(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】車両用警告システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221109BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20221109BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G08G1/16 C
H04R1/40 330
G08G1/16 F
G06F3/01 560
(21)【出願番号】P 2019118258
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-065260(JP,A)
【文献】特開2008-113190(JP,A)
【文献】特開2018-088239(JP,A)
【文献】特開2013-013042(JP,A)
【文献】特開2015-064703(JP,A)
【文献】特開2017-168086(JP,A)
【文献】特開2001-199296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 -99/00
H04R 1/00
H04R 1/02
H04R 1/06
H04R 1/20
H04R 1/22
H04R 1/24
H04R 1/26
H04R 1/28
H04R 1/30
H04R 1/32
H04R 1/34
H04R 1/40
H04R 1/44
H04R 3/00
H04R 7/00
H04R 9/00
H04R 13/00
H04R 15/00
H04R 17/00
H04R 17/10
H04R 19/00
H04R 23/00
H04R 29/00
H04R 31/00
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
H04R 3/02 - 3/14
B60R 9/00 - 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発する超音波発生素子を複数有し、各前記超音波発生素子が二次元的に配列された超音波発生素子アレイと、
搭乗者の頭部の位置および形状を測定する頭部位置測定装置と、
前記頭部位置測定装置により測定された前記頭部の位置および形状に基づき、各前記超音波発生素子の発する超音波の位相を制御して前記超音波発生素子アレイの発する超音波が前記頭部の所定領域に集束するようにする制御装置と、
車両外部の障害物の形状を検出する形状検出装置と、
を有し、
前記制御装置は、前記搭乗者の頭部に与える圧力分布が前記障害物の形状に対応するように、前記超音波発生素子アレイを制御し、
前記超音波発生素子アレイの発する超音波による前記頭部の所定領域への圧力により、前記搭乗者に警告を発する、
ことを特徴とする車両用警告システム。
【請求項2】
車両外部の障害物の方向を検出する方向検出装置をさらに有し、
前記搭乗者の頭部の周囲に複数の前記超音波発生素子アレイが配置され、
前記制御装置は、前記障害物の方向と前記搭乗者の頭部に圧力を与える方向とが一致するように、複数の前記超音波発生素子アレイを制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用警告システム。
【請求項3】
車両外部の障害物までの距離を検出する距離検出装置をさらに有し、
前記制御装置は、前記障害物までの距離が近いほど前記搭乗者の頭部に与える圧力が強くなるように、前記超音波発生素子アレイを制御する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用警告システム。
【請求項4】
前記超音波発生素子の発する超音波の周波数は、40000~70000Hzである、ことを特徴とする請求項1ないし請求項
3のいずれか1項に記載の車両用警告システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記超音波発生素子アレイの発する超音波が口元、額、頬、または首に集束するように、前記超音波発生素子アレイを制御する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項
4のいずれか1項に記載の車両用警告システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の搭乗者に対して警告を発する車両用警告システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者に対して安全な運転を促すための警告を発する場合、従来は光や画像により知らせる方法や、警告音により知らせる方法が取られている。
【0003】
特許文献1には、左耳用パラメトリックスピーカーと、右耳用パラメトリックスピーカーとを有した運転サポート装置が記載されており、音声案内は右耳用パラメトリックスピーカーから運転者の右耳にのみ与え、警告音は左耳用パラメトリックスピーカーから運転者の左耳にのみ与えることが記載されている。言語中枢は左脳にあるため、右耳にのみ音声案内を与えることで素早く音声案内を理解することが可能となる。
