(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】光電変換素子、機器、及び電源モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 51/46 20060101AFI20221109BHJP
H01L 51/42 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L31/04 164
H01L31/04 154B
H01L31/04 154D
H01L31/04 154C
H01L31/08 T
(21)【出願番号】P 2019011415
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】新居 遼太
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-164128(JP,A)
【文献】特開2017-206479(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103788111(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42-51/48
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、光電変換層を有する光電変換素子であって、前記光電変換層は、下記一般式(1)で表される有機材料(A)、繰り返し単位構造を持ちかつ最高占有分子軌道のエネルギー準位(HOMO)が5.0eV以上である電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)を含有し、前記有機材料(A)、電子供与性材料(B)、電子受容性材料(C)の質量比率が、(A+B):C=1.0:1.0から3.0:1.0である光電変換素子。
【化1】
(前記一般式(1)中、R
1は炭素数2~8のアルキル基を表す。nは1~2の整数を表す。X1及びX2は水素原子、またはハロゲン原子を表す。Aは下記一般式(2)、一般式(3)、または一般式(4)で表され、R
2~R
4は炭素数8~22のアルキル基を表す。)
【化2】
【請求項2】
前記電子受容性材料(C)がフラーレン誘導体である請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記光電変換素子が、基板上に、第一の電極、少なくとも1つの電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、第二の電極を有する光電変換素子である請求項1または2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記電子輸送層が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズから選択される金属酸化物を含む請求項3に記載の光電変換素子。
【請求項5】
前記正孔輸送層が、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、から選択される金属酸化物を含む請求項3または4に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記電子輸送層が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズから選択される金属酸化物を含む第一の層と、前記第一の層と前記光電変換層との間に設けられた第二の層からなり、前記第二の層は、下記一般式(5)で示されるアミン化合物を含む請求項3~5のいずれかに記載の光電変換素子。
【化3】
(前記一般式(5)中、R
5、R
6は炭素数1~4のアルキル基を表し、Xは炭素数が6~14の2価の芳香族基または炭素数が1~4のアルキレン基を表す。R
5とR
6は結合して環を形成しても良い。Aは下記置換基のいずれかを表す。)
【化4】
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の光電変換素子を搭載し、前記光電変換素子によって発生された電力で動作する機器。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の光電変換素子を搭載した電源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子、機器、及び電源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路における駆動電力が非常に少なくなり、来たるIoT社会に向けて、微弱な電力(μWオーダー)でもセンサ等の様々な電子部品を駆動することができるようになった。さらに、センサの活用に際し、その場で発電し消費できる自立電源として、環境発電素子への応用が期待されており、その中でも光電変換素子は光があればどこでも発電できる素子として注目を集めている。環境発電素子においては蛍光灯やLEDランプなどの室内光で効率よく発電する素子がより求められており、蛍光灯やLEDの発光波長に適した吸収を有する材料の開発が進められている。(非特許文献1)
【0003】
一方で、環境発電素子の需要拡大に伴い、室内用途だけでなく、屋外での使用も検討されている。それに伴い、室内光および屋外光の両光源/照度において効率の良い環境発電素子用の材料やデバイスが求められている。
【0004】
また、耐熱性の高い光電変換素子として、特許文献1には、チオフェン骨格とベンゾジチオフェン骨格を主鎖に有する特定の第一の材料と、フラーレン骨格を有する第二の材料とを有する光電変換層を有する光電変換素子が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は上記課題を鑑み、室内光および屋外光両光源/照度において、高い発電力を示す環境発電素子としての光電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光電変換素子は、以下のとおりである。
(1)基板上に、光電変換層を有する光電変換素子であって、前記光電変換層は、下記一般式(1)で表される有機材料(A)、繰り返し単位構造を持ちかつ最高占有分子軌道のエネルギー準位(HOMO)が5.0eV以上である電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)を含有し、前記有機材料(A)、電子供与性材料(B)、電子受容性材料(C)の質量比率が、(A+B):C=1.0:1.0から3.0:1.0である光電変換素子。
