(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20221109BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20221109BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F04B39/00 106Z
F04B39/00 104Z
F04B39/12 G
F04C29/00 B
F04C29/00 T
(21)【出願番号】P 2019049574
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩▲瀬▼ 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】八代 圭司
(72)【発明者】
【氏名】大河内 健史
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-035248(JP,A)
【文献】特開2012-253201(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145616(WO,A1)
【文献】特開2012-087630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04B 39/12
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータを駆動するモータ制御装置と、
前記圧縮部及び前記電動モータを収容するハウジングと、
前記モータ制御装置を収容するとともに前記ハウジングに接合されるインバータケースと、
前記ハウジングにおける前記インバータケースとの接合面に設けられた環状のガスケットと、
前記接合面に形成されるとともに前記ガスケットの周方向に並んで配置される複数の雌ねじ孔と、を備え、
前記インバータケースは、有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口を閉塞する蓋部材と、を有し、
前記モータ制御装置は、高電圧電源に電気的に接続される高電圧回路、及び低電圧電源に電気的に接続される低電圧回路が実装された回路基板を有し、
前記インバータケースを貫通する複数のボルトが前記各雌ねじ孔にそれぞれねじ込まれることにより、前記インバータケースが前記ハウジングに接合されている電動圧縮機であって、
前記インバータケース内には、前記ケース本体のケース底壁もしくは前記蓋部材のうちの一方から他方へと延出しつつ当接するとともに前記複数のボルトのうちの一つが挿通される筒状のボス部が配置されており、
前記回路基板における前記高電圧回路と前記低電圧回路との間の絶縁部分には、前記ボス部が貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記電動モータを収容するモータハウジングを備え、
前記モータハウジングは、外部から前記モータハウジング内に前記流体としての冷媒を吸入するための吸入口を有し、
前記高電圧回路は、前記インバータケース及び前記ガスケットを介して前記モータハウジングに熱
が伝達される発熱部品を有し、
前記貫通孔は、前記回路基板における前記発熱部品と隣り合う部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記発熱部品は、LCフィルタを構成するコイルであることを特徴とする請求項2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、圧縮部を駆動する電動モータと、電動モータを駆動するモータ制御装置と、を備えている。例えば特許文献1の電動圧縮機は、圧縮部及び電動モータを収容するハウジングと、モータ制御装置を収容するインバータケースと、ハウジングにおけるインバータケースとの接合面に設けられた環状のガスケットと、を備えている。インバータケースは、有底筒状のケース本体と、ケース本体の開口を閉塞する蓋部材と、を有している。また、ハウジングの接合面には、ガスケットの周方向に並んで配置される複数の雌ねじ孔が形成されている。そして、インバータケースを貫通する複数のボルトが各雌ねじ孔にそれぞれねじ込まれることにより、インバータケースがハウジングに接合されている。ガスケットは、ハウジングとインバータケースとの間に水などが侵入することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0112405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モータ制御装置は、高電圧電源に電気的に接続される高電圧回路、及び低電圧電源に電気的に接続される低電圧回路が実装された回路基板を有しているが、大電流を扱う電動圧縮機においては、回路基板の体格が大型化するため、回路基板の大型化に伴って、モータ制御装置を収容するインバータケースの体格も大型化する。また、電動圧縮機のインバータには高いフィルタ機能が近年求められており、この要求に応えるためフィルタ素子を大型化した電動圧縮機においても、フィルタ素子を実装する回路基板が大型化し、インバータケースの体格も大型化する。インバータケースの体格が大型化すると、インバータケースの一部分が、ハウジングの接合面に対して外方へ大きく突出する場合がある。このように、回路基板の大型化によってインバータケースの一部分がハウジングの接合面に対して外方へ大きく突出すると、回路基板の一部分が、複数の雌ねじ孔のうちの一つと重なることがある。
