(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】車両用表示装置及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20221109BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20221109BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20221109BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20221109BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01C21/36
G09B29/10 A
G09B29/00 C
G02B27/01
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2019081095
(22)【出願日】2019-04-22
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】福本 基宏
(72)【発明者】
【氏名】市田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】小島 一輝
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第02/003034(JP,A1)
【文献】特開2018-173399(JP,A)
【文献】特開2009-210292(JP,A)
【文献】特開2007-051999(JP,A)
【文献】特開2006-133148(JP,A)
【文献】特開2006-084208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G09G 1/00-99/00
G09B 29/00-29/10
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が駐車場内から道路に出るときに、ナビゲーション装置(50)からの経路情報に基づいて経路案内に関するコンテンツをウインドシールドに表示する車両用表示装置(1)において、
車両の向きを検出する車両向き検出部(44)と、
地図情報から道路を認識する道路認識部(61)と、
道路までの距離を測定する距離測定部(62)と、
前記道路認識部により認識された道路と前記車両の向きとが垂直に近い角度で交わるようになると共に、前記車両から前記認識された道路までの距離が所定の閾値未満になったときに、経路案内のコンテンツを前記認識された道路上に重畳表示させる重畳表示部(20)とを備え
ると共に、
前記車両の前方に存在する障害物を検出する障害物検出部(30)を備え、前記障害物検出部が障害物を検知したときに、該障害物が他の車両であるかを判断し、
前記重畳表示部は、前記車両の前方に障害物が存在し、該障害物が他の車両でないときに、前記経路案内のコンテンツの表示を中止するように構成された車両用表示装置。
【請求項2】
ナビ地図情報またはプローブ地図情報から駐車場の出入口情報を取得する情報取得部(71)を備え、
前記重畳表示部は、前記車両が駐車場の出入口の周辺に位置していない場合には、前記経路案内のコンテンツを表示させないように構成された
請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置は、前記車両が駐車場内に位置している場合、駐車場の外周路のすべてについてルートを探索し、前記車両が駐車場から外周路に出た場合の前記車両の進行方向を計算しておくように構成され、
前記重畳表示部は、前記ナビゲーション装置により計算しておいた前記車両の進行方向の情報に基づいて経路案内のコンテンツを重畳表示するように構成された
請求項1又は2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置は、前記車両の前方に、経路計算されていない道路が見つかった場合、誘導経路を再計算し、前記車両が駐車場から道路に出た場合の前記車両の進行方向を計算するように構成され、
前記重畳表示部は、前記ナビゲーション装置により計算しておいた前記車両の進行方向の情報に基づいて経路案内のコンテンツを重畳表示するように構成された
請求項1又は2記載の車両用表示装置。
【請求項5】
車両が駐車場内から道路に出るときに、ナビゲーション装置からの経路情報に基づいて経路案内に関するコンテンツをウインドシールドに表示する車両用表示装置の制御部(11)に、
道路認識部により認識された道路と、車両向き検出部により検出された車両の向きとが垂直に近い角度で交わるようになると共に、前記車両から前記認識された道路までの距離が所定の閾値未満になったときに、経路案内のコンテンツを前記認識された道路上に重畳表示させる重畳表示手順を実行させる
と共に、
前記車両の前方に存在する障害物を障害物検出部により検出させ、該障害物が他の車両であるかを判断させ、前記車両の前方に障害物が存在し、該障害物が他の車両でないときに、前記経路案内のコンテンツの重畳表示を中止させる表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のウインドシールドに経路案内の情報例えば右左折の矢印等のコンテンツを表示させる車両用表示装置例えばHUD(ヘッドアップディスプレイ)が知られている。この装置では、ナビゲーション装置から出力された経路案内に関する情報に基づいて経路案内のコンテンツを作成し、作成したコンテンツをウインドシールドに表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
