(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】水底または海底を掘削するための発破システムおよび発破方法
(51)【国際特許分類】
F42D 1/04 20060101AFI20221109BHJP
F42D 1/05 20060101ALI20221109BHJP
F42B 3/00 20060101ALI20221109BHJP
E21C 50/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F42D1/04
F42D1/05
F42B3/00
E21C50/00
(21)【出願番号】P 2018247621
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田崎 陽治
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-148100(JP,A)
【文献】特開昭48-020302(JP,A)
【文献】国際公開第2017/183662(WO,A1)
【文献】特開昭61-205799(JP,A)
【文献】特開昭59-176600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42D 1/04
F42D 1/05
F42B 3/00
E21C 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底または水底を掘削するための発破システムであって、
海底または水底に装填される爆薬筒と、
前記爆薬筒に接合される充電起爆装置と、
海上または水上から指令信号を発信する発破制御機と、
前記発破制御機と前記充電起爆装置を連結する母線とを有し、
前記充電起爆装置は、前記発破制御機からの前記指令信号に基づいて無線で電力を供給する給電通信機と、前記給電通信機から無線で供給された電力を充電する蓄電機と、前記蓄電機に充電された電力に基づいて前記爆薬筒を起爆させる電気雷管を有し、
前記母線の途中に中継機が設けられ、
前記母線は、前記発破制御機と前記中継機を連結する制御母線と、前記中継機と前記爆薬筒を連結する発破母線を有する発破システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発破システムであって、
前記中継機は、電源を備え、前記電源の電力を前記充電起爆装置に前記発破母線を通じて供給する発破システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発破システムであって、
前記制御母線は、前記発破制御機からの前記指令信号を光信号として伝える光ファイバーを有し、
前記中継機は、前記光信号を電気信号に変換する給電側光電変換通信回路を有する発破システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の発破システムであって、
前記充電起爆装置は、通知信号を送信する送信回路を有し、
前記中継機は、前記発破母線を通じて受信した前記通知信号である電気信号を光信号に変換する受信側光電変換通信回路を有し、
前記制御母線は、前記中継機から前記通知信号を光信号として前記発破制御機へ伝える光ファイバーを有する発破システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の発破システムであって、
前記中継機は、前記中継機に挿入された前記発破母線の端部に係合するコネクターを有する発破システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の発破システムであって、
複数の前記爆薬筒を有し、
前記発破母線は、複数の前記爆薬筒を直列で連結する発破システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の発破システムであって、
前記中継機には、前記発破制御機からの前記指令信号に基づいて前記発破母線を前記中継機から切り離す母線切離機を有する発破システム。
【請求項8】
請求項7に記載の発破システムであって、
前記母線切離機は、前記発破母線を切断するための母線切離用雷管と、前記母線切離用雷管によって起爆する母線切離用爆薬を有する発破システム。
【請求項9】
海底または水底に装填される爆薬筒を起爆させるための充電起爆装置と、海上または水上から指令信号を発信する発破制御機と、前記充電起爆装置と前記発破制御機を中継機を介して連結する母線を有する発破システムにおける発破方法であって、
前記発破制御機が前記指令信号を前記母線を経由して前記充電起爆装置に向けて発信し、前記中継機が前記指令信号に基づいて前記母線を前記中継機から切断する切断時間を記憶し、
前記充電起爆装置が前記指令信号に基づいて起爆時間を記憶し、
前記中継機が前記切断時間において前記中継機に設けられた母線切離機を用いて前記中継機から前記母線を切断し、
前記中継機を爆発範囲から離脱する退避時間が経過した後である前記起爆時間において前記充電起爆装置が前記爆薬筒を起爆させる発破方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水底または海底を掘削するための発破システムおよび発破方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本は国土面積の12倍を超える管轄海域を有し、その管轄海域に鉱物資源が埋蔵されている。近年、鉱物資源の調査が深海底においても進められており、海底における鉱物資源の採掘方法の開発も進展している(非特許文献1)。その状況において経済性の良い爆薬を用いた発破技術が模索されている。
【0003】
