IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

特許7172693電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法
<>
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図1A
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図1B
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図2
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図3
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図4
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図5
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図6
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図7
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図8
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図9
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図10
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図11
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図12
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図13
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図14
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図15
  • 特許-電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20221109BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20221109BHJP
   H01L 31/0264 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 31/108 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01N27/00 Z
H01L31/02 D
H01L31/08 L
H01L31/08 M
H01L31/10 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019022769
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2020134133
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サナ アムリタ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博紀
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0328671(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0299933(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108767073(CN,A)
【文献】特開2007-273832(JP,A)
【文献】特開2011-171519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - 27/24
G01N 21/00 - 21/61
H01L 31/00 - 31/18
H01L 27/00 - 27/32
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を入射可能な光入射口を端部に備える透明基板、
入射光を表面プラズモンポラリトンに変換可能なプラズモン共鳴膜電極、
前記プラズモン共鳴膜電極の前記入射光側に配置されており、前記入射光を透過し、かつ、該透過した入射光が前記プラズモン共鳴膜電極と相互作用することによって前記プラズモン共鳴膜電極から放出されるホットエレクトロンを受け取り可能なn型透明半導体膜、及び
前記n型透明半導体膜から移動したホットエレクトロンを電気信号として取り出し可能な透明電極、
を備えるセンサチップと、
前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射可能な反射面と、
前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定可能な電気的測定装置と、
を備え、
前記入射光には、前記光入射口から入射した入射光及び前記反射面で反射された反射光が含まれる、
ことを特徴とする電気測定型表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項2】
前記反射面が、前記透明基板の前記透明電極と反対側の表面と前記透明基板内部との境界面であることを特徴とする請求項1に記載の電気測定型表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項3】
前記透明基板の前記透明電極と反対側の表面上に、第2の透明電極、第2のn型透明半導体膜、及び第2のプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されている第2の光電変換部と、前記第2の透明電極及び前記第2のプラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定する第2の電気的測定装置と、をさらに備えており、
前記反射面が、前記第2のn型透明半導体膜と前記第2のプラズモン共鳴膜電極との間の面である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電気測定型表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項4】
前記センサチップにおいて、前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との組み合わせが、ショットキー障壁を形成する組み合わせであることを特徴とする、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の電気測定型表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項5】
前記センサチップにおいて、前記プラズモン共鳴膜電極の厚さが200nm以下(ただし0を含まない)であることを特徴とする、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の電気測定型表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項6】
前記センサチップにおいて、前記n型透明半導体膜が、TiO 、ZnO、SnO 、SrTiO 、Fe 、TaON、WO 、及びIn からなる群から選択される少なくとも1種のn型半導体からなる膜であることを特徴とする、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の電気測定型表面プラズモン共鳴センサ。
【請求項7】
請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の電気測定型表面プラズモン共鳴センサに用いるセンサチップであり、光入射口を端部に備える透明基板、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されていることを特徴とする、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ。
【請求項8】
光入射口を端部に備える透明基板、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されているセンサチップと、
前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射可能な反射面と、
前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定する電気的測定装置と、
を備える電気測定型表面プラズモン共鳴センサを用いて表面プラズモンポラリトンの変化を検出する方法であり、
前記光入射口から光を入射させ、入射光を前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射させる第1のステップ;
前記全反射により前記入射光を前記プラズモン共鳴膜電極と相互作用させて表面プラズモンポラリトンを発生せしめ、前記表面プラズモンポラリトンによって生じ、前記n型透明半導体膜に移動したホットエレクトロンを前記透明電極から電気信号として取り出し、前記透明電極と前記プラズモン共鳴膜電極との間の電流値又は電圧値の変化を前記電気的測定装置によって測定する第2のステップ;
前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射した光を反射可能な反射面に反射させて再度入射光とし、これを前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射させ、再度、前記第2のステップを行う第3のステップ;
前記第3のステップを複数回繰り返し、測定された電流値又は電圧値の変化を積算し、積算値として表面プラズモンポラリトンの変化を検出する第4のステップ;