【0005】
ガスケットにおけるハウジングとインバータケースとの間のシール性を確保するためには、ガスケットの周方向で隣り合うボルト同士の間隔を狭めて、ハウジングとインバータケースとの間でガスケットに加わる面圧を高めることが必要である。ここで、例えば、複数の雌ねじ孔のうち、回路基板の一部分と重なっている雌ねじ孔にボルトをねじ込まない構成とした場合、複数の雌ねじ孔のうち、回路基板の一部分と重なっている雌ねじ孔にボルトをねじ込まない分だけ、ガスケットの周方向で隣り合うボルト同士の間隔が広くなってしまう。その結果、ハウジングとインバータケースとの間でガスケットに加わる面圧が低下して、ガスケットにおけるハウジングとインバータケースとの間のシール性が悪化してしまう虞がある。
【0006】
そこで、インバータケース内において、複数の雌ねじ孔のうち、回路基板の一部分と重なっている雌ねじ孔と対応する位置に、ケース本体のケース底壁もしくは蓋部材のうちの一方から他方へと延出しつつ当接するとともにボルトが挿通される筒状のボス部を配置する。そして、ボス部内に挿通されるボルトを、複数の雌ねじ孔のうち、回路基板の一部分と重なっている雌ねじ孔にねじ込むことが考えられる。この場合、ボス部は、回路基板を貫通することになり、ボス部と高電圧回路との絶縁、又はボス部と低電圧回路との絶縁を確保するためのスペースが必要となる。よって、インバータケース内において、ボス部と高電圧回路との絶縁、又はボス部と低電圧回路との絶縁を確保するためのスペースが必要となる分、インバータケースの体格がさらに大型化してしまう。その結果として、電動圧縮機の体格が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、体格の大型化を抑制しつつも、ガスケットにおけるハウジングとインバータケースとの間のシール性を確保することができる電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するモータ制御装置と、前記圧縮部及び前記電動モータを収容するハウジングと、前記モータ制御装置を収容するとともに前記ハウジングに接合されるインバータケースと、前記ハウジングにおける前記インバータケースとの接合面に設けられた環状のガスケットと、前記接合面に形成されるとともに前記ガスケットの周方向に並んで配置される複数の雌ねじ孔と、を備え、前記インバータケースは、有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口を閉塞する蓋部材と、を有し、前記モータ制御装置は、高電圧電源に電気的に接続される高電圧回路、及び低電圧電源に電気的に接続される低電圧回路が実装された回路基板を有し、前記インバータケースを貫通する複数のボルトが前記各雌ねじ孔にそれぞれねじ込まれることにより、前記インバータケースが前記ハウジングに接合されている電動圧縮機であって、前記インバータケース内には、前記ケース本体のケース底壁もしくは前記蓋部材のうちの一方から他方へと延出しつつ当接するとともに前記複数のボルトのうちの一つが挿通される筒状のボス部が配置されており、前記回路基板における前記高電圧回路と前記低電圧回路との間の絶縁部分には、前記ボス部が貫通する貫通孔が形成されている。
【0009】
回路基板における高電圧回路と低電圧回路との間の絶縁部分は、回路基板において確保しなければならないスペースである。そして、回路基板における高電圧回路と低電圧回路との間の絶縁部分に、ボス部が貫通する貫通孔を形成した。よって、貫通孔をボス部が通過しても、回路基板における高電圧回路と低電圧回路との間の絶縁部分を利用して、ボス部と高電圧回路との絶縁、及びボス部と低電圧回路との絶縁を確保することができる。したがって、回路基板における高電圧回路と低電圧回路との間の絶縁部分とは別に、ボス部と高電圧回路との絶縁、又はボス部と低電圧回路との絶縁を確保するためのスペースを確保する必要が無いため、インバータケース内の省スペース化を図ることができる。
【0010】
そして、回路基板の大型化によってインバータケースの一部分がハウジングの接合面に対して外方へ大きく突出して、回路基板の一部分が、複数の雌ねじ孔のうちの一つと重なっていたとしても、ボス部内にボルトを挿通させて、複数の雌ねじ孔のうち、回路基板の一部分と重なっている雌ねじ孔にボルトをねじ込むことができる。したがって、複数の雌ねじ孔のうち、回路基板の一部分と重なっている雌ねじ孔にボルトをねじ込まない構成に比べると、ガスケットの周方向で隣り合うボルト同士の間隔が狭くなり、ハウジングとインバータケースとの間でガスケットに加わる面圧を高めることができる。以上のことから、電動圧縮機の体格の大型化を抑制しつつも、ガスケットにおけるハウジングとインバータケースとの間のシール性を確保することができる。
【0011】
