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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20221109BHJP
   B65G 25/06 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65G47/52 C
B65G47/52 E
B65G25/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019009331
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2020117348
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】川崎 隼矢
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-272023(JP,A)
【文献】実開昭52-023085(JP,U)
【文献】特開昭58-135016(JP,A)
【文献】実開平02-034520(JP,U)
【文献】実開昭62-059617(JP,U)
【文献】国際公開第2015/170660(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52
B65G 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置するパレット(4)を搬送する主搬送部(2)と、前記パレットを逆方向に搬送する逆搬送部(3)と、前記主搬送部と前記逆搬送部との間で前記パレットを移し替える昇降部(5、6)とを備えたものであって、
前記昇降部は、前記パレットを載置可能なものであって、前記主搬送部からの前記パレットを受け取る第1位置と、前記逆搬送部へ前記パレットを送り出す第2位置との間で昇降するように設けられた昇降部材(13、14)を2個備え、
前記2個の昇降部材のうちの一方の昇降部材が前記第1位置に位置するときに、他方の昇降部材を前記第2位置に位置させ、前記一方の昇降部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動するときに、同時に前記他方の昇降部材を前記第2位置から前記第1位置へ移動させ、前記一方の昇降部材が前記第2位置に位置するときに、前記他方の昇降部材を前記第1位置に位置させるように、前記2個の昇降部材を移動駆動する駆動機構を備えると共に、
前記各昇降部材には、載置された前記パレットに係合して位置決めする係合部材(31)が設けられていると共に、前記昇降部の固定部分には、前記昇降部材が上方の送り込み位置または下方の払い出し位置に位置した状態で、前記係合部材を変位させてパレットとの係合を解除させる係合解除部材(32)が設けられている搬送装置。
【請求項2】
前記昇降部材が前記第1位置に位置するときに、前記パレットを1個ずつ前記主搬送部から前記昇降部材の上に送り込む送り込み部を備えた請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記2個の昇降部材を移動駆動する駆動源として1個のモータ(20)を備えた請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記送り込み部は、前記パレットを1個ずつ送り込むスクリュー部材(29)を備えた請求項2記載の搬送装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記モータにより回転駆動され前記2個の昇降部材を移動させるタイミングベルト(19)と、前記2個の昇降部材が昇降移動するときに衝突しないように案内するガイド部とを備えた請求項3記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の設備内において、ワークを載置するパレットを搬送する搬送装置は、主搬送部(即ち、メインコンベア)と、逆搬送部(即ち、リターンコンベア)と、主搬送部から逆搬送部へパレットを移し替える昇降部とを備えている。パレットの搬送の高速化例えばサイクルタイム2秒以下が必要となる設備では、昇降部におけるパレットの移し替え処理についても同様に高速化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭57-48523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昇降部によるパレットの移し替え処理、例えば主搬送部から逆搬送部へパレットを移し替える処理は、主搬送部から昇降部のリフタへパレットを移す第1動作と、リフタを下降させる第2動作と、リフタから逆搬送部へパレットを移す第3動作と、空になったリフタを上昇させて元の位置へ戻す第4動作とから構成されている。これら4つの動作について、各動作のアクチュエータの能力の限界点、即ち、アクチュエータを安定的に動作させる限界点などの制約が有るため、各動作を現状よりも高速化することは困難であった。
