(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】自動運転フォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/24 A
(21)【出願番号】P 2019033863
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 力
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-530837(JP,A)
【文献】特開2008-008183(JP,A)
【文献】特開2017-131199(JP,A)
【文献】特開2014-095249(JP,A)
【文献】特開平05-186200(JP,A)
【文献】特開昭58-006900(JP,A)
【文献】特開平02-265900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/14
B66F 9/22
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体を走行させる走行装置と、
前記車体の前方に配置されたフォークと、
前記車体に対して前記フォークを上下方向に昇降させる昇降装置と、
前記車体に対して前記フォークを左右方向にスライドさせるサイドシフト装置と、
少なくとも前記サイドシフト装置への作動油を供給する油圧ポンプと、
前記走行装置と前記昇降装置と前記サイドシフト装置と前記油圧ポンプを制御する制御装置と、を有する自動運転フォークリフトであって、
前記サイドシフト装置内の作動油の圧力であるシフト作動油圧力を検出するサイドシフト圧力検出手段と、
前記フォークと前記昇降装置を用いて持ち上げた荷物ユニットを搬入するべき空間である搬入空間を検出する搬入場所検出手段と、
を備え、
前記搬入空間には、前記自動運転フォークリフトから見て右又は左に、前記搬入空間に隣接する物体である隣接物体が有り、
前記制御装置は、
前記搬入場所検出手段を用いて、持ち上げている前記荷物ユニットを搬入するべき前記搬入空間を認識する、搬入空間認識手段と、
前記走行装置を制御して前記車体を前方に移動させて、持ち上げている前記荷物ユニットを前記搬入空間に差し込む、荷物ユニット搬入手段と、
前記サイドシフト装置を制御して、前記搬入空間に差し込んだ前記荷物ユニットを、前記フォークとともに前記隣接物体に近づく方向
である隣接物体接近方向に移動させながら前記シフト作動油圧力を検出し、検出した前記シフト作動油圧力の上昇状態に応じて、前記荷物ユニットと前記隣接物体との接触状態を判定
し、判定の際、前記シフト作動油圧力が予め設定した所定圧力に達した場合に前記荷物ユニットと前記隣接物体とが接触したと判定することで、前記フォークとともに前記荷物ユニットを前記隣接物体接近方向に移動させて前記荷物ユニットを前記隣接物体に接触させた後、前記荷物ユニットに対して前記フォークを前記隣接物体接近方向に滑らせて、前記隣接物体接近方向において前記フォークを前記荷物ユニットの一部に突き当て、前記シフト作動油圧力が予め設定した前記所定圧力に達するまで前記フォークとともに前記荷物ユニットを前記隣接物体接近方向に押し付ける、荷物ユニット幅寄せ実行手段と、
を有する、
自動運転フォークリフト。
【請求項2】
車体と、
前記車体を走行させる走行装置と、
前記車体の前方に配置されたフォークと、
前記車体に対して前記フォークを上下方向に昇降させる昇降装置と、
前記車体に対して前記フォークを左右方向にスライドさせるサイドシフト装置と、
少なくとも前記サイドシフト装置への作動油を供給する油圧ポンプと、
前記走行装置と前記昇降装置と前記サイドシフト装置と前記油圧ポンプを制御する制御装置と、を有する自動運転フォークリフトであって、
前記サイドシフト装置内の作動油の圧力であるシフト作動油圧力を検出するサイドシフト圧力検出手段と、
前記フォークと前記昇降装置を用いて持ち上げた荷物ユニットを搬入するべき空間である搬入空間を検出する搬入場所検出手段と、
を備え、
前記搬入空間には、前記自動運転フォークリフトから見て右又は左に、前記搬入空間に隣接する物体である隣接物体が有り、
前記制御装置は、
前記搬入場所検出手段を用いて、持ち上げている前記荷物ユニットを搬入するべき前記搬入空間を認識する、搬入空間認識手段と、
前記走行装置を制御して前記車体を前方に移動させて、持ち上げている前記荷物ユニットを前記搬入空間に差し込む、荷物ユニット搬入手段と、
前記サイドシフト装置を制御して、前記搬入空間に差し込んだ前記荷物ユニットを、前記フォークとともに前記隣接物体に近づく方向に移動させながら前記シフト作動油圧力を検出し、検出した前記シフト作動油圧力の上昇状態に応じて、前記荷物ユニットと前記隣接物体との接触状態を判定する、荷物ユニット幅寄せ実行手段と、
を有し、
前記サイドシフト装置には、前記サイドシフト装置内の作動油の圧力をリリーフ圧以下に制限するリリーフ弁が設けられており、
前記制御装置は、
前記荷物ユニット幅寄せ実行手段にて前記荷物ユニットを移動させながら検出している前記シフト作動油圧力が、前記リリーフ圧に達した場合、前記荷物ユニットが前記隣接物体に接触していると判定して前記サイドシフト装置の動作を停止させる、荷物ユニット幅寄せ停止手段を有する、
自動運転フォークリフト。
【請求項3】
車体と、
前記車体を走行させる走行装置と、
前記車体の前方に配置されたフォークと、
前記車体に対して前記フォークを上下方向に昇降させる昇降装置と、