上記電動圧縮機において、前記ハウジングは、前記電動モータを収容するモータハウジングを備え、前記モータハウジングは、外部から前記モータハウジング内に前記流体としての冷媒を吸入するための吸入口を有し、前記高電圧回路は、前記インバータケース及び前記ガスケットを介して前記モータハウジングに熱が伝達される発熱部品を有し、前記貫通孔は、前記回路基板における前記発熱部品と隣り合う部位に形成されているとよい。
【0012】
これによれば、ボス部内に挿通されるボルトが雌ねじ孔にねじ込まれることにより、インバータケースにおける発熱部品の周囲での振動が起こり難くなるため、発熱部品から発生する熱が、インバータケース、ガスケット及びモータハウジングに伝達され易くなる。そして、発熱部品からインバータケース、ガスケット、及びモータハウジングに伝達された熱が、モータハウジング内の冷媒によって放熱されるため、発熱部品が効率良く冷却される。また、発熱部品の周囲の熱が、隣接するボス部を介して、インバータケース、ガスケット、及びモータハウジングに伝達され易く、この点でも発熱部品が効率良く冷却される。その結果、発熱部品の耐久性を向上させることができる。
【0013】
上記電動圧縮機において、前記発熱部品は、LCフィルタを構成するコイルであるとよい。
これによれば、コイルから発せられるノイズがボス部に吸収され易くなる。その結果、コイルから発せられるノイズが低電圧回路に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、電動圧縮機の体格の大型化を抑制しつつも、ガスケットにおけるハウジングとインバータケースとの間のシール性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態における電動圧縮機を一部破断して示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図4にしたがって説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、電動圧縮機10のハウジング11は、有底筒状の吐出ハウジング12と、吐出ハウジング12に連結される有底筒状のモータハウジング13と、を備えている。吐出ハウジング12及びモータハウジング13は金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。モータハウジング13は、底壁13aと、底壁13aの外周縁から筒状に延在する周壁13bと、を有している。
【0017】
モータハウジング13内には、回転軸14が収容されている。回転軸14は、回転軸14の軸線方向がモータハウジング13の周壁13bの軸線方向に一致した状態でモータハウジング13内に収容されている。また、モータハウジング13内には、回転軸14の回転によって駆動して流体としての冷媒を圧縮する圧縮部15と、回転軸14を回転させて圧縮部15を駆動する電動モータ16と、が収容されている。圧縮部15及び電動モータ16は、回転軸14の回転軸線が延びる方向である軸線方向に並んで配置されている。電動モータ16は、圧縮部15よりもモータハウジング13の底壁13a側に配置されている。
【0018】
圧縮部15は、例えば、モータハウジング13内に固定された図示しない固定スクロールと、固定スクロールに対向配置される図示しない可動スクロールとから構成されるスクロール式である。
【0019】
電動モータ16は、筒状のステータ17と、ステータ17の内側に配置されるロータ18とから構成されている。ロータ18は、回転軸14と一体的に回転する。ステータ17は、ロータ18を取り囲んでいる。ロータ18は、回転軸14に止着されたロータコア18aと、ロータコア18aに設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。ステータ17は、筒状のステータコア17aと、ステータコア17aに巻回されたモータコイル19とを有している。
【0020】
周壁13bには、吸入口13hが形成されている。吸入口13hには、外部冷媒回路20の一端が接続されている。吐出ハウジング12には、吐出口12hが形成されている。吐出口12hには、外部冷媒回路20の他端が接続されている。吸入口13hは、周壁13bにおける底壁13a側に位置する部分に形成されている。吸入口13hは、モータハウジング13内に連通している。
【0021】
外部冷媒回路20から吸入口13hを介してモータハウジング13内に吸入された冷媒は、圧縮部15の駆動により圧縮部15で圧縮されて、吐出口12hを介して外部冷媒回路20へ流出する。そして、外部冷媒回路20へ流出した冷媒は、外部冷媒回路20の熱交換器や膨張弁を経て、吸入口13hを介してモータハウジング13内に還流する。したがって、モータハウジング13は、外部からモータハウジング13内に冷媒を吸入するための吸入口13hを有している。電動圧縮機10及び外部冷媒回路20は、車両空調装置21を構成している。
【0022】
モータハウジング13の底壁13aの外面には、環状のガスケット22を介してインバータケース23が取り付けられている。よって、インバータケース23は、モータハウジング13に接合されている。したがって、モータハウジング13の底壁13aの外面は、モータハウジング13におけるインバータケース23との接合面13sになっている。ガスケット22は、モータハウジング13の接合面13sに設けられている。ガスケット22は、モータハウジング13とインバータケース23との間に介在している。インバータケース23は、モータ制御装置30を収容する。圧縮部15、電動モータ16、及びモータ制御装置30は、この順序で、回転軸14の軸線方向に並んで配置されている。モータ制御装置30は、電動モータ16を駆動する。
