(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】CO2供給装置およびダクトフード
(51)【国際特許分類】
A01G 9/18 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A01G9/18
(21)【出願番号】P 2018240344
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】木戸脇 彰
(72)【発明者】
【氏名】山路 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和則
(72)【発明者】
【氏名】廣安 勝
(72)【発明者】
【氏名】好田 達彦
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-003244(JP,U)
【文献】実開平06-013438(JP,U)
【文献】実開平02-122947(JP,U)
【文献】特開昭59-183631(JP,A)
【文献】実開昭59-122053(JP,U)
【文献】実開昭56-036959(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0094560(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/02
A01G 9/18
F23L 17/00 - 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培室内にCO
2を供給するCO
2供給装置であって、
筐体内に配置され、CO
2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
前記筐体の天面に設けられた給気口および排気口と、
前記給気口を通じて前記燃焼器に空気を取り込むための給気ダクトと、
前記燃焼ガスを前記排気口へと導くための排気ダクトと、
前記給気口と前記排気口とを覆うように前記筐体の天面に配置されるダクトフードと、
前記ダクトフードの天壁に設けられる前記燃焼ガスの出口に取り付けられ、前記栽培室内に前記燃焼ガスを導くための供給ダクトと、
前記供給ダクトに前記燃焼ガスを取り込むための供給ファンと、を備え、
前記ダクトフードの複数の側壁のそれぞれには、前記ダクトフード内に空気を取り込むための開口部が設けられており、前記複数の側壁のうち、前記給気口に最も近い側壁に設けられる前記開口部は、他の前記側壁に設けられる前記開口部よりも前記天壁の近くまで開口する、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のCO
2供給装置において、
前記複数の側壁のうち、前記排気口に最も近い側壁の前記開口部の上の内壁面において、水平に前記内壁面に沿う方向における前記排気口よりも前記給気口側の位置には、前記燃焼ガスの温度を測定する温度センサが設けられる、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載のCO
2供給装置において、
制御部を備え、
前記制御部は、前記温度センサにより測定された前記燃焼ガスの温度が所定値を超えた場合、前記燃焼器の動作を停止させる、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のCO
2供給装置において、
前記開口部には、通気性を有するカバー部材が嵌められる、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載のCO
2供給装置において、
前記側壁のうち前記給気口に最も近い側壁に設けられる前記開口部は、前記給気口に最も近い前記側壁以外の側壁のうち少なくとも1つの側壁に設けられる他の開口部と、同一の大きさであり且つ他の開口部よりも前記筐体の天面から高い位置に設けられる、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【請求項6】
栽培室内にCO
2
を供給するCO
2
供給装置に備えられるダクトフードであって、
前記CO
2
供給装置は、
筐体内に配置され、CO
2
を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
前記筐体の天面に設けられた給気口および排気口と、
前記給気口を通じて前記燃焼器に空気を取り込むための給気ダクトと、
前記燃焼ガスを前記排気口へと導くための排気ダクトと、
前記ダクトフードの天壁に設けられる前記燃焼ガスの出口に取り付けられ、前記栽培室内に前記燃焼ガスを導くための供給ダクトと、
前記供給ダクトに前記燃焼ガスを取り込むための供給ファンと、を備え、
前記ダクトフードは、前記給気口と前記排気口とを覆うように前記筐体の天面に配置され、
前記ダクトフードの複数の側壁のそれぞれには、前記ダクトフード内に空気を取り込むための開口部が設けられており、前記複数の側壁のうち、前記給気口に最も近い側壁に設けられる前記開口部は、他の前記側壁に設けられる前記開口部よりも前記天壁の近くまで開口する、
ことを特徴とするダクトフード。
【請求項7】
栽培室内にCO
2を供給するCO
2供給装置であって、
筐体内に配置され、CO
2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
前記筐体の天面に設けられた給気口および排気口と、
前記給気口を通じて前記燃焼器に空気を取り込むための給気ダクトと、
前記燃焼ガスを前記排気口へと導くための排気ダクトと、
前記給気口と前記排気口とを覆うように前記筐体の天面に配置されるダクトフードと、
前記ダクトフードの天壁に設けられており、供給ファンにより取り込まれた前記燃焼ガスを前記栽培室内に導くための供給ダクトが取り付けられている前記燃焼ガスの出口と、を備え、
