(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物用原液、及び該洗浄剤組成物用原液を含む洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 7/32 20060101AFI20221109BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20221109BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20221109BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20221109BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
C11D7/32
C11D7/26
C11D17/08
B08B3/08 A
H01L21/304 647A
H05K3/34 511
(21)【出願番号】P 2019049859
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大西 裕一
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/158234(WO,A1)
【文献】特表2001-518552(JP,A)
【文献】特開2007-224165(JP,A)
【文献】特開昭63-069897(JP,A)
【文献】特開2010-189635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
H05K 3/32- 3/34
H01L21/304
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンジルアルコール(A)、下記一般式(1)で示されるアミン化合物(B)、及び水(C)を含み、
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有比率が、順に70~94質量%、3~20質量%、及び3~10質量%であ
り、
(B)成分が、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルドデシルアミン及びジベンジルアミンからなる群より選択される少なくとも1種である、洗浄剤組成物用原液。
【化1】
(1)
(式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して水素原子又は炭化水素基を示す。ただし、R
1、R
2及びR
3の少なくとも2つは炭化水素基を示し、R
1、R
2及びR
3における炭素数の総和は12以上である。)
【請求項2】
請求項
1に記載の洗浄剤組成物用原液100質量部に対して、100~1500質量部の水を含む洗浄剤組成物。
【請求項3】
25℃におけるpHが5~9である、請求項
2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
フラックス残渣用である、請求項
2又は
3に記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物用原液、及び該洗浄剤組成物用原液を含む洗浄液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子部品や合金製部品単体を洗浄する際は、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、塩化メチレン、フロン等のハロゲン化炭化水素系溶剤が用いられてきた。これらの溶剤は、不燃性で乾燥性に優れるという利点があるが、人体に対する毒性、大気汚染や土壌汚染等の環境問題の理由から、現在ではその使用が制限されている。そのような問題に対して、これまで、非ハロゲンタイプの炭化水素系洗浄剤やグリコール系洗浄剤等が提案されていた。
【0003】
近年、さらなる環境負荷の低減のため、グリコールエーテル系化合物等の有機成分を水で希釈した水希釈型洗浄剤が提案されている(特許文献1~2参照)。水希釈型洗浄剤は水の質量比率が大きいので、低コスト化、有機成分の使用量の削減、VOC(volatile organic compounds)排出の抑制が可能であり、環境負荷の軽減が期待できる。また、汚れの種類に応じて、有機成分の比率を変化させて、洗浄力を調整できる点が優れている。
【0004】
水希釈型洗浄剤は、水希釈する時機の観点より、希釈品(特許文献1参照)と原液品(特許文献2参照)に分類できる。希釈品は水希釈後の洗浄剤組成物を輸送及び保管して使用するが、他方、原液品は洗浄剤組成物用原液を輸送及び保管して、使用直前に水で希釈して使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-181060号公報