【化1】
(前記一般式(1)中、R
1は炭素数2~8のアルキル基を表す。nは1~2の整数を表す。X1及びX2は水素原子、またはハロゲン原子を表す。Aは下記一般式(2)、一般式(3)、または一般式(4)で表され、R
2~R
4は炭素数8~22のアルキル基を表す。)
【化2】
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、室内光源および屋外光源の両方で高効率な特性を示す優れた光電変換性能を示す光電変換素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る光電変換素子の一実施の形態における構成を示す概略断面図である。
【
図2】光電変換素子を搭載した機器の基本構成の一例を示す概略図である。
【
図3】光電変換素子を搭載した機器の電源ICを有する構成を示す概略図である。
【
図4】光電変換素子を搭載した機器の電源ICと機器回路の間に蓄電デバイスを搭載した他の構成を示す概略図である。
【
図5】従来機器の商用電源に接続し、直流電流を機器の回路に供給して動作する機器の構成を示す概略図である。
【
図6】従来機器の装置内に電池を搭載し、電池の電力にて動作する機器の構成を示す概略図である。
【
図7】光電変換素子と光電変換素子用の電源ICを接続する電源モジュールの一例を示す概略図である。
【
図8】光電変換素子と光電変換素子用の電源ICと蓄電デバイスとを接続する電源モジュールの一例を示す概略図である。
【
図9】光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせて、マウスの制御回路の電源に接続した例の概略を示す図である。
【
図10】マウスに光電変換素子を実装させるイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明に係る光電変換素子について図面を参照しながら説明する。なお本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果をそうする限り本発明の範囲に含まれるものである。
本発明において光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子あるいは電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子を表し、具体的には太陽電池あるいはフォトダイオード等が挙げられる。
以下、詳細を説明する。
【0010】
本発明は、下記の(1)の光電変換素子に係るものであるが、下記の(2)~(8)も実施の形態として含む。
(1)基板上に、光電変換層を有する光電変換素子であって、前記光電変換層は、下記一般式(1)で表される有機材料(A)、繰り返し単位構造を持ちかつ最高占有分子軌道のエネルギー準位(HOMO)が5.0eV以上である電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)を含有し、前記有機材料(A)、電子供与性材料(B)、電子受容性材料(C)の質量比率が、(A+B):C=1.0:1.0から3.0:1.0である光電変換素子。
【化1】
(前記一般式(1)中、R
1は炭素数2~8のアルキル基を表す。nは1~2の整数を表す。X1及びX2は水素原子、またはハロゲン原子を表す。Aは下記一般式(2)、一般式(3)、または一般式(4)で表され、R
2~R
4は炭素数8~22のアルキル基を表す。)
【化2】
(2)前記電子受容性材料(C)がフラーレン誘導体である前記(1)に記載の光電変換素子。
(3)前記光電変換素子が、基板上に、第一の電極、少なくとも1つの電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、第二の電極を有する光電変換素子である前記(1)または(2)に記載の光電変換素子。
(4)前記電子輸送層が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズから選択される金属酸化物を含む前記(3)に記載の光電変換素子。
(5)前記正孔輸送層が、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、から選択される金属酸化物を含む前記(3)または(4)に記載の光電変換素子。
(6)前記電子輸送層が、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズから選択される金属酸化物を含む第一の層と、前記第一の層と前記光電変換層との間に設けられた第二の層からなり、前記第二の層は、下記一般式(5)で示されるアミン化合物を含む前記(3)~(5)のいずれかに記載の光電変換素子。
【化3】
(前記一般式(5)中、R
5、R
6は炭素数1~4のアルキル基を表し、Xは炭素数が6~14の2価の芳香族基または炭素数が1~4のアルキレン基を表す。R
5とR
6は結合して環を形成しても良い。Aは下記置換基のいずれかを表す。)
【化4】
(7)前記(1)~(6)のいずれかに記載の光電変換素子を搭載し、前記光電変換素子によって発生された電力で動作する機器。
(8)前記(1)~(6)のいずれかに記載の光電変換素子を搭載した電源モジュール。
【0011】
《有機材料(A)》
本発明の光電変換素子の光電変換層に含有される有機材料(A)は、下記一般式(1)で表される。
【化1】
(前記一般式(1)中、R
1は炭素数2~8のアルキル基を表す。nは1~2の整数を表す。X1及びX2は水素原子、またはハロゲン原子を表す。Aは下記一般式(2)、一般式(3)、または一般式(4)で表され、R
2~R
4は炭素数8~22のアルキル基を表す。)
【化2】
【0012】
R1は炭素数2~8のアルキル基を示すが、そのアルキル基としては、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基が挙げられるが、n-ヘキシル基が好ましい。R2,R3,R4は炭素数8~22のアルキル基を表すが、そのアルキル基としては、分岐していてもよく、好ましくは分岐しているアルキル基であり、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-オクチルドデシル等が挙げられ、R2については、好ましくは2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、R3、R4については好ましくは2-オクチルドデシル基が挙げられる。
nは1~2の整数を表すが、2が好ましい。
X1及びX2は水素原子もしくはハロゲン原子であるが、好ましくは水素原子もしくはヨウ素原子である。
