(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ポンプ監視装置および真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 19/04 20060101AFI20221109BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20221109BHJP
F04B 49/02 20060101ALI20221109BHJP
F04B 51/00 20060101ALI20221109BHJP
F04D 27/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F04D19/04 H
F04B49/10 331P
F04B49/02 331F
F04B51/00
F04D27/00 H
(21)【出願番号】P 2019077167
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】廣田 聖典
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-059908(JP,A)
【文献】特開2000-283056(JP,A)
【文献】特開2008-202556(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198288(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
F04B 49/10
F04B 49/02
F04B 51/00
F04D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、前記真空チャンバの複数の排気ポートに装着された複数の真空ポンプと、を有する同一構成の複数の真空装置
の前記真空ポンプの状態を監視する真空ポンプ監視装置であって、
複数の前記真空
チャンバの
各々の同一排気ポートに装着された複数の真空ポンプから、真空ポンプの状態を表すポンプパラメータを取得する取得部と、
前記取得部で取得された複数のポンプパラメータを比較することにより、前記同一排気ポートに装着された複数の真空ポンプの異常を判定する判定部とを備える、ポンプ監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ監視装置と、
他の真空ポンプとデータの授受を行うための通信部とを備え、
前記判定部は前記通信部を介して取得された他の真空ポンプのポンプパラメータと、前記ポンプ監視装置を備える真空ポンプのポンプパラメータとを比較して、前記同一排気ポートに装着された複数の真空ポンプの異常を判定する、真空ポンプ。
【請求項3】
請求項2に記載の真空ポンプにおいて
マスタ/スレーブ設定条件が入力される入力部と、
前記マスタ/スレーブ設定条件に基づいて前記ポンプ監視装置をマスタ状態またはスレーブ状態に設定する設定部とをさらに備え、
マスタ状態のポンプ監視装置は、前記取得部による前記他の真空ポンプのポンプパラメータの取得および前記判定部による判定を行い、
スレーブ状態のポンプ監視装置は、前記取得部による取得および前記判定部の判定を停止する、真空ポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載の真空ポンプにおいて、
前記ポンプ監視装置が前記スレーブ状態に設定されている場合に、前記マスタ状態のポンプ監視装置からポンプパラメータの送信指令を前記通信部を介して受信すると、
前記スレーブ状態のポンプ監視装置は、そのスレーブ状態のポンプ監視装置が設けられている真空ポンプのポンプパラメータを前記通信部を介して送信する、真空ポンプ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の真空ポンプにおいて、
前記ポンプ監視装置が前記マスタ状態に設定されている場合に、そのマスタ状態のポンプ監視装置が設けられている真空ポンプが前記判定部により異常であると判定されると、
前記マスタ状態のポンプ監視装置は、マスタ状態に設定するマスタ/スレーブ設定条件を前記通信部を介して前記他の真空ポンプに送信し、かつ、前記マスタ状態のポンプ監視装置を備える真空ポンプを停止する、真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ監視装置および真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、フラットパネルディスプレイを製造するための成膜装置やエッチング装置等の半導体製造装置では、基板の大型化に伴って半導体製造装置の真空チャンバに複数の真空ポンプが設けられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明では、半導体製造装置に同機種の真空ポンプが複数台用いられる場合、それらの複数台の真空ポンプの物理量(例えば、振動量)を比較して、物理量の変化が他と著しく異なる真空ポンプについては、物理量が警報点に達していなくても何らかの異常が生じていることを知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半導体製造装置の同一チャンバに設けられた複数の真空ポンプであっても、真空ポンプが取り付けられる場所によって真空ポンプの排気条件(例えば、ガス流量)が異なる。