(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】試料注入装置、試料注入装置の教示方法および試料注入装置の教示プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20221109BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20221109BHJP
G01N 30/24 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01N1/00 101K
G01N35/10 C
G01N30/24 J
G01N30/24 E
(21)【出願番号】P 2019144804
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】福島 大貴
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-300152(JP,A)
【文献】国際公開第2015/105079(WO,A1)
【文献】特開平9-127137(JP,A)
【文献】特開2015-17863(JP,A)
【文献】特開2012-181136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/224476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
G01N 35/00-37/00
G01N 30/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器の位置が教示される試料注入装置であって、
前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、
前記試料注入装置は、
前記試料容器を支持する支持部と、
前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子と、
前記接触子を駆動する接触子駆動部と、
前記支持部の上方において、前記接触子駆動部を制御することにより、前記接触子を下方に移動させる第1の移動制御部と、
前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを検出する接触検出部と、
前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定する高さ判定部と、
前記高さ判定部により前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子駆動部を制御することにより、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させる第2の移動制御部と、
前記高さ判定部により前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記接触子駆動部を制御することにより、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させる第3の移動制御部と、
前記第1、第2または第3の移動制御部による制御と前記高さ判定部による判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定する特定部とを備える、試料注入装置。
【請求項2】
前記高さ判定部は、前記第1の移動制御部により前記接触子が下方に移動されたときに、第1回目の高さ判定を行い、
前記第1回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定する、請求項1記載の試料注入装置。
【請求項3】
前記第1回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、
前記第2の移動制御部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触しなくなるまで前記接触子を第1の方向に移動させ、
前記第1の移動制御部は、前記第2の移動制御部による制御の終了後、前記接触子を下方に移動させ、
前記高さ判定部は、第2回目の高さ判定を行い、
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定する、請求項2記載の試料注入装置。
【請求項4】
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、
前記第3の移動制御部は、前記接触子を前記第1の方向とは反対の方向に前記蓋部の直径よりも短い距離だけ移動させ、
前記第1の移動制御部は、前記第3の移動制御部による制御の終了後、前記接触子を下方に移動させ、
前記高さ判定部は、第3回目の高さ判定を行い、
前記第3回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定する、請求項3記載の試料注入装置。
【請求項5】
前記第3回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、
前記第2の移動制御部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触しなくなるまで、前記接触子が前記蓋部の前記開口部に近づくように前記接触子を前記第1の方向または前記第1の方向とは反対の方向に移動させ、
前記第2の移動制御部による制御の終了後、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定する、請求項4記載の試料注入装置。
【請求項6】
前記第1回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、
前記第3の移動制御部は、前記蓋部の直径よりも短い距離だけ前記接触子を第2の方向に移動させ、
前記第1の移動制御部は、前記第3の移動制御部による制御の終了後、前記接触子を下方に移動させ、
前記高さ判定部は、第2回目の高さ判定を行い、
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定する、請求項2~5のいずれか一項に記載の試料注入装置。
【請求項7】
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、
前記第2の移動制御部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触しなくなるまで、前記接触子が前記蓋部の前記開口部に近づくように前記接触子を前記第2の方向または前記第2の方向とは反対の方向に移動させ、
前記第2の移動制御部による制御の終了後、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定する、請求項6記載の試料注入装置。
【請求項8】
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、
前記第3の移動制御部は、前記第1回目の高さ判定における前記接触子の位置から前記蓋部の直径よりも短い距離だけ前記接触子を前記第2の方向とは反対の方向に移動させ、
前記高さ判定部は、第3回目の高さ判定を行い、
前記第3回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定する、請求項6または7記載の試料注入装置。
【請求項9】
前記第3回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、
前記第2の移動制御部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触しなくなるまで、前記接触子が前記蓋部の前記開口部に近づくように前記接触子を前記第2の方向または前記第2の方向とは反対の方向に移動させ、
前記第2の移動制御部による制御の終了後、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定する、請求項8記載の試料注入装置。
【請求項10】
前記接触子の前記下端部は、斜め下方を向くテーパ面を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の試料注入装置。
【請求項11】
前記試料容器の前記蓋部の上面の高さを示す容器情報を取得する容器情報取得部をさらに備え、
前記高さ判定部は、前記容器情報取得部により取得された容器情報と前記接触検出部による検出結果とに基づいて、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さと、前記第2の高さとのいずれにあるかを判定する、請求項1~10のいずれか一項に記載の試料注入装置。
【請求項12】
前記高さ判定部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触しないときに、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定する、請求項1~11のいずれか一項に記載の試料注入装置。
【請求項13】
前記特定部により特定された前記試料容器の位置の周囲の部分と前記接触子の前記下端部との接触が前記接触検出部により検出されるように前記接触子駆動部を制御する中心探索部と、
前記周囲の部分の位置に基づいて前記特定部により特定された位置が前記試料容器の前記開口部の中心に近づくように前記特定部により特定された位置を補正する補正部とをさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の試料注入装置。
【請求項14】
試料注入装置に試料容器の位置を教示する試料注入装置の教示方法であって、
前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、
前記試料注入装置の教示方法は、
前記試料容器を支持する支持部の上方において、前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子を下方に移動させるステップと、
