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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】永久磁石型ロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20221109BHJP
【FI】
H02K1/276
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019021179
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020129882
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 優
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-261167(JP,A)
【文献】特開2007-312449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石型のロータ(100,100a)であって、
強磁性体のコア材で形成された中空円筒状のロータコア(110)と、
前記ロータコアに保持されて、前記ロータの外周面に複数の磁極(130N,130S)を構成する複数の永久磁石(121~124)と、
を備え、
前記複数の永久磁石のうち、1磁極を構成する永久磁石群は、
前記ロータの径方向に着磁された第1磁石(121,121a,121b)と、
前記第1磁石よりも前記ロータコアの内側に配置され、前記ロータの径方向に着磁された第2磁石(122,122a,122b)と、
前記第1磁石の両側にそれぞれ配置され、前記ロータの外周面での前記第1磁石による磁束密度を高めるように、前記ロータの周方向に着磁された第3磁石(123)と、
前記第2磁石の両側にそれぞれ配置され、前記ロータの周方向に着磁された第4磁石(124,124a,124b)と、
を含み、
前記ロータコアは、前記第1磁石と前記第2磁石との間の部分から前記第3磁石と前記第4磁石との間の部分を経由して前記ロータの外周面に達する磁路に沿って連続する共通コア部(112)を有する、ロータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータであって、
前記第3磁石は、前記第1磁石の両側面にそれぞれ接した状態で配置され、
前記第3磁石の径方向の寸法(H123)は、前記第1磁石の径方向の寸法(H121)以上である、ロータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータであって、
前記第4磁石は、前記第2磁石の両側面にそれぞれ接した状態で配置され、
前記第4磁石の径方向の寸法(H124)は、前記第2磁石の径方向の寸法(H122)以上である、ロータ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のロータであって、
前記第4磁石は、前記ロータの周方向に沿って隣り合う第1部分(124a)と第2部分(124b)とに分割されており、前記第4磁石の前記第1部分は前記1磁極を構成し、前記第4磁石の前記第2部分は前記1磁極に隣接する他の磁極を構成し、前記第4磁石の前記第1部分と前記第2部分との間には前記ロータコアの一部(C4)が存在する、ロータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のロータであって、
前記第1磁石は、前記ロータの周方向に沿って隣り合う第1部分(121a)と第2部分(121b)とに分割されており、前記第1磁石の前記第1部分と前記第2部分との間には前記ロータコアの一部である第1コア部(C1)が存在する、ロータ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のロータであって、
前記第2磁石は、前記ロータの周方向に沿って隣り合う第1部分(122a)と第2部分(122b)とに分割されており、前記第2磁石の前記第1部分と前記第2部分との間には前記ロータコアの一部である第2コア部(C2)が存在する、ロータ。
【請求項7】
請求項5に従属する請求項6に記載のロータであって、
前記ロータの周方向に沿った前記第2コア部の寸法(W2)は、前記ロータの周方向に沿った前記第1コア部の寸法(W1)よりも大きい、ロータ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のロータであって、