を含むことを特徴とする表面プラズモンポラリトン変化検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気測定型表面プラズモン共鳴センサ、電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、及び表面プラズモンポラリトン変化検出方法に関し、より詳しくは、電気測定型表面プラズモン共鳴センサ及びそれに用いる電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ、並びに、これらを用いた表面プラズモンポラリトン変化検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)とは、金属の表面で自由電子が集団的振動運動(プラズマ振動)を起こしている状態であり、金属表面を伝搬する伝搬型表面プラズモン共鳴(PSPR:Propagating Surface Plasmon Resonance)と、ナノメートルサイズの金属構造に局在する局在型表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)とがある。伝搬型表面プラズモン共鳴は、プラズマ振動を起こした自由電子の周囲に発生した電場と入射した光との相互作用による共鳴が発生した状態であり、前記プラズマ振動と界面に沿って進む電磁波とが結合した電子疎密波(表面プラズモンポラリトン、SPP:Surface Plasmon Polariton)が金属表面に沿って伝搬する。他方、局在型表面プラズモン共鳴は、前記プラズマ振動によって前記金属ナノ粒子等の金属ナノ構造が分極・誘起されて電気双極子が生成した状態のことである。
【0003】
表面プラズモン共鳴は、標的物質の吸着の有無や前記相互作用の強さを検出するアフィニティセンサ等のセンサに利用されており、例えば、特開2011-141265号公報(特許文献1)には、平面部を有する基材と、前記平面部上に形成され、金属で形成された表面を有し、標的物質が配置される特定の突起を含む回折格子とを備えるセンサチップが記載されている。しかしながら、特許文献1に記載されているようなセンサチップでは、金属表面に存在する標的物質の濃度変化による表面プラズモン共鳴角の変化を光学系で検出する必要があるために装置が高額になったり大型化したりする傾向にあり、また、集積化や同時に多数のサンプルを処理するハイスループット化が困難であるといった問題を有していた。
【0004】
さらに、特開2000-356587号公報(特許文献2)には、基板と、前記基板の表面に凝集させずに互いに離隔した状態にある単膜として固定された金属微粒子とを有して構成されるセンサユニットを有する局在プラズモン共鳴センサが記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の局在プラズモン共鳴センサは、前記金属微粒子への標的物質の吸着や堆積による該金属微粒子表面近傍の媒質の屈折率変化を前記金属微粒子間を透過した光の吸光度を測定することによって検出するため、前記金属微粒子のサイズや配列を厳密に制御する必要がある、検出信号が吸光度であるためにその強度を十分に増強させることが困難である、といった問題を有していた。
【0005】
また、表面プラズモン共鳴は、光電変換素子において、光電変換効率を向上させるためにも利用されており、例えば、特開2012-38541号公報(特許文献3)には、透明基板、透明電極層、金属微粒子層、n型半導体からなる半導体薄膜、色素の吸着層が順に積層されたアノード電極と、これに酸化還元種を含む電解質を介して配置されたカソード電極と、を備えるプラズモン共鳴型光電変換素子が記載されている。
【0006】
また、本件出願人は、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されているセンサチップと、プリズムとが配置されたプラズモンポラリトン増強センサチップと、前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定する電気的測定装置と、を備える電気測定型表面プラズモン共鳴センサについて2018年8月9日付で国際出願した(PCT/JP2018/29979)。かかる電気測定型表面プラズモン共鳴センサによれば、小型化やハイスループット化が容易であり、かつ、十分なセンサ精度を有する電気測定型表面プラズモン共鳴センサ及びそれに用いる電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップを提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-141265号公報
【文献】特開2000-356587号公報
【文献】特開2012-38541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者らは、特許文献3に記載されているような光電変換素子をセンサに応用した場合には、金属微粒子の制御が必要であり、センサ感度を向上させることが困難であることに加えて、電解質の酸化・還元反応を介するため、測定対象であるサンプル自体を酸化還元してしまい、センサ精度に影響を与えてしまうという問題があることを見い出した。
【0009】
さらに、本発明者らがさらなる検討をおこなったところ、プラズモンポラリトン増強センサチップと電気的測定装置とを備える電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップにおいては、さらに高水準の感度が要求される場合があることを見い出した。
【0010】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、小型化やハイスループット化が容易であり、かつ、十分なセンサ感度を有する電気測定型表面プラズモン共鳴センサ及びそれに用いる電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極を組み合わせてこの順で配置させたチップにおいて、特定の範囲内の入射角度で入射させた入射光をプラズモン共鳴膜電極に到達させることにより、到達した光が前記プラズモン共鳴膜電極を伝搬する表面プラズモンポラリトンに変換され、これを前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電気信号として直接検出できることを見い出した。また、検出される電気信号の大きさは、前記プラズモン共鳴膜電極近傍のサンプルの屈折率に応じて高い精度で変化することに加えて、前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射面に反射させ、再度入射光として利用し、検出される電流値を積算することで、特に優れたセンサ感度が達成されることを見い出した。さらに、前記サンプルの屈折率は該サンプルの濃度や状態に相当するため、前記構成のチップは、前記サンプルの濃度変化や状態変化を測定可能なセンサチップとして用いることが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の電気測定型表面プラズモン共鳴センサは、
光入射口を端部に備える透明基板、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されているセンサチップと、
前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射可能な反射面と、
前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定する電気的測定装置と、
を備える、
ことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の電気測定型表面プラズモン共鳴センサは、
光を入射可能な光入射口を端部に備える透明基板、
入射光を表面プラズモンポラリトンに変換可能なプラズモン共鳴膜電極、
前記プラズモン共鳴膜電極の前記入射光側に配置されており、前記入射光を透過し、かつ、該透過した入射光が前記プラズモン共鳴膜電極と相互作用することによって前記プラズモン共鳴膜電極から放出されるホットエレクトロンを受け取り可能なn型透明半導体膜、及び
前記n型透明半導体膜から移動したホットエレクトロンを電気信号として取り出し可能な透明電極、
を備えるセンサチップと、
前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射可能な反射面と、
前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定可能な電気的測定装置と、
を備え、
前記入射光には、前記光入射口から入射した入射光及び前記反射面で反射された反射光が含まれる、
ことを特徴とするものである。
【0014】
上記の電気測定型表面プラズモン共鳴センサの好ましい一形態としては、前記反射面が、前記透明基板の前記透明電極と反対側の表面と前記透明基板内部との境界面であることが好ましい。
【0015】
また上記の電気測定型表面プラズモン共鳴センサの他の好ましい一形態としては、前記透明基板の前記透明電極と反対側の表面上に、第2の透明電極、第2のn型透明半導体膜、及び第2のプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されている第2の光電変換部と、前記第2の透明電極及び前記第2のプラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定する第2の電気的測定装置と、をさらに備えており、
前記反射面が、前記第2のn型透明半導体膜と前記第2のプラズモン共鳴膜電極との間の面であることも好ましい。
【0016】
上記の電気測定型表面プラズモン共鳴センサの好ましい一形態としては、前記センサチップにおいて、前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との組み合わせが、ショットキー障壁を形成する組み合わせであることが好ましい。
【0017】
また、上記電気測定型表面プラズモン共鳴センサの好ましい一形態としては、前記センサチップにおいて、前記プラズモン共鳴膜電極の厚さが200nm以下(ただし0を含まない)であることが好ましい。
【0018】
さらに、上記電気測定型表面プラズモン共鳴センサの好ましい一形態としては、前記センサチップにおいて、前記n型透明半導体膜が、TiO、ZnO、SnO、SrTiO、Fe、TaON、WO、及びInからなる群から選択される少なくとも1種のn型半導体からなる膜であることが好ましい。
【0019】
