IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-制御システム及びセンサ装置 図1
  • 特許-制御システム及びセンサ装置 図2
  • 特許-制御システム及びセンサ装置 図3
  • 特許-制御システム及びセンサ装置 図4
  • 特許-制御システム及びセンサ装置 図5
  • 特許-制御システム及びセンサ装置 図6
  • 特許-制御システム及びセンサ装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】制御システム及びセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20221109BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20221109BHJP
【FI】
H04Q9/00 311P
H05B47/00
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019008795
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2020120229
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 康司
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-226138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路を介して互いに接続された、制御装置と、第1の端末装置と、第2の端末装置とを含み、前記制御装置と前記第1の端末装置間及び前記制御装置と前記第2の端末装置間で通信可能な制御システムであって、
前記第1の端末装置は、前記第2の端末装置の識別情報と、前記第2の端末装置の動作を制御する制御情報を、伝送メッセージ中のデータ部中に含めて前記伝送路を介して前記制御装置宛てに出力し、
前記第2の端末装置は、前記伝送路を監視し、前記伝送路に伝送される前記伝送メッセージの前記データ部中に前記識別情報が含まれるかを判定し、前記識別情報が前記データ部中に含まれるときは、前記データ部中の前記制御情報を用いた処理を行い、前記識別情報が前記伝送メッセージの前記データ部中に含まれていないときは、前記データ部中の前記制御情報を用いた処理を行わない、
制御システム。
【請求項2】
端末装置と、制御装置とが接続された伝送路に接続可能なセンサ装置であって、
前記伝送路を監視し、前記端末装置から前記制御装置宛てに出力された伝送メッセージのデータ部中に自己の識別情報が含まれるかを判定する判定部と、
前記自己の識別情報が前記データ部中に含まれるときは、前記データ部中の制御情報を用いた処理を行い、前記自己の識別情報が前記データ部中に含まれていないときは、前記制御情報を用いた処理を行わない処理実行部と、
を有する、センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御システム及びセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、制御システムは、制御装置と、1又は2以上の端末装置とを有し、制御装置と、1又は2以上の端末装置とは、信号伝送路により接続される。端末装置は、人感センサなどのセンサ装置や、照明装置などの被制御装置である。例えば、制御装置は、伝送路を介してセンサ装置等からの状態信号等を受信する。制御装置は、受信した状態信号等に基づいて、伝送路を介して被制御装置へ制御信号を送信する。
【0003】
端末装置には、受信した制御信号に基づいて所定の動作を行う端末装置や、動作条件などの設定値を有しかつその設定値を設定変更できる端末装置もある。例えば端末装置がセンサ装置である場合、設定値の情報が、センサ装置のメモリなどの記憶部に記憶され、かつその設定値の情報を変更可能なものがある。
【0004】
その設定値の変更方法には、端末装置に設けられた設定値設定用ディップスイッチなどの設定スイッチにより行う方法、設定値変更のための制御情報を、赤外線受信部を有する端末装置へ赤外線を発する赤外線リモコンを用いて行う方法、等がある。
【0005】
しかし、その設定値を変更する場合、端末装置が設置された位置あるいは場所が倉庫などの建物内の高所の位置などであるとき、設定作業は、容易ではない。例えば、作業者が高所で作業できるように、作業者が立って設定スイッチの切り換え作業をするための台などを建物内に設置したりするための煩雑な作業が必要となる。また、赤外線リモコンを用いる場合、赤外線の信号が到達する距離に制限があったり、信号の送受信するための環境によっては混信などを避ける必要があったりするため、赤外線が届く位置あるいは場所を捜すなどの煩雑な作業が必要となる。