経路情報がない駐車場に駐車している車両において、ナビゲーション装置による経路案内を開始すると、ナビゲーション装置は自車両から最も近い道路から経路案内のルートを表示する。この場合、ウインドシールドに経路案内の情報を表示する装置も、道路上に自車両が位置しなければ、経路案内のコンテンツが表示されないように構成されている。このため、駐車場から道路へ出る際には、ウインドシールドに経路案内の情報、即ち、どちらへ進むかのコンテンツが表示されないという問題があった。
【0005】
また、ドライバが道路に出る位置が駐車場の出口と一致していないような場合には、車両が駐車場から道路に出る際に、ドライバは道路のどちらの方向へ進むかがわからない。このため、駐車場から道路へ出る際に、ウインドシールドに経路案内の情報が表示されるようにして欲しいという要望がある。
本発明の目的は、駐車場から道路へ出る際に、経路案内の情報を表示することができる車両用表示装置及び表示制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、車両が駐車場内から道路に出るときに、ナビゲーション装置50からの経路情報に基づいて経路案内に関するコンテンツをウインドシールドに表示する車両用表示装置1において、車両の向きを検出する車両向き検出部44と、地図情報から道路を認識する道路認識部61と、道路までの距離を測定する距離測定部62と、前記道路認識部61により認識された道路と前記車両の向きとが垂直に近い角度で交わるようになると共に、前記車両から前記認識された道路までの距離が所定の閾値未満になったときに、経路案内のコンテンツを前記認識された道路上に重畳表示させる重畳表示部20とを備えると共に、前記車両の前方に存在する障害物を検出する障害物検出部(30)を備え、前記障害物検出部が障害物を検知したときに、該障害物が他の車両であるかを判断し、前記重畳表示部は、前記車両の前方に障害物が存在し、該障害物が他の車両でないときに、前記経路案内のコンテンツの表示を中止するように構成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態を示す車載ネットワークの全体構成を示す図
【
図12】第3実施形態を示す重畳表示制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について、
図1ないし
図7を参照して説明する。本実施形態の車両用表示装置は、
図1及び
図2に示すHMI(Human Machine Interface)システム1によって実現されている。HMIシステム1は、HCU(Human Machine Interface Control Unit)10と、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display、以下、「HUD」)装置20と、操作デバイス26等とを備えて構成されている。HMIシステム1は、車両Aの乗員(例えばドライバ等)による操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
【0009】
HMIシステム1は、車両Aに搭載された車載ネットワーク5の通信バス6に、通信可能に接続されている。HMIシステム1は、車載ネットワーク5に設けられた複数のノードのうちの一つである。車載ネットワーク5の通信バス6には、例えば周辺監視センサ30、ロケータ40、ナビゲーション装置50、車両制御ECU(Electronic Control Unit)54、運転支援ECU57等が各ノードとして接続されている。通信バス6に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能となっている。
【0010】
周辺監視センサ30は、車両Aの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から、歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体、さらに路上の落下物、ガードレール、縁石、走行区画線等の路面表示、及び道路脇の構造物等の静止物体、を検出可能である。周辺監視センサ30は、車両Aの周囲、特には前方範囲に存在する障害物を検出する機能、即ち、障害物検出部としての機能を有する。周辺監視センサ30は、検出した検出情報を、通信バス6を通じて、運転支援ECU57及びHCU10等に提供する。
【0011】
周辺監視センサ30は、物体等の検出のための検出構成として、フロントカメラ31、ミリ波レーダ32及びライダ33等を有している。フロントカメラ31は、車両Aの前方範囲を撮影した撮像データ、及び撮像データの解析結果の少なくとも一方を、検出情報として出力する。ミリ波レーダ32は、ミリ波又は準ミリ波を前方範囲へ向けて照射し、移動物体及び静止物体等で反射された反射波を受信する処理により、外部に出力される検出情報を生成する。ライダ33は、レーザ光を前方範囲へ向けて照射し、移動物体及び静止物体等で反射された反射光を受信する処理により、外部に出力される検出情報を生成する。
【0012】
ロケータ40は、複数の取得情報を組み合わせる複合測位により、車両Aの高精度な位置情報等を生成する。ロケータ40は、例えば複数車線のうちで、車両Aが走行する車線を特定可能である。ロケータ40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器41、慣性センサ42、高精度地図データベース(以下、「DB」)43及びロケータECU44等によって構成されている。
【0013】