【文献】国際公開WO2012/005068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記のようなグリコールエーテル系化合物を含む水希釈型洗浄剤を用いて洗浄すると、油溶性の汚れに対する洗浄性が十分ではない場合があった。また、上記水希釈型洗浄剤を用いて、アルミ等の腐食性の高い金属を含む物品を洗浄すると、洗浄剤によって該物品が侵され、腐食が起こる場合があった。さらに、上記原液品に分類される水希釈型洗浄剤は、希釈品と比較して上記有機成分を効率的に輸送及び保管できる点で優れているが、一般的に消防法で危険物に分類される場合が多く、その取り扱い性に課題があった。
【0007】
本発明は、コスト及び環境負荷が低減されており、優れた洗浄性を示し、かつアルミ等の金属を含む物品に対する腐食が抑制された水希釈型洗浄剤が得られる、非危険物で取り扱いが容易な洗浄剤組成物用原液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ベンジルアルコール、所定のアミン化合物及び水を特定の質量比で含む洗浄剤組成物用原液によって、前記課題を解決できることを見出した。即ち本発明は、以下の洗浄剤組成物用原液、及びこれを含む洗浄剤組成物に関する。
【0009】
1.ベンジルアルコール(A)、下記一般式(1)で示されるアミン化合物(B)、及び水(C)を含み、
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有比率が、順に70~94質量%、3~20質量%、及び3~10質量%である洗浄剤組成物用原液。
【化2】
(1)
(式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して水素原子又は炭化水素基を示す。ただし、R
1、R
2及びR
3の少なくとも2つは炭化水素基を示し、R
1、R
2及びR
3における炭素数の総和は12以上である。)
【0010】
2.(B)成分が、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルドデシルアミン及びジベンジルアミンからなる群より選択される少なくとも1種である、前記項1に記載の洗浄剤組成物用原液。
【0011】
3.前記項1又は2に記載の洗浄剤組成物用原液100質量部に対して、100~1500質量部の水を含む洗浄剤組成物。
【0012】
4.25℃におけるpHが5~9である、前記項3に記載の洗浄剤組成物。
【0013】
5.フラックス残渣用である、前記項3又は4に記載の洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明の洗浄剤組成物用原液は、上記有機成分が濃縮されており、また均一な溶液であるため、効率良く輸送及び保管ができる。そして、該洗浄剤組成物用原液及び洗浄剤組成物は、いずれも消防法の非危険物に分類され、取り扱いが容易で作業性に優れる。
【0015】
本発明の洗浄剤組成物用原液を水で希釈した洗浄剤組成物は、主成分が水であるため、コスト及び環境負荷が低減されたものであり、さらに水の希釈比率を高くしても優れた洗浄性を維持できる。また、該洗浄液組成物は、アルミ等の腐食性の高い金属に対する腐食が抑制されているため、そのような金属を含む物品への洗浄に好適である。さらに、該洗浄剤組成物は、洗浄工程における泡立ちが抑制されているため、洗浄時における作業性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[洗浄剤組成物用原液]
本発明の洗浄剤組成物用原液(以下、原液ともいう)は、ベンジルアルコール(A)(以下(A)成分)、所定のアミン化合物(B)(以下(B)成分)、及び水(C)(以下(C)成分)を特定の質量比で含む組成物である。
【0017】
(A)成分は、ベンジルアルコールであれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。従来の水希釈型洗浄剤では、グリコールエーテル系化合物を有機成分に用いることが多いが、該グリコールエーテル系化合物とアミン化合物を併用した洗浄剤は、フラックス残渣に対する洗浄性が十分ではない場合があり、また、アルミ等の金属を腐食する場合もあった。本発明者らが鋭意検討した結果、水希釈型洗浄剤において、その有機成分としてグリコールエーテル系化合物ではなく、(A)成分をアミン化合物と併用することで、優れた洗浄性を示し、かつ洗浄剤による金属への腐食が抑制されることを見出した。
【0018】