本発明の電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップは、上記の電気測定型表面プラズモン共鳴センサに用いるセンサチップであり、光入射口を端部に備える透明基板、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の表面プラズモンポラリトン変化検出方法は、
光入射口を端部に備える透明基板、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されているセンサチップと、
前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射可能な反射面と、
前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定する電気的測定装置と、
を備える電気測定型表面プラズモン共鳴センサを用いて表面プラズモンポラリトンの変化を検出する方法であり、
前記光入射口から光を入射させ、入射光を前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射させる第1のステップ;
前記全反射により前記入射光を前記プラズモン共鳴膜電極と相互作用させて表面プラズモンポラリトンを発生せしめ、前記表面プラズモンポラリトンによって生じ、前記n型透明半導体膜に移動したホットエレクトロンを前記透明電極から電気信号として取り出し、前記透明電極と前記プラズモン共鳴膜電極との間の電流値又は電圧値の変化を前記電気的測定装置によって測定する第2のステップ;
前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射した光を反射可能な反射面に反射させて再度入射光とし、これを前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射させ、再度、前記第2のステップを行う第3のステップ;
前記第3のステップを複数回繰り返し、測定された電流値又は電圧値の変化を積算し、積算値として表面プラズモンポラリトンの変化を検出する第4のステップ;
を含むことを特徴とする方法である。
【0021】
なお、本発明の構成によって前記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ(以下、場合により、単に「センサチップ」という)を用いた電気測定型表面プラズモン共鳴センサ(以下、場合により、単に「センサ」という)においては、透明電極の側からプラズモン共鳴膜電極に光を照射し、透明電極及びn型透明半導体膜を通過した光が、前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間において全反射すると、全反射した面の裏側にエネルギーの染み出し(エバネッセント波)が生じる。そのため、光の前記界面に対する入射角度が臨界角(以下、「全反射角度」という)以上であると、全反射した場所において生じたエバネッセント波と、この裏側に接する前記プラズモン共鳴膜電極とが相互作用して上記の表面プラズモンポラリトンが励起される。
【0022】
次いで、この表面プラズモンポラリトンによって前記プラズモン共鳴膜電極が十分に分極することでホットエレクトロンが放出され、ホットホールが形成されるが、放出されたホットエレクトロンは前記プラズモン共鳴膜電極とショットキー障壁が形成されるn型透明半導体膜を経て対極である透明電極へとスムーズに移動することができる。そのため、本発明のセンサチップを用いたセンサにおいては、前記表面プラズモンポラリトンを前記プラズモン共鳴膜電極及び前記透明電極から電気信号として十分に検出することができるものと本発明者らは推察する。
【0023】
また、本発明のセンサチップを用いたセンサにおいては、前記プラズモン共鳴膜電極近傍における屈折率の変化が、上記の全反射する箇所、すなわち、表面プラズモンポラリトンを生じさせる入射角度(透明電極の側から入射する光の入射角度)の範囲、及び生じる表面プラズモンポラリトンの強さを変化させる。さらに、光の入射により前記プラズモン共鳴膜電極に生じる電場は前記表面プラズモンポラリトンによって増強されるため、その電場変化に応じて変化する電流量は、表面プラズモンポラリトンの強さによって変化する。したがって、前記プラズモン共鳴膜電極近傍のサンプルの屈折率変化を十分な精度で測定することができるものと本発明者らは推察する。そのため、本発明のセンサチップを用いたセンサによれば、表面プラズモンポラリトンの変化を検出することによって、前記サンプルの濃度変化や状態変化を高精度でモニタすることができ、また、検出信号が電気信号であるため、その強度を電気的に容易に増強することや電流として容易に測定することが可能となるものと本発明者らは推察する。
【0024】
さらに、このとき、前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間において全反射させる光(入射光)として、前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射させて再入射光として再度利用することにより、2回目以降の入射では、プラズモン共鳴の影響を受け、プラズモン共鳴の強度に伴って強度が減少した光(再入射光)が入射されることとなる。そのため、検出される電流値を積算することで電流値が増強されることに加えて、単に入射光を増強させて照射した場合よりも、積算した電流値の最大値と最小値との差分の増強がなされて、優れたセンサ感度が達成されるものと本発明者らは推察する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、小型化やハイスループット化が容易であり、かつ、十分なセンサ感度を有する電気測定型表面プラズモン共鳴センサ及びそれに用いる電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】センサチップの好適な実施形態1を示す概略縦断面図である。
図1B】電気測定型表面プラズモン共鳴センサの好適な実施形態1を示す概略縦断面図である。
図2】センサチップの好適な実施形態2を示す概略縦断面図である。
図3】センサチップの好適な実施形態3を示す概略縦断面図である。
図4】センサチップの好適な実施形態4を示す概略縦断面図である。
図5】センサチップの好適な実施形態1における入射光及び反射光の例を示す模式断面図である。
図6】センサチップの好適な実施形態5を示す概略縦断面図である。
図7】センサチップの好適な実施形態6を示す概略縦断面図である。
図8】センサチップの好適な実施形態7を示す概略縦断面図である。
図9】センサチップに入射する光の入射角度(θ°)を示す模式図である。
図10】実施例1の電流値測定方法を示す模式図である。
図11】参考例1、チップ1における入射角度(θ[°])と電流値[μA](左軸)及び出力電流割合[%](右軸)との関係を示すグラフである。
図12】チップ1における光の入射角度(θ[°])と各反射光(R~R)の強度(反射光強度[%])との関係を示すグラフである。
図13】チップ1における入射光増強時の入射角度(θ[°])と出力電流割合[%]との関係を示すグラフである。
図14】チップ1における反射光利用時の入射角度(θ[°])と出力電流割合の積算値[%]との関係を示すグラフである。
図15】チップ1における入射光増強時のサンプル溶液の屈折率と出力電流割合[%]との関係を示すグラフである。
図16】チップ1における反射光利用時のサンプル溶液の屈折率と出力電流割合の積算値[%]との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明の電気測定型表面プラズモン共鳴センサは、
光入射口を端部に備える透明基板、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されているセンサチップと、
前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射可能な反射面と、
前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定する電気的測定装置と、
を備える、
ものである。
【0028】
また、本発明の電気測定型表面プラズモン共鳴センサは、
光を入射可能な光入射口を端部に備える透明基板、
入射光を表面プラズモンポラリトンに変換可能なプラズモン共鳴膜電極、
前記プラズモン共鳴膜電極の前記入射光側に配置されており、前記入射光を透過し、かつ、該透過した入射光が前記プラズモン共鳴膜電極と相互作用することによって前記プラズモン共鳴膜電極から放出されるホットエレクトロンを受け取り可能なn型透明半導体膜、及び
前記n型透明半導体膜から移動したホットエレクトロンを電気信号として取り出し可能な透明電極、
を備えるセンサチップと、
前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射可能な反射面と、
前記透明電極及び前記プラズモン共鳴膜電極から電流値又は電圧値を直接測定可能な電気的測定装置と、
を備え、
前記入射光には、前記光入射口から入射した入射光及び前記反射面で反射された反射光が含まれる、
ものでもある。
【0029】
さらに、本発明の電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップは、上記本発明の電気測定型表面プラズモン共鳴センサに用いるセンサチップであり、光入射口を端部に備える透明基板、透明電極、n型透明半導体膜、及びプラズモン共鳴膜電極がこの順で配置されているものである。
【0030】
以下、図面を参照しながら電気測定型表面プラズモン共鳴センサ(以下、「センサ」)及び電気測定型表面プラズモン共鳴センサチップ(以下、「センサチップ」)の好ましい形態を例に挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
図1Aには、センサチップの第1の好ましい形態(好適な実施形態1;センサチップ11)を示す。図1Aに示すように、好適な実施形態1において、センサチップ11は、透明基板(以下、「透明基板2」)上に、透明電極(以下、「透明電極3」)、n型透明半導体膜(以下、「n型透明半導体膜4」)、及びプラズモン共鳴膜電極(以下、「プラズモン共鳴膜電極5」)が、透明基板2、透明電極3、n型透明半導体膜4、プラズモン共鳴膜電極5の順になるように積層されたものである。また、透明基板2の端部には、光を入射可能な光入射口(以下、「光入射口1」)が設けられている。
【0032】
