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特許7172703コンピュータのソフトウェアインストール方法及びインストールサーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】コンピュータのソフトウェアインストール方法及びインストールサーバ
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/61 20180101AFI20221109BHJP
   H04L 67/00 20220101ALI20221109BHJP
【FI】
G06F8/61
H04L67/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019025456
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020135190
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹迫 信宏
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-338225(JP,A)
【文献】特開2014-164545(JP,A)
【文献】特開2013-84154(JP,A)
【文献】特開2006-99234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0040495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/60-8/61
H04L 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストールサーバとネットワークを介して接続されたコンピュータにソフトウェアをインストールする方法であって、
前記コンピュータの起動に応じて前記コンピュータが前記インストールサーバに対して仮IPアドレスを要求する第1のステップと、
前記インストールサーバが前記仮IPアドレスの要求に応答して前記仮IPアドレスを前記コンピュータに送出する第2のステップと、
前記仮IPアドレスの受信後、前記コンピュータが前記インストールサーバに対してOSイメージを要求する第3のステップと、
前記インストールサーバが前記OSイメージの要求に応答して前記OSイメージを前記コンピュータに送出する第4のステップと、
前記コンピュータが前記OSイメージの受信後、前記OSイメージに含まれるOSをインストールして前記OSを起動する第5のステップと、
前記コンピュータが前記OSの起動後にホスト名を前記インストールサーバに対して送出する第6のステップと、
前記インストールサーバが前記ホスト名を受信した後、前記ホスト名と前記仮IPアドレスとの組合わせ情報を記憶する第7のステップと、
前記インストールサーバが前記組合わせ情報に応じて複数のアプリケーションプログラム及び前記複数のアプリケーションプログラムのパラメータ値の設定情報のうちから対象アプリケーションプログラム及び前記対象設定情報を選択し、それらを前記コンピュータに送出する第8のステップと、
前記コンピュータが前記対象アプリケーションプログラム及び前記対象設定情報を受信し、前記対象アプリケーションプログラムをインストールして前記対象設定情報に応じて前記対象アプリケーションプログラムのパラメータ値を設定する第9のステップと、を含むことを特徴とするインストール方法。
【請求項2】
前記第7のステップでは前記ホスト名と前記仮IPアドレスとの組合わせ情報は定義ファイル/etc/hostsに反映され、前記第8のステップでは前記定義ファイル/etc/hostsを参照して前記対象アプリケーションプログラム及び前記対象設定情報が選択されることを特徴とする請求項1記載のインストール方法。
【請求項3】
前記第1のステップ、前記第3のステップ、及び前記第5のステップは、前記コンピュータに設けられたPXE機能によって実行されることを特徴とする請求項1又2記載のインストール方法。
【請求項4】
前記第3のステップでは、前記対象アプリケーションプログラムがメニュー選択され、そのメニュー選択結果を示す前記OSイメージの要求が実行され、
前記第4のステップでは、前記メニュー選択結果に対応した前記ホスト名の情報を含む前記OSイメージが前記コンピュータに送出され
前記第5のステップでは、前記OSイメージに含まれるOSをインストールして前記コンピュータに前記ホスト名を設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載のインストール方法。
【請求項5】
前記OSイメージには前記ホスト名の情報を含むインストール設定情報が含まれることを特徴とする請求項4記載のインストール方法。
【請求項6】
ネットワークを介して接続されたコンピュータにソフトウェアをインストールするインストールサーバであって、
前記コンピュータからの仮IPアドレスの要求に応答して前記仮IPアドレスを前記コンピュータに送出するDHCP手段と、
前記コンピュータからのOSイメージの要求に応答して前記OSイメージを前記コンピュータに送出する手段と、
前記コンピュータからのホスト名を受信した後、前記ホスト名と前記仮IPアドレスとの組合わせ情報を記憶する手段と、