【0023】
図2に示すように、接合面13sの外周部には、複数の雌ねじ孔13dが形成されている。複数の雌ねじ孔13dは、ガスケット22の周方向に互いに間隔を置いた状態で並んで配置されている。ガスケット22の周方向は、モータハウジング13の周壁13bの周方向に一致している。したがって、ガスケット22の周方向は、回転軸14の周方向に一致している。
【0024】
ガスケット22は、ガスケット22の外周縁がモータハウジング13の接合面13sの外周縁に沿った形状である。ガスケット22には、複数の雌ねじ孔13dにそれぞれ連通するボルト挿通孔22aが複数形成されている。各ボルト挿通孔22aは、ガスケット22の厚み方向に貫通している。複数のボルト挿通孔22aは、ガスケット22の周方向に互いに間隔を置いた状態で並んで配置されている。
【0025】
インバータケース23は、有底筒状のケース本体24と、ケース本体24の開口を閉塞する平板状の蓋部材25と、を有している。ケース本体24は、平板状のケース底壁24aと、ケース底壁24aの外周縁から筒状に延在するケース周壁24bと、を有している。ケース底壁24aの外周縁の一部分、及びケース周壁24bの外周面の一部分は、モータハウジング13の接合面13sの外周縁に沿った形状である。また、インバータケース23の一部分は、モータハウジング13の接合面13sに対して回転軸14の径方向外側へ突出している。よって、インバータケース23の一部分は、モータハウジング13の接合面13sに対して外方へ大きく突出している。
【0026】
ケース本体24には、ケース周壁24b及びケース底壁24aの外周部を貫通するボルト挿通孔24cが複数形成されている。ガスケット22の複数のボルト挿通孔22aのうちの一つを除く全て、及び複数の雌ねじ孔13dのうちの一つを除く全ては、ケース底壁24aの外周部に対して回転軸14の軸線方向で対向するとともにケース本体24の各ボルト挿通孔24cにそれぞれ連通している。
【0027】
ケース底壁24aの内面には、円筒状のボス部24dが突設されている。ボス部24dは、ケース本体24に一体形成されている。ボス部24dは、インバータケース23内に配置されている。ボス部24dの先端面は、ケース周壁24bの先端面と同一平面上に位置している。
図1に示すように、ケース底壁24aには、ボス部24dの内側に連通する連通孔24eが形成されている。そして、ボス部24dの内側は、連通孔24eを介してケース底壁24aの外面に開口している。複数のボルト挿通孔22aのうちの一つ、及び複数の雌ねじ孔13dのうちの一つは、連通孔24eを介してボス部24dの内側に連通している。
【0028】
図2に示すように、ケース周壁24bには、蓋取付用雌ねじ孔24fが複数形成されている。また、蓋部材25の外周部には、各ボルト挿通孔24c又は各蓋取付用雌ねじ孔24fそれぞれに連通するボルト挿通孔25aが複数形成されている。さらに、蓋部材25におけるボス部24dと対向する位置には、ボス部24dの内側に連通するボルト挿通孔25bが形成されている。
【0029】
そして、各ボルト挿通孔25a、各ボルト挿通孔24c、及び各ボルト挿通孔22aの順に通過した各ボルトB1が各雌ねじ孔13dにそれぞれねじ込まれる。また、ボルト挿通孔25b、ボス部24dの内側、連通孔24e、及びボルト挿通孔22aの順に通過したボルトB1が雌ねじ孔13dにねじ込まれる。したがって、ボス部24dの内側には、複数の雌ねじ孔13dにねじ込まれる複数のボルトB1のうちの一つが挿通される。さらに、各ボルト挿通孔25aを通過した蓋取付用ボルトB2が各蓋取付用雌ねじ孔24fにそれぞれねじ込まれる。これにより、蓋部材25がケース周壁24bに取り付けられて、ケース周壁24bの開口が蓋部材25によって閉塞されるとともに、インバータケース23が、ケース本体24のケース底壁24aの外面とモータハウジング13の接合面13sとが向き合った状態で、モータハウジング13の底壁13aに取り付けられている。したがって、インバータケース23は、インバータケース23を貫通する複数のボルトB1が各雌ねじ孔13dにそれぞれねじ込まれることにより、モータハウジング13に取り付けられている。
【0030】
蓋部材25がケース周壁24bに取り付けられた状態において、ケース周壁24bの先端面及びボス部24dの先端面は、蓋部材25の内面に接している。したがって、ボス部24dは、ケース本体24のケース底壁24aと蓋部材25とを繋いでいる。ボス部24dは、ケース本体24のケース底壁24aから蓋部材25へと延出しつつ蓋部材25に当接している。
【0031】
ガスケット22は、モータハウジング13の接合面13sとケース本体24のケース底壁24aの外面とによって挟み込まれている。ガスケット22は、モータハウジング13の接合面13s、及びケース本体24のケース底壁24aの外面にそれぞれ密着している。ガスケット22は、モータハウジング13の接合面13sとインバータケース23のケース本体24のケース底壁24aの外面との間をシールしている。そして、ガスケット22は、モータハウジング13の接合面13sとケース本体24のケース底壁24aの外面との間に水などが侵入することを抑制している。
