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特許7172707ミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20221109BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019027988
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020134704
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100134599
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】長崎 拓真
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雅博
(72)【発明者】
【氏名】牛田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】野口 建
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-109974(JP,A)
【文献】特開2004-090888(JP,A)
【文献】特開2018-185410(JP,A)
【文献】特開2007-063654(JP,A)
【文献】国際公開第2009/145036(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/093163(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0371158(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0059806(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0034734(KR,A)
【文献】米国特許第07978414(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
G02B 7/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射部と、
回転軸を中心に回転可能に支持され、前記反射部を保持するホルダ本体部と、
前記ホルダ本体部に着脱可能に形成され、前記回転軸に交わる方向に移動するスライダ部に挟み込まれ、前記スライダ部の移動に伴い前記回転軸を中心に前記ホルダ本体部を回転させるアタッチメント部材と、を備え、
前記アタッチメント部材は、前記ホルダ本体部よりも摩擦係数が低い材質で形成される、
ミラーユニット。
【請求項2】
前記ホルダ本体部はマグネシウムにより形成され、
前記アタッチメント部材はステンレスにクロムメッキが積層されてなる、
請求項1に記載のミラーユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のミラーユニットと、
表示光を出射する表示部と、を備え、
前記反射部は、前記表示部からの前記表示光を被投射部材に向けて反射させることにより虚像を表示する、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示光をフロントガラス等に照射することにより虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を反射させる凹面鏡と、凹面鏡を支えるミラーホルダと、凹面鏡の傾き角度を調整する位置調整手段と、を備える。凹面鏡を支えるミラーホルダは、その幅の中央から突出する突出片を備える。位置調整手段は、モータと、モータの駆動により回転するリードスクリューと、リードスクリューが回転するとリードスクリューの軸線方向に沿って移動する移動部材と、移動部材とともに移動し、突出片をその厚さ方向から挟み込む第1板ばね及び第2板ばねと、を備える。移動部材が移動することにより、第1板ばね及び第2板ばねを介して突出片が押されて、これにより、凹面鏡が回転軸を中心に回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/093163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成では、移動部材が移動する際、突出片は第1板ばね及び第2板ばねに摺動する。