(A)成分の含有量は、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して70~94質量%である。(A)成分の含有量が、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して70質量%未満では、原液が水層と油層の二層に分離して不均一なものとなって、その輸送効率及び保管性が不十分となる。また、(A)成分の含有量が、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して94質量%を超えると、洗浄剤組成物において十分な洗浄性を発揮できなくなる、又は、原液の引火性が高くなるため取扱いが困難となる。(A)成分の含有量は、原液における輸送効率、保管性及び取扱い性に優れ、洗浄剤組成物における洗浄性に優れる点から、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して80~90質量%程度であるのが好ましい。
【0019】
(B)成分は、下記一般式(1)で示されるアミン化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を適宜に組合せて使用できる。
【0020】
【化3】
(1)
(式(1)中、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して水素原子又は炭化水素基を示す。ただし、R
1、R
2及びR
3の少なくとも2つは炭化水素基を示し、R
1、R
2及びR
3における炭素数の総和は12以上である。)
【0021】
(B)成分は、所謂疎水性のアミン化合物である。本発明の原液において、疎水性の(B)成分を(A)成分と併用することにより、洗浄剤組成物において十分な洗浄性を発揮でき、洗浄剤組成物によるアルミ等の金属に対する腐食が抑制される。他方、本発明の原液において、(B)成分ではなく、親水性アミン化合物を(A)成分と併用した場合は、洗浄剤組成物において十分な洗浄性を発揮できず、該洗浄剤組成物によるアルミ等の金属に対する腐食が起こるため、原液において親水性アミン化合物を用いるのは好ましくはない。
【0022】
上記親水性アミン化合物は、例えば、上記一般式(1)のR1、R2及びR3における炭素数の総和が0~11であるアミン化合物、上記一般式(1)のR1、R2及びR3の少なくとも1つの置換基が、水素原子でも炭化水素基でもないアミン化合物(b1)が挙げられる。
【0023】
上記アミン化合物(b1)は、例えば、上記一般式(1)におけるR1、R2及びR3の少なくとも1つが、酸素原子を有する炭化水素基、窒素原子を有する炭化水素基であるアミン化合物が挙げられる。該酸素原子を有する炭化水素基は、例えば、ヒドロキシアルキル基、アルキルエーテル基、酸素原子を含む複素環等が挙げられる。該窒素原子を有する炭化水素基は、例えば、アミノアルキル基、窒素原子を含む複素環等が挙げられる。上記アミン化合物(b1)は、例えば、アミノアルコール系化合物、ポリアミン化合物等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(1)における上記炭化水素基は、例えば、炭素数1~18の脂肪族基、炭素数5~10の脂環族基及び芳香族基等が挙げられる。
【0025】
上記炭素数1~18の脂肪族基は、例えば、炭素数1~18の直鎖アルキル基、炭素数1~18の分岐アルキル基等が挙げられる。該炭素数1~18の直鎖アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
【0026】
上記炭素数1~18の分岐アルキル基は、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、イソアミル基、2-エチルヘキシル基、tert-オクチル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソミリスチル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基及びイソステアリル基等が挙げられる。
【0027】
上記炭素数5~10の脂環族基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基、アダマンチル基及びノルボルニル基等が挙げられる。また、該脂環族基は、1個以上の水素原子が上記炭素数1~18の脂肪族基によって置換されていてもよい。
【0028】
上記芳香族基は、例えば、フェニル基、フェニルエチル基、ベンジル基、トリル基、メシチル基及びナフチル基等が挙げられる。また、該芳香族基は、1個以上の水素原子が上記炭素数1~18の脂肪族基によって置換されていてもよい。
【0029】
上記一般式(1)における上記炭化水素基は、原液における輸送効率、保管性及び取扱い性に優れ、洗浄剤組成物における洗浄性及び腐食抑制性に優れる点から、炭素数5~12の脂肪族基、ベンジル基が好ましい。
【0030】