【0032】
図1に示すように、モータ制御装置30は、回路基板31を有している。回路基板31には、3つの導電部材26が電気的に接続されている。各導電部材26は、柱状である。底壁13aには、底壁13aを貫通する孔13cが形成されている。また、ケース底壁24aには、ケース底壁24aを貫通する孔24gが形成されている。そして、各導電部材26は、インバータケース23内から両孔13c,24gを介してモータハウジング13内に突出している。3つの導電部材26は、支持板27を介してケース底壁24aの内面に支持されている。モータコイル19からは3つのモータ配線19aが引き出されている。3つの導電部材26と3つのモータ配線19aとは、モータハウジング13内に配置されたクラスタブロック28を介してそれぞれ電気的に接続されている。そして、回路基板31から各導電部材26、クラスタブロック28、及び各モータ配線19aを介してモータコイル19に電力が供給されることによりロータ18が回転し、回転軸14がロータ18と一体的に回転する。
【0033】
図3に示すように、モータコイル19は、u相コイル19u、v相コイル19v、及びw相コイル19wを有する三相構造になっている。本実施形態において、u相コイル19u、v相コイル19v、及びw相コイル19wは、Y結線されている。
【0034】
モータ制御装置30の回路基板31には、高電圧電源32に電気的に接続される高電圧回路33、及び低電圧電源34に電気的に接続される低電圧回路35が実装されている。高電圧電源32は、車両に搭載されているリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などの高電圧バッテリである。低電圧電源34は、車両に搭載されるとともに高電圧バッテリの電圧(例えば400V)よりも低い電圧(例えば12V)である鉛蓄電池などの低電圧バッテリである。
【0035】
高電圧回路33は、複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2を有している。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、電動モータ16を駆動するためにスイッチング動作を行う。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、IGBT(パワースイッチング素子)である。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2には、ダイオードDu1,Du2,Dv1,Dv2,Dw1,Dw2がそれぞれ接続されている。ダイオードDu1,Du2,Dv1,Dv2,Dw1,Dw2は、スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2に対して並列に接続されている。
【0036】
各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1は、各相の上アームを構成している。各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2は、各相の下アームを構成している。各スイッチング素子Qu1,Qu2、各スイッチング素子Qv1,Qv2、及び各スイッチング素子Qw1,Qw2はそれぞれ直列に接続されている。各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のゲートは、低電圧回路35の制御部35aに電気的に接続されている。制御部35aは、低電圧電源34からの電圧が印加されることにより動作する。
【0037】
各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のコレクタは、第1接続ラインEL1を介して高電圧電源32の正極に電気的に接続されている。各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のエミッタは、第2接続ラインEL2を介して高電圧電源32の負極に電気的に接続されている。各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のエミッタ及び各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のコレクタは、それぞれ直列に接続された中間点からu相コイル19u、v相コイル19v、及びw相コイル19wにそれぞれ電気的に接続されている。
【0038】
制御部35aは、電動モータ16の駆動電圧をパルス幅変調により制御する。具体的には、制御部35aは、搬送波信号と呼ばれる高周波の三角波信号と、電圧を指示するための電圧指令信号とによってPWM信号を生成する。そして、制御部35aは、生成したPWM信号を用いて各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のスイッチング動作の制御(オンオフ制御)を行う。これにより、高電圧電源32からの直流電圧が交流電圧に変換される。そして、変換された交流電圧が駆動電圧として電動モータ16に印加されることにより、電動モータ16の駆動が制御される。
