徴とするパワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源供給装置、パワーコンディショナ及び電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外の太陽電池モジュールの品質を検査する方法として、EL(エレクトロルミネッセンス)法を用いた検査(以下、「EL検査」という。)が提案されている。
EL検査は、太陽電池モジュールに電流を供給することで当該太陽電池モジュールの電池セルが発光(以下、「EL発光」という。)する現象を利用して、当該EL発光を撮像装置で撮像し、その撮像した撮像画像を用いて太陽電池モジュールの品質を検査する。
【0003】
ここで、上記EL検査を行うにあたり、屋外に設けられた太陽電池モジュールに電流を供給するためにディーゼル発電機が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、EL検査におけるEL発光の撮像は、夜間に行われることが多く、ディーゼル発電機の騒音が問題となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、EL検査の検査対象である太陽電池モジュールにEL発光を発生させるために当該太陽電池モジュールに電流を供給するにあたって騒音を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、一以上の太陽電池モジュールに電流を供給することで当該太陽電池モジュールに発生するエレクトロルミネッセンスを撮像装置で撮像し、撮像した撮像画像を用いて前記太陽電池モジュールの品質を診断するにあたり、前記エレクトロルミネッセンスを発生させるために前記太陽電池モジュールに前記電流を供給する電源供給装置であって、ディーゼル発電機の電力を用いることなく、商用電源又はバッテリの電力を用いて前記太陽電池モジュール又は前記ストリングに前記電流を供給することを特徴とする電源供給装置である。
【0008】
本発明の一態様は、上述の電源供給装置と、前記商用電源を動作電源として前記太陽電池モジュールが発電した電力を所定の交流電力に変換するインバータと、を備え、前記電源供給装置は、スイッチと、前記商用電源からの交流電流を直流電流に変換するコンバータと、前記スイッチをオフ状態からオン状態に制御することで前記直流電流を前記太陽電池モジュールに供給する制御部と、を備えるパワーコンディショナである。
【0009】
本発明の一態様は、上述のパワーコンディショナであって、前記電源供給装置は、操作部を備え、前記制御部は、前記操作部に対して操作が行われた場合に、前記スイッチをオン状態に制御する。
【0010】
本発明の一態様は、上述のパワーコンディショナであって、前記電源供給装置は、前記太陽電池モジュールから前記インバータに入力される電圧を計測する電圧センサを備え、前記制御部は、前記操作部に対して操作が行われた際に前記電圧センサが計測した電圧が閾値を超えている場合には、前記スイッチをオフ状態に保持する。
【0011】
本発明の一態様は、上述の電源供給装置と、前記バッテリと、を備え、前記電源供給装置は、前記バッテリからの直流電流を前記太陽電池モジュールに供給する電源装置である。
【0012】
本発明の一態様は、上述の電源装置であって、前記電源供給装置は、スイッチと、前記スイッチをオフ状態からオン状態に制御することで前記直流電流を前記太陽電池モジュールに供給する制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像装置の撮像タイミングと前記スイッチをオフ状態からオン状態に制御するタイミングとを同期させる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、EL検査の検査対象である太陽電池モジュールにEL発光を発生させるために当該太陽電池モジュールに電流を供給するにあたって騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係る太陽光発電システムAの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係るPCS3の概略構成図である。
【
図3】第2の実施形態に係る太陽光発電システムBの概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係る電源供給装置、パワーコンディショナ及び電源装置を、図面を用いて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る太陽光発電システムAの概略構成の一例を示す図である。第1の実施形態に係る太陽光発電システムAは、例えば工場やオフィスビル等の建物の屋上や住宅の屋根上等の屋外に設けられた複数の太陽電池モジュールを備える。そして、太陽光発電システムAは、複数の太陽電池モジュールで発電された直流電力をパワーコンディショナで交流電力に変換して商用電力系統に連系させたり、当該交流電力を電化製品や蓄電池等の負荷に供給する発電モードを有する。この発電モードは、いわゆる連系運転モードや自立運転モードを含む。
