(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】タイヤ用帯状部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/38 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B29D30/38
(21)【出願番号】P 2019003647
(22)【出願日】2019-01-11
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 裕也
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-257035(JP,A)
【文献】特開昭48-095479(JP,A)
【文献】特開2016-030395(JP,A)
【文献】特開昭62-179932(JP,A)
【文献】特開2017-003352(JP,A)
【文献】特開2017-003308(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0000824(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0087455(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のゴムシートと前記ゴムシートの端を覆うエッジゴムとを備えるタイヤ用帯状部材の製造方法であって、
(A)前記ゴムシートの端部に前記エッジゴムを貼り合わせ、前記ゴムシートの端より幅方向外向きに前記エッジゴムがはみ出す、はみ出し部を形成する工程、
(B)前記工程(A)の後に、前記はみ出し部を検知する工程、
(C)前記はみ出し部を前記ゴムシートの端で折り返し、前記エッジゴムで前記ゴムシートの端を覆う工程
及び
(D)前記工程(C)の後に、前記はみ出し部の有無を検知する工程を含む、タイヤ用帯状部材の製造方法。
【請求項2】
帯状のゴムシートと前記ゴムシートの端を覆うエッジゴムとを備える、タイヤ用帯状部材を製造する製造装置であって、
前記ゴムシートの端部に前記エッジゴムを貼り合わせ、前記エッジゴムが前記ゴムシートの端より幅方向外向きにはみ出す、はみ出し部を形成する、貼り合わせ装置と、
前記はみ出し部を前記ゴムシートの端で折り返して前記ゴムシートに貼り合わせる折り返し装置と、
前記貼り合わせ装置と前記折り返し装置との間で前記エッジゴムのはみ出し部を検知する第一センサーと、
前記折り返し装置から送り出される前記ゴムシートで前記はみ出し部の有無を検知する第二センサーと
を備える、帯状部材の製造装置。
【請求項3】
前記貼り合わせ装置が、前記ゴムシートに前記エッジゴムを押し当てる貼り合わせローラを含み、
前記折り返し装置が、前記はみ出し部を折り返す複数の折り返しローラを含む、請求項2に記載の帯状部材の製造装置。
【請求項4】
前記第一センサーが前記はみ出し部を挟んで対向して配置される、投光器と受光器とを備えており、
前記第二センサーが、前記ゴムシートの端より幅方向外で且つ前記ゴムシートの厚さ方向に前記ゴムシートを挟んで対向して配置される、投光器と受光器とを備える、請求項2又は3に記載の帯状部材の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの一部を形成する帯状部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、トレッドの半径方向内側に位置するベルトを備えている。このベルトは、タイヤの骨格を形成するカーカスを補強する。このベルトは、コードとコードを覆うトッピングゴムとを備える。このベルトは、幅方向端において剥離等の損傷を生じ易い。この損傷を抑制する観点から、ベルトの端部はカバーゴムで覆われている。このカバーゴムによって、ベルトの端での損傷が抑制される。特許文献1(特開平1-257035公報)では、カバーゴムで端部が覆われたベルトの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この端部を覆うカバーゴム(以下、エッジゴムともいう)はベルトの端を覆うため、ベルトの端部で折り返される。エッジゴムの折り返しが不十分なベルトを備えるタイヤは、耐久性に劣る。この様なタイヤは、廃棄される。このようなベルトは、タイヤの生産性を阻害する。
【0005】
本発明の目的は、エッジゴムの折り返し不良を生じた帯状部材の流出を抑制する、タイヤ用帯状部材の製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタイヤ用帯状部材の製造方法では、帯状のゴムシートと前記ゴムシートの端を覆うエッジゴムとを備える、タイヤ用帯状部材が製造される。