GNSS受信器41は、複数の人工衛星(測位衛星)から送信された測位信号を受信する。GNSS受信器41は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムのうちで、少なくとも一つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。
【0014】
慣性センサ42は、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備えている。高精度地
図DB43は、不揮発性メモリを主体に構成されており、ナビゲーション装置50にて用いられるよりも高精度な地図データ(以下、「高精度地図データ」)を記憶している。高精度地図データには、区画線及び道路標示に関する情報、路側域にある構造物の3次元形状情報、並びに道路レーン数情報及び3次元形状情報等が含まれている。
【0015】
ロケータECU44は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体に構成されている。ロケータECU44は、GNSS受信器41で受信する測位信号、慣性センサ42の計測結果、及び通信バス6に出力された車速情報等を組み合わせ、車両Aの自車位置、即ち、現在位置及び進行方向等を逐次検出する。ロケータECU44は、車両向き検出部としての機能を有する。ロケータECU44は、測位結果に基づく車両A(自車)の位置情報及び方角情報を、通信バス6を通じて、ナビゲーション装置50及びHCU10等に提供する。
【0016】
また、ロケータECU44は、HCU10等からの要求に応じて、必要とされた高精度地図データが高精度地
図DB43にあるか否かを判定する。要求された高精度地図データが高精度地
図DB43にある場合、ロケータECU44は、該当する高精度地図データを高精度地
図DB43から読み出し、要求元であるHCU10等に提供する。
【0017】
ナビゲーション装置50は、HMIシステム1と連携し、乗員によって設定された目的地までの経路案内を実施する車載装置である。ナビゲーション装置50は、ナビゲーション用の地図データベース(以下、「ナビ地
図DB」)51及びナビゲーションECU52等によって構成されている。ナビ地
図DB51は、不揮発性メモリを主体に構成されており、高精度地
図DB43よりも広範囲の地図データを網羅的に記憶している。ナビ地
図DB51に格納されたナビ地図データには、道路についてのリンクデータ、ノードデータ、及び形状データ等が記載されている。ナビ地
図DB51及び高精度地
図DB43は、ナビ地図情報を構成している。
【0018】
ナビゲーションECU52は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体に構成されている。ナビゲーションECU52は、車両A(自車)の位置情報及び方角情報を、通信バス6を通じてロケータECU44より取得する。
【0019】
ナビゲーションECU52は、通信バス6及びHCU10を通じて、操作デバイス26に入力された操作情報を取得し、ドライバ操作に基づく目的地を設定する。ナビゲーションECU52は、目的地までの複数経路を、例えば時間優先及び距離優先等の条件を満たすように探索する。探索された複数経路のうちの一つが選択されると、ナビゲーションECU52は、当該設定経路に基づく経路情報を、関連するナビ地図データと共に、通信バス6を通じて、HCU10に提供する。
【0020】
ナビゲーションECU52は、交差点等のような分岐ポイント、設定経路の目的地、並びに一時停止等の警報ポイントが接近した場合、HMIシステム1へ向けた案内実施要求を出力する。HMIシステム1では、案内実施要求に基づき、ドライバへ向けた経路案内が、HUD装置20等によって実施される。以下の説明では、こうしたドライバへの案内が実施される設定経路上のポイントを、「案内ポイント」とする。また、ナビゲーションECU52は、地図情報から道路を認識する道路認識部61と、道路までの距離を測定する距離測定部62を有するように構成されている。
【0021】
車両制御ECU54は、車両Aの加減速制御及び操舵制御等を行う電子制御装置である。車両制御ECU54は、ドライバの運転操作を検出するセンサ群、例えば操舵角センサ55、アクセルポジションセンサ及びブレーキストロークセンサ等と接続されている。車両制御ECU54は、車両Aの走行に関連するアクチュエータ群、例えばEPS(Electric Power Steering)モータ、電子制御スロットル及びインジェクタ、並びにブレーキアクチュエータ等と接続されている。
【0022】
車両制御ECU54は、センサ群による計測情報(例えば操舵角情報)を、通信バス6に出力すると共に、後述する運転操作情報を、通信バス6を通じて運転支援ECU57から取得する。車両制御ECU54は、センサ群による計測情報又は運転支援ECU57から取得する運転操作情報に基づき、アクチュエータ群の各作動、ひいては車両Aの挙動を制御する。
【0023】
運転支援ECU57は、ドライバによる運転操作を支援する運転支援機能、及びドライバの運転操作を代行可能な自動運転機能の少なくとも一方を備えている。運転支援機能又は自動運転機能には、走行速度又は車間距離を制御するACC(Adaptive Cruise Control)機能、車線に合わせて操舵角を制御するLTC(Lane Trace Control)機能等が含まれている。運転支援機能には、車両Aを強制的に減速させるAEB(Autonomous Emergency Braking)機能等がさらに含まれていてもよい。
【0024】
運転支援ECU57は、周辺監視センサ30から取得する検出情報に基づき、車両Aの周囲の走行環境を認識する。運転支援ECU57は、走行環境の認識結果に基づき、運転支援又は自動運転のための運転操作情報を生成する。運転支援ECU57は、生成した運転操作情報の車両制御ECU54への提供により、上述の加減速制御及び操舵制御を車両制御ECU54に実行させる。
