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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】拘束装置およびロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/02 20060101AFI20221109BHJP
   G01L 1/26 20060101ALI20221109BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B25J19/02
G01L1/26 B
G01L5/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019137175
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021020264
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-174696(JP,A)
【文献】特開2015-71214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0100160(US,A1)
【文献】特開昭64-35331(JP,A)
【文献】特開平11-347657(JP,A)
【文献】特開昭58-120484(JP,A)
【文献】特開2019-86123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/02
G01L 1/26
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状のコア部と前記コア部を取り囲む筒状のフレーム部とを有する力覚センサを拘束する拘束装置であって、
前記フレーム部の一方の底面に固定される基部と、
前記基部から前記フレーム部の外側面に沿って延在する拘束部と、を備え、
前記拘束部は、前記フレーム部に近づく方向に移動可能であり、
前記拘束部には、前記拘束部が前記フレーム部に近づいたとき、前記コア部の他方の底面に固定されたテーブル部の側面に形成された凹部または凸部に嵌合する凸部または凹部が形成されている、
ことを特徴とする拘束装置。
【請求項2】
前記基部は、ロボットアームに固定可能に構成されており、
前記テーブル部は、ロボットハンドに固定可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の拘束装置。
【請求項3】
前記拘束部を三以上備えている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の拘束装置。
【請求項4】
前記基部には、前記方向と平行に延在する溝が形成されており、
前記拘束部が前記溝と嵌合することにより、前記拘束部の移動方向が前記方向に規制されている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の拘束装置。
【請求項5】
前記溝は、T字溝である、
ことを特徴とする請求項4に記載の拘束装置。
【請求項6】
前記基部は、前記拘束部と嵌合する溝または孔が形成されたガイドプレートと、前記ガイドプレートを回転させる駆動装置と、を有しており、
前記ガイドプレートおよび前記拘束部は、前記ガイドプレートの回転運動を前記拘束部の直線運動に変換するカム機構として機能する、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の拘束装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、動力シリンダまたはソレノイドである、
ことを特徴とする請求項6に記載の拘束装置。
【請求項8】
前記拘束部は、前記ガイドプレートに形成された前記溝または孔の側壁と当接するカムフォロワを有している、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の拘束装置。
【請求項9】
ロボットアームと、
前記ロボットアームに固定される請求項1~7のいずれか一項に記載の拘束装置と、
前記拘束装置に固定される力覚センサと、
前記力覚センサに対して固定されるロボットハンドと、を有し、
前記拘束装置の前記基部が前記ロボットアームに固定されており、
前記力覚センサにおける前記フレーム部の一方の底面が前記基部に固定されており、
前記ロボットハンドが前記テーブル部に固定されている、
ことを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拘束装置およびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットなどのロボットにおいて、ロボットアームとロボットハンドとの間に力覚センサを有するロボットが知られている。当該ロボットにおいて、力覚センサの受動部には取付け板が固定されており、当該取付け板にロボットハンドが固定されている。さらに、当該ロボットは、力覚センサの軸と平行な方向に延在する伸縮自在な芯側ロッドと鞘側ロッドとを有する。