前記組合わせ情報に応じて複数のアプリケーションプログラム及び前記複数のアプリケーションプログラムのパラメータ値の設定情報のうちから対象アプリケーションプログラム及び前記対象設定情報を選択し、それらを前記コンピュータに送出する手段と、を備えたことを特徴とするインストールサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータのソフトウェアインストール方法及びインストールサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンピュータへのソフトウェアのインストールの際に、人為的な操作の軽減のためにOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラムの自動インストールを行うソリューションは数多く存在している。そのほとんどはネットワークブート(PXE)と呼ばれる業界標準の機能を利用してOSやアプリケーションプログラムのインストレーションを行っている。この従来の自動インストール方法では、OSやアプリケーションプログラムのインストールまでは可能だが、IPアドレス、ホスト名等のプリケーション固有情報の設定ができないため、管理者等のユーザがそのアプリケーション固有情報の入力操作を行う必要があった。その結果、手作業による人的ミス、作業負荷増大といった課題が発生していた。
【0003】
この課題の解決策として特許文献1に開示された技術がある。特許文献1には、自動インストール時に自動設定用のプログラムをもインストールしてそのプログラムの実行によってコンピュータの物理的な位置情報を検出し、その物理位置情報に基づいて、事前に準備した設定を適用する方法が提案されている。
【0004】
これによりOSやアプリケーションプログラムのインストールからアプリケーション固有設定まで、手作業の間を挟むことなく構築できるため、手作業による人的ミス、作業負荷増大といった問題解消が試みられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-338225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、インストール対象のコンピュータの物理的な位置情報を特定してコンピュータのインストール及び設定を行う必要がある。
【0007】
その物理的な位置情報の特定には、専用のハードウェア、専用のソフトウェアがそれぞれ必要であり、更に、専用のソフトウェアはインストール対象のコンピュータにインストールが必要である。
【0008】
インストール対象のコンピュータとリモートインストールサーバはネットワーク的にお互いに接続可能な状態になっている必要がある。この条件はどの自動構築システムでも共通の条件である。そのため、従来の方法では、必ずネットワーク的に接続可能な状態となるように、コンピュータの設計を十分考慮する必要がある。これはネットワーク設計全体にも波及する可能性があり、システムの運用にも大きく影響を与える恐れがある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、手作業による設定や専用のハードウェアを必要とすることなくアプリケーションプログラムをOSと共にコンピュータにインストールして実行可能な状態にすることができるソフトウェアインストール方法及びインストールサーバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のソフトウェアインストール方法は、インストールサーバとネットワークを介して接続されたコンピュータにソフトウェアをインストールする方法であって、前記コンピュータの起動に応じて前記コンピュータが前記インストールサーバに対して仮IPアドレスを要求する第1のステップと、前記インストールサーバが前記仮IPアドレスの要求に応答して前記仮IPアドレスを前記コンピュータに送出する第2のステップと、前記仮IPアドレスの受信後、前記コンピュータが前記インストールサーバに対してOSイメージを要求する第3のステップと、前記インストールサーバが前記OSイメージの要求に応答して前記OSイメージを前記コンピュータに送出する第4のステップと、前記コンピュータが前記OSイメージの受信後、前記OSイメージに含まれるOSをインストールして前記OSを起動する第5のステップと、前記コンピュータが前記OSの起動後にホスト名を前記インストールサーバに対して送出する第6のステップと、前記インストールサーバが前記ホスト名を受信した後、前記ホスト名と前記仮IPアドレスとの組合わせ情報を記憶する第7のステップと、前記インストールサーバが前記組合わせ情報に応じて複数のアプリケーションプログラム及び前記複数のアプリケーションプログラムのパラメータ値の設定情報のうちから対象アプリケーションプログラム及び前記対象設定情報を選択し、それらを前記コンピュータに送出する第8のステップと、前記コンピュータが前記対象アプリケーションプログラム及び前記対象設定情報を受信し、前記対象アプリケーションプログラムをインストールして前記対象設定情報に応じて前記対象アプリケーションプログラムのパラメータ値を設定する第9のステップと、を含むことを特徴としている。
【0011】