前記車体に対して前記フォークを左右方向にスライドさせるサイドシフト装置と、
少なくとも前記サイドシフト装置への作動油を供給する油圧ポンプと、
前記走行装置と前記昇降装置と前記サイドシフト装置と前記油圧ポンプを制御する制御装置と、を有する自動運転フォークリフトであって、
前記サイドシフト装置内の作動油の圧力であるシフト作動油圧力を検出するサイドシフト圧力検出手段と、
前記フォークと前記昇降装置を用いて持ち上げた荷物ユニットを搬入するべき空間である搬入空間を検出する搬入場所検出手段と、
を備え、
前記搬入空間には、前記自動運転フォークリフトから見て右又は左に、前記搬入空間に隣接する物体である隣接物体が有り、
前記制御装置は、
前記搬入場所検出手段を用いて、持ち上げている前記荷物ユニットを搬入するべき前記搬入空間を認識する、搬入空間認識手段と、
前記走行装置を制御して前記車体を前方に移動させて、持ち上げている前記荷物ユニットを前記搬入空間に差し込む、荷物ユニット搬入手段と、
前記サイドシフト装置を制御して、前記搬入空間に差し込んだ前記荷物ユニットを、前記フォークとともに前記隣接物体に近づく方向に移動させながら前記シフト作動油圧力を検出し、検出した前記シフト作動油圧力の上昇状態に応じて、前記荷物ユニットと前記隣接物体との接触状態を判定する、荷物ユニット幅寄せ実行手段と、
を有し、
前記サイドシフト装置には、前記サイドシフト装置内の作動油の圧力をリリーフ圧以下に制限するリリーフ弁が設けられており、
前記制御装置は、
前記荷物ユニット幅寄せ実行手段にて前記荷物ユニットを移動させながら検出している前記シフト作動油圧力の上昇を検出した時点から、所定時間又は所定距離だけ前記荷物ユニットの移動を継続した後に前記サイドシフト装置の動作を停止する微小サイド移動動作を、前記シフト作動油圧力が前記リリーフ圧に達するまで繰り返し、
前記シフト作動油圧力が前記リリーフ圧に達した場合、前記荷物ユニットが前記隣接物体に接触していると判定する、荷物ユニット幅寄せ停止手段を有する、
自動運転フォークリフト。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の自動運転フォークリフトであって、
前記荷物ユニットは、
荷物を載置可能あるいは収容可能なパレット、又は、前記パレット及び荷物、又は、荷物、である、
自動運転フォークリフト。
【請求項5】
請求項4に記載の自動運転フォークリフトであって、
前記荷物ユニットが前記パレットを含む場合、
前記パレットには、前記フォークを差し込むことが可能なフォーク差込開口部が形成されており、
前記フォーク差込開口部は、上方は前記パレットの底面であるパレット底面、左右は前記パレット底面の左右に設けられた脚部であるパレット脚部、に囲まれており、
前記制御装置は、
前記荷物ユニット幅寄せ停止手段にて前記シフト作動油圧力が前記リリーフ圧に達した後、前記昇降装置を制御して前記フォークを下方に移動させて前記荷物ユニットを前記隣接物体に接触させたまま前記搬入空間内に載置して前記フォークを前記パレット底面から離間させ、前記サイドシフト装置を制御して前記フォークを前記隣接物体とは反対の方向に移動させて前記フォークを前記パレット脚部から離間させ、前記走行装置を制御して前記車体を後方に移動させて前記フォークを前記荷物ユニットから抜き取る、フォーク抜取手段を有する、
自動運転フォークリフト。
【請求項6】
請求項4に記載の自動運転フォークリフトであって、
前記荷物ユニットは荷物であって、前記荷物には、前記フォークを差し込むことが可能なフォーク差込開口部が設けられており、
前記フォーク差込開口部は、上方は前記フォーク差込開口部の上面である開口上面、左右は前記フォーク差込開口部の左側面及び右側面である開口側面に囲まれており、
前記制御装置は、
前記荷物ユニット幅寄せ停止手段にて前記シフト作動油圧力が前記リリーフ圧に達した後、前記昇降装置を制御して前記フォークを下方に移動させて前記荷物ユニットを前記隣接物体に接触させたまま前記搬入空間内に載置して前記フォークを前記開口上面から離間させ、前記サイドシフト装置を制御して前記フォークを前記隣接物体とは反対の方向に移動させて前記フォークを前記開口側面から離間させ、前記走行装置を制御して前記車体を後方に移動させて前記フォークを前記荷物ユニットから抜き取る、フォーク抜取手段を有する、
自動運転フォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
自動で荷物を取りに行き、搬入場所(搬入空間に相当)へ移動し荷物を搬入する自動運転フォークリフトとして、例えば特許文献1に無人フォークリフト(自動運転フォークリフトに相当)が記載されている。特許文献1の無人フォークリフトは、荷物を取りに行くとき、パレットの穴の開口端面の側にレーザ光を照射しレーザ光を走査することで、パレットの穴の縁の線の画像を取得する。そして取得したパレットの穴の縁の線の画像に基づいて、パレットまでの距離やパレットに対する傾斜角度を演算している。
【0003】