【0003】
取付け板には孔が形成されており、鞘側ロッドはロボットアーム側に配置されており、芯側ロッドはロボットハンド側から孔を通ってロボットアーム側の鞘側ロッドに収容される。芯側ロッドおよび鞘側ロッドはアクチュエータによって伸縮し、縮まった時に、芯側ロッドはロボットハンド側から、鞘側ロッドはロボットアーム側から、それぞれ孔の両側に設けられたテーパ状の側壁に当接し、取付け板を軸方向に移動しないように固定する。
【0004】
また、芯側ロッドおよび鞘側ロッドの一部分は、上記側壁に当接するテーパ状に形成されている。したがって、芯側ロッドおよび鞘側ロッドの上記側壁への当接によって、取付け板の表面方向においても、取付け板が移動しないように固定される。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-174696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記のロボットでは、芯側ロッドと鞘側ロッドとを、力覚センサの軸に平行な方向に伸縮するように、アクチュエータで駆動させて取付け板を固定している。芯側ロッドおよび鞘側ロッドは、アクチュエータで上記の軸方向に移動可能に取り付けられていることから、当該軸方向に沿って取付け板に力が作用したときに、アクチュエータの動力源が当該力を吸収するように変形することがある。このため、上記のように芯側ロッドおよび鞘側ロッドによって取付け板を固定しても、当該軸方向に実質的に移動しないように取付け板を固定することができないことがある。
【0007】
このように、上述のような従来技術は、力覚センサの軸方向に移動しないようにロボットハンドを固定することが不十分なことがある。当該ロボットハンドの固定が不十分であると、力覚センサを備えるロボットが、力覚センサの定格を超える力で作業したときに、力覚センサに想定以上の変形が生じ、力覚センサが破損することがある。このため、力覚センサの破損を防ぐためには、ロボットの作業を、力覚センサに作用する力が力覚センサの定格を超えない条件の作業に制限する必要がある。
【0008】
本発明の一態様は、力覚センサにおいて力を検出するコア部が力覚センサの軸方向に移動しないように必要に応じて十分強固に固定可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る拘束装置は、柱状のコア部と前記コア部を取り囲む筒状のフレーム部とを有する力覚センサを拘束する拘束装置であって、前記フレーム部の一方の底面に固定される基部と、前記基部から前記フレーム部の外側面に沿って延在する拘束部と、を備え、前記拘束部は、前記フレーム部に近づく方向に移動可能であり、前記拘束部には、前記拘束部が前記フレーム部に近づいたとき、前記コア部の他方の底面に固定されたテーブル部の側面に形成された凹部または凸部に嵌合する凸部または凹部が形成されている。
【0010】
上記の構成によれば、当該テーブルの側面に向けて拘束部が進出、退行することにより、当該拘束部が有する凸部または凹部が、テーブル部の側面に形成された凹部または凸部に嵌合する。よって、力覚センサの軸方向に交差する方向において上記凸部または凹部と凹部または凸部とが嵌合する。したがって、力覚センサにおいて力を検出するコア部が力覚センサの軸方向に移動しないように必要に応じて十分強固に固定することが可能である。
【0011】
本発明の態様2に係る拘束装置は、上記態様1において、前記基部は、ロボットアームに固定可能に構成されていてもよく、前記テーブル部は、ロボットハンドに固定可能に構成されていてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、ロボットハンドから力覚センサに作用する力をより精度よく検出することが可能である。
【0013】
本発明の態様3に係る拘束装置は、上記態様1または2において、前記拘束部を三以上備えていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、互いに直交する三方向、及び、これらの方向の各々に平行な軸を回転軸とする回転方向の6方向に移動しないように、テーブル部を確実に固定することが可能である。
【0015】
本発明の態様4に係る拘束装置は、上記態様1から3において、前記基部には、前記方向と平行に延在する溝が形成されており、前記拘束部が前記溝と嵌合することにより、前記拘束部の移動方向が前記方向に規制されていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、拘束部を、テーブル部の凹部または凸部に対してより精密に移動させることが可能である。
【0017】
本発明の態様5に係る拘束装置は、上記態様4において、前記溝はT字溝であってよい。
【0018】
上記の構成によれば、拘束部が移動する際に、拘束部の移動方向に対する左右方向のみならず上下方向への位置のブレがより抑制され、拘束部の凸部または凹部をテーブル部の凹部または凸部に向けてより正確に案内することが可能である。