上記一般式(1)のR1、R2及びR3における炭素数の総和は、原液における輸送効率、保管性及び取扱い性に優れ、洗浄剤組成物における洗浄性及び腐食抑制性に優れる点から、14~16程度が好ましい。
【0031】
(B)成分は、例えば、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジ(tert-オクチル)アミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミン、ジシクロデシルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジトリルアミン、ジメシチルアミン、ジナフチルアミン、メチルドデシルアミン、エチルドデシルアミン、プロピルドデシルアミン、メチルジデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジエチルドデシルアミン、ジプロピルドデシルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリウンデシルアミン等が挙げられる。
【0032】
(B)成分は、洗浄剤組成物における洗浄性がさらに優れる点から、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルドデシルアミン及びジベンジルアミンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0033】
(B)成分の沸点は、原液の引火性が低くなって、その取扱い性に優れる点から、通常、常圧下で200℃以上が好ましい。なお、本明細書において、「常圧」とは標準大気圧を意味する(以下、同様)。
【0034】
(B)成分の含有量は、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して3~20質量%である。(B)成分の含有量が、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して3質量%未満では、洗浄剤組成物において十分な洗浄性を発揮できない。また、(B)成分の含有量が、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して20質量%を超えると、原液が不均一なものとなってその輸送効率及び保管性が不十分となり、かつ洗浄剤組成物において水すすぎ性が不十分となる。(B)成分の含有量は、原液における輸送効率、保管性及び取扱い性に優れ、洗浄剤組成物における洗浄性及び水すすぎ性に優れる点から、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して5~15質量%程度であるのが好ましい。
【0035】
(C)成分は、水であれば特に限定されず、例えば、超純水、純水、イオン交換水、精製水等が挙げられる。
【0036】
(C)成分の含有量は、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して3~10質量%である。(C)成分の含有量が、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して3質量%未満では、原液の引火性が高くなるため取扱いが困難となる。また、(C)成分の含有量が、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して20質量%を超えると、原液が不均一なものとなって、その輸送効率及び保管性が不十分となる。(C)成分の含有量は、原液における輸送効率、保管性及び取扱い性に優れる点から、(A)~(C)成分の合計100質量%に対して4~8質量%程度であるのが好ましい。
【0037】
上記洗浄剤組成物用原液において、(A)成分と(B)成分との質量比は、特に限定さらないが、原液における輸送効率及び保管性に優れ、洗浄剤組成物における洗浄性及び水すすぎ性に優れる点から、80~90:5~15程度が好ましい。
【0038】
上記洗浄剤組成物用原液において、(A)成分及び(B)成分の合計と、(C)成分との質量比は、特に限定されないが、原液における輸送効率、保管性及び取扱い性に優れる点から、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、4~8質量部程度が好ましい。
【0039】
上記洗浄剤組成物用原液において、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の質量比は、特に限定されないが、原液における輸送効率、保管性及び取扱い性に優れ、洗浄剤組成物における洗浄性及び水すすぎ性に優れる点から、77~91:5~15:4~8程度が好ましい。
【0040】