そのため、真空ポンプの排気条件が物理量の値に影響を及ぼし、異なる場所に取り付けられた真空ポンプの物理量の比較から異常が生じているか否かを判断する場合に、誤判断をしてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好ましい態様によるポンプ監視装置は、真空装置の一以上の排気ポートの各々に装着された真空ポンプの状態を監視する真空ポンプ監視装置であって、複数の前記真空装置の同一排気ポートに装着された複数の真空ポンプから、真空ポンプの状態を表すポンプパラメータを取得する取得部と、前記取得部で取得された複数のポンプパラメータを比較することにより、前記同一排気ポートに装着された複数の真空ポンプの異常を判定する判定部とを備える。
本発明の好ましい態様による真空ポンプは、上記態様によるポンプ監視装置と、他の真空ポンプとデータの授受を行うための通信部とを備え、前記判定部は前記通信部を介して取得された他の真空ポンプのポンプパラメータと、前記監ポンプ視装置を備える真空ポンプのポンプパラメータとを比較して、前記同一排気ポートに装着された複数の真空ポンプの異常を判定する。
さらに好ましい態様では、マスタ/スレーブ設定条件が入力される入力部と、前記マスタ/スレーブ設定条件に基づいて前記ポンプ監視装置をマスタ状態またはスレーブ状態に設定する設定部とをさらに備え、マスタ状態のポンプ監視装置は、前記取得部による前記他の真空ポンプのポンプパラメータの取得および前記判定部による判定を行い、スレーブ状態のポンプ監視装置は、前記取得部による取得および前記判定部の判定を停止する。
さらに好ましい態様では、前記ポンプ監視装置が前記スレーブ状態に設定されている場合に、前記マスタ状態のポンプ監視装置からポンプパラメータの送信指令を前記通信部を介して受信すると、前記スレーブ状態のポンプ監視装置は、そのスレーブ状態のポンプ監視装置が設けられている真空ポンプのポンプパラメータを前記通信部を介して送信する。
さらに好ましい態様では、前記ポンプ監視装置が前記マスタ状態に設定されている場合に、そのマスタ状態のポンプ監視装置が設けられている真空ポンプが前記判定部により異常であると判定されると、前記マスタ状態のポンプ監視装置は、マスタ状態に設定するマスタ/スレーブ設定条件を前記通信部を介して前記他の真空ポンプに送信し、かつ、前記マスタ状態のポンプ監視装置を備える真空ポンプを停止する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ポンプパラメータの比較による真空ポンプの異常判定をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態における真空システムを示す図である。
【
図3】
図3は、通信ラインで接続された3つのポンプコントローラを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、マスタの監視装置の監視動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、スレーブの監視装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、モータ電流値の波形の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態における真空システムを示す図である。
【
図9】
図9は、通信ラインで接続された3つのポンプコントローラと監視装置とを示すブロック図である。
【
図10】
図10は、監視装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
-第1の実施の形態-
図1は、第1の実施の形態における真空システム1を示す図である。真空システム1は同一構成の真空装置(例えば、半導体製造装置等)を複数備えている。
図1に示す例では、3台の真空装置10A,10B,10Cを備えている。各真空装置10A,10B,10Cに設けられた真空チャンバ2には複数の排気ポートP1,P2,P3が設けられており、各排気ポートP1,P2,P3には真空ポンプ3がそれぞれ装着されている。
【0009】
本実施の形態では、真空装置10A,10B,10Cは同一構成の装置であって、同一排気ポートには同一機種の真空ポンプ3が装着されている。異なる排気ポートに関しては、異なる機種の真空ポンプ3が装着されていても良いし、同一機種の真空ポンプ3が装着されていても良い。
図1に示す例では、排気ポートP1,P2,P3の全てに同一機種の真空ポンプ3が装着されている。
【0010】
図2は、真空ポンプ3の構成を示す図である。