【0019】
本発明の態様6に係る拘束装置は、上記態様4または5において、前記基部は、前記拘束部と嵌合する溝または孔が形成されたガイドプレートと、前記ガイドプレートを回転させる駆動装置と、を有しており、前記ガイドプレートおよび前記拘束部は、前記ガイドプレートの回転運動を前記拘束部の直線運動に変換するカム機構として機能してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、複数の拘束部を同期してテーブル部に対して進出、退行させることが可能である。
【0021】
本発明の態様7に係る拘束装置は、上記態様6において、前記駆動装置は、動力シリンダまたはソレノイドであってよい。
【0022】
上記の構成によれば、拘束装置を備えるロボットが利用される環境において駆動装置の動力源を容易に用意することが可能である。
【0023】
本発明の態様8に係る拘束装置は、上記態様6または7において、前記拘束部は、前記ガイドプレートに形成された前記溝または孔の側壁と当接するカムフォロワを有していてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、当該カム機構を用いる場合に、同期して移動する拘束部をより円滑に移動させることが可能である。
【0025】
本発明の態様9に係るロボットは、ロボットアームと、前記ロボットアームに固定される上記態様1~8における拘束装置と、前記拘束装置に固定される力覚センサと、前記力覚センサに対して固定されるロボットハンドと、を有し、前記拘束装置の前記基部が前記ロボットアームに固定されており、前記力覚センサにおける前記フレーム部の一方の底面が前記基部に固定されており、前記ロボットハンドが前記テーブル部に固定されている。
【0026】
上記の構成によれば、上記の拘束装置によって、力覚センサの軸方向にコア部が移動しないようにコア部を必要に応じて十分強固に固定することが可能である。よって、力覚センサを拘束装置で拘束する場合では、力覚センサの定格を超える力が力覚センサに作用する条件でのロボットハンドの作業が可能である。また、拘束装置による力覚センサの拘束を解除する場合では、力覚センサによる力の検出を伴うロボットハンドの作業が可能である。このように、力覚センサの定格に関わらずロボットハンドに応じた様々な作業を一台のロボットで実施することが可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、力覚センサにおいて力を検出するコア部が力覚センサの軸方向に移動しないように必要に応じて十分強固に固定可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態1に係るロボットの構成を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すロボットの分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る拘束装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図4図3に示す拘束装置における要部の断面を模式的に示す図である。
図5図3に示す拘束装置におけるガイドプレートを説明するための図である。
図6図3に示す拘束装置に固定されている力覚センサの断面を模式的に示す図である。
図7図3に示す拘束装置の非拘束状態を説明するための要部断面図である。
図8図3に示す拘束装置が拘束状態となる場合のガイドプレートおよび拘束部の移動を説明するための図である。
図9図3に示す拘束装置の拘束状態を説明するための要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0030】
<ロボットの全体構成>
図1は、本発明の実施形態1に係るロボットの構成を模式的に示す斜視図である。
図2は、図1に示すロボットの分解斜視図である。
【0031】
ロボット100は、ロボットアーム10、拘束装置20、力覚センサ30およびロボットハンド50を有する。拘束装置20はロボットアーム10に固定されており、力覚センサ30は拘束装置20に固定されており、ロボットハンド50は力覚センサ30に対して固定されている。より詳しくは、拘束装置20の基部21がロボットアーム10に固定されており、力覚センサ30におけるフレーム部31の一方の底面が基部21に固定されており、ロボットハンド50が、力覚センサ30とロボットハンド50との間に介在するテーブル部40に固定されている。このように、基部21は、ロボットアーム10に固定可能に構成されており、テーブル部40は、ロボットハンド50に固定可能に構成されている。
【0032】
<拘束装置の構成>
図3は、本発明の実施形態1に係る拘束装置の構成を模式的に示す斜視図である。図4は、図3に示す拘束装置20における要部の断面を模式的に示す図である。図5は、図3に示す拘束装置20におけるガイドプレートを説明するための図である。拘束装置20は、基部21および拘束部22を有する。力覚センサ30は基部21に固定され、力覚センサ30にはテーブル部40が固定される。力覚センサ30およびテーブル部40については後述する。