前記共通コア部は、前記第1磁石と前記第2磁石との間の距離に相当する前記共通コア部の寸法(L1)が、前記第3磁石と前記第4磁石との間の距離に相当する前記共通コア部の寸法(L2)よりも大きい、ロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動機に用いられる永久磁石型ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、複数の永久磁石と複数のコア片とを有する永久磁石型ロータが開示されている。複数の永久磁石は、2つのコア片の間に配置される第1の永久磁石と、2つのコア片の両側に配置される第2の永久磁石を有する。第1の永久磁石は半径方向に沿って着磁され、第2の永久磁石は周方向に着磁されている。第1の永久磁石の両側にあるコア片の一面はロータ表面に現れており、他の面は第1及び第2の永久磁石の側面と接触している。第2の永久磁石とコア片との接触面は、径方向に延びている。コア片は、第2の永久磁石と接触する接触面の面積が、ロータ表面に現れているコア片の表面積よりも大きく形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5194984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術の永久磁石型ロータの構造では、更にトルクを高めようとすると、ロータの外周面に現れるコア片の表面における磁束密度を高めるために、第2の永久磁石と接触するコア片の接触面の面積を増大させる必要が生じる。しかし、このような接触面の面積の増大は、コア片の径方向の寸法の増大を意味するので、ロータ重量が過度に増加してしまう可能性があるという問題がある。そこで、上述した従来技術と異なる構造でロータの磁束密度を高める技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、永久磁石型のロータ(100)が提供される。このロータは、強磁性体のコア材で形成された中空円筒状のロータコア(110)と、前記ロータコアに保持されて、前記ロータの外周面に複数の磁極(130N,130S)を構成する複数の永久磁石(121~124)と、を備える。前記複数の永久磁石のうち、1磁極を構成する永久磁石群(120)は、前記ロータの径方向に着磁された第1磁石(121)と、前記第1磁石よりも前記ロータコアの内側に配置され、前記ロータの径方向に着磁された第2磁石(122)と、前記第1磁石の両側にそれぞれ配置され、前記ロータの外周面での前記第1磁石による磁束密度を高めるように、前記ロータの周方向に着磁された第3磁石(123)と、前記第2磁石の両側にそれぞれ配置され、前記ロータの周方向に着磁された第4磁石(124)と、を含む。前記ロータコアは、前記第1磁石と前記第2磁石との間の部分から前記第3磁石と前記第4磁石との間の部分を経由して前記ロータの外周面に達する磁路に沿って連続する共通コア部(112)を有する。
【0006】
この永久磁石型ロータによれば、電機子(ステータ)からの磁界を受けると、共通コア部に電機子磁束が流れようとし、この電機子磁束によって磁石磁束の方向が傾いてコア表面に流れようとするので、ロータの外周面における磁束密度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の永久磁石型モータの構成を示す断面図。
図2】永久磁石型ロータの一部拡大図。
図3】電機子磁束が無い状態における磁極の磁束を示す説明図。
図4】電機子磁束がある状態における磁極の磁束を示す説明図。
図5】第2実施形態の永久磁石型ロータの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1に示すように、第1実施形態の永久磁石型モータ300は、永久磁石型ロータ100と、ステータ200とを備える。以下では、永久磁石型ロータ100を単に「ロータ100」と呼ぶ。
【0009】
ロータ100は、強磁性体のコア材で形成されたロータコア110と、ロータコア110内に保持されてロータ100の外周面に複数の磁極を構成する永久磁石群120と、を備える。ロータコア110は、円板状又は円環状のコアシートとして形成された複数のコア材を積層することによって構成されており、全体として中空円筒状を有している。コア材は、通常は軟磁性体で形成されている。永久磁石群120は、コア材によってロータコア110内に保持されている。後述するように、1極を構成する永久磁石群120は、第1磁石121と、第2磁石122と、第3磁石123と、第4磁石124とを含む。ロータ100内の複数の第1磁石121は、ロータ100の中心軸CXを中心とした回転対称の位置に配置されている。他の磁石122~124も同様である。1極を構成する磁石121~124の配置や寸法については後述する。
