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  • 特許-仕切り一体型トレーおよびそのブランク 図1
  • 特許-仕切り一体型トレーおよびそのブランク 図2
  • 特許-仕切り一体型トレーおよびそのブランク 図3
  • 特許-仕切り一体型トレーおよびそのブランク 図4
  • 特許-仕切り一体型トレーおよびそのブランク 図5
  • 特許-仕切り一体型トレーおよびそのブランク 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】仕切り一体型トレーおよびそのブランク
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/481 20060101AFI20221109BHJP
   B65D 5/22 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65D5/481 A
B65D5/22 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019111952
(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公開番号】P2020203696
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 治紀
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-290437(JP,A)
【文献】特開平11-011462(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0048150(US,A1)
【文献】実開平04-128215(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/481
B65D 5/22
B65D 77/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底板と、
前記底板から立ち上がって対向する一組の第1の側面と、
前記底板から立ち上がって対向する一組の第2の側面と、
を有し、物品を収容するトレーであって、
前記底板から起立し、前記収容された物品と接触する仕切り片と、
前記底板に立設され、かつ前記第1の側面に連結されて前記トレーの内側に向かって突出
し、前記収容された物品と接触する第1の支持片と、
隣り合う前記第1の側面と前記第2の側面とが交差する稜を覆うように、前記トレーの内
側に設けられて前記収容された物品と接触する第2の支持片と
を含み、
前記第2の支持片は前記第1の側面の端部に折り曲げ線を介して接続するトレー。
【請求項2】
前記仕切り片は、前記収容された物品の側面と接触する切欠を有することを特徴とする
請求項1に記載のトレー。
【請求項3】
前記第1の支持片と前記収容された物品が接触する第1の接触部と、前記第2の支持片
と前記収容された物品が接触する第2の接触部とが形成する弧が、前記第1の接触部、前
記第2の接触部、および前記仕切り片と前記収容された物品とが接触する第3の接触部と
を通って形成される円の円周の1/4以上の長さを有することを特徴とする請求項1また
は2に記載のトレー。
【請求項4】
前記トレーは一枚のシートから形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一
項に記載のトレー。
【請求項5】
前記シートは段ボールであることを特徴とする請求項4に記載のトレー。
【請求項6】
矩形状の底板と、
前記底板を挟んで対向し、前記底板に折り曲げ線を介してそれぞれ隣接する一組の第1
の面と、
前記底板を挟んで対向し、前記底板に折り曲げ線を介してそれぞれ隣接する一組の第2
の面と、
を有するブランクであって、
対向する二組の辺を有する仕切り片となる部分であって、前記対向する辺のうち、一組
において、一辺は前記底板に接続し、残りの一辺は前記第2の面と接続し、かつ残りのも
う一組は前記底板と前記第1の面との間の折り曲げ線と平行に前記底板に切れ込みを入れ
ることにより形成された仕切り片となる部分と、
対向する二組の辺を有する第1の支持片となる部分であって、前記対向する辺のうち、
一組において、一辺は前記底板に接続し、残りの一辺は前記第1の面と接続し、かつ残り
のもう一組は前記底板と前記第2の面との間の折り曲げ線と平行に前記底板に切れ込みを
入れることにより形成された第1の支持片となる部分と、
前記第1の面の端部に前記底板と前記第2の面との間の折り曲げ線と平行な折り曲げ線
を介して接続される第2の支持片となる部分と、
を含むブランク。
【請求項7】
前記仕切り片となる部分は、前記切れ込み部分にさらに切欠を有することを特徴とする
請求項6に記載のブランク。
【請求項8】
前記ブランクは段ボールから形成されることを特徴とする請求項6または7に記載のブ
ランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り一体型トレーおよびそのブランクに関し、詳細には、輸送や保管中の収容物を固定する仕切り一体型トレーおよびそのブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
円柱または逆円錐台形等の容器に入った物品をトレーに載せて輸送および/または保管をする場合、容器がトレー内を移動し、場合によっては容器や内容物を破損するおそれがある。
【0003】