この突出片と第1板ばね及び第2板ばねの摩擦により、移動部材のスムーズな移動が阻害され、これにより、凹面鏡のスムーズな回転が阻害されるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、反射部をスムーズに回転させることができるミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るミラーユニットは、反射部と、回転軸を中心に回転可能に支持され、前記反射部を保持するホルダ本体部と、前記ホルダ本体部に着脱可能に形成され、前記回転軸に交わる方向に移動するスライダ部に挟み込まれ、前記スライダ部の移動に伴い前記回転軸を中心に前記ホルダ本体部を回転させるアタッチメント部材と、を備え、前記アタッチメント部材は、前記ホルダ本体部よりも摩擦係数が低い材質で形成される。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るヘッドアップディスプレイ装置は、前記ミラーユニットと、表示光を出射する表示部と、を備え、前記反射部は、前記表示部からの前記表示光を被投射部材に向けて反射させることにより虚像を表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置において、反射部をスムーズに回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係るホルダ及びミラー駆動ユニットの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るミラー駆動ユニットの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るミラー駆動ユニットの側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るアタッチメント部材の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るスライダ部の斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係るアタッチメント部材及びスライダ部の断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るミラー駆動ユニットの平面図である。
図10】本発明の変形例に係る被取付部に取り付けられたアタッチメント部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200のダッシュボード内に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両200の被投射部材の一例であるフロントガラス201に向けて像を表す表示光Lを出射する。表示光Lはフロントガラス201で反射して視認者1(主に車両200の運転者)に到達する。これにより、虚像Vが視認者1により視認可能に表示される。
【0011】
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示部10と、折り返しミラー20と、ミラー装置46と、筐体60と、制御部70と、を備える。ミラー装置46は、表示光Lを反射するミラーユニット30と、ミラーユニット30を駆動するミラー駆動ユニット40と、を備える。
【0012】
表示部10は、制御部70による制御のもと、像を表す表示光Lを出射する。表示部10は、例えば、何れも図示しない光源及び液晶表示パネルを備える。
【0013】
折り返しミラー20は、例えば平面鏡からなり、表示部10が出射した表示光Lをミラーユニット30に向けて反射させる。
【0014】
筐体60は、非透光性の樹脂又は金属で形成されるとともに、中空の略直方体をなす。筐体60には、フロントガラス201に対向する位置に開口部61が形成されている。筐体60は、開口部61を塞ぐ湾曲板状の窓部50を備える。窓部50は、表示光Lが透過するアクリル等の透光性の樹脂からなる。筐体60内には、ヘッドアップディスプレイ装置100の各構成が収納されている。
【0015】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなり、表示部10及びミラー駆動ユニット40の後述するモータ42を制御する。制御部70は、モータ42を駆動させることにより、回転軸Axを中心にミラーユニット30を回転させる。
【0016】
図2に示すように、ミラーユニット30は、表示光Lを反射させる凹面鏡31と、凹面鏡31を裏面から支持するホルダ35と、を備える。
なお、以下の説明では、ミラーユニット30の凹面鏡31を正面から見たときの方向に基づき、左右、上下、表裏が規定されている。図3図8においては、左はLfと略記され、右はRtと略記され、上はUpと略記され、下はDnと略記され、表はFrと略記され、裏はBkと略記される。また、左右方向はX方向と一致し、上下方向はY方向と一致し、表裏方向はZ方向に一致する。
【0017】
凹面鏡31は、X方向に長い略長方形の板状に形成され、X方向に沿って凹状に湾曲している。凹面鏡31は、折り返しミラー20で反射した表示光Lをフロントガラス201に向けて拡大させつつ反射させる。凹面鏡31は反射部の一例である。