本発明の目的は、昇降部におけるパレットの移し替え処理を高速化することができる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ワークを載置するパレット4を搬送する主搬送部2と、前記パレットを逆方向に搬送する逆搬送部3と、前記主搬送部2と前記逆搬送部3との間で前記パレット4を移し替える昇降部5、6とを備えた搬送装置であって、前記昇降部5、6は、前記パレット4を載置可能なものであって、前記主搬送部2からの前記パレット4を受け取る第1位置と、前記逆搬送部3へ前記パレット4を送り出す第2位置との間で昇降するように設けられた昇降部材13、14を2個備え、前記2個の昇降部材13、14のうちの一方の昇降部材が前記第1位置に位置するときに、他方の昇降部材を前記第2位置に位置させ、前記一方の昇降部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動するときに、同時に前記他方の昇降部材を前記第2位置から前記第1位置へ移動させ、前記一方の昇降部材が前記第2位置に位置するときに、前記他方の昇降部材を前記第1位置に位置させるように、前記2個の昇降部材を移動駆動する駆動機構を備えると共に、前記各昇降部材には、載置された前記パレットに係合して位置決めする係合部材が設けられていると共に、前記昇降部の固定部分には、前記昇降部材が上方の送り込み位置または下方の払い出し位置に位置した状態で、前記係合部材を変位させてパレットとの係合を解除させる係合解除部材が設けられている
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態を示す搬送装置の正面図
図2】搬送装置の斜視図
図3】第1昇降部の斜視図
図4】第1昇降部の正面図
図5】リフタ及びその駆動機構周辺を示す斜視図
図6図4中のC1-C1線に沿う断面図
図7図4中のC2-C2線に沿う断面図
図8図4中のC3-C3線に沿う断面図
図9】一方のリフタの裏面側を示す斜視図
図10】他方のリフタの裏面側を示す斜視図
図11】リフタの移動途中の状態を示すもので、図4中のC1-C1線に沿う断面図
図12】リフタの移動後の状態を示すもので、図4中のC1-C1線に沿う断面図
図13】第1昇降部の上面図
図14】パレットがない状態の第1昇降部の上面図
図15図6中のC4-C4線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、図1ないし図15を参照して説明する。本実施形態の搬送装置1は、図1及び図2に示すように、主搬送部である例えばメインコンベア2と、逆搬送部である例えばリターンコンベア3とを備えている。メインコンベア2及びリターンコンベア3は、それぞれ独立に矢印で示す方向に駆動されるように構成されている。この場合、メインコンベア2上に載せられたパレット4は、図1中の右方へ搬送され、リターンコンベア3上に載せられたパレット4は、図1中の左方へ搬送される。尚、パレット4には、ワークが載置固定される。
【0008】
メインコンベア2及びリターンコンベア3の右端部には、メインコンベア2からリターンコンベア3へパレット4を移し替える第1昇降部5が設けられている。また、メインコンベア2及びリターンコンベア3の左端部には、リターンコンベア3からメインコンベア2へパレット4を移し替える第2昇降部6が設けられている。第1昇降部5及び第2昇降部6は、ほぼ同じ構成であることから、第1昇降部5の具体的構成について、以下、図3ないし図15を参照して説明する。
【0009】
第1昇降部5は、搬送部10と、リフタ部11と、払い出し部12とを備えて構成されている。搬送部10は、メインコンベア2からリフタ部11に送り込まれる前の複数枚連なった状態のパレット4を、連なった状態から1枚だけ切離して、リフタ部11に送り込む機能を有している。搬送部10は、送り込み部としての機能を有する。リフタ部11は、搬送部10から送り込まれた1枚のパレット4を下降させる機能を有している。払い出し部12は、リフタ部11により下降されたパレット4をリターンコンベア3へ払い出す機能を有している。
【0010】
まず、リフタ部11の具体的構成について説明する。リフタ部11は、図5及び図6にも示すように、上下方向に移動駆動されるものであってパレット4を着脱可能に載置する2個のリフタ13、14を有する。これらリフタ13、14は、昇降部材を構成するものである。
【0011】
2個のリフタ13、14は、図7にも示すように、上下方向に移動駆動される2個の移動部材15、16に横方向に移動可能に取り付けられている。2個の移動部材15、16は、図8にも示すように、駆動プーリ17と従動プーリ18とに渡って掛けられたタイミングベルト19に取り付け部15a、16aにて取り付け固定されている。タイミングベルト19は、モータ20により減速機構21及び駆動プーリ17を介して図8中の矢印X方向及び反矢印X方向に移動駆動される。
【0012】
また、図6に示すように、リフタ13、14の両側には、カム板22、23が上下方向に延びるように配設されており、これらカム板22、23には、図示する形状のカム溝22a、23aが形成されている。一方のカム溝22aには、図9に示すように、リフタ13の裏面に設けられたカムフォロワ24が嵌合され、他方のカム溝23aには、図10に示すように、リフタ14の裏面に設けられたカムフォロワ25が嵌合されている。
【0013】
上記構成の場合、図6に示す状態では、一方のリフタ13は、上方の送り込み位置(即ち、第1位置)に位置しており、他方のリフタ14は、下方の払い出し位置(即ち、第2位置)に位置している。この状態で、モータ20を駆動してタイミングベルト19を矢印X方向に移動させると、一方のリフタ13は下降し、他方のリフタ14は上昇する。このとき、リフタ13、14のカムフォロワ24、25がカム溝22a、23aに案内されることから、リフタ13は下降しながら左方へ移動すると共に、リフタ14は上昇しながら右方へ移動することにより、図11に示す状態となる。即ち、リフタ13が下降し、且つ、リフタ14が上昇するときに、両者が衝突しないように案内される構成となっている。カム溝22a、23aと、カムフォロワ24、25とが、ガイド部としての機能を有する。また、モータ20、タイミングベルト19及び上記ガイド部が、駆動機構としての機能を有する。