【0010】
ステータ200は、ロータ100の外周面からロータギャップを隔てて配置されており、複数のスロット220が設けられたステーコア210と、各スロット220内に収容された電磁コイル230とを有する。
【0011】
図1の例では、ロータ100の磁極数は12であり、ステータ200のスロット数は36であるが、これらは任意の所望の値に設定可能である。また、第1実施形態のロータ100は、ロータコア110の中に永久磁石が埋め込まれている埋込磁石型ロータであるが、本開示はロータコア110の表面に永久磁石の一部が露出している表面磁石型ロータにも適用可能である。
【0012】
図2に示すように、ロータ100の外周面には、複数の磁極130N,130Sが形成されている。第1の磁極130NはN極であり、第2の磁極130SはS極である。これらの磁極130N,130Sは、交互に配置されている。
【0013】
1つの磁極130Nを構成する永久磁石群は、第1磁石121と、第2磁石122と、第3磁石123と、第4磁石124とを含む。各磁石121~124に描かれている白抜きの矢印は、着磁方向を示している。第1磁石121は、ロータ100の径方向に平行な方向に着磁されている。磁極130Nを構成する第1磁石121では、その着磁方向はロータ100の中心軸CXから外側に向かう方向である。第2磁石122は、第1磁石121よりもロータコア110の内側に配置されており、第1磁石121と同じ方向に着磁されている。なお、「第1磁石121よりもロータコア110の内側」とは、ロータ100の中心軸CXにより近い位置を意味する。第3磁石123は、第1磁石121の両側にそれぞれ配置されており、第1磁石121によるロータ100の外周面での磁束密度を高めるように、ロータ100の周方向に平行な方向に着磁されている。磁極130Nを構成する第3磁石123では、その着磁方向は第3磁石123から第1磁石121に向かう方向である。なお、第1磁石121の両側に配置された2つの第3磁石123の着磁方向は、互いに反対向きである。「第1磁石121の両側に配置された」とは、ロータ100の周方向に沿って第1磁石121と隣接する位置にそれぞれ配置されていることを意味する。第4磁石124は、第2磁石122の両側にそれぞれ配置されており、第3磁石123と同じ第2方向に着磁されている。第2磁石122の両側に設けられた2つの第4磁石124の着磁方向も、互いに反対向きである。なお、第4磁石124の一部は、第2の磁極130Sを構成する磁石としても機能する。すなわち、ロータ100の径方向と中心軸方向とに平行な面で第4磁石124を仮想的に切断した2つの部分のうちの一方が第1の磁極130Nを構成しており、他方が第2の磁極130Sを構成していると考えることができる。
【0014】
図2において、第2の磁極130Sを構成する磁石121~124には、それぞれの周方向の寸法W121~W124と、径方向の寸法H121~H124が示されている。本明細書において、或る磁石の「周方向の寸法」は、ロータ100の中心軸CXからその磁石の両端を見込む角度[ラジアン]で表される。例えば、或る磁石が1/12の円環状の形状を有する場合には、その磁石の周方向の寸法は、π/6である。また、或る磁石の「径方向の寸法」は、ロータ100の中心軸CXから外側に放射状に延びる半径に沿って測ったその磁石の長さで表される。
【0015】
第2磁石122の周方向の寸法W122は、第1磁石121の周方向の寸法W121よりも大きい。また、第2磁石122の周方向の寸法W122は、更に、第1磁石121とその両側にある2つの第3磁石123とを合わせた周方向の寸法(W121+2×W123)よりも大きい。第3磁石123の径方向の寸法H123は、第1磁石121の径方向の寸法H121よりも大きい。第1磁石121の側面は、第1磁石121の両側にある第3磁石123の側面によってそれぞれ覆われている。これは、第3磁石123によって第1磁石121の磁束密度を十分に高めるためである。ここで、各磁石の「側面」は、ロータ100の半径方向と中心軸方向とに平行な面を意味する。第4磁石124の径方向の寸法H124は、第2磁石122の径方向の寸法H122よりも大きい。これも、第4磁石124によって第2磁石122の磁束密度を十分に高めるためである。なお、第4磁石124の周方向の寸法W124は任意に設定可能である。なお、これらの磁石121~124の配置や寸法の関係は一例であり、他の配置や寸法に設定してもよい。
【0016】
第2の磁極130Sも第1の磁極130Nと同じ磁石構造を有しているが、各磁石の着磁方向は上述した第1の磁極130Nにおける着磁方向と逆である。