図2に示す真空ポンプ3はターボ分子ポンプであり、真空排気を行うポンプ本体3aと、ポンプ本体を駆動制御するポンプコントローラ3bとを備えている。真空ポンプ3は磁気軸受式のターボ分子ポンプであり、ポンプ本体3aには回転体Rが設けられている。回転体Rは、ポンプロータ30と、ポンプロータ30に締結されたロータシャフト31とを備えている。
【0011】
ポンプロータ30には、上流側に回転翼32が複数段形成され、下流側にネジ溝ポンプを構成する円筒部33が形成されている。これらに対応して、固定側には複数の固定翼34と、円筒状のネジステータ35とが設けられている。
図2に示す例ではネジステータ35側にネジ溝が形成されているが、円筒部33にネジ溝を形成しても構わない。各固定翼34は、スペーサリング36を介してベース37上に載置される。
【0012】
ロータシャフト31は、ベース37に設けられたラジアル磁気軸受41A,41Bとアキシャル磁気軸受41Cとによって磁気浮上支持され、モータ40により回転駆動される。モータ40の近傍には、モータ温度を検出する温度センサ47が設けられている。各磁気軸受41A~41Cは電磁石と変位センサとを備えおり、変位センサによりロータシャフト31の浮上位置が検出される。ロータシャフト31の回転数は回転数センサ42により検出される。磁気軸受41A~41Cが作動していない場合には、ロータシャフト31は非常用のメカニカルベアリング43a,43bによって支持される。
【0013】
吸気口38aが形成されたポンプケーシング38は、ベース37にボルト固定されている。ベース37には排気ポート39が設けられ、この排気ポート39にバックポンプが接続される。ポンプロータ30が締結されたロータシャフト31をモータ40により高速回転すると、吸気口38a側の気体分子は排気ポート39側へと排気される。
【0014】
ベース37には、ヒータ44と、冷却水などの冷媒が流れる冷媒配管45とが設けられている。反応生成物の堆積しやすいガスを排気する場合には、ネジ溝ポンプ部分や下流側の回転翼32への生成物堆積を抑制するために、ヒータ44のオンオフおよび冷媒配管45を流れる冷媒のオンオフを行うことにより、例えば、温度センサ46で計測されるネジステータ固定部付近のベース温度が所定温度となるように温度調整を行う。なお、図示は省略したが、冷媒配管45には、冷媒をオンオフするための電磁弁が設けられている。
【0015】
ポンプコントローラ3bは、モータ制御部51、軸受制御部52、通信部53および監視装置54を備えている。モータ制御部51はモータ40を駆動制御する。軸受制御部52は、磁気軸受41A~41Cを駆動制御する。ポンプコントローラ3b、通信部53を介して他の装置と情報の授受を行うことができる。監視装置54は、後述するように自身のポンプ本体3aや、通信部53を介して接続された他の真空ポンプ3の状態を監視する。
【0016】
図1ではポンプ本体3aとポンプコントローラ3bとは一体とされているが、
図2に示すように別体とされていても良い。
図1に示すように、各真空装置10A~10Cの排気ポートP1に装着されている3台の真空ポンプ3のポンプコントローラ3bは通信ラインL1により互いに接続され、排気ポートP2に装着されている3台の真空ポンプ3のポンプコントローラ3bは通信ラインL2により互いに接続され、排気ポートP3に装着されている3台の真空ポンプ3のポンプコントローラ3bは通信ラインL3により互いに接続されている。
【0017】
真空装置10A~10Cに設けられた9台の真空ポンプ3は、装着される半導体製造装置を識別するための装置ID1と、排気ポートP1~P3のいずれに取り付けられているかを識別するためのグループID2とにより識別される。例えば、真空装置10A~10Cに装着される真空ポンプ3の装置ID1は順に1、2、3と設定され、排気ポートP1~P3に装着される真空ポンプ3のグループID2は順に1、2、3と設定される。通信ラインL1はグループID2=1の真空ポンプ3の間に接続され、通信ラインL2はグループID2=2の真空ポンプ3の間に接続され、通信ラインL3はグループID2=3の真空ポンプ3の間に接続される。
【0018】
図3は、通信ラインL1で接続された3つのポンプコントローラ3bを示すブロック図である。
図3では、真空装置10Aの排気ポートP1に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bを符号3bA1のように表し、同様に、真空装置10Bの排気ポートP1に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bを符号3bB1、真空装置10Cの排気ポートP1に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bを符号3bC1のように表すことにする。各ポンプコントローラ3bA1,3bB1,3bC1の通信部53は、通信ラインL1によって接続されている。
【0019】
(監視装置54)
真空ポンプ3の監視動作は、ポンプコントローラ3bに設けられた監視装置54により行われる。真空ポンプ3の状態の監視は、モータ電流値やモータ温度等のポンプパラメータを監視することによって行われる。監視装置54は、判定部541、報知部542、記憶部543、入力部544および設定部545を備えている。真空ポンプ3の状態判定は判定部541で行われ、異常があった場合には報知部542によって異常が報知される。ポンプパラメータが異常状態を示しているか否かの判定を行うための閾値は、記憶部543に記憶されている。閾値の詳細は後述する。