前記ダクトフードの複数の側壁のそれぞれには、前記ダクトフード内に空気を取り込むための開口部が設けられており、前記複数の側壁のうち、前記給気口に最も近い側壁に設けられる前記開口部は、他の前記側壁に設けられる前記開口部よりも前記天壁の近くまで開口する、
ことを特徴とするCO
2供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室、ビニールハウス等の栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置、およびダクトフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温室、ビニールハウス等の栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置において、燃焼器の燃焼により発生したCO2を含む高温の燃焼ガスを冷却して、その温度を低下させた後に、栽培室内に排出させるようにしたものが知られている。このようなCO2供給装置の一例が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のCO2供給装置(農業用蓄熱システム)では、ハウス(栽培室)内に向けて燃焼ガスを流すダクト内に熱交換器が設けられる。燃焼ガスは、熱交換器を通る低温の熱媒体との間の熱交換により冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような、冷却された燃焼ガスを栽培室内に供給するCO2供給装置として、たとえば、以下のような構成を採ることもできる。
【0006】
即ち、燃焼器が配置された筐体の天面に排気口が設けられ、燃焼器で生成された燃焼ガスが排気口から排出される。筐体の天面には、排気口を覆うようにダクトフードが配置され、ダクトフードには、天壁に燃焼ガスの出口が設けられ、複数の側壁に開口部が設けられる。ダクトフードの出口には、栽培室内に燃焼ガスを導くための供給ダクトが接続される。供給ダクトには、供給ファンが設けられる。
【0007】
供給ファンが動作すると、排気口から排出された燃焼ガスが、開口部から取り込まれた空気と混合されて供給ダクトに取り込まれる。燃焼ガスは、空気と混合されることにより冷却される。
【0008】
このような構成とされた場合、さらに、燃焼器に供給される空気を取り込むための給気口が、筐体の天面に設けられて排気口と同様にダクトフードで覆われる構成とすることが考えられる。こうすると、何らかの要因により供給ファンの送風量が変化し、ダクトフード内の圧力が変化しても、給気口と排気口とが同じダクトフード内に配置されているので、給気と排気との間の圧力バランスが崩れず、ほぼ一定に保たれる。よって、供給ファンの送風量が変化しても、燃焼器での燃焼量にばらつきが生じにくい。
【0009】
このように給気口と排気口とがダクトフード内に配置される構成が採られた場合、供給ファンに不具合が生じ、供給ファンの送風量が減少すると、供給ダクトに引き込むことができる燃焼ガスの量が減少する。このため、排気口から排出された燃焼ガスの一部は、開口部から漏れ出てしまう。一方、給気口は、上記のとおり、燃焼器に供給される空気を取り込む。このため、給気口側の開口部の方に流れた燃焼ガスの一部が、給気口に引き込まれる虞がある。これにより、燃焼器で燃焼不良が生じ、一酸化炭素やスス等が生じる虞がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、栽培室内にCO2を含む燃焼ガスを送り込むためのファンに不具合が生じた場合でも、燃焼器に燃焼不良を生じさせないようなCO2供給装置、およびダクトフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主たる態様は、栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置に関する。この態様に係るCO2供給装置は、筐体内に配置され、CO2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、前記筐体の天面に設けられた給気口および排気口と、前記給気口を通じて前記燃焼器に空気を取り込むための給気ダクトと、前記燃焼ガスを前記排気口へと導くための排気ダクトと、前記給気口と前記排気口とを覆うように前記筐体の天面に配置されるダクトフードと、前記ダクトフードの天壁に設けられる前記燃焼ガスの出口に取り付けられ、前記栽培室内に前記燃焼ガスを導くための供給ダクトと、前記供給ダクトに前記燃焼ガスを取り込むための供給ファンと、を備える。前記ダクトフードの複数の側壁のそれぞれには、前記ダクトフード内に空気を取り込むための開口部が設けられており、前記複数の側壁のうち、前記給気口に最も近い側壁に設けられる前記開口部は、他の前記側壁に設けられる前記開口部よりも前記天壁の近くまで開口する。
【0012】
供給ファンに不具合が生じて、燃焼ガスが開口部から漏れ出す状況が生じたとき、給気口の方に流れた燃焼ガスは、給気口の上方を通過して、給気口に近い開口部から漏れ出る。一方、給気口は、供給ファンに不具合が生じた場合でも、開口部を通じてダクトフードから流入する空気の取り込みを継続している。このため、給気口の方に流れた燃焼ガスは、空気と同様、給気口に引き込まれる虞がある。燃焼ガスは、燃焼器により次々と生成される燃焼ガスに押されるようにして排気ダクトを流れるため、ある程度の勢いで排気口から排出される。よって、排気口から排出された燃焼ガスは、ダクトフード内を上方に流れやすい。
【0013】
本実施の形態では、給気口に最も近い側壁に設けられる開口部は、他の側壁に設けられる開口部よりも天壁の近くまで開口する、つまり、他の開口部よりも上方まで開口する。このため、給気口の方に流れた燃焼ガスは、他の開口部へ流れる場合に比べて全体として上方に流れるので、給気口による引き込みを回避しつつ、給気口に最も近い側壁に設けられる開口部から漏れ出る。よって、給気口への燃焼ガスの引き込みを抑制することができる。その結果、燃焼器で燃焼不良が生じ、一酸化炭素やスス等が生じる虞を低減できる。
【0014】
