(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】液晶デバイスの製造装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20221109BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20221109BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13 101
G09F9/00 338
(21)【出願番号】P 2019028031
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】太田 信司
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1621922(CN,A)
【文献】特開2003-029272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0216365(US,A1)
【文献】特開2002-137352(JP,A)
【文献】特開2008-033076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内に収容され、複数の第1の基板を
位置決めして保持する
複数の凹部を有するステージと、
前記チャンバ内に収容され、
前記ステージよりも上方で前記ステージと対向する位置にあって、複数の第2の基板を保持する
基板保持プレートと、
前記チャンバ内に収容され、前記チャンバに固定されていて、前記基板保持プレートを前記ステージの側から保持するプレート保持部と、
前記ステー
ジを駆動
する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記複数の第2の基板上に保持されて、前記複数の第2の基板に対して加重する少なくとも1枚の第3の基板と、
を備え、
前記基板保持プレートは、前記ステージの前記複数の凹部における各凹部と対向する位置に、前記第1の基板を挿通可能な大きさを有し、内周に沿って前記第2の基板を保持するための段部が形成されている複数の開口部を有し、
前記複数
の第2の基板上に
前記第3の基板が保持されている状態において、前記制御部
が前記駆動部を制御して
前記ステージを上方に移動させることにより、前記複数の第1の基板における各第1の基板と前記複数の第2の基板における各第2の基板とをシール材及び液晶を介して接触させ、さらに前記各第2の基板を押し上げて前記基板保持プレートから離隔させることにより、前記第3の基板の加重によって前記
各第1の基板
と前記
各第2の基板とを貼り合わせて
、複数の液晶デバイスを作製す
る
液晶デバイスの製造装置。
【請求項2】
前記チャンバ内を減圧する減圧駆動部をさらに備え、
前記複数
の第2の基板上に
前記第3の基板が保持されている状態において、前記制御部は、前記減圧駆動部を制御して前記チャンバ内を減圧状態にす
る
請求項1に記載
の液晶デバイスの製造装置。
【請求項3】
光源をさらに備え、
前記複数
の第2の基板上に前記第3の基板が保持されている状態において、前記制御部は、前記減圧駆動部を制御して前記チャンバ内を減圧状態から大気圧状態とし、前記光源を制御することにより、
前記各第1の基板の所定の領域に光を照射す
る
請求項2に記載
の液晶デバイスの製造装置。
【請求項4】
前記チャンバは、チャンバ本体と蓋とを有し、
前記蓋と前記第2及び第3の基板は光透過性を有し、
前記光源は、前記光を前記蓋と前記第2及び第3の基板とを介して
前記各第1の基板の所定の領域に
前記光を照射す
る
請求項3に記載
の液晶デバイスの製造装置。
【請求項5】
前記第1の基板を加熱する加熱部をさらに備え
る請求項1~4のうちのいずれか1項に記載
の液晶デバイスの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶デバイスの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶デバイスは、表示装置及び光スイッチング装置等に用いられている。液晶デバイスは、照射された照明光を画素ごとに光変調して画像光を生成したり、液晶の屈折率を調整して信号光の波面を変化させたりする。特許文献1には液晶デバイスの製造方法の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板とガラス基板とを貼り合わせて構造体を作製し、その構造体を液晶デバイス単位で分断することによって複数の液晶デバイスを同時に作製する一括貼り合わせ方法がある。一括貼り合わせ方法では、半導体基板に不良領域が存在すると不良領域に対応する液晶デバイスは不良品となる。即ち、一括貼り合わせ方法では、半導体基板に不良領域がある場合には不良品の液晶デバイスも作製することになる。
【0005】