このタイヤ用帯状部材の製造方法は、
(A)前記ゴムシートの端部に前記エッジゴムを貼り合わせ、前記ゴムシートの端より幅方向外向きに前記エッジゴムがはみ出す、はみ出し部を形成する工程、
(B)前記工程(A)の後に、前記はみ出し部を検知する工程、
(C)前記はみ出し部を前記ゴムシートの端で折り返し、前記エッジゴムで前記ゴムシートの端を覆う工程
及び
(D)前記工程(C)の後に、前記はみ出し部の有無を検知する工程、を含む。
【0007】
本発明に係るタイヤ用帯状部材の製造装置では、帯状のゴムシートと前記ゴムシートの端を覆うエッジゴムとを備える、タイヤ用帯状部材が製造される。
この帯状部材の製造装置は、
前記ゴムシートの端部に前記エッジゴムを貼り合わせ、前記エッジゴムが前記ゴムシートの端より幅方向外向きにはみ出す、はみ出し部を形成する、貼り合わせ装置と、
前記はみ出し部を前記ゴムシートの端で折り返して前記ゴムシートに貼り合わせる折り返し装置と、
前記貼り合わせ装置と前記折り返し装置との間で前記エッジゴムのはみ出し部を検知する第一センサーと、
前記折り返し装置から送り出される前記ゴムシートで前記はみ出し部の有無を検知する第二センサーと、を備える。
【0008】
好ましくは、前記貼り合わせ装置は、前記ゴムシートに前記エッジゴムを押し当てる貼り合わせローラを含む。前記折り返し装置は、前記はみ出し部を折り返す複数の折り返しローラを含む。
【0009】
好ましくは、前記第一センサーは、前記はみ出し部を挟んで対向して配置される、投光器と受光器とを備える。前記第二センサーは、前記ゴムシートの端より幅方向外で且つ前記ゴムシートの厚さ方向に前記ゴムシートを挟んで対向して配置される、投光器と受光器とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るタイヤ用帯状部材の製造方法では、エッジゴムの貼り合わせ不良が検知される。エッジゴムに不良が生じた帯状部材の流出が抑制される。このタイヤ用帯状部材の製造方法は、タイヤの生産性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)は本発明の製造方法で製造されるベルト部材が示された平面図であり、
図1(B)はこのベルト部材の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の製造方法に用いられる製造装置の一部が示された説明図である。
【
図3】
図3(A)は
図2の製造装置に使用状態が示された説明図であり、
図3(B)は
図2の製造装置に他の使用状態が示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1(A)に示された本発明で製造方法で得られる帯状部材としてのベルト部材2の一部が示されている。
図1(A)において、左右方向がベルト部材2の長手方向であり、上下方向がベルト部材2の幅方向であり、紙面に垂直な方向がベルト部材2の厚さ方向である。
図1(B)には、
図1(A)の線分B-Bに沿ったベルト部材2の断面が、幅方向を左右方向にして示されている。
【0014】
このベルト部材2から、タイヤのベルトが形成される。このベルトは、トレッドの内側で、カーカスに積層されて、カーカスを保護する。タイヤの製造方法において、このベルト部材2とタイヤの他の各部を構成する部材とが組み合わされて、ローカバーが形成される。このローカバーがモールドで加硫される。この加硫によって、ローカバーからタイヤが得られる。このベルト部材2からベルトが形成される。
【0015】
このベルト部材2は、ゴムシート4及び一対のエッジゴム6を備えている。ゴムシート4は、帯状の形状を備えている。ゴムシート4は、多数のコード8とこれらのコード8を覆うトッピングゴム10とからなる。多数のコード8は、長手方向に傾斜してのびている。多数のコード8は、長手方向に所定の間隔で並んでいる。このコード8は、例えばスチールからなる。このトッピングゴム10は、例えば未加硫ゴムからなる。
【0016】
それぞれのエッジゴム6は、帯状の形状を備えている。エッジゴム6の幅はゴムシート4のそれより小さい。エッジゴム6の厚さはゴムシート4のそれより小さい。エッジゴム6は、ゴムシート4の端部4aを覆っている。エッジゴム6は、未加硫ゴムからなっている。
【0017】
図2には、ベルト部材2の製造装置12の一部が示されている。
図2には、ベルト部材2、ゴムシート4及び一対のエッジゴム6が共に示されている。
図2の矢印Xは製造装置12の前後方向前向きを表し、矢印Yは左右方向左向きを表し、矢印Zは上下方向上向きを表す。
【0018】
この製造装置12は、貼り合わせ装置14、折り返し装置16、圧着装置18、第一センサー20及び第二センサー22を備えている。この製造装置12は、更に、図示されない搬送装置、制御装置及び警報装置を備えている。
