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  • 特許-プラズマ処理装置用電極板 図1
  • 特許-プラズマ処理装置用電極板 図2
  • 特許-プラズマ処理装置用電極板 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置用電極板
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20221109BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L21/302 101L
H01L21/205
H01L21/31 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019031426
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020136596
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】松澤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】東 浩司
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-085027(JP,A)
【文献】特開2014-022517(JP,A)
【文献】特開2008-007350(JP,A)
【文献】特開2004-289003(JP,A)
【文献】特開2000-345343(JP,A)
【文献】特開2012-142329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0032215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置にリング状のシールド支持電極により片面の外周領域が支持固定されるプラズマ処理装置用電極板であって、前記片面は、前記シールド支持電極に覆われる前記外周領域の内周縁と、多数の通気孔が形成された通気孔形成領域の外周縁との間に、中心線平均粗さRaが前記通気孔形成領域よりも大きい0.5μm以上20μm以下でありプラズマ処理空間に露出する環状領域を径方向及び周方向に沿って設けていることを特徴とするプラズマ処理装置用電極板。
【請求項2】
前記通気孔形成領域の外周縁から前記環状領域の内周縁までの距離は3mm以上であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置用電極板。
【請求項3】
前記環状領域の半径方向の幅は5mm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマ処理装置用電極板。
【請求項4】
前記通気孔形成領域の中心線平均粗さは0.5μm未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のプラズマ処理装置用電極板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置において、プラズマ生成用ガスを厚さ方向に通過させながら放電するプラズマ処理装置用電極板に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造プロセスに使用されるプラズマエッチング装置やプラズマCVD装置等のプラズマ処理装置は、高周波電源に接続された一対の電極が真空チャンバー内に上下方向に対向配置された構成を有している。この構成において、被処理基板を下側電極上に配置し、この被処理基板に向けて上側電極に形成された複数の通気孔を通じてプラズマ生成用ガスを流通させながら、上下電極間に高周波電圧を印加してプラズマを発生させることにより、被処理基板にエッチング等の処理が行われる。
【0003】
このようなプラズマ処理装置に使用される上側電極として、同径の通気孔が複数形成されたシリコン製の電極板が一般に使用される。この電極板は、プラズマ処理中に上昇する熱を逃がすため、プラズマにさらされる面とは反対側(背面側)に冷却板が固定される。
この電極板において、長時間プラズマ処理を行うと、プラズマ反応による副生成物が固形物として表面に付着し(この付着物をデポ物という)、堆積したデポ物が脱落することによりパーティクルとなり、被処理基板に付着して不良の原因となることがあるため、パーティクルの発生を抑制した電極板が求められている。
【0004】
このようなパーティクルの発生を抑制した電極板として、特許文献1又は特許文献2に記載のものがある。
特許文献1には、パーティクルがシリコン電極板を支持するシールド支持電極の支持突起部とシリコン電極板との接触部から発生するとの認識の下、表面の中心線表面粗さRaが1μm以下の鏡面を有する円板状のシリコン電極板において、少なくともシールド支持電極の支持部上面により覆われる部分の中心線表面粗さRaを1μm越え~1.6μmの粗面にすることが記載されている。