【0025】
運転支援ECU57は、走行環境認識のために実施した検出情報の解析結果を、解析済みの検出情報として、HCU10に提供可能である。一例として、運転支援ECU57は、フロントカメラ31の撮像データ等から抽出された情報、具体的には、走行中の道路の区画線(白線)及び道路端の相対位置情報を、HCU10に提供できる。加えて運転支援ECU57は、道路脇の路側域に設けられた構造物等の種別情報及び3次元形状情報等も、HCU10に提供できる。
【0026】
次に、HUD装置20及びHCU10の詳細を説明する。
HUD装置20は、マルチインフォメーションディスプレイ及びセンターインフォメーションディスプレイ等と共に、複数の車載表示デバイスの一つとして、車両Aに搭載されている。HUD装置20は、虚像Viを用いた拡張現実(Augmented Reality,以下「AR」)表示により、車両Aに関連する種々の情報をドライバに提示する。AR表示される虚像Viは、前景中の重畳対象に相対固定されているように、重畳対象を追って、ドライバの見た目上で移動可能である。
【0027】
HUD装置20は、HCU10と電気的に接続されており、HCU10によって生成された映像データを逐次取得する。
図2に示すように、HUD装置20は、ウィンドシールドWSの下方にて、インスツルメントパネル9内の収容空間に収容されている。HUD装置20は、虚像Viとして結像される光を、ウィンドシールドWSの投影範囲PAへ向けて投影する。ウィンドシールドWSに投影された光は、投影範囲PAにおいて運転席側へ反射され、ドライバによって知覚される。ドライバは、投影範囲PAを通して見える前景中の重畳対象例えば道路等に、虚像Viが重畳された表示を視認する。HUD装置20は、重畳表示部としての機能を有する。
【0028】
HUD装置20は、プロジェクタ21及び拡大光学系22等によって構成されている。プロジェクタ21は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル及びバックライトを有している。プロジェクタ21は、LCDパネルの表示面を拡大光学系22へ向けた姿勢にて、HUD装置20の筐体に固定されている。プロジェクタ21は、映像データの各フレーム画像をLCDパネルの表示面に表示し、当該表示面をバックライトによって透過照明することで、虚像Viとして結像される光を拡大光学系22へ向けて射出する。拡大光学系22は、合成樹脂又はガラス等からなる基材の表面にアルミニウム等の金属を蒸着させた凹面鏡を、少なくとも一つ含む構成である。拡大光学系22は、プロジェクタ21から射出された光を反射によって広げつつ、上方の投影範囲PAに投影する。
【0029】
HCU10は、HMIシステム1において、HUD装置20を含む複数の表示デバイスによる表示を統合的に制御する電子制御装置である。HCU10は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体に構成されている。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成であり、制御部としての機能を有する。処理部11は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、HCU10の処理部11によって実行される種々のプログラム(例えば表示制御プログラム等)が格納されている。
【0030】
図1~
図3に示すHCU10は、記憶部13に記憶されたプログラムを処理部11によって実行し、複数の機能部を備える。具体的に、HCU10には、経路情報取得部71、位置情報取得部72、自車情報取得部73、外界情報取得部74、連続案内判定部75、路側物体判定部76、車両姿勢判定部77及び表示生成部78等の機能部が構築される。経路情報取得部71、位置情報取得部72、自車情報取得部73及び外界情報取得部74は、通信バス6から情報を取得する機能部である。
【0031】
経路情報取得部71は、ナビゲーション装置50に目的地が設定されている場合に、目的地までの経路案内に関する経路情報と、経路案内に用いられるナビ地図データとを、ナビゲーションECU52から取得する。加えて経路情報取得部71は、案内ポイントへの接近に基づき、ナビゲーションECU52によって出力される案内実施要求を、経路情報及びナビ地図データ等と共に取得する。
【0032】
経路情報取得部71は、ナビ地図データと共に、又はナビ地図データに替えて、高精度地図データをロケータ40から取得する処理を実施できる。経路情報取得部71は、ナビゲーションECU52から取得した経路情報に基づき、関連する高精度地図データの提供をロケータECU44に要求する。こうして要求された高精度地図データが高精度地
図DB43に格納されている場合、経路情報取得部71は、ロケータECU44から返信される高精度地図データを取得する。経路情報取得部71は、情報取得部としての機能を有する。
【0033】
位置情報取得部72は、車両Aの位置情報及び方角情報を、ロケータECU44から取得する。自車情報取得部73は、車両Aの走行状態を示す自車情報の一つとして、操舵角センサ55によって計測された最新の操舵角情報を、車両制御ECU54から取得する。
【0034】