【0020】
通信ラインL1で接続された同一グループID2の3台の真空ポンプ3には監視装置54がそれぞれ設けられているが、一つはマスタに設定され、他はスレーブに設定される。そして、同一グループID2の3台の真空ポンプ3の異常判定は、マスタの監視装置54によって行われる。マスタおよびスレーブの設定は、記憶部543に記憶されているマスタ/スレーブ設定ID3により行われる。例えば、ID3=1の場合にはマスタに設定され、ID3=0の場合にはスレーブに設定される。
【0021】
装置ID1,グループID2およびマスタ/スレーブ設定ID3は、監視装置54の入力部544から入力され、設定部545によって設定される。なお、本実施の形態では、オペレータが入力部544を手動操作することで監視装置54に設定情報が入力される構成としたが、半導体製造装置のコントローラ(不図示)から通信で入力されるような構成としても良い。
【0022】
以下では、真空装置10Aに装着された真空ポンプ3の監視装置54がマスタに設定され、真空装置10B,10Cに装着された真空ポンプ3の監視装置54がスレーブに設定されていると仮定して説明する。
図3のポンプコントローラ3bA1,3bB1,3bC1に設けられた各監視装置54の設定を(ID1設定,ID2設定,ID3設定)のように表現した場合、それぞれ、(ID1=1,ID2=1,ID3=1),(ID1=2,ID2=1,ID3=0),(ID1=3,ID2=1,ID3=0)となる。
【0023】
ポンプコントローラ3bA1,3bB1,3bC1の各監視装置54の入力部544に装置ID1、グループID2およびマスタ/スレーブ設定ID3が入力されると、設定部545はマスタ/スレーブ設定ID3に応じて監視装置54をマスタまたはスレーブに設定する。
図3では、(D1=1,D2=1,ID3=1)のように設定されたポンプコントローラ3bA1の監視装置54はマスタとして動作し、(D1=2,D2=1,ID3=0),(D1=3,D2=1,ID3=0)のように設定されたポンプコントローラ3bB1,3bC1の各監視装置54はスレーブとして動作する。スレーブとして動作するポンプコントローラ3bB1,3bC1の監視装置54は、判定部541の機能を停止し、ポンプコントローラ3bA1に設けられたマスタの監視装置54の要求に基づいてポンプパラメータの値をポンプコントローラ3bA1へ送信する。
【0024】
(マスタの監視装置54の監視動作)
図4,5は、マスタの監視装置54の監視動作の一例を説明するフローチャートである。ここでは、ポンプパラメータの一つであるモータ電流値に基づいて、生成物堆積量の過剰を監視する場合について説明する。
図4に示すフローチャートのステップS1では、ポンプコントローラ3bA1,3bB1,3bC1からポンプ本体3aのモータ電流値を取得するサンプリングタイミングに関して、設定処理が実行される。
【0025】
エッチング等のプロセスを行う半導体製造装置に用いられる真空ポンプにおいては、ポンプ内に生成物が堆積しやすいことが知られている。特に、
図2に示すターボ分子ポンプの場合、真空度が比較的低い下流側のネジ溝ポンプのネジステータ35に堆積しやすい。ネジ溝ポンプの生成物体積が増えるとモータ負荷が増加しモータ電流値が上昇するので、そのモータ電流値の変化を検知することでポンプ内堆積物を検知したり堆積厚さを推定したりすることが知られている(例えば、国際公開第2011/145444号)。
【0026】
マスタの監視装置54の判定部541は、モータ電流値が予め設定した電流閾値Ith1を超えた場合に堆積量過剰と判定する。さらに、モータ電流値が電流閾値Ith1に達していなくても同一グループID2の真空ポンプ3の間でモータ電流値の乖離が顕著になった場合には、判定部541は乖離している真空ポンプ3に何らかの異常が生じていると判定して、報知部542により異常発生の警告を出力する。
【0027】
ところで、モータ電流値の増加量はガス流量に依存するので、モータ電流値に関して判定する際には、プロセス中のガス流量がほぼ一定のタイミングにおけるモータ電流値を比較する必要がある。
図3に示すポンプコントローラ3bA1のマスタの監視装置54は、真空装置10Aを立ち上げ開始後の初期状態におけるモータ電流波形から、モータ電流値のサンプリングタイミングを決定する。
【0028】
例えば、2種類のプロセスが交互に繰り返される半導体製造装置の場合には、
図7の模式図に示すようなモータ電流値波形となる。この場合、監視装置54は2種類の電流波形A,Bを抽出することができ、サンプリングには電流一定状態における電流値のより大きな電流波形Aが用いられる。例えば、電流波形Aの立ち上がり時刻t1からΔt経過した時刻t2をモータ電流値のサンプリングタイミングに設定する。
【0029】