上記一般式(1)において、R1、n、X1、X2としては、複数存在する。それらは、それぞれ異なっていても良いが、同じであることが好ましい。
【0013】
前記一般式(1)で表される有機材料としては、具体的には、下記の構造式で表される化合物などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
(電子受容性材料(C))
電子受容性材料(C)としては、N型半導体材料、例えば、フラーレン、フラーレン誘導体などが挙げられる。これらの中でも、電荷分離、電荷輸送の点から、フラーレン誘導体が好ましい。
前記フラーレン誘導体としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、PC71BM(フェニルC71酪酸メチルエステル)、PC61BM(フェニルC61酪酸メチルエステル)、フラーレンインデン2付加体などが挙げられる。
なお、前記N型半導体材料だけではなく、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機化合物を用いてもよい。
前記電子受容性材料(C)の含有量は、光電変換層用溶液全量に対して、0.5質量%~10質量%が好ましい。
【0019】
《電子供与性材料(B)》
電子供与性材料(B)は、繰り返し単位構造を有する共役高分子材料であり、かつ最高占有分子軌道のエネルギー準位(HOMO)が5.0eV以上であれば、特に限定されない。最高占有分子軌道のエネルギー準位(HOMO)は、5.0~5.6eVであることが好ましい。例えば、2,1,3-ベンゾチアジアゾール系共重合体、キノキサリン-チオフェン系共重合体、チオフェンーベンゾジチオフェン系共重合体、ポリフルオレン系重合体などが挙げられる。
2,1,3-ベンゾチアジアゾール系共重合体とは、2,1,3-ベンゾチアジアゾール骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。2,1,3-ベンゾチアジアゾール系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1~1000の整数を示す。
【0020】
【0021】
キノキサリン-チオフェン系共重合体とは、チオフェン骨格とキノキサリン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。キノキサリン-チオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1~1000の整数を示す。
【化6】
【0022】
チオフェン-ベンゾジチオフェン系重合体とは、チオフェン骨格とベンゾジチオフェン骨格を主鎖に有する共役系共重合体を指す。チオフェン-ベンゾジチオフェン系共重合体として、具体的には下記のような構造が挙げられる。下記式において、nは1~1000の整数を示す。
【化7】
【0023】
<光電変換層>
光電変換層としては、上記一般式(1)で表される有機材料(A)、繰り返し単位構造を持ちかつ最高占有分子軌道のエネルギー準位(HOMO)が5.0eV以上である電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電子供与性材料(B)の最高占有分子軌道は、光電子収量分光法による測定、サイクリックボルタンメトリー法による測定などによって計測することができる。具体的には理研計器AC-3などの装置が挙げられる。
【0024】
光電変換層の平均厚みは、50nm~400nmが好ましく、100nm~300nmがより好ましい。前記平均厚みが、50nm以上であると、光電変換層による光吸収が多くキャリア発生が充分となり、400nm以下であると、光吸収により発生したキャリアの輸送効率が低下することがない。
【0025】
本発明においては、前記有機材料(A)、電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)を、順次、形成して平面的な接合界面を形成させてもよいが、接合界面面積を大きくするため、これらを三次元的に混合させたバルクへテロ接合を形成させることが好ましい。
前記バルクヘテロ接合を形成するためには、溶解性の高い材料の場合には溶剤に溶かし、有機材料(A)、電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)が分子状で混合された溶液を作製し、塗布後に乾燥させて溶剤を除去して形成することが可能である。更に加熱処理をして、各々の半導体の凝集状態を最適化することもできる。
なお、溶解性が乏しい材料を用いる場合にも、本発明の前記有機材料が溶解した溶媒に分散させた溶液を作製し、塗布により混合層を形成することができる。この場合、更に加熱処理をして、各々の半導体の凝集状態を最適化することもできる。
【0026】
前記有機材料(A)、電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)を混合して光電変換層を形成する場合は、前記有機材料(A)と電子供与性材料(B)と電子受容性材料(C)とを所望の質量比率で溶媒に添加し、加熱、撹拌、超音波照射などの方法を用いて溶解させて溶液を作り、電極上に塗布する。この場合、2種以上の溶媒を混合して用いることで光起電力素子の光電変換効率を向上させることもできる。その比率は、有機材料(A)、電子供与性材料(B)、電子受容性材料(C)の質量比率が、(A+B):C=1.0:1.0から3.0:1.0であり、さらには1.2:1.0から2.0:1.0であることが好ましい。さらに電子供与性材料(B)は有機材料(A)に対して20質量%以内が好ましく、さらには10質量%以内がより好ましい。
【0027】
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、キシレン、o-クロロフェノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、クロロベンゼン、クロロホルム、オルトジクロロベンゼンが好ましい。
【0028】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,8-ジヨードオクタン、1,8-オクタンジチオール、1-クロロナフタレン等の各種添加剤などが挙げられる。
【0029】
前記光電変換層の形成方法としては、例えば、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法などが挙げられる。これらの中から、厚み制御や配向制御など、作製しようとする有機材料薄膜の特性に応じて適宜選択することができる。