【0006】
さらに、制御装置に端末装置の設定値の設定変更する機能を持たせることも可能であるが、制御装置がそのような機能を元々有していない場合には、制御装置に、端末装置の設定値の設定変更機能の追加、例えばソフトウエアプログラムの追加が必要となり、コストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-232799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本実施形態は、煩雑な作業を必要とせず、かつ制御装置の機能追加も必要としないで、端末装置の動作を制御する制御信号を送信することができる制御システム及びセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態制御システムは、伝送路5を介して互いに接続された、制御装置と、第1の端末装置と、第2の端末装置とを含み、前記制御装置と第1の端末装置間及び前記制御装置と第2の端末装置間で通信可能である。前記第1の端末装置は、前記第2の端末装置の識別情報と、前記第2の端末装置の動作を制御する制御情報を、伝送メッセージ中のデータ部中に含めて前記伝送路を介して前記制御装置宛てに出力する。第2の端末装置は、前記伝送路を監視し、前記伝送路に伝送される前記伝送メッセージの前記データ部中に前記識別情報が含まれるかを判定し、前記識別情報が前記データ部中に含まれるときは、前記データ部中の前記制御情報を用いた処理を行い、前記識別情報が前記伝送メッセージの前記データ部中に含まれていないときは、前記データ部中の前記制御情報を用いた処理を行わない。
【発明の効果】
【0010】
従って、本実施形態によれば、煩雑な作業を必要とせず、かつ制御装置の機能追加も必要としないで、端末装置の動作を制御する制御信号を送信することができる制御システム及びセンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係わる照明制御システムの構成図である。
図2】本実施形態に係わる設定器の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係わる人感センサの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係わる、人感センサの設定値を変更するときの設定器の表示画面の例を示す図である。
図5】本実施形態に係わる、人感センサの設定値の変更処理の流れの例を示すフローチャートである。
図6】本実施形態に係わる、送信処理により伝送路に伝送される伝送メッセージの構成を示す図である。
図7】本実施形態に係わる、人感センサにおける設定値変更処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の制御システムは、伝送路を介して互いに接続された、制御装置と、第1の端末装置と、第2の端末装置とを含み、前記制御装置と第1の端末装置間及び前記制御装置と第2の端末装置間で通信可能である制御システムであって、前記第1の端末装置は、前記第2の端末装置の識別情報と、前記第2の端末装置の動作を制御する制御情報を、伝送メッセージ中のデータ部中に含めて前記伝送路を介して前記制御装置宛てに出力し、前記第2の端末装置は、前記伝送路を監視し、前記伝送路に伝送される前記伝送メッセージの前記データ部中に前記識別情報が含まれるかを判定し、前記識別情報が前記データ部中に含まれるときは、前記データ部中の前記制御情報を用いた処理を行い、前記識別情報が前記伝送メッセージの前記データ部中に含まれていないときは、前記データ部中の前記制御情報を用いた処理を行わない。
【0013】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(構成)
図1は、本実施形態に係わる照明制御システムの構成図である。本実施形態の制御システム1は、制御装置2と、制御される端末装置である複数の照明装置3と、を含む照明制御システムである。各照明装置3は、信号線4aにより、端末装置である点滅器4と接続されている。各照明装置3は、電源4bに接続された点滅器4からの駆動信号に応じてオンオフ動作を行う。制御装置2と点滅器4は、伝送路5により互いに通信可能に接続されている。
【0014】