本発明のインストールサーバは、ネットワークを介して接続されたコンピュータにソフトウェアをインストールするインストールサーバであって、前記コンピュータからの仮IPアドレスの要求に応答して前記仮IPアドレスを前記コンピュータに送出するDHCP手段と、前記コンピュータからのOSイメージの要求に応答して前記OSイメージを前記コンピュータに送出する手段と、前記コンピュータからのホスト名を受信した後、前記ホスト名と前記仮IPアドレスとの組合わせ情報を記憶する手段と、前記組合わせ情報に応じて複数のアプリケーションプログラム及び前記複数のアプリケーションプログラムのパラメータ値の設定情報のうちから対象アプリケーションプログラム及び前記対象設定情報を選択し、それらを前記コンピュータに送出する手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンピュータのソフトウェアインストール方法及びインストールサーバによれば、アプリケーションプログラムをコンピュータにインストールしかつパラメータ値の設定を行うので、インストール終了後にはユーザによる手作業による入力設定をすることなく実行可能な状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明が適用されたコンピュータシステムの構成を示す図である。
図2図1のシステム中の仮IPアドレス対応情報記憶部の記憶内容を示す図である。
図3図1のシステム中のISOイメージ記憶部のOSイメージの種類を示す図である。
図4図1のシステム中のOSインストール設定ファイル記憶部の記憶内容を示す図である。
図5図1のシステム中のホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部の記憶内容を示す図である。
図6図1のシステム中の追加ファイル群記憶部の記憶ファイル群を示す図である。
図7図1のシステム中の個別設定値記憶部の記憶内容を示す図である。
図8図1のシステムにおける動作シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明を適用したコンピュータシステムを示している。このコンピュータシステムは、インストールサーバ10とコンピュータ20とを有し、インストールサーバ10とコンピュータ20とはネットワーク30によって接続されている。本実施例では単一のコンピュータ20が示されているが、複数のコンピュータ20がネットワーク30に接続されていても良い。
【0016】
ネットワーク30は例えば、レイヤ2(データリンク層)レベルのネットワークである。インストールサーバ10とコンピュータ20との間のデータやコマンドの通信はネットワーク30を介して常に行われる。
【0017】
インストールサーバ10は、個別のインストール用のプログラムを実行する実行部として、OS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101と、仮IPアドレス発行プログラム実行部102と、仮IPアドレスとホスト名の対応情報登録プログラム実行部103と、ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104と、OS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105とを備えている。これら実行部101~105の各々は割り当てられた個別のプログラムを実行する単数又は複数のプロセッサ(図示せず)を有している。また、これらの実行部101~105間の動作の流れを制御する制御部(図示せず)がインストールサーバ10内に設けられている。
【0018】
仮IPアドレス発行プログラム実行部102は、仮IPアドレス発行プログラムを実行することによりDHCPサーバとして動作し、仮IPアドレス発行依頼に対して仮IPアドレスを発行する。また、仮IPアドレス発行プログラム実行部102は、図2に示すように、ホスト名、仮IPアドレス、MACアドレスの対応情報を記憶する仮IPアドレス対応情報記憶部102aを有している。
【0019】
OS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101は、OS及びアプリケーションインストールプログラムを実行することにより、インストール用ISOイメージ記憶部101aと、OSインストール設定ファイル記憶部101bを持ち、それらに格納されたISOイメージや設定ファイルを任意のプロトコル(TFTP、FTP、HTTP(S))を用いて転送する。OSインストール設定ファイル記憶部101bにはOSのインストール設定時にホスト名までファイルとして設定しておくことが必要になる。インストール用ISOイメージ記憶部101aに記憶されたOSとして例えば、図3に示すようにRHEL(Red Hat Enterprise Linux)7、RHEL6、CentOS7、CentOS6、VMware ESXi6.7、VMware ESXi6.5、VMware ESXi6.0が含まれる。OSインストール設定ファイル記憶部101bには図4に示すように、ホスト名毎にパーティション構成、パッケージ構成その他の情報がイメージファイルに記憶されている。
【0020】
仮IPアドレスとホスト名対応情報登録プログラム実行部103は、仮IPアドレスとホスト名対応情報登録プログラムを実行することにより、仮IPアドレス発行プログラム実行部102によって作成されたホスト名と仮IPアドレスの組合わせ情報を、ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム用の定義ファイル(/etc/hosts)にコピーを行う。
【0021】
ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104は、ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラムを実行することにより、対象ホスト名に該当する仮IPアドレスへの変換を行う。ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104は、図5に示すように、ホスト名とIPアドレスとの対応情報を記憶したホスト名及びIPアドレス対応情報記憶部104aを有し、ホスト名から仮IPアドレスへの変換に使用する設定ファイルとして、/etc/hostsの定義ファイルを使用する。
【0022】
OS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105は、追加ファイル群記憶部105aと、個別設定値記憶部105bとを持ち、全てホスト名に関連付けられてファイル、設定値を管理する。追加ファイル群記憶部105aに記憶されたファイルは図6に示すように、ホスト名毎に予め設定されたアプリケーションプログラムを形成する複数のプログラムファイル(ファイルa、ファイルb、ファイルc)である。個別設定値記憶部105bに記憶された個別設定値(設定情報)は、図7に示すように、ホスト名毎に対応するアプリケーションプログラムに必要な各パラメータ値に対して適切な設定値(設定値A、設定値B、設定値C)を与えるための複数の設定値ファイルである。例えば、プログラムファイルがコンピュータにインストールされる際に設定値ファイルの各設定値がパラメータ登録され、これによりアプリケーションプログラムがそのコンピュータにおいて実行可能となる。
【0023】
コンピュータ20には、ネットワークブートの規格であるPXE(Preboot eXecution Environment)に対応したネットワークカード20aが搭載され、OS、アプリケーション等のソフトウェアの自動インストールを可能にしている。
【0024】
かかる構成を備えたコンピュータシステムにおいては、コンピュータ20に電源が投入されると、コンピュータ20は先ず、例えば、BIOS(バイオス)で起動して図8に示すように、コンピュータ20とインストールサーバ10との間で通信が行われる。コンピュータ20とインストールサーバ10との間で通信ではネットワーク30を介してパケットが送受信される。パケットにはMACアドレスと共に後述する要求等のコマンド、或いはプログラム等のデータが含まれる。
【0025】
コンピュータ20では起動後、ネットワークカード20aのPXE機能によりPXEブートが実行される。PXEブートによりコンピュータ20から仮IPアドレス発行依頼がインストールサーバ10に対して送出される(ステップA:第1のステップ)。インストールサーバ10では、仮IPアドレス発行プログラム実行部102が仮IPアドレス発行依頼に応答して仮IPアドレスを発行し、それをコンピュータ20に送出する(ステップB:第2のステップ)。
【0026】
次に、コンピュータ20はインストール対象選択メニュー要求をインストールサーバ10に対して送出する(ステップC)。インストールサーバ10では、インストール対象選択メニュー要求に対してOS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101がインストール対象選択メニューを発行し、それをコンピュータ20に送出する(ステップD)。インストール対象選択メニューは例えば、コンピュータ20へのインストール可能なアプリケーションプログラムの種類を示す。
【0027】
コンピュータ20はインストール対象選択メニューに基づいてOSイメージ転送要求をインストールサーバ10に対して送出する(ステップE:第3のステップ)。これはコンピュータ20において例えば、ユーザがインストール対象選択メニューからいずれか1つのアプリケーションを選択することにより、その選択したアプリケーションプログラム(対象アプリケーションプログラム)がそのインストールに必要なOSイメージの転送要求として発せられる。
【0028】
インストールサーバ10では、OSイメージ転送要求が受信されると、選択したアプリケーションが分かり、それに対してOS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101がOSイメージをインストール用ISOイメージ記憶部101aから取り出してそれをコンピュータ20に送出する(ステップF:第4のステップ)。そのOSイメージにはOSインストール設定ファイル記憶部101bに記憶されたOSインストール設定ファイルが含まれる。OSイメージのコンピュータ20への転送には、上記したTFTP、FTP、HTTP(S)等のプロトコルが使用される。インストールサーバ10では、選択したアプリケーションに対応して一義的にホスト名が設定され、送出されるOSイメージ中のOSインストール設定ファイルには上述したようにホスト名、パーティション構成、パッケージ構成その他の情報が含まれている。
【0029】
コンピュータ20ではインストールサーバ10からOSイメージがダウンロードされるので、そのOSイメージがインストールされ、そのインストール後にOSが起動される。このOS起動はコンピュータ20の再起動でも良い。OSが起動されると、コンピュータ20は自身に割り当てられたホスト名をインストールサーバ10に対して送出する(ステップG:第5及び第6のステップ)。それに対して、インストールサーバ10の仮IPアドレス発行プログラム実行部102は、コンピュータ20から送出されたホスト名を取得すると、ホスト名、仮IPアドレス、及びMACアドレスを互いに関連付けて仮IPアドレス対応情報記憶部102aに記憶して管理する。なお、仮IPアドレス発行プログラム実行部102ではステップBの仮IPアドレス発行の段階で仮IPアドレスとMACアドレスとの関連付けが既にされているので、ステップGでホスト名はMACアドレスを含むパケットでコンピュータ20からインストールサーバ10に供給されると、ホスト名、仮IPアドレス、及びMACアドレスの関連付けが可能である。