【0014】
そして、モータ20を更に駆動してタイミングベルト19を矢印X方向に移動させると、一方のリフタ13は更に下降し、他方のリフタ14は上昇する。このとき、リフタ13、14のカムフォロワ24、25がカム溝22a、23aに案内されることから、リフタ13は下降しながら右方へ移動すると共に、リフタ14は上昇しながら左方へ移動することにより、図12に示す状態となり、モータ20を停止させる。これにより、一方のリフタ13は下方の払い出し位置に位置し、他方のリフタ14は上方の送り込み位置に位置するようになる。
【0015】
更に、この後、2個のリフタ13、14を、図12に示す状態から、図11に示す状態を経由して、図6に示す状態へ昇降させる際には、モータ20を逆回転方向に駆動してタイミングベルト19を反矢印X方向に移動させるように駆動制御すれば良い。
【0016】
次に、搬送部10の具体的構成について説明する。搬送部10は、図3図13及び図14に示すように、モータ27によりベルト28を介して回転駆動されるスクリュー部材29と、メインコンベア2から送られた複数個のパレット4を玉突き状に連なった状態で滞留させるパレット滞留部30とを備えている。
【0017】
上記構成の場合、スクリュー部材29の突条部29aが、滞留中のパレット4の側面部に突設された凸部4a、4aに噛み合うように構成されており、スクリュー部材29を回転させると、滞留中のパレット4は図11中の右方へ送られるように構成されている。そして、スクリュー部材29を設定量回転させると、滞留中のパレット4から1個だけを切り離してリフタ部11のリフタ13(またはリフタ14)の上に送り込んで載置させることが可能な構成となっている。この場合、スクリュー部材29の回転が停止されると、スクリュー部材29の突条部29aが、パレット4の凸部4a、4aに噛み合っていることから、滞留中のパレット4はその位置で移動しないように停止される構成となっている。モータ27とスクリュー部材29とが、送り込み部としての機能を有する。
【0018】
また、図15に示すように、リフタ13、14には、載置されたパレット4を位置決めする係合部材31が設けられている。係合部材31は、図示しないばねの付勢力によりパレット4の枠部4cと係合して位置決めする位置に回動するように構成されている。そして、リフタ13、14が上方の送り込み位置または下方の払い出し位置に位置すると、図15に示すように、係合解除部材32により係合部材31が下方へ押されることにより、係合部材31とパレット4の枠部4cと係合が解除されるように構成されている。尚、下方の係合解除部材については、図示しない。これにより、リフタ13、14が送り込み位置または払い出し位置に位置する場合、リフタ13、14上にパレット4を送り込むことが可能であると共に、リフタ13、14上からパレット4を払い出すことが可能であるように構成されている。
【0019】
尚、図4に示すように、払い出し部12は、周知構成の払い出し部と同様に構成されている。払い出し部12は、モータ33により図示しない払い出し機構が駆動されて、下方の払い出し位置に位置するリフタ13、14上からパレット4を払い出してリターンコンベア3上に移送させるように構成されている。
【0020】
このような構成の本実施形態においては、2個のリフタ13、14のうちの一方のリフタ13が送り込み位置に位置するときに、他方のリフタ14を払い出し位置に位置させ、一方のリフタ13が送り込み位置から払い出し位置へ移動するときに、同時に他方のリフタ14を払い出し位置から送り込み位置へ移動させ、一方のリフタ13が払い出し位置に位置するときに、他方のリフタ14を送り込み位置に位置させるように、2個のリフタ13、14を移動駆動するように構成した。この構成によれば、パレット4を載せたリフタ13を下降させる動作と、空のリフタ14を上昇させる動作を同時に実行することが可能となるので、第1昇降部5または第2昇降部6におけるパレット4の移し替え処理を高速化することができる。
【0021】
また、上記実施形態では、2個のリフタ13、14を移動駆動する駆動源としては、1個のモータ20を備える構成であることから、製造コストを安くすることができる。更に、モータ20により回転駆動され2個のリフタ13、14を移動させるタイミングベルト19を備え、2個のリフタ13、14が昇降移動するときに両者が衝突しないように案内するガイド部として、カム溝22a、23及びカムフォロア24、25を備えるように構成したので、1個のモータ20により2個のリフタ13、14を同時に昇降させる構成を簡単な構成にて容易に実現することができる。
【0022】
また、上記実施形態では、搬送部10のスクリュー部材29を回転させてパレット4を1個ずつリフタ13(またはリフタ14)上に送り込むように構成したので、複数枚連なった状態のパレット4の切り離し及び送り込みを確実に実行することができる。
【0023】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0024】
図面中、1は搬送装置、2はメインコンベア、3はリターンコンベア、4はパレット、5は第1昇降部、6は第2昇降部、10は搬送部、11はリフタ部、12は払い出し部、13はリフタ、14はリフタ、17は駆動プーリ、18は従動プーリ、19はタイミングベルト、20はモータ、22はカム板、22aはカム溝、23はカム板、23aはカム溝、24はカムフォロワ、25はカムフォロワ、27はモータ、29はスクリュー部材、30はパレット滞留部、31は係合部材、32は係合解除部材、33はモータである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15