特許文献1には、深海底鉱物資源を発破により採掘する方法が開示されている。深海底鉱物資源の所定範囲に複数の発破孔を穿孔し、発破孔に火薬カートリッジを装填する。火薬カートリッジは、超音波によって無線で爆薬を起爆させる起爆素子筒を備える。母船から海中に送信器が吊り下げられ、送信器から超音波による信号が発せられる。起爆素子筒が信号を受信して火薬カートリッジを起爆する。これにより海底の発破作業が行われる。
【0004】
特許文献2には、海底に設けられた点火装置に無線で電力を供給する装置が開示されている。該装置は、海上に設置されたループアンテナを有し、ループアンテナが海中に電磁波を送信する。点火装置は、アンテナコイルと、発火用コンデンサー回路と、点火回路を蓄える。アンテナコイルがループアンテナからの電磁場を受けて電流を発生させる。アンテナコイルで発生した電流が発火用コンデンサー回路に充電される。発火用コンデンサー回路に充電された電力を用いて点火回路が爆薬を起爆させる。
【0005】
特許文献3には、地上における発破作業に用いられる電気雷管が開示されている。電気雷管は有線で電源と接続されている。起爆前に必要に応じて電力が電源から有線を介して雷管に供給される。この電力を用いて電気雷管が爆薬を起爆させる。
【0006】
特許文献4には、地上におけるトンネルの掘削に用いられる無線起爆装置が開示されている。起爆装置は、切羽面の孔に装填された起爆雷管と、起爆雷管に無線で電力を供給する送信アンテナを有する。送信アンテナは、トンネルの洞床、洞壁、洞天井に沿って張り巡らされる。送信アンテナに電流が流されることで、電場または磁場が発生する。起爆雷管は、電場または磁場を受けることで電流を発生する受信コイルと、受信コイルからの電流を蓄える蓄電部を有する。蓄電部に蓄えられた電流を利用して電気雷管が爆薬を起爆する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-96075号公報
【文献】特開昭49-21627号公報
【文献】特開2010-270950号公報
【文献】国際公開2017/183662号
【非特許文献】
【0008】
【文献】戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画) 研究開発計画 内閣府,2018年4月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述する特許文献1,2,4に開示された起爆雷管において、充電用の電波は、海中(水中)で減衰し難いものとするため、長波長の電磁波を発するループ状の送信アンテナが使用される。しかし長波長の電磁波を発生させるループ状のアンテナは、大規模であり、設置が容易でなかった。
【0010】
特許文献3に開示された電気雷管を海中(水中)で使用しようする場合、電気雷管と電源を有線で繋いでから海中に投入することが考えられる。しかしこの場合、電気雷管に誤って電力が供給されるおそれがある。そこで電気雷管を設置した後に、電気雷管を電源と有線で結線することが考えられる。しかし海中で電気雷管と有線を結線することは容易でない。
【0011】
発掘作業を行う場所が、深海の海底であることもある。この場合、洋上の船に搭載された発破制御機と海底に設置される爆薬を起爆する電気雷管を含む起爆装置との距離が長くなる。そのため長距離の電線が必要になる、機材費が嵩む、あるいは発破制御機から起爆機に到達するまでに電力が減衰する等の問題が生じる場合もある。
【0012】
そのため発破制御機と起爆装置とを合理的に接続できる発破システムが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の1つの特徴は、海底または水底を掘削するための発破システムである。当該発破システムは、海底または水底に装填される爆薬筒と、爆薬筒に接合される充電起爆装置と、海上または水上から指令信号を発信する発破制御機を有する。発破制御機と充電起爆装置は、母線によって連結される。充電起爆装置は、給電通信機と蓄電機と電気雷管を有する。給電通信機は、発破制御機からの指令信号に基づいて無線で電力を供給する。蓄電機は、給電通信機から無線で供給された電力を充電する。電気雷管は、蓄電機に充電された電力に基づいて爆薬筒を起爆させる。母線の途中には中継機が設けられる。母線は、発破制御機と中継機を連結する制御母線と、中継機と爆薬筒を連結する発破母線を有する。
【0014】
したがって母線は、中継機によって制御母線と発破母線に分かれている。このため母線が洋上から水底または海底まで単一の長距離の構成となることを避けることができる。例えば制御母線と発破母線を材質が異なる線、あるいは性能が異なる線にすることができる。これにより発破制御機と起爆機を合理的に接続することができる。
【0015】
また充電起爆装置は、無線で電気雷管のための電力を供給する。したがって電気雷管に電力が誤って供給されることを抑制できる。また給電通信機を含む充電起爆装置は、爆薬筒に接合されており、給電通信機も爆薬筒に近接している。そのため給電のための無線の距離が短く、充電起爆装置を小型にすることができる。
【0016】
本開示の他の1つの特徴によると、中継機は、電源を備え、電源の電力を充電起爆装置に発破母線を通じて供給する。したがって電力は、洋上の発破制御機ではなく、中継機から充電起爆装置に供給される。そのため洋上から中継機まで電力を供給する必要がなくなり、これらを連結する制御母線に電力を供給するための電力線が不要になる。
【0017】
本開示の他の1つの特徴によると、制御母線は、発破制御機からの指令信号を光信号として伝える光ファイバーを有する。中継機は、光信号を電気信号に変換する給電側光電変換通信回路を有する。したがって制御母線は、光ファイバーであるため、電線よりも軽量であり、簡易な構造になる。さらに光ファイバーにおいて光信号が減衰しにくいために、発破制御機から充電起爆装置への信号をより正確に送信することができる。