特許文献1の無人フォークリフトには、搬入する荷物が載置されているパレットと無人フォークリフトとの間の距離と、無人フォークリフトの進行方向と荷物が載置されているパレットの向きと、がそれぞれ異なる条件で得られた複数の画像データが予め記憶されている。無人フォークリフトは、記憶されている画像データと、取得した画像データとに基づいて、パレットまでの距離やパレットに対する傾斜角度を求め、パレットの穴に対してフォークを干渉させることなく差し込めるかどうか判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォークリフトを用いた荷物の搬入において、右又は左に壁面や他の荷物が存在している搬入空間に、壁面や他の荷物と隙間なく接触するように新たな荷物を搬入することが所望されることがある。運転者が存在する手動運転のフォークリフトでは、運転者は、搬入空間に荷物を差し込んだ後、フォークを右又は左にスライド移動させて壁面や他の荷物に実際に接触したことを視認してフォークのスライド移動を停止して搬入することで、前記搬入空間に、壁面や他の荷物と隙間なく接触するように新たな荷物を適切に搬入することが可能である。
【0006】
特許文献1に記載の無人フォークリフトでは、荷物を取得して持ち上げる際に、レーザ光を用いて、搬入するべき荷物のパレットの穴に対して適切にフォークを差し込んで、荷物を持ち上げることはできる。しかし特許文献1に記載の無人フォークリフトでは、持ち上げた荷物を、前記搬入空間に、壁面や他の荷物と隙間なく接触するように搬入することは非常に困難である。仮に、レーザ光を走査して搬入空間の右又は左に存在する壁面や他の荷物の画像データを取得して壁面や他の荷物までの距離を計測して計測距離だけ右又は左にフォークをスライド移動させたとしても、持ち上げている荷物が実際に接触しているか否かを検出することはできない。計測距離には誤差が含まれているので、計測距離が実際の距離よりも短い場合では計測距離だけフォークを右又は左にスライド移動させると、持ち上げている荷物が、実際には壁面や他の荷物に接触していないことになるので好ましくない。また、計測距離が実際の距離よりも長い場合では計測距離だけフォークを右又は左にスライド移動させると、持ち上げている荷物を、必要以上に大きな力で壁面や他の荷物に押し付けている状態となるので好ましくない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、右又は左に壁面や他の荷物が存在している搬入空間に、壁面や他の荷物と隙間なく適切に接触するように新たな荷物を搬入することができる自動運転フォークリフトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の発明は、車体と、前記車体を走行させる走行装置と、前記車体の前方に配置されたフォークと、前記車体に対して前記フォークを上下方向に昇降させる昇降装置と、前記車体に対して前記フォークを左右方向にスライドさせるサイドシフト装置と、少なくとも前記サイドシフト装置への作動油を供給する油圧ポンプと、前記走行装置と前記昇降装置と前記サイドシフト装置と前記油圧ポンプを制御する制御装置と、を有する自動運転フォークリフトであって、前記サイドシフト装置内の作動油の圧力であるシフト作動油圧力を検出するサイドシフト圧力検出手段と、前記フォークと前記昇降装置を用いて持ち上げた荷物ユニットを搬入するべき空間である搬入空間を検出する搬入場所検出手段と、を備え、前記搬入空間には、前記自動運転フォークリフトから見て右又は左に、前記搬入空間に隣接する物体である隣接物体が有り、前記制御装置は、前記搬入場所検出手段を用いて、持ち上げている前記荷物ユニットを搬入するべき前記搬入空間を認識する、搬入空間認識手段と、前記走行装置を制御して前記車体を前方に移動させて、持ち上げている前記荷物ユニットを前記搬入空間に差し込む、荷物ユニット搬入手段と、前記サイドシフト装置を制御して、前記搬入空間に差し込んだ前記荷物ユニットを、前記フォークとともに前記隣接物体に近づく方向に移動させながら前記シフト作動油圧力を検出し、検出した前記シフト作動油圧力の上昇状態に応じて、前記荷物ユニットと前記隣接物体との接触状態を判定する、荷物ユニット幅寄せ実行手段と、を有する、自動運転フォークリフトである。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明に係る自動運転フォークリフトであって、前記サイドシフト装置には、前記サイドシフト装置内の作動油の圧力をリリーフ圧以下に制限するリリーフ弁が設けられており、前記制御装置は、前記荷物ユニット幅寄せ実行手段にて前記荷物ユニットを移動させながら検出している前記シフト作動油圧力が、前記リリーフ圧に達した場合、前記荷物ユニットが前記隣接物体に接触していると判定して前記サイドシフト装置の動作を停止させる、荷物ユニット幅寄せ停止手段を有する、自動運転フォークリフトである。
【0010】
第3の発明は、上記第1の発明に係る自動運転フォークリフトであって、前記サイドシフト装置には、前記サイドシフト装置内の作動油の圧力をリリーフ圧以下に制限するリリーフ弁が設けられており、前記制御装置は、前記荷物ユニット幅寄せ実行手段にて前記荷物ユニットを移動させながら検出している前記シフト作動油圧力の上昇を検出した時点から、所定時間又は所定距離だけ前記荷物ユニットの移動を継続した後に前記サイドシフト装置の動作を停止する微小サイド移動動作を、前記シフト作動油圧力が前記リリーフ圧に達するまで繰り返し、前記シフト作動油圧力が前記リリーフ圧に達した場合、前記荷物ユニットが前記隣接物体に接触していると判定する、荷物ユニット幅寄せ停止手段を有する、自動運転フォークリフトである。
【0011】
第4の発明は、上記第2又は第3の発明に係る自動運転フォークリフトであって、前記荷物ユニットは、荷物を載置可能あるいは収容可能なパレット、又は、前記パレット及び荷物、又は、荷物、である、自動運転フォークリフトである。
【0012】