制御システム1は、さらに、壁スイッチ6と、人感センサ7を含む。壁スイッチ6と人感センサ7も、伝送路5に接続されている。端末装置である壁スイッチ6は、居室の壁に取り付けられ、複数の操作ボタン(図示せず)を有している。その居室の利用者は、各操作ボタンを操作して、所望の照明装置3をオンオフすることができる。
壁スイッチ6は、操作ボタンが操作されると、操作された操作ボタンに対する操作に応じた操作信号を制御装置2へ送信する。操作信号は、壁スイッチ6から伝送路5を介して制御装置2へ送信される。すなわち、制御システム1は、伝送路5を介して互いに接続された、制御装置2と、複数の端末装置を含む。制御装置2は、各端末装置と通信可能である。ここでは、複数の端末装置間で通信はできず、通信は、制御装置2と各端末装置間でのみ行われる。
【0015】
制御装置2は、受信した操作信号において指定された1又は2以上の照明装置3への制御信号を点滅器4へ伝送路5を介して送信する。点滅器4は、複数のリレー回路を有し、制御信号に基づいて、指定された1又は2以上の照明装置3へオン又はオフの駆動信号を出力する。
【0016】
端末装置である人感センサ7は、人が発する赤外線に基づいて、人の有無を検知するセンサ装置である。人感センサ7は、動作条件などの設定値を格納する記憶装置22(図3)を有している。ここでは、設定値として、保持時間TSが、人感センサ7の記憶装置22に記憶される。人感センサ7は、赤外線の検出器の出力信号の変化を検知、すなわち人を検知すると、伝送路5を介して、設定された保持時間TS、検知信号を制御装置2へ送信する。すなわち、保持時間TSは、赤外線の変化を検出してから、検知信号を継続して出力する時間、あるいは人感センサが出力する検知信号を保持する時間である。言い換えれば、保持時間TSは、制御情報であり、人感センサ7の動作条件についての情報である。そして、制御装置2は、受信した検知信号に基づいて、複数の照明装置3の少なくとも1つを制御する。
【0017】
例えば、複数の照明装置3が居室の天井に設置され、利用者は、壁スイッチ6を操作して所望の照明装置3を点灯させたり、消灯させたりすることができる。また、居室内の所定のエリアの天井には、人感センサ7が設置され、そのエリアに人がいることを人感センサ7が検知すると、制御装置2は、受信した検知信号に基づいてそのエリアの照明装置3をオンし、そのエリアに人が居なくなると、そのエリアの照明装置3をオフする。
【0018】
壁スイッチ6には、設定器8が接続可能となっている。設定器8は、表示器8aと操作器8bを有している。操作器8bは、複数の操作ボタンを含む。ケーブル8cが、設定器8から延出している。ケーブル8cは、先端に、壁スイッチ6のコネクタ6aと接続可能なコネクタ8dを有している。
すなわち、壁スイッチ6は、伝送路5に接続され、複数の照明装置3の少なくとも1つの動作を指示するための操作部として操作器8bを有するスイッチ装置である。端末装置としての設定器8は、壁スイッチ6に接続可能であって、後述するように、壁スイッチ6を介して、伝送メッセージを送信することができる。
【0019】
制御システム1を管理する者が、コネクタ8dにより設定器8を壁スイッチ6に接続して、壁スイッチ6の動作及び設定内容を確認したり、制御装置2と通信をしたりすることができる。なお、ここでは、設定器8と壁スイッチ6間は、ケーブル8cによる有線で通信可能に接続されているが、赤外線などを利用した無線で通信可能に接続されるようにしてもよい。
【0020】
なお、図1では、説明を簡単にするために、制御システム1は、1つの人感センサ7を有しているが、点線で示すように複数の人感センサを有していてもよい。さらになお、制御システム1は、ビルなどの複数の居室の複数の照明装置3を制御するものでもよく、その場合、壁スイッチ6及び人感センサ7は、居室毎に配置される。
【0021】
図2は、設定器8の構成を示すブロック図である。設定器8は、プロセッサ11と、記憶装置12と、通信インターフェース13とを有し、さらに上述した表示器8aと操作器8bも有している。表示器8aと操作器8bの各々は、図示しないインターフェースを介してプロセッサ11と接続されている。
【0022】
プロセッサ11は、中央処理装置(CPU)を含み、記憶装置12に記憶された各種プログラムを実行可能となっている。記憶装置12には、後述する人感センサ7の設定値を変更する変更プログラム12aも記憶されている。なお、プロセッサ11は、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの電子回路により構成されていてもよい。
【0023】
設定器8は、ケーブル8cに接続された通信インターフェース(以下、通信I/Fと略す)13を介して、伝送路5へのデータの送信及び伝送路5からのデータの受信をすることができる。各種プログラムに応じて、表示器8aには、各種情報が表示されたり、各種データを入力するための画面が表示されたりする。