また、図1Bには、センサの第1の好ましい形態(好適な実施形態1;センサ510)を示す。図1Bに示すように、好適な実施形態1において、センサ510は、センサチップ11と、センサチップ11の透明電極3及びプラズモン共鳴膜電極5と外部回路(外部回路31及び31’)を通じて電気的に接続された電気的測定装置(電気的測定装置21)と、を備える。
【0033】
(透明基板)
透明基板2は、センサチップ11を支持する機能を有するものであり、端部に光入射口1を有する。また、透明基板2は、下記に示すように、透明基板2の透明電極3と反対側の表面と透明基板2内部との境界面が、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で反射された光を反射可能な反射面として機能してもよい。
【0034】
透明基板2の材質としては、光を透過できるものであれば特に制限されず、例えば、ガラス;プラスチックやフィルム等の高分子有機化合物が挙げられ、透明基板2としては、これらのうちの少なくとも1種を含む単層であってもかかる単層が2種以上積層された複層であってもよい。
【0035】
透明基板2の透明電極3と反対側の表面と透明基板2内部との境界面を、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で反射された光を反射可能な反射面として機能させる場合には、透明基板2の透明電極3と反対側の表面に、金属コーティング(前記金属としては、例えば、金、銀、アルミ、銅、クロム、ニッケル、スズ等)や、屈折率の高い誘電体膜と屈折率の低い誘電体膜とを交互に積層した多層反射膜の積層、屈折率が透明基板2の屈折率よりも低い屈折率を示す材料のコーティング等の加工をしたものを用いることができる。
【0036】
なお、本発明において、膜、電極、層及び基板などが「光を透過できる」とは、膜、電極、層又は基板(透明基板2においては上記加工がされていないもの)などの一方の面に対して波長400~1500nmのうちの少なくともいずれかの波長の光を垂直に入射させたときの光透過率が40%以上であることをいい、前記光透過率は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
【0037】
光入射口1は、センサチップ11の内部に光を入射する機能を有する。光入射口1としては、透明基板2の端部、好ましくは、透明電極3、n型透明半導体膜4、及びプラズモン共鳴膜電極5が積層される平面に接する側面(より好ましくは、透明基板2の短手を構成する側面)に、切断、研磨等によって、斜平面や、半球状・半円筒状等のカーブ形状を形成すること等により、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で光が全反射されるよう入射可能なように加工された構造が挙げられる。また、光入射口1としては、透明基板2の前記端部に直角三角形、半円筒、半球状等のプリズムを配置してこれを光入射口1として用いてもよい。この場合の光入射口1の材質としては、例えば、ガラス、高分子ポリマ(メタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、エポキシ、ポリエステル等)、硫黄、ルビー、サファイア、ダイヤモンド、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、ゲルマニウム(Ge)、ケイ素(Si)、ヨウ化セシウム(CsI)、臭化カリウム(KBr)、臭沃化タリウム、炭酸カルシウム(CaCO)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化リチウム(LiF)が挙げられる。
【0038】
光入射口1は、透明基板2の端部に配置されるが、より具体的には、透明基板2のいずれかの面上、より好ましくは前記面の端部近傍に配置され、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で反射された光の反射を複数回繰り返させる観点から、透明基板2の長手方向の端面(短手を構成する端面)に配置されることがさらに好ましい。
【0039】
透明基板2の厚さとしては、通常、0.01~2mmであるが、透明基板2の透明電極3と反対側の表面と透明基板2内部との境界面が、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で反射された光を反射可能な反射面として機能する場合、その厚さとしては、0.01~10mmであることが好ましく、0.01~5mmであることがより好ましい。透明基板2の厚さが厚くなると、センサ全体を大きくする必要が生じる傾向にある。
【0040】
(透明電極)
透明電極3は、プラズモン共鳴膜電極5で生じた表面プラズモンポラリトンに伴って放出され、n型透明半導体膜4を移動してきたホットエレクトロン(電子)を電気信号として取り出す機能を有するものであり、プラズモン共鳴膜電極5の対極として機能し、プラズモン共鳴膜電極5と、電気的測定装置(好適な実施形態1では電気的測定装置21)及び必要に応じて外部回路(導線、電流計等;好適な実施形態1では外部回路31及び31’)を介して電気的に接続される。また、透明電極3は、光を透過できることが必要である。
【0041】
透明電極3の材質としては、半導体分野において透明電極として従来から用いられているものの中から適宜選択して用いることができ、例えば、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、アルミ(Al)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ITO(Indium tin oxide)、FTO(Fluorine-doped tin oxide)、及び他元素(アルミニウムやガリウム等)をドープしたZnO等の金属酸化物などの透明導電性材料、及びこれらの積層体からなる薄膜や網状の形状が挙げられる。また、透明電極3の材質としては、下記のn型透明半導体膜を構成するn型半導体も挙げられ、センサチップにおいて、透明電極3とn型透明半導体膜4とは、互いに同一の材質からなる層であってもよい。
【0042】
透明電極3の厚さとしては、通常、1~1000nmである。なお、本発明において、膜、電極、及び層などの厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)による観察で測定することができる。
【0043】
(n型透明半導体膜)
n型透明半導体膜4は、プラズモン共鳴膜電極5で励起された表面プラズモンポラリトンによって該プラズモン共鳴膜電極5が十分に分極されることで放出されるホットエレクトロンを受け取る機能を有するものであり、n型半導体からなる膜である。また、n型透明半導体膜4は、光を透過できることが必要である。
【0044】
前記n型半導体としては、例えば、無機酸化物半導体が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の複合材料であってもよい。前記無機酸化物半導体としては、二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化スズ(SnO)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(GaO)、酸化チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化鉄(Fe)、酸窒化タンタル(TaON)、酸化タングステン(WO)、酸化インジウム(In)及びこれらの複合酸化物等が挙げられる。中でも、前記n型半導体としては、透明性が高く、導電率が高いという観点からは、TiO、ZnO、SnO、SrTiO、Fe、TaON、WO及びInからなる群から選択される少なくとも1種の半導体であることが好ましく、TiO、ZnO、SnO、SrTiO、Fe及びInからなる群から選択される少なくとも1種の半導体であることがより好ましい。
【0045】
n型透明半導体膜4の厚さとしては、1~1000nmであることが好ましく、5~500nmであることがより好ましく、10~300nmであることがさらに好ましい。前記厚さが前記下限未満であると、前記n型透明半導体が膜として存在できず、半導体としての十分な機能を果たせなくなる傾向にある。他方、前記上限を超えると、光透過率が減少したり、抵抗が増大して電流が流れにくくなる傾向にある。
【0046】
(プラズモン共鳴膜電極)
プラズモン共鳴膜電極5は、入射してきた光(入射光)を表面プラズモンポラリトンに変換する機能を有するものであり、光との相互作用によって表面プラズモンポラリトンを発生可能なプラズモニック材料からなる膜である。また、前記表面プラズモンポラリトンを電気信号として取り出す機能を有するものであり、透明電極3の対極として機能し、透明電極3と、電気的測定装置(好適な実施形態1では電気的測定装置21)及び必要に応じて外部回路(導線、電流計等;好適な実施形態1では外部回路31及び31’)を介して電気的に接続される。なお、前記入射光には、前記光入射口から入射した入射光及び前記反射面で反射された反射光が含まれる。
【0047】
前記プラズモニック材料としては、例えば、金属、金属窒化物、及び金属酸化物が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の複合材料であってもよい。中でも、前記プラズモニック材料として好ましいものとしては、前記金属としては金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、及びナトリウム(Na)を挙げることができ、前記金属窒化物としては窒化チタン(TiN)を、前記金属酸化物としてはITO(Indium tin oxide)、FTO(Fluorine-doped tin oxide)、及び他元素(アルミニウムやガリウム等)をドープしたZnOを、それぞれ挙げることができる。中でも、前記プラズモニック材料としては、Au、Ag、Al、Cu、Pt、Pd、及びTiNからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Au、Ag、Al、Cu及びPtからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0048】