外界情報取得部74は、周辺監視センサ30及び運転支援ECU57の少なくとも一方から、車両Aの前方範囲についての検出情報を取得する。検出情報は、フロントカメラ31によって撮影された前方範囲の撮像データ等であってもよく、或いは周辺監視センサ30又は運転支援ECU57での走行環境認識によって得られた解析結果であってもよい。検出情報が解析結果である場合、当該解析結果には、上述したような前方範囲における区画線又は道路端の相対位置を示す情報が含まれている。加えて解析結果としての検出情報は、前方範囲の道路脇に設けられた構造物であって、例えばドライバの側方視界を遮るような遮蔽物や障害物等についての種別情報及び3次元形状情報を少なくとも含んでいる。尚、遮蔽物や障害物等は、例えばビル等の建築物や、路側域の敷地を取り囲む塀や、植栽等である。
【0035】
連続案内判定部75は、経路情報取得部71にて取得される経路情報に、複数の案内ポイントの連続を示す連続情報が含まれているか否かを判定する。連続情報は、車両A(自車)の右左折を案内する案内ポイント(以下、「右左折地点P1」)と、当該右左折地点P1の次に案内を実施する案内ポイント(以下、「連続地点P2」)との連続を示す情報である。連続案内判定部75は、案内実施要求と共に送信される経路情報に複数の案内ポイントの情報が含まれている場合、これらの案内ポイントが連続している、即ち、経路情報に連続情報が含まれていると判定する。
【0036】
ここで、右左折地点P1は、交差点等のように右折又は左折等の分岐が発生する案内ポイントである。一方、連続地点P2は、交差点等のような分岐ポイント、設定経路の目的地、並びに一時停止及び徐行等の注意喚起を行う警報ポイント等のいずれかであってよい。加えて、3つ以上の案内ポイントが、互いに所定の距離(以下、「閾値距離」)未満の間隔で、設定経路上に連続していてもよい。この場合、最初の右左折地点P1と最後の連続地点P2とに挟まれた中間の連続地点P2は、右左折地点P1と同様に、交差点等のような分岐ポイントに限られる。例えば、複数回(4回)の分岐が連続発生する場合、ひと纏まりの経路情報には、複数(4つ)の案内ポイントの情報が含まれる。連続案内判定部75は、1つ目の案内ポイントが右左折地点P1とし、2~4つ目の案内ポイントを便宜的に連続地点P2とする。
【0037】
路側物体判定部76は、外界情報取得部74にて取得される検出情報に基づき、車両Aの走行する道路の路側域に、特定物体があるか否かを判定する。特定物体は、連続地点P2を案内する虚像Viを重畳する対象として適切ではないとして、予め条件を設定された物体である。具体的には、路側物体判定部76は、道路の路側域に設けられた遮蔽物例えば防音壁等を、特定物体として特定する。
【0038】
路側物体判定部76は、車両姿勢判定部77と連携し、右左折地点P1における車両Aの右左折の経過を把握する。路側物体判定部76は、右左折地点P1(分岐ポイント)にて車両Aが右折又は左折を開始した後において、右左折地点P1から連続地点P2へ向かう道路(以下、「接続道路Rc」、
図4参照)の路側域に、遮蔽物があるか否かを判定する。接続道路Rcの路側域に遮蔽物がない場合、即ち、路側域が開けた状態である場合、路側物体判定部76は、遮蔽物がない旨の判定結果を車両姿勢判定部77に提供する。
【0039】
車両姿勢判定部77は、連続地点P2の案内に用いられる案内コンテンツCNT2の内容を、コンテンツ情報として表示生成部78から取得する。車両姿勢判定部77は、右左折地点P1において旋回する車両Aの接続道路Rcに対する向きを推定する。車両姿勢判定部77は、連続地点P2の案内に用いられる案内コンテンツCNT2をコンテンツ情報に基づき把握し、車両Aの向きについて、把握した案内コンテンツCNT2を表示可能な向きとなったか否かを判定する(以下、「走行方向判定」)。車両姿勢判定部77は、走行方向判定の実施により、案内コンテンツCNT2を表示可能な向きに車両Aが向いたと判定した場合、直進判定を成立させて、案内コンテンツCNT2の表示許可を表示生成部78に通知する。
【0040】
車両姿勢判定部77は、互いに異なる複数の取得情報を用いて、走行方向判定を実施できる。1つ目の走行方向判定は、外界情報取得部74にて取得されるフロントカメラ31の検出情報に基づいて実施される。この検出情報は、フロントカメラ31の撮像データであってもよく、上述したような撮像データの解析結果であってもよい。車両姿勢判定部77は、検出情報に基づき、接続道路Rcにおける区画線又は道路端の相対位置を把握する。車両姿勢判定部77は、車両Aに対して左右両側に位置する区画線又は道路端がフロントカメラ31の画角内に入り、これらを撮影可能な状態になったタイミングで、直進判定を成立させる。尚、車両姿勢判定部77は、片側の区画線又は道路端がフロントカメラ31の画角内に入ったタイミングで、直進判定を成立させてもよい。
【0041】
2つ目の走行方向判定は、経路情報取得部71にて取得されるナビ地図データ又は高精度地図データと、位置情報取得部72にて取得される方角情報とを用いて実施される。例えば、接続道路Rcの区画線及び道路端がいずれも撮像データから検出できない場合等に、地図データ及び方角情報を組み合わせた走行方向判定が実施される。
【0042】
車両姿勢判定部77は、地図データに基づき、右左折地点P1へ向かう道路(以下、「第1道路R1」)と接続道路Rcとの右左折地点P1における交差角度θ1を算定する。車両姿勢判定部77は、交差角度θ1を基準とし、交差角度θ1よりも僅かに小さい閾値角度θth(θ1>θth)を設定する。車両姿勢判定部77は、第1道路R1の延伸方向を基準とし、右左折地点P1における車両Aのヨー方向の姿勢変化角度θcを、方角情報に基づき算出する。車両姿勢判定部77は、姿勢変化角度θcが閾値角度θthを超えたタイミングで、直進判定を成立させる。
【0043】
3つ目の走行方向判定は、自車情報取得部73にて取得される操舵角情報を用いて実施される。例えば、接続道路Rcの区画線及び道路端が検出困難であり、且つ、測位信号の受信環境が良好でない場合等に、操舵角情報を用いた走行方向判定が実施される。