【0004】
特許文献2には、複数の超音波発生素子を二次元的に配列した超音波発生素子アレイと、各超音波発生素子の位相を制御する制御装置とを有した触覚装置が記載されている。この触覚装置では、制御装置によって各超音波発生素子の発する超音波の位相を制御することで超音波が皮膚の一点に集束するようにし、音響放射圧によって皮膚表面に圧力を生じさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-113855号公報
【文献】特開2003-29898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、光や画像による警告では、その方向に搭乗者の視線が向いていないと効果は著しく低下してしまう。
【0007】
また、音による警告では、車両内外の雑音、車両内の音楽、同乗者との会話などによって聞き取れなかったり反応が遅れたりする可能性がある。
【0008】
そこで本発明の目的は、搭乗者に対してより確実に警告を伝えることが可能な車両用警告システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、超音波を発する超音波発生素子を複数有し、各超音波発生素子が二次元的に配列された超音波発生素子アレイと、搭乗者の頭部の位置および形状を測定する頭部位置測定装置と、頭部位置測定装置により測定された頭部の位置および形状に基づき、各超音波発生素子の発する超音波の位相を制御して超音波発生素子アレイの発する超音波が頭部の所定領域に集束するようにする制御装置と、車両外部の障害物の形状を検出する形状検出装置と、を有し、制御装置は、搭乗者の頭部に与える圧力分布が障害物の形状に対応するように、超音波発生素子アレイを制御し、超音波発生素子アレイの発する超音波による頭部の所定領域への圧力により、搭乗者に警告を発する、ことを特徴とする車両用警告システムである。
【0010】
本発明において、車両外部の障害物の方向を検出する方向検出装置をさらに有し、搭乗者の頭部の周囲に複数の超音波発生素子アレイが配置され、制御装置は、障害物の方向と搭乗者の頭部に圧力を与える方向とが一致するように、複数の超音波発生素子アレイを制御してもよい。
【0011】
本発明において、車両外部の障害物までの距離を検出する距離検出装置をさらに有し、制御装置は、障害物までの距離が近いほど搭乗者の頭部に与える圧力が強くなるように、超音波発生素子アレイを制御してもよい。
【0012】
本発明において、車両外部の障害物の形状を検出する形状検出装置をさらに有し、制御装置は、搭乗者の頭部に与える圧力分布が障害物の形状に対応するように、超音波発生素子アレイを制御してもよい。
【0013】
本発明において、超音波発生素子の発する超音波の周波数は、40000~70000Hzとすることが好ましい。この範囲とすることで、空間解像度を向上させつつ、超音波の減衰を抑えることができる。
【0014】
本発明において、制御装置は、超音波発生素子アレイの発する超音波が口元、額、頬、または首に集束するように、超音波発生素子アレイを制御してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、搭乗者に対して圧力で安全に警告を伝えることができ、より確実に警告を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1の車両用警告システムの構成を示した図。
【
図2】超音波発生素子アレイ10の構成を示した図。
【
図3】変形例の車両用警告システムの構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1の車両用警告システムの構成を示した図である。実施例1の車両用警告システムは、車両の運転者に対して圧力で警告を伝える装置である。
図1のように、実施例1の車両用警告システムは、超音波発生素子アレイ10と、頭部位置測定装置11と、制御装置12とを有している。
【0019】
超音波発生素子アレイ10は、運転者の頭部Hから30~60cmの範囲に、超音波の放射方向がその頭部H側となるような姿勢で配置されている。たとえば、ステアリング周辺(中央パッド部、スポーク、外周リム)、ステアリングコラム、インストゥルメンタルパネル、フロントピラー周辺、運転者上部のルーフに配置されている。
【0020】
超音波発生素子アレイ10は、
図2に示すように、超音波発生素子13が二次元的に配列された装置である。各超音波発生素子13は、超音波を発する素子であり、各超音波発生素子13の発する超音波の周波数は同一である。各超音波発生素子13の発する超音波の音圧や位相、駆動タイミングは、制御装置12によって制御可能となっている。超音波発生素子アレイ10は、制御装置12により各超音波発生素子13の駆動タイミング(あるいは超音波の位相)や音圧、駆動する超音波発生素子13の数、位置、駆動時間を制御することで、所望の音圧分布の超音波を発生させることができる。特に、所望の距離、方向に超音波を集束させることが可能となっている。
【0021】