上記洗浄剤組成物用原液は、本発明の効果が得られる限りにおいて、(A)~(C)成分以外の成分(以下、その他成分という)を含み得る。その他成分は、洗浄剤組成物用原液が引火点を有さない点を考慮すれば、例えば、沸点が200℃以上の有機溶剤、添加剤等が挙げられる。該有機溶剤の具体例としては、沸点が200℃以上のグリコール系化合物、グリコールエーテル系化合物、アミノアルコール系化合物、ポリアミン化合物及び炭化水素等が挙げられる。該添加剤の具体例としては、沸点が200℃以上の防錆剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、キレート剤、有機酸等が挙げられる。
【0041】
上記洗浄剤組成物用原液において、その他成分の含有量は、特に限定されないが、原液100質量%に対して1~10質量%程度であるのが好ましい。
【0042】
上記洗浄剤組成物用原液は、引火点を有さず消防法の非危険物に分類されるため、取り扱いが容易で作業性に優れる。
【0043】
上記洗浄剤組成物用原液において、(A)~(C)成分、及び、任意成分であるその他成分の配合方法は、特に限定されず、一般的な液体の混合方法が用いられる。具体的な配合方法としては、攪拌法が挙げられる。
【0044】
[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物は、(A)~(C)成分を含む洗浄剤組成物用原液100質量部に対して、100~1500質量部程度の水を混合させることで得られる。水の配合量が100質量部未満では、洗浄剤組成物のコスト及び環境負荷が高くなって、水希釈型洗浄剤の特長を活かすことができない問題がある。水の配合量が1500質量部を超えると、十分な洗浄性が得られないので、洗浄不良を引き起こす場合がある。
【0045】
上記洗浄剤組成物における水の配合量は、洗浄剤組成物のコスト及び環境負荷が低減できて、十分な洗浄性が得られる点から、洗浄剤組成物用原液100質量部に対して、200~1200質量部程度が好ましく、400~900質量部程度がより好ましい。
【0046】
上記洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物用原液と水とを上記質量比で混合させることにより、その外観は1~90℃において油滴が水中に分散した白濁状態となる(以下、完全白濁系ともいう)。
【0047】
水希釈型洗浄剤は、水希釈後の洗浄剤組成物の懸濁状態の観点から、均一系、加温白濁系、及び本発明の完全白濁系の3つに分類される。均一系は、1~90℃において外観が透明な洗浄剤であり、加温白濁系は、曇点よりも低い温度においては外観が透明で、曇点以上の温度においては白濁状態となる洗浄剤である。そして、水希釈型洗浄剤において、完全白濁系の水希釈型洗浄剤は、均一系及び加温白濁系のものに比べて、一般的に油溶性及び水溶性の汚れを除去する能力が高く十分な洗浄性を有している。すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、完全白濁系であることから、上記均一系及び加温白濁系の水希釈型洗浄剤に比べて、優れた洗浄性を発揮するものである。さらに、本発明の洗浄剤組成物は完全白濁系の中でも、特に優れた洗浄性を示し、アルミ等の金属に対する腐食が抑制されたものとなっている。
【0048】
上記洗浄剤組成物は、泡立ちが抑制されていることから、洗浄工程において該洗浄剤が入ったタンクから溢れないため、洗浄時における作業性に優れる。なお、本明細書において、「泡立ち」とは、液体と空気が混ぜ合わさって出来た泡が、液面よりも高い位置に形成されている状態を意味する。
【0049】
上記洗浄剤組成物は、上記洗浄剤組成物用原液が引火点を有さないため、同様に引火点を有さず消防法の非危険物に分類され、取り扱いが容易で作業性に優れる。
【0050】
上記洗浄剤組成物において、アルミ等の金属に対する腐食を抑制する点から、その25℃におけるpHは、5~9程度が好ましい。
【0051】
上記洗浄剤組成物において、上記洗浄剤組成物用原液及び水の混合方法は特に限定されず、一般的な液体の混合方法が用いられる。具体的な混合方法としては、攪拌法が挙げられる。
【0052】
上記洗浄剤組成物は、洗浄対象別に分類すると、例えば、フラックス残渣用洗浄剤、はんだ付け用フラックス用洗浄剤、ソルダペースト用洗浄剤、工業油用洗浄剤等が挙げられる。また、被洗浄物別に分類すると、例えば、電子材料用洗浄剤等が挙げられる。
【0053】