【0033】
<基部の構成>
基部21は、本体210、溝211、ガイドプレート212、エアシリンダ213および支持部214を有している。基部21は、例えばボルトおよびナットによってロボットアーム10に固定可能に構成されている。
【0034】
本体210は、その外形が円柱状のケーシングを構成している。
【0035】
溝211は、本体210を平面視したときの周縁部から中央部に向けて延在している。溝211は、三本存在し、互いに等間隔に(放射状に)配置されている。溝211は、それぞれ、本体210の一方の主面に開口している。溝211は、それぞれT字溝である。
【0036】
ガイドプレート212は、板状の部材であり、平面視したときに正三角形様の形状を有している。正三角形様の形状とは、例えば、正三角形の角を円弧で丸めた形状である。ガイドプレート212は、本体210の内部空間に収容されており、正三角形様の形状における正三角形の重心Gにおいて、回転自在に軸支されている。
【0037】
ガイドプレート212は、三つの孔215を有している。それぞれの孔215は、平面視したときにトラック形状を有している。トラック形状とは、矩形の短辺が半円の円弧に置き換えられた形状である。孔215は、その中心軸(長軸)が、上記の正三角形様の形状における角部と、当該角部から重心Gを見たときの重心Gよりも左側の位置とを結ぶように、ガイドプレート212に形成されている。
【0038】
また、ガイドプレート212は、板状の接続部216を有している。接続部216は、例えば、上記の正三角形様の一辺に対応する縁部の中央から突き出た部分である。なお、本体210は、側壁の一部にスリットを有しており、接続部216は、当該スリットを介して本体210の外側まで突き出ている。
【0039】
エアシリンダ213は、高圧空気を動力とする動力シリンダの一例である。エアシリンダ213において、ピストンはシリンダ中を往復運動する。当該ピストンに接続されているシャフトは、本体210よりも外側で接続部216に接続している。このようにして、エアシリンダ213は、ガイドプレート212を回転駆動可能に、ガイドプレート212と接続されている。
【0040】
支持部214は、エアシリンダ213を本体210に固定するための部材である。支持部214は、例えば、板状の部材であり、本体210の側面に固定されるとともに、本体210の外周側でエアシリンダ213を支持している。なお、エアシリンダ213は、二山のクレビス形を介して、支持部214に固定され、支持されている。
【0041】
<拘束部の構成>
拘束部22は、柱状部221、凸部222、嵌合部223およびカムフォロワ224を有している。拘束部22は、後述する力覚センサ30よりも高い強度を有する材料で構成されており、例えば、主に炭素鋼で構成されている。
【0042】
柱状部221は、本体210における第一の主面から突き出ている部分である。柱状部221は、例えば棒状の部材である。
【0043】
凸部222は、柱状部221の先端部に形成されている。凸部222の形状は、例えば円柱形状である。凸部222は、その軸線が溝211の軸線と同一となるように形成されている。
【0044】
嵌合部223は、柱状部221の基端側に形成されている、くびれた部分である。嵌合部223は、T字溝に嵌合する形状に形成されており、溝211に嵌合している。
【0045】
カムフォロワ224は、嵌合部223の基端側に配置されている。カムフォロワ224は、ガイドプレート212の孔215に収容されている。カムフォロワ224は、孔215の周壁との間にわずかに隙間有して、孔215に収容されている。
【0046】
<力覚センサの構成>
図6は、図3に示す拘束装置20に固定されている力覚センサ30の断面を模式的に示す図である。力覚センサ30は、フレーム部31、コア部32、ビーム部33および歪ゲージ34を有している。フレーム部31、コア部32およびビーム部33は、アルミニウムの一体物として構成されており、例えば、アルミニウムのブロックから削り出されて製造される。
【0047】
フレーム部31は、円筒状の枠体である。フレーム部31は、その一方の底面で基部21の本体210における第一の主面に固定されている。
【0048】
コア部32は、フレーム部31の内部に配置されている。コア部32は、フレーム部31の軸方向において、コア部32の一端面がフレーム部31の他方の底面よりもわずかに外側となる位置に配置されている。このように、コア部32は、フレーム部31の他方の底面よりもわずかに外側に突き出る位置に配置されている。コア部32の平面視したときの形状は、例えば円形であり、あるいは六角形である。
【0049】
ビーム部33は、フレーム部31とコア部32とを接続する部分である。ビーム部33は、複数形成されており、力覚センサ30を平面視したときに、放射状に、また等間隔の位置に配置されている。たとえば、コア部32を平面視したときの形状が正六角形である場合では、三体のビーム部33のそれぞれが、当該正六角形の辺のうちの一つ置きの辺に対応するコア部32の側壁とフレーム部31の内周壁とを接続している。また、ビーム部33の軸方向(平面視したときのフレーム部31の法線方向)に垂直な断面の形状は、矩形である。