半導体基板を分断して良品の駆動基板を選別し、ガラス基板を分断して対向基板を作製し、良品の駆動基板と対向基板とを貼り合わせることにより、良品の液晶デバイスを効率よく作製することができる。
【0006】
しかし、液晶デバイス単位でそれぞれ分断された駆動基板と対向基板とを貼り合わせるため、一括貼り合わせ方法と比較して、駆動基板と対向基板とを、互いに平行になるように効率よく貼り合わせることは困難である。そのため、駆動基板と対向基板との間隙に相当するセルギャップの面内ばらつきが大きくなり、液晶デバイスの性能を悪化させる要因となる。
【0007】
本発明は、複数の駆動基板と複数の対向基板とを平行に貼り合わせて複数の液晶デバイスを同時に作製することができる液晶デバイスの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、チャンバと、前記チャンバ内に収容され、複数の第1の基板を位置決めして保持する複数の凹部を有するステージと、前記チャンバ内に収容され、前記ステージよりも上方で前記ステージと対向する位置にあって、複数の第2の基板を保持する基板保持プレートと、前記チャンバ内に収容され、前記チャンバに固定されていて、前記基板保持プレートを前記ステージの側から保持するプレート保持部と、前記ステージを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、前記複数の第2の基板上に保持されて、前記複数の第2の基板に対して加重する少なくとも1枚の第3の基板とを備える液晶デバイスの製造装置を提供する。
【0009】
上記の液晶デバイスの製造装置において、前記基板保持プレートは、前記ステージの前記複数の凹部における各凹部と対向する位置に、前記第1の基板を挿通可能な大きさを有し、内周に沿って前記第2の基板を保持するための段部が形成されている複数の開口部を有する。上記の液晶デバイスの製造装置は、前記複数の第2の基板上に前記第3の基板が保持されている状態において、前記制御部が前記駆動部を制御して前記ステージを上方に移動させることにより、前記複数の第1の基板における各第1の基板と前記複数の第2の基板における各第2の基板とをシール材及び液晶を介して接触させ、さらに前記各第2の基板を押し上げて前記基板保持プレートから離隔させることにより、前記第3の基板の加重によって前記各第1の基板と前記各第2の基板とを貼り合わせて、複数の液晶デバイスを作製する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液晶デバイスの製造装置によれば、複数の駆動基板と複数の対向基板とを平行に貼り合わせて複数の液晶デバイスを同時に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態の液晶デバイスの製造装置の一例を示す構成図である。
【
図2】ステージが所定の位置へ移動した状態の一例を示す断面図である。
【
図3】ステージが所定の位置へ移動した状態の一例を示す断面図である。
【
図4】一実施形態の液晶デバイスの製造装置の一例を示す構成図である。
【
図5】一実施形態の液晶デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】画像の明るさの経時変化の一例を示す図である。
【
図7】画像の明るさの経時変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を用いて、一実施形態の液晶デバイスの製造装置の構成例を説明する。以下、液晶デバイスの製造装置を単に製造装置とする。製造装置1は、光源2と、基板貼り合わせ部3と、制御部4とを備える。制御部4は、設定されたプログラムまたはオペレータからの指示情報に基づいて光源2及び基板貼り合わせ部3を制御する。制御部4としてコンピュータ機器またはCPU(Central Processing Unit)を用いてもよい。
【0013】
基板貼り合わせ部3は、チャンバ10と、減圧駆動部11と、ステージ20と、ステージ駆動部21と、プレート保持部30とを有する。チャンバ10は、チャンバ本体12と、蓋13とを有する。ステージ20及びプレート保持部30はチャンバ10に収容されている。減圧駆動部11として真空ポンプを用いてもよい。蓋13は光透過性を有する。具体的には、蓋13は紫外線を透過する。蓋13として石英ガラス板を用いてもよい。
【0014】
制御部4は、基板貼り合わせ部3を制御することにより、蓋13を開閉することができる。制御部4は、蓋13をチャンバ本体12に密着させることにより、チャンバ10内を密閉することができる。なお、オペレータが蓋13を開閉してもよい。チャンバ10内が密閉された状態において、制御部4は、減圧駆動部11を駆動させることにより、チャンバ10内を減圧することができる。
【0015】