第5の発明は、上記第4の発明に係る自動運転フォークリフトであって、前記荷物ユニットが前記パレットを含む場合、前記パレットには、前記フォークを差し込むことが可能なフォーク差込開口部が形成されており、前記フォーク差込開口部は、上方は前記パレットの底面であるパレット底面、左右は前記パレット底面の左右に設けられた脚部であるパレット脚部、に囲まれており、前記制御装置は、前記荷物ユニット幅寄せ停止手段にて前記シフト作動油圧力が前記リリーフ圧に達した後、前記昇降装置を制御して前記フォークを下方に移動させて前記荷物ユニットを前記隣接物体に接触させたまま前記搬入空間内に載置して前記フォークを前記パレット底面から離間させ、前記サイドシフト装置を制御して前記フォークを前記隣接物体とは反対の方向に移動させて前記フォークを前記パレット脚部から離間させ、前記走行装置を制御して前記車体を後方に移動させて前記フォークを前記荷物ユニットから抜き取る、フォーク抜取手段を有する、自動運転フォークリフトである。
【0013】
第6の発明は、上記第4の発明に係る自動運転フォークリフトであって、前記荷物ユニットは荷物であって、前記荷物には、前記フォークを差し込むことが可能なフォーク差込開口部が設けられており、前記フォーク差込開口部は、上方は前記フォーク差込開口部の上面である開口上面、左右は前記フォーク差込開口部の左側面及び右側面である開口側面に囲まれており、前記制御装置は、前記荷物ユニット幅寄せ停止手段にて前記シフト作動油圧力が前記リリーフ圧に達した後、前記昇降装置を制御して前記フォークを下方に移動させて前記荷物ユニットを前記隣接物体に接触させたまま前記搬入空間内に載置して前記フォークを前記開口上面から離間させ、前記サイドシフト装置を制御して前記フォークを前記隣接物体とは反対の方向に移動させて前記フォークを前記開口側面から離間させ、前記走行装置を制御して前記車体を後方に移動させて前記フォークを前記荷物ユニットから抜き取る、フォーク抜取手段を有する、自動運転フォークリフトである。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、荷物ユニットを、自動で搬入空間まで移動し、自動で隣接物体との間に隙間のないよう搬入空間に搬入することができる。これにより、荷物ユニットを搬入するために搬入空間を有効に利用できるとともに、隙間がないため搬入空間における荷物ユニットの予期せぬ移動や荷崩れを防止することもできる。
【0015】
第2の発明によれば、隣接物体と荷物ユニットとの接触を容易に判定できるとともに、サイドシフト装置の保護と荷物ユニットが隣接物体へ過度に接触することを防止できる。
【0016】
第3の発明によれば、隣接物体と荷物ユニットとの接触を容易に判定できるとともに、サイドシフト装置の保護と荷物ユニットを連続的に移動させるのではなく所定時間又は所定距離だけ移動させるため隣接物体へ過度に接触することをより適切に防止できる。
【0017】
第4の発明によれば、パレットに載置された荷物だけでなく荷物それ自体を搬入できるため便利である。
【0018】
第5の発明によれば、パレットを自動で搬入空間まで移動し自動で隣接物体との間に隙間のないよう搬入空間に搬入でき、フォークを自動でパレットから抜き取ることができる。
【0019】
第6の発明によれば、荷物を自動で搬入空間まで移動し自動で隣接物体との間に隙間のないよう搬入空間に搬入でき、フォークを自動で荷物から抜き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態に係る自動運転フォークリフトの側面図である。
【
図2】サイドシフト装置の詳細構成を説明する図である。
【
図3】制御装置と油圧回路の構成を説明する図である。
【
図4】搬入空間の例(搬入棚)に荷物ユニットが搬入される様子を示す図である。
【
図5】荷物ユニットがパレットを含む場合の説明の図である。
【
図6】搬入空間認識手段の動作の説明をする図である。
【
図7】パレット(荷物ユニット)が搬入空間に差し込まれた状態を示す図である。
【
図8】パレット(荷物ユニット)と隣接物体との接触状態を示す図である。
【
図9】パレット脚部にフォークが接触した状態を示す図である。
【
図10】
図9におけるX-X方向から見た断面図である。
【
図11】パレットを隣接物体に接触させたまま搬入空間内に載置してフォークをパレット底面から離間させた状態を示す図である。
【
図12】フォークを隣接物体とは反対の方向に移動させてフォークをパレット脚部から離間させた状態を示した図である。
【
図13】シフト作動油圧力と搬入動作の関係を示す図である。
【
図14】第1の実施形態の荷物ユニットの搬入動作の説明をするフローチャートである。
【
図15】第2の実施形態の荷物ユニットの搬入動作の説明をするフローチャートである。
【
図16】荷物ユニットが荷物(箱型)である場合の説明の図である。
【
図17】荷物ユニットが荷物(ロール型)である場合の説明の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1~
図17を用いて、本願の実施形態の例について説明する。なお、X軸とY軸とZ軸が記載されている図では、X軸とY軸とZ軸は互いに直交している。
図1の車体11において、X軸方向を“前”、X軸方向に対して反対方向を“後”とし、Z軸方向を“上”、Z軸方向の反対方向を“下”とする。また、Y軸方向を“左”、Y軸方向の反対方向を“右”とする。