【0024】
図3は、人感センサ7の構成を示すブロック図である。人感センサ7は、プロセッサ21と、記憶装置22と、検出素子23と、通信I/F24とを有している。検出素子23は、例えば赤外線を検出する焦電センサであり、図示しないインターフェースを介してプロセッサ21と接続されている。
【0025】
プロセッサ21は、プロセッサ11と同様に、中央処理装置(CPU)を含み、記憶装置22に記憶された各種プログラムを実行可能となっている。記憶装置22は、保持時間TSの情報を記憶する記憶領域22aを有している。なお、プロセッサ21は、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの電子回路により構成されていてもよい。
【0026】
人感センサ7は、伝送路5に接続可能な通信I/F24を介して、伝送路5へのデータの送信及び伝送路5からのデータの受信をすることができる。人感センサ7は、検出素子23により検出された赤外線の変化を検出し、検出された赤外線の量に変化があると、設定された保持時間TSの間、伝送路5を介して検知信号を制御装置2へ送信する。検出された赤外線の量に変化がなくなると、最後に赤外線の量の変化があったときから保持時間TSが経過すると、人感センサ7は、検知信号の送信を停止する。
【0027】
図4は、人感センサ7の設定値を変更するときの設定器8の表示画面の例を示す図である。図4に示す画面は、設定器8の表示器8aの表示画面に表示される設定値変更画面Gである。設定値変更画面Gは、センサ番号SNと保持時間TSとを入力するための2つの入力フィールド31、32を有する。
【0028】
設定器8を操作する操作者は、操作器8bを操作して、カーソルを入力フィールド31に移動させて、設定値を変更する人感センサ7のセンサ番号SNを、操作器8bを操作して入力することができる。さらに、操作者は、操作器8bを操作して、カーソルを入力フィールド32に移動させて、変更後の保持時間TSを、操作器8bを操作して入力する。図4の設定値変更画面Gでは、センサ番号SNが「001」で、保持時間TSが「5」(秒)と入力されている。センサ番号SNは、制御システム1において使用される、端末装置の識別情報であり、例えば、識別コード(ID)、あるいはアドレスデータである。
【0029】
操作者は、センサ番号SNと保持時間TSとを入力した後、壁スイッチ6を介して、操作器8bを操作して入力したセンサ番号SNと保持時間TSの情報を制御装置2へ送信することができる。
【0030】
図5は、人感センサ7の設定値の変更処理の流れの例を示すフローチャートである。図5は、設定器8において実行される。設定器8の操作者は、操作器8bを操作して、人感センサ7の設定値を変更する変更処理プログラムの実行指示を設定器8に入力すると、プロセッサ11は、図5の設定値変更処理プログラムを記憶装置12の記憶領域12aから読み出して実行する。
【0031】
プロセッサ11は、設定値を変更するための設定値変更画面G(図4)を生成して表示器8aに表示する(ステップ(以下、Sと略す)1)。操作者は、表示された設定値変更画面Gに対して、操作器8bを操作して、センサ番号SNと保持時間TSの情報を入力することができる。
【0032】
操作者が操作器8bを操作して、入力された情報の送信指示をしない限り、処理は、S1に戻り、操作者は、センサ番号SNと保持時間TSの情報を入力したり変更したりすることができる。操作者が操作器8bを操作して、入力された情報の送信指示を設定器8に入力すると、プロセッサ11は、入力されたセンサ番号SNと保持時間TSの情報を制御装置2へ送信し(S3)、設定値を変更する処理は終了する。すなわち、端末装置としての設定器8は、他の端末装置である人感センサ7の識別情報としてのセンサ番号SNと、人感センサ7の動作を制御する制御情報である設定値情報としての保持時間TSの情報を、伝送メッセージ中のデータ部43中に含めて伝送路5を介して制御装置2宛てに出力する。
【0033】
図6は、S3の処理により伝送路5に伝送される伝送メッセージの構成を示す図である。伝送メッセージ41は、伝送路5上で送受信されるメッセージであり、所定のフォーマットを有している。伝送メッセージ41は、送信元アドレスと、宛先アドレスと、制御コマンド信号などを含む。制御装置2と、点滅器4と、壁スイッチ6と、人感センサ7との間では、その所定のフォーマットの伝送メッセージにより、データの送受信を互いに行うことができる。
【0034】