プラズモン共鳴膜電極5の厚さとしては、200nm以下(ただし0を含まない)であることが好ましく、1~150nmであることがより好ましく、5~100nmであることがさらに好ましく、10~60nmであることがさらにより好ましい。前記厚さが前記下限未満であると、前記プラズモン共鳴膜電極が膜として存在できなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、光が入射してきた面の反対側の面に到達するエバネッセント波が弱くなり、十分な表面プラズモンポラリトンを励起できなくなる傾向にある。
【0049】
プラズモン共鳴膜電極5の厚さとしては、測定対象であるサンプルの屈折率としてより広範囲の屈折率(好ましくは、1.33~1.40)を測定可能となる傾向にあるという観点からは、10~34nmであることが特に好ましく、屈折率の変化に対して電流値の変化率を大きくするという観点からは、35~60nmであることが特に好ましい。
【0050】
(接着層)
図2には、センサチップの第2の好ましい形態(好適な実施形態2)を示す。センサチップとしては、図2に示すセンサチップ12のように、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間に、プラズモン共鳴膜電極5をより強固に固定することを主な目的として、接着層6をさらに備えていてもよい。
【0051】
接着層6の材質としては、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、窒化チタン(TiN)が挙げられ、前記接着層としては、これらのうちの少なくとも1種を含む単層であってもかかる単層が2種以上積層された複層であってもよい。また、接着層6は、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との境界面を全て覆っていなくともよい。ただし、光が入射してきた面の反対側の面に到達するエバネッセント波が弱くなり、十分な強さの表面プラズモンポラリトンを励起できなくなる傾向にあることから、センサチップにおいては、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5とが互いに近傍に配置されていることが好ましく、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間の距離が25nm以下であることが好ましく、1~10nmであることがより好ましい。したがって、接着層6をさらに備える場合、その厚さとしては、25nm以下であることが好ましく、1~10nmであることがより好ましい。
【0052】
(保護膜)
図3には、センサチップの第3の好ましい形態(好適な実施形態3)を示す。センサチップにおいては、図3に示すように、プラズモン共鳴膜電極5のn型透明半導体膜4と反対の面上に、プラズモン共鳴膜電極5の露出面を保護することを主な目的とした保護膜7をさらに備えていてもよい。
【0053】
保護膜7の材質としては、例えば、ガラス、プラスチック、酸化チタン(TiO)、フッ化マグネシウム(MgF)、五酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウム(Al)、ダイヤモンドライクカーボン、シリコンカーバイドが挙げられ、保護膜7としては、これらのうちの1種を含む単層であってもかかる単層が2種以上積層された複層であってもよい。ただし、前記プラズモン共鳴膜電極5において発生する表面プラズモンポラリトンが及ぶ範囲が該プラズモン共鳴膜電極表面から300nm程度以内であることから、保護膜7をさらに備える場合、その厚さとしては、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。
【0054】
(サンプル層)
図4には、センサチップの第4の好ましい形態(好適な実施形態4)を示す。センサチップにおいては、図4に示すように、測定対象であるサンプルを保持することを主な目的として、プラズモン共鳴膜電極5のn型透明半導体膜4と反対の面上、又は上記の保護膜7上に、サンプル層8をさらに備えていてもよい。なお、サンプル層8としては、前記サンプルが任意の流速で供給されるように配置されたものであっても、前記サンプルが一定容積で含まれるようにセル状に区分して配置されたものであってもよい。
【0055】
本発明のセンサチップにおいては、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5(接着層6をさらに備える場合には該接着層6)との組み合わせが、ショットキー障壁を形成する組み合わせであることが好ましい。センサチップがショットキー障壁を形成することは、センサチップの透明電極3を半導体アナライザ等の電圧印加手段の作用極に、プラズモン共鳴膜電極5を前記電圧印加手段の対極及び参照電極に、それぞれ接続して、作用極に-1.5~+1.5Vの範囲で電圧を印加したときの電流値を測定することにより確認することができる。その電流値としては、0V以上+1.5V以下における電流値の絶対値のうちの最大値が-1.5V以上0V未満における電流値の絶対値のうちの最大値に対して5分の1以下であることが好ましく、10分の1以下であることがより好ましく、20分の1以下であることがさらに好ましい。この比率が前記上限値を超えると、整流特性が減弱するため、測定時のノイズが大きくなり、センサの感度や精度が減少する傾向にある。
【0056】
このようなショットキー障壁を形成する組み合わせは、n型透明半導体膜4の仕事関数をφS、プラズモン共鳴膜電極5(又は接着層6)の仕事関数をφMとしたときに、次式:φS<φMで示される条件を満たす組み合わせである。
【0057】
各材質における仕事関数の値は公知であり、n型透明半導体膜4の仕事関数(φS)としては、例えば、(I)Akihito Imanishiら、J.Phys.Chem.C、2007年、111(5)、p.2128-2132;(II)Min Weiら、Energy Procedia、2012年、Volume 16、Part A、p.76-80;(III)David Ginleyら、「Handbook of Transparent Conductors」、2011年;(IV)L.F.Zagonelら、J.Phys.:Condens.Matter、2009年、21、31;(V)E.R.Batistaら、J.Phys.Chem.B、2002年、106(33)、p.8136-8141;(VI)Gy.Vidaら、2003年、Microsc.Microanal.、9(4)、p.337-342;(VII)W.J.Chuら、J.Phys.Chem.B、2003年、107(8)、p.1798-1803において、それぞれ、二酸化チタン(TiO):4.0~4.2(I)、酸化亜鉛(ZnO):4.71~5.08(II)、二酸化スズ(SnO):5.1(III)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO):4.2(IV)、三酸化二鉄(Fe):5.6(V)、酸化タングステン(WO):5.7(VI)、酸窒化タンタル(TaON):4.4(VII)、酸化インジウム(In):4.3~5.4(III)であることが記載されている。
【0058】
また、プラズモン共鳴膜電極5(又は接着層6)の仕事関数(φM)としては、例えば、(VIII)日本化学会編、「化学便覧 基礎編 改訂4版」、II-489において、それぞれ、金(Au):5.1~5.47、銀(Ag):4.26~4.74、アルミニウム(Al):4.06~4.41、銅(Cu):4.48~4.94、白金(Pt):5.64~5.93、パラジウム(Pd):5.55であることが記載されており、また、(IX)Takashi Matsukawaら、Jpn.J.Appl.Phys.、2014年、53、04EC11において、窒化チタン(TiN):4.4~4.6であることが記載されている。
【0059】
したがって、ショットキー障壁を形成するn型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5(又は接着層6)との組み合わせとしては、これらの仕事関数(φS、φM)の中から、上記条件を満たす組み合わせを選択して適宜採用することができる。これらの中でも、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5(又は接着層6)との組み合わせとしては、TiOとAu、Ag、Al、Cu、Pt、Pd、TiNのうちのいずれか一つとの組み合わせ、ZnOとAu、Pt、Pdのうちのいずれか一つとの組み合わせ、SnOとAu、Pt、Pdのうちのいずれか一つとの組み合わせ、SrTiOとAu、Ag、Al、Cu、Pt、Pd、TiNのうちのいずれか一つとの組み合わせ、FeとPtとの組み合わせ、WOとPdとの組み合わせ、TaONとAu、Ag、Cu、Pt、Pd、TiNのうちのいずれか一つとの組み合わせ、InとPt、Pdのうちのいずれか一つとの組み合わせが好ましく、TiOとAu、Ag、Cu、Pt、Pdのうちのいずれか一つとの組み合わせ、ZnOとPtとの組み合わせ、SnOとPtとの組み合わせ、SrTiOとAu、Ag、Cu、Pt、Pdのうちのいずれか一つとの組み合わせ、TaONとAu、Cu、Pt、Pdのうちのいずれか一つとの組み合わせ、InとPtとの組み合わせがより好ましい。
【0060】
(反射面)
前記n型透明半導体膜と前記プラズモン共鳴膜電極との間で反射された光を反射可能な反射面の好ましい実施形態の一つとしては、透明基板2の透明電極3と反対側の表面と透明基板2内部との境界面が挙げられる。
【0061】
図5には、センサチップ11における一実施形態として、入射光及び反射光の例を示す模式断面図を示す。図5に示す実施形態においては、センサチップ11の透明基板2の透明電極3と反対側の表面と透明基板2内部との境界面が、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で反射された光を反射可能な反射面として機能する。このとき、光入射口1から入射した入射光(「入射光401」、入射光I)は、透明基板2、透明電極3、n型透明半導体膜4を透過し、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間で全反射することによりプラズモン共鳴膜電極5と相互作用して表面プラズモンポラリトンを発生せしめる。また、このとき全反射した反射光(R)は、透明基板2の透明電極3と反対側の表面と透明基板2内部との境界面において反射して再度入射光(再入射光I)となり、透明基板2、透明電極3、n型透明半導体膜4を透過し、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間で全反射することにより再度表面プラズモンポラリトンを発生せしめる。センサチップ11では、この繰り返し(図5では、6回)により、以降の反射光(図5では反射光R2~5)を再度入射光(図5では再入射光I3~6)として利用し、表面プラズモンポラリトンを連続して発生せしめることができる。