図4の搬入棚50において、X軸方向を“奥”、X軸方向に対して反対方向を“手前”とし、Z軸方向を“上”、Z軸方向の反対方向を“下”とする。また、Y軸方向を“左”、Y軸方向の反対方向を“右”とする。
【0022】
●[本発明の実施の形態に係る自動運転フォークリフトの全体構成(
図1、
図2)]
図1及び
図2を用いて本発明を実施するための自動運転フォークリフト10の全体構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動運転フォークリフト10の側面図である。
図2は、サイドシフト装置30の詳細構成を説明する図である。
【0023】
図1に示すように、自動運転フォークリフト10は、車体11と、車体11を走行させる走行装置12(例えば電動モータ)と、車体11の前方に配置されたフォーク60と、車体11に対してフォーク60を上下方向に昇降させる昇降装置70と、車体11に対してフォーク60を左右方向にスライドさせるサイドシフト装置30と、を備えている。また、自動運転フォークリフト10には、フォーク60を前後方向に傾斜させるチルトシリンダ72と、車体11の前部に設けられた前輪としての駆動輪14と、車体11の後部に設けられた後輪としての操舵輪16と、が備えられている。なお、本実施の形態の説明において、自動運転フォークリフトは電動フォークリフトである。
【0024】
図2に示すように、サイドシフト装置30は、左右一対のリフトブラケット32に固定された上下一対のフィンガーバー36A、36Bと、上下一対のフィンガーバー36A、36Bに対して左右に移動可能なシフター37と、を備えている。シフター37は、上下一対のシフターバー34A、34Bと、上下一対のシフターバー34A、34Bの両端部をそれぞれ連結する連結部材35(35R、35L)を備えている。シフターバー34A、34Bは左右一対のフォーク60R、60Lをそれぞれ係止する部材である。
【0025】
サイドシフト装置30は、フィンガーバー36A、36Bに対してシフター37を左右に移動させるシフトシリンダ33を備えている。シフトシリンダ33の基端部はフィンガーバー36Aに固定されたブラケット38に連結されており、シフトシリンダ33のロッド33Aの端部は、一方の連結部材35Rに連結されている。シフトシリンダ33は、作動油(シフト作動油)の供給を受けてロッド33Aを左右方向に出し入れする。
【0026】
フォーク60R(60)は、荷物を載置可能とする載置部62R(62)と、載置部62Rの基端から立ち上がって形成された立ち上がり部64R(64)と、を備えている。フォーク60L(60)も同様の構成であり、載置部62L(62)と、立ち上がり部64L(64)と、を備えている。
【0027】
搬入場所検出手段18は、例えばカメラ等の撮像装置であり、シフターバー34Bの下方において設けられ、フォーク60と昇降装置70を用いて持ち上げた荷物ユニットを搬入するべき空間である搬入空間を検出する。
【0028】
サイドシフト量検出手段19は、例えばエンコーダであり、シフトシリンダ33に対するロッド33Aの左右方向の出し入れ量に応じた信号を出力する。
【0029】
●[油圧回路の構成(
図3)]
図3は、制御装置40と油圧回路の構成を説明する図である。制御装置40(例えばCPUを備えた装置)は、搬入空間認識手段40Aと、荷物ユニット搬入手段40Bと、荷物ユニット幅寄せ実行手段40Cと、荷物ユニット幅寄せ停止手段40Dと、フォーク抜取手段40Eと、記憶手段44と、を備えている。なお、記憶手段44は、荷物ユニット、搬入空間等の情報が予め記憶されている。
【0030】
制御装置40は、走行装置12を制御し、車体11を走行させる。制御装置40には、搬入場所検出手段18とサイドシフト量検出手段19で検出された信号と、サイドシフト装置30内のシフトシリンダ33の作動油の圧力であるシフト作動油圧力を検出するサイドシフト圧力検出手段33Bから検出された信号が入力される。
【0031】
制御装置40は、荷役制御部80と荷役モータ81(電動モータ)を制御する。荷役制御部80は、図示は省略するがシフトシリンダ33、チルトシリンダ72、昇降装置70に設けられているリフトシリンダ74のそれぞれに対し作動油の供給を制御する電磁弁を備えている。
【0032】
油圧ポンプ82は、荷役モータ81(電動モータ)で駆動され、オイルパン83から作動油を荷役制御部80へ供給する。
【0033】
サイドシフト装置30には、サイドシフト装置内の作動油の圧力をリリーフ圧以下に制限するリリーフ弁33Cが設けられている。リリーフ弁33Cは、サイドシフト装置内の作動油の圧力がリリーフ圧を超えると弁が開き、作動油をオイルパン83へ戻しリリーフ圧を超えないようにする。
【0034】
●[搬入空間の認識と荷物ユニットの搬入空間への搬入(
図4~
図6)]
図4~
図6を用いて、自動運転フォークリフト10が荷物ユニットの搬入空間への搬入する様子を説明する。
【0035】
図4は搬入空間の例として搬入棚50に荷物ユニットが搬入される様子を示す図である。搬入棚50は、例えば搬入される4個の搬入区画A1~A4に分けられており、それぞれの区画には2個の荷物ユニット20A(20)が搬入される。
【0036】
搬入区画A1~A4(搬入空間)のそれぞれは、底面である載置面56と、自動運転フォークリフト10から見て右又は左に、壁である搬入区画(搬入空間)に隣接する物体である隣接物体52と、をそれぞれ有している。また、搬入区画の床部材の荷物ユニットを搬入する側の前面には、搬入場所を検出するための標識である標識(MK21~MK28)が載置される荷物ユニット毎に設けられている。