ステージ20は、複数の駆動基板110(第1の基板)を位置決めして保持する複数の凹部22を有する。駆動基板110は液晶デバイスを構成する。ステージ20は、複数の駆動基板110を複数の凹部22によって位置決めし、着脱自在に保持する。ステージ20は、凹部22の底面またはその近傍に配置された加熱部23を有していてもよい。駆動基板110が凹部22に保持されている状態において、制御部4は、加熱部23を駆動させることにより、駆動基板110を所定の温度範囲内に加熱することができる。
【0016】
ステージ20には、検査により良品と判定された駆動基板110のみが保持される。駆動基板110は、複数の画素が形成された画素領域111を有する。駆動基板110として半導体基板を用いてもよい。駆動基板110は、画素領域111の中心部に所定量の液晶101が滴下され、画素領域111の外周部に沿ってシール材102が塗布された状態で、ステージ20に保持される。シール材102として紫外線硬化型の樹脂を用いてもよい。
【0017】
プレート保持部30はチャンバ本体12に固定されている。プレート保持部30は、基板保持プレート31を、ステージ20と平行になるように保持する。基板保持プレート31は、ステージ20の複数の凹部22と対向する位置に複数の開口部32を有する。開口部32は、駆動基板110を挿通可能な大きさを有する。
【0018】
基板保持プレート31は、開口部32の内周に沿って形成され、かつ、複数の対向基板103(第2の基板)を位置決めして保持する複数の段部33を有する。対向基板103は液晶デバイスを構成する。基板保持プレート31は、複数の対向基板103を複数の段部33によって位置決めし、着脱自在に保持する。即ち、プレート保持部30は、基板保持プレート31を介して複数の対向基板103を保持する。対向基板103は光透過性を有する。対向基板103としてガラス基板を用いてもよい。
【0019】
複数の駆動基板110がステージ20に保持され、複数の対向基板103が保持された基板保持プレート31がプレート保持部30に保持されている状態では、複数の駆動基板110と複数の対向基板103とは、互いに平行で、かつ、対向して位置決めされる。基板保持プレート31がプレート保持部30に保持されている状態において、制御部4は、ステージ駆動部21を制御することにより、ステージ20を基板保持プレート31に接近させたり離隔させたりすることができる。
【0020】
複数の駆動基板110がステージ20に保持され、複数の対向基板103が保持された基板保持プレート31がプレート保持部30に保持されている状態において、遮光マスク40は、画素領域111に対応して位置決めされ、対向基板103上に保持される。即ち、遮光マスク40は、複数の駆動基板110の画素領域111を遮光するように対向基板103上に保持される。
【0021】
透明基板50(第3の基板)は、遮光マスク40上に保持される。即ち、透明基板50は、遮光マスク40を介して複数の対向基板103上に保持される。製造装置1は、遮光マスク40を対向基板103上に移動させたり退避させたり、透明基板50を遮光マスク40上に移動させたり退避させたりする搬送機構を備えていてもよく、オペレータが上記の搬送を実行してもよい。
【0022】
図2に示すように、厚さt50または重さが互いに異なる複数の透明基板50を準備し、複数の透明基板50から選択された透明基板50を遮光マスク40上に保持してもよい。製造装置1は、設定されたプログラムまたはオペレータからの指示情報に基づいて、複数の透明基板50から目的の透明基板50を選択する。製造装置1は、選択された透明基板50を遮光マスク40上に移動させたり退避させたりする搬送機構を備えていてもよく、オペレータが上記の搬送を実行してもよい。
【0023】
図3に示すように、複数の透明基板50を準備し、複数の透明基板50から選択された数の透明基板50を遮光マスク40上に保持してもよい。
図3は3つの透明基板50が遮光マスク40上に保持されている状態を示している。設定されたプログラムまたはオペレータからの指示情報に基づいて、製造装置1は、複数の透明基板50から設定された数の透明基板50を選択する。製造装置1は、選択された数の透明基板50を遮光マスク40上に積み重なるように移動させたり退避させたりする搬送機構を備えていてもよく、オペレータが上記の搬送を実行してもよい。
【0024】
遮光マスク40が形成された透明基板50を用いてもよい。この場合、透明基板50は、遮光マスク40が画素領域111に対応して位置決めされた状態で、対向基板103上に保持される。製造装置1は、遮光マスク40が形成されている透明基板50を対向基板103上に移動させたり退避させたりする搬送機構を備えていてもよく、オペレータが上記の搬送を実行してもよい。
【0025】
遮光マスク40が形成された透明基板50と遮光マスク40が形成されていない透明基板50とを用いてもよい。この場合、遮光マスク40を有する透明基板50は、遮光マスク40が画素領域111に対応して位置決めされた状態で、対向基板103上に保持される。製造装置1は、遮光マスク40が形成されている透明基板50及び遮光マスク40が形成されていない透明基板50を対向基板103上に移動させたり退避させたりする搬送機構を備えていてもよく、オペレータが上記の搬送を実行してもよい。