【0044】
車両姿勢判定部77は、操舵角情報に基づき、右左折地点P1におけるステアリング操作の推移を監視する。車両姿勢判定部77は、ステアリングの角速度が所定速度未満となった場合、即ち、操舵角の変化が落ち着いたタイミングにて、直進判定を成立させる。尚、車両姿勢判定部77は、操舵角情報に基づき、ステアリングを戻す過程にて、操舵角が所定閾値未満となったタイミングで、直進判定を成立させてもよい。この場合、直進判定を成立させる所定閾値は、地図データに基づき、交差角度θ1や接続道路Rcの形状等に応じて、適宜変更される。
【0045】
車両姿勢判定部77は、走行方向判定にて直進判定を成立させるための判定基準を、案内コンテンツCNT2の種類に応じて変更する。車両姿勢判定部77は、連続地点P2が目的地であり、ゴール地点となる路側域の建物等に案内コンテンツCNT2が重畳される場合、直進判定を成立させる判定基準を緩和し、当該案内コンテンツCNT2の表示を開始させるタイミングを早める。
【0046】
加えて車両姿勢判定部77は、直進判定を成立させる判定基準を、接続道路Rcの路側域の見通し状況に応じて変更する。車両姿勢判定部77は、路側物体判定部76にて接続道路Rcの路側域に遮蔽物がないと判定された場合、路側域に遮蔽物があると判定される場合よりも、直進判定を成立させる判定基準を緩和する。この場合にも、案内コンテンツCNT2の表示開始を早める調整が実施される。
【0047】
表示生成部78は、HUD装置20に逐次出力される映像データを生成する。表示生成部78は、ナビゲーションECU52によって出力される案内実施要求を経路情報取得部71が取得すると、映像データを構成する各フレーム画像に、案内ポイントにて前景に重畳表示されるコンテンツの元画像を描画する。表示生成部78は、案内ポイントにて用いられるコンテツを選定する機能、コンテンツを描画する機能、及びコンテンツの表示期間を制御する機能等を有している。
【0048】
表示生成部78は、経路情報取得部71にて取得される経路情報及び地図データに基づき、各案内ポイントにて経路案内に用いるコンテンツを選定する。表示生成部78は、記憶部13に記憶されたパーツデータを組み合わせる等の画像処理により、選定したコンテンツの描画データを描画可能に準備する。
【0049】
表示生成部78は、ナビゲーションECU52によって通知される案内実施要求、及び車両姿勢判定部77によって通知される表示許可のいずれか一方をトリガとして使用し、表示コンテンツの表示開始及び表示終了の各タイミングを制御する。表示生成部78は、これら案内実施要求又は表示許可通知の取得に基づき、設定経路に沿った車両Aの走行に合わせるかたちで、各案内ポイントの手前にて、準備した描画データを各フレーム画像に描画する処理を開始する。表示生成部78は、連続案内判定部75にて右左折地点P1及び連続地点P2の連続が判定されると、右左折コンテンツCNT1及び案内コンテンツCNT2を、各フレーム画像に順に描画する。
【0050】
次に、上記構成のHMIシステム1の動作、具体的には、車両が駐車場内を走行して駐車場から道路へ出るときの動作について、
図5ないし
図7を参照して説明する。
図5は、HMIシステム1の制御の内容を示すフローチャートである。尚、本制御を実行する前に、ナビゲーション装置50のナビゲーションECU52は、現在地、例えば駐車場の周りの道路のうちの駐車場内の車両の位置に最も近い地点から目的地までの誘導経路、即ち、ルートを探索しておくように構成されている。この誘導経路の道路を計算する処理が、道路を認識する処理に相当する。
【0051】
また、ナビゲーション装置50のナビゲーションECU52は、駐車場の外周路のすべてについて誘導経路を探索しておくように構成されていることが好ましい。このように構成すると、車両が駐車場から外周路に出る場合に、どこから出る場合でも、車両の進行方向を計算する処理を素早く実行することが可能になる。尚、
図5の制御は、設定時間毎に繰り返し実行されるように構成されている。
【0052】
まず、
図5のステップS10においては、車両の進行方向に誘導経路の道路があるか否か、即ち、車両の向きと認識された道路とが垂直に近い角度例えば90度±10度、即ち、例えば80度から110度の範囲で交わるようになるか否かを判断する。ここで、進行方向に誘導経路の道路がないときには、「NO」へ進み、重畳表示制御を実行しないで本制御を終了する。
【0053】
また、上記ステップS10にて、進行方向に誘導経路の道路があるときには(YES)、ステップS20へ進む。このステップS20では、ナビゲーション装置50のナビゲーションECU52は、車両の現在位置から一定の距離例えば300m内に誘導経路の道路があるか否か、即ち、車両から認識された道路までの距離が所定の閾値例えば300m未満になったか否かを判断する。ここで、車両の現在位置から一定の距離内に誘導経路の道路が無いときには、「NO」へ進み、表示制御を実行しないで本制御を終了する。
【0054】
また、上記ステップS20にて、車両の現在位置から一定の距離内に誘導経路の道路があるときには(YES)、ステップS30へ進む。このステップS30では、車両の進行方向の先の誘導経路の道路上の車両の向き、即ち、車両が駐車場から誘導経路の道路に出るときの誘導経路の道路上の車両の進行方向を算出する。この算出した誘導経路の道路上の車両の進行方向の情報が、経路案内のコンテンツに含まれるように構成している。
【0055】
続いて、ステップS40へ進み、HUD装置20は、車両のウインドシールドWSにおいて誘導経路の道路上に上記計算した車両の進行方向の情報を重畳表示する。これにより、本制御を終了する。
【0056】