上記電子材料は、フォトマスク、光学レンズ、真空放電管、タッチパネル、表示デバイス用ガラス等のガラス加工品、メタルマスク、パレット、プリント回路基板、フレキシブル配線基板、セラミック配線基板、半導体素子、半導体パッケージ、磁気メディア、パワーモジュール、カメラモジュール、リードフレーム、磁気ディスク、ヒートシンク等の金属加工品、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、紙フェノール基板、プラスチックモールド部品等の樹脂加工品、シリコン(Si)、サファイア(Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンド(C)、窒化ガリウム(GaN)、燐化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、燐化インジウム(InP)等のウエハ及びそれらの、切断(スライシング、ダイシング等)、研削(バックグラインド、ブラスト等)、面取り(ベベリング、バレル等)、研磨(ラッピング、ポリシング、バフ等)加工品、更には、それらの物品を加工、実装、溶接、洗浄、搬送する際に使用する治具、キャリア、マガジン等が例示される。
【0054】
[洗浄対象]
本発明の洗浄剤組成物における洗浄対象は、特に限定されないが、例えば、はんだ付け用フラックス、ソルダペースト、フラックス残渣、工業油、及び切り粉等が挙げられる。これらの中でも、はんだ付け用フラックス、ソルダペースト及びフラックス残渣からなる群より選ばれる一種は、上記洗浄剤組成物における洗浄対象として好適である。
【0055】
本明細書において、「はんだ付け用フラックス」は、はんだ及び母材(金属電極等)表面の酸化皮膜を除去し、両者の接合を容易にするために用いられる組成物である。一般的には、ベース樹脂、活性剤及び有機溶剤を含み、必要に応じてチキソトロピック剤、酸化防止剤、その他の添加剤が含まれていてもよい。また、はんだ付け用フラックスは、その組成により、ソルダペースト用フラックス、並びに糸はんだ用フラックス、ポストフラックス及びプレフラックス等の非ソルダペースト用フラックスに分類される。
【0056】
上記ベース樹脂は、例えば、ロジン系ベース樹脂及び非ロジン系ベース樹脂等が挙げられる。該ロジン系ベース樹脂は、例えば、天然ロジン、ロジン誘導体、及びこれらの精製物等が挙げられる。天然ロジンは、例えば、ガムロジン、トール油ロジン及びウッドロジン等が挙げられる。ロジン誘導体は、例えば、天然ロジンの水素化物及び不均化物;
重合ロジン、不飽和酸変性ロジン、ロジンエステル、水素化不飽和酸変性ロジン等が挙げられる。上記重合ロジン、上記不飽和酸変性ロジン、及び上記ロジンエステルは、上記天然ロジン、又は上記天然ロジンの水素化物若しくは不均化物等を用いて製造され得る。上記ロジンエステルを構成する多価アルコールは、グリセリン、ペンタエリスリトール等が例示される。上記不飽和酸変性ロジンを構成する不飽和酸は、アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が例示される。非ロジン系ベース樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフイン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム、ナイロンゴム、ナイロン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ等が挙げられる。
【0057】
上記活性剤は、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸、セバシン酸、ドデカン2酸、ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、trans-2,3-ジブロモ-1,4-ブテンジオール、cis-2,3-ジブロモ-1,4-ブテンジオール、3-ブロモプロピオン酸、2-ブロモ吉草酸、5-ブロモ-n-吉草酸、2-ブロモイソ吉草酸、エチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン塩化水素酸塩、メチルアミン臭素酸等が挙げられる。
【0058】
上記有機溶剤は、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、ブチルカルビトール、ヘキシルジグリコール、ヘキシルカルビトール、酢酸イソプロピル、プロピオン酸エチル、安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル、n-ヘキサン、ドデカン、テトラデセン等が挙げられる。
【0059】
上記チキソトロピック剤は、例えば、ひまし油、硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックス、ステアリン酸アミド、12-ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等が挙げられる。
【0060】
上記酸化防止剤は、例えば、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンアミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、トリフェニルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト等が挙げられる。