特許文献2には、エッチングガスを流通させる通気孔の内面に付着したデポ物が脱落してパーティクルになるとの認識の下、通気孔(貫通細孔)の内壁面を、表面粗さが大きい面部分(粗面部分)と表面粗さが小さい面部分(平滑面部分)とから構成し、粗面部分を通気孔のエッチングガス流入側内壁面に形成し、平滑部分を通気孔のエッチングガス流出側内壁面に形成することが記載されている。この特許文献2では、粗面部分にデポ物を付着させて脱落しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-85027号公報
【文献】特開2006-196491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の技術は、パーティクルの発生源をなくそうとするものであり、それ自体は有効であるも、パーティクルの発生を完全には解消できない。一方、特許文献2記載の技術は、パーティクルの原因となるデポ物を通気孔の背面側(プラズマ面とは反対側)の内面に付着させてしまい、飛散しないようにするものであるが、通気孔は例えば直径が0.5mmであり、その内表面積も小さく、付着固定できるデポ物の量には限界がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プラズマ処理中に発生するデポ物を効率的に捕捉してパーティクルの発生を防止することができるプラズマ処理装置用電極板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプラズマ処理装置用電極板は、プラズマ処理装置にリング状のシールド支持電極により片面の外周領域が支持固定されるプラズマ処理装置用電極板であって、前記片面は、前記シールド支持電極に覆われる前記外周領域の内周縁と、多数の通気孔が形成された通気孔形成領域の外周縁との間に、中心線平均粗さRaが前記通気孔形成領域よりも大きい0.5μm以上20μm以下でありプラズマ処理空間に露出する環状領域を径方向及び周方向に沿って設けている。
【0009】
通気孔形成領域の外側は、プラズマの影響が少なく、プラズマガスの流れの影響も受けにくいため、デポ物が付着し易い。このため、通気孔形成領域の外側に中心線平均粗さRaの大きい環状領域を設けることにより、デポ物を付着し易く、かつ脱落しにくい形状とした。この場合、中心線平均粗さRaが0.5μm未満であると、付着したデポ物が脱落し易く、20μmを超えるほどに粗い面であると、プラズマによる損耗によって逆にパーティクルが発生するおそれがある。
【0010】
このプラズマ処理装置用電極板において、前記通気孔形成領域の外周縁から前記環状領域の内周縁までの距離は3mm以上であるとよい。環状領域の内周縁が通気孔形成領域の外周縁に近すぎると、付着したデポ物が通気孔からのプラズマガスに巻き込まれて脱落するおそれがある。このため、環状領域は通気孔形成領域の外周縁から3mm以上離れているのが好ましい。
【0011】
また、前記環状領域の半径方向の幅は5mm以上であるとよい。デポ物を付着する領域の面積は大きい方がよく、5mm以上の幅で形成されているのが好ましい。
【0012】
さらに、前記通気孔形成領域の中心線平均粗さは0.5μm未満であるとよく、平滑面に形成されていると、異常放電などの不具合の発生が防止され、パーティクルの発生も抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プラズマ処理中に発生するデポ物を効率的に捕捉してパーティクルの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るプラズマ処理装置用電極板の一実施形態を示す平面図である。
図2図1のプラズマ処理装置用電極板をシールド支持電極に支持した状態の縦断面図である。
図3】プラズマ処理装置用電極板の製造方法の例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、プラズマ処理装置用電極板(以下、単に電極板という)10は円板状に形成され、その外周部を除く中央部分に厚さ方向に貫通する多数の通気孔11を有している。
この電極板10は厚さ8~12mm、直径200~600mmの円板である。各通気孔11の内径は直径0.5~1.0mm、通気孔11同士の各中心間距離は5~10mmである。
この通気孔11は、電極板10の外周部を除く中央部分の円形の領域に形成されている。この通気孔形成領域は直径199~330mm程度である。また、電極板10の外周部は、図2に示すように、リング状のシールド支持電極20によりプラズマ処理装置(図示略)に固定されるようになっている。このシールド支持電極20は、円筒部21と、円筒部21の下端から半径方向内方に内向きフランジ状に延びる支持部22とが一体に形成された形状である。そして、電極板10は、シールド支持電極21の支持部22の上面に外周部が載置され、支持部22の内周縁より内側で通気孔11を開放状態として支持される。
【0016】
この場合、電極板10において、通気孔11が形成されている円形領域を通気孔形成領域A1とすると、シールド支持電極20の支持部22の内周縁よりも半径方向内方に離間して通気孔形成領域A1の外周縁が配置される。そして、通気孔形成領域A1は、その外周縁よりも若干半径方向外側までの範囲で、中心線平均粗さRaが0.5μm未満に形成されている。このRaが0.5μm未満の領域を平滑領域A2とする。