超音波発生素子13は、正方格子状に等間隔に配置されている。二次元的な配列であれば正方格子状に限らず、たとえば三角格子状の配列であってもよい。また、二次元的な配列であれば、必ずしも等間隔である必要はない。たとえば、中心部に近いほど素子間隔を狭くし、中心部から離れるほど素子間隔を広くすることで、サイドローブやグレーティングローブを抑制することが可能である。ここでグレーティングローブは、目的とする方向以外の方向に強い指向性を示すことである。また、サイドローブは、目的とする方向以外の方向に弱い指向性を示すことである。
【0022】
超音波発生素子13を等間隔に配列する場合、その配列間隔は、超音波発生素子13の発する超音波の波長以下であることが好ましい。たとえば周波数40000Hzでは8.5mm以下とすることが好ましい。配列間隔をこのように設定すれば、グレーティングローブを抑制することができる。
【0023】
また、超音波発生素子13の個数は4個以上であればよく、運転者に対して単純に圧力を与えるのであれば4~8個でよい。ただし、超音波発生素子アレイ10の発する超音波の音圧分布は、超音波発生素子13の個数が多いほど空間解像度をより高めることができ、音圧の変化量も大きくすることができる。よって、運転者に与える圧力をより多彩に変化させたい場合には、超音波発生素子13の個数は8個以上とすることが好ましい。
【0024】
超音波発生素子13の発する超音波の周波数は任意でよい。つまり、人の可聴域上限以上の周波数(20000kHz以上)の音波であれば任意である。ただし、超音波の周波数は40000~70000Hzが好ましい。40000Hz以上とすることで、超音波発生素子アレイ10の超音波の集束領域について解像度を十分に向上させることができる。また、70000Hz以下とすることで、空気による超音波の減衰を十分に小さくすることができる。
【0025】
超音波発生素子13には任意の構造を有したものを用いることができる。たとえば、圧電素子を用い、圧電素子に交流電圧を印加して圧電素子を振動させることにより超音波を発生させる素子を用いることができる。
【0026】
超音波発生素子アレイ10は、複数配置してもよい。複数配置することで、運転者頭部Hへ与える圧力の位置、範囲、強さなどの制御をより詳細に行うことができる。たとえば、運転者頭部Hの前後左右上の5箇所に超音波発生素子アレイ10を配置し、それぞれの方向から運転者の頭部Hへ圧力を与えるようにしてもよい。
【0027】
頭部位置測定装置11は、運転者の頭部Hの位置、形状を測定する装置である。たとえば、カメラ、レーザーレーダ、距離画像センサ、などを用いて測定する。頭部位置測定装置11の配置箇所は、車両内であって運転者頭部Hの位置、形状を測定可能であれば任意の位置でよく、超音波発生素子アレイ10に隣接して配置されていてもよい。頭部位置測定装置11により測定された運転者頭部Hの位置、形状のデータは、制御装置12に送信される。
【0028】
制御装置12は、頭部位置測定装置11により測定された運転者頭部Hの位置、形状のデータに基づき、超音波発生素子アレイ10の各超音波発生素子13の発する超音波の駆動タイミング(位相)や音圧を制御する装置である。そして、この制御により、超音波発生素子アレイ10の発する超音波が、運転者頭部Hの所定領域に集束するようにする。
【0029】
制御装置12は、図示しない記憶部を有し、運転者頭部Hの位置、形状のデータや、運転者頭部Hの圧力を与える領域の設定が記憶されている。圧力を与える運転者頭部Hの領域の設定は、たとえば、口元、頬、額、首などである。ただし、目、鼻、耳は除外することが好ましい。これらの領域に集束した超音波が照射されて圧力が与えられると、運転者の視覚、聴覚、嗅覚や呼吸を阻害してしまう可能性があるためである。圧力を与える運転者頭部Hの領域は複数箇所設定されていてもよい。また、運転者の操作により、運転者頭部Hの圧力を与える領域を選択可能としてもよい。
【0030】
次に、実施例1の車両用警告システムの動作について説明する。
【0031】
まず、頭部位置測定装置11は、随時、運転者の頭部Hの位置、形状を測定し、その測定したデータを制御装置12に送信する。
【0032】
制御装置12は、記憶部に記憶された運転者の頭部Hの位置、形状のデータと、運転者頭部Hの圧力を与える領域の設定から、運転者頭部Hの圧力を与える領域の位置を算出し、記憶部に記憶する。
【0033】
そして、制御装置12は、運転者に対して警告を行う旨の信号を受信すると、運転者頭部Hの圧力を与える領域の位置に、超音波発生素子アレイ10が発する超音波が集束するように、各超音波発生素子13の駆動タイミングを制御する。なお、駆動タイミング以外の方法で超音波の位相を制御してもよい。また、圧力を与える領域内であれば、集束箇所の数、集束範囲など超音波の圧力分布は任意に設定することができる。これは、超音波発生素子13の駆動する個数、駆動する超音波発生素子13の位置、駆動タイミング、駆動時間、超音波発生素子13の発する超音波の音圧、などを制御することで可能となる。
【0034】
なお、超音波発生素子アレイ10からの超音波は、運転者頭部Hに直接に集束させるのではなく、ルーフや窓ガラスなどによる反射を経てから運転者頭部Hに集束させるようにしてもよい。
【0035】