【0018】
本開示の他の1つの特徴によると、充電起爆装置は、通知信号を送信する送信回路を有する。中継機は、発破母線を通じて受信した通知信号である電気信号を光信号に変換する受信側光電変換通信回路を有する。制御母線は、中継機から通知信号を光信号として発破制御機へ伝える光ファイバーを有する。したがって発破制御機は、通知信号を光信号で受信できる。したがって制御母線は、光ファイバーであるため、電線よりも軽量であり、簡易な構造になる。さらに光ファイバーにおいて光信号が減衰しにくいために、発破制御機から充電起爆装置への信号をより正確に送信することができる。
【0019】
本開示の他の1つの特徴によると、発破母線は、複数の爆薬筒を直列で連結する。したがって中継機と各爆薬筒を接続する複数の発破母線を有する形態に比べて、母線の全長を短くすることができる。
【0020】
本開示の他の1つの特徴によると、中継機は、中継機に挿入された発破母線の端部に係合するコネクターを有する。したがって水中においても中継機と発破母線を接続することができ、これにより作業性が向上する。あるいは電力供給が可能となる時期を遅らせることで、発破システムの設置作業の安全性が向上する。
【0021】
本開示の他の1つの特徴によると、中継機には、発破制御機からの指令信号に基づいて発破母線を中継機から切り離す母線切離機を有する。したがって中継機が発破作業の爆発に巻き込まれることを防止でき、中継機を回収できる。これにより中継機を繰り返し利用することができる。
【0022】
本開示の他の1つの特徴によると、母線切離機は、前記発破母線を切断するための母線切離用雷管と、母線切離用雷管によって起爆する母線切離用爆薬を有する。したがって起爆によって発破母線と中継機を比較的簡易な構造で切り離すことができる。
【0023】
本開示のもう1つの特徴は、発破システムにおける発破方法である。当該発破システムは、海底または水底に装填される爆薬筒を起爆させる充電起爆装置と、海上または水上から指令信号を発信する発破制御機を有する。充電起爆装置と発破制御機は、中継機を介して母線で連結される。発破制御機が指令信号を母線を経由して充電起爆装置に向けて発信する。中継機が指令信号に基づいて母線を中継機から切断する切断時間を記憶する。充電起爆装置が指令信号に基づいて起爆時間を記憶する。中継機が切断時間において中継機に設けられた母線切離機を用いて中継機から母線を切断する。中継機を爆発範囲から離脱する退避時間が経過した後である起爆時間において充電起爆装置が爆薬筒を起爆させる。
【0024】
したがって充電起爆機を用いて爆薬筒を起爆させる前に、中継機を発破作業の爆発影響範囲から退避させることで損傷を防止でき、中継機を回収できる。これにより中継機を繰り返し利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】海底または水底に設置された起爆筒体の斜視図である。
【
図6】発破システムにおける発破作業のフローチャートである。
【
図7】発破システムにおける発破作業の一部のフローチャートである。
【
図8】発破システムにおける発破作業の一部のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を用いて本発明の1つの実施形態を説明する。
図1に示すように発破システム1は、例えば深海33における海底35を爆薬による爆破によって掘削するために用いられる。深海33の深さは、例えば海表面34から海底35までの距離が1000~1500m程度である。
【0027】
図1に示すように発破システム1は、海表面34に浮かぶ母船32に設置される発破制御機3と、海底35に設置される複数の爆薬筒30と、各爆薬筒30に設けられる充電起爆装置2を有する。発破制御機3は、母線5,6によって充電起爆装置2に連結される。詳しくは、発破制御機3は、制御母線5によって中継機4に連結され、中継機4が発破母線6によって充電起爆装置2に連結される。複数の充電起爆装置2は、発破母線6によって直列で連結される。
【0028】
図1に示す母船32に載置された発破制御機3は、入力装置、表示装置、信号発生装置を有する。入力装置は、例えばキーボードやスイッチ、タッチパネル等を備える。表示装置は、例えばディスプレイや点灯・消灯をするランプ等を備える。作業者は、表示装置に表示された情報を確認しながら、入力装置を操作する。例えば表示部は、充電起爆装置2の状態等を表示する。作業者が入力装置を操作することで、信号発生装置が信号を制御母線5へ発信する。
【0029】
図1,2に示すように制御母線5は、発破制御機3からの信号を中継機4へ送信する送信用通信線5aを有する。さらに制御母線5は、中継機4からの信号を発破制御機3に送信するための受信用通信線5bを有する。通信線5a,5bは、例えば信号を光として通信する光通信線である。送信用通信線5aと受信用通信線5bは、被膜によって覆われることで保護されている。送信用通信線5aと受信用通信線5bは、例えば軽量でかつ信号が減衰しにくい光ファイバーである。制御母線5は、海底35近傍に位置する中継機4まで延出し、中継機4に挿通される。
【0030】
図1,2に示すように中継機4は、母線5,6を経由することで発破制御機3と充電起爆装置2間の信号の送受信を仲介する。さらに中継機4には、充電起爆装置2に必要な電力を供給する電源回路4cが設けられる。中継機4は、信号の送受信のために給電側光電変換通信回路4aと受信側光電変換通信回路4bを有する。光電変換通信回路4a,4bは、例えばフォトダイオード等の光電変換素子を有する。給電側光電変換通信回路4aは、光電変換素子を利用して制御母線5の送信用通信線5aからの光信号を電気信号に変換する。受信側光電変換通信回路4bは、発光素子を利用して発破母線6からの電気信号を光信号に変換して制御母線5の受信用通信線5bへ送信する。