【0030】
取得したホスト名と仮IPアドレスとの組合わせ情報は仮IPアドレスとホスト名対応情報登録プログラム実行部103に供給される(ステップH)。仮IPアドレスとホスト名対応情報登録プログラム実行部103では、ホスト名と仮IPアドレスとの組合わせ情報が取得されると、そのホスト名と仮IPアドレスとの組合わせ情報を、ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム用の定義ファイル(/etc/hosts)にコピーを行う(ステップI)。その定義ファイルはホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104のホスト名及びIPアドレス対応情報記憶部104aに保存される。ステップH,Iは第7のステップに相当する。
【0031】
その後、OS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105から対象ホスト名の仮IPアドレス変換要求がホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104に供給される(ステップJ)。対象ホスト名の仮IPアドレス変換要求の対象ホスト名はステップGで仮IPアドレス発行プログラム実行部102が得たホスト名である。ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104は、対象ホスト名の仮IPアドレス変換要求に応答し、ホスト名及びIPアドレス対応情報記憶部104aに記憶された情報から対象ホスト名に対応する仮IPアドレスを読み出してそれをOS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105に供給する(ステップK)。
【0032】
OS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105は、追加ファイル群記憶部105a及び個別設定値記憶部105bの各々から対象ホスト名に対応するプログラムファイル群及び設定値ファイル群を読み出し、それらをコンピュータ20に送出する(ステップL)。そのファイル群のコンピュータ20への転送には、上記したTFTP、FTP、HTTP(S)等のプロトコルが使用されても良い。ステップK,Lが第8のステップに相当する。
【0033】
コンピュータ20では、インストールサーバ10からプログラムファイル群及び設定値ファイル群がダウンロードされる。そして、それらのプログラムファイルがコンピュータにインストールされ、その際に設定値ファイルの各設定値がパラメータ登録される(第9のステップ)。インストールが終了すると、選択したアプリケーションソフトウェアがコンピュータ20に実行可能な状態でインストールされたことになる。
【0034】
このように実施例のソフトウェアインストール方法によれば、インストールサーバ10側にはソフトウェアを用意するだけでOS及びアプリケーションプログラムをコンピュータ20にインストールしかつパラメータ値の設定を行うので、インストール終了後にはユーザによる新たな入力設定をすることなく実行可能な状態にすることができる。また、インストールサーバ10とコンピュータ20とを物理的に接続するネットワーク環境があれば、インストール可能であり、コンピュータ20側では特許文献1の開示技術のような特別なハードウェアは必要なく、更に、位置情報等の固有情報を使用しないで済むという特徴もある。
【0035】
なお、上記した実施例においては、インストールサーバ10は、OS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101と、仮IPアドレス発行プログラム実行部102と、仮IPアドレスとホスト名の対応情報登録プログラム実行部103と、ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104と、OS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105とを備えているが、それらの実行部を複数のサーバに分散させても良い。特に、負荷を分散するためには、OS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101とOS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105とを別にすることが望ましい。例えば、インストールサーバ10には、OS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101と、仮IPアドレス発行プログラム実行部102と、仮IPアドレスとホスト名の対応情報登録プログラム実行部103と、ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104とを形成し、OS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105を別にサーバに形成することができる。この場合には仮IPアドレス発行プログラム実行部102が管理する仮IPアドレス発行可能な範囲を分割する必要がある。例えば、上記した実施例では仮IPアドレスとして192.168.5.101~192.168.5.121を使用する場合に負荷分散のためには192.168.5.101~192.168.5.110の範囲、或いは、192.168.5.111~192.168.5.121の範囲に限定することになる。