仮に、全ての側壁において、開口部を天壁に近づけた場合、燃焼ガスの整流効果が低減するため、供給ファンが正常に作動している場合においても、燃焼ガスが開口部から漏れ出てしまうことが懸念される。この点、上記の構成では、給気口に最も近い側壁においてのみ、開口部がダクトフードの天壁に近づけられるので、供給ファンが正常に作動している場合に、ダクトフード外への燃焼ガスの漏れ出しを抑制でき、燃焼ガスを滞りなく供給ダクトに導くことができる。
【0015】
本態様に係るCO2供給装置において、前記複数の側壁のうち、前記排気口に最も近い側壁の前記開口部の上の内壁面において、水平に前記内壁面に沿う方向における前記排気口よりも前記給気口側の位置には、前記燃焼ガスの温度を測定する温度センサが設けられるよう構成され得る。
【0016】
供給ファンに不具合が生じて供給ダクトへの吸込力が低下した場合、排気口から排出された燃焼ガスの一部が、排気口に最も近い側壁に沿うように上方へ流れやすくなる。このときの燃焼ガスは、外部の空気と混合されにくいので比較的に温度が高い。また、側壁に沿って上方へと流れる燃焼ガスは、給気口が空気を取り込む影響を受け、給気口側の方へと寄せられる傾向にある。
【0017】
上記の構成では、温度センサが、排気口に最も近い側壁の開口部の上の内壁面において、水平に内壁面に沿う方向における排気口よりも給気口側の位置に設けられているので、供給ファンに不具合が生じたときの正常時よりも高温となった燃焼ガスの温度を温度センサによって良好に測定できる。よって、温度センサを用いて供給ファンの不具合を良好に検出できる。
【0018】
本態様に係るCO2供給装置において、さらに、制御部を備え得る。そして、前記制御部は、前記温度センサにより測定された前記燃焼ガスの温度が所定値を超えた場合、前記燃焼器の動作を停止させるよう構成され得る。
【0019】
温度センサが所定値を超える温度を検出するような事態が生じた場合、ダクトフード内において、燃焼ガスが給気口に引き込まれ、燃焼器により一酸化炭素やスス等の異常なガスを生成する虞がある。この点、上記の構成によれば、燃焼器が異常な燃焼を行う前に、燃焼器の作動を停止させることができる。よって、燃焼器が燃焼不良を起こすことを防ぐことができる。
【0020】
本態様に係るCO2供給装置において、前記開口部には、通気性を有するカバー部材が嵌められるよう構成され得る。
【0021】
上記の構成によれば、ダクトフード内に空気が流入するとき、カバー部材によって、たとえば、空気中の埃や塵等を除去することができる。また、ダクトフード内に虫等が侵入することを防ぐ。
【0022】
本態様に係るCO2供給装置において、前記側壁のうち前記給気口に最も近い側壁に設けられる前記開口部は、前記給気口に最も近い前記側壁以外の側壁のうち少なくとも1つの側壁に設けられる他の開口部と、同一の大きさであり且つ他の開口部よりも前記筐体の天面から高い位置に設けられるよう構成され得る。
【0023】
上記の構成によれば、最も天壁の近くまで開口している開口部と、この開口部以外の開口部とは、それぞれが対応する側壁に、筐体の天面からの高さ位置が異なるよう配置されるが、開口部の大きさは同一となる。したがって、それぞれの開口部にカバー部材、たとえば、網やフィルタ等を設ける場合、同一のカバー部材を使用できるため、CO2供給装置のコスト削減に寄与し得る。
【0024】
本発明の第2の態様は、栽培室内にCO
2
を供給するCO
2
供給装置に備えられるダクトフードに関する。前記CO
2
供給装置は、筐体内に配置され、CO
2
を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、前記筐体の天面に設けられた給気口および排気口と、前記給気口を通じて前記燃焼器に空気を取り込むための給気ダクトと、前記燃焼ガスを前記排気口へと導くための排気ダクトと、前記ダクトフードの天壁に設けられる前記燃焼ガスの出口に取り付けられ、前記栽培室内に前記燃焼ガスを導くための供給ダクトと、前記供給ダクトに前記燃焼ガスを取り込むための供給ファンと、を備える。前記ダクトフードは、前記給気口と前記排気口とを覆うように前記筐体の天面に配置され、前記ダクトフードの複数の側壁のそれぞれには、前記ダクトフード内に空気を取り込むための開口部が設けられており、前記複数の側壁のうち、前記給気口に最も近い側壁に設けられる前記開口部は、他の前記側壁に設けられる前記開口部よりも前記天壁の近くまで開口する。
【0025】
上記の構成によれば、上記第1の態様と同様の効果を奏することができる。
【0026】
本発明の第3の態様は、栽培室内にCO2を供給するCO2供給装置に関する。この態様に係るCO2供給装置は、筐体内に配置され、CO2を含む燃焼ガスを発生させる燃焼器と、前記筐体の天面に設けられた給気口および排気口と、前記給気口を通じて前記燃焼器に空気を取り込むための給気ダクトと、前記燃焼ガスを前記排気口へと導くための排気ダクトと、前記給気口と前記排気口とを覆うように前記筐体の天面に配置されるダクトフードと、前記ダクトフードの天壁に設けられており、供給ファンにより取り込まれた前記燃焼ガスを前記栽培室内に導くための供給ダクトが取り付けられている前記燃焼ガスの出口と、を備える。前記ダクトフードの複数の側壁のそれぞれには、前記ダクトフード内に空気を取り込むための開口部が設けられており、前記複数の側壁のうち、前記給気口に最も近い側壁に設けられる前記開口部は、他の前記側壁に設けられる前記開口部よりも前記天壁の近くまで開口する。
【0027】
上記の構成によれば、上記第1の態様と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明は、栽培室内にCO2を含む燃焼ガスを送り込むためのファンに不具合が生じた場合でも、燃焼器に燃焼不良を生じさせないようなCO2供給装置、およびダクトフードを提供することができる。
【0029】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、CO
2供給装置が設置された栽培室を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、CO