【0030】
例えば、有機材料(A)、電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)が10mg/mL~100mg/mLの濃度(前記有機材料(A)、電子供与性材料(B)と電子受容性材料(C)と溶媒を含む溶液の体積に対する、有機材料(A)、電子供与性材料(B)と電子受容性材料(C)の質量)であることが好ましく、この濃度にすることで均質な光電変換層を容易に作製することができる。
【0031】
作製した光電変換層に対して、有機溶媒を除去するために、減圧下又は不活性雰囲気下(窒素、アルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。前記アニーリング処理の温度は、40℃~300℃が好ましく、50℃~150℃がより好ましい。また、前記アニーリング処理を行うことで、積層した層が界面で互いに浸透して接触する実行面積が増加し、短絡電流を増大させることができる場合がある。なお、前記アニーリング処理は、電極の形成後に行ってもよい。
【0032】
(光電変換素子)
本発明の光電変換素子は、基板上に光電変換層を有する。基板上に第一の電極、電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、第二の電極を有することが好ましい。基板上に第一の電極、電子輸送層、光電変換層、正孔輸送層、第二の電極が順次積層されてなる光電変換素子、又は基板上に第一の電極、正孔輸送層、光電変換層、電子輸送層、第二の電極が順次積層されてなる光電変換素子であることが好ましく、前記光電変換層が有機材料(A)、電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)を含有する。
【0033】
ここで、本発明の光電変換素子について図面を参照して説明する。
図1は、基板1上に、第一の電極2、電子輸送層3、光電変換層4、正孔輸送層5、第二の電極6が順次設けられた構成である。また、前記とは電荷の取り出し方向が逆であるような構成(基板1上に、第一の電極2、正孔輸送層5、光電変換層4、電子輸送層3、第二の電極6が順次設けられた構成)でも構わない。
【0034】
<基板>
本発明に用いられる基板としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができる。基板1は透明な材質のものが好ましく、例えばガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体等が挙げられる。
【0035】
<電極>
電極は、第一の電極2及び第二の電極6の少なくともいずれか一方は可視光に対して透明なものを使用し、他方は透明であっても不透明であっても構わない。
前記可視光に対して透明な電極としては、特に制限はなく、通常の光電変換素子又は液晶パネル等に用いられる公知のものを使用でき、例えば、スズドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と称する)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、「FTO」と称する)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、「ATO」と称する)、アルミニウムやガリウムがドープされた酸化亜鉛(以下、それぞれを「AZO」、「GZO」と称する)等の導電性金属酸化物が挙げられる。
前記可視光に対して透明な電極の平均厚みは、5nm~10μmが好ましく、50nm~1μmがより好ましい。
【0036】
前記可視光に対して透明な電極は、一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板上に設けることが好ましく、電極と基板が一体となっているものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜などが挙げられる。
前記可視光に対して透明な電極は、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものや、カーボンナノチューブ、グラフェン等を透明性を有する程度に積層したものでもよい。これらは1種単独あるいは2種以上の混合、又は積層したものでも構わない。
【0037】
更に、基板抵抗を下げる目的で、金属リード線等を用いてもよい。前記金属リード線の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。前記金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法が挙げられる。
【0038】
第一の電極及び第二の電極のいずれか一方に不透明な電極を用いる場合としては、例えば、白金、金、銀、銅、Al等の金属やグラファイトが挙げられる。前記不透明な電極の場合、厚みとしては、特に制限はなく、また、1種単独あるいは2種以上の積層構成で用いても構わない。
【0039】
<電子輸送層(第一の層)>
電子輸送層を形成する材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子受容性有機材料(例えば、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン化合物、CNT、CN-PPV等)、酸化亜鉛、酸化チタン、フッ化リチウム、カルシウム金属等の無機材料をゾルゲル法やスパッタリングで形成して用いることができる。これらの中でも、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等の金属酸化物が好ましい。これらの金属酸化物は他の金属でドープされていても構わない。前記電子輸送層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、できるだけ全面を薄く覆うことが好ましく、10nm~100nmがより好ましい。
【0040】
<電子輸送層(第二の層)>
電子輸送層は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等の金属酸化物を含む第一の層と、第一の層と前記光電変換層との間に設けられた第二の層からなり、第二の層は、下記一般式(5)で示されるアミン化合物を含むことが好ましい。
【化3】
(前記一般式(5)中、R
5、R
6は炭素数1~4のアルキル基を表し、Xは炭素数が6~14の2価の芳香族基または炭素数が1~4のアルキレン基を表す。R
5とR
6は結合して環を形成しても良い。Aは下記置換基のいずれかを表す。)