【0031】
図2に示すように給電側光電変換通信回路4aと受信側光電変換通信回路4bは、電源回路4cと電気的に接続されており、電源回路4cの電源からの電力によって作動する。電源回路4cは、給電側光電変換通信回路4aからの信号に基づいて電力を発破母線6に供給する。そのための構成として電源回路4cは、電源回路4cの電源と発破母線6を接続・切断するスイッチと、給電側光電変換通信回路4aからの信号に基づいてスイッチを操作するCPUと、CPUを動かすプログラムを記憶するメモリを有する。したがって発破制御機3から指令信号が発せられることで、中継機4の電源から充電起爆装置2に電力が供給される。
【0032】
図2に示すように中継機4は、海底35を爆薬筒30によって爆破する前に中継機4から発破母線6を切り離す母線切離機4dを有する。発破制御機3から起爆信号(指令信号)が送信されると、起爆信号が給電側光電変換通信回路4aを経て電源回路4cのCPUに送られる。電源回路4cのメモリが起爆信号に基づいて母線切離機4dを作動するための母線切断時間(切断時間)を記憶する。CPUは、母線切断時間に達すると、母線切離機4dを作動させる。母線切断時間(切断時間)としては例えば60秒以上、300秒程度に設定することができる。
【0033】
図2に示すように母線切離機4dは、中継機4のケースの外側の発破母線6の端部に設けられる。母線切離機4dは、母線切離用雷管4hと母線切離用爆薬4gを有する。母線切離用雷管4hは、電源回路4cの電源と連結されており、母線切断時間において母線切離用雷管4hに電力を供給することで、母線切離用雷管4hが起爆し、母線切離用爆薬4gを爆破して発破母線6を断ち切り、中継機4を発破母線6から切り離す。中継機4を所定の場所まで引き上げた後に、爆薬筒30が海底35を爆破する。
【0034】
図2に示すように中継機4には、発破母線6を中継機4に接続するコネクター4iが設けられる。コネクター4iは、発破母線6が挿入されることで発破母線6に嵌合する爪等を有する。したがって作業者は、水中(海中)においても発破母線6を中継機に容易に接続できる。
【0035】
図2,4に示すように発破母線6は、中継機4から充電起爆装置2に向かって延伸される通信線6aと受信線6bと電源線6cを有する。通信線6aと受信線6bと電源線6cは、銅線などの通電線であって、耐水性及び耐水圧性を持つ被膜によって覆われる。通信線6aは、給電側光電変換通信回路4aからの信号を給電通信機7の給電回路7cに送るためにこれらに接続される。受信線6bは、給電通信機7の受信回路7fからの信号を受信側光電変換通信回路4bに送るためにこれらに接続される。電源線6cは、中継機4の電源から給電通信機7に電力を供給するためにこれらに接続される。
【0036】
図3,4に示すように充電起爆装置2は、電力を無線で発信する給電通信機7と、電力を無線で受信する受電機8を有する。給電通信機7は、各種部品を密閉する筒状の給電容器7aを有する。給電容器7aには水や海水が入り込むことを避けるために液状、ゲル状または固体状の充填物が充填される。充填物は、例えば油または樹脂であって電磁波が透過できる材料から構成される。給電容器7aの上端には、発破母線6が横方向に挿通される。
【0037】
図3,4に示すように給電通信機7は、発破母線6に電気的に接続される給電回路7cと、給電通信線7dによって給電回路7cと接続される給電コイル7eを有する。給電回路7cは、発破母線6の通信線6aから受信した電気信号に応じて、給電コイル7eに特定の電流または信号を発信する。
【0038】
図3,4に示すように給電コイル7eは、電力を無線で供給するために円環状に巻き回されたコイルを有する。コイルの巻き数は、1周以上で例えば10周以上である。給電コイル7eは、組付孔7bの外周に沿って巻き回されている。中継機4から供給された電流が給電回路7cを経て給電コイル7eに供給される。給電コイル7eに電流が流されることにより、給電コイル7eの周囲に電場または磁場が発生し、電磁波が発信される。給電コイル7eに特定の周波数、振幅、波長の電流が流れることで、給電コイル7eは、電場または磁場を発生させ、特定の電磁波を発信する。電磁波の周波数は、例えば100~500KHzである。
【0039】
図3,4に示すように給電通信機7は、発破母線6の受信線6bに電気的に接続される受信回路7fと、通信線7gによって受信回路7fと接続される受信アンテナ7hを有する。受信アンテナ7hは、受電機8から無線で発信された通信信号を受信するために、例えば円環状に巻き回されたコイルを有する。コイルの巻き数は、例えば1周以上である。受信アンテナ7hは、特定の電磁場に曝されることにより、特定の周波数、振幅、波長の電流が発生し、かかる電流を信号として受信できる。受信アンテナ7hは、給電コイル7eが発生させる電磁波と異なる周波数、例えば該電磁波よりも高周波の電磁場の受信に特化している。これにより給電コイル7eが発生させる電磁波と、受信アンテナ7hが受信する電磁波について差別化が図られる。受信アンテナ7hが受信可能な電磁波の周波数は、例えば100MHz以上1GHz以下である。
【0040】
図4に示すように給電容器7aの下部には、受電機8が嵌合される組付孔7bが設けられる。組付孔7bは、略円筒状であって下側に開口部を有し、下方から受電機8が嵌合される。組付孔7bの上方に受信アンテナ7hが配される。
【0041】
図4に示すように受電機8は、給電通信機7から無線で供給された電力を受信し、充電し、所定時間に爆薬筒30を爆発させる。受電機8は、筒状の本体部8aと、本体部8aより小径の勘合部8bを有する。勘合部8bは、筒状であって本体部8aと同軸上に位置し、本体部8aから給電通信機7に向けて突出する。受電機8の容器には、水や海水が入り込むことを避けるために液状、ゲル状または固体状の充填物が充填される。