【0062】
また、前記反射面の好ましい他の実施形態の一つとしては、他の光電変換部のプラズモン共鳴膜電極とn型透明半導体膜との間に存する面が挙げられる。
【0063】
図6には、センサチップの第5の好ましい形態(好適な実施形態5)及びその入射光及び反射光の例を示す模式断面図を示す。センサチップとしては、図6に示すセンサチップ15のように、透明基板2の透明電極3と反対側の表面上に、第2の透明電極(以下、「第2の透明電極3’」)、第2のn型透明半導体膜(以下、「第2のn型透明半導体膜4’」)、及び第2のプラズモン共鳴膜電極(以下、「第2のプラズモン共鳴膜電極5’」)がこの順で配置されている第2の光電変換部(以下、「第2の光電変換部11’」)をさらに備えており、第2のn型透明半導体膜4’と第2のプラズモン共鳴膜電極5’との間の面が前記反射面として機能してもよい。なお、センサチップ15を用いたセンサとしては、第2の透明電極3’及び第2のプラズモン共鳴膜電極5’から電流値又は電圧値を直接測定する第2の電気的測定装置(図示せず)をさらに備え、第2の電気的測定装置は、電気的測定装置21と同一であっても異なっていてもよい。
【0064】
前記他の光電変換部のプラズモン共鳴膜電極とn型透明半導体膜との間に存する面としては、第2のn型透明半導体膜4’と第2のプラズモン共鳴膜電極5’との界面、又は第2のn型透明半導体膜4’と第2のプラズモン共鳴膜電極5’との間に第2の接着層を備える場合には第2のプラズモン共鳴膜電極5’と第2の接着層との界面、若しくは第2の接着層と第2のn型透明半導体膜4’との界面、又は第2の接着層が2層以上からなる場合には、第2のプラズモン共鳴膜電極5’と第2の接着層との界面、若しくは第2の接着層と第2のn型透明半導体膜4’との界面、若しくは第2の接着層における隣接する2つの層間の界面が挙げられる。
【0065】
このとき、光入射口1から入射した入射光401は、透明基板2、透明電極3、n型透明半導体膜4を透過し、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間で全反射することによりプラズモン共鳴膜電極5と相互作用して表面プラズモンポラリトンを発生せしめる。また、このとき全反射した反射光は、n型透明半導体膜4、透明電極3、透明基板2、第2の透明電極3’、第2のn型透明半導体膜4’を透過し、第2のプラズモン共鳴膜電極5’と第2のn型透明半導体膜4’との間で全反射することにより表面プラズモンポラリトンを発生せしめる。さらに、第2のプラズモン共鳴膜電極5’と第2のn型透明半導体膜4’との間で全反射した光は、反対側の光電変換部への再入射光となり、再度表面プラズモンポラリトンを発生せしめる。センサチップ15では、この繰り返しにより、反射光を再度入射光として利用し利用し、表面プラズモンポラリトンを連続して発生せしめることができる。
【0066】
n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で入射光が全反射する面と、前記反射面との間の距離としては、距離が増大する、すなわち、透明基板2上に積層される透明電極3、n型透明半導体膜4、及びプラズモン共鳴膜電極5の光の入射方向に対する長さが長くなると、高感度化を達成するための必要反射回数を超えるためにセンサ全体を大きくする必要が生じる傾向にある観点から、0.01~10mmであることが好ましく、0.01~5mmであることがより好ましい。
【0067】
また、前記反射面としては、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で反射された光を反射可能な面であることが必要である。このような面の条件としては、波長400~1500nmのうちの少なくともいずれかの波長の光を垂直に入射させたときの光反射率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。このような反射面は、例えば、金、銀、アルミ、銅、クロム、ニッケル、スズ等の金属コーティング;二酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(V)(Ta)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、及びフッ化マグネシウム(MgF)のうちの少なくとも2種を交互に積層した多層薄膜の積層等によって得ることが可能である。
【0068】
また、前記反射面としては、反射光を全反射可能な全反射面とすることも可能であり、このような面の条件としては、透明基板2の透明電極3と反対側の表面を、屈折率が透明基板2の屈折率よりも低い材質で被覆した面が挙げられ、前記材質の屈折率としては、透明基板2との屈折率差により生じる全反射角度が80°以下となる材質が好ましく、70°以下となる材質がより好ましく、60°以下となる材質がさらに好ましい。このような全反射面は、透明基板2がガラス、プラスチック等の固体材料であるときに、これに、前記固体材料とは屈折率の異なる固体材料を接着、コーティング等することによって得ることが可能である。また、透明基板2の透明電極3と反対側の表面に気層、液層を密閉可能な封入槽を配置することにより、前記封入槽にガスや溶液を充填して全反射面を得ることも可能である。
【0069】
また、前記反射面としては、入射光がn型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で全反射される角度と、反射された光(再入射光)が再度n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で全反射される角度と、が同じ角度となる面であることが必要である。このような反射面の配置条件としては、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で形成される面が光学的に平坦であり、前記反射面がn型透明半導体膜4及びプラズモン共鳴膜電極5と平行に配置されており、かつ、光学的に平坦であることが挙げられる。ただし、n型透明半導体膜4、プラズモン共鳴膜電極5、及び前記反射面においては、全ての面が平行である必要や、全ての面が光学的に平坦である必要はなく、それぞれ、光が反射される領域において、これらの条件を満たせばよい。また、このような光学的に平坦な面は、切削の後に光学研磨すること等によって得ることが可能である。
【0070】
また、前記反射面としては、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との間で反射された光を少なくとも3回以上、好ましくは3~20回反射可能、より好ましくは3~10回反射可能な構成であることが好ましい。反射回数が前記上限を超えてもそれ以上の感度向上は奏されない傾向にある。また、この場合には、かかる反射回数を実現するために、透明電極3、n型透明半導体4、及びプラズモン共鳴膜電極4からなる光電変換部の透明電極3面の長手方向の長さ、すなわち、光の進行方向の長さが、5mm以上であることが好ましく、5~200mmであることがより好ましく、5~50mmであることがさらに好ましい。
【0071】
本発明のセンサチップとしては、上記センサチップの実施形態1~5(センサチップ11~15)に制限されるものではなく、例えば、接着層6及びサンプル層8をいずれも備えるなど、これらの任意の組み合わせであってもよい(図示せず)。さらに、本発明のセンサチップとしては、1つを単独で用いても、複数個を列又は平面に並べて配置して用いてもよい。
【0072】
また、例えば、図7には、センサチップの第6の好ましい形態(好適な実施形態6)及びその入射光及び反射光の例を示す模式断面図を示す。センサチップとしては、図7に示すセンサチップ16のように、透明基板2上に、透明電極3、n型透明半導体膜4、及びプラズモン共鳴膜電極5からなる光電変換部が分割されて複数個配置されていてもよい。
【0073】
さらに、例えば、図8には、センサチップの第7の好ましい形態(好適な実施形態7)及びその入射光及び反射光の例を示す模式断面図を示す。センサチップとしては、図8に示すセンサチップ17のように、上記センサチップ16の分割された光電変換部の少なくとも1つのプラズモン共鳴膜電極5のn型透明半導体膜4と反対の面上、又は上記の保護膜7上に、他のセンサとの性能比較や測定時におけるセンサの劣化状況の確認を主な目的として、リファレンス9をさらに備えていてもよい。
【0074】
リファレンス9としては、例えば、ガラス、高分子ポリマ(メタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、エポキシ、ポリエステル等)、硫黄、ルビー、サファイア、ダイヤモンド、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)、ゲルマニウム(Ge)、ケイ素(Si)、ヨウ化セシウム(CsI)、臭化カリウム(KBr)、臭沃化タリウム、炭酸カルシウム(CaCO)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化リチウム(LiF)が挙げられる。
【0075】
(電気的測定装置(電気的測定手段))
本開示のセンサは、前記センサチップ(例えば、好適な実施形態1ではセンサチップ11)と、前記センサチップの透明電極3及びプラズモン共鳴膜電極5から電流値又は電圧値を直接測定する電気的測定装置(例えば、好適な実施形態1では電気的測定装置21)と、を備える。透明電極3及びプラズモン共鳴膜電極5と前記電気的測定装置とは、外部回路(例えば、好適な実施形態1では外部回路31及び31’)を通じて接続される。
【0076】
前記外部回路の材質としては、特に限定されず、導線の材質として公知のものを適宜利用することができ、例えば、白金、金、パラジウム、鉄、銅、アルミニウム等の金属が挙げられる。また、前記電気的測定装置としても、電圧値又は電流値を測定できるものであれば特に制限されず、例えば、半導体デバイス・アナライザ、電流測定器、電圧測定器が挙げられる。
【0077】
(表面プラズモンポラリトン変化検出方法)
本発明の表面プラズモンポラリトン変化検出方法は、上記の電気測定型表面プラズモン共鳴センサ(センサ)を用いて表面プラズモンポラリトンの変化を検出する方法であり、