【0017】
ロータコア110は、第1磁石121と第2磁石122との間の部分から、第3磁石123と第4磁石124との間の部分を経由してロータ100の外周面に達する磁路に沿って連続する共通コア部112を有する。第3磁石123と第4磁石124との間の部分は、第1磁石121と第2磁石122の間の部分の両側にそれぞれ連続している。従って、共通コア部112及びその磁路の全体は、略U字状に屈曲した形状を有する。また、第3磁石123と第4磁石124との間にある共通コア部112の一部は、ロータ100の外周面に露出している。
【0018】
第1実施形態では、共通コア部112の寸法にも工夫がなされている。具体的には、共通コア部112の寸法のうち、第1磁石121と第2磁石122との間の距離に相当する共通コア部112の第1の寸法L1が、第3磁石123と第4磁石124との間の距離に相当する共通コア部112の第2の寸法L2よりも大きい。この構成の利点は以下の通りである。すなわち、共通コア部112においては、共通コア部112の屈曲部において磁束が集中するので、ここで磁気飽和が生じ易い。上述したように、第1の寸法L1を第2の寸法L2よりも大きくすれば、第1磁石121と第2磁石122との間の距離に相当する共通コア部112の寸法L1が大きくなるので、共通コア部112の屈曲部において磁気飽和を生じ難くすることができる。この結果、ロータ100の外周面における磁束密度を高めることが可能である。但し、第1の寸法L1を第2の寸法L2以下としてもよい。
【0019】
ロータコア110は、更に、第1磁石121と第3磁石123の外側を覆う外周コア部114と、第2磁石122と第4磁石124の内側を覆う内周コア部116とを有することが好ましい。外周コア部114は、第1磁石121の外周側の磁束密度を高める機能を有する。内周コア部116は、ロータ100の機械的強度を高める機能を有する。
【0020】
第3磁石123は、第1磁石121の両側面にそれぞれ接した状態で配置されている。また、第3磁石123の径方向の寸法H123は、第1磁石121の径方向の寸法H121以上である。この構成によれば、第3磁石123によって第1磁石121による磁束密度を更に高めることができ、磁気飽和により第1磁石121の磁束密度が十分に高くならない現象を防止できる。但し、第3磁石123を、第1磁石121の両側面に接しない状態で配置してもよい。
【0021】
第4磁石124は、第2磁石122の両側面に接しておらず、離間した状態で配置されている。但し、第4磁石124は、第2磁石122の両側面にそれぞれ接した状態で配置されることが好ましい。このとき、第4磁石124の径方向の寸法H124は、第2磁石122の径方向の寸法H122以上であることが好ましい。この好ましい構成によれば、第4磁石124によって第2磁石122による磁束密度を更に高めることができ、磁気飽和により第2磁石122の磁束密度が十分に高くならない現象を防止できる。
【0022】
図3に示すように、第1の磁極130Nにおいて、電機子磁束が無い状態では、第2磁石122から外側に向かう磁束Ψ122は、第1磁石121と第3磁石123に向けて収束している。なお、「電機子磁束」とは、ステータ200の電磁コイル230に電流を流すことによって流れようとする磁束を意味する。永久磁石による磁束を「磁石磁束」と呼ぶ。第4磁石124から第3磁石123に向かう磁束Ψ124は、ほぼ周方向に平行か、又は、第3磁石123に向けて収束している。第1磁石121から外側に向かう磁束Ψ121は、ロータ100の径方向とほぼ平行である。また、ロータ100の外周面に露出している共通コア部112の露出面では、磁束がロータギャップに向けて発生していない。このように、電機子磁束が無い状態では、第1の磁極130Nにおいてロータギャップに向かう磁束は第1磁石121に起因する磁束Ψ121のみであり、ロータギャップに向かう磁束の発生面積が小さいので、第1の磁極130N全体の磁束密度が低い状態にある。これは第2の磁極130Sも同様である。なお、電機子磁束が無い状態でロータギャップに向かう磁束の発生面積が小さいことは、無負荷誘起電圧を抑制できることも意味している。すなわち、第1実施形態のロータ100では、無負荷誘起電圧を抑制できるという利点も有する。
【0023】