【0017】
さらに、太陽光発電システムAは、太陽電池モジュールの品質をEL(エレクトロルミネッセンス)検査で行うにあたって、当該太陽電池モジュールにEL発光を誘起させるために当該太陽電池モジュールに電流を供給する検査モードを備える。EL検査は、EL法を利用した検査であって、一以上の太陽電池モジュールに電流を供給することで当該太陽電池モジュールに発生するEL発光を利用して、当該EL発光を撮像装置C(例えば、赤外線カメラやCCDカメラ)で撮像し、その撮像した撮像画像を用いて太陽電池モジュールの品質を検査する。
【0018】
以下に、第1の実施形態に係る太陽光発電システムAの概略構成について説明する。
図1に示すように、太陽光発電システムAは、複数の太陽電池ストリング1-1~1-n(nは1以上の整数)、接続箱2及びPCS(パワーコンディショナ:Power Conditioning Subsystem)3を備える。なお、太陽光発電システムAは、撮像装置Cを備えてもよい。
【0019】
太陽電池ストリング1-1~1-nは、それぞれ並列に接続されている。
各太陽電池ストリング1-1~1-nは、直列に接続された複数の太陽電池モジュール10を備えている。なお、複数の太陽電池ストリング1-1~1-nのそれぞれを区別しない場合には、単に「太陽電池ストリング1」と標記する。
【0020】
太陽電池モジュール10は、複数枚の太陽電池セルがパネル状に並べられ、太陽光を受光することで光起電力効果により直流電力を発生させる。なお、太陽光発電システムAは、太陽電池ストリング1に代えて単体の太陽電池モジュール10を電気的に並列に接続されてもよい。また、太陽電池ストリング1の数は、1以上であればいくつでもよい。太陽電池ストリング1に含まれる太陽電池モジュール10の数は、2以上であればいくつでもよい。
【0021】
接続箱2は、複数の太陽電池ストリング1-1~1-nを多段階且つ電気的に並列に接続している。各太陽電池モジュール10からの電力は、接続箱2において1つの接続線Lに纏められている。その接続線Lは、PCS3に接続されている。例えば、接続箱2は、太陽電池ストリング1-1~1-nのそれぞれに接続されている各接続線を1つの接続線Lに集線してPCS3に接続する。これにより、接続箱2は、複数の太陽電池ストリング1-1~1-nで発電された直流電流をPCS3に出力する。
【0022】
例えば、接続箱2は、複数のスイッチ2-1~2-nを備える。
スイッチ2-1は、太陽電池ストリング1-1に接続されている電力線W-1と接続線Lとの間で接続されている。スイッチ2-1がオン状態の場合には、電力線W-1と接続線Lとが電気的に接続される。スイッチ2-1がオフ状態の場合には、電力線W-1と接続線Lとの電気的な接続が遮断される。
スイッチ2-2は、太陽電池ストリング1-2に接続されている電力線W-2と接続線Lとの間で接続されている。スイッチ2-2がオン状態の場合には、電力線W-2と接続線Lとが電気的に接続される。スイッチ2-2がオフ状態の場合には、電力線W-2と接続線Lとの電気的な接続が遮断される。
スイッチ2-nは、太陽電池ストリング1-nに接続されている電力線W-nと接続線Lとの間で接続されている。スイッチ2-nがオン状態の場合には、電力線W-nと接続線Lとが電気的に接続される。スイッチ2-nがオフ状態の場合には、電力線W-nと接続線Lとの電気的な接続が遮断される。
なお、本実施形態では、発電モード時には、すべてのスイッチ2-1~2-nがオン状態に制御されていてもよい。接続箱2は、PCS3と一体化されてもよいし、省略されてもよい。
【0023】
PCS3は、商用電源Sからの電力を動作電源として、接続箱2から供給される直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を変電設備等の商用電源Sの商用電力系統Pに出力する。本実施形態では、PCS3は、接続箱2から供給される直流電力を交流電力に変換して、変換した交流電力を商用電力系統Pに出力する、いわゆる連系運転モードを実行する場合について説明するが、これに限定されない。PCS3は、接続箱2から供給される直流電力を交流電力に変換して、変換した交流電力を蓄電池や電子機器等の負荷に出力してもよい。また、PCS3は、変換した交流電力と商用電力系統Pと電気的に切り離して、いわゆる自立運転モードを実行してもよい。なお、商用電源Sからの電力とは、商用電力系統PからPCS3に供給される電力である。
【0024】
さらに、PCS3は、太陽電池モジュール10の品質をEL検査で検査するにあたって、当該太陽電池モジュール10にEL発光を誘起させるために当該太陽電池モジュール10に電流(以下、「検査電流」という。)を供給する。第1の実施形態では、PCS3は、太陽電池ストリング1-1~太陽電池ストリング1-nのそれぞれに検査電流を供給する。
【0025】
以下に、第1の実施形態に係るPCS3の概略構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態に係るPCS3の概略構成図である。