前記光入射口から光を入射させ、入射光を前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射させる第1のステップ;
前記全反射により前記入射光を前記プラズモン共鳴膜電極と相互作用させて表面プラズモンポラリトンを発生せしめ、前記表面プラズモンポラリトンによって生じ、前記n型透明半導体膜に移動したホットエレクトロンを前記透明電極から電気信号として取り出し、前記透明電極と前記プラズモン共鳴膜電極との間の電流値又は電圧値の変化を前記電気的測定装置によって測定する第2のステップ;
前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射した光を反射可能な反射面に反射させて再度入射光とし、これを前記プラズモン共鳴膜電極と前記n型透明半導体膜との間で全反射させ、再度、前記第2のステップを行う第3のステップ;
前記第3のステップを複数回繰り返し、測定された電流値又は電圧値の変化を積算し、積算値として表面プラズモンポラリトンの変化を検出する第4のステップ;
を含む、
方法である。
【0078】
例えば、センサチップ11を用いたセンサにおいては、光入射口1から光を入射させ、透明基板2、透明電極3、及びn型透明半導体膜4を通過した光(入射光、I)を、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間において全反射させる(第1のステップ)ことにより、前記入射光がプラズモン共鳴膜電極5と相互作用して表面プラズモンポラリトンを発生せしめることができる。より具体的には、n型透明半導体膜4を通過した光が、n型透明半導体膜4とプラズモン共鳴膜電極5との界面、又は接着層6を備える場合にはプラズモン共鳴膜電極5と接着層6との界面、若しくは接着層6とn型透明半導体膜4との界面、又は接着層6が2層以上からなる場合には、プラズモン共鳴膜電極5と接着層6との界面、若しくは接着層6とn型透明半導体膜4との界面、若しくは接着層6における隣接する2つの層間の界面で全反射し、当該全反射により生じたエバネッセント波がプラズモン共鳴膜電極5と相互作用して表面プラズモンポラリトンが発生する。
【0079】
発生した表面プラズモンポラリトンによってプラズモン共鳴膜電極5が十分に分極されることでホットエレクトロンが生じるため、該ホットエレクトロンはn型透明半導体膜4に移動し、透明電極3から電気信号として取り出すことができる。このとき、透明電極3は前記外部回路を通じてプラズモン共鳴膜電極5と電気的に接続されているため、透明電極3とプラズモン共鳴膜電極5との間の電流値変化を前記電気的測定装置によって測定することができる(第2のステップ)。このように電気信号として観測されるホットエレクトロンは、プラズモン共鳴膜電極5内部の前記界面近傍で生じたホットエレクトロンであると考えられ、このようにして電気信号として観測可能なホットエレクトロンは、プラズモン共鳴膜電極5内部におけるn型透明半導体膜3から距離にしてプラズモン共鳴膜電極5の厚さ20%程度の領域で生じたホットエレクトロンであると推察される。
【0080】
また、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間において全反射した反射光(R1~n)は、反射面(例えば、透明基板2の透明電極3と反対側の表面と透明基板2内部との境界面、又は、センサチップ15の場合には、第2のn型透明半導体膜4’と第2のプラズモン共鳴膜電極5’との間の面)で反射して再度入射光(I2~(n+1))となり、透明基板2、透明電極3、n型透明半導体膜4を透過し、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間で全反射することによって、再度表面プラズモンポラリトンを発生せしめる(第3のステップ)。
【0081】
このような第3のステップを複数回繰り返すことにより、表面プラズモンポラリトンを連続して発生させ、各電流値変化を前記電気的測定装置によって測定し、測定された電流値変化を積算することで、積算値として表面プラズモンポラリトンの変化を検出することができる(第4のステップ)。表面プラズモンポラリトンの変化を積算値として検出することによって、電流値が増強されることに加えて、単に入射光を増強させて照射した場合よりも、積算した電流値の最大値と最小値との差分の増強がなされて、優れたセンサ感度を達成することができる。第3のステップの回数としては、好ましくは3回以上、より好ましくは3~20回、さらに好ましくは3回~10回である。反射回数が前記上限を超えてもそれ以上の感度向上は奏されない傾向にある。
【0082】
光入射口1から入射する光の波長が長くなると、表面プラズモンポラリトンを生じさせる入射光の入射角度の範囲がより狭くなり、他方、生じる表面プラズモンポラリトンの強さが増強される。そのため、第1のステップにおいて、光入射口1に入射させる光としては、目的に応じて特に限定されないが、可視光の波長領域の光又は近赤外光の波長領域の光が挙げられ、400~1500nmの波長であることが好ましく、500~1000nmの波長であることがより好ましく、600~900nmの波長であることがさらに好ましい。
【0083】
また、光入射口1から入射する光の強さが強くなると、表面プラズモンポラリトンにより生じる電流量が増大する。そのため、第1のステップにおいて、光入射口1から入射させる前記光の強さとしては、目的に応じて特に限定されないが、0.01~500mWであることが好ましく、0.1~50mWであることがより好ましく、0.1~5mWであることがさらに好ましい。前記光の強さが前記下限未満であると、表面プラズモンポラリトンにより生じる電流量が少なくなりすぎて十分なセンサ精度が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、プラズモン共鳴膜電極5において熱が発生して測定感度を低下させる恐れが生じる傾向にある。
【0084】
また、第1のステップにおいて、光入射口1から入射する光としては、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間、並びに、第2のプラズモン共鳴膜電極5’と第2のn型透明半導体膜4’との間、又は、透明基板2の透明電極3と反対側の表面と透明基板2内部との境界面において反射し、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間に再度入射した際の角度が、光入射口1から入射し、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間に入射する角度となり得る光であり、センサチップ15の場合には、プラズモン共鳴膜電極5とn型透明半導体膜4との間、及び、第2のプラズモン共鳴膜電極5’と第2のn型透明半導体膜4’との間に同じ角度で入射可能な光であることが必要であり、このような光の条件としては、広がり角が小さい光であることが挙げられる。このような光は、レーザー;LED;ハロゲンランプ、水銀ランプ等の光源から発せられた光をレンズ等の光学部材を通過させることによって得ることが可能である。
【0085】
本開示のセンサにおいては、プラズモン共鳴膜電極の近傍(好ましくはプラズモン共鳴膜電極の表面から300nm以内、例えば、サンプル層8内)に測定対象となるサンプルを配置することにより、前記サンプルの屈折率変化(濃度変化、状態変化)による表面プラズモンポラリトンの変化を電気信号として検出することができるため、前記電気信号を測定することで、サンプルの状態変化をモニタすることができる。
【0086】
また、測定するサンプルに応じてセンサチップに対する光の入射角度を変えることで、センサ精度をさらに十分に向上させることができる。なお、本発明において、光の入射角度とは、図9に示すように、透明電極3の表面に対する入射角度と定義する。
【0087】
本開示のセンサによれば、例えば、プラズモン共鳴膜電極5のn型透明半導体膜4と反対側の面上、又は保護膜7上、好ましくは、サンプル層8内に保持された、標的物質及び媒体を含むサンプルについて、前記標的物質の濃度変化や状態変化による表面プラズモンポラリトンの変化を電気信号として検出することができる。この場合、前記標的物質としては、特に制限されず、抗体、核酸(DNA、RNA等)、タンパク質、細菌、薬剤などの小分子化合物;イオン;気体状態にある小分子化合物や揮発性物質等が挙げられる。また、前記媒体としては、溶液及びガスが挙げられ、前記溶液としては水;緩衝液、強電解質溶液等の電解質溶液が、前記ガスとしては窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスが、それぞれ挙げられる。
【0088】
(電気測定型表面プラズモン共鳴センサの製造方法)
本開示のセンサ及びセンサチップの製造方法は特に制限されないが、好ましくは、透明基板2上に、透明電極3、n型透明半導体膜4、及びプラズモン共鳴膜電極5を、この順で順次形成して積層する方法が好ましい。前記形成方法としては、特に制限されないが、透明電極3、n型透明半導体膜4、及びプラズモン共鳴膜電極5を形成する方法としては、例えば、それぞれ独立に、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、化学蒸着法、スピンコーティング法、原子層堆積法(ALD)、及びメッキ法が挙げられる。スパッタリング法を用いる場合において、金属酸化物からなるn型透明半導体膜2を形成する場合には、金属をターゲットとして、酸化させながら成膜してもよい(リアクティブスパッタ)。
【0089】
また、センサの製造方法において、センサチップの透明電極3及びプラズモン共鳴膜電極5と前記電気的測定装置とを外部回路を通じて電気的に接続する方法としては特に制限されず、従来公知の方法を適宜採用して接続することができる。
【実施例
【0090】
以下、実施例をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0091】
(実施例1)
不連続ガレルキン時間領域法(DGTD:Discontinuous Galerkin Time Domain)により、ソフトウェア(「DEVICE」、Lumerical Inc.https://www.lumerical.com/jp/)を用い、その中の「stackfieldコマンド」により、下記の条件で電磁界シミュレーションを実施した。
【0092】
〔チップの構成〕