2供給装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、CO
2供給装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)は、実施の形態に係る、ダクトフードの構成を示す斜視図である。
図4(b)は、
図4(a)で示したダクトフードの一部分解斜視図である。
図4(c)は、天壁が除かれた状態のダクトフードの平面図である。
【
図5】
図5(a)、(b)は、実施の形態に係る、ダクトフード内における空気および燃焼ガスの流れを説明するための模式図である。
図5(a)は、供給ファンが正常に作動している場合であり、
図5(b)は、供給ファンに何らかの原因により不具合が生じている場合である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る、制御部による放熱機側の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0032】
なお、本実施の形態において、制御部401と制御部501とにより、特許請求の範囲に記載の「制御部」が構成される。また、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。X-Y平面は水平面に平行で、Z軸方向は鉛直方向である。Z軸正側が上方であり、Z軸負側が下方である。
【0033】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0034】
図1は、CO
2供給装置1が設置された栽培室2を模式的に示す図である。
【0035】
CO
2供給装置1は、温室、ビニールハウス等の栽培室2に設置され、栽培室2内で育成される農作物等の植物にCO
2(二酸化炭素)を供給し、植物の光合成を促進させる。CO
2供給装置1は、燃焼式の熱源機10と、空冷式の放熱機20とを備える。熱源機10は栽培室2内に設置され、放熱機20は栽培室2の外、即ち屋外に設置される。熱源機10は、植物の近くへと延びる供給ダクト220を有し、この供給ダクト220により、植物の近くにCO
2が導かれる。なお、
図1の例では、栽培室2は、植物が栽培される部屋と熱源機10が設置される部屋とに区切られていない。しかしながら、栽培室2は、上記2つの部屋に区切られていてもよい。この場合、熱源機10が設置された部屋から植物が栽培される部屋へと供給ダクト220が延びることになる。
【0036】
【0037】
熱源機10は、熱源機本体11と、ダクトユニット12とを含む。
【0038】
熱源機本体11には、筐体100内に缶体101が配置される。缶体101内には、燃焼器102と第1熱交換器103が収容される。燃焼器102には、供給管104が接続される。供給管104は、缶体101および筐体100の外に出て、燃料、たとえば灯油が貯留された燃料タンク(図示せず)に繋がる。供給管104には、供給ポンプ105が設けられる。また、燃焼器102には、気化ヒータ106とイグナイタ107が設けられる。
【0039】
第1熱交換器103は、燃焼器102の後段(下方)に設けられる。第1熱交換器103には、往き管108と戻り管109が接続される。往き管108と戻り管109は、缶体101および筐体100の外に出て放熱機20側へと延びる。戻り管109には、循環ポンプ110が設けられる。
【0040】
缶体101の上部には、連通口101aを介して燃焼ファン114が連結される。燃焼ファン114は、ケーシング115と、ケーシング115内に配置されるファン116と、ファン116を回転させるモータ117とを含む。ケーシング115には、外部に繋がる給気ダクト118が接続されており、給気ダクト118の給気口118aが筐体100の天面100aから突出する。
【0041】
缶体101の下部には、連通口101bを介して排気ダクト119が連結される。排気ダクト119は、筐体100内の下部で折り返された後に上方へと延び、その排気口119aが筐体100の天面100aから突出する。
【0042】
ダクトユニット12は、ダクトフード210と供給ダクト220を含む(
図4(a)、(b)参照。)。ダクトフード210の形状は、箱型形状である。ダクトフード210は、底面のベース211と、天壁212と、4つの側壁213a~213dとから構成される。ベース211には、給気口118aおよび排気口119aを通すための孔が設けられている。給気口118aおよび排気口119aは、ベース211の孔に通され、ベース211を介して筐体100の天面100aに設けられる。給気口118aおよび排気口119aは上方に開口する。また、給気口118aおよび排気口119aは、天壁212および側壁213a~213dに覆われている。
【0043】
側壁213a~213dのそれぞれには、ダクトフード210内に空気を取り込むための開口部214a~214dがそれぞれ設けられる。開口部214a~214dを通じてダクトフード210内に取り込まれた空気は、排気口119aから排出された燃焼ガスの二次冷却に用いられる。また、燃焼器102による燃焼ガスの生成に用いられる。
【0044】
また、ダクトフード210の側壁213a~213dのうち、所定の側壁の内壁に、高温状態の気体の温度が計測できる温度センサ215が設けられる。なお、上記のベース211、側壁213a、213c、開口部214a、214cは、
図2では図示されず、ダクトフード210の詳細な構成と併せて、追って
図4(a)、(b)を参照して説明する。また、温度センサ215は、
図5(a)、(b)で図示される。
【0045】
供給ダクト220は、その途中部位に供給ファン221を備える。供給ファン221は、ファン222と、ファン222を回転させるモータ223とを含む。また、供給ダクト220には、栽培室2内の植物に対応する位置に複数の放出口224が形成される。
【0046】