【化4】
【0041】
前記一般式(5)におけるAとしては、-COOHが好ましく、電子輸送層上に塩基性カルボン酸を製膜しても良い。塩基性カルボン酸の具体例としては、4-(N,N-ジメチルアミノ)-安息香酸、4-(N,N-ジエチルアミノ)-安息香酸、4-(N,N-ジベンジルアミノ)-安息香酸等が挙げられる。
【0042】
<正孔輸送層>
正孔輸送層を設けて、正孔の収集効率を向上させることができる。具体的には、PEDOT:PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸)のような導電性高分子、芳香族アミン誘導体のようなホール輸送性有機化合物、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニッケル等の正孔輸送性を有する無機化合物をスピンコート、ゾルゲル法やスパッタリング、真空蒸着で形成する。本発明においては酸化モリブデンを設けることが好ましい。
前記正孔輸送層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、できるだけ全面を薄く覆うことが好ましく、1nm~50nmがより好ましい。
【0043】
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガスバリア層、保護層、パッシベーション層などが挙げられる。
前記ガスバリア層、保護層、パッシベーション層の材料としては、例えば、窒化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物などが挙げられる。
【0044】
本発明の光電変換素子は、1つ以上の中間電極を介して2層以上の光電変換層を積層(タンデム化)して直列接合を形成してもよい。
例えば、基板/第一の電極/正孔輸送層/第一の光電変換層/中間電極/第二の光電変換層/電子輸送層/第二の電極という積層構成などが挙げられる。このように積層することにより、開放電圧を向上させることができる。
このような積層構成の場合には、光電変換層の少なくとも1層が前記一般式(1)で表される有機材料(A)、繰り返し単位構造を持ちかつ最高占有分子軌道のエネルギー準位(HOMO)が5.0eV以上である電子供与性材料(B)、及び電子受容性材料(C)を含み、他の層には、短絡電流を低下させないために、前記一般式(1)で表される有機材料(A)とは吸収波長の異なる他の有機材料を含むことが好ましい。
【0045】
前記一般式(1)で表される有機材料(A)とは吸収波長の異なる他の有機材料としては、例えば、ポリチオフェン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリフルオレン化合物、ポリフェニレン化合物等の高分子材料、各種ポルフィリンやフタロシアニン等の低分子材料などが挙げられる。
【0046】
《用途》
近年、特に環境発電素子としては、微弱な光でも効率よく発電する光電変換素子が必要とされている。微弱光の代表として、LEDライトや蛍光灯などが挙げられる。それらは主に室内で用いられ、特に室内光と呼ぶ。それらの光の照度は20Luxから1000Lux程度であり、太陽の直射光(およそ100000Lux)と比較し、非常に微弱な光である。
本発明の光電変換素子は、上記室内光のような微弱光や太陽光のような強い光の場合であっても高い変換効率を示し、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより電源装置に応用できる。
【0047】
図2に光電変換素子を搭載した機器の基本構成を示す。これに示した光電変換素子は光を受けると電力を発生する。機器の回路はその電力をうけて動作する事が可能になる。
また通常、光電変換素子は周囲の照度によって出力が変化する。回路側に安定した電圧を供給するために、光電変換素子と機器の回路の間に光電変換素子用の電源ICを入れることが一般的である。この構成が
図3である。
【0048】
さらに光電変換素子に光が当たらず、電力を発生できない場合に備えて、キャパシタ等の蓄電デバイスを電源ICと機器回路の間に搭載することによって、光電変換素子からの余剰電力を蓄電デバイスに充電することが可能となり、光電変換素子に光が当たらない場合は、蓄電デバイスに蓄えられた電力を機器回路に供給することで動作が可能となる。この構成が
図4となる。
【0049】
図5、6は従来機器の構成を示す。
従来機器は商用電源に接続し、直流電源に変換して機器の回路に供給して動作する。(
図5)もしくは装置内に電池を搭載し、電池の電力にて動作する。(
図6)
ただし従来機器では商用電源に接続できないと動作することができず、また電池で駆動する装置も電池切れになった場合は電池交換の作業が必要となる。
図2~4の機器であれば、商用電源がない環境でも動作可能であり、また電池交換をすることなく、機器を動作し続けることが可能となる。
【0050】
図7、8に本発明の電源モジュールの一例の概略を示す。
光電変換素子と光電変換素子用の電源ICを接続する(
図7)これにより光電変換素子が光を受けて発生させた電力を電源ICにて一定の電圧レベルで供給できる直流電源モジュールを構成することができる。さらに電源ICの出力に蓄電デバイスを追加する(
図8)ことで、光電変換素子が発生させた電力を蓄電デバイスに充電することで、光が当たっていない状態でも電力を供給可能な電源モジュールを構成することができる。
図7、8の電源モジュールは従来の一次電池のように電池交換をすることなく、電源モジュールとして使用し続ける事が可能である。
【0051】
このような電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機や腕時計が挙げられる。この他、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換素子を有する電源装置を適用することができる。また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として本発明の光電変換素子を有する電源装置を用いることもできる。さらには、イメージセンサーとして応用も可能である。また前記電子機器等のウェアラブル化が進んでおり、電源装置のフレキシブル化が求められており、環境発電素子もその例に漏れない。本発明はそのようなフレキシブル性を要求される電子機器の電源および補助電源として十分に使用することができるが、要求されないものにも使用することができる。
【実施例】
【0052】
〔比較例1〕
(光電変換層塗工液の作製)