【0026】
図2に示すように、PCS3は、ダイオード4、フィルタ5、インバータ6、フィルタ7、スイッチ8及び電源供給装置9を備える。
【0027】
ダイオード4は、アノードがPCS3の太陽電池接続端子TB1に接続され、カソードがフィルタ5に接続されている。太陽電池接続端子TB1には、接続線Lが接続されている。すなわち、接続線Lは、第1の端部が太陽電池接続端子TB1に接続され、第2の端部が接続箱2に接続されている。
【0028】
フィルタ5は、太陽電池接続端子TB1に入力した直流電圧のノイズを除去する、例えば、フィルタ5は、ローパスフィルタである。
【0029】
インバータ6は、商用電源Sを動作電源として、フィルタ5から出力された直流電力を商用電源系統Pの周波数に対応した交流電力に変換する。このフィルタ5から出力された直流電力とは、太陽電池モジュールが発電した電力である。インバータ6は、変換した交流電力を、電力系統端子TB2に向けて出力する。電力系統端子TB2は、商用電力系統Pに接続される。
【0030】
フィルタ7は、インバータ6から出力される交流電力のノイズを抑制する。例えば、フィルタ7は、リアクトルである。
【0031】
スイッチ8は、フィルタ5の出力と電力系統端子TB2との間に設けられている。すなわち、スイッチ8は、フィルタ5と商用電力系統Pとの電気的な接続をON又はOFFする、例えば、リレーである。
【0032】
電源供給装置9は、検査モードにおいて、ディーゼル発電機の電力を用いることなく、商用電源Sの電力、すなわち商用電力系統Pからの電力を用いて各太陽電池モジュール10に検査電流として直流電流を供給する。例えば、この検査モードは、太陽電池モジュール10の発電が行われない夜間に実行される。
【0033】
以下に、第1の実施形態に係る電源供給装置9の概略構成について、説明する。
電源供給装置9は、コンバータ11、スイッチ12、電圧センサ13、操作部14及び制御部15を備える。
【0034】
コンバータ11は、制御部15の制御により、商用電源Sからの交流電流を直流電流に変換する。例えば、コンバータ11は、入力端子がフィルタ7の入力端子とインバータ6の出力端子との間に接続され、出力端子がスイッチ12に接続されている。コンバータ11は、商用電力系統Pから電力系統端子TB2を介して交流電流を入力端子で取得する。そして、コンバータ11は、制御部15の制御により、入力端子に入力された、商用電力系統Pからの交流電流を直流電流(検査電流)に変換して出力端子から出力する。
【0035】
スイッチ12は、コンバータ11の出力端子と電力系統端子TB2との間に接続されている。例えば、スイッチ12は、機械スイッチ(例えば、リレー)や電気的スイッチ(例えば、トランジスタ)である。具体的には、スイッチ12は、第1の端子がコンバータ11の出力端子に接続され、第2の端子がダイオード4のアノード及び電力系統端子TB2に接続されている。スイッチ12は、制御部15により、オン状態又はオフ状態に制御される。スイッチ12がオン状態の場合には、スイッチ12の第1の端子と第2の端子とは電気的に接続される。これにより、コンバータ11から出力される検査電流は、電力系統端子TB2を介して各太陽電池ストリング1に供給される。一方、スイッチ12がオフ状態の場合には、スイッチ12の第1の端子と第2の端子との電気的な接続は遮断される。これにより、コンバータ11から各太陽電池ストリング1への検査電流の供給は停止される。
【0036】
電圧センサ13は、複数の太陽電池ストリング1-1~1-n(複数の太陽電池モジュール10)からインバータ6に入力される電圧を計測する。すなわち、電圧センサ13は、接続線Lの電圧(以下、「発電電圧」という。)を計測する。本実施形態では、電圧センサ13は、電力系統端子TB2の電圧を計測することで発電電圧を計測する。電圧センサ13は、計測した発電電圧を制御部15に出力する。
【0037】
操作部14は、ユーザに操作される、例えばスイッチである。操作部14は、ユーザにより第1の操作が行われると制御部15に第1の信号を出力する。この第1の信号とは、検査電流の出力を開始させることを指示する信号である。操作部14は、ユーザにより第2の操作が行われると制御部15に第2の信号を出力する。この第2の信号とは、検査電流の出力を停止させることを指示する信号である。
【0038】
制御部15は、スイッチ12をオン状態又はオフ状態に制御することで、各太陽電池ストリングの太陽電池モジュール10への検査電流の供給を制御する。
制御部15は、操作部14に対して第1の操作が行われた場合には、スイッチ12をオフ状態からオン状態に制御する。一方、制御部15は、操作部14に対して第2の操作が行われた場合には、スイッチ12をオン状態からオフ状態に制御する。ここで、制御部15は、操作部14に対して第2の操作が行われた場合には、コンバータ11の駆動を停止してもよい。
【0039】