【0019】
貼り合わせ装置14は、一対の貼り合わせローラ24を備えている。それぞれの貼り合わせローラ24は、ローラ本体24a及びローラ本体24bを備えている。ローラ本体24a及びローラ本体24bは、それぞれ軸線を回転軸にして回転可能である。ローラ本体24aに軸線とローラ本体24bの軸線とは平行である。ローラ本体24aとローラ本体24bとは、その間にゴムシート4及び一対のエッジゴム6を挟む隙間を形成して配置されている。
【0020】
折り返し装置16は、複数の折り返しローラとして、一対の第一傾斜ローラ26、一対の第二傾斜ローラ28及び一対のテーパローラ30を備えている。それぞれの第一傾斜ローラ26は、ローラ本体26aを備えている。ローラ本体26aはその軸線を回転軸にして回転可能である。この軸線は、前後方向に垂直な断面において、左右方向に対して傾斜している。それぞれの第二傾斜ローラ28は、ローラ本体28aを備えている。ローラ本体28aはその軸線を回転軸にして回転可能である。この軸線は、前後方向に垂直な断面において、左右方向に対して傾斜している。このローラ本体28aの軸線の傾斜角度は、ローラ本体26aの軸線の傾斜角度と異なる。
【0021】
それぞれのテーパローラ30はローラ本体30aを備えている。ローラ本体30aの軸線は、上下方向に延在する。ローラ本体30aは、この軸線を回転軸にして回転可能である。このローラ本体30aの外周面30bは、上方から下方に向かって半径方向外向きに傾斜するテーパ面である。
【0022】
圧着装置18は、一対の圧着ローラ32を備えている。それぞれの圧着ローラ32は、ローラ本体32a及びローラ本体32bを備えている。ローラ本体32a及びローラ本体32bは、それぞれ軸線を回転軸にして回転可能である。ローラ本体32aの軸線とローラ本体32bの軸線とは平行である。ローラ本体32aとローラ本体32bとは、その間にゴムシート4及び一対のエッジゴム6を挟む隙間を形成して配置されている。
【0023】
第一センサー20は、貼り合わせ装置14と折り返し装置16との間に配置されている。第一センサー20は、一対の投光器20a及び一対の受光器20bを備えている。一方の投光器20a及び受光器20bはゴムシート4の左側に配置され、他方の投光器20a及び受光器20bはゴムシート4の右側に配置されている。この受光器20bは、投光器20aが発する光を受ける。
【0024】
第二センサー22は、折り返し装置16と圧着装置18との間に配置されている。この第二センサー22は、折り返し装置16との間に圧着装置18を位置させて配置されてもよい。第二センサー22は、一対の投光器22a及び一対の受光器22bを備えている。一方の投光器22a及び受光器22bはゴムシート4の左側に配置され、他方の投光器22a及び受光器22bはゴムシート4の右側に配置されている。この受光器22bは、投光器22aが発する光を受ける。
【0025】
図示されないが、搬送装置は、ベルト部材2、ゴムシート4及びエッジゴム6を前方に向かって搬送する。搬送装置は、例えば、搬送ローラとしての駆動ローラとガイドローラとからなる。搬送装置は、ベルトコンベアからなってもよく、ベルトコンベアと搬送ローラとの組み合わせからなってもよい。
【0026】
図示されないが、制御装置は、演算部としてのCPUと、入出力部としてのインターフェースボードと、記憶部としてのメモリとを備えている。この制御装置は、第一センサー20及び第二センサー22から検知信号を受信する。制御装置は、これらの検知信号に基づいて、異常の有無を判断する。制御装置は、検知信号を記憶する。制御装置は、異常があるときに、警報装置に作動信号を送信する。
【0027】
図示されないが、警報装置は、作業者に異常の発生を知られる。警報装置は、制御装置の作動信号を受信したときに、警報を発する。警報装置は、例えば、警報灯を点灯し、警報音を鳴らす。
【0028】
図3(A)には、この製造装置12の使用状態が示されている。
図3(A)では、ゴムシート4にエッジゴム6が押し当てられている。ゴムシート4の端部4aにエッジゴム6が貼り合わされている。エッジゴム6は、ゴムシート4の端4bより幅方向外向きにはみ出している。この貼り合わせにより、エッジゴム6に、はみ出し部6aが形成されている。
【0029】
第一センサー20の投光器20aと受光器20bとは、ゴムシート4の幅方向において、端4bより幅方向外に配置されている。ゴムシート4の厚さ方向において、この投光器20aと受光器20bとは、ゴムシート4及びエッジゴム6を間にして配置されている。この投光器20aと受光器20bとは、はみ出し部6aを挟んで対向して配置されている。この投光器20aから受光器20bに向かう光は、はみ出し部6aによって遮断されている。