【0037】
図5は、荷物ユニット20が荷物を載置可能あるいは収容可能なパレット21Aを含む場合の説明の図である。パレット21Aは、例えば上面が荷物を搬入する開口である、ボックス型のパレットである。パレット21Aには、フォーク60R、60L(60)(
図2参照)を差し込むことが可能なフォーク差込開口部24Aが形成されている。フォーク差込開口部24Aは、上方はパレットの底面であるパレット底面22A、左右はパレット底面22Aの左右に設けられた脚部であるパレット脚部26RA1、26RA2、26LA1、26LA2に囲まれている。
【0038】
また、フォークを差し込む側のパレット21Aの側面の下方のフォーク差込開口部24Aの近傍には、荷物ユニットの搬入場所に対する位置を検出するための標識である標識MK1が設けられている。
【0039】
図6は、搬入場所検出手段18(
図2参照)の動作の説明をする図である。荷物ユニット20A(20)は、フォーク60R、60Lがフォーク差込開口部24Aに差し込まれフォークに対して載置され持ち上げられた状態を示している。
【0040】
搬入場所検出手段18は、例えば画像を取得できるカメラ等の撮像装置である。搬入場所検出手段18は、載置された荷物ユニット20A(20)に設けられた標識MK1を撮影できる位置、例えば、上述した
図2に示すシフターバー34Bの下方等に設けられる。
【0041】
標識MK1、MK21~MK28は、荷物ユニット20A、搬入区画A1~A4(搬入空間)に対する荷物ユニット20Aの相対位置を求めるための標識である。ここで、標識MK1、MK21~MK28は、形状・色彩等を異なるものとすることで、それぞれが異なるものと識別できる。
【0042】
●[第1の実施形態の自動運転フォークリフトによる搬入空間への荷物ユニットの搬入及び載置(
図7~
図14)]
図7~
図14を用いて、第1の実施形態の自動運転フォークリフトによる搬入空間への荷物ユニットの搬入及び載置について説明する。
図14は、第1の実施形態の荷物ユニットの搬入動作の説明をするフローチャートである。
【0043】
自動運転フォークリフトの制御装置40の処理手順について、
図14のフローチャートを用いて説明する。なお、自動運転フォークリフトによる自動運転による荷物ユニットの搬入は、作業者の指令により開始する。以下、
図14の各ステップについて詳細に説明する。
【0044】
●[搬入空間の認識]
ステップS010において、制御装置40は、荷物ユニットを搬入する搬入空間を認識して、ステップS020へ処理を進める。
【0045】
なお、ステップS010における処理は、搬入空間認識手段40A(
図3参照)による制御に相当する。
【0046】
記憶手段44には、標識MK1、MK21~MK28の形状・色彩、それぞれの標識がどの搬入区画(搬入空間)に付されているか等の情報が予め記録されている。制御装置40は、作業者による荷物ユニットの搬入を所望する先の搬入区画A1~A4(搬入空間)と搬入区画における(左右)載置場所の入力情報に基づいて、標識MK21~MK28から対応する標識を目標搬入先標識として選定し、記憶手段44に記憶する。
【0047】
制御装置40は、搬入場所検出手段18からの取得した取得画像情報と、記憶されている目標搬入先標識に関する情報に基づいて、荷物ユニットを搬入するべき搬入空間(搬入区画)を認識する。具体的には、例えば、制御装置40は、取得画像情報から標識画像を抽出し、抽出された標識画像と目標搬入先標識が一致するまで(荷物ユニットを搬入するべき搬入空間に達するまで)、走行装置12と昇降装置70を駆動し、荷物ユニットを搬入する搬入区画A1~A4(搬入空間)の(左右)載置場所まで移動させる(
図4参照)。
【0048】
●[搬入空間(搬入区画)への荷物ユニットの差し込み動作]
ステップS020において、制御装置40は、走行装置12を制御して車体11(
図1参照)を前方に移動させて、持ち上げている荷物ユニット20A(20)を搬入空間(搬入区画A1~A4)に差し込み、ステップS030へ処理を進める。
【0049】
なお、ステップS020における処理は、荷物ユニット搬入手段40B(
図3参照)による制御に相当する。
【0050】
以下、
図6において、荷物ユニット20A(20)を搬入区画A2の(右)載置場所へ搬入する例で説明する。
【0051】
制御装置40は、荷物ユニット20A(20)を搬入すべき搬入区画A2まで移動させた後、取得した画像情報に基づいて、記憶手段44に予め記憶されている標識MK1と標識MK23との位置関係になるように、走行装置12と昇降装置70を駆動する。
【0052】
例えば、標識MK1と標識MK23のY方向に沿った幅の中心の位置が一致するように、Z方向に沿ったそれぞれの幅中心の位置との間の距離が記憶手段44に予め記憶されている所定の距離になるように、荷物ユニット20A(20)は搬入区画A2の(右)載置場所へ搬入される。この場合、荷物ユニット20A(20)が載置面56あるいは隣接物体52へ接触することを回避するため、荷物ユニット20A(20)は、隣接物体52へは第1所定距離の隙間、載置面56に対しては第2所定距離の隙間を設けて、搬入区画A2の(右)載置場所へ差し込まれる。
【0053】
ステップS030において、制御装置40は、サイドシフト装置30を制御して、搬入空間(搬入区画A2)に差し込んだ荷物ユニット20A(20)を、フォーク60(60R、60L)とともに隣接物体52に近づく方向に移動するようにサイドシフト装置30の動作を開始し、ステップS040へ処理を進める。