放熱機20は、筐体300内に、第2熱交換器301と、第2熱交換器301を冷却するための冷却ファン302を備える。第2熱交換器301には、熱源機10側から延びる往き管108と戻り管109が接続される。冷却ファン302は、ケーシング303と、ケーシング303内に配置されるファン304と、ファン304を回転させるモータ305とを含む。
【0047】
CO2供給装置1は、CO2供給運転を行う。CO2供給運転では、熱源機10において、燃焼ファン114が動作し、給気ダクト118を通じて外部から取り込まれた空気が、缶体101内の燃焼器102に供給される。燃焼器102には、供給ポンプ105の動作によって、燃料タンクから供給管104を通じて燃料が供給される。供給された燃料が気化ヒータ106により気化され、イグナイタ107による点火が行われると、燃焼器102が着火して燃焼する。燃焼器102の燃焼により、CO2を含む高温の燃焼ガスが発生する。
【0048】
燃焼ガスは、缶体101内を下方へ流れ、第1熱交換器103を通過する際に一次冷却される。具体的には、循環ポンプ110が動作し、第1熱交換器103と、往き管108と、放熱機20側の第2熱交換器301と、戻り管109との間で水が循環する。第1熱交換器103を通過する燃焼ガスと第1熱交換器103内を流れる水との間で熱交換が行われ、燃焼ガスが冷却される。冷却された燃焼ガスは、排気ダクト119内を流れて、排気口119aからダクトフード210内へ排出される。
【0049】
ダクトフード210内へ排出された燃焼ガスは、供給ダクト220に流入する前に、二次冷却される。具体的には、燃焼ガスは、側壁213a~213dに設けられる開口部214a~214dを通じてダクトフード210内に流入した空気と混ざり合うことで、温度がさらに低下する。温度が低下した燃焼ガスは、ダクトフード210の天壁212に設けられている出口210aから供給ダクト220に流入し、放出口224から植物の周囲に放出される。これにより、燃焼ガスに含まれるCO2が植物に供給される。この際、供給ダクト220で供給ファン221が動作するため、ダクトフード210内に排出された燃焼ガスが供給ダクト220内に取り込まれやすくなり、放出口224から放出されやすくなる。
【0050】
なお、栽培室2には、複数の畝が設けられ、各畝に植物が植えられ得る。よって、各畝の植物にCO2が行き渡るよう、供給ダクト220は、複数のダクトに分岐し、分岐したダクトが各畝に配置されるとよい。この場合、供給ファン221は、供給ダクト220における分岐位置よりも上流側(ダクトフード210側)に設けられ、分岐したダクトに放出口224が形成される。
【0051】
放熱機20では、燃焼ガスとの熱交換で温まり往き管108を流れてきた水が第2熱交換器301へ流入する。冷却ファン302が動作し、冷却風が第2熱交換器301に送られる。第2熱交換器301内を流れる水と冷却風との間で熱交換が行われ、水が冷却される。冷却された水は、戻り管109を通って熱源機10へと戻る。
【0052】
このように、CO2供給装置1では、熱源機10内で冷却された燃焼ガス、即ち、CO2が栽培室2内に放出されるため、栽培室2内が高温になりにくい。
【0053】
図3は、CO
2供給装置1の構成を示すブロック図である。
【0054】
熱源機10は、
図2の構成の他、制御部401と、記憶部402と、燃焼ファン駆動部403と、供給ポンプ駆動部404と、ヒータ駆動部405と、イグナイタ駆動部406と、循環ポンプ駆動部407と、供給ファン駆動部408と、を備える。
【0055】
制御部401は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部401には、温度センサ215で検出された燃焼ガスの温度に基づく温度信号が入力される。制御部401は、記憶部402に記憶されたプログラムに従って、燃焼ファン駆動部403、供給ポンプ駆動部404、ヒータ駆動部405、イグナイタ駆動部406、循環ポンプ駆動部407、および供給ファン駆動部408を制御する。記憶部402は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部401の制御プログラムを記憶し、また、制御部401の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0056】
燃焼ファン駆動部403は、制御部401からの制御信号に従って、燃焼ファン114(モータ117)を駆動する。供給ポンプ駆動部404は、制御部401からの制御信号に従って、供給ポンプ105を駆動する。ヒータ駆動部405は、制御部401からの制御信号に従って、気化ヒータ106を駆動する。イグナイタ駆動部406は、制御部401からの制御信号に従って、イグナイタ107を駆動する。循環ポンプ駆動部407は、制御部401からの制御信号に従って、循環ポンプ110を駆動する。供給ファン駆動部408は、制御部401からの制御信号に従って、供給ファン221を駆動する。
【0057】
放熱機20は、
図2の構成の他、制御部501と、記憶部502と、ファン駆動部503と、を備える。
【0058】
制御部501は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備える。制御部501は、記憶部502に記憶されたプログラムに従って、ファン駆動部503を制御する。記憶部502は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部501の制御プログラムを記憶し、また、制御部501の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0059】
ファン駆動部503は、制御部501からの制御信号に従って、冷却ファン302(モータ305)を駆動する。たとえば、ファン駆動部503は、モータ305に供給する電流を調整する。
【0060】
CO2供給装置1では、熱源機10の制御部401と放熱機20の制御部501が協働してCO2供給運転に係る制御処理を実行する。このため、制御部401と制御部501は、CO2供給運転に関して、1つの制御部を構成するということができる。