【0061】
上記その他の添加剤は、例えば、防黴剤、艶消し剤、増粘防止剤、界面活性剤等が挙げられる
【0062】
本明細書において「ソルダペースト」は、はんだ付け用フラックス及びはんだ粉末の混合物である。はんだ粉末は、例えば、Sn-Ag系、Sn-Cu系、Sn-Sb系、Sn-Zn系の鉛フリーはんだ粉末、更に鉛を構成成分とする鉛含有はんだ粉末が挙げられる。また、これらはんだ金属は、Ag、Al、Au、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、In、Ni、P、Pt、Sb、Znの1種又は2種以上の元素がドープされたものであってよい。ソルダペーストは、スクリーン印刷によりメタルマスクを介して電極上に供給され、その上に電子部品が載置された後に、加熱下ではんだ付けが行われる。
【0063】
上記はんだ付け用フラックス又はソルダペーストが付着した物品は、スクリーン印刷用のメタルマスク、スキージ、ディスペンス方式用のノズル、シリンジ、及び基板固定用の治具等が例示される。
【0064】
上記フラックス残渣は、ソルダペースト、糸はんだ、はんだ付け用フラックス、プレフラックス、ポストフラックス等を用い、電子部品等を電極に接合した後に生ずる残渣である。フラックス残渣は、はんだ金属及び母材を腐食したり、基板の絶縁抵抗を低下させたりするため、洗浄により除去する必要がある。
【0065】
上記フラックス残渣が付着した物品は、例えば、プリント回路基板、セラミック配線基板、半導体素子搭載基板、ウエハ、TABテープ、リードフレーム、パワーモジュール、及びカメラモジュール等が挙げられる。また、対応するものについては、IC、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、トランジスタ、コイル、及びCSP等の電子部品がはんだ付けされていたり、BGA、PGA、及びLGA等が形成されていたり、はんだレベリング等の前処理が施されていてもよい。
【0066】
上記工業油は、例えば、加工油、切削油、鉱物油、機械油グリース、潤滑油、防錆油、ワックス、ピッチ、パラフィン、油脂、グリース等が挙げられる。これらは機械加工、金属加工等の分野において、材料と工具間の摩擦を低減して焼き付きを防止したり、加工に要する力を低減して形成し易くしたり、製品の錆や腐食を防止したりするために使用される。
【0067】
上記工業油が付着した物品は、例えば、ボルト、ナット、フェルール、及びワッシャー等の成型部品をはじめ、エンジンピストン等の自動車部品、ギア、シャフト、スプロケット、及びチェーン等の産業機械部品、HDD用パーツ、及びリードフレーム等の電子部品等が挙げられる。
【0068】
その他の洗浄対象は、例えば、プリント回路基板、セラミック配線基板、半導体素子搭載基板、カバーガラス、及びウエハ等をダイシング加工した際に生じる切り粉等が挙げられる。
【0069】
[洗浄方法]
上記洗浄剤組成物を用いて、上記洗浄対象が付着した被洗浄物を洗浄する方法は、特に限定されず、各種公知の方法が適用できる。具体的には、例えば、洗浄工程と水すすぎ工程と乾燥工程とを含む洗浄方法が挙げられる。
【0070】
上記洗浄工程とは、上記洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させて洗浄対象を除去する工程である。上記水すすぎ工程とは、被洗浄物をすすぎ水に接触させて、被洗浄物に付着した洗浄剤組成物を除去する工程である。上記乾燥工程とは、被洗浄物に付着したすすぎ水を除去する工程である。
【0071】
被洗浄物に、上記洗浄剤組成物及びすすぎ水を接触させる手段は特に限定されず、例えば、浸漬撹拌法、液中シャワー法、気中シャワー法、超音波洗浄法等が挙げられる。
【0072】
上記洗浄剤組成物は、混合して白濁状態になることで優れた洗浄性を発揮する。そのため、洗浄方法としては、洗浄剤組成物を混合する力が強く、また、洗浄性、生産性及び水すすぎ性が優れている点から、気中シャワー法が好ましい。なお、気中シャワー法において、泡立ちが多い洗浄剤はタンクから溢れるために使えないが、上記洗浄剤組成物は泡立ちが抑制されているため、タンクから溢れることはない。すなわち、上記洗浄剤組成物は、気中シャワー法に好適なものとなっている。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「%」及び「部」は特に断りのない限り「質量%」、「質量部」を意味する。
【0074】
[洗浄剤組成物用原液及び洗浄剤組成物の調製]
実施例1