【0050】
歪ゲージ34は、それが取り付けられている部材の歪に応じた電気信号を出力する部材である。歪ゲージ34は、例えば、ビーム部33の対向する一対の面上に、互いに対向する位置に配置されている。歪ゲージ34は、コア部32が力を受けた場合のビーム部33の歪を検出する。
【0051】
<テーブル部の構成>
テーブル部40は、円板であり、例えば、力覚センサ30におけるフレーム部31等と同じ材料(例えばアルミニウム)で構成されている。テーブル部40は、平面視したときにフレーム部31の同心円となる位置に、コア部32の他方の底面に固定されている。
【0052】
テーブル部40の側壁には、三つの凹部41が形成されている。それぞれの凹部41は、凸部222よりわずかに大きなサイズを有しており、柱状部221が有する凸部222に対向する位置に形成されている。
【0053】
<拘束装置による力覚センサの拘束の説明>
図7は、図3に示す拘束装置20の非拘束状態を説明するための要部断面図である。エアシリンダ213には高圧空気が供給されておらず、ガイドプレート212は、図5に示す位置に配置されている。したがって、図7に示されるように、拘束部22は、力覚センサ30におけるフレーム部31から十分に離れた位置にあり、凸部222は、テーブル部40の凹部41から離れた位置にある。
【0054】
図8は、図3に示す拘束装置20が拘束状態となる場合のガイドプレート212および拘束部22の移動を説明するための図である。図9は、図3に示す拘束装置の拘束状態を説明するための要部断面図である。エアシリンダ213に動力として高圧空気が供給されると、シリンダ中のピストンが移動する。その結果、接続部216が矢印a方向に押され、ガイドプレート212が矢印A方向へ回動する。
【0055】
回動するガイドプレート212における孔215の壁は、孔215に収容されているカムフォロワ224に当接し、カムフォロワ224をガイドプレート212の中心側に押し動かす。拘束部22は、その移動が溝211によって規制されていることから、溝211に沿ってガイドプレート212の中心側に移動する。こうして、ガイドプレート212が矢印a方向に回動することにより、三つの拘束部22が同期して力覚センサ30に向けて進出する。そして、図9に示されるように、凸部222がテーブル部40の凹部41に嵌合する。
【0056】
その結果、三つの拘束部22の凸部222が、テーブル部40の周壁に開口する凹部に嵌合し、拘束部22がテーブル部40の周方向の三か所でテーブル部40を拘束する。テーブル部40は、当該周方向における三か所で拘束部22によって拘束されるため、当該拘束によって前述の6方向の何れにも移動しないように固定される。こうして、拘束部22がテーブル部40を当該6方向の何れの方向にも移動しないように固定するので、テーブル部40を固定するコア部32もまた、当該6方向のいずれの方向にも移動しないよう固定される。
【0057】
エアシリンダ213中の高圧空気をシリンダから排気すると、シャフトに接続する接続部216は、図8図9における矢印b方向に移動し、ガイドプレート212が矢印B方向に回動する。それにより、カムフォロワ224が孔215の壁に押され、拘束部22は溝211に沿って外側に向けて移動する。その結果、ガイドプレート212およびカムフォロワ224(拘束部22)は、図5および図7に示す位置に戻る。拘束部22の移動に伴って、凸部222は凹部41から抜け、離脱する。こうして、拘束部22による力覚センサ30の拘束が解除される。
【0058】
なお、拘束部22によって力覚センサ30を拘束し、あるいは当該拘束を解除させるエアシリンダ213の作動は、ロボット100が実行すべき作業内容に応じて、ロボット100が用いられている生産現場の作業員によって行うことができる。
【0059】
<作用効果>
力覚センサ30が拘束部22によって拘束されていない状態では、ロボットハンド50から力覚センサ30に作用する力は、力覚センサ30によって検出される。すなわち、当該力は、テーブル部40を介してコア部32に伝わり、ビーム部33を歪ませる。この歪は歪ゲージ34によって検出される。よって、力覚センサ30が拘束部22によって拘束されていない状態では、力覚センサ30で力を検出しながらロボットハンド50による作業を実施することができる。
【0060】
力覚センサ30が拘束部22によって拘束された状態では、ロボットハンド50から力覚センサ30に作用する力は、力覚センサ30では検出されない。当該力は、テーブル部40に伝わるが、テーブル部40が前述の6方向のいずれにも移動しないよう、十分に強固に固定されていることから、当該力はコア部32に伝わらない。よって、力覚センサ30が拘束部22によって拘束された状態では、力覚センサ30の定格を超える力が力覚センサ30に作用する条件であっても、ロボットハンド50による作業を実施することができる。
【0061】