具体的には、制御部15は、操作部14から第1の信号を取得した場合には、スイッチ12をオフ状態からオン状態に制御することで、太陽電池モジュール10に対する検査電流の供給を開始する。また、制御部15は、操作部14に対して第2の操作が行われた場合には、スイッチ12をオン状態からオフ状態に制御することで太陽電池モジュール10に対する検査電流の供給を停止する。
【0040】
ただし、制御部15は、操作部14に対して第1の操作が行われた際にインバータ6が動作している場合には、スイッチ12をオフ状態に保持してもよい。また、制御部15は、操作部14に対して第1の操作が行われた際に電圧センサ13が計測した発電電圧が閾値を超えている場合には、スイッチ12をオフ状態に保持してもよい。また、制御部15は、操作部14に対して第1の操作が行われた際に、インバータ6が動作していること及び電圧センサ13が計測した発電電圧が閾値を超えていることの少なくともいずれかの条件が成立している場合には、スイッチ12をオフ状態に保持して、太陽電池モジュール10に対して検査電流を供給しなくてもよい。
【0041】
制御部15は、操作部14に対して第1の操作が行われた際に、各太陽電池ストリング1-1~1-nで発電していなければ、スイッチ12をオフ状態からオン状態に制御してもよい。すなわち、制御部15は、操作部14に対して第1の操作が行われたとしても、各太陽電池ストリング1-1~1-nで発電していなければスイッチ12をオン状態にせずにオフ状態のまま保持してもよい。
制御部15は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。
【0042】
次に、第1の実施形態に係るPCS3を用いたEL検査の検査方法を説明する。
【0043】
ユーザは、各太陽電池ストリング1-1~1-nを構成する複数の太陽電池モジュール10にEL発光を誘起させるために、例えば夜間時において操作部14に対して第1の操作を行う。例えば、操作部14が押しボタンスイッチである場合には、第1の操作は、スイッチを押下する操作である。操作部14は、第1の操作が行われると、第1の信号を制御部15に送信する。ここで、夜間時においては、太陽電池モジュール10は発電しない。そのため、インバータ6の駆動は停止している。
【0044】
制御部15は、第1の信号を受信すると、検査モードに移行して、電圧センサ13が計測した発電電圧が閾値を超えているか否かを判定する。制御部15は、電圧センサ13が計測した発電電圧が閾値を超えていないと判定した場合には、スイッチ12をオン状態に制御する。一方、制御部15は、電圧センサ13が計測した発電電圧が閾値を超えていると判定した場合には、スイッチ12をオン状態にせずにオフ状態を保持させるとともに、インバータ6を駆動させる。これにより、発電電圧は徐々に低下する。制御部15は、インバータ6を駆動させながら、電圧センサ13が計測した発電電圧が閾値を超えているか否かを所定周期ごとに判定し、発電電圧が閾値以下になった場合には、インバータ6の駆動を停止させて、スイッチ12をオン状態に制御する。
【0045】
制御部15は、コンバータ11を駆動する。これにより、コンバータ11は、商用電源S(商用電力系統P)からの交流電流を直流電流に変換する。そして、コンバータ11は、変換した直流電流を出力する。これにより、コンバータ11で変換された直流電流は、検査電流としてスイッチ12を介して太陽電池接続端子TB1から出力される。したがって、EL検査を行うにあたり、ディーゼル発電機を用いることなく太陽電池モジュール10に電流を供給することができる。したがって、EL検査の検査対象である太陽電池モジュール10にEL発光を発生させるために当該太陽電池モジュール10に電流を供給するにあたって騒音を抑制することができる。
【0046】
ここで、接続箱2の複数のスイッチ2-1~2-nがすべてオン状態である場合には、検査電流は、接続線Lを介して、各太陽電池ストリング1-1~1-nに供給される。ただし、複数のスイッチ2-1~2-nがすべてオン状態に制御されている必要はなく、複数のスイッチ2-1~2-nのうち、一以上のスイッチがオン状態であればよい。例えば、複数のスイッチ2-1~2-nのうち、ユーザがEL検査を行う太陽電池ストリング1に電気的に接続されているスイッチのみがオン状態であればよい。
【0047】
撮像装置Cは、検査対象の太陽電池ストリング1に検査電流が供給されると、当該太陽電池ストリング1を撮像する。撮像装置Cが撮像した撮像画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。ここで、検査電流が注入された太陽電池モジュール10において、正常の太陽電池セルは、所定の強度で発光する。一方、正常ではない太陽電池セルは、所定の強度よりも低い強度で発光するか又は発光しない。例えば、正常ではない太陽電池セルとは、断線・接続不良が発生している太陽電池セル、クラックが発生している太陽電池セル、及びPIDが進行して出力が低下している太陽電池セル等である。したがって、ユーザは、撮像装置Cが撮像した撮像画像の明暗を確認することで、太陽電池モジュール10の品質を評価することができる。
【0048】