伝送メッセージ41は、ヘッダ部、送信元アドレスなども含むが、図6では、宛先アドレス部42とデータ部43のみを示し、他のデータは、図示されていない。伝送メッセージ41において、宛先アドレス部42は、伝送メッセージ41を送る相手の宛先アドレス(ADD)の情報を含むフィールドである。データ部43は、設定値変更画面Gにおいて入力された、センサ番号SNと保持時間TSの情報(DATA)を含むフィールドである。
【0035】
例えば、ある照明装置3を点灯させるために壁スイッチ6のある操作ボタンが利用者により押されると、壁スイッチ6は、利用者の操作に応じたコマンド信号を含む伝送メッセージを制御装置2へ送信する。そのときの伝送メッセージ41は、宛先アドレス部42には制御装置2のアドレスが含まれ、データ部43には利用者が指定した照明装置3をオンするためのコマンド信号が含まれる。制御装置2は、自己宛ての伝送メッセージ41を受信すると、データ部43に含まれるコマンド信号に応じた処理を行う。上記の場合、照明装置3をオンするコマンド信号を生成して、点滅器4に送信する。
【0036】
以上のように、伝送路5上の伝送メッセージ41は、宛先アドレスを含む宛先アドレス部42と、コマンド信号などを含むデータ部43を含む。伝送路5に接続された各装置は、宛先アドレスに基づいて伝送メッセージ41が自己宛てのメッセージであるかを判定することができる。各装置は、受信した伝送メッセージが自己宛てのメッセージであるときには、データ部43に含まれるデータに基づく処理を実行する。言い換えれば、制御装置2だけでなく、点滅器4、壁スイッチ6、人感センサ7等の各装置は、受信した伝送メッセージが自己宛てのメッセージでないときには、その伝送メッセージ41を無視して、何の処理も実行しない。
【0037】
また、ここでは、後述するような伝送メッセージ41のデータ部43中の制御情報に基づいて人感センサ7に所定の動作を行わせるために、データ部43のフォーマットは、予め決められている。すなわち、人感センサ7に設定値の変更をさせるために、人感センサ7を識別するための識別情報(例えば人感センサ7のセンサ番号SN)がデータ部43中の所定の位置に配置され、変更する設定値の設定値情報もデータ部43中の別の所定の位置に配置される。
【0038】
よって、人感センサ7は、受信した伝送メッセージが自己宛てのメッセージでないときであっても、データ部43中に、自己の識別情報(例えば人感センサ7のセンサ番号SN)の有無を判定することができる。さらに、人感センサ7は、受信した伝送メッセージが自己宛てのメッセージでないときであっても、データ部43中に自己の識別情報が含まれているときには、データ部43中から設定値情報を抽出することもできる。
【0039】
なお、ここでは、人感センサ7の設定値を変更するときに、設定器8が生成する伝送メッセージ中の宛先アドレスは、制御装置2のアドレスであるが、伝送メッセージは、特定の1つのアドレスを指定しないブロードキャストなどの形式でもよい。
【0040】
図7は、人感センサ7における設定値変更処理の流れの例を示すフローチャートである。上述したように、人感センサ7は、人を検知すると、伝送路5を介して、検知信号を制御装置2へ送信するが、図7の処理は、人の検知処理とは別に、人感センサ7の動作中、常時実行されている。そのため、プロセッサ21は、伝送路5において伝送されている伝送メッセージを常に監視している。
【0041】
プロセッサ21は、伝送路5を介して受信したメッセージが、自己宛ての伝送メッセージであるかを判定する(S11)。自己宛ての伝送メッセージであるかの判定は、伝送メッセージに含まれる宛先アドレスに基づいて行われる。宛先アドレスが人感センサ7のアドレスと一致するか否かにより、自己宛ての伝送メッセージであるか否かの判定が行われる。
【0042】
宛先アドレスが人感センサ7のアドレスと一致するとき(S11:YES)、受信したメッセージは自己宛ての伝送メッセージであるので、プロセッサ21は、コマンドなどを含む伝送メッセージに応じた処理を実行し(S12)、処理は、S11に戻る。
【0043】
宛先アドレスが人感センサ7のアドレスと一致しないとき(S11:NO)、プロセッサ21は、受信した伝送メッセージ中のデータ部43が、自己のセンサ番号SNを含むかを判定する(S13)。すなわち、プロセッサ21において実行されるS13の処理は、伝送路5を監視し、伝送路5に伝送される伝送メッセージのデータ部43中に自己の識別情報が含まれるかを判定する判定部を構成する。
【0044】