そこで、特許文献1では、トレー内に仕切り片を設け、逆円錐台形の収容物の移動を抑制させている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の仕切り片を用いた場合、それらで挟持した容器は固定されるものの、トレー端部、中でも特に衝撃を受けやすい角部では容器が十分に固定されておらず、収容物の破損のおそれは解消していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-187041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解決し、角部での収容物の移動を抑制し、安定した状態で輸送および/または保管をすることのできる仕切り一体型トレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、矩形状の底板と前記底板から立ち上がって対向する一組の第1の側面と前記底板から立ち上がって対向する一組の第2の側面とを有し、物品を収容するトレーであって、前記底板から起立し、前記収容された物品と接触する仕切り片と、前記底板に立設され、かつ前記第1の側面に連結されて前記トレーの内側に向かって突出し、前記収容された物品と接触する第1の支持片と、隣り合う前記第1の側面と前記第2の側面とが交差する稜を覆うように、前記トレーの内側に設けられて前記収容された物品と接触する第2の支持片とを含むことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の一実施態様のトレーにおいて、前記仕切り片は、前記収容された物品の側面と接触する切欠を有することができる。
【0009】
また、本発明の一実施態様のトレーにおいて、前記第1の支持片と前記収容された物品が接触する第1の接触部と、前記第2の支持片と前記収容された物品が接触する第2の接触部とが形成する弧が、前記第1の接触部、前記第2の接触部、および前記仕切り片と前記収容された物品とが接触する第3の接触部とを通って形成される円の円周の1/4以上の長さを有することができる。
【0010】
さらに本発明の一実施態様のトレーにおいて、前記トレーは一枚のシートから形成されてもよく、当該シートは段ボールで形成されていてもよい。
【0011】
本発明の他の実施態様は、矩形状の底板と前記底板を挟んで対向し、前記底板に折り曲げ線を介してそれぞれ隣接する一組の第1の面と前記底板を挟んで対向し、前記底板に折り曲げ線を介してそれぞれ隣接する一組の第2の面とを有するブランクであって、対向する二組の辺を有する仕切り片となる部分であって、前記対向する辺のうち、一組において、一辺は前記底板に接続し、残りの一辺は前記第2の面と接続し、かつ残りのもう一組は前記底板と前記第1の面との間の折り曲げ線と平行に前記底板に切れ込みを入れることにより形成された仕切り片となる部分と、対向する二組の辺を有する第1の支持片となる部分であって、前記対向する辺のうち、一組において、一辺は前記底板に接続し、残りの一辺は前記第1の面と接続し、かつ残りのもう一組は前記底板と前記第2の面との間の折り曲げ線と平行に前記底板に切れ込みを入れることにより形成された第1の支持片となる部分と、前記第1の面の端部に前記底板と前記第2の面との間の折り曲げ線と平行な折り曲げ線により接続される第2の支持片となる部分と、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施態様のブランクにおいて、前記仕切り片となる部分は、前記切れ込み部分にさらに切欠を有してもよい。
【0013】
また、前記ブランクは段ボールから形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例を示すトレーの全体斜視図である。
図2図1のトレーの一部を拡大した上面図である。
図3図1のトレーの一部を拡大した斜視図である。
図4図1のトレーの一部を拡大した底面図である。
図5】本発明の一実施例を示すブランクの平面図である。
図6】本発明の他の実施態様のトレーの一部を拡大した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によるトレー100の一実施態様について、図1図4を参照にしながら詳細に説明する。本発明の一実施態様において、トレー100は、矩形状の底板10と、一組の第1の側面20と、一組の第2の側面30とを有し、仕切り片40と、第1の支持片50と、第2の支持片60とを備える。
【0016】
本発明の一実施態様において、仕切り片40は、底板10から起立するように設けられ、第2の側面30と接続する。本発明のトレー100は、複数の仕切り片を設けてもよい。
【0017】
仕切り片40は、収容物200と第3の接触部41で接触する。第3の接触部41は、仕切り片40の第1の側面20に平行な辺に設けられてもよい。本発明の一実施態様において、仕切り片40は収容物200と接触する辺に切欠45を設けてもよい。切欠45は円弧状であってもよく、また図6で示すように三角形や四角形など、多角形状であってもよい。
【0018】
第1の支持片50は、底板10に立設され、かつ第1の側面20に連結されてトレー100の内側に向かって突出し、収容物200と第1の接触部51で接触する。第1の支持片50は、折り曲げ線の一部を包含する開口55を設けてもよい。
【0019】
第2の支持片60は、隣り合う第1の側面20と第2の側面30とが交差する稜25を覆うように、トレー100の内側に設けられ、収容された物品200と第2の接触部61で接触する。本発明の一実施態様において、第2の支持片60は第1の側面20の端部に折り曲げ線を介して接続する。後述するように、第1の側面20は第1の面320が内側へと折りたたまれて形成され、その際に第1の面320の端部に接続した第2の支持片60がトレー100の内側に設けられることとなる。折りたたまれた第1の面320は、折りたたまれる際に相対する内面に接着剤を塗布して固定してもよく、また例えば、第1の面320の底板と接する部分に係合用突起を設け、底板10に前記係合用突起を挿入可能な切れ込みを入れ、それらを係合させることで固定し、第1の側面20を形成してもよい。