このような構成の本実施形態では、ナビゲーション装置50からの経路情報に基づいて経路案内に関するコンテンツをウインドシールドWSに表示する装置において、車両の向きを検出し、地図情報から道路を認識し、道路までの距離を測定し、認識された道路と車両の向きとが垂直に近い角度で交わるようになると共に、車両から認識された道路までの距離が所定の閾値未満になったときに、経路案内のコンテンツを認識された道路上に重畳表示させるように構成した。この構成によれば、車両が駐車場内から道路に出るときに、経路案内のコンテンツとして例えば車両の進行方向の情報を道路上に重畳表示させることが可能となる。この重畳表示を視認することにより、車両が駐車場から道路に出る際に、ドライバは道路のどちらの方向へ進むべきかが容易にわかるようになる。
【0057】
ここで、車両が駐車場から道路に出る際に、車両の進行方向の情報として例えば左方に進行する矢印を道路上に重畳表示させ例えば例を、
図6に示す。尚、
図6において、符号80は道路を示し、符号81は歩道を示す。また、車両が駐車場から道路に出る際に、車両の進行方向の情報として例えば直進する矢印を道路上に重畳表示させ例えば例を、
図7に示す。
【0058】
(第2実施形態)
図8ないし
図11は、第2実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第2実施形態では、右左折の矢印等の経路案内のコンテンツを重畳表示させる条件が成立しても、車両の前方に障害物がある場合には、経路案内のコンテンツを重畳表示させないように構成されている。
【0059】
例えば
図8に示すように、駐車場85内において、車両Aが位置86に位置していた場合、第1実施形態によれば、認識された道路、即ち、経路案内の道路(
図8中の矢印87参照)と車両Aの向きとが垂直に近い角度で交わるようになると共に、車両Aから認識された道路までの距離が所定の閾値未満になっていることから、経路案内のコンテンツ例えば右折の矢印が認識された道路上に重畳表示されることになる。しかし、この場合、車両Aと認識された道路との間に、植栽や塀等の障害物88が存在し、駐車場の出口は存在しないことから、上記右折の矢印の重畳表示は行なわないほうが好ましい。
【0060】
そこで、第2実施形態では、
図9に示す制御を実行する。
図9のステップS10、S20は、
図5のステップS10、S20と同様に実行する。そして、ステップS20にて、車両の現在位置から一定の距離内に誘導経路の道路があるときには(YES)、ステップS50へ進む。このステップS50では、車両の前方に障害物があるか否かを判断する。ここで、前方に障害物がないときには(NO)、ステップS30へ進み、以下、ステップS30、S40を、
図5のステップS30、S40と同様に実行する。
【0061】
また、上記ステップS50において、前方に障害物があるときには(YES)、ステップS60へ進み、前方の障害物が車両であるか否かを判断する。ここで、前方の障害物が車両であるときには(YES)、右左折の矢印等の重畳表示を実行した方が良いことから、ステップS30へ進み、以下、ステップS30、S40を、
図5のステップS30、S40と同様に実行する。
【0062】
一方、上記ステップS60において、前方の障害物が車両でないときには、「NO」へ進み、右左折の矢印等の重畳表示を実行しないで、本制御を終了する。これにより、
図8に示すように、駐車場85内において、車両Aが位置86に位置していた場合には、車両Aの前方に障害物88例えば植栽88が存在しているため、
図10に示すように、右左折の矢印等の重畳表示が実行されない。
【0063】
この後、駐車場85内において、車両Aが移動し、出入口の前である位置89に位置すると、認識された道路、即ち、経路案内の道路90と車両Aの向きとが垂直に近い角度で交わるようになると共に、車両Aから認識された道路までの距離が所定の閾値未満になっていることから、経路案内のコンテンツ例えば左折の矢印が認識された道路上に重畳表示される。
【0064】
尚、駐車場85の出入口付近においては、車両Aの前方に他の車両が存在する場合がある。このような場合には、前方の他の車両を障害物として検出するが(ステップS50にて「YES」)、この障害物は車両であることから(ステップS60にて「YES」)、重畳表示が実行される(ステップS30、S40)。これにより、
図11に示すように、経路案内のコンテンツ例えば左折の矢印が、前方の他の車両の上に重畳表示される。
【0065】
上述した以外の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2実施形態によれば、
図8に示すように、駐車場85内において、車両Aが位置86に位置していた場合には、車両Aの前方の障害物88を検出し、重畳表示を実行しないようにすることができる。また、第2実施形態では、駐車場85内において、車両Aが位置89に位置していた場合に、車両Aの前方に障害物として他の車両が検出されたときには、他の車両の上に、重畳表示を実行することができる。
【0066】
尚、上記実施形態では、車両Aの前方に障害物88を検出したときに、重畳表示を実行しないように構成したが、これに限られるものではなく、例えば、HCU10の経路情報取得部71によって、ナビ地図情報またはプローブ地図情報から駐車場の出入口情報を取得するように構成し、右左折の矢印等の経路案内のコンテンツを重畳表示させる条件が成立しても、車両が駐場の出入口の周辺に位置していない場合には、経路案内のコンテンツを重畳表示させないように構成しても良い。
【0067】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第3実施形態では、車両の前方に、経路計算されていない道路、即ち、誘導経路ではない道路が見つかった場合には、車両の進行方向をデフォルトで表示、または、車両の進行方向を目的地の方向を示すように表示するように構成されている。