なお、3台の真空ポンプ3のポンプ装着タイミングやメンテナンスタイミングが異なるような場合には、各真空ポンプ3の総稼働時間はta,tb=ta+Δtb,tc=ta+Δtcのように異なる。そのような場合のサンプリングタイミングの決定方法としては、稼働開始からの時間が同一となるようにタイミングをサンプリングタイミングとする方法(方法1と呼ぶ)と、単純に同一時刻のタイミングをサンプリングタイミングとする方法(方法2と呼ぶ)とが考えられる。なお、各真空ポンプにおいて設定されている時刻情報が一致している必要がある。そこで、例えば、マスタの監視装置54がスレーブの監視装置54の各々に対して自身が保有している時刻情報を送信し、スレーブの監視装置54の各々は受信した時刻情報に基づいて時刻情報の修正を行うように構成されていると良い。
【0030】
方法1の場合、例えば、最も総稼働時間の短い真空ポンプ3(総稼働時間=ta)を基準にサンプリングタイミングtsを設定し、総稼働時間tbの真空ポンプ3はts-Δtbを、総稼働時間tcの真空ポンプ3はts-Δtcをそれぞれのサンプリングタイミングとし、同一稼働時間におけるポンプパラメータで比較する。現時点における生成物の堆積量を判定する場合(後述するステップS4における判定)は、方法2のサンプリングタイミングが好ましく、堆積量の乖離を判定する場合(後述するステップS5)には方法1が好ましい。なお、以下では説明を簡単にするために、3台の真空ポンプ3の総稼働時間が等しい場合を例に説明する。
【0031】
図4のステップS2では、マスタの監視装置54は、電流波形Aの立ち上がりからΔt経過したサンプリングタイミングにおいて、ポンプコントローラ3bA1に接続されたポンプ本体3aのモータ電流値をサンプリングする。ステップS3では、マスタの監視装置54は、同一サンプリングタイミングのモータ電流値、すなわち、電流波形Aの立ち上がりからΔt経過した時刻のモータ電流値の送信を要求する指令(以下では、電流値要求指令と呼ぶ)を、通信部53を介してスレーブの監視装置54が設けられたポンプコントローラ3bB1,3bC1へ送信する。
【0032】
ステップS4では、マスタの監視装置54は、3台の真空ポンプ3のモータ電流値の全てが電流閾値Ith1以下であるか否かの判定を、判定部541において実行する。全ての真空ポンプ3に関してモータ電流値≦Ith1と判定された場合にはステップS5へ進み、少なくとも1台の真空ポンプ3に関してモータ電流値>Ith1である場合にはステップS6へ進む。
【0033】
ステップS4からステップS6へ進んだ場合には、モータ電流値>Ith1である真空ポンプ3のメンテナンスを促す警報を報知部542から発信する。例えば、モータ電流値>Ith1の情報と、真空ポンプ3を特定するための装置ID1およびグループID2とを警報情報として発信する。また、マスタの監視装置54に表示装置(不図示)を設けて、その表示装置に異常情報と装置ID1およびグループID2とを表示しても良い。
【0034】
一方、ステップS4からステップS5へ進んだ場合には、マスタの監視装置54の判定部541は3台の真空ポンプ3の間のモータ電流値を比較し、モータ電流値の間に乖離が生じているか否かを判定する。ステップS5で乖離発生と判定されるとステップS7へ進み、乖離が発生していないと判定されるとステップS5からステップS2へ戻る。乖離発生時には、乖離している真空ポンプ3に何らかの異常傾向にあると推定されるので、ステップS5からステップS7へ進んだ場合には、異常情報と、異常と推定した真空ポンプ3の装置ID1およびグループID2とを、警報情報として報知部542から発信する。ステップS7の処理を行った後には、ステップS2へ戻る。
図4のようにステップS5の処理を設けたことで、モータ電流値が電流閾値Ith1よりも大きくなる前に、異常と推定される真空ポンプ3に対して警報を発信することができる。
【0035】
一般に、複数の真空ポンプ3を同一環境で使用した場合、それらにおける生成物の堆積量はほぼ同程度となる。しかし、例えば、温調装置の不具合により温調温度が適切温度よりも低くなっている場合には、生成物堆積の進行速度が速くなる。そのような場合には、他の真空ポンプ3よりもモータ電流値が大きくなり、モータ電流値の乖離が発生する。そのため、乖離発生の判定方法としては、例えば、1台の真空ポンプ3のモータ電流値が他の2台の真空ポンプ3のモータ電流値との差が所定値以上となっている場合や、他の2台の真空ポンプ3に比べてモータ電流値のサンプリングタイミング毎の変化の度合いが所定値以上の場合に乖離発生と判定する。モータ電流値のサンプリングタイミング毎の変化の度合いが大きい場合には、堆積量の増加の度合いが大きいと推定される。
【0036】
また、モータ電流値から大きく乖離していて、かつ、モータ電流値の変化の度合いが大きい場合に、乖離発生と判定しても良い。3台の真空ポンプ3の総稼働時間が異なる場合に上述した方法2のサンプリングタイミングを採用した場合、3台の真空ポンプ3が正常状態であっても、総稼働時間が大きい真空ポンプ3ほど堆積量が大きくなる。そのような場合には、堆積量を比較するのではなく堆積量増加の度合いを比較することで、異常発生を適切に判定することが可能となる。
【0037】