【0026】
図4に示すように、駆動基板110を位置決めして保持する複数の凹部122を有する基板保持プレート120を用いてもよい。この場合、駆動基板110が凹部122により位置決めされて保持された基板保持プレート120は、ステージ20上に位置決めされて保持される。即ち、ステージ20は、基板保持プレート120を介して駆動基板110を保持する。
【0027】
図5に示すフローチャートを用いて、一実施形態の液晶デバイスの製造方法の一例を説明する。
図1に示すように、複数の駆動基板110は、ステージ20の複数の凹部22に保持されている。または、
図4に示すように、複数の駆動基板110が複数の凹部122に保持された基板保持プレート120がステージ20上に位置決めされて保持されている。
【0028】
図1または
図4に示すように、複数の対向基板103は、基板保持プレート31の複数の段部33に保持されている。基板保持プレート31はプレート保持部30に保持されている。複数の対向基板103上には遮光マスク40が保持されている。遮光マスク40上には、設定された厚さ、設定された重さ、または設定された数の透明基板50が保持されている。透明基板50と複数の対向基板103とは遮光マスク40を介して面接触している。
【0029】
チャンバ10内が密閉されている状態において、制御部4は、ステップS1にて、減圧駆動部11を制御することにより、チャンバ10内を減圧する。チャンバ10内が減圧されている状態において、制御部4は、ステップS2にて、ステージ駆動部21を制御することにより、ステージ20を初期位置から所定の位置へ移動(
図1または
図4では上方向へ移動)させ、複数の駆動基板110と複数の対向基板103とを、シール材102及び液晶101を介して接触させる。
【0030】
制御部4は、加熱部23を制御することにより、駆動基板110を所定の温度範囲内に加熱してもよい。駆動基板110を加熱することによって液晶101の粘度が低下して液晶101が平坦化することにより、シール材102を液晶101よりも先に対向基板103に接触させることができる。
【0031】
図2または
図3は、駆動基板110と対向基板103とがシール材102及び液晶101を介して接触した状態を示している。対向基板103はステージ20によって押し上げられ、基板保持プレート31から離隔した状態となる。これにより、対向基板103には遮光マスク40及び透明基板50の重力が加わる。透明基板50の重力は遮光マスク40の重力よりも大きいため、透明基板50の厚さ、重さ、または数に応じて対向基板103に対する加重を変えることができる。対向基板103に対する加重を調整することにより、駆動基板110と対向基板103と間隔(セルギャップ)を調整することができる。
【0032】
透明基板50と複数の対向基板103とが遮光マスク40を介して面接触した状態で、複数の対向基板103に透明基板50(遮光マスク40)の重力が加わるため、透明基板50を用いない場合と比較して、セルギャップの面内分布を向上させることができる。また、対向基板103に対する加重を調整することにより、セルギャップの面内分布を向上させることができる。
【0033】
制御部4は、ステップS3にて、減圧駆動部11を制御してチャンバ10内を大気圧状態にする。なお、制御部4が減圧駆動部11を停止させ、オペレータがチャンバ10内を大気圧状態にしてもよい。
【0034】
チャンバ10内が大気圧状態で、かつ、対向基板103に透明基板50(遮光マスク40)の重力が加わっている状態で、制御部4は、ステップS4にて、光源2を制御することにより、光源2から所定の波長帯を有する光(例えば紫外線UV)を基板貼り合わせ部3(具体的には蓋13)に向けて照射する。紫外線UVは、蓋13、透明基板50、及び対向基板103を透過してシール材102に照射される。なお、駆動基板110の画素領域111は、遮光マスク40によって遮光されているため、紫外線UVは画素領域111には照射されない。
【0035】
シール材102は紫外線UVによって硬化するため、製造装置1は、透明基板50によって目的のセルギャップで、かつ、目的の面内分布にセルギャップが調整された状態で、駆動基板110と対向基板103とをシール材102によって貼り合わせることができる。液晶101は、駆動基板110と対向基板103との間隙に充填され、シール材102によって封止される。これにより、複数の液晶デバイスが同時に作製される。
【0036】
制御部4は、ステップS5にて、光源2を制御して紫外線UVの照射を停止させる。さらに制御部4は、基板貼り合わせ部3を制御することにより、蓋13を開ける。なお、オペレータが蓋13を開けてもよい。オペレータがチャンバ10内から透明基板50と遮光マスク40と複数の液晶デバイスを取り出した後、制御部4は、ステップS6にて、ステージ20を所定の位置から初期位置へ移動(
図1または