例示化合物2を19mg、P3HT(ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、aldrich社製,Mn=54,000、HOMO4.8eV)1mg,PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
(透明電極)
ITO150nmが製膜されたガラス基板をジオマテック社より調達した。
【0053】
(太陽電池の作製)
1.電子輸送層形成
酸化亜鉛ナノ粒子(aldrich社製、平均粒子径12nm)をITO製膜済みガラス(15Ω/□)上に3000rpmでスピンコートし、80℃で10分乾燥させ膜厚約30nmの電子輸送層を形成した。
2.光電変換層形成
その上に、光電変換層塗工液を1000rpmでスピンコートし、およそ150nmの光電変換層を形成した。
3.正孔輸送層形成、上部電極形成
光電変換層上に酸化モリブデン(高純度化学社製)を10nm、銀を100nm順次真空蒸着にて形成して太陽電池素子を作製した。
【0054】
(太陽電池特性評価)
得られた素子の白色LED照射下(0.07mW/cm2)における変換効率およびAM1.5(100mW/cm2)における変換効率を測定した。
白色LEDはコスモテクノ社製デスクランプCDS-90α、AM1.5は分光計器製疑似太陽光照射装置、評価機器はNF回路設計ブロック社製太陽電池評価システムAs-510-PV03にて測定した。LED光源の出力の測定はセコニック社製分光色彩照度計C-7000を用いた。結果を表2に示す。
【0055】
〔比較例2〕
比較例1において、電子輸送層上にジメチルアミノ安息香酸を1mg/mlでエタノールに溶解させた液を3000rpmでスピンコートを用いて製膜した。それ以外は比較例1と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
【0056】
〔実施例1〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Aに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Aの作製)
例示化合物2を19mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0057】
〔実施例2〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Bに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Bの作製)
例示化合物2を19mg,F8BT(ossila製、HOMO:5.9eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0058】
〔実施例3〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Cに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Cの作製)
例示化合物2を19mg,PBDTTPD(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0059】
〔実施例4〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Dに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Dの作製)
例示化合物2を19mg,PTB7(ossila製、HOMO:5.1eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0060】
〔実施例5〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Eに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Eの作製)
例示化合物2を19mg,PCE-10(ossila製、HOMO:5.2eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0061】
〔実施例6〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Fに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Fの作製)
例示化合物1を19mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0062】
〔実施例7〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Gに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Gの作製)
例示化合物4を19mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0063】
〔実施例8〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Hに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Hの作製)
例示化合物6を19mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0064】
〔実施例9〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Iに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Iの作製)
例示化合物14を19mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0065】
〔実施例10〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Jに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Jの作製)
例示化合物16を19mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0066】
〔実施例11〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Kに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Kの作製)