ステップS6の処理が終了したならば、ステップS8へ進んで各真空ポンプ3のモータ電流値について、モータ電流値がポンプ停止閾値Ith2より大きいか否かを判定する。ポンプ停止閾値Ith2はポンプ停止を判定する閾値であって、上述した電流閾値Ith1よりも大きな値に設定される。モータ電流値が電流閾値Ith1より大きくなると、生成物堆積の増大でポンプロータがステータに接触する危険性があるので、モータ電流値>Ith2となった場合にはその真空ポンプ3を強制的に停止する。
【0038】
ステップS8でモータ電流値≦Ith2と判定されるとステップS2へ進み、ステップS8でモータ電流値>Ith2と判定されると、
図5のステップS9へ進む。ステップS9では、停止対象ポンプがマスタの監視装置54が設けられている真空ポンプ3か否かを判定し、マスタの監視装置54が設けられている真空ポンプ3の場合にはステップS10へ進み、スレーブの監視装置54が設けられている真空ポンプ3の場合にはステップS13へ進む。ステップS9からステップS13へ進んだ場合には、停止対象の真空ポンプ3のポンプコントローラ3bへポンプ停止信号を送信し、その後、
図4のステップS2へ進む。
【0039】
一方、ステップS9からステップS10へ進んだ場合、ステップS10において、マスタ設定信号と
図4のステップS1で設定したサンプリングタイミング情報とを、スレーブの監視装置54が設けられたポンプコントローラ3b(
図3に示す構成ではポンプコントローラ3bB1,3bC1)へ送信する。マスタ設定信号には、マスタ/スレーブ設定ID3=1と次のマスタに設定すべき装置ID1とが含まれ、この装置ID1に等しい装置ID1を有する監視装置54がマスタに設定される。
【0040】
マスタ設定信号に含まれる装置ID1としては、例えば、マスタ設定信号を送信する監視装置54の装置ID1(=1)の値の次に小さな値(この場合は2)を用いることができる。または、ポンプ本体3aまたはポンプコントローラ3bのメモリに総稼働時間を記憶しておき、稼働時間が長い方の真空ポンプ3に設けられた監視装置54を次のマスタに設定するようにしても良い。
【0041】
ステップS11では、マスタの監視装置54が設けられた真空ポンプ3の停止を報知する情報を報知部542から発信する。例えば、マスタの監視装置54の装置ID1およびグループID2を発信する。ステップS12では、マスタの監視装置54が設けられた真空ポンプ3を停止する。
【0042】
(スレーブの監視装置54の監視動作)
図6は、スレーブの監視装置54の監視動作の一例を説明するフローチャートである。ステップS101では、マスタの監視装置54からのポンプ停止信号を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合にはステップS102へ進み、受信していないと判定した場合にはステップS111へ進む。ステップS102では、スレーブの監視装置54が設けられている真空ポンプ3の停止を報知する情報を報知部542から発信する。例えば、自身の装置ID1およびグループID2を上位コントローラへ送信する。その後、ステップS103へ進んで、ポンプ停止処理を行う。
【0043】
ポンプ停止信号を受信せずステップS101からステップS111へ進んだ場合には、マスタの監視装置54からマスタ設定信号およびサンプリングタイミング情報を受信したか否かを判定する。ステップS111において受信したと判定されるとステップS112へ進み、受信していないと判定されるとステップS121へ進む。ステップS112では、受信したマスタ設定信号に含まれる装置ID1が自身の装置ID1と一致するか否かを判定し、一致する場合にはステップS113へ進み、一致しない場合にはステップS121へ進む。
【0044】
装置ID1が一致してステップS112からステップS113に進んだ場合には、自身のマスタ/スレーブ設定ID3を、マスタ設定信号に含まれているマスタ/スレーブ設定ID3=1と同じ値に変更する。マスタ設定信号に含まれる装置ID1がD1=2である場合には、装置ID1=2の監視装置54が設けられたポンプコントローラ3bB1(
図3参照)のマスタ/スレーブ設定ID3が0から1へと変更され、監視装置54がスレーブからマスタに設定変更されて、機能停止していた判定部541が復帰する。
【0045】
ステップS114では、ポンプコントローラ3bB1に設けられた監視装置54は、ポンプコントローラ3bA1から受信したサンプリングタイミング情報を記憶部543に記憶する。そして、ステップS115へ進んでマスタ動作処理、具体的には、
図4のステップS2から
図5のステップS13までの処理を実行する。
【0046】
一方、ステップS111またはステップS112でNOと判定されてステップS121へ進んだ場合には、マスタの監視装置54から送信された電流値要求指令(
図4のステップS3参照)を受信したか否かを判定する。ステップS121において受信していないと判定されるとステップS101へ戻り、受信したと判定されるとステップS122へ進んで、要求されたサンプリングタイミングにおけるモータ電流値をマスタの監視装置54へ送信する。
【0047】