【0039】
また、制御部35aは、PWM信号を制御することにより、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のスイッチング動作のデューティ比を可変制御する。これにより、電動モータ16の回転数が制御される。制御部35aは、空調ECU36と電気的に接続されており、空調ECU36から電動モータ16の目標回転数に関する情報を受信すると、その目標回転数で電動モータ16を回転させる。
【0040】
また、高電圧回路33は、コモンモードチョークコイル37、第1バイパスコンデンサ38、第2バイパスコンデンサ39、及び平滑コンデンサ40を有している。コモンモードチョークコイル37は、第1接続ラインEL1上に設けられる第1巻線37aと、第2接続ラインEL2上に設けられる第2巻線37bと、を有している。
【0041】
第1バイパスコンデンサ38の一端は、第1接続ラインEL1に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ38の他端は、第2バイパスコンデンサ39の一端に電気的に接続されている。よって、第1バイパスコンデンサ38と第2バイパスコンデンサ39とは直列接続されている。第2バイパスコンデンサ39の他端は、第2接続ラインEL2に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ38の他端と第2バイパスコンデンサ39の一端との中間点は、例えば、車両のボデーに接地されている。
【0042】
平滑コンデンサ40の一端は、第1接続ラインEL1に電気的に接続されている。平滑コンデンサ40の他端は、第2接続ラインEL2に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ38及び第2バイパスコンデンサ39と平滑コンデンサ40とは並列接続されている。平滑コンデンサ40は、第1バイパスコンデンサ38及び第2バイパスコンデンサ39よりも各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2寄りに設けられている。
【0043】
コモンモードチョークコイル37、第1バイパスコンデンサ38、第2バイパスコンデンサ39、及び平滑コンデンサ40は、コモンモードノイズを低減する。コモンモードノイズとは、第1接続ラインEL1及び第2接続ラインEL2に同一方向の電流が流れるノイズである。コモンモードノイズは、電動圧縮機10と高電圧電源32とが、例えば、車両のボデーなど、第1接続ラインEL1及び第2接続ラインEL2以外の経路を介して電気的に接続された場合に生じ得る。したがって、コモンモードチョークコイル37、第1バイパスコンデンサ38、第2バイパスコンデンサ39、及び平滑コンデンサ40は、LCフィルタ41を構成する。よって、コモンモードチョークコイル37は、LCフィルタ41を構成するコイルである。
【0044】
図1に示すように、コモンモードチョークコイル37は、ケース底壁24aの内面に熱的に結合された状態で回路基板31に実装されている。第1バイパスコンデンサ38、第2バイパスコンデンサ39、及び平滑コンデンサ40を構成する複数の電解コンデンサ42は、ケース底壁24aの内面に熱的に結合された状態で回路基板31に実装されている。各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2をモジュール化したインテリジェントパワーモジュール43は、ケース底壁24aの内面に熱的に結合された状態で回路基板31に実装されている。
【0045】
コモンモードチョークコイル37、複数の電解コンデンサ42、及びインテリジェントパワーモジュール43は、インバータケース23及びガスケット22を介してモータハウジング13に熱的に結合される発熱部品である。したがって、高電圧回路33は、インバータケース23及びガスケット22を介してモータハウジング13に熱的に結合される発熱部品を有している。
【0046】
図4に示すように、回路基板31に実装された高電圧回路33は、高電圧が印加される電源配線がパターニングされることにより形成されている。また、回路基板31に実装された低電圧回路35は、低電圧が印加される電源配線がパターニングされることにより形成されている。回路基板31は、高電圧回路33と低電圧回路35との間に配置されるとともに高電圧回路33と低電圧回路35とを分離する分離領域31aを有している。分離領域31aは、高電圧回路33と低電圧回路35との距離を予め定められた距離分だけ互いに離間させて、高電圧回路33と低電圧回路35との絶縁距離を確保している。よって、分離領域31aは、回路基板31における高電圧回路33と低電圧回路35との間を絶縁する絶縁部分である。
【0047】