なお、撮像装置Cは、手動により撮像してもよいし、自動で撮像してもよい。例えば、ユーザが撮像装置Cを操作することで、撮像装置Cは検査対象の太陽電池モジュール10を撮像してもよい。また、撮像装置Cは、不図示の端末装置から第1の操作信号を受信した場合に、撮像装置Cは検査対象の太陽電池モジュール10を撮像してもよい。また、撮像装置Cは、上記端末装置から第2の操作信号を受信した場合に、撮像装置Cは検査対象の太陽電池モジュール10の撮像を停止してもよい。
【0049】
上記端末装置は、ユーザにより操作されることで第1の操作信号や第2の操作信号を無線又は有線で撮像装置Cに送信する。上記端末装置は、リモートコントローラであってもよい。また、上記端末装置は、ユーザにより可搬可能な携帯情報端末であってもよく、例えば、スマートフォンやタブレット端末である。上記端末装置が表示部を有する携帯情報端末(例えば、スマートフォンやタブレット端末)である場合には、当該端末装置は、撮像装置Cと無線又は有線で通信を行い、撮像装置Cが撮像した撮像画像(静止画像や動画)を取得し、自装置の表示部に表示してもよい。これにより、ユーザは、撮像画像の明暗を容易に確認することができ、太陽電池セルの劣化や欠陥を診断することができる。また、上記端末装置は、撮像装置Cから得られた撮像画像に対して公知の画像処理を行い、当該撮像画像から輝度が所定値以下の太陽電池セルの有無を判定してもよい。上記端末装置は、輝度が所定値以下の太陽電池セルがあると判定した場合には、ユーザに通知してもよい。例えば、上記端末装置は、輝度が所定値以下の太陽電池セルがあると判定した場合には、自装置の表示画面にバナー通知やポップアップ通知を行ってもよいし、音声により通知を行ってもよい。
【0050】
また、撮像装置Cは、制御部15と無線通信を行ってもよい。撮像装置Cは、制御部15から検査電流の供給を開始したことを示す信号(以下、「検査開始信号」という。)を無線で受信した場合には、検査対象の太陽電池モジュール10の静止画又は動画の撮像を開始してもよい。撮像装置Cは、制御部15から検査電流の供給を停止したことを示す信号(以下、「検査停止信号」という。)を無線で受信した場合には、検査対象の太陽電池モジュール10の静止画又は動画の撮像を停止してもよい。この場合には、例えば、制御部15は、スイッチ12をオン状態に制御し、且つ、コンバータ11の駆動を開始した場合には、検査開始信号を無線で撮像装置Cに送信する。また、制御部15は、操作部14に対して第2の操作が行われた場合には、検査停止信号を無線で撮像装置Cに送信する。
なお、撮像装置Cは、所定の位置に固定されてもよいし、ドローンなどの小型の移動体に設けられてもよい。
【0051】
以上説明したように、第1の実施形態に係る電源供給装置Aは、太陽電池モジュール10のEL検査を行うにあたって、ディーゼル発電機の電力を用いることなく、商用電源Sの電力を用いて太陽電池モジュール10に電流(検査電流)を供給する。
【0052】
このような構成によれば、電源供給装置9は、EL検査を行うにあたり、ディーゼル発電機を用いることなく太陽電池モジュール10に電流を供給することができる。したがって、EL検査の検査対象である太陽電池モジュール10にEL発光を発生させるために当該太陽電池モジュール10に電流を供給するにあたって騒音を抑制することができる。さらに、電源供給装置Aは、ディーゼル発電機を用いることがないため、排気ガスの排出を抑制することができる。
【0053】
また、第1の実施形態に係るPCS3は、電源供給装置9を備えてもよい。このPCS3は、商用電源Sを動作電源として太陽電池モジュール10が発電した電力を所定の交流電力に変換するインバータ6を備える。電源供給装置Aは、スイッチ12、コンバータ11及び制御部15を備えてもよい。この場合には、コンバータ11は、商用電源Sからの交流電流を直流電流に変換する。制御部15は、スイッチ12をオフ状態からオン状態に制御することで、コンバータ11が変換した直流電流を太陽電池モジュール10に供給する。
【0054】
また、第1の実施形態に係る電源供給装置9は、操作部14を備えてもよい。この場合の電源供給装置Aは、PCS3と一体で設けられてもよいし、PCS3と別体で設けられてもよい。そして、制御部15は、操作部14に対して第1の操作が行われた場合に、スイッチ12をオン状態に制御してもよい。これにより、電源供給装置9は、ユーザの所望のタイミングで直流電流を太陽電池モジュール10に供給することができる。
【0055】
また、第1の実施形態に係る電源供給装置9は、太陽電池モジュールから前記インバータに入力される電圧を計測する電圧センサ13を備えてもよい。この場合には、電源供給装置Aは、PCS3と一体で設けられてもよいし、PCS3と別体で設けられてもよい。制御部15は、操作部14に対して第1の操作が行われた際に電圧センサ13が計測した電圧が閾値を超えている場合には、スイッチ12をオフ状態に保持してもよい。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る太陽光発電システムBについて説明する。