このように、堆積量過剰の判定閾値である電流閾値Ith1に対して、ステップS4でモータ電流値≦Ith1と判定される前に、真空ポンプ3の異常傾向をステップS5で判定することができる。その結果、生成物堆積が過剰となる前のより早い段階で真空ポンプ3の異常を発見することができ、適当なタイミングでその真空ポンプ3だけを交換する等、より適切なメンテナンスを行うことができる。
【0048】
上述したように、本実施の形態では、複数の同じ半導体製造装置の同一排気ポートに装着された同一機種の真空ポンプ3、すなわち、同じ排気環境にある同一機種の真空ポンプ3同士のポンプパラメータ(モータ電流値)を比較して、真空ポンプ3の異常を判断している。従来は、同一半導体装置の異なる排気ポートに装着された真空ポンプ同士を比較しているので、真空ポンプ間で排気環境が異なり、誤判断をしてしまうおそれがあった。一方、本実施の形態では、同じ排気環境の真空ポンプ3同士のポンプパラメータを比較するようにしたので、より信頼性の高い異常判定を行うことができ、誤判断を防止することができる。
【0049】
さらに、マスタの監視装置54を搭載する真空ポンプ3が異常と判定されてステップS12で停止された場合には、マスタ/スレーブ設定ID3=1を含むマスタ設定信号をスレーブの監視装置54へ送信して、スレーブの監視装置54をマスタに設定変更するようにしているので、監視動作を支障なく継続することができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、監視に使用するポンプパラメータがモータ電流値で、モータ電流値の大きさに応じて生成物堆積に関する異常判定を行う例に関して説明した。しかし、ポンプパラメータとしてはモータ電流値に限定されず、例えば、温度センサ46,47で検出されるベース温度,モータ温度や、回転数センサ42で検出されるロータシャフト31の回転数など、他の物理量を真空ポンプ3の異常(堆積量過剰、モータ異常、温調機能異常等)を監視するポンプパラメータに用いても良い。
【0051】
-第2の実施の形態-
図8は、第2の実施の形態における真空システム100を示す図である。上述した第1の実施の形態では、
図1,3に示すように、各真空ポンプ3のポンプコントローラ3bのそれぞれに監視装置54が設けられ、マスタに設定された監視装置54により、複数の真空装置10A~10Cの同一排気ポートに装着されている3台の真空ポンプ3の異常を判定した。第2の実施の形態では、
図8に示すように、一つの監視装置54を真空ポンプ3とは独立に設け、その監視装置54により、複数の真空装置10A~10Cの同一排気ポートに装着されている3台の真空ポンプ3の異常を判定するようにした。
【0052】
真空装置10A~10Cの各排気ポートP1に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bは、通信ラインL1によって監視装置54に接続されている。真空装置10A~10Cの各排気ポートP2に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bは、通信ラインL2によって監視装置54に接続されている。真空装置10A~10Cの各排気ポートP3に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bは、通信ラインL3によって監視装置54に接続されている。監視装置54は、通信ラインL1に接続された3台の真空ポンプ3の異常判定、通信ラインL2に接続された3台の真空ポンプ3の異常判定、および、通信ラインL3に接続された3台の真空ポンプ3の異常判定をそれぞれ独立して行う。
【0053】
図9は、通信ラインL1により監視装置54に接続されたポンプコントローラ3bA1,3bB1,3bC1を示す図である。
図3の場合と同様に、真空装置10A,10B,10Cの各排気ポートP1に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bを、符号3bA1,3bB1,3bC1で表した。ポンプコントローラ3bA1,3bB1,3bC1には、モータ制御部51,軸受制御部52および通信部53が設けられている。ポンプコントローラ3bA1,3bB1,3bC1の各通信部53は、通信ラインL1を介して監視装置54に接続されている。
【0054】
第2の実施の形態では、監視装置54には、判定部541、報知部542、記憶部543および通信部546が設けられ、通信部546には通信ラインL1,L2,L3が接続されている。図示は省略したが、監視装置54は、通信ラインL2を介して各真空装置10A~10Cの排気ポートP2に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bに接続され、通信ラインL3を介して各真空装置10A~10Cの排気ポートP3に装着された真空ポンプ3のポンプコントローラ3bに接続されている。判定部541、報知部542、記憶部543は、上述した
図3に記載のものと同様の機能を有している。
【0055】
図10は、第2の実施の形態における監視装置54の監視動作の一例を説明するフローチャートである。説明は省略するが、ステップS1、ステップS3~S8では、