回路基板31をケース本体24の開口側から平面視すると、回路基板31の一部分は、モータハウジング13の接合面13sに対して回転軸14の径方向外側へ突出している。よって、回路基板31の一部分は、複数の雌ねじ孔13dのうちの一つと回転軸14の軸線方向で重なっている。回路基板31の分離領域31aには、ボス部24dが貫通する円孔状の貫通孔31hが形成されている。したがって、貫通孔31hは、回路基板31における高電圧回路33と低電圧回路35との間の絶縁部分に形成されている。
【0048】
回路基板31をケース本体24の開口側から平面視すると、分離領域31aの一部分は、貫通孔31hの周囲に延びており、貫通孔31hを全周に亘って囲っている。したがって、貫通孔31hは、分離領域31aによって囲まれている。そして、貫通孔31hをボス部24dが通過しても、分離領域31aの一部分によって、ボス部24dと高電圧回路33との絶縁、及びボス部24dと低電圧回路35との絶縁が確保されている。
【0049】
貫通孔31hは、分離領域31aにおいて、コモンモードチョークコイル37と隣り合う部位に形成されている。したがって、貫通孔31hは、回路基板31におけるコモンモードチョークコイル37と隣り合う部位に形成されている。コモンモードチョークコイル37は、複数の電解コンデンサ42及びインテリジェントパワーモジュール43よりも貫通孔31hに近い位置に配置されている。よって、コモンモードチョークコイル37は、貫通孔31hを貫通するボス部24dと隣り合う発熱部品である。
【0050】
次に、本実施形態の作用について説明する。
大電流を扱う電動圧縮機10においては、回路基板31の体格が大型化するため、回路基板31の大型化に伴って、モータ制御装置30を収容するインバータケース23の体格も大型化する。インバータケース23の体格が大型化すると、本実施形態のように、インバータケース23の一部分が、モータハウジング13の接合面13sに対して外方へ大きく突出する場合がある。このように、回路基板31の大型化によってインバータケース23の一部分がモータハウジング13の接合面13sに対して外方へ大きく突出すると、回路基板31の一部分が、複数の雌ねじ孔13dのうちの一つと回転軸14の軸線方向で重なる。
【0051】
本実施形態では、ボス部24d内にボルトB1を通過させて、複数の雌ねじ孔13dのうち、回路基板31の一部分と重なっている雌ねじ孔13dにボルトB1をねじ込んでいる。よって、複数の雌ねじ孔13dのうち、回路基板31の一部分と重なっている雌ねじ孔13dにボルトB1をねじ込まない構成に比べると、ガスケット22の周方向で隣り合うボルトB1同士の間隔が狭くなる。そして、雌ねじ孔13dにねじ込まれたボルトB1の軸力が、蓋部材25、ボス部24d、ケース本体24のケース底壁24a、及びガスケット22を介してモータハウジング13に伝達される。これにより、ガスケット22がモータハウジング13とインバータケース23との間で挟み込まれ、モータハウジング13とインバータケース23との間でガスケット22に加わる面圧が高まる。したがって、ガスケット22におけるモータハウジング13とインバータケース23との間のシール性が確保される。
【0052】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)インバータケース23内には、ケース本体24のケース底壁24aから蓋部材25へと延出しつつ蓋部材25に当接するとともに複数のボルトB1のうちの一つが挿通される円筒状のボス部24dが配置されている。回路基板31における高電圧回路33と低電圧回路35との間の絶縁部分には、ボス部24dが貫通する貫通孔31hが形成されている。回路基板31における高電圧回路33と低電圧回路35との間の絶縁部分は、回路基板31において確保しなければならないスペースである。よって、貫通孔31hをボス部24dが通過しても、回路基板31における高電圧回路33と低電圧回路35との間の絶縁部分を利用して、ボス部24dと高電圧回路33との絶縁、及びボス部24dと低電圧回路35との絶縁を確保することができる。したがって、回路基板31における高電圧回路33と低電圧回路35との間の絶縁部分とは別に、ボス部24dと高電圧回路33との絶縁、又はボス部24dと低電圧回路35との絶縁を確保するためのスペースを確保する必要が無いため、インバータケース23内の省スペース化を図ることができる。
【0053】
そして、回路基板31の一部分が、複数の雌ねじ孔13dのうちの一つと重なっていたとしても、ボス部24d内にボルトB1を挿通させて、複数の雌ねじ孔13dのうち、回路基板31の一部分と重なっている雌ねじ孔13dにボルトB1をねじ込むことができる。したがって、複数の雌ねじ孔13dのうち、回路基板31の一部分と重なっている雌ねじ孔13dにボルトB1をねじ込まない構成に比べると、ガスケット22の周方向で隣り合うボルトB1同士の間隔が狭くなり、モータハウジング13とインバータケース23との間でガスケット22に加わる面圧を高めることができる。以上のことから、電動圧縮機10の体格の大型化を抑制しつつも、ガスケット22におけるモータハウジング13とインバータケース23との間のシール性を確保することができる。
【0054】