【0061】
図4(a)は、ダクトフード210の構成を示す斜視図である。
図4(b)は、
図4(a)で示したダクトフード210の一部分解斜視図である。
図4(c)は、天壁212が除かれた状態のダクトフード210の平面図である。
【0062】
図4(a)、(b)に示すように、ダクトフード210は、方形の箱状を有し、平面視において、Y軸方向の寸法が、X軸方向よりも大きくされている。ダクトフード210は、それぞれが方形状の、ベース211と、天壁212と、4つの側壁213a~213dとから構成される。各側壁213a~213dには、それぞれ、方形状の開口部214a~214dが設けられる。
【0063】
開口部214a~214dのそれぞれには、通気性を有するカバー部材216を保持した方形状の枠体217が嵌められ、枠体217と側壁213a~213dとがネジ等で固定される。開口部214a~214dにカバー部材216を設けることにより、開口部214a~214dを通じてダクトフード210内に流入する空気から埃や塵等を除去することができる。また、ダクトフード210内に虫等が侵入することを防ぐ。なお、
図4(a)、(b)では、説明の便宜上、カバー部材216の目は大きく図示されているが、これより小さい目のカバー部材216を使用することができる。また、カバー部材216は、たとえば、フィルタや網等を用いることができる。
【0064】
また、4つの開口部214a~214dのうち、X軸方向において対面する開口部214aと開口部214c、およびY軸方向において対面する開口部214bと開口部214dとは、開口部の形状および面積が同一であるよう設計されている。
【0065】
図4(c)に示すように、ベース211には、円筒状の給気口118aおよび排気口119aが、長手方向であるY軸方向に並ぶように配置される。X軸方向において、給気口118aは、中央よりも側壁213a側に位置し、排気口119aは、中央よりも側壁213c側に位置する。即ち、給気口と排気口は、X軸方向にずれた状態にある。また、
図4(c)の一点鎖線で示されているように、天壁212において、供給ダクト220に繋がる出口210aは、X軸方向の中央の位置であって、Y軸方向の中央よりも排気口119a側の位置に設けられる。Z軸方向(上下方向)において、出口210aは、少なくとも一部が排気口119aの開口部分と重なる。一方、出口210aは、給気口118aの開口部分とは重ならない。
【0066】
図4(a)、(b)および
図5(a)、(b)に示すように、側壁213a~213dのうち、側壁213aの開口部214aは、その高さ位置を、対面する側壁213cの開口部214cの高さ位置に対して上方へずらすことにより、他の側壁213b~213dのそれぞれに設けられている開口部214b~214dよりも天壁212側(天壁212の近く)にまで開口している。側壁213aは、
図4(c)に示すように、給気口118aに最も近い側壁である。このように、開口部214aが、開口部214b~214dよりも、天壁212側にまで開口するように側壁213aに設けられる理由について、
図5(a)、(b)を参照して説明する。
【0067】
図5(a)、(b)は、ダクトフード210内における空気および燃焼ガスの流れを説明するための模式図である。
図5(a)は、供給ファン221が正常に作動している場合であり、
図5(b)は、供給ファン221に不具合が生じている場合である。ここで、「供給ファン221が正常に作動している場合」とは、供給ファン221が供給ダクト220に燃焼ガスを滞りなく取り込めるように設定された送風量で作動している状態を意味する。「供給ファン221に不具合が生じている場合」とは、供給ファン221に設定された送風量が減少し、供給ダクト220に燃焼ガスを取り込みにくくなった状態を意味する。また、
図5(a)、(b)において、空気の流れは、実線の矢印で示され、燃焼ガスの流れは、破線の矢印で示される。なお、
図5(a)、(b)では、便宜上、開口部214a、214cの範囲が破線で囲われている。
【0068】
燃焼器102による燃焼量が一定であり、供給ファン221が正常に作動している場合、燃焼器102により生成された燃焼ガスは、所定の流速で排気ダクト119を流れ、排気口119aから排出されると、ダクトフード210内で4つの開口部214a~214dから取り込まれた空気と混合されて二次冷却され、供給ダクト220へ流れる。燃焼ガスは、排気ダクト119を流れていたときの勢いを保った状態で排気口119aから排出されるため、ダクトフード210の上方へ流れやすい。よって、
図5(a)に示すように、供給ファン221が正常に作動している場合、排気口119aから排出された燃焼ガスは、滞りなく供給ダクト220に流れる。
【0069】
給気口118aは、開口部214a~214d、特に、給気口118aに最も近い開口部214aからダクトフード210内に流入した空気を取り込む。
【0070】
このように、供給ファン221が正常に作動している場合、燃焼ガスは円滑に供給ダクト220へ流れ、給気口118aは、燃焼ガスの生成に必要な空気を取り込む。
【0071】
これに対し、供給ファン221に何らかの原因により不具合が生じた場合、
図5(b)に示すように、空気および燃焼ガスの流れは、
図5(a)に示したときとは異なる。
【0072】
まず、供給ファン221に不具合が生じた場合でも、燃焼器102により一定量の燃焼ガスが生成され、燃焼ガスは排気ダクト119を通って排気口119aからダクトフード210に排出される。しかし、供給ファン221は、送風量が減少しているため、排出された燃焼ガスを供給ダクト220に取り込みきれず、燃焼ガスの一部は、開口部214a~214dから漏れ出る。
【0073】
一方、給気口118aは、供給ファン221に不具合が生じた場合であっても、燃焼器102に空気を供給するため、継続してダクトフード210内に流入した空気を取り込んでいる。上記したとおり、排気口119aから排出された燃焼ガスは、上方へ流れやすい。
【0074】