図4の同一符号のステップと同一処理を行う。ステップS8でモータ電流値>Ith2と判定されるとステップS201へ進み、モータ電流値>Ith2と判定された真空ポンプ3の停止を指令するポンプ停止信号を送信する。そのポンプ停止信号を受信したポンプコントローラ3bは、真空ポンプ3を停止する。ステップS202では、停止した真空ポンプ3の情報、例えば、真空ポンプ3の装置ID1およびグループID2を報知部542から上位コントローラへ送信する。ステップS202の処理が終了すると、ステップS3へ進む。
【0056】
第2の実施の形態では、監視装置54が独立して設けられ、その監視装置54の判定部541は、第1の実施の形態のマスタの監視装置54に設けられた判定部541と同様の判定処理を行う。その結果、第1の実施の形態の場合と同様に、同じ排気環境の真空ポンプ3同士のポンプパラメータ(モータ電流値)を比較して真空ポンプ3の異常を判断しているので、より信頼性の高い異常判定を行うことができ、誤判断を防止することができる。また、ステップS5の処理を設けたことにより、生成物堆積が過剰となる前のより早い段階で真空ポンプ3の異常を発見することができ、適当なタイミングでその真空ポンプ3だけを交換する等、より適切なメンテナンスを行うことができる。
【0057】
以上説明した実施の形態の作用効果をまとめると、以下のようになる。
(1)
図8,9に示すように、真空装置10A,10B,10Cの排気ポートP1~P3の各々に装着された真空ポンプ3の状態を監視する監視装置54は、複数の真空装置10A~10Cの同一排気ポート(例えば、排気ポートP1)に装着された複数の真空ポンプ3から、真空ポンプ3の状態を表すポンプパラメータであるモータ電流値を取得する通信部546と、通信部546で取得された複数のポンプパラメータを比較することにより、同一排気ポートP1に装着された複数の真空ポンプ3の異常を判定する判定部541とを備える。その結果、同じ排気環境の真空ポンプ3同士のポンプパラメータを比較して真空ポンプの異常を判断しているので、より信頼性の高い異常判定を行うことができ、誤判断を防止することができる。
【0058】
(2)
図1、3に示すように、他の真空ポンプ3とデータの授受を行うための通信部53を真空ポンプ3に備え、マスタの監視装置54の判定部541が、通信部53を介して取得された他の真空ポンプ3のポンプパラメータと、マスタの監視装置54を備える真空ポンプ3のポンプパラメータとを比較して、同一排気ポートP1に装着された複数の真空ポンプ3の異常を判定するようにしても良い。この場合、真空ポンプ3とは別に監視装置54を準備する必要がない。
【0059】
(3)さらに、
図3に示すような構成としても良い。すなわち、マスタ/スレーブ設定条件が入力される入力部544と、マスタ/スレーブ設定条件に基づいて監視装置54をマスタ状態またはスレーブ状態に設定する設定部545と、を備え、マスタ状態の監視装置54は、通信部53による他の真空ポンプ3のポンプパラメータの取得および判定部541による判定を行い、スレーブ状態の監視装置54は、通信部53による他の真空ポンプ3のポンプパラメータの取得および判定部541による判定を停止する。
【0060】
なお、
図1や
図8に示す例では、真空装置10A,10B,10Cには複数の排気ポートP1~P3が設けられているが、真空装置10A,10B,10Cに一つの排気ポートしか備えていない構成であっても、本発明は適用可能である。その場合でも、各真空ポンプ3の排気環境は同じなので、同様に信頼性の高い異常判定を行うことができ、誤判断を防止することができる。
【0061】
(4)
図3に示すような構成において、監視装置54がスレーブ状態に設定されている場合に、マスタ状態の監視装置54からポンプパラメータの送信指令を通信部53を介して受信すると、スレーブ状態の監視装置54は、その監視装置54が設けられている真空ポンプ3のポンプパラメータを通信部53を介して送信する。
【0062】
(5)また、監視装置54がマスタ状態に設定されている場合に、そのマスタ状態の監視装置が設けられている真空ポンプ3が判定部541により異常であると判定されると、マスタ状態の監視装置54は、マスタ状態に設定するマスタ/スレーブ設定条件D3=1を通信部53を介して他の真空ポンプ3に送信し、かつ、マスタ状態の監視装置54を備える真空ポンプ3を停止する。このように、マスタ/スレーブ設定ID3=1を含むマスタ設定信号をスレーブの監視装置54へ送信して、スレーブの監視装置54をマスタ状態に設定しているので、マスタ状態の監視装置54を備える真空ポンプ3を停止した場合でも、監視動作を支障なく継続することができる。
【0063】
上記では、種々の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。例えば、真空ポンプ3がターボ分子ポンプである場合を例に説明したが、本発明では、真空ポンプ3はターボ分子ポンプに限定されない。
【符号の説明】
【0064】
1,100…真空システム、3…真空ポンプ、10A~10C…真空装置、53…通信部、54…監視装置、541…判定部、542…報知部、543…記憶部、544…入力部、545…設定部、P1~P3…排気ポート