例示化合物2を18mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、2mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0067】
〔実施例12〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Lに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Lの作製)
例示化合物2を14mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム0.8mlに溶解させた。
【0068】
〔実施例13〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Mに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Mの作製)
例示化合物2を24mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1.2mlに溶解させた。
【0069】
〔実施例14〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Nに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Nの作製)
例示化合物2を29mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、1mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1.3mlに溶解させた。
【0070】
〔実施例15〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Oに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Oの作製)
例示化合物2を17mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、3mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0071】
〔比較例3〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Pに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Pの作製)
例示化合物2を36mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、4mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1.7mlに溶解させた。
【0072】
〔比較例4〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Qに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Qの作製)
例示化合物2を8mg,PCDTBT(ossila製、HOMO:5.4eV)、0.8mg、PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム0.6mlに溶解させた。
【0073】
〔比較例5〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Rに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Rの作製)
例示化合物2を20mg,PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0074】
〔比較例6〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Sに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Sの作製)
例示化合物4を20mg,PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロホルム1mlに溶解させた。
【0075】
〔比較例7〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Uに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Uの作製)
PTB7(ossila社製)12mg,PC61BM(aldrich社製)18mgを1,8-ジヨードオクタンを3vol%含むクロロベンゼン1mlに溶解させた。
【0076】
〔比較例8〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Vに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Vの作製)
PCDTBT(ossila社製)12mg,PC61BM(aldrich社製)18mgをクロロベンゼン1mlに溶解させた。
【0077】
〔比較例9〕
比較例2において、光電変換層塗工液を下記Wに変更した以外は比較例2と同様にして評価を行った結果を表2に示す。
(光電変換層塗工液Wの作製)
P3HT(ossila社製)15mg,PC61BM(aldrich社製)10mgをクロロベンゼン0.67mlに溶解させた。
【0078】
【0079】
〔実施例20〕
実施例2に記載の光電変換素子構成において、光電変換素子と電源IC、蓄電デバイスを組み合わせて、これから供給される電力をマウスの制御回路の電源に接続した。(
図9)これによりマウスを使用していない時に充電させ、その電力でマウスを動作させることができ、電池交換を不要にすることが可能となる。
図10にはマウスに光電変換素子を実装させるイメージを示す。光電変換素子及び電源IC、蓄電デバイスはマウス内部に実装されるが、光電変換素子に光が当たるように光電変換素子の上部は透明のカバーで覆っている。
【0080】
このように本発明で得られた構成で作製した光電変換素子は、比較光電変換素子と比較して、低照度LEDにおいても、疑似太陽光AM1.5においても高い変換効率を有していることがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【非特許文献】
【0082】
【文献】Applied Physics letters 108, 253301 (2016)