電磁界シミュレーションは、ガラス基板、n型透明半導体膜(TiO膜)、プラズモン共鳴膜電極(Au膜)、サンプル層がこの順に積層されたチップ1について行った。なお、当該電磁界シミュレーションにおいて、光源は、ガラス基板内にあるものとして行い、また、n型透明半導体膜とプラズモン共鳴膜電極との境界面で、入射光(I)は全反射し、かつ、該全反射した光(反射光:R)は、ガラス基板内部と、ガラス基板のn型透明半導体膜と反対側の表面(空気に接する表面)との境界面において全反射して再度入射光(再入射光:In+1)となるものとして行い、nは1~6とした。
【0093】
〔パラメータ〕
stackfieldコマンドにより要求される各パラメータそれぞれは以下のとおりとした。
n:各層の屈折率
各層の屈折率としては、各層を構成する材質の屈折率より、それぞれ、下記の表1に示す複素屈折率(n:屈折率、k:消衰係数)を用いた。なお、サンプル層は、サンプル溶液の屈折率として、屈折率(RI)を1.33~1.40の間で変化させた。
d:各層の厚さ
各層の厚さは、それぞれ、下記の表1に示す厚さとした。
f:入射光の周波数
波長l=670nmとし、周波数f=c/l(c:光の速度(2.99×10m/s)により算出した。
theta:光の入射角度(θ)
0~90°の範囲とした。
res:分解能
stackfieldコマンドでは分解能はシミュレーション範囲の分割数に等しいため、各層の厚さを変化させた場合、各計算セルのサイズが変化する可能性がある。そのため、分解能res=(1+各層の厚さの総計)/計算セルサイズ(四捨五入、計算セルサイズ=0.01nm)とした。
【0094】
【表1】
【0095】
シミュレーションを行った後、プラズモン共鳴膜電極(Au膜)における、n型透明半導体膜(TiO膜)側の表面から厚さ20%(10nm)の領域のp偏光の吸収量を算出した。また、反射光に関しても、p偏光の成分のみを取得した。
【0096】
〔シミュレーションの確認〕
(参考例1)
先ず、ガラス基板の一方の面上にITO膜(酸化インジウム・スズ)からなる透明電極が形成されたITO基板(ガラス基板:S-TIH11、ガラス基板厚さ:1.1mm、面積:19×19mm、ITO膜:高耐久透明導電膜 5Ω、ジオマテック株式会社製)を準備した。次いで、スパッタリング装置(QAM-4-ST、アルバック九州株式会社製)を用い、ターゲットとしてTiO(Titanium Dioxide、99.9%、フルウチ化学株式会社製)を用いて、前記ITO膜上にTiOからなる厚さ200nmの膜(n型透明半導体膜(TiO膜))を形成した。次いで、前記スパッタリング装置を用い、ターゲットとしてAu(99.99%、株式会社高純度化学研究所製)を用いて、前記TiO膜上に、Auからなる厚さ50nmの膜(プラズモン共鳴膜電極(Au膜))を形成し、ガラス基板、ITO膜、n型透明半導体膜(TiO膜)、プラズモン共鳴膜電極(Au膜)がこの順に積層されたチップ(センサチップ)を得た。
【0097】
次いで、得られたチップの前記ガラス基板のITO膜と反対の面上にジヨードメタン(一級、富士フィルム和光純薬株式会社製)を塗布し、直角プリズム(S-TIH11、株式会社ときわ光学社製、屈折率:1.77)の斜面を密着させ、プリズム、ガラス基板、ITO膜、TiO膜、プラズモン共鳴膜電極(Au膜)がこの順に積層されたチップ(プリズム付きチップ)を得た。
【0098】
次いで、得られたプリズム付きチップのITO膜と電流測定器(Electrochemical Analyzer Model 802D、ALS/CH Instruments Inc.製)の作用極とを、プラズモン共鳴膜電極と前記電流測定器の対極及び参照極とを、それぞれ、導線を介して電気的に接続した。次いで、670nmのレーザー光(光源:CPS670F、Thorlabs社製)を、偏光子(CMM1-PBS251/M、Thorlabs社製)を通してp偏光のレーザー光とし、この強度をパワーメータ(Model843-R、Newport社製)で測定して4.0mWとなるように調整した。次いで、図10に示すように、このp偏光のレーザー光(4.0mW)を得られたチップの光電変換部(センサチップ18)のプリズムの側から照射した。p偏光のレーザー光(入射光)のガラス基板表面に対する入射角度(θ[°])を23°~37°の間で変化させ、各入射角度におけるITO膜-プラズモン共鳴膜電極間の電流値[μA]を測定した。得られた光の入射角度(θ[°])と電流値[μA](左軸)及び入射光のエネルギーに対する前記電流値(出力電流エネルギー)の割合である出力電流割合[%](右軸)との関係を図11に示す(実線(参考例1:実測値))。他方、チップ1について、シミュレーションにより得られた光の入射角度(θ[°])と電流値[μA](左軸)及び出力電流割合[%](右軸)との関係も図11に併せて示す(点線(シミュレーション))。
【0099】
図11に示したように、実測値(実線)とシミュレーション値(点線)との間で、光の入射角度(θ)と電流値(A)及び出力電流割合(CA)との関係は類似しており、高い精度で本シミュレーションを実施できることが確認された。
【0100】
[1]反射光強度の角度依存性
チップ1について、シミュレーションにより得られた入射光(入射光I)及びn型透明半導体膜とプラズモン共鳴膜電極との境界面で入射光が6回全反射して再度入射した入射光(再入射光I~I)がそれぞれ再度反射したときの各反射光(R~R)の強度(反射光強度[%]、入射光強度を100%としたときの反射光の強度)と、光の入射角度(θ[°])との関係をプロットした結果を、図12に示す。図12において、図の最も上部にある実線がR1を示し、下側に向かって順に、R2、R3、R4、R5、R6を示す。
【0101】
図12に示したように、反射光強度は、n型透明半導体膜とプラズモン共鳴膜電極との境界面で光が全反射する度、すなわち、プラズモン共鳴が起きる度に減少することが確認された。
【0102】
[2]入射光増強時の電流値及び反射光利用時の電流値の角度依存性
チップ1について、n型透明半導体膜とプラズモン共鳴膜電極との境界面に入射光の強度を下記の表2の強度となるように増強して、それぞれ独立して入射させたときの、シミュレーションにより得られた光の入射角度(θ[°])と出力電流割合[%]との関係をプロットした結果を、図13に示す。図13において、図の最も下部にある実線が入射光強度が100.0%のときを示し、上側に向かって順に、174.3%、229.6%、270.7%、301.3%、324.0%のときを示す。また、下記の表2に、各入射光強度における出力電流割合[%]の最大値、最小値、及びそれらの差(差分)を示す。
【0103】
他方、チップ1について、[1]と同様に、n型透明半導体膜とプラズモン共鳴膜電極との境界面で入射光を6回全反射させ、入射光(I)及び各反射光(R~R)を再度入射光(再入射光I~I)としたときの、シミュレーションにより得られた光の入射角度(θ[°])と出力電流割合の積算値(出力電流割合[%])との関係をプロットした結果を、図14に示す。図14において、図の最も下部にある実線が入射光条件がI1のときを示し、上側に向かって順に、I1+I2、I1+I2+I3、I1+I2+I3+I4、I1+I2+I3+I4+I5、I1+I2+I3+I4+I5+I6のときを示す。また、下記の表3に、各入射光条件における出力電流割合の積算値[%]の最大値、最小値、及びそれらの差(差分)を示す。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
[3]入射光増強時の屈折率変化及び反射光利用時の屈折率変化に対する電流量変化
チップ1について、n型透明半導体膜とプラズモン共鳴膜電極との境界面に入射光の強度を下記の表4の強度となるように増強して、ガラス内部からプラズモン共鳴膜電極に対する入射角度(θ)57.2°で、それぞれ独立して入射させたときの、シミュレーションにより得られたサンプル溶液の屈折率と出力電流割合[%]との関係をプロットした結果を、図15に示す。また、下記の表4に、各入射光強度における出力電流割合[%]の最大値(RI=1.33のとき)、最小値(RI=1.38のとき)、及びそれらの差(差分)を示す。
【0107】
他方、チップ1について、[1]と同様に、n型透明半導体膜とプラズモン共鳴膜電極との境界面で入射光を6回全反射させ、ガラス内部からプラズモン共鳴膜電極に対する入射角度(θ)53.5°で、入射光(I)及び各反射光(R~R)を再度入射光(再入射光I~I)としたときの、シミュレーションにより得られたサンプル溶液の屈折率と出力電流割合の積算値[%]との関係をプロットした結果を、図16に示す。また、下記の表5に、各入射光条件における出力電流割合の積算値(出力電流割合[%])の最大値(RI=1.33のとき)、最小値(RI=1.40のとき)、及びそれらの差(差分)を示す。
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
【0110】
図12図16、及び表2~5に示したように、電流値は、n型透明半導体膜とプラズモン共鳴膜電極との境界面で全反射した光を再度入射光(再入射光I~I)として利用してこれを積算することで増強され、加えて、単に入射光を増強させて照射した場合よりも、積算した電流値の最大値と最小値との差分の増強がなされて、優れたセンサ感度が達成されることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明したように、本開示の電気測定型表面プラズモン共鳴センサ及びそれに用いるセンサチップによれば、優れたセンサ感度を有する電気測定型表面プラズモン共鳴センサ及びそれに用いるセンサチップを提供することが可能となる。また、本開示のセンサ及びセンサチップは表面プラズモンポラリトンを電気信号として検出することができるため、小型化やハイスループット化が容易である。さらに、本開示のセンサ及びセンサチップにおいては、サンプルに影響を与えないため、より正確な測定が可能となる。したがって、本開示のセンサ及びセンサチップは今後の医療や食品、環境技術の発展において非常に有用である。
【符号の説明】
【0112】
1…光入射口、2…透明基板、3…透明電極、3’…第2の透明電極、4…n型透明半導体膜、4’…第2のn型透明半導体膜、5…プラズモン共鳴膜電極、5’…第2のプラズモン共鳴膜電極、6…接着層、7…保護膜、8…サンプル層、9…リファレンス、10…プリズム、11~18…センサチップ、11’…第2の光電変換部、21…電気的測定装置、31、31’…外部回路、200…光源、300…偏光子、401…入射光、402…反射光、510…センサ。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16