【0042】
図3に示すように受電機8は、給電通信機7から無線で供給された電力を受信する受電コイル8fを有する。受電コイル8fは、円環状に巻き回されたコイルを有する。コイルの巻き数は、1周以上で例えば10周以上である。受電コイル8fは、電磁場に曝されることにより電流を発生させる。電流は起爆用、制御用の電力として用いられる。受電コイル8fは、特定の電磁場に曝されることにより、特定の周波数、振幅、波長の電流が発生し、かかる特定の電流を信号として受信することもできる。電磁波の周波数は、例えば100~500KHzである。受電コイル8fは、受電機8の勘合部8bが組付孔7bに挿入されることで、給電コイル7eの径方向内側に位置し、かつ給電コイル7eに近接される。
【0043】
図3に示すように受電機8は、給電通信機7に信号を発信するための送信アンテナ8cを有する。送信アンテナ8cは、例えば円環状に巻き回されたコイルを有する。コイルの巻き数は、例えば1周以上である。送信アンテナ8cは、送信アンテナ8cを構成するコイルに特定の周波数、振幅、波長の電流が流れることで、送信アンテナ8cは電場または磁場を発生させ、特定の電磁波を発信する。送信アンテナ8cは、受電コイル8fが受信する電磁波と異なる周波数、例えば該電磁波よりも高周波の電磁場の送信に特化している。これにより送信アンテナ8cが発生させる電磁波と、受電コイル8fが受信する電磁波について差別化が図られる。送信アンテナ8cが発信する電磁波の周波数は、例えば100MHz以上1GHz以下である。送信アンテナ8cは、受電機8の勘合部8bが組付孔7bに挿入されることで、受信アンテナ7hと同心上に配置され、かつ受信アンテナ7hに近接される。
【0044】
図4に示すように受電機8は、起爆側制御器10を有する。
図5に示すように起爆側制御器10は、受電コイル8fが無線で受信した電力を貯める蓄電部11と、受電コイル8fが受信した電波から所定の信号を検知する検出回路14を有する。蓄電部11は、起爆用蓄電部11aと制御用蓄電部11bを有する。起爆用蓄電部11a及び制御用蓄電部11bは、共に蓄電可能な蓄電デバイス(例えばコンデンサ等)を含む。起爆用蓄電部11a及び制御用蓄電部11bは、受電コイル8fで発生した電流および電力を蓄える。
【0045】
図5に示すように検出回路14は、受電コイル8fが受信した電波から所定の信号を検知して、制御回路13に信号を発信する。制御回路13は、検出回路14からの信号に基づいて起爆側制御器10の各種部品を制御するCPUと、CPUを動かすプログラムを記憶するメモリを有する。メモリには、予め受電機8(充電起爆装置2(
図4参照))固有のシリアルナンバーが記憶される。制御回路13は、発破制御機3からの指令信号に基づいて抵抗値測定回路18を作動させる。
【0046】
図5に示すように抵抗値測定回路18は、爆薬筒30を起爆させる電気雷管9が正常か否かを判定するために制御回路13と電気雷管9の間に設けられる。抵抗値測定回路18は、制御回路13の指示を受けて電気雷管9に微弱電流を流して電気雷管9の抵抗値を測定する。制御回路13は、電気雷管9の抵抗値が異常であると判断した際に放電回路12を作動させる。
【0047】
図5に示すように放電回路12は、電気雷管9が異常であると制御回路13が判断した際に蓄電部11に蓄電された電流を放電する。放電回路12は、制御回路13と電気雷管9の間に設けられる。放電回路12は、制御回路13からの指示に基づいて起爆用蓄電部11aと電気的に接続され、起爆用蓄電部11aに蓄えられた電力を発散させる。
【0048】
図5に示すように制御回路13は、電気雷管9が正常か異常かを送信回路15と送信アンテナ8cを介して給電通信機7に発信する。送信回路15は、制御回路13からの信号を受けて特定の周波数、振幅、波長の電流を発生して送信アンテナ8cに供給する。
【0049】
充電起爆装置2において起爆の準備が完了した後に、発破制御機3から起爆信号が発せられる。起爆信号が
図5に示すように受電コイル8fと検出回路14を経て制御回路13に送信される。制御回路13は、起爆信号に基づいてスイッチ回路16を操作する。スイッチ回路16は、蓄電部11と電気雷管9との間に介在する。スイッチ回路16は、制御回路13によって切断状態から接続状態になって起爆用蓄電部11aと電気雷管9を電気的に接続する。これにより起爆用蓄電部11aからの電力が電気雷管9に供給されて、爆薬筒30が爆発する。
【0050】
図1,3に示すように爆薬筒30は、筒状の爆発体であって、海底35に設けられた装填穴35aに装填される。爆薬筒30は、筒本体と、筒本体内に装填された爆薬を有する。筒本体は海水が入り込まないよう爆薬を密閉する。爆薬筒30の長手方向一端に充電起爆装置2が装着される。爆薬筒30は、例えば1つの爆薬、あるいは長手方向に直列に連結された複数の爆薬を含む。
【0051】
発破システム1を利用して海底35を爆破する発破方法のフローを
図6~8に従って説明する。先ず作業者は、
図5を参照するように発破の準備のために、発破制御機3を操作して発破制御機3から指令信号を発生させる(
図6のステップS1)。指令信号は、光信号である指令光信号として制御母線5(
図1,2参照)を介して中継機4に送信される。中継機4の給電側光電変換通信回路4aが指令光信号を電気信号に変換する(
図6のステップS2)。電気信号が発破母線6(
図1,2参照)を介して給電通信機7に送信される。電気信号に基づいて給電回路7cが給電用電流を送信する(
図6のステップS3)。給電用電流を受けた給電コイル7eが電磁波を発信する(
図6のステップS4)。
【0052】
図5に示すように受電コイル8fが電磁波を受信し、受電コイル8fが電流を発生させる。(