【0018】
図3に示すように、ホルダ35は、被取付部37を有し、凹面鏡31の裏面を支持するホルダ本体部36と、図示しない軸支持部材により支持される軸部33と、被取付部37に取り付けられるレバー部38pを有するアタッチメント部材38と、を備える。ホルダ35は、マグネシウム等の軽量硬質金属により形成される。
【0019】
ホルダ本体部36は、凹面鏡31の裏面に沿い、X方向に沿って凹状に湾曲している。ホルダ本体部36は、複数の接着部36aを備える。複数の接着部36aは、ホルダ本体部36の表面に位置し、X方向に沿って並べられる。各接着部36aの表側の面は、図示しない接着剤を介して凹面鏡31の裏面に固定される。
【0020】
被取付部37は、ホルダ本体部36の下端におけるX方向の中央左寄りに位置する。被取付部37は、厚さ方向がZ方向に一致し、X方向に長い長方形板状をなす。被取付部37は、ミラー駆動ユニット40の後述するスライダ部43により被取付部37の厚さ方向から把持される。
図6に示すように、被取付部37には、嵌合孔37a及びねじ通孔37b,37cが形成されている。嵌合孔37aには、アタッチメント部材38の後述する嵌合部38a2が嵌合する。嵌合孔37aは、被取付部37のX方向の中央に位置し、被取付部37の厚さ方向に貫通し、下側に向けて開口する凹状をなす。
ねじ通孔37b,37cは、嵌合孔37aを挟み込むようにX方向に並べられている。
【0021】
図5に示すように、ミラー駆動ユニット40は、モータ42と、リードスクリュー41と、スライダ部43と、ガイド部44と、支持部材45と、を備える。
支持部材45は、モータ42、リードスクリュー41及びガイド部44を支持する金具である。支持部材45は、第1板部45a、第2板部45b及び第3板部45cを備える。第1板部45a及び第2板部45bはZ方向に並び互いに対面する。第3板部45cは、第1板部45a及び第2板部45bのそれぞれの下端部を連結するようにZ方向に延びる。
【0022】
リードスクリュー41は、Z方向に延びる円柱状に形成され、第1板部45aと第2板部45bの間で軸回転可能に支持される。リードスクリュー41の外周にはスライダ部43が嵌合される。
ガイド部44は、スライダ部43の移動をガイドするためのものであり、Z方向に延びる円柱状をなし、第1板部45aと第2板部45bの間で支持される。
モータ42は、支持部材45の第1板部45aの裏面に固定される。モータ42は、制御部70による制御のもと、リードスクリュー41を軸回転させる。
【0023】
図5に示すように、スライダ部43は、スライダ本体部43aと、付勢部材43bと、押圧部材43cと、を備える。
スライダ本体部43aは、リードスクリュー41に嵌合されるナット43nを備える。ナット43nは、リードスクリュー41が軸回転すると、リードスクリュー41の軸線方向に沿ってスライダ部43とともにZ方向に移動する。
【0024】
付勢部材43bは、板ばね部43b1と、板ばね部43b1を保持するばね保持部43b2と、を備える。
ばね保持部43b2はスライダ本体部43aの上面の表側に位置し、板ばね部43b1の端部を保持する。
板ばね部43b1は、金属により、下方向に向けて開口するV字の板状に形成される。板ばね部43b1はZ方向に弾性変形可能に形成される。板ばね部43b1は、ばね保持部43b2からY方向に沿って上方向に直線状に延び、板ばね部43b1の上端から下方向に向かうにつれて裏側に近づくように傾斜する。
【0025】
図7に示すように、板ばね部43b1は、レバー部38pに接触可能である仮想的な接触可能ライン43b3を有する。接触可能ライン43b3は、板ばね部43b1における最も裏側の角部に沿ってX方向に延びる。板ばね部43b1は、接触可能ライン43b3の何れかの位置でレバー部38pに点接触し、レバー部38pを押圧部材43cに向けて付勢する。
【0026】
図5及び図7に示すように、押圧部材43cは、半円柱ピン43c1と、半円柱ピン43c1を支持する半円柱ピン支持部43c2と、を備える。
半円柱ピン支持部43c2は、スライダ本体部43aの上面の裏側に位置し、XY平面に沿う板状をなす。半円柱ピン支持部43c2の表面には半円柱ピン43c1が固定される。
半円柱ピン43c1は、X方向に沿って延びる半円柱状に形成される。半円柱ピン43c1のX方向に延びる平面状の側面は、半円柱ピン支持部43c2の表面に固定される。図7に示すように、半円柱ピン43c1は、レバー部38pに接触可能である仮想的な接触可能ライン43c3を有する。接触可能ライン43c3は、半円柱ピン43c1の最も表側に位置し、半円柱ピン43c1の頂部に沿ってX方向に延びる。図9に示すように、接触可能ライン43c3は、接触可能ライン43b3と平行をなし、接触可能ライン43b3とともにレバー部38pの外周面を挟み込むように位置する。半円柱ピン43c1は、接触可能ライン43c3の何れかの位置でレバー部38pに点接触し、レバー部38pを付勢部材43bに向けて押す。このように、付勢部材43b及び付勢部材43bはレバー部38pを挟持する。