上述したように、設定器8が、壁スイッチ6を介して人感センサ7の設定値を変更する伝送メッセージを制御装置2へ送信する(S3)と、その伝送メッセージ41の宛先アドレス部42には、制御装置2のアドレスが設定されているので、その伝送メッセージ41は、設定器8から、壁スイッチ6を介して制御装置2へ送信される。制御装置2は、伝送メッセージ41を受信するが、自己において何かの処理の実行を指示する指示を含まないので、制御装置2では、何も実行されない。
【0045】
しかし、人感センサ7では、データ部43が自己のセンサ番号SNを含むと判定されると(S13:YES)、プロセッサ21は、データ部43に含まれる設定値に、記憶装置22の記憶領域22aに記憶されている保持時間TSの情報を書き換える動作を行う(S14)。S14の後、処理は、S11に戻る。データ部43が自己のセンサ番号SNを含まないと判定されると(S13:NO)、処理は、S11に戻る。
よって、S11,S13及びS14の処理は、自己の識別情報がデータ部43中に含まれるときは、データ部43中の制御情報を用いた処理を行い(S14)、自己の識別情報がデータ部43中に含まれていないときは、制御情報を用いた処理を行わない処理実行部を構成する。
【0046】
以上のように、端末装置としての人感センサ7は、伝送路5を監視し、伝送路5に伝送される伝送メッセージのデータ部43中に自己の識別情報が含まれるかを判定し、自己の識別情報がデータ部43中に含まれるときは、データ部43中の制御情報を用いた処理を行い、自己の識別情報が伝送メッセージのデータ部43中に含まれていないときは、データ部43中の制御情報を用いた処理を行わない。
よって、設定器8において、所定の画面からセンサ番号SNと設定値を入力することにより、人感センサ7の設定値の変更を行うことができる。
【0047】
従って、上述した実施の形態によれば、従来のような煩雑な作業を必要とせず、かつ制御装置の機能追加も必要としないで、端末装置の動作を制御する制御信号を送信することができる制御システム及びセンサ装置を提供することができる。
【0048】
特に、上述した実施形態のように、設定器8が、人感センサ7と直接通信を行うことなく、人感センサ7に設定値を伝えることができ、その結果、人感センサ7は、自己の設定値を変更することができる。
【0049】
そのため、例えば、既に設置した伝送路にセンサ装置を追加したときに、そのセンサ装置に上述した図7の処理機能を持たせれば、設定器8により、追加したセンサ装置の設定値の変更をすることができる。
【0050】
なお、上述した実施形態の制御システム1は、センサ装置として人感センサ7を用いて、人感センサ7の設定値を変更する照明制御システムであるが、センサ装置としては、照度センサなどの他の種類のセンサ装置でもよい。例えば、センサ装置が照度センサであるときは、照度センサの校正値の情報を、設定器8から、同様に照度センサへ伝えて、設定値の変更をさせることができる。さらに、端末装置としての点滅器4の設定値を、同様にして、設定器8から、同様に点滅器4へ伝えて、設定値の変更をさせるようにしてもよい。
【0051】
さらになお、上述した制御システムは、照明制御システムであるが、上述した実施形態は、ビルの空調制御システム、その他のシステムにも適用することができる。
【0052】
また、上述した実施形態では、設定器8を壁スイッチ6に接続して、設定器8は、壁スイッチ6を介して伝送メッセージを送信しているが、壁スイッチ6が、設定器8の設定値変更機能を有してもよい。例えば、壁スイッチ6が一つの機能として、上述した人感センサ7への設定値変更のための伝送メッセージを送信する機能を有し、設定器8がなくても、壁スイッチ6が上述したような設定値変更の伝送メッセージを送信できるようにしてもよい。
【0053】
さらにまた、上述した実施形態は、端末装置としてのセンサ装置に、その設定値を変更させるが、端末装置に他の動作をさせるようにしてもよい。例えば、端末装置が、増設された照明装置であれば、設定器8からその照明装置のオンオフ動作をさせるようにしてもよい。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 制御システム、2 制御装置、3 照明装置、4 点滅器、4a 信号線、4b 電源、5 伝送路、6 壁スイッチ、6a コネクタ、7 人感センサ、8 設定器、8a 表示器、8b 操作器、8c ケーブル、8d コネクタ、11 プロセッサ、12 記憶装置、12a 変更プログラム、13 通信インターフェース、21 プロセッサ、22 記憶装置、22a 記憶領域、23 検出素子、24 通信インターフェース、31 入力フィールド、32 入力フィールド、41 伝送メッセージ、42 宛先アドレス部、43 データ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7