以上の説明から明らかなように、拘束装置20は、柱状のコア部32とコア部32を取り囲む筒状のフレーム部31とを有する力覚センサ30を拘束する装置である。そして、拘束装置20は、フレーム部31の一方の底面に固定される基部21と、基部21からフレーム部31の外側面に沿って延在する拘束部22とを備えている。また、拘束部22は、フレーム部31に近づく方向に移動可能であり、拘束部22には、拘束部22がフレーム部31に近づいたとき、コア部32の他方の底面に固定されたテーブル部40の側面に形成された凹部41に嵌合する凸部222が形成されている。よって、コア部32に固定されているテーブル部40を力覚センサ30の軸方向に移動しないように、十分強固に固定することができる。
【0062】
また、基部21は、ロボットアーム10に固定可能に構成されており、テーブル部40は、ロボットハンド50に固定可能に構成されている。よって、力覚センサ30において、ロボットハンド50から力覚センサ30に作用する力をより精度よく検出することが可能である。
【0063】
また、拘束装置20は、拘束部22を三以上備えている。よって、テーブル部40を前述の6方向に移動しないように確実に固定することができる。
【0064】
また、基部21には、拘束部22がフレーム部31に近づく方向と平行に延在する溝211が形成されており、拘束部22が溝211と嵌合することにより、拘束部22の移動方向が、拘束部22がフレーム部31に近づく方向に規制される。よって、拘束部22を、テーブル部40の凹部41に対してより精密に移動させることができる。
【0065】
また、溝211はT字溝である。よって、移動時における拘束部22のブレをより抑制することができ、拘束部22の凸部222をテーブル部40の凹部41に向けてより正確に案内することができる。
【0066】
また、基部21は、拘束部22と嵌合する孔215が形成されたガイドプレート212と、ガイドプレート212を回転させる駆動装置(エアシリンダ213)とを有しており、ガイドプレート212および拘束部22は、ガイドプレート212の回転運動を拘束部22の直線運動に変換するカム機構として機能する。よって、複数の拘束部22を同期してテーブル部40に対して進出、退行させ、複数の拘束部22の凸部222を同期してテーブル部40の側壁にある複数の凹部41に嵌合、離脱させることができる。
【0067】
また、当該駆動装置は、エアシリンダである。よって、ロボット100の使用環境において駆動装置の動力源(高圧空気)を容易に確保することができる。
【0068】
また、拘束部22は、ガイドプレート212に形成された孔215の側壁と当接するカムフォロワ224を有している。ガイドプレート212の回動によって同期して移動する複数の拘束部22をより円滑に移動させることができる。
【0069】
また、ロボット100は、ロボットアーム10と、ロボットアーム10に固定される拘束装置20と、拘束装置20に固定される力覚センサ30と、力覚センサ30に対して固定されるロボットハンド50とを有する。そして、拘束装置20の基部21がロボットアーム10に固定されており、力覚センサ30におけるフレーム部31の一方の底面が基部21に固定されており、ロボットハンド50がテーブル部40に固定されている。よって、力覚センサの定格に関わらずロボットハンドに応じた様々な作業を一台のロボットで実施することができる。
【0070】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0071】
本実施形態のロボットは、検出器および制御装置をさらに備える以外は、前述した実施形態1のロボット100と同様に構成されている。検出器は、ロボットハンドの作業対象であるワークに付帯する識別子を検出するための装置である。検出器は、例えば、ワークに付帯するバーコードを読み取る装置である。当該バーコードは識別子の一例であり、力覚センサを使用するか否かの信号に対応する情報が表示されている。
【0072】
制御装置は、検出器からの入力に応じて、拘束装置20の作動を制御する。たとえば、制御装置は、力覚センサの不使用(力覚センサの拘束)を指示する信号を検出器から受信すると、エアシリンダに高圧空気を供給する。このような制御により、前述したように、ガイドプレートが回動し、拘束部が力覚センサに向けて移動し、拘束部の凸部がテーブル部の凹部に嵌合する。こうして、力覚センサが拘束装置に拘束される。
【0073】
また、力覚センサを使用すべきワークの作業を行う場合では、力覚センサを使用する旨の信号に対応する情報を有するバーコードが、作業対象となるワークに付帯する。検出器が当該バーコードを検出すると、制御装置は、検出器からの信号に応じて、エアシリンダから高圧空気を排出させる。その結果、前述したように、拘束装置による力覚センサの拘束が解除される。
【0074】
本実施形態によれば、前述した実施形態1における効果に加えて、拘束装置による力覚センサの拘束とその解除を、ロボットの作業対象となるワークに応じて自動で実施することができる。
【0075】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0076】