【0027】
図6に示すように、アタッチメント部材38は、ホルダ35の被取付部37に取り付けられる部材であり、被取付部37に着脱可能である。アタッチメント部材38は、ホルダ35よりも摩擦係数の低い材質で形成される。例えば、アタッチメント部材38は、ホルダ35の材料よりも硬質である硬質金属に、この硬質金属よりも摺動性が高い、すなわち、摩擦係数の低い低摩擦層が施されてなる。例えば、アタッチメント部材38は、硬質金属であるステンレスと、ステンレスの周面に積層される低摩擦層としてのクロムメッキと、からなる。このステンレスはSUS440Cであることが好ましい。
【0028】
詳しくは、図6及び図8に示すように、アタッチメント部材38は、レバー部38pと、止めねじ38nと、ピン支持部材38aと、ビス38bと、を備える。
ピン支持部材38aは、土台部38a1と、嵌合部38a2と、を備える。土台部38a1は、X方向に長い長方形板状をなし、被取付部37の裏面に接触する。図4に示すように、土台部38a1には、X方向に並ぶ3つのねじ孔38g1,38g2,38g3が形成されている。
ねじ孔38g1,38g2は、土台部38a1の厚さ方向に貫通し、土台部38a1におけるX方向の両端部に位置する。ねじ孔38g1,38g2には、図6に示す被取付部37のねじ通孔37b,37cを通過するビス38bの軸部が螺合される。ビス38bの頭部は被取付部37の表面に位置する。ビス38bによりアタッチメント部材38は被取付部37に固定される。
ねじ孔38g3は一対のねじ孔38g1,38g2の間に位置する。ねじ孔38g3には、レバー部38pをピン支持部材38aに止める止めねじ38nが螺合される。
【0029】
図6に示すように、嵌合部38a2は、直方体をなし、土台部38a1の表面における土台部38a1のX方向の中央に位置する。嵌合部38a2は、被取付部37の嵌合孔37aに嵌まる。
嵌合部38a2の下面にはレバー部38pの上端が嵌まるピン孔38hが形成されている。図8に示すように、ピン孔38hは、ピン孔38hに直交するねじ孔38g3と連通する。ねじ孔38g3には止めねじ38nが螺合される。止めねじ38nはねじ孔38g3内においてレバー部38pの外周面に当接する。これにより、レバー部38pは止めねじ38nによりピン孔38h内に固定される。
レバー部38pはY方向に延びる円柱状をなす。レバー部38pの下端は半球状をなしている。レバー部38pの外周面は、付勢部材43bと押圧部材43cに点接触する曲面を有する。レバー部38pは、板ばね部43b1と半円柱ピン43c1のそれぞれに点接触するように板ばね部43b1と半円柱ピン43c1の間に挟み込まれ、板ばね部43b1の付勢力により半円柱ピン43c1に向けて押し付けられている。
【0030】
レバー部38pは、スライダ部43のZ方向への移動に伴いY方向に対する角度を変えつつ、回転軸Axを中心にホルダ35を回転させる。このときにも、レバー部38pは、板ばね部43b1と半円柱ピン43c1の間に挟み込まれた状態を維持する。
【0031】
上記構成では、アタッチメント部材38がホルダ35の被取付部37に取り付けられ、アタッチメント部材38のレバー部38pがスライダ部43に挟み込まれている。ヘッドアップディスプレイ装置100の機種によっては、アタッチメント部材38を被取付部37に取り付けず、被取付部37が直接にスライダ部43に挟み込まれていてもよい。これにより、機種毎に異なるホルダを用意する必要がなく、ホルダ35の汎用性が高まる。
【0032】
ミラー装置46の作用について説明する。
モータ42が駆動されると、リードスクリュー41が軸回転する。すると、スライダ部43はレバー部38pを挟み込みつつリードスクリュー41の軸線方向(Z方向)に沿って移動する。これにより、レバー部38pのY方向に対する角度が変化しつつ、ミラーユニット30が回転軸Axを中心に回転する。この際、レバー部38pがスライダ部43に点接触した状態が維持されつつ、レバー部38pがスライダ部43の付勢部材43b及び押圧部材43cに摺動する。ミラーユニット30が回転することにより、虚像Vの表示位置が車両高さ方向に移動する。
【0033】
例えば、ミラーユニット30を筐体60内に組み付ける際の組み付け誤差、ミラーユニット30及び筐体60等の形状誤差、又はヘッドアップディスプレイ装置100の設計により、凹面鏡31の回転軸Axがスライダ部43の移動方向(Z方向)に対して所望の角度(例えば90°)から傾いて設定される場合がある。この場合、図9の矢印A1に示すように、レバー部38pがその軸方向を中心に回転した位置に設定されるものの、レバー部38pは曲面を有するため、付勢部材43b及び押圧部材43cに点接触した状態が維持される。
【0034】