図4では下方向へ移動)させる。製造装置1は、駆動基板110と対向基板103との貼り合わせ処理を終了する。なお、ステップS1~S6のうちの少なくともいずれかのステップ、またはそのステップの一部の処理をオペレータが実行してもよい。
【0037】
本実施形態の液晶デバイスの製造装置及び製造方法によれば、上記のステップS1~S6により、駆動基板110と対向基板103とがシール材102によって貼り合わされ、液晶101が駆動基板110と対向基板103との間隙に充填され、かつ、シール材102によって封止され、目的のセルギャップで、かつ、目的の面内分布にセルギャップが調整された複数の液晶デバイスを同時に作製することができる。従って、本実施形態の液晶デバイスの製造装置及び製造方法によれば、複数の駆動基板110と複数の対向基板103とを平行に貼り合わせて複数の液晶デバイスを同時に作製することができる。
【0038】
液晶デバイスを表示装置に用いた場合、液晶デバイスは、照射された照明光を画素ごとに光変調して画像光を生成する。表示装置は画像光をスクリーン等へ投射することにより、画像を表示する。
図6及び
図7は、画像の明るさの経時変化の一例を示している。
【0039】
図6及び
図7において符号R1及びR2で示す線は、赤色照明光が液晶デバイス(赤色用液晶デバイス)に照射された場合の画像(赤色画像)の明るさの経時変化の一例を示している。符号G1及びG2で示す線は、緑色照明光が液晶デバイス(緑色用液晶デバイス)に照射された場合の画像(緑色画像)の明るさの経時変化の一例を示している。符号B1及びB2で示す線は、青色照明光が液晶デバイス(青色用液晶デバイス)に照射された場合の画像(青色画像)の明るさの経時変化の一例を示している。
【0040】
図6は、赤色用液晶デバイス、緑色用液晶デバイス、及び青色用液晶デバイスを作製するときに、遮光マスク40を用いた場合の赤色画像、緑色画像、及び青色画像の明るさR1、G1、及びB1の経時変化の一例を示している。時点t1(例えば出荷時点)において、赤色用液晶デバイス、緑色用液晶デバイス、及び青色用液晶デバイスは、赤色画像、緑色画像、及び青色画像の明るさが同じになるように調整されている。一般的に、時点t1から所定の時間が経過した後の時点t2では、青色画像の明るさB1は、赤色画像及び緑色画像の明るさR1及びG1と比較して暗くなる。そのため、時点t2では、時点t1と比較して、画像のホワイトバランスが悪化する。
【0041】
図7は、赤色用液晶デバイス及び緑色用液晶デバイスを作製するときに遮光マスク40を用い、青色用液晶デバイスを作製するときに遮光マスク40を用いない場合の赤色画像、緑色画像、及び青色画像の明るさR2、G2、及びB2の経時変化の一例を示している。
【0042】
青色用液晶デバイスを作製する場合、ステップS4にて、紫外線UVを画素領域111上の液晶101に照射することにより、青色画像の明るさB2を経時的に安定させることができる。時点t1(例えば出荷時点)において、赤色用液晶デバイス、緑色用液晶デバイス、及び青色用液晶デバイスは、赤色画像、緑色画像、及び青色画像の明るさが同じになるように調整されている。青色画像の明るさB2は経時的に安定しているため、時点t2における赤色画像の明るさR2と緑色画像の明るさG2と青色画像の明るさB2との経時変化によるばらつきを低減することができる。これにより、時点t2における画像のホワイトバランスの悪化を抑制することができる。
【0043】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0044】
実施形態として、ステージ20を駆動し、基板保持プレート31を保持するプレート保持部30がチャンバ本体12に固定されている場合について説明したが、基板保持プレート31を保持するプレート保持部30を駆動し、ステージ20がチャンバ本体12に固定されていてもよい。この場合、製造装置1は、ステージ駆動部21に替えてプレート駆動部を備え、制御部4はプレート駆動部を制御することにより、プレート保持部30をステージ20に接近させたり離隔させたりする。ステージ駆動部21またはプレート駆動部を単に駆動部とする。
【0045】
赤色用液晶デバイス及び緑色用液晶デバイスを作製するときに遮光マスク40を用い、青色用液晶デバイスを作製するときに減光マスクを用いてもよい。この場合、減光マスクは、駆動基板110の画素領域111に対応して位置決めされ、対向基板103上に保持される。減光マスクの透過率に応じて、画素領域111上の液晶101に照射される紫外線UVの光量または光強度を設定することができる。減光マスクの透過率を適切に値に設定することにより、青色画像の明るさB2を経時的に安定させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 製造装置
4 制御部
10 チャンバ
20 ステージ
21 ステージ駆動部
30 プレート保持部
50 透明基板(第3の基板)
103 対向基板(第2の基板)
110 駆動基板(第1の基板)