図6のステップS5)。電流が蓄電部11に流れ、起爆用蓄電部11aと制御用蓄電部11bが蓄電される(
図6のステップS6)。制御回路13は、起爆用蓄電部11aと制御用蓄電部11bの充電が完了したことを検知した際に、充電完了通知信号を送信する。制御回路13は、充電完了信号とともに予め記憶するシリアルナンバーを信号として送信する(
図6のステップS7)。送信回路15は、制御回路13から充電完了通知信号(および充電起爆装置2のシリアルナンバー)を受信し、電流に変換する(
図6のステップS8)。変換された電流が送信アンテナ8cに流れ、送信アンテナ8cが電磁波を発信する(
図6のステップS9)。
【0053】
図5に示すように受信アンテナ7hが送信アンテナ8cからの電磁波を受信し、受信アンテナ7hが電流を発生させる(
図6のステップS10)。受信回路7fが受信アンテナ7hからの電流を充電完了通知信号に変換し、増幅する(
図6のステップS11)。充電完了通知信号が発破母線6(
図1,2参照)を介して中継機4に送信される。受信側光電変換通信回路4bが充電完了通知信号を受け、充電完了通知信号を通知光信号に変換する(
図6のステップS12)。通知光信号が制御母線5(
図1,2参照)を介して発破制御機3に送信される。発破制御機3が通知光信号を受信する(
図6のステップS13)。発破制御機3の表示部がシリアルナンバーに基づく各受電機8の準備完了状態を表示する。作業者は、これにより各充電起爆装置2の起爆準備が完了したことを認識できる(
図6のステップS14)。
【0054】
図6に示すようにステップS6を行った後、ステップS7と並行して
図7に示すステップS30も行う。
図5を参照するように受電コイル8fからの電流を検出回路14が受信し、電流から信号を検出し(
図7のステップS30)、検出回路14が制御回路13に信号を送信する。その信号に基づいて制御回路13が抵抗値測定回路18に信号を送信する。抵抗値測定回路18は、制御用蓄電部11bに蓄えられた電力の一部を微弱電流として用いて電気雷管9の抵抗値を測定する(
図7のステップS31)。制御回路13が測定された抵抗値から電気雷管9に不具合が有るか無いかを確認する(
図7のステップS32)。不具合が無い場合、制御回路13が送信回路15に検査完了信号を送信する(
図7のステップS33)。
【0055】
図5を参照するように送信回路15から送信された検査完了信号が電流として送信アンテナ8cに送られる。送信アンテナ8cが検査完了信号を電磁波として発信する(
図7のステップS34)。受信アンテナ7hが電磁波を受信し、電流に変換する(
図7のステップS35)。受信回路7fが受信アンテナ7hからの電流を検査完了信号として受信する(
図7のステップS36)。受信回路7fが検査完了信号を送信し、受信側光電変換通信回路4bが検査完了信号を光信号に変換し、送信する(
図7のステップS37)。光信号は、制御母線5を介して発破制御機3に送信される。発破制御機3が検査完了の光信号を受信し(
図7のステップS38)、発破制御機3の表示部が検査完了の旨を表示する(
図7のステップS39)。
【0056】
ステップS39(
図7参照)とステップS14(
図6参照)が終了した後に、ステップS15の処理が行われる。すなわち発破制御機3の表示部に蓄電部11の充電が完了した旨(ステップS14)と、電気雷管9の検査完了の旨(ステップS39)が表示される。作業者は、これら表示を確認して発破制御機3の入力部を操作する。発破制御機3は、入力部の操作に基づいて起爆光信号を送信する(
図6のステップS15)。起爆光信号が制御母線5を介して中継機4に送信される。給電側光電変換通信回路4aが起爆光信号を電気信号に変換し、給電回路7cに向けて送信する(
図6のステップS16)。電気信号は、発破母線6を経由して給電通信機7に送信される。
【0057】
図5を参照するように給電回路7cが起爆信号を受信して電流に変換し、給電コイル7eに送信する(
図6のステップS17)。電流が流れることにより、給電コイル7eは電磁波として起爆信号を発信する(
図6のステップS18)。受電コイル8fが起爆信号を電磁波として受信し、電流を発生させる(
図6のステップS19)。検出回路14が受電コイル8fからの電流に基づいて起爆信号を検出する(
図6のステップS20)。起爆信号には、各シリアルナンバーに対応する起爆時間が含まれている。制御回路13は、対応するシリアルナンバーの起爆時間をメモリに記録する。制御回路13のタイマーが起爆時間に達した際に制御回路13がスイッチ回路16をON状態となる(
図6のステップS22)。なお起爆時間は、海底35を効率良く順次爆破するようにシリアルナンバー毎に相違している。
【0058】
図6に示すようにステップS16の後に、ステップS17と並行して、
図8に示すステップS25も行われる。すなわちステップS16において給電側光電変換通信回路4aが起爆光信号を電気信号に変換する。電気信号に基づいて中継機4が電源回路4cのメモリに母線切断時間を記録する(
図8のステップS25)。中継機4のタイマーが母線切断時間に達した際に電源回路4cが母線切離機4dの母線切離用雷管4hに電力を供給する。母線切離用雷管4hが母線切離用爆薬4gを起爆する(
図8のステップS26)。これにより発破母線6が中継機4から切断される。母船32に搭載された回収機を利用して制御母線5を回収する。制御母線5の回収によって中継機4が母船32に向けて回収される(
図8のステップS27)。中継機4が爆薬筒30の爆破力の影響の小さい場所まで離れた後にステップS22が行われる。すなわち起爆時間は、母線切断時間よりも遅く、その時間差において中継機4を爆薬筒30から遠ざける。起爆時間としては、例えば360秒以上、600秒程度に設定することができる。
【0059】