【0054】
ステップS040において、制御装置40は、サイドシフト圧力検出手段33B(
図3参照)によりシフト作動油圧力を検出し、ステップS050へ処理を進める。
【0055】
ステップS050において、制御装置40は、シフト作動油圧力がリリーフ圧に達している判定した場合(Yes)は、ステップS060に処理を進め、シフト作動油圧力がリリーフ圧に達していないと判定した場合(No)は、ステップS040に処理を進める。
【0056】
ステップS060において、制御装置40は、サイドシフト装置30の動作を停止し、ステップS070へ処理を進める。
【0057】
なお、ステップS030~S050までの処理は荷物ユニット幅寄せ実行手段40C(
図3参照)における制御に相当する。また、ステップS030~S060までの処理は荷物ユニット幅寄せ停止手段40D(
図3参照)における制御に相当する。
【0058】
●[荷物ユニットと隣接物体との接触状態を判定(
図7~
図9、
図13)]
以下、
図7~
図9、
図13を用いて、荷物ユニット幅寄せ実行手段40Cの制御における、シフト作動油圧力の上昇状態に応じた荷物ユニットと隣接物体との接触状態の判定について説明する。
【0059】
図7は、
図6で示す搬入空間(搬入区画)へ差し込まれた荷物ユニットを上方から見た図である。荷物ユニット20A(20)は、隣接物体52との間に第1所定距離L1の隙間を設けた状態で差し込まれている。なお、説明を簡単にするため載置面56等の記載は省略されている。
【0060】
制御装置40は、シフト作動油圧力は一定である場合、隣接物体52に対して荷物ユニット20A(20)を一定の速度で移動させる幅寄せ区間であると判定する(幅寄せ区間AR1)。
【0061】
制御装置40は、シフト作動油圧力が上昇する場合、隣接物体52に対して荷物ユニット20A(20)が接触(
図8参照)したと判定する(接触区間AR2)。なお、幅寄せ区間AR1から接触区間AR2の境界は、シフト作動油圧力の上昇を検出した時点に相当する。
【0062】
制御装置40は、シフト作動油圧力が上昇を止め下降した後、一定である場合、隣接物体52に対して荷物ユニット20A(20)が接触した状態で荷物ユニット20A(20)に対してフォーク60が滑っている状態であると判定する(フォーク滑り区間AR3)。
【0063】
制御装置40は、フォーク滑り区間AR3において、シフト作動油圧力が上昇する場合、フォーク60Rがパレット脚部26RA1、26RA2に接触した状態(
図9参照)であると判定する(フォーク接触区間AR4)。なお、制御装置40は、フォーク接触区間AR4であると判定した場合、荷物ユニット20A(20)を搬入区画A2の(右)載置場所(搬入空間)へ載置したと判定する。
【0064】
●[接触したと判定した場合のフォークの抜き取り動作(
図10~
図13)]
図10は、
図9におけるX-X方向から見た断面図である。荷物ユニット20A(20)のパレット脚部26RA2、26LA2の載置面56に対向する底面と載置面56との間に第2所定距離L2の隙間を設けた状態で差し込まれている。
【0065】
ステップS070において、制御装置40は、昇降装置70を制御してフォーク60(60R、60L)を下方に移動させて荷物ユニット20A(20)を隣接物体52に接触させたまま搬入空間内(搬入区画A2)における載置面56に載置し(
図11参照)、ステップS080へ処理を進める。
【0066】
ステップS080において、制御装置40は、サイドシフト装置30を制御してフォーク60(60R、60L)を隣接物体52とは反対の方向に移動させてフォーク60をパレット脚部26RA2から離間させ(
図12参照)(フォーク離間区間AR5)、ステップS090へ処理を進める。
【0067】
ステップS090において、制御装置40は、走行装置12を制御して車体11を後方に移動させてフォーク60を荷物ユニット20A(20)から抜き取り、処理を終了する。
【0068】
なお、ステップS070~S090までの処理はフォーク抜取手段40E(
図3参照)における制御に相当する。
【0069】
●[第2の実施形態の自動運転フォークリフトによる搬入空間への荷物ユニットの搬入及び載置(
図15)]
第2の実施形態の自動運転フォークリフトは、第1の実施形態の自動運転フォークリフトに対して荷物ユニット幅寄せ停止手段40Dの代わりに荷物ユニット幅寄せ停止手段40Daを有している点で相違する。以下、
図15の相違するステップについて詳細に説明する。
【0070】
ステップS050Aにおいて、制御装置40は、シフト作動油圧力が上昇したと判定した場合(Yes)は(シフト作動油圧力の上昇の検出)、ステップS060Aに処理を進め、シフト作動油圧力が上昇していないと判定した場合(No)は、ステップS040に処理を進める。
【0071】
なお、制御装置40は、シフト作動油圧力平均値と今回取得したシフト作動油圧力の差の大きさが判定値よりも大きい場合に、シフト作動油圧力が上昇したと判定する。シフト作動油圧力平均値は、例えば所定の期間又は所定の回数、取得され記憶手段44に記憶されたシフト作動油圧力に基づいて算出される。判定値は、実験等で求められたシフト作動油圧力が上昇したと判定する値であり、記憶手段44に予め記憶されている。
【0072】