(2)貫通孔31hは、回路基板31におけるコモンモードチョークコイル37と隣り合う部位に形成されている。これによれば、ボス部24d内に挿通されるボルトB1が雌ねじ孔13dにねじ込まれることにより、インバータケース23におけるコモンモードチョークコイル37の周囲での振動が起こり難くなる。このため、コモンモードチョークコイル37から発生する熱が、インバータケース23、ガスケット22及びモータハウジング13に伝達され易くなる。そして、コモンモードチョークコイル37からインバータケース23、ガスケット22、及びモータハウジング13に伝達された熱が、モータハウジング13内の冷媒によって放熱されるため、コモンモードチョークコイル37が効率良く冷却される。また、コモンモードチョークコイル37の周囲の熱が、隣接するボス部24dを介して、インバータケース23、ガスケット22、及びモータハウジング13に伝達され易く、この点でもコモンモードチョークコイル37が効率良く冷却される。その結果、コモンモードチョークコイル37の耐久性を向上させることができる。
【0055】
(3)コモンモードチョークコイル37は、貫通孔31hを貫通するボス部24dと隣り合っている。これによれば、コモンモードチョークコイル37から発せられるノイズが、ボス部24dに吸収され易くなる。その結果、コモンモードチョークコイル37から発せられるノイズが低電圧回路35に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0056】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
○ 実施形態において、コモンモードチョークコイル37が、貫通孔31hから離れた位置に配置されていてもよく、コモンモードチョークコイル37が貫通孔31hを貫通するボス部24dと隣り合っていなくてもよい。
【0058】
○ 実施形態において、例えば、複数の電解コンデンサ42が、コモンモードチョークコイル37及びインテリジェントパワーモジュール43よりも貫通孔31hに近い位置に配置されており、複数の電解コンデンサ42が、貫通孔31hを貫通するボス部24dと隣り合う発熱部品であってもよい。
【0059】
○ 実施形態において、例えば、インテリジェントパワーモジュール43が、コモンモードチョークコイル37及び複数の電解コンデンサ42よりも貫通孔31hに近い位置に配置されており、インテリジェントパワーモジュール43が、貫通孔31hを貫通するボス部24dと隣り合う発熱部品であってもよい。
【0060】
○ 実施形態において、LCフィルタ41を構成するコイルは、例えば、ノーマルモードコイルであってもよい。
○ 実施形態において、ガスケット22は、複数の雌ねじ孔13dにそれぞれ連通するボルト挿通孔22aが形成されていない構成であってもよく、ガスケット22の外周縁の一部分が、各雌ねじ孔13dに対して内周側に凹むことによって各雌ねじ孔13dと重ならないようにした構成であってもよい。
【0061】
○ 実施形態において、ボス部24dが、ケース本体24に一体形成されていなくてもよく、ケース本体24と別部材であってもよい。そして、ケース本体24とは別部材であるボス部が、ケース底壁24aの内面に取り付けられることにより、ケース底壁24aの内面から突設されていてもよい。
【0062】
○ 実施形態において、ボス部24dが、ケース本体24に一体形成されていなくてもよく、ケース本体24と別部材であってもよい。そして、ケース本体24とは別部材であるボス部が、蓋部材25の内面に取り付けられることにより、蓋部材25の内面から突設されていてもよい。この場合、ボス部の先端面は、ケース底壁24aの内面に接している。要は、ボス部は、ケース本体24のケース底壁24aもしくは蓋部材25のうちの一方から他方へと延出しつつ当接するものであればよい。
【0063】
○ 実施形態において、ボス部24dは、円筒状に限らず、例えば、四角筒状であってもよい。要は、ボス部24dの形状は、筒状であればその形状は特に限定されるものではない。そして、貫通孔31hの形状は、ボス部24dの形状に合わせて適宜変更してもよい。
【0064】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、例えば、モータ制御装置30が、ハウジング11に対して回転軸14の径方向外側に配置されている構成であってもよい。要は、圧縮部15、電動モータ16、及びモータ制御装置30が、この順で、回転軸14の軸線方向に並設されていなくてもよい。
【0065】
○ 実施形態において、圧縮部15は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置21を構成していたが、これに限らず、例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部15により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
B1…ボルト、10…電動圧縮機、11…ハウジング、13…モータハウジング、13d…雌ねじ孔、13h…吸入口、13s…接合面、15…圧縮部、16…電動モータ、22…ガスケット、23…インバータケース、24…ケース本体、24a…ケース底壁、24d…ボス部、25…蓋部材、30…モータ制御装置、31…回路基板、31h…貫通孔、32…高電圧電源、33…高電圧回路、34…低電圧電源、35…低電圧回路、37…発熱部品であるとともにコイルであるコモンモードチョークコイル、41…LCフィルタ。