図3は、第2の実施形態に係る太陽光発電システムBの概略構成の一例を示す図である。第2の実施形態に係る太陽光発電システムBは、第1の実施形態と同様に、複数の太陽電池モジュールで発電された直流電力をパワーコンディショナで交流電力に変換して商用電力系統に連系させたり、当該交流電力を電化製品や蓄電池等の負荷に供給する発電モードを有する。この発電モードは、いわゆる連系運転モードや自立運転モードを含む。
【0057】
さらに、太陽光発電システムBは、太陽電池モジュールの品質をEL検査で行うにあたって、当該太陽電池モジュールにEL発光を誘起させるために当該太陽電池モジュールに電流を供給する検査モードを備える。
【0058】
以下に、第2の実施形態に係る太陽光発電システムBの概略構成について説明する。なお、第2の実施形態に係る太陽光発電システムBの構成要素において、第1の実施形態に係る太陽光発電システムAの構成要素と同一又は類似の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0059】
図3に示すように、太陽光発電システムBは、複数の太陽電池ストリング1-1~1-n(nは1以上の整数)、接続箱2、PCS3b、電源装置20及び撮像装置30を備える。
【0060】
接続箱2は、複数の太陽電池ストリング1-1~1-nを多段階且つ電気的に並列に接続している。各太陽電池モジュール10からの電力は、接続箱2において1つの接続線Lに纏められている。その接続線Lは、PCS3bに接続されている。例えば、接続箱2は、太陽電池ストリング1-1~1-nのそれぞれに接続されている各接続線を1つの接続線Lに集線してPCS3bに接続する。これにより、接続箱2は、複数の太陽電池ストリング1-1~1-nで発電された直流電流をPCS3bに出力する。
なお、発電モード時には、すべてのスイッチ2-1~2-nがオン状態に制御されている。接続箱2は、PCS3bと一体化されてもよいし、省略されてもよい。
【0061】
PCS3bは、商用電源Sからの電力を動作電源として、接続箱2から供給される直流電力を交流電力に変換し、その変換した交流電力を変電設備等の商用電源Sの商用電力系統Pに出力する。第2の実施形態では、PCS3bは、接続箱2から供給される直流電力を交流電力に変換して、変換した交流電力を商用電力系統Pに出力する、いわゆる連系運転モードを実行する場合について説明するが、これに限定されない。PCS3bは、接続箱2から供給される直流電力を交流電力に変換して、変換した交流電力を蓄電池や電子機器等の負荷に出力してもよい。また、PCS3bは、変換した交流電力と商用電力系統Pと電気的に切り離して、いわゆる自立運転モードを実行してもよい。なお、商用電源Sからの電力とは、商用電力系統PからPCS3bに供給される電力である。
なお、PCS3bは、ダイオード4、フィルタ5、インバータ6、フィルタ7及びスイッチ8を備えている。また、PCS3bは、第1の実施形態と比較して、電力供給装置Aを備えていない。
【0062】
電源装置20は、太陽電池モジュール10の品質をEL検査で検査するにあたって、当該太陽電池モジュール10にEL発光を誘起させるために当該太陽電池モジュール10に検査電流を供給する。第2の実施形態では、PCS3bは、太陽電池ストリング1-1~太陽電池ストリング1-nのそれぞれに検査電流を供給する。
【0063】
撮像装置30は、EL検査の検査対象の太陽電池ストリング1に検査電流が供給されると、当該太陽電池ストリング1を撮像する。例えば、撮像装置30は、赤外線カメラやCCDカメラである。撮像装置30が撮像した撮像画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。
【0064】
撮像装置30は、電源装置20と無線又は有線で通信する。撮像装置30は、電源装置20から検査開始信号を受信した場合には、検査対象の太陽電池モジュール10の静止画又は動画の撮像を開始する。また、撮像装置30は、制御部15から検査停止信号を受信した場合には、検査対象の太陽電池モジュール10の静止画又は動画の撮像を停止する。なお、撮像装置30は、所定の位置に固定されてもよいし、ドローンなどの小型の移動体に設けられてもよい。
【0065】
次に、第2の実施形態に係る電源装置20は、バッテリ21及び電源供給装置22を備える。
【0066】
バッテリ21は、例えば、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリ、鉛蓄電池等の二次電池である。また、例えば、バッテリ21は、大容量キャパシタであってもよい。また、バッテリ21は、二次電池及び大容量キャパシタの双方を備えてもよい。
【0067】
電源供給装置22は、ディーゼル発電機の電力を用いることなく、バッテリ21の電力を用いて各太陽電池モジュール10に検査電流として直流電流を出力端子TB3から出力する。例えば、電源供給装置22は、太陽電池モジュール10の発電が行われない夜間に検査電流として直流電流を出力する。
【0068】
以下に、第2の実施形態に係る電源供給装置22の概略構成について説明する。