ステップS060Aにおいて、制御装置40は、第1所定時間だけ荷物ユニットの移動を継続した後にサイドシフト装置30の動作を停止し、ステップS070Aへ処理を進める。なお、第1所定時間は、実験等で求められたサイドシフト装置30を継続動作させる時間であり、記憶手段44に予め記憶されている。第1所定時間は、後述する第2所定時間よりも短い時間であり、例えば数秒程度である。
【0073】
ステップS070Aにおいて、制御装置40は、シフト作動油圧力がリリーフ圧に達している判定した場合(Yes)は、ステップS070に処理を進め、シフト作動油圧力がリリーフ圧に達していないと判定した場合(No)は、ステップS080Aに処理を進める。
【0074】
ステップS080Aにおいて、制御装置40は、第2所定時間だけ荷物ユニットの移動を継続した後にサイドシフト装置30の動作を停止し(微小サイド移動動作に相当)を、ステップS070Aへ処理を進める。なお、第2所定時間は、実験等で求められたサイドシフト装置30を継続して動作させる時間であり、記憶手段44に予め記憶されている。第2所定時間は、例えば数秒程度である。
【0075】
なお、ステップS080Aにおいて、制御装置40は、第2所定時間の代わりに、サイドシフト量検出手段19の検出信号に基づいて、予め実験等で求め設定された所定距離だけ荷物ユニットの移動を継続した後にサイドシフト装置30の動作を停止(微小サイド移動動作に相当)させても良い。
【0076】
なお、ステップS030~S060、S050A~S080Aまでの処理は荷物ユニット幅寄せ停止手段40Da(
図3参照)における制御に相当する。
【0077】
●[荷物ユニットの別形態(
図16、
図17)]
上記第1の実施形態及び第2の実施形態の例において、荷物ユニットとしてパレットを含んでいる例で説明したが、パレットを含まない場合でも上述した効果を得ることができる。
図16は、荷物ユニット(荷物ユニット20B)が荷物(箱型)である場合の説明の図である。
図5の荷物ユニット20Aが、パレット21Aを含んでいるのに対して、パレットの代わりに荷物21B自体がパレットとしての機能を有している。
【0078】
荷物21Bは、例えばボックス型の荷物である。荷物21Bには、フォーク60R、60L(60)(
図2参照)を差し込むことが可能なフォーク差込開口部24Bが形成されている。フォーク差込開口部24Bは、上方はフォーク差込開口部24Bの上面である開口上面22B、左右はフォーク差込開口部24Bの左側面26LB及び右側面26RBである開口側面26Bに囲まれている。
【0079】
図17は、荷物ユニット(荷物ユニット20C)が荷物(ロール型)である場合の説明の図である。
図5の荷物ユニット20Aが、パレット21Aを含んでいるのに対して、パレットの代わりに荷物ユニット20C自体がパレットとしての機能を有している(パレットを含まない場合)。
【0080】
荷物ユニット20Cには、フォーク60R、60L(60)(
図2参照)を差し込むことが可能なフォーク差込開口部24C(ロール中心穴)が形成されている。フォーク差込開口部24Cは、上方はフォーク差込開口部24Cの上面である開口上面22C、左右はフォーク差込開口部24Cの左側面26LC及び右側面26RCである開口側面26Cに囲まれている。
●[本願の効果]
【0081】
以上に説明したように、荷物ユニットを、自動で搬入空間まで移動し、自動で隣接物体との間に隙間のないよう搬入空間に搬入することができる。これにより、荷物ユニットを搬入するために搬入空間を有効に利用できるとともに、隙間がないため搬入空間における荷物ユニットの予期せぬ移動や荷崩れを防止することもできる。
【0082】
本発明の自動運転フォークリフトは、本実施の形態で説明した構成、構造等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0083】
荷物ユニットは、本実施形態の説明の形状に限定されず、開口上面と左右の開口側面に囲まれたフォークを差し込めるフォーク差込開口部を有しているものでも良い。
【0084】
本実施の形態の説明では、サイドシフト装置30がシフトシリンダ33を有する例を説明したが、油圧モータ等であっても良い。
【符号の説明】
【0085】
10 自動運転フォークリフト
11 車体
12 走行装置
14 駆動輪(前輪)
16 操舵輪(後輪)
18 搬入場所検出手段
19 サイドシフト量検出手段
20、20A 荷物ユニット
20B、20C 荷物ユニット
21A パレット
22A パレット底面
24A、24B、24C フォーク差込開口部
26RA1、26RA2 パレット脚部
26LA1、26LA2 パレット脚部
26C 開口側面
26LC 左側面
26RC 右側面
30 サイドシフト装置
32 リフトブラケット
33 シフトシリンダ
33A ロッド
33B サイドシフト圧力検出手段
33C リリーフ弁
34A、34B シフターバー
35、35R、35L 連結部材
37 シフター
40 制御装置
40A 搬入空間認識手段
40B 荷物ユニット搬入手段
40C 荷物ユニット幅寄せ実行手段
40D、40Da 荷物ユニット幅寄せ停止手段
40E フォーク抜取手段
44 記憶手段
50 搬入棚
52 隣接物体
56 載置面
A1、A2、A3、A4 搬入区画(搬入空間)
60、60R、60L フォーク
62、62R、62L 載置部
64、64R、64L 立ち上がり部
70 昇降装置
72 チルトシリンダ
80 荷役制御部
81 荷役モータ(電動モータ)
82 油圧ポンプ
83 オイルパン
MK1、MK21~MK28 標識
AR1 幅寄せ区間
AR2 接触区間
AR3 フォーク滑り区間
AR4 フォーク接触区間
AR5 フォーク離間区間