【0068】
まず、
図12に示すステップS10~S40の各処理は、
図5のステップS10~S40と同様にして実行する。第3実施形態では、ステップS10において、進行方向に誘導経路の道路がないときには(NO)、ステップS110へ進む。このステップS110では、進行方向に道路があるか否かを判断する。ここで、進行方向に道路がないときには、「NO」へ進み、表示制御を実行しないで本制御を終了する。
【0069】
また、上記ステップS110において、進行方向に道路があるときには(YES)、ステップS120へ進む。このステップS120では、ナビゲーション装置50は、車両の現在位置から一定の距離例えば300m内に道路があるか否かを判断する。ここで、車両の現在位置から一定の距離内に道路が無いときには、「NO」へ進み、表示制御を実行しないで本制御を終了する。
【0070】
また、上記ステップS120にて、車両の現在位置から一定の距離内に道路があるときには(YES)、ステップS130へ進む。このステップS130では、車両の進行方向の先の道路が一方通行であるか否かを判断する。ここで、進行方向の先の道路が一方通行であるときには(YES)、ステップS140へ進み、HUD装置20は、車両のウインドシールドWSにおいて進行方向の先の道路上にデフォルトとして例えば上記一方通行の向きの矢印を重畳表示する。これにより、本制御を終了する。
【0071】
また、上記ステップS130において、車両の進行方向の先の道路が一方通行でないときには(NO)、ステップS150へ進み、HUD装置20は、車両のウインドシールドWSにおいて進行方向の先の道路上にデフォルトとして例えば左向きの矢印を重畳表示、または、目的地の方向を示す矢印として例えば左向きの矢印を重畳表示する。これにより、本制御を終了する。
【0072】
上述した以外の第3実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第3実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第3実施形態によれば、デフォルトとして例えば一方通行の向きの矢印や左向きの矢印を重畳表示、または、目的地の方向を示す矢印を重畳表示するように構成したので、駐車場から道路へ出る際に、経路案内の情報を表示することができ、ドライバは道路のどちらの方向へ進むべきかがわかるから、不安感をなくすことができる。
【0073】
(第4実施形態)
図13及び
図14は、第4実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。この第4実施形態では、車両の前方に、経路計算されていない道路が見つかった場合に、誘導経路を再計算、即ち、リルートするように構成されている。
【0074】
まず、
図14に示すステップS10~S40の各処理は、
図5のステップS10~S40と同様にして実行する。第4実施形態では、ステップS10において、進行方向に誘導経路の道路がないときには(NO)、ステップS210へ進む。このステップS210では、車両の現在位置から一定の距離例えば300m内に道路があるか否かを判断する。ここで、車両の現在位置から一定の距離内に道路が無いときには、「NO」へ進み、表示制御を実行しないで本制御を終了する。
【0075】
また、上記ステップS210において、車両の現在位置から一定の距離内に道路があるときには(YES)、ステップS220へ進む。このステップS220では、車両の進行方向の先の道路を、現在地として誘導経路を再計算する、即ち、経路計算をやりなおす。続いて、ステップS30へ進み、以下、ステップS30、S40を、
図5のステップS30、S40と同様に実行し、右左折の矢印等の重畳表示を実行する。
【0076】
例えば、
図13に示すように、駐車場内において、車両Aが位置91に位置している場合、位置91に最も近い道路を現在地として誘導経路が計算される。この後、車両Aが出口92から道路へ出ようとした場合、車両の前方の道路は、経路計算されていない道路であることから、出口92を現在地として誘導経路が再計算される。これにより、駐車場から道路へ出る際に、経路案内の情報例えば車両の進行方向の矢印等を表示することができる。
【0077】
上述した以外の第4実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第4実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第4実施形態によれば、車両の前方に、経路計算されていない道路が見つかった場合に、誘導経路を再計算するように構成したので、駐車場から経路計算されていない道路へ出る際に、再計算した経路案内の情報を表示することができる。
【0078】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0079】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0080】
図面中、1はHMIシステム、5は車載ネットワーク、6は通信バス、10はHCU、11は処理部、20はHUD装置、26は操作デバイス、30は周辺監視センサ、40はロケータ、43は高精度地図データベース、44はロケータECU、50はナビゲーション装置、51はナビ地
図DB、52はナビゲーションECU、57は運転支援ECU、71は経路情報取得部、72は位置情報取得部、73は自車情報取得部、74は外界情報取得部、75は連続案内判定部、76は路側物体判定部、77は車両姿勢判定部、78は表示生成部である。