電源供給装置22は、スイッチ221及び制御部222を備える。
【0069】
スイッチ221は、バッテリ21の正極と出力端子TB3との間に接続されている。例えば、スイッチ221は、機械スイッチ(例えば、リレー)や電気的スイッチ(例えば、トランジスタ)である。具体的には、スイッチ221は、第1の端子がコンバータ11の正極に接続され、第2の端子が出力端子TB3に接続されている。
【0070】
スイッチ221は、制御部222により、オン状態又はオフ状態に制御される。スイッチ221がオン状態の場合には、スイッチ221の第1の端子と第2の端子とは電気的に接続される。これにより、バッテリ21から出力される直流電流は、出力端子TB3を介して各太陽電池ストリング1に検査電流として供給される。一方、スイッチ221がオフ状態の場合には、スイッチ221の第1の端子と第2の端子との電気的な接続は遮断される。これにより、バッテリ21から各太陽電池ストリング1への検査電流の供給は停止される。
【0071】
制御部222は、スイッチ221をオン状態又はオフ状態に制御することで、各太陽電池ストリングの太陽電池モジュール10への検査電流の供給を制御する。
制御部222は、撮像装置30の撮像タイミングとスイッチ221をオフ状態からオン状態に制御するタイミングとを同期させる。例えば、制御部222は、スイッチ221をオフ状態からオン状態に制御する場合には、撮像装置30に検査開始信号を有線又は無線で送信する。撮像装置30は、電源装置20から検査開始信号を受信した場合には検査対象の太陽電池モジュール10の静止画又は動画の撮像を開始する。これにより、制御部222は、撮像装置30の撮像タイミングとスイッチ221をオフ状態からオン状態に制御するタイミングとを同期させる。
【0072】
さらに、制御部222は、撮像装置30が撮像を停止するタイミングとスイッチ221をオン状態からオフ状態に制御するタイミングとを同期させる。例えば、制御部222は、スイッチ221をオン状態からオフ状態に制御する場合には、撮像装置30に検査停止信号を有線又は無線で送信する。撮像装置30は、制御部222から検査停止信号を受信した場合には、検査対象の太陽電池モジュール10の静止画又は動画の撮像を停止する。
これにより、制御部222は、撮像装置30が撮像を停止するタイミングとスイッチ221をオン状態からオフ状態に制御するタイミングとを同期させることができる。なお、この場合において、制御部222は、ユーザからの所定の操作を受け付けることで、スイッチ221をオン状態からオフ状態に制御してもよい。例えば、電源供給装置22は、操作部14を備えてもよい。そして、制御部222は、操作部14に対して第1の操作が行われた場合には、スイッチ221をオフ状態からオン状態に制御してもよい。一方、制御部15は、操作部14に対して第2の操作が行われた場合には、スイッチ221をオン状態からオフ状態に制御してもよい。
【0073】
制御部222は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。
【0074】
次に、第2の実施形態に係る電源装置20を用いたEL検査の検査方法を説明する。なお、以下の説明において、電源供給装置22は、操作部14を備えている。電源装置20の出力端子TB3は、接続線Lに接続されている。
【0075】
ユーザは、各太陽電池ストリング1-1~1-nを構成する複数の太陽電池モジュール10にEL発光を誘起させるために、例えば夜間時において操作部14に対して第1の操作を行う。例えば、操作部14は、第1の操作が行われると、第1の信号を制御部15に送信する。ここで、夜間時においては、太陽電池モジュール10は発電しない。そのため、インバータ6の駆動は停止している。
【0076】
制御部222は、スイッチ221をオン状態に制御するとともに、撮像装置30に検査開始信号を有線又は無線で送信する。これにより、バッテリ21からの直流電流が出力端子TB3から出力されるとともに、撮像装置30の撮像が開始される。
出力端子TB3から出力された直流電流は、検査電流として、接続線Lを介して検査対象の太陽電池モジュール10に供給される。したがって、EL検査を行うにあたり、ディーゼル発電機を用いることなく太陽電池モジュール10に電流を供給することができる。そのため、EL検査の検査対象である太陽電池モジュール10にEL発光を発生させるために当該太陽電池モジュール10に電流を供給するにあたって騒音を抑制することができる。
【0077】
ここで、接続箱2の複数のスイッチ2-1~2-nがすべてオン状態である場合には、検査電流は、接続線Lを介して、各太陽電池ストリング1-1~1-nに供給される。ただし、複数のスイッチ2-1~2-nがすべてオン状態に制御されている必要はなく、複数のスイッチ2-1~2-nのうち、一以上のスイッチがオン状態であればよい。例えば、複数のスイッチ2-1~2-nのうち、ユーザがEL検査を行う太陽電池ストリング1に電気的に接続されているスイッチのみがオン状態であればよい。
【0078】