本実施の形態では、側壁213aにおいて、開口部214aが他の開口部214b~214dよりも上方に延びている。このため、側壁213aの方に流れた燃焼ガスは、給気口118aのより上方を通過して、開口部214aからダクトフード210外へ流れやすくなる。これにより、側壁213aの方に流れた燃焼ガスが、空気と同様に給気口118aに取り込まれることを抑制できる。
【0075】
また、
図5(a)、(b)に示すように、4つの側壁213a~213dのうち、排気口119aに最も近い側壁213bの開口部214bの上の内壁面において、水平に内壁面に沿う方向(X軸方向)における排気口119aよりも給気口118a側の位置には、温度センサ215が設けられる。
【0076】
供給ファン221に不具合が生じて供給ダクト220への吸込力が低下した場合、排気口119aから排出された燃焼ガスの一部が、排気口119aに最も近い側壁213bに沿うように上方へ流れやすくなる。このときの燃焼ガスは、外部の空気と混合されにくい(二次冷却されにくい)ので比較的に温度が高い。また、側壁213bに沿って上方へと流れる燃焼ガスは、給気口118aが空気を取り込む影響を受け、X軸方向において給気口118a側の方へと寄せられる傾向にある。
【0077】
上記のように、温度センサ215は、排気口119aに最も近い側壁213bの開口部214bの上の内壁面において、X軸方向における排気口119aよりも給気口118a側の位置に設けられている。このため、供給ファン221に不具合が生じたときの正常時よりも高温となった燃焼ガスの温度を温度センサ215によって良好に測定できる。よって、温度センサ215を用いて供給ファン221の不具合を良好に検出できる。
【0078】
図6は、制御部401による熱源機10側でのCO
2供給運転に係る制御処理を示すフローチャートである。
図6では、「スタート」は、CO
2供給装置1に設けられた運転開始ボタン(図示せず)が操作されることにより、CO
2供給運転が開始された時点である。CO
2供給運転が開始されると、制御部401は、CO
2を発生させるため、燃焼ファン114および循環ポンプ110を作動させる。さらに、制御部401は、供給ポンプ105、気化ヒータ106およびイグナイタ107の作動により燃焼器102を着火させて燃焼させるとともに、供給ファン221を作動させる(S101)。上述の通り、熱源機本体11内でCO
2を含む燃焼ガスが発生し、その燃焼ガスが冷却された後に供給ダクト220から栽培室2内に放出され、栽培室2内の植物にCO
2が供給される。次に、制御部は、温度センサ215の検出温度が所定温度を超えたか否かを判定する(S102)。運転開始当初は、検出温度が所定温度を超えない(S102:NO)。よって、制御部401は、CO
2供給運転の終了操作があるまで(S103:NO)、温度センサ215の検出温度を監視する。
【0079】
上述したように、供給ファン221の不具合が発生すると、正常時よりも高温の燃焼ガスが温度センサの位置を流れやすくなるので、温度センサ215の検出温度が所定温度を超える。ステップS102において、検出温度が所定値を超えた場合(S102:YES)、何らかの原因により、供給ファン221に不具合が生じていると判断できる。そのため、制御部401は、CO2供給運転を中止するため、燃焼ファン114、循環ポンプ110、燃焼器102および供給ファン221を停止させる(S104)。これにより、燃焼器102で燃焼不良による一酸化炭素やスス等が生成されることを防ぐことができる。
【0080】
また、CO2供給運転中に終了操作があると(S103:YES)、制御部401は、燃焼ファン114、循環ポンプ110、燃焼器102および供給ファン221を停止させる(S104)これにより、CO2供給運転が終了する。
【0081】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0082】
図4(a)~(c)、
図5(b)に示すように、給気口118aに最も近い側壁213aに設けられている開口部214aを、他の側壁213b~213dに設けられている開口部214b~214dよりも天壁212の近くまで開口するよう構成されている。また、排気ダクト119を流れてきた勢いにより、燃焼ガスが排気口119aから排出されると、ダクトフード210内を上方に流れやすい。このため、供給ファン221に不具合が生じた場合、供給ダクト220に取り込まれなかった燃焼ガスのうち、給気口118aに最も近い側壁213aの方に流れた燃焼ガスは、給気口118aのより上方を通過して、開口部214aからダクトフード210外へ流れる。これにより、給気口118aは、燃焼ガスを引き込みにくい。よって、給気口118aに取り込まれる燃焼ガスの量を抑制できる。その結果、燃焼器で燃焼不良が生じ、一酸化炭素やスス等が生じる虞を低減できる。
【0083】
ここで、上記したとおり、供給ファン221が正常に作動している場合、排気口119aから排出された燃焼ガスは、ダクトフード210内を上方に流れやすい。このため、給気口118aに最も近い開口部214aだけでなく、開口部214b~214dも、側壁213b~213dにおいて天壁212側に近づくよう開口部を設ければ、給気口118aに引き込まれる燃焼ガスの量を、より抑制することができると考えられる。
【0084】
仮に、全ての側壁213a~213dに設けられる開口部214a~214dを天壁212の近くまで開口するよう設けた場合、燃焼ガスの整流効果が低減する。これにより、供給ファン221が正常に作動している場合でも、開口部214a~214dから燃焼ガスが漏れ出てしまう。この場合、供給ダクト220に流入する燃焼ガスの量が減少するため、栽培室2内に植物の育成に必要なCO2ガスを安定して供給することが困難である。
【0085】
これに対して、本実施の形態では、
図5(a)、(b)に示すように、給気口118aに最も近い側壁213aの開口部214aのみが天壁212の近くまで開口するよう構成されているので、供給ファン221が正常に作動している場合、燃焼ガスは供給ダクト220に滞りなく取り込まれ、栽培室2内へ供給される。
【0086】