【0036】
また、インストールサーバ10の実行部101~105のうちのホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部104とOS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105とを別にサーバに形成しても良い。
【0037】
このように分散構成することにより、複数のコンピュータに同時にインストールする場合に1つのインストールサーバに負荷が集中することを防止することができる。
【0038】
上記した実施例において、実際に使用するインストールサーバ10は物理サーバではなく、仮想基盤上の仮想マシンとして提供することが可能である。事前に必要な設定をすべて反映した仮想マシンを準備しておけば、インストールサーバ10の仮想マシンを複数台に複製することにより容易にスケールアウト可能となる。また、事前準備としてOS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101中の、「インストールイメージ」及び「インストール設定ファイル」と、OS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105の「追加ファイル群」及び「個別設定用ファイル群」を分離して、共通の流用可能な設定だけ仮想マシンとして準備することにより、どのような構成の環境も構築可能な汎用の仮想マシンも作成可能で、将来的な更新のメンテナンスも容易となる。
【0039】
また、上記した実施例において、仮IPアドレスとホスト名の対応情報登録プログラム実行部103では、DHCPサーバの仮IPアドレス発行プログラム実行部102から、ホスト名、仮IPアドレス、及びMACアドレスの組合わせが取得できる。ここで、コンピュータ20のMACアドレス情報を用いて、OS及びアプリケーションインストールプログラム実行部101のインストール設定ファイルと関連付けることで、その後にコンピュータ20から起動する際、必要な設定が自動転送されるようにすることが可能である。この結果、例えば、システムディスクが全損してシステムが起動できない状態となった場合において、システムディスク交換後、コンピュータ20を起動するだけでインストールサーバに準備した設定を適用して自動構築することができる。システムへの設定をインストールサーバのOS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部105を経由する運用にした場合に、インストールサーバ10がコンピュータ20を含む各コンピュータの設定を把握しているため、システムバックアップが不要になる。また、システムディスク側の論理破壊が発生した場合も同様の手順で自動構築を行ってもとに戻すことが可能になる。
【0040】
更に、上記したように、仮IPアドレスとホスト名の対応情報登録プログラム実行部103では、仮IPアドレス発行プログラム実行部102から、ホスト名、仮IPアドレス、及びMACアドレスの組合わせ情報が取得できるが、OSがLinux(登録商標)を用いたシステムの場合にはコンピュータ20のMACアドレス情報をLinuxのレスキューモードと関連付けることができる。よって、システムディスクが全損してシステムが起動できない状態となった際に、コンピュータ20を起動させるとLinuxインストールメディア(DVD等の光学メディア)のレスキューモードと同じ環境で起動可能となる。その結果、システムディスクの状態を確認した後、一部でも参照可能な領域が存在する場合、必要なデータの引き上げ作業も可能となる。インストールサーバ10側にシステムバックアップデータを管理している場合には、システムディスク交換後、インストールサーバのシステムバックアップデータをリストア可能となる。これらの一連の機能は、商用のバックアップソフトウェアに実装されている機能であるが、ホスト名と仮IPアドレスが自動的に関連付けられる場合に有効である。確実に正しい対象ホスト名がコンピュータ20に設定されるため、リストア対象のバックアップデータを間違えて使用するといったミスをなくすことができる。
【0041】
なお、上記した実施例ではOSとしてLinuxが使用された場合について説明したので、ホスト名と仮IPアドレスとの組合わせ情報が定義ファイル(hostsファイル)の格納場所として/etc/hostsが指定されているが、Windows(登録商標)等の他のOSではその格納場所は異なっており、格納場所が/etc/hostsに限定されることはない。
【符号の説明】
【0042】
10 インストールサーバ
20 コンピュータ
20a ネットワークカード
30 ネットワーク
101 OS及びアプリケーションインストールプログラム実行部
102 仮IPアドレス発行プログラム実行部
103 仮IPアドレスとホスト名の対応情報登録プログラム実行部
104 ホスト名及びIPアドレス名前解決プログラム実行部
105 OS及びアプリケーション設定変更プログラム実行部
101a,101b,102a,104a,105a,105b 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8