ステップS27(
図8参照)とステップS21(
図6参照)が終了した後に、制御回路13がスイッチ回路16をONにする(
図6のステップS22)。電気雷管9が起爆用蓄電部11aから電力を受けて(
図6のステップS23)電気雷管9が爆薬筒30を起爆する(
図6のステップS24)。
【0060】
図7のステップS32において電気雷管9に不具合が有ると制御回路13が判断した場合は、ステップS40以降のステップを行って、爆破作業を停止する。すなわち
図5を参照するように制御回路13が放電信号を放電回路12に送信する。(
図7のステップS40)。放電回路12が放電信号に基づいて起爆用蓄電部11aを放電させる(
図7のステップS41)。放電回路12が起爆用蓄電部11aの放電が終了した際に放電完了信号を制御回路13に送信する(
図7のステップS42)。放電完了信号には充電起爆装置2に対応するシリアルナンバーの情報も含まれる。
【0061】
図5を参照するように制御回路13が放電完了信号を送信回路15に送信し(
図7のステップS43)、送信回路15が放電完了信号を電流として送信アンテナ8cに送信する(
図7のステップS44)。送信アンテナ8cが放電完了信号を発信し(
図7のステップS45)、受信アンテナ7hが放電完了信号を受信する。受信回路7fが受信アンテナ7hからの電流に基づいて放電完了信号を抽出する(
図7のステップS46)。受信回路7fが放電完了信号を受信側光電変換通信回路4bに送信する(
図7のステップS47)。受信側光電変換通信回路4bが放電完了信号を光信号に変換し、送信する(
図7のステップS48)。発破制御機3が放電完了信号を光信号として受信し(
図7のステップS49)、発破制御機3の表示部が蓄電部11の電力を放電した旨および放電を行った充電起爆装置2のシリアルナンバーを表示する(
図7のステップS50)。これにより作業者は、特定のシリアルナンバーの電気雷管9に異常があったために蓄電部11の電力が放電されたことを知る。
【0062】
上述するように発破システム1が構成される。すなわち
図1に示すように発破システム1は、海底に装填される爆薬筒30と、爆薬筒30に接合される充電起爆装置2と、指令信号を発信する発破制御機3を有する。発破制御機3と充電起爆装置2は、母線(制御母線5及び発破母線6)によって連結される。
図4,5に示すように充電起爆装置2は、給電通信機7と蓄電機11と電気雷管9を有する。給電通信機7は、発破制御機3からの指令信号に基づいて無線で電力を供給する。蓄電機11は、給電通信機7から無線で供給された電力を充電する。電気雷管9は、蓄電機11に充電された電力に基づいて爆薬筒30を起爆させる。
図1に示すように母線の途中には中継機4が設けられる。母線は、発破制御機3と中継機4を連結する制御母線5と、中継機4と充電起爆装置2を連結する発破母線6を有する。
【0063】
したがって母線は、中継機4によって制御母線5と発破母線6に分かれている。このため母線が洋上から水底または海底まで単一の長距離の構成となることを避けることができる。例えば制御母線5と発破母線6を材質が異なる線、あるいは性能が異なる線にすることができる。これにより発破制御機3と充電起爆機2を合理的に接続することができる。
【0064】
図4に示すように充電起爆装置2は、無線で電気雷管9のための電力を供給する。したがって電気雷管9に電力が短絡等によって供給されることを抑制できる。また給電通信機7を含む充電起爆装置2は、爆薬筒30(
図3参照)に接合されており、給電通信機7も爆薬筒30に近接している。そのため給電のための無線の距離が短く、充電起爆装置2を小型にすることができる。
【0065】
図2に示すように中継機4は、電源(電源回路4c)を備え、電源の電力を充電起爆装置2に発破母線6を通じて供給する。したがって電力は、洋上の発破制御機3ではなく、中継機4から充電起爆装置2(
図1参照)に供給される。そのため洋上から中継機4まで電力を供給する必要がなくなり、これらを連結する制御母線5に電力を供給するための電力線が不要になる。
【0066】
図2に示すように制御母線5は、発破制御機3(
図1参照)からの指令信号を光信号として伝える光ファイバーを有する。中継機4は、光信号を電気信号に変換する給電側光電変換通信回路4aを有する。したがって制御母線5は、光ファイバーであるため、電線よりも軽量であり、簡易な構造になる。さらに光ファイバーにおいて光信号が減衰しにくいために、発破制御機3から充電起爆装置2への信号をより正確に送信することができる。
【0067】
図5に示すように充電起爆装置2は、通知信号を送信する送信回路15を有する。
図2に示すように中継機4は、発破母線6を通じて受信した通知信号である電気信号を光信号に変換する受信側光電変換通信回路4bを有する。制御母線5は、中継機4から通知信号を光信号として発破制御機3へ伝える光ファイバーを有する。したがって
図1を参照するように発破制御機3は、通知信号を光信号で受信できる。したがって制御母線5は、光ファイバーであるため、電線よりも軽量であり、簡易な構造になる。さらに光ファイバーにおいて光信号が減衰しにくいために、発破制御機3から充電起爆装置2への信号をより正確に送信することができる。
【0068】
図1に示すように発破母線6は、複数の爆薬筒30を直列で連結する。したがって中継機4と各爆薬筒30を並列で接続する複数の発破母線6を有する形態に比べて、母線の全長を短くすることができる。
【0069】
図2に示すように中継機4は、中継機4に挿入された発破母線6の端部に係合するコネクター4iを有する。したがって水中においても中継機4と発破母線6を接続することができ、これにより作業性が向上する。あるいは電力供給が可能となる時期を遅らせることで、発破システムの設置作業の安全性が向上する。
【0070】