例えば、上述した組み付け誤差、形状誤差又は設計により、図9の矢印A2に示すように、レバー部38pがX方向にずれて設定される場合がある。この場合でも、レバー部38pが接触可能ライン43b3,43c3の間に挟まれているため、レバー部38pが付勢部材43b及び押圧部材43cに点接触した状態が維持される。
以上のように、レバー部38pの姿勢に関わらず、レバー部38pのスライダ部43に対する接触状態を保つことができる。よって、スライダ部43のスムーズな移動が可能となり、これにより、凹面鏡31のスムーズな回転が可能となる。
【0035】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1-1)ミラー装置46は、反射部の一例である凹面鏡31と、回転軸Axを中心に回転可能に支持され、凹面鏡31を保持するホルダ本体部36と、ホルダ本体部36に固定されるレバー部38pと、レバー部38pを挟み込むスライダ部43、及びスライダ部43を回転軸Axに交わるZ方向に移動させることにより回転軸Axを中心にホルダ本体部36を回転させる駆動部の一例であるモータ42を有するミラー駆動ユニット40と、を備える。レバー部38pは、スライダ部43に点接触する曲面を有する。
この構成によれば、ホルダ本体部36の姿勢に関わらず、レバー部38pがスライダ部43に点接触した状態を保つことができる。よって、スライダ部43のスムーズな移動が可能となり、これにより、凹面鏡31のスムーズな回転が可能となる。また、これにより、モータ42の負荷が低減するため、消費電力及び騒音を低減することができる。
また、レバー部38pの挿入角度に関わらず、レバー部38pがスライダ部43に点接触した状態となるため、組み立て時のアライメント誤差に対するロバスト性が高い。
【0036】
(1-2)レバー部38pは曲面である外周面を有する円柱状に形成される。スライダ部43は、レバー部38pの一端側である裏側に位置し、レバー部38pの外周面に点接触する押圧部材43cと、レバー部38pの他端側である表側に位置し、レバー部38pの外周面に点接触した状態で、レバー部38pを押圧部材43cに向けて付勢する付勢部材43bと、を備える。押圧部材43c及び付勢部材43bは、それぞれ、レバー部38pの軸方向に対して直角に交わるX方向に延び、レバー部38pに点接触可能な接触可能ライン43b3,43c3を有する。
上述した組み付け誤差、形状誤差又は設計により、図9の矢印A2に示すように、レバー部38pがX方向にずれたとしても、レバー部38pがスライダ部43に点接触した状態が維持される。よって、スライダ部43のスムーズな移動が可能となり、これにより、凹面鏡31のスムーズな回転が可能となる。また、上述のように、消費電力及び騒音を低減し、組み立て時のアライメント誤差に対するロバスト性が高まる。
【0037】
(1-3)ヘッドアップディスプレイ装置100は、ミラー装置46と、表示光Lを出射する表示部10と、を備える。凹面鏡31は、表示部10からの表示光Lを被投射部材の一例であるフロントガラス201に向けて反射させることにより虚像Vを表示する。
この構成によれば、ヘッドアップディスプレイ装置100において、凹面鏡31のスムーズな回転が可能となる。
【0038】
(2-1)ミラーユニット30は、凹面鏡31と、回転軸Axを中心に回転可能に支持され、凹面鏡31を保持するホルダ本体部36と、ホルダ本体部36に着脱可能に形成され、回転軸Axに交わるZ方向に移動するスライダ部43に挟み込まれ、スライダ部43の移動に伴い回転軸Axを中心にホルダ本体部36を回転させるアタッチメント部材38と、を備える。アタッチメント部材38は、ホルダ本体部36よりも摩擦係数が低い材質で形成される。
この構成によれば、スライダ部43の移動に伴い、アタッチメント部材38がスライダ部43に対して摺動する。この際、アタッチメント部材38が低摩擦材により形成されるため、アタッチメント部材38の摩擦が低減される。このため、スライダ部43のスムーズな移動が可能となる。これにより、凹面鏡31のスムーズな回転が可能となる。また、上述のように、消費電力及び騒音を低減できる。
さらに、アタッチメント部材38は、ホルダ本体部36に着脱可能である。このため、アタッチメント部材38は必要に応じて任意でホルダ本体部36に装着することができ、利便性が高まる。
【0039】
(2-2)ホルダ本体部36はマグネシウムにより形成され、レバー部38pはステンレスにクロムメッキが積層されてなる。
この構成によれば、ホルダ本体部36は軽量で高剛性に形成されるため、ホルダ本体部36を回転させる際の駆動負荷が低減されるとともに、凹面鏡31に歪みが発生することが抑制される。
また、レバー部38pはステンレスにより形成されるため、ホルダ本体部36よりも硬質に形成される。よって、レバー部38pが変形することが抑制される。また、レバー部38pはクロムメッキが施されてなるため、レバー部38pのスライダ部43に対する摩擦を低減することができる。また、これにより、モータ42の負荷が低減するため、消費電力及び騒音を低減することができる。