【0030】
図3(B)には、この製造装置12の他の使用状態が示されている。
図3(B)では、ゴムシート4の端4bで、エッジゴム6が折り返されている。端部4aは、エッジゴム6に覆われている。
図3(B)では、エッジゴム6に折り返し部6bが形成されている。
【0031】
第二センサー22の投光器22aと受光器22bとは、ゴムシート4の幅方向において、端4bより外に配置されている。投光器22aと受光器22bとは、ゴムシート4の幅方向において、ゴムシート4の端部4aを覆おうエッジゴム6より、外に配置されている。ゴムシート4の厚さ方向において、この投光器22aと受光器22bとは、ゴムシート4及びエッジゴム6を間にして配置されている。この投光器22aと受光器22bとは、ゴムシート4の端4bより幅方向外で、且つゴムシート4の厚さ方向にゴムシート4を挟んで対向して配置されている。この受光器22bは、投光器22aが発する光を受けている。
【0032】
図1から
図3を参照しつつ、製造装置12を用いて、本発明に係るベルト部材2の製造方法が説明される。この製造方法では、ゴムシート4及び一対のエッジゴム6が準備される(STEP1)。
【0033】
貼り合わせ装置14において、ゴムシート4の一対の端部4aに、エッジゴム6が貼り合わせローラ24によって、貼り合わされる(STEP2)。このSTEP2では、幅方向においてゴムシート4の端4bからエッジゴム6をはみ出させて、ゴムシート4とエッジゴム6とが重ね合わされる。ゴムシート4と一対のエッジゴム6とは、搬送されつつ、ローラ本体24aとローラ本体24bとによって、貼り合わされる。
【0034】
ゴムシート4と一対のエッジゴム6とが搬送されつつ、STEP2で形成されたエッジゴム6のはみ出し部6aを、第一センサー20が検知する(STEP3)。
図3(A)に示される様に、投光器20aと受光器20bとの間に、はみ出し部6aが通される。これにより、投光器20aが発する光をはみ出し部6aが遮断する。これにより、第一センサー20は、はみ出し部6aを検知する。
【0035】
次に、折り返し装置16において、ゴムシート4及び一対のエッジゴム6を搬送しつつ、エッジゴム6のはみ出し部6aがゴムシート4の端4bで折り返される(STEP4)。エッジゴム6がゴムシート4の端4bを覆う。このSTEP4では、ゴムシート4の端4bを基点にして、第一傾斜ローラ26が、はみ出し部6aを下方に向かって折り曲げる。第二傾斜ローラ28が、はみ出し部6aを更に深く折り曲げる。テーパローラ30が、はみ出し部6aを、ゴムシート4に貼り合わせる。この様にして、はみ出し部6aから折り返し部6bが形成される。
【0036】
STEP4で形成された折り返し部6bが貼り合わされたゴムシート4の幅方向外で、第二センサー22がはみ出し部6aの有無を検知する(STEP5)。ゴムシート4と一対のエッジゴム6とが折り返し装置16から送り出されて搬送されつつ、はみ出し部6aの有無が検知される。
図3(B)に示される様に、投光器22aと受光器22bとは、幅方向において、ゴムシート4の端4bより外に配置される。投光器22aと受光器22bとは、ゴムシート4の幅方向において、ゴムシート4の端4bを覆おうエッジゴム6より外に配置される。この投光器22aが発する光を受光器22bが受ける。これにより、第二センサー22は、はみ出し部6aの有無を検知する。
【0037】
圧着装置18において、ゴムシート4と折り返し部6bが形成されたエッジゴム6とが、圧着される(STEP6)。このSTEP6では、ゴムシート4と一対のエッジゴム6とは、搬送されつつ、ローラ本体32aとローラ本体32bとによって、圧着される。
【0038】
この製造装置12では、STEP3において、第一センサー20がはみ出し部6aを検知しないとき、制御装置は、警報装置を作動させる。警報装置は、警報灯を点灯し、警報音を鳴らす。STEP5において、第二センサー22がはみ出し部6aを検知したとき、制御装置は、警報装置を作動させる。言い換えると、投光器22aが発する光を受光器22bが受けられないときに、制御装置は、警報装置を作動させる。警報装置は、警報灯を点灯し、警報音を鳴らす。
【0039】
このベルト部材2の製造方法は、STEP3で、はみ出し部6aを検知する。更に、この製造方法は、STEP5で、はみ出し部6aの有無を検知する。この製造方法では、はみ出し部6aを検知した上で、STEP5ではみ出し部6aが検知されないことが確認される。これにより、エッジゴム6の折り返し不良が検知される。これにより、折り返し不良が発生したベルト部材2が次工程に流出することが抑制される。折り返し不良のベルト部材2を用いたタイヤの生産が抑制される。
【0040】