【0017】
一方、この平滑領域A2の外周縁とシールド支持電極20の支持部22の内周縁との間に形成される環状領域A3は、中心線平均粗さRaが0.5μm以上20.0μm以下とされる。この環状領域A3は、通気孔形成領域A1の外周縁から若干の間隔をあけた外側の領域、具体的には平滑領域A2の外周縁からシールド支持電極20の支持部22の内周縁までの領域である。通気孔形成領域A1の外周縁から環状領域A3の内周縁(平滑領域A2の外周縁)までの距離Lは3mm以上であり、環状領域A3の半径方向の幅Wは5mm以上である。
また、シールド支持電極20の支持部22により覆われた状態となる電極板10の外周部を外周領域A4とすると、その中心線平均粗さRaは1.0μmを超え1.6μm以下に形成される。
【0018】
なお、通気孔11の内表面は、例えば中心線平均粗さRaが0.5μm未満の範囲で全長にわたって均一な表面粗さでもよいが、プラズマに晒される面(プラズマ面)10a側とその反対面側(背面10b側)とで異なる表面粗さに設定してもよい。例えば、プラズマ面10a側を中心線平均粗さRaが0.5μm未満の平滑面、背面10b側を中心線平均粗さRaが0.5μm以上20μm以下としてもよい。この平滑面を設ける場合、平滑面の長さとしては、電極板10全体の厚さの1/3以上2/3以下の寸法とするとよい。
【0019】
このように構成される電極板10は、図3に示すように、単結晶シリコンのシリコンインゴットを形成するインゴット形成工程(S1)と、そのシリコンインゴットをスライスして円板状の素板を形成するスライス工程(S2)と、素板に熱処理を施す熱処理工程(S3)と、素板に通気孔を加工する通気孔形成工程(S4)と、通気孔を形成した孔あき素板にエッチング処理を施すエッチング工程(S5)と、エッチング処理後に孔あき素板の上面及び下面を研磨するポリッシング工程(S6)と、ポリッシング処理の後に孔あき素板のプラズマ面10a側の外周部分(環状領域A3及び外周領域A4)を粗面化する粗面化工程(S7)と、を経て製造される。
【0020】
これら工程のうち、通気孔形成工程では、素板の一方の面から厚さ方向に平行にドリルを下降させながら、各通気孔11を形成するが、通気孔11の内周面の表面粗さをプラズマ面10a側と背面10b側とで異ならせる場合は、例えばドリルの加工速度を変えることによって加工表面の表面粗さを調整する。加工速度が速いよりも遅い場合に、平滑な表面が得られる。
また、エッチング工程では、スライス加工や通気孔形成加工において生じた表面のダメージ部(マイクロクラック等)をエッチングにより除去する。エッチング液としては、フッ酸(HF)、硝酸(HNO)、酢酸(CHCOOH)を混合したフッ硝酢酸が用いられる。
【0021】
ポリッシング工程では、回転する研磨パッドの上にダイヤモンド砥粒等の研磨材を含有したスラリーを供給しながら素板を載せて研磨する。このポリッシング処理工程において、素板の表面は、中心線平均粗さRaが0.5μm未満に形成される。
次いで、粗面化工程では、素板の片面(プラズマ面10a)において、通気孔形成領域の外周縁よりも若干半径方向外側までの範囲の領域(平滑化領域A2)を除き、その外側部分に研削加工を施して粗面化する。この場合、前述した環状領域A3と、その外側の外周領域A4とでそれぞれ前述した表面粗さの範囲となるように、研削速度等を変えて加工する。研削加工に代えて、ブラスト処理等によって粗面化してもよい。ブラスト処理の場合も、環状領域A3と外周領域A4とでブラスト粒子の径を変えて行う。
【0022】
このようにして製造された電極板10は最後に洗浄して使用に供される。
そして、この電極板10がプラズマ処理装置に装着されると、その外周部がシールド支持電極20の支持部22に覆われた状態で、その内側の表面がプラズマ処理空間に露出することになる。この露出表面(プラズマ面10a)において、通気孔形成領域A1がプラズマ環境に晒される。この通気孔形成領域A1は、中心線平均粗さRaが0.5μm未満の平滑面に形成されているので、異常放電等の不具合の発生が防止されるとともに、この平滑面からのパーティクルの発生も抑制される。
【0023】
一方、環状領域A3においては、プラズマ環境側に露出した状態となるが、通気孔形成領域A1の外側であるためプラズマの影響は少ない。このため、プラズマ処理を継続すると、図2の二点鎖線で示すように通気孔形成領域A1が主として損耗し、その外側の環状領域A3は損耗が少ない。したがって、この環状領域A3にデポ物が付着し易い。また、この環状領域A3は、通気孔形成領域A1の外周縁から電極板10の面方向に離れており、かつシールド支持電極20の支持部22の表面との段差により、プラズマガスが回り込みにくく、通気孔11の出口から流出するプラズマガスの流れの影響も受けにくい。
【0024】
そこで、この環状領域A3の中心線平均粗さRaを通気孔形成領域A1よりも大きい0.5μm以上20.0μm以下とし、デポ物を強固に付着させ、脱落しにくいようにしている。この場合、中心線平均粗さRaが0.5μm未満であると、付着したデポ物が脱落し易く、20μmを超えるほどに粗い面であると、プラズマによる損耗によって逆にパーティクル発生の原因となるおそれがある。