【0040】
(2-3)ヘッドアップディスプレイ装置100は、ミラーユニット30と、表示光Lを出射する表示部10と、を備える。凹面鏡31は、表示部10からの表示光Lを被投射部材の一例であるフロントガラス201に向けて反射させることにより虚像Vを表示する。
この構成によれば、ヘッドアップディスプレイ装置100において、凹面鏡31のスムーズな回転が可能となる。よって、虚像Vの表示位置をスムーズに移動させることができる。
【0041】
(2-4)ミラーユニット30は、ホルダ本体部36に固定され、アタッチメント部材38が装着される被取付部37を備える。被取付部37には、アタッチメント部材38の嵌合部38a2が嵌合する嵌合孔37aが形成されている。嵌合部38a2の下面にはレバー部38pの上端が嵌まるピン孔38hが形成されている。
この構成によれば、アタッチメント部材38の嵌合部38a2が被取付部37の嵌合孔37aに嵌まることにより、レバー部38pのX方向の位置ずれを抑制でき、レバー部38pの位置精度を高めることができる。
また、レバー部38pは被取付部37とZ方向に一致した位置に設けられる。よって、本実施形態の構成であっても、アタッチメント部材38が装着されず、被取付部37がスライダ部43により挟み込まれる構成の場合と同様の制御を実現できる。
【0042】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0043】
(変形例)
上記実施形態においては、レバー部38pは円柱状に形成されていたが、半円柱ピン43c1と板ばね部43b1に点接触する曲面を有していれば、これに限定されない。例えば、表面と裏面に曲面を有する板状に形成されてもよいし、楕円柱状に形成されていてもよい。さらに、レバー部38pは、半円柱ピン43c1と板ばね部43b1に点接触する角部を有する角柱状に形成されてもよい。
【0044】
上記実施形態においては、図6に示すように、被取付部37には、アタッチメント部材38の嵌合部38a2が嵌合する嵌合孔37aが形成されていたが、嵌合孔37aが省略されてもよい。この場合、レバー部38pは被取付部37とZ方向に異なる位置に設けられてもよい。
【0045】
上記実施形態においては、レバー部38pはピン支持部材38aと別体で形成されていたが、これに限らず、一体で形成されていてもよい。
また、上記実施形態における押圧部材43cと付勢部材43bの位置関係は反対であってもよい。
また、アタッチメント部材38の位置は上記実施形態に限らず、例えば、アタッチメント部材38は軸部33に取り付け可能に形成されてもよい。
【0046】
上記実施形態におけるヘッドアップディスプレイ装置100の構成は適宜変更可能である。例えば、折り返しミラー20を省略して、表示部10からの表示光Lを直接にミラーユニット30に照射してもよい。また、凹面鏡31に代えて、反射部として平面鏡が設けられていてもよい。
【0047】
上記実施形態においては、ヘッドアップディスプレイ装置100は車両200に搭載されていたが、車両200以外の飛行機、船等の乗り物に搭載されていてもよい。また、被投射部材はフロントガラスに限らず、専用のコンバイナであってもよい。
【0048】
上記実施形態における押圧部材43cは、付勢部材43bと同様に、板ばね部を有する付勢部材であってもよい。
【0049】
上記実施形態におけるアタッチメント部材38の形状は適宜変更可能である。例えば、図10に示すように、アタッチメント部材138は、被取付部37の下端に嵌まるU字板状に形成されてもよい。この場合、アタッチメント部材138の表面は付勢部材43bに線接触し、アタッチメント部材138の裏面は押圧部材43cに線接触する。アタッチメント部材138は、アタッチメント部材38と同様の低摩擦材であるため、スライダ部43に対する摩擦が低減される。
【符号の説明】
【0050】
1 視認者
10 表示部
20 折り返しミラー
30 ミラーユニット
31 凹面鏡
33 軸部
35 ホルダ
36 ホルダ本体部
36a 接着部
37 被取付部
37a 嵌合孔
38 アタッチメント部材
38a ピン支持部材
38p レバー部
40 ミラー駆動ユニット
41 リードスクリュー
42 モータ
43 スライダ部
43a スライダ本体部
43b 付勢部材
43c 押圧部材
43b1 板ばね部
43b2 ばね保持部
43c1 半円柱ピン
43b3,43c3 接触可能ライン
43c2 半円柱ピン支持部
44 ガイド部
45 支持部材
46 ミラー装置
60 筐体
70 制御部
100 ヘッドアップディスプレイ装置
200 車両
201 フロントガラス
L 表示光
V 虚像
Ax 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10