また、温度センサ215は、排気口119aに最も近い側壁213bの開口部214bの上の内壁面において、水平に内壁面に沿う方向における排気口119aよりも給気口118a側の位置に設けられる。このような位置に温度センサ215を設ければ、正常時よりも高温となった燃焼ガスの温度を適切に検出することできる。よって、温度センサ215を用いて供給ファン221の不具合を良好に検出できる。
【0087】
さらに、
図6に示すように、温度センサ215により所定値以上の温度が検出された場合、燃焼器102の動作が停止されるので、燃焼器102が燃焼不良を起こすことを防ぐことができる。
【0088】
さらに、
図4(a)、(b)に示すように、開口部214a~214dには、それぞれ、カバー部材216が嵌められる。カバー部材216は、たとえば、網やフィルタ等を用いることができる。カバー部材216を開口部214a~214dに嵌めることにより、空気中の埃や塵等を除去することができる。また、ダクトフード210内への虫等の侵入を防ぐことができる。
【0089】
さらに、
図4(a)、(b)に示すように、開口部214a~214dのうち、対面する開口部214a、214cは、それぞれの側壁213a、213cにおいて、筐体100の天面100aからの高さ位置は異なるが、開口の大きさが同一であるよう設計されている。これにより、開口部214a、214cのそれぞれに嵌められるカバー部材216は、形状および面積が同一のものを使用できる。なお、開口部214a~214dの全ての大きさを同一に構成してもよい。
【0090】
<変更例>
上記実施の形態では、供給ダクト220の放出口224と離れた位置に、植物の周囲のCO2濃度を検出するためのCO2濃度センサを設けてもよい。この場合、CO2供給運転が開始されると、熱源機10では、制御部401は、CO2濃度センサで検出されたCO2濃度を取得する。CO2濃度センサが検出した濃度が、植物の育成に必要な最小限のCO2濃度(第1濃度)以下であった場合、制御部401は、CO2を発生させるため、燃焼ファン114および循環ポンプ110を作動させる。さらに、制御部401は、供給ポンプ105、気化ヒータ106およびイグナイタ107の作動により燃焼器102を着火させて燃焼させるとともに、供給ファン221を作動させる。
【0091】
さらに、CO2濃度センサを設けられる場合、検出されたCO2濃度が、植物の育成に必要なCO2が満たされたと判断できる濃度を超えた場合、これ以上、CO2を発生させる必要がないため、制御部401は、一旦、CO2供給運転を終了する。制御部401は、終了操作がなされない場合、再び、CO2濃度が第1濃度以下となるまで待機する。
【0092】
さらに、上記実施の形態では、排気ダクト119の上方に、燃焼ガスに含まれるCO(一酸化炭素)の濃度を検出するためのCO濃度センサを配置してもよい。この場合、CO濃度センサが所定値以上のCO濃度を検出したときに、たとえば、アラームを鳴らして周辺に報知するようにCO2供給装置1を構成できる。あるいは、CO2供給装置1の運転を終了させるようにCO2供給装置1を構成してもよい。
【0093】
さらに、ダクトフードのベースにおける給気口と排気口との配置位置は、上記実施の形態の配置位置に限定されない。たとえば、給気口と排気口とが、ベースのX軸方向における中央であってY軸方向に並ぶように配置されてもよい。
【0094】
さらに、上記実施の形態では、側壁213aが給気口118aに最も近いため、この側壁213aの開口部214aが、他の開口部214b~214cより上方まで開口する構成とされた。しかしながら、給気口118aの配置位置が変更され、たとえば、側壁213dが給気口118aに最も近くなった場合は、この側壁213dの開口部214dが、他の開口部214a~214cより上方まで開口することとなる。同様に、温度センサ215が設けられる側壁も、排気口119aの位置が変更されれば、それに合わせて変更され得る。
【0095】
さらに、上記実施の形態では、開口部214aは、開口部214cとは同一の大きさであるが、ダクトフードのベース、即ち筐体の天面からの高さ位置が開口部214cより高くされることで、開口部214cよりも上方まで開口する構成とされた。しかしながら、開口部214aは、開口部214cとはベースからの高さ位置が同一であるが、開口部214cよりも大きくされることで、開口部214cよりも上方まで開口する構成とされてもよい。
【0096】
さらに、上記実施の形態では、温度センサ215の検出温度が所定温度を超えると、燃焼器102が停止された。しかしながら、たとえば、検出温度が所定温度を超えると、供給ファン221の回転数が増加され、それでも検出温度が所定温度を超える状態が続いたときに、燃焼器102が停止されるような構成とされてもよい。また、検出温度が所定温度を超えると、スピーカからのビープ音や音声、表示部での表示による報知が行われるようにしてもよい。
【0097】
このような検出温度が所定温度を超えたときの異常に対する所定の処理として、燃焼器の停止の他、種々の動作が行われてもよい。
【0098】
さらに、上記実施の形態では、燃焼器102の燃料が灯油等の液体燃料であったが、プロパンガスなどの気体燃料であってもよい。
【0099】
なお、本発明の実施形態に係るCO2供給装置1は、供給ダクト220と供給ファン221とがダクトユニット12に含まれていたが、本発明の実施形態に係るCO2供給装置1は、供給ダクト220と供給ファン221とを含まない構成としてもよい。
【0100】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 CO2供給装置
2 栽培室
100 筐体
100a 筐体の天面
102 燃焼器
118 給気ダクト
118a 給気口
119 排気ダクト
119a 排気口
210 ダクトフード
210a 出口
212 ダクトフードの天壁
213a~213d ダクトフードの側壁
214a~214d 開口部
215 温度センサ
216 カバー部材
220 供給ダクト
221 供給ファン
401 制御部
501 制御部