本実施形態のロボットは、拘束装置が第一のスイッチを有し、ロボットハンドが第二のスイッチを有する以外は、前述した実施形態1のロボットと同様に構成されている。第一のスイッチは、エアシリンダへの高圧空気の供給と排気とを切り替え可能な部材であり、例えば、エアシリンダと高圧空気の供給路と外部とを連通する三方弁である。第二のスイッチは、ロボットハンドをテーブル部に固定したときに、第一のスイッチ部材のオンオフを切り替え可能な部材であり、例えば、当該三方弁のハンドルに当接したときに当該ハンドルを所定の位置に案内可能に構成された部材である。
【0077】
本実施形態では、ロボットハンドをテーブル部に固定すると、例えば、第二のスイッチが第一のスイッチに作用して、高圧空気をエアシリンダに供給させる。それにより、ガイドプレートが回動し、拘束部が力覚センサに向けて移動し、拘束部の凸部がテーブル部の凹部に嵌合する。こうして、力覚センサが拘束装置に拘束される。
【0078】
第二のスイッチを有するロボットハンドをテーブル部から外すと、第二のスイッチの作用から解放された第一のスイッチは、高圧空気をエアシリンダから排出させる。その結果、前述したように、拘束装置による力覚センサの拘束が解除される。
【0079】
第二のスイッチを有さないロボットハンドをテーブル部に固定しても、第一のスイッチに対して、高圧空気をエアシリンダに供給させる作用が施されないので、拘束装置による力覚センサの拘束が解除されたままとなる。
【0080】
本実施形態によれば、前述した実施形態1における効果に加えて、拘束装置による力覚センサの拘束とその解除を、ロボットハンドに応じて自動で実施することができる。
【0081】
〔変形例〕
本発明の実施形態は、前述した実施形態の効果が得られる範囲において、実施形態において前述した以外の構成を含んでいてもよい。たとえば、拘束部が凹部を有し、テーブル部が凸部を有していてもよい。さらには、拘束部が凹部と凸部とをそれぞれ有し、テーブル部がそれらに対応する凸部と凹部とをそれぞれ有していてもよい。
【0082】
また、テーブル部が、その周縁から基部側に延在するスカート部をさらに含み、当該スカート部の内周壁に凹凸の一方を形成する場合には、拘束部が力覚センサから離れる方向に進出したときに、拘束部の凹凸の他方がスカート部の凹凸の一方と嵌合してコア部を固定する構成であってもよい。
【0083】
また、拘束装置は、拘束部を移動させるための構成として、前述のガイドプレート以外の構成を有していてもよい。たとえば、拘束装置は、当該構成として、溝に嵌合している拘束部を押出し可能なネジを有していてもよい。この場合、個々の拘束部について、当該ネジを螺合することによって拘束部を力覚センサに向けて押出し、近づけることにより、凸部と凹部と嵌合させることが可能である。
【0084】
また、駆動装置は、エアシリンダ以外の装置であってもよい。エアシリンダ以外の駆動装置の例には、エアシリンダ以外の他の動力シリンダおよびソレノイドが含まれ、当該他の動力シリンダの例には、油圧シリンダおよび電動シリンダが含まれる。なお、動力シリンダは、単動式であってもよいし、複動式であってもよい。
【0085】
また、テーブル部は、拘束装置およびロボットの形態に応じて種々の形態となり得る。たとえば、テーブル部は、力覚センサの一部を構成する部材であってもよいし、ロボットハンドの一部を構成する部材であってもよいし、ロボットアームの一部を構成する部材であってもよい。また、テーブル部は、拘束装置の一構成であってもよい。
【0086】
また、前述の実施形態では、拘束装置によって力覚センサを拘束するための凹凸の数は三対であるが、当該凹凸の対の数は、前述の6方向にコア部が移動しないようにコア部を拘束可能であれば、単数であってもよい。たとえば、拘束部が有する凸部の断面の形状が非円形(楕円形、多角形など)であれば、嵌合する凹凸は一対であってもよい。この構成によっても、6方向に移動しないようにテーブル部を確実に固定することが可能である。
【0087】
また、孔は、その軸方向における一端または両端に、孔中のカムフォロワを孔の端部から押し出すように付勢する付勢部材をさらに有していてもよい。この構成によれば、ガイドプレートの回動に伴ってカムフォロワが所期の方向へ移動しやすくなるので、拘束部を円滑かつ確実に移動させる観点からより一層効果的である。
【0088】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 ロボットアーム
20 拘束装置
21 基部
22 拘束部
30 力覚センサ
31 フレーム部
32 コア部
33 ビーム部
34 歪ゲージ
40 テーブル部
41 凹部
50 ロボットハンド
100 ロボット
210 本体
211 溝
212 ガイドプレート
213 エアシリンダ
214 支持部
215 孔
216 接続部
221 柱状部
222 凸部
223 嵌合部
224 カムフォロワ
a、b、A、B 矢印
G 重心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9