【0020】
上述するように、本発明の一実施態様において、収容物200は、仕切り片40と第1の支持片50と第2の支持片60と、第1の接触部51、第2の接触部61、及び第3の接触部41にそれぞれ接触し、トレー100内での横移動が抑制される。本発明の一実施態様において、第1の接触部51と第2の接触部61とが形成する弧が、第1の接触部51と第2の接触部61と第3の接触部41とを通って形成される円の円周の1/4以上の長さを有することが好ましい。
【0021】
また、本発明の一実施態様において、トレー100は稜25の両端部に凸部70および凹部75を設けてもよい。トレー100が上下に重ねられた際、凸部70と凹部75が係合し、横方向からの力に対して耐久性を向上させることができる。
【0022】
さらに、本発明の一実施態様において、トレー100は1枚のシートから形成することができる。シートの材質は切断や折り曲げ等によりトレー100を形成することができればよく、好ましくは板紙であり、段ボール、クラフト紙などを用いることができる。さらに好ましくは段ボールである。本願発明の一実施態様において、板紙は収容される物品により強度や性質を適宜選択してもよい。例えば、表面に撥水コーティングした段ボールをシートに用いてもよい。また、強化材や厚みを増加させた強化段ボールを用いてもよい。
【0023】
また本発明の他の実施態様は、トレー100を形成するブランク300に関する。本発明のブランク300について、図5を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0024】
本発明の一実施態様において、ブランク300は、矩形状の底板310と、一組の第1の面320と、一組の第2の面330とを有し、仕切り片となる部分340と、第1の支持片となる部分350と、第2の支持片となる部分360と、を備える。
【0025】
第1の面320はトレー100の内側に向けて折りたたまれ、第1の側面20を形成する面である。一組の第1の面320は、底板310を挟んで対向し、第1の折り曲げ線325を介して底板310にそれぞれ隣接する。
【0026】
第2の面330はトレー100の内側に向けて折りたたまれ、第2の側面30を形成する面である。一組の第2の面330は、底板310を挟んで対向し、第2の折り曲げ線335を介して底板310にそれぞれ隣接する。
【0027】
仕切り片となる部分340は、対向する二組の辺を有し、当該対向する辺のうち、一組において、一辺は底板310に接続し、残りの一辺は前記第2の面330と接続し、かつ残りのもう一組は底板310に第1の折り曲げ線325と平行の切れ込みを入れることにより形成される。本発明の一実施態様において、切れ込みにより形成された辺には切欠となる部分345を設けてもよい。切欠となる部分345は、円弧状であってもよく、三角形や四角形など、多角形状であってもよい。
【0028】
第1の支持片となる部分350は、対向する二組の辺を有し、対向する辺のうち、一組において、一辺は底板310に接続し、残りの一辺は第1の面320と接続し、かつ残りのもう一組は底板310と第2の面330との間の第2の折り曲げ線335と平行に底板310に切れ込みを入れることにより形成することができる。第1の支持片となる部分350には、折り曲げ線の一部を含む開口355を設けてもよい。このような開口により、ブランクを折り曲げてトレーを形成する際、加工性を向上させることができる。
【0029】
第2の支持片となる部分360は、第1の面320の端部に第2の折り曲げ線335と平行な折り曲げ線を介して接続される。
【0030】
本発明の一実施態様において、ブランク300に対し、折り曲げ加工、および任意選択的に接着加工を行うことにより、トレー100を提供することができる。折り曲げ加工および接着加工は機械的に行ってもよく、また手作業で行ってもよい。
【0031】
このように形成されたトレー100は、円柱や逆円錐台形の形状を有する容器の輸送および/または保管に好ましく、特に、内容物が軟性であるなどの破損しやすい物品の輸送および/または保管に好ましい。例えば、これらに限定されないが、プリンなどの食品類、植物の苗、鉢などに用いることができる。
【0032】
このように、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施態様においても本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施態様におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的に応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0033】
10 底板
20 第1の側面
25 稜
30 第2の側面
40 仕切り片
41 第3の接触部
45 切欠
50 第1の支持片
51 第1の接触部
55 開口
60 第2の支持片
61 第2の接触部
70 凸部
75 凹部
100 トレー
200 収容物
300 ブランク
310 底板
320 第1の面
325 第1の折り曲げ線
330 第2の面
335 第2の折り曲げ線
340 仕切り片となる部分
345 切欠となる部分
350 第1の支持片となる部分
355 開口
360 第2の支持片となる部分
370 凸部となる部分
375 凹部となる切欠
図1
図2
図3
図4
図5
図6