図2に示すように中継機4には、発破制御機3(
図1参照)からの指令信号に基づいて発破母線6を中継機4から切り離す母線切離機4dを有する。したがって中継機4が発破作業の爆発に巻き込まれることを防止でき、中継機4を回収できる。これにより中継機4を繰り返し利用することができる。
【0071】
図2に示すように母線切離機4dは、発破母線6を切断するための母線切離用雷管4hと、母線切離用雷管4hによって起爆する母線切離用爆薬4gを有する。したがって起爆によって発破母線6と中継機4を比較的簡易な構造で切り離すことができる。
【0072】
図1に示すように発破システム1は、海底または水底に装填される爆薬筒30を起爆させる充電起爆装置2と、海上または水上から指令信号を発信する発破制御機3を有する。充電起爆装置2と発破制御機3は、中継機4を介して母線で連結される。発破制御機3が指令信号を母線を経由して充電起爆装置2に向けて発信する。中継機4が指令信号に基づいて母線を中継機から切断する切断時間を記憶する。充電起爆装置2が指令信号に基づいて起爆時間を記憶する。中継機4が切断時間において中継機に設けられた母線切離機4d(
図2参照)を用いて中継機4から母線(発破母線6)を切断する。中継機4を爆発範囲から離脱する退避時間が経過した後である起爆時間において充電起爆装置2が爆薬筒30を起爆させる。
【0073】
したがって
図1に示すように充電起爆機2を用いて爆薬筒30を起爆させる前に、中継機4を発破作業の爆発影響範囲から退避させることで損傷を防止でき、中継機4を回収できる。これにより中継機4を繰り返し利用することができる。
【0074】
発破システム1は、
図1に示すように海底35を爆破するために使用される。これに代えて発破システム1は、水を貯蓄する池、湖、河川などの水底を爆破するために使用されても良い。
【0075】
図2に示すように中継機4が給電側光電変換通信回路4aと受信側光電変換通信回路4bを有する。これに代えて給電側光電変換通信回路4aと受信側光電変換通信回路4bを各充電起爆装置2の給電通信機7に設ける。この場合、発破母線6を制御母線5と同様、光ケーブル等の光通信線にすることもできる。
【0076】
図2に示すように中継機4が給電側光電変換通信回路4aと受信側光電変換通信回路4bを有する。これに代えて中継機4が給電側光電変換通信回路4aと受信側光電変換通信回路4bを有していない構成でもよい。この場合は、制御母線5が発破母線6と同様、銅線等の通電線にする。そして制御母線5と発破母線6は、中継機4によって中継されるため、制御母線5と発破母線6の通電線を異なる材料から構成できる、あるいは異なる直径から構成できる。
【0077】
図2に示すように中継機4に電源(電源回路4c)が設けられている。これに代えて、各充電起爆装置2の給電通信機7内に電源を設けてもよい。この場合、中継機4と充電起爆装置2を連結する発破母線6に必要な通電線の本数を少なくすることができる。
【0078】
図2に示すように母線切離機4dは、発破母線6を切断するための母線切離用雷管4hと、母線切離用雷管4hによって起爆する母線切離用爆薬4gを有する。すなわち発破母線6を母線切離用爆薬4gの爆発力により寸断することで、発破母線6と中継機4を切り離す。これに代えて中継機4と発破母線6を自動的に切り離す他の構成を有していても良い。例えば、信号によって作動する電子スイッチをコネクター4iに設け、電子スイッチの作動によってコネクター4iから発破母線6を切り離す構成であっても良い。
【0079】
図2に示すように制御母線5は、二本の通信線(例えば光ファイバー)5a,5bを有する。これに代えて制御母線5を一本の通信線(例えば光ファイバー)で構成し、その一本で送受信が可能な構成としても良い。
【0080】
図1に示すように発破母線6は、複数の充電起爆装置2を直列に繋ぐ。これに代えて中継機4と各充電起爆装置2が各発破母線6で繋ぐ、すなわち中継機4と各充電起爆装置2を並列で繋ぐ構成でも良い。
【0081】
図4,5に示すように給電通信機7は受信回路7fと受信アンテナ7hを有する。これに代えて、給電通信機7が受信回路7fと受信アンテナ7hを有さない構成とすることもできる。
【0082】
図5に示すように受電機8には、起爆用蓄電部11aを放電させる放電回路12が設けられる。これに代えて受電機8は、放電回路12を有していなくても良い。この構造の場合、最初の充電の際に制御用蓄電部11bにのみ充電しても良い。そのうえで抵抗値測定回路18によって電気雷管9の抵抗値を確認し、異常がなければ起爆用蓄電部11aに蓄電を行っても良い。
【0083】
図5に示すように受電機8は、電気雷管9の不具合を確認するための抵抗値測定回路18を有する。これに代えて受電機8は、抵抗値測定回路18を有していなくても良い。
【0084】
図2に示すように中継機4は、母線切離機4dを有する。これに代えて中継機4は、母線切離機4dを有さない構成でも良い。
図2に示すように母線切離機4dは、発破母線6と中継機4の連結部を切断しても良いし、中継機4の近傍において発破母線6を切断しても良い。
【0085】
図1に示すように爆薬筒30は、海底35の装填穴35aに挿入される。これに代えて爆薬筒30は、海底35に存在する割れ目に挿入、あるいは海底35上に設置されても良い。
図1に示すように充電起爆装置2の一部が海底35の外に位置している。これに代えて充電起爆装置2の全部が海底35内に位置、あるいは全部が海底35の外に位置していても良い。
【符号の説明】
【0086】
1 発破システム
2 充電起爆装置
3 発破制御機
4 中継機
4a 給電側光電変換通信回路
4b 受信側光電変換通信回路
4c 電源回路(電源)
4i コネクター
5 制御母線(母線)
6 発破母線(母線)
9 電気雷管
11 蓄電機(蓄電部)
15 送信回路
30 爆薬筒
35 海底