更に、この製造方法は、STEP3で、はみ出し部6aを検知することで、エッジゴム6の切断や破損等が検知されうる。このSTEP3では、エッジゴム6の貼り付け位置のずれや、剥がれ等が検知されうる。この製造方法は、はみ出し部6aを検知することで、ベルト部材2の品質の向上に寄与する。
【0041】
貼り合わせ装置14では、貼り合わせローラ24がゴムシート4にエッジゴム6を貼り合わせたが、この製造方法の貼り合わせは、これに限られない。この製造方法では、ゴムシート4にエッジゴム6が貼り合わされればよい。
【0042】
圧着装置18では、圧着ローラ32がゴムシート4にエッジゴム6を圧着させたが、この製造方法の圧着は、これに限られない。この製造方法では、ゴムシート4にエッジゴム6が圧着されればよい。
【0043】
一般に、このゴムシート4の色は黒い。エッジゴム6の色も黒い。この様なゴムシート4とエッジゴム6とでは、その境界の検知が難しい。これらの境界は、カメラなどで識別することは容易でない。この製造方法では、第一センサー20及び第二センサー22を用いることで、はみ出し部6aから折り返し部6bが形成されていることが、精度よく検知できる。
【0044】
この第一センサー20は、投光器20aと受光器20bとを備える透過型センサーを例に説明がされたが、これに限られない。この投光器20a及び受光器20bに代えて投受光器及びリフレクターが用いられてもよい。投受光器が発する光をリフレクターで反射して、投受光器が反射光を受けてもよい。第一センサー20は、はみ出し部6aを検知できればよく、反射型センサであってもよい。更には、第一センサー20は、接触式センサーであってもよい。
【0045】
同様に、第二センサー22は、投光器22aと受光器22bとを備える透過型センサーを例に説明がされたが、これに限られない。この投光器22a及び受光器22bに代えて投受光器及びリフレクターが用いられてもよい。投受光器が発する光をリフレクターで反射して、投受光器が反射光を受けてもよい。第二センサー22は、はみ出し部6aの有無を検知できればよく、反射型センサーであってもよい。更には、第二センサー22は、接触式センサーであってもよい。
【0046】
この製造装置12の第一センサー20では、投光器20aと受光器20bとは、ゴムシート4の幅方向において、端4bより外に配置されたが、この配置はこれに限らない。この投光器20aと受光器20bとは、はみ出し部6aを検知できればよい。この投光器20aと受光器20bとは、はみ出し部6aを挟んで対向して配置されればよい。はみ出し部6aを挟んで対向して配置されれば、投光器20aと受光器20bとのいずれか一方が、ゴムシート4の幅方向において、端4bより幅方向内に配置されてもよい。
【0047】
同様に、第二センサー22では、投光器22aと受光器22bとは、ゴムシート4の幅方向において、端部4aを覆おうエッジゴム6より外に配置されたが、この配置はこれに限らない。投光器22aと受光器22bとは、はみ出し部6aの有無を検知できればよい。この投光器22aと受光器22bとは、はみ出し部6aの有無を検知できる配置で、ゴムシート4の厚さ方向にゴムシート4を挟んで対向して配置されればよい。投光器22aと受光器22bとのいずれか一方が、ゴムシート4の幅方向において、端4bより幅方向内に配置されてもよい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0049】
[実施例1]
図2の製造装置を用いて、本発明に係る製造方法で、ベルト部材を得た。
【0050】
[比較例1]
従来の製造装置を用いて、ベルト部材を得た。この製造装置は、第一センサー及び第二センサーを備えていない他は、
図1の製造装置と同様であった。
【0051】
[はみ出し不良の流出評価]
これらのベルト部材について、次工程で、折り返し不良の有無が、1ヶ月間記録された。その結果が表1に示されている。この評価結果は、比較例1の流出件数を10とする指数で表されている。この指数が小さいほど、次工程への流出件数は少なく好ましい。なお、実施例1では、次工程への流出件数は0件であった。
【0052】
【0053】
表1に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明された方法は、ゴムシートの端がエッジゴムで覆われたタイヤ用帯状部材の製造方法にも広く適用されうる。
【符号の説明】
【0055】
2・・・ベルト部材
4・・・ゴムシート
4a・・・端部
4b・・・端
6・・・エッジゴム
6a・・・はみ出し部
6b・・・折り返し部
12・・・製造装置
14・・・貼り合わせ装置
16・・・折り返し装置
18・・・圧着装置
20・・・第一センサー
20a、22a・・・投光器
20b、22b・・・受光器
22・・・第二センサー
24・・・貼り合わせローラ
26・・・第一傾斜ローラ
28・・・第二傾斜ローラ
30・・・テーパローラ
32・・・圧着ローラ