ベンジルアルコール85部((A)成分)、ジ-2-エチルヘキシルアミン10部((B)成分)、水5部((C)成分)を混合して洗浄剤組成物用原液を調製した。そして、上記洗浄剤組成物用原液100部に対して、水を400部添加し、洗浄剤組成物X(洗浄剤組成物用原液の濃度20質量%)を調製した。また、前記洗浄剤組成物用原液100部に対して、水を900部添加し、洗浄剤組成物Y(洗浄剤組成物用原液の濃度10質量%)を調製した。
【0075】
実施例2~7及び比較例1~15は、各成分を表1及び表2で示されるものに変更した他は、実施例1と同様に調製した。なお、表1及び表2中の値の単位は、質量部である。なお、実施例1~7における洗浄剤組成物X、Yにおいて、それら洗浄剤組成物を1~90℃に加温すると、いずれの温度においてもその外観は白濁状態となった。
【0076】
【0077】
【0078】
表1の各成分の略称、(B)成分における炭素数の総和、炭化水素基の数及び各成分の沸点(℃)は、表3に示すとおりである。
【0079】
【表3】
表3における注釈は以下の通りである。
※窒素原子上の置換基が、水素原子や炭化水素基以外のものを含む。
【0080】
実施例1~7及び比較例1~15で得られた洗浄剤組成物用原液を用いて、外観を評価し、引火点を測定した。また、実施例1~7及び比較例1~15で得られた洗浄剤組成物X、並びに実施例1~7で得られた洗浄剤組成物Yを用いて、洗浄性、腐食抑制性の評価を行い、pHを測定した。結果を、表4に示す。
【0081】
【表4】
表4中の注釈は、以下の通りである。
(1)洗浄剤組成物用原液が不均一であったため、洗浄剤組成物X、Yの評価はしなかった。
【0082】
<引火点の測定>
表1の洗浄剤組成物用原液の引火点を、JIS K 2265に準拠し、引火点が室温から80℃の範囲はタグ密閉式により測定し、80℃迄で引火点が測定できなかった場合は、クリーブランド開放式にて測定を実施した。
【0083】
<外観の評価>
表1の洗浄剤組成物用原液を50mLのガラス容器に入れ、25℃における均一性を目視で確認した。表4中、均一とは、外観が透明であり、洗浄剤組成物用原液が完全相溶状態であることを意味する。不均一とは、外観が白濁、もしくは水層と油層の二層に分離しており、洗浄剤組成物原液が相分離していることを意味する。
【0084】
<洗浄性の評価>
(洗浄性試験のテストピースの作製)
ガラスエポキシ銅張積層板(50×50×厚さ1.0mm)の銅パターン上に、メタルマスクを用いて市販の鉛フリーハロゲンフリーソルダーペースト(商品名「エコソルダーペーストM705-S70G-HF Type4」、千住金属工業(株)製)を印刷し、以下のプロファイルでリフローすることで、フラックスが付着した試験基板を作製した。
【0085】
(試験基板のリフロープロファイル)
雰囲気:空気
昇温速度:1℃/秒
ピーク温度:240℃、10秒
【0086】
(洗浄性試験)
上記の試験基板を用いて、以下の洗浄及び水すすぎの条件で、気中シャワー法による洗浄性試験を行った。液温が60℃の表2の洗浄液組成物X、Yに、試験基板を接触させて30秒、あるいは1分間洗浄を行った。次いで、液温が25℃のすすぎ水に、試験基板を接触させて1分間前すすぎを行った。更に、イオン交換水の流水で1分間仕上げすすぎを行った。その後、試験基板を1分間エアーブローし、水分を除去して乾燥を行った。乾燥した後の試験基板表面上を、以下の判定基準に基づき目視判定して、洗浄性を評価した。なお、実施例1~7の洗浄剤組成物X、Yは、いずれも洗浄性試験において泡立ちが抑制されていた。
◎:洗浄時間が30秒の場合と、1分間の場合の両方において、フラックスを良好に除
去できた(フラックス残渣の表面積は0%)。
○:洗浄時間が30秒の場合に、フラックスが残存したが、洗浄時間が1分間の場合に、フラックスを良好に除去できた(フラックス残渣の表面積は0%)。
△:洗浄時間が1分間の場合に、若干フラックスが残存した(フラックス残渣の表面積は0%を超えて10%以下)。
×:洗浄時間が1分間の場合に、かなりフラックスが残存した(フラックス残渣の表面積は10%を超える)。
【0087】
(気中シャワー法による洗浄及び水すすぎの条件)
流量:2.3L/分
圧力:0.1MPa
噴射ノズルと試験基板の距離:50cm
【0088】
<腐食抑制性の評価>
液温が60℃の表2の洗浄液組成物X、Yに、浸漬撹拌条件下で、アルミ製テストパネル(日本テストパネル、A1050P)を10分間接触させた。次いで、イオン交換水の流水で1分間仕上げすすぎを行った。その後、試験基板を1分間エアーブローし、水分を除去して乾燥を行った。乾燥した後のアルミ製テストパネルの腐食について、以下の判定基準に基づき目視判定して、腐食抑制性を評価した。
○:アルミ製テストパネルに変色又は外観変化が無し。
×:アルミ製テストパネルに変色又は外観変化が有り。
【0089】
<pH測定>
pHメータ((株)堀場製作所製、商品名「D-54」)を用いて、液温が25℃の表2の洗浄液組成物X、Yに対して電極を浸漬させ、マグネチックスターラーで1分間撹拌した後に、洗浄液組成物X、YのpHを測定した。