図4に示すように、白抜きの矢印で示す電機子磁束Ψacが流れようとする状態では、第1の磁極130Nの実質的な磁束は、この電機子磁束Ψacと図3で説明した各磁石による磁束とを合成したものとなる。このときの第1の磁極130Nの実質的な磁束は、図4において実線及び破線の矢印で示す方向に発生する。この結果、第1磁石121からロータギャップに向かう磁束のみでなく、共通コア部112の露出面からも磁束がロータギャップに向けて発生する。この結果、電機子磁束が流れようとする状態では、ロータギャップに向かう磁束の発生面積が大きくなり、第1の磁極130N全体の磁束密度が高まっている。これは第2の磁極130Sも同様である。従って、共通コア部112を設けることにより、ロータ重量を過度に増加させることなく磁束密度を高めることが可能である。なお、図4において、第1磁石121からロータギャップに向かう磁束の方向が傾いている理由は、電機子(ステータ)からの磁界を受けると、外周コア部114にも図示しない電機子磁束が流れようとするからである。
【0024】
以上のように、第1実施形態のロータ100によれば、電機子(ステータ)からの磁界を受けると、共通コア部112に電機子磁束Ψacが流れようとし、この電機子磁束Ψacによって磁石磁束の方向が傾いてコア表面に流れようとするので、ロータ100の外周面における磁束密度を高めることができる。
【0025】
B.第2実施形態:
図5に示すように、第2実施形態のロータ100aは、第1実施形態の第1磁石121と第2磁石122と第4磁石124とをそれぞれ2分割した構成を有しており、他の構成は第1実施形態と同じである。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0026】
2つに分割された第1磁石121の第1部分121aと第2部分121bの間には、第1コア部C1が存在する。この第1コア部C1は、ロータコア110の一部である。第1磁石121の第1部分121aと第2部分121bの間に第1コア部C1を設けるようにすれば、第1コア部C1によってロータ全体の強度を高めることができ、より高速回転に耐えることが可能である。
【0027】
同様に、2つに分割された第2磁石122の第1部分122aと第2部分122bの間には、第2コア部C2が存在する。この第2コア部C2も、ロータコア110の一部である。第2磁石122の第1部分122aと第2部分122bの間に第2コア部C2を設けるようにすれば、第2コア部C2によってロータ全体の強度を高めることができ、より高速回転に耐えることが可能である。
【0028】
ロータ100の周方向に沿った第2コア部C2の寸法W2は、第1コア部C1の寸法W1よりも大きいことが好ましい。第2コア部C2は第1コア部C1よりもロータコア110の内側にあるので、ロータ100の回転時に第1コア部C1よりも大きな重量を保持する役割を有し、第1コア部C1よりもより大きな力が掛かることになる。従って、第2コア部C2の周方向の寸法W2を第1コア部C1の周方向の寸法W1よりも大きくすることにより、より高速回転に耐えることが可能である。また、第1コア部C1の周方向の寸法W1をより小さくすれば、第1磁石121の分割による磁束密度の低下を抑制できるという利点もある。
【0029】
第4磁石124の第1部分124aと第2部分124bは、ロータ100の周方向に沿って隣り合っており、それらの間にはロータコア110を形成するロータコアの一部であるコア部C4が存在する。第4磁石124の第1部分124aは第1の磁極130Nを構成し、第4磁石124の第2部分124bは第1の磁極130Nに隣接する第2の磁極130Sを構成する。この構成によれば、第4磁石124の第1部分124aと第2部分124bの間にコア部C4が存在するので、電機子(ステータ)からの磁界を受けると、このコア部C4にも電機子磁束が流れようとし、この電機子磁束によって磁石磁束の方向が傾いてコア表面に流れようとするので、ロータ100の外周面における磁束密度を更に高めることができる。
【0030】
なお、第2実施形態のロータ100aは、第1実施形態の第1磁石121と第2磁石122と第4磁石124とをそれぞれ2分割した構成を有しているが、これらの3種類の磁石121,122,124のうちの1つ又は2つのみを分割してもよい。また、各磁石の分割数は、2に限らず、3以上の任意の数に設定可能である。
【0031】
本開示は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、開示の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
100,100a…永久磁石型ロータ、110…ロータコア、112…共通コア部、120…永久磁石群、121…第1磁石、121a…第1磁石の第1部分、121b…第1磁石の第2部分、122…第2磁石、122a…第2磁石の第1部分、122b…第2磁石の第2部分、123…第3磁石、124…第4磁石、124a…第4磁石の第1部分、124b…第4磁石の第2部分
図1
図2
図3
図4
図5