また、撮像装置30は、検査対象の太陽電池モジュール10に検査電流が流れると同時、又は同時と同視し得るタイミングでの撮像を開始する。これにより、撮像装置30は、効率的に検査対象の太陽電池モジュールを撮像することができる。
【0079】
なお、第2の実施形態の撮像装置30は、手動により撮像を開始してもよい。例えば、ユーザが撮像装置30に対して所定の操作を行うことで、撮像装置30は検査対象の太陽電池モジュール10を撮像してもよい。例えば、所定の操作とは、撮像装置30の撮像スイッチを押下する操作である。この撮像スイッチは、撮像装置30の撮像を開始させるスイッチである。この場合には、撮像装置30は、所定の操作が行われると、撮像を開始することを示す信号(以下、「撮像開始信号」という。)を有線又は無線で電源装置20の制御部222に送信する。また、撮像装置30は、上記端末装置から第1の操作信号を受信した場合には検査対象の太陽電池モジュール10の撮像を開始してもよい。そして、撮像装置30は、上記端末装置から第1の操作信号を受信した場合には、撮像開始信号を有線又は無線で電源装置20の制御部222に送信してもよい。なお、第2の実施形態の端末装置は、第1の実施形態の端末装置と同様の構成を備える。
【0080】
制御部222は、撮像装置30から撮像開始信号を受信した場合には、スイッチ221をオン状態に制御してもよい。これにより、制御部222は、撮像装置30の撮像タイミングとスイッチ221をオフ状態からオン状態に制御するタイミングとを同期させることができる。
【0081】
また、撮像装置30は、撮像装置30の停止スイッチが押下された場合には、撮像を停止することを示す信号(以下、「撮像停止信号」という。)を有線又は無線で電源装置20の制御部222に送信してもよい。また、撮像装置30は、上記端末装置から第2の操作信号を受信した場合には検査対象の太陽電池モジュール10の撮像を停止してもよい。そして、撮像装置30は、上記端末装置から第2の操作信号を受信した場合には、撮像停止信号を有線又は無線で電源装置20の制御部222に送信してもよい。
【0082】
制御部222は、撮像装置30から撮像停止信号を受信した場合には、スイッチ221をオフ状態に制御してもよい。これにより、制御部222は、撮像装置30が撮像を停止するタイミングとスイッチ221をオン状態からオフ状態に制御するタイミングとを同期させることができる。
【0083】
以上説明したように、第2の実施形態に係る電源供給装置22は、太陽電池モジュール10のEL検査を行うにあたって、ディーゼル発電機の電力を用いることなく、バッテリ21の電力を用いて太陽電池モジュール10に電流(検査電流)を供給する。
【0084】
このような構成によれば、電源供給装置22は、EL検査を行うにあたり、ディーゼル発電機を用いることなく太陽電池モジュール10に電流を供給することができる。したがって、EL検査の検査対象である太陽電池モジュール10にEL発光を発生させるために当該太陽電池モジュール10に電流を供給するにあたって騒音を抑制することができる。さらに、電源供給装置Bは、ディーゼル発電機を用いることがないため、排気ガスの排出を抑制することができる。
【0085】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0086】
(変形例1)第1の実施形態及び第2の実施形態では、接続箱2が1つである場合について説明するが、太陽電池モジュール10の数によっては、接続箱2は複数個でもよい。その際、接続箱2とPCS3(又はPCS3b)との間に集電箱が接続される場合がある。集電箱を用いる場合においては、各接続箱2は、太陽電池ストリング1-1~1-nから供給された直流電流を集電箱に出力する。各接続箱2から供給された直流電流は、集電箱において1つの接続線に纏められている。集電箱は、各接続箱2から供給された直流電流をPCS3(又はPCS3b)に出力する。
【0087】
(変形例2)PCS3及びPCS3bは、インバータ6とフィルタ5との間に昇圧用のコンバータを備えてもよい。
【0088】
(変形例3)PCS3は、予定された時間又は定期的に検査モードに移行して検査電流を太陽電池接続端子TB1から出力してもよい。この場合には、PCS3は、必ずしも操作部14を備えなくてもよい。PCS3bは、予定された時間又は定期的にスイッチ221をオン状態に制御して検査電流を出力端子TB3から出力してもよい。この場合には、PCS3bは、必ずしも操作部14を備えなくてもよい。
【0089】
(変形例4)電源供給装置9、22は、検査電流としてパルス電流を検査対象の太陽電池モジュール10に供給してもよい。
【0090】
(変形例5)第2の実施形態において、電源装置20の出力端子TB3は、検査対象である太陽電池モジュール10を備える太陽電池ストリング1に接続されている電力線Wに接続されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
A,B 太陽光発電システム
3,3b PCS(パワーコンディショナ)
6 インバータ
9,22 電源供給装置
13 電圧センサ
15,222 制御部
20 電源装置
21 バッテリ
S 商用電源