超音波発生素子アレイ10は、制御装置12による制御によって、超音波を発する。また、その超音波は、運転者頭部Hの圧力を与える領域に集束する。集束した超音波が運転者頭部Hの所定領域に当たると、運転者は超音波の音圧の2乗に比例した音響放射圧を受ける。この音響放射圧によって、運転者頭部Hの所定領域に圧力を感じる。このとき、超音波の音圧分布に応じて種々の感覚を運転者に与えることができる。たとえば、警告内容に応じて圧力を強くしたり、集束範囲を狭くしたりしてもよい。
【0036】
以上のようにして、実施例1の車両用警告システムは、運転者に対して圧力で警告を伝えることができる。触覚は鋭敏に知覚させることができるので、運転者に対して明確に警告を伝えることができる。また、実施例1の車両用警告システムでは、運転者の目、鼻、耳に圧力を与えないようにしているため、運転者の視覚、聴覚、嗅覚や呼吸を阻害しない。よって、運転者の各種操作を阻害せずに安全に警告を伝えることができる。
【0037】
図3は、変形例の車両用警告システムの構成を示した図である。
図3のように、運転者の頭部Hの前後左右の4か所に超音波発生素子アレイ10を配置している。これにより、360°いずれの方向からも運転者の頭部Hへ圧力を与えることが可能となっている。なお、超音波発生素子アレイ10を設ける箇所は4か所に限らず、360°の圧力付与が可能であればいくつ配置してもよい。
【0038】
また、車両Sの前部、後部、左側部、右側部それぞれに車両S外部の障害物の位置および形状を検出する障害物検出装置15が設けられている。障害物検出装置15は、カメラ、ミリ波レーダ、レーザーレーダ、距離画像センサなどである。障害物検出装置15をこのように4箇所に配置することにより、車両の回り360°いずれの方向の障害物も検出可能となっている。障害物検出装置15により検出された障害物の位置および形状の情報は、制御装置12に送信される。
【0039】
変形例の車両用警告システムでは、障害物検出装置15により車両外部の障害物を検出した場合に、運転者に対して超音波発生素子アレイ10により圧力で警告を伝える。ここで、制御装置12は、障害物の位置(距離と方向)、形状に応じて、超音波発生素子アレイ10の発する超音波の圧力分布を決定する。具体的には、障害物の方向と運転者頭部Hに圧力を与える方向とが一致するように、4か所の超音波発生素子アレイ10からの超音波の圧力分布を制御する。また、障害物までの距離が近いほど運転者頭部Hに与える圧力が強くなるように、4か所の超音波発生素子アレイ10からの超音波の圧力分布を制御する。また、障害物の形状と圧力分布が対応するように制御する。
【0040】
たとえば、車両Sの右斜め45°方向に断面が長方形状の障害物Aが
図3のような配置で存在する場合、制御装置12は、車両右前方45°の方向から運転者頭部Hに向かって圧力を与え、その圧力分布が長方形の角部に対応するように、4か所の超音波発生素子アレイ10を制御する。このように制御された状態で超音波発生素子アレイ10から超音波を発すると、運転者は、車両右前方45°の方向から頭部Hに長方形の角部を押しつけられたような感覚を受ける。
【0041】
また、たとえば、車両Sの後方に断面が三角形状の障害物Bが
図3のような配置で存在する場合、制御装置12は、車両後方から運転者頭部Hに向かって圧力を与え、その圧力分布が三角形の角部に対応するように、4か所の超音波発生素子アレイ10を制御する。このように制御された状態で超音波発生素子アレイ10から超音波を発すると、運転者は、車両後方から頭部Hに三角形の角部を押しつけられたような感覚を受ける。
【0042】
また、たとえば、車両Sの左側方に断面が長楕円の障害物Cが
図3のような配置で存在する場合、制御装置12は、車両左側方から運転者頭部Hに向かって圧力を与え、その圧力分布が長楕円に対応するように、4か所の超音波発生素子アレイ10を制御する。このように制御された状態で超音波発生素子アレイ10から超音波を発すると、運転者は、車両左側方から頭部Hに長楕円を押しつけられたような感覚を受ける。
【0043】
以上のように、変形例の車両用警告システムでは、運転者に対して、障害物の位置および形状に関する警告を圧力により伝えることができる。
【0044】
なお上記変形例では、障害物の距離、方向、形状のいずれも測定してそれらに関する警告を伝えているが、障害物の距離、方向、形状のうち1つないし2つを測定して警告を伝えるようにしてもよい。たとえば、障害物の距離のみを測定し、圧力の強弱によって運転者に対して障害物の距離に関する警告を伝えてもよい。また、障害物の形状のみを測定し、その形状に対応した圧力分布によって運転者に対して障害物の形状に関する警告を伝えてもよい。また、障害物の方向に関する警告をしない場合には、超音波発生素子アレイ10は1つでよい。
【0045】
また、実施例1の車両用警告システムは、運転者に対して警告を行うものであったが、本発明は警告対象は運転者に限らず、助手席や後部座席の同乗者に対して警告を行うものであってもよい。つまり、本発明の警告対象は搭乗者である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の警告システムは、車両の運転者に安全運転を促すための警告を与えることなどに利用できる。
【符号の説明】
【0047】
10:超音波発生素子アレイ
11:頭部位置測定装置
12:制御装置
13:超音波発生素子
15:障害物検出装置