【0025】
ただし、環状領域A3の内周縁が通気孔形成領域A1の外周縁に近すぎると、付着したデポ物が通気孔11からのプラズマガスに巻き込まれて脱落するおそれがあるので、環状領域A3は通気孔形成領域A1の外周縁からの距離Lが3mm以上あるのが好ましい。また、環状領域A3の半径方向の幅Wは5mm以上であれば、デポ物を付着する領域として大きい面積を確保することができる。
このような環状領域A3を形成したことにより、長時間プラズマ処理を行っても、付着したデポ物の脱落が防止され、パーティクルの発生を抑えることができ、安定して高品質のプラズマ処理を行うことができる。
【0026】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、通気孔11の内周面の表面粗さをプラズマ面10a側と背面10b側とで異なるように形成したが、環状領域A3でデポ物を捕捉できるので、通気孔11の内周面は全長にわたって平滑面としてもよい。
【実施例
【0027】
直径:300mmの単結晶シリコンインゴットを用意し、このインゴットをダイヤモンドバンドソーにより厚さ:10mmに輪切り切断して単結晶シリコン円板からなる素板を作製し、この素板の片面からダイヤモンドドリルにより直径:0.5mmの穿孔を行い表面粗さRaが10μmの粗面部分とし、ついでこの粗面部分の穴を明けた単結晶シリコン板の反対側の片面からダイヤモンドドリルにより、加工速度を変えて直径:0.5mmの穿孔を行って表面粗さRaが0.3μmの平滑面部分とすることにより、通気孔内面に電極板の厚さに対する比率で1/2の長さにわたって粗面部分を有する電極板を作製した。通気孔形成領域A1は直径199mm、通気孔中心間距離は7mmとした。
【0028】
続いて、電極板10の表面全体が、表1の通気孔形成領域A1に示す中心線平均粗さRaとなるように、表面研磨を施した。
さらに、通気孔形成領域A1から所定距離外側の環状領域A3と、プラズマ処理装置のシールド支持電極20の支持部22の上面に接触する外周領域A4とを研削することにより、表1に示される中心線平均粗さRaを有する粗面を形成した。外周領域A4については、すべての電極板共通で、表面粗さRa1.3μmとした。環状領域A3については、通気孔形成領域A1の外周縁からの距離Lとその幅(シールド支持電極20の支持部22の内周縁からの幅)Wが、表1に示す寸法となるように粗面を形成した。
【0029】
作製した電極板10を、シールド支持電極20の支持部22の上面にセットし、さらに被処理基板としてシリコンウエハを載置し、
チャンバー内圧力:10-1Torr
エッチングガス組成:90sccmCHF+4sccmO+150sccmHe
高周波電力:2kW
周波数:20kHz
の条件で、500時間プラズマエッチングを行なった。なお、sccmとは、standard cc/minの略であり、1atm(大気圧1013Pa)で、0℃あるいは25℃などの一定温度で規格化された1分間あたりの流量(cc)をいう。
【0030】
エッチング開始から200時間、300時間、400時間、500時間経過した時点でのシリコンウエハ上のパーティクル数を測定し、その結果を表に示した。パーティクル数の測定は、株式会社トプコン製のパーティクルカウンター(WM-3000)を使用し、ウエハ表面をレーザ光により走査し、付着したパーティクルからの光散乱強度を測定することによりパーティクルの位置と大きさを認識することにより行った。
その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1の結果からわかるように、シールド支持電極に覆われる外周部の内周縁と、通気孔形成領域の外周縁との間に、中心線平均粗さRaが通気孔形成領域よりも大きい0.5μm以上20μm以下の環状領域が周方向に沿って設けられていると、パーティクルの発生が抑えられている。
これに対し、環状領域と通気孔形成領域の中心線平均粗さRaが同一で、Ra5μmとなっている比較例1では、通気孔形成領域がプラズマにより損耗するため、また、Ra0.3μmとなっている比較例2では、環状領域にデポ物が付着しにくく脱落しやすいため、パーティクルが多く発生している。
また、環状領域と通気孔形成領域との距離が3mm未満となっている実施例4では、環状領域に付着したデポ物通気孔からのガスの流れに巻き込まれて脱落するため、エッチング初期の段階ではパーティクル発生は少ないが、長時間経過すると、実施例2と比べて、少しパーティクルが発生しやすくなっている。
通気孔形成領域の中心線平均粗さRaが0.5μm以上となっている実施例5では、異常放電が生じやすいため、実施例2と比べて、少しパーティクルが発生しやすくなっている。
環状領域の幅が5mm未満となっている実施例6では、エッチング初期の段階ではパーティクル発生は少ないが、デポ物を付着可能な面積が少ないため、長時間経過すると、実施例2と比べて、少しパーティクルが発生しやすくなっている。
【符号の説明】
【0033】
10 プラズマ処理装置用電極板
11 通気孔
20 シールド支持電極
22 支持部
A1 通気孔形成領域
A2 平滑領域
A3 環状領域
A4 外周領域(外周部)
図1
図2
図3