前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを接触検出部により検出するステップと、
前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定するステップと、
前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させるステップと、
前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させるステップと、
前記接触子の移動と前記接触子の前記下端部の高さの判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定するステップとを含む、試料注入装置の教示方法。
【請求項15】
処理装置により実行可能な試料注入装置に試料容器の位置を教示する試料注入装置の教示プログラムであって、
前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、
前記試料注入装置の教示プログラムは、
前記試料容器を支持する支持部の上方において、前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子を下方に移動させる処理と、
前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを接触検出部により検出する処理と、
前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定する処理と、
前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させる処理と、
前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させる処理と、
前記接触子の移動と前記接触子の前記下端部の高さの判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定する処理とを、
前記処理装置に実行させる、試料注入装置の教示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料注入装置、試料注入装置の教示方法および試料注入装置の教示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体試料をガスクロマトグラフに注入する装置として試料注入装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された自動試料注入装置においては、シリンジの下方に試料容器がある状態で、シリンジが下降されることにより、シリンジの針が試料容器内に導かれる。次に、シリンジのプランジャが引き上げられることにより、試料容器内の試料が所定量だけシリンジのバレル内に吸引される。
【0003】
その後、シリンジの下方にガスクロマトグラフの試料気化室がある状態で、シリンジが下降されることにより、シリンジの針が試料気化室内に導かれる。次に、シリンジのプランジャが押し下げられることにより、シリンジのバレル内に吸引された試料が試料気化室内に注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試料注入装置において、シリンジを試料容器にアクセスさせる場合、試料容器の位置を試料注入装置に教示(ティーチング)することがある。この教示においては、円柱状の接触子が試料容器の上方付近に移動される。この状態で、円柱状の接触子の水平方向における位置が少しずつ変更されつつ、当該接触子の上昇および下降が繰り返される。水平方向における各位置で接触子が試料容器と接触したか否かが検出されることにより、試料容器の位置の範囲が特定される。
【0006】
しかしながら、上記の方法においては、接触子の上昇および下降が多数回繰り返されるため、試料容器の位置の特定に長時間を要する。直径が比較的大きい接触子を用いることにより試料容器の位置の特定に要する時間を短縮化することは可能であるが、この場合、試料容器を位置を高精度で検出することができない。試料容器が小型である場合、この問題はより顕著になる。
【0007】
本発明の目的は、試料容器の位置を効率よくかつ高精度で特定することが可能な試料注入装置、試料注入装置の教示方法および試料注入装置の教示プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に従う態様は、試料容器の位置が教示される試料注入装置であって、前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、前記試料注入装置は、前記試料容器を支持する支持部と、前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子と、前記接触子を駆動する接触子駆動部と、前記支持部の上方において、前記接触子駆動部を制御することにより、前記接触子を下方に移動させる第1の移動制御部と、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを検出する接触検出部と、前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定する高さ判定部と、前記高さ判定部により前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子駆動部を制御することにより、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させる第2の移動制御部と、前記高さ判定部により前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記接触子駆動部を制御することにより、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させる第3の移動制御部と、前記第1、第2または第3の移動制御部による制御と前記高さ判定部による判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定する特定部とを備える、試料注入装置に関する。
【0009】
本発明の他の局面に従う態様は、試料注入装置に試料容器の位置を教示する試料注入装置の教示方法であって、前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、前記試料注入装置の教示方法は、前記試料容器を支持する支持部の上方において、前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子を下方に移動させるステップと、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを接触検出部により検出するステップと、前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定するステップと、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させるステップと、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させるステップと、前記接触子の移動と前記接触子の前記下端部の高さの判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定するステップとを含む、試料注入装置の教示方法に関する。
【0010】
本発明のさらに他の局面に従う態様は、処理装置により実行可能な試料注入装置に試料容器の位置を教示する試料注入装置の教示プログラムであって、前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、前記試料注入装置の教示プログラムは、前記試料容器を支持する支持部の上方において、前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子を下方に移動させる処理と、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを接触検出部により検出する処理と、前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定する処理と、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させる処理と、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させる処理と、前記接触子の移動と前記接触子の前記下端部の高さの判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定する処理とを、前記処理装置に実行させる、試料注入装置の教示プログラムに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試料容器の位置を効率よくかつ高精度で特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る試料注入装置の構成を示す図である。
【
図6】接触子の第1の駆動例を説明するための図である。
【
図7】接触子の第1の駆動例を説明するための図である。
【
図8】接触子の第2の駆動例を説明するための図である。
【
図9】接触子の第2の駆動例を説明するための図である。
【
図10】接触子の第2の駆動例を説明するための図である。
【
図11】接触子の第2の駆動例を説明するための図である。
【
図12】接触子の第3の駆動例を説明するための図である。
【
図13】接触子の第4の駆動例を説明するための図である。
【
図14】接触子の第5の駆動例を説明するための図である。
【
図15】接触子の第5の駆動例を説明するための図である。
【
図16】接触子の第5の駆動例を説明するための図である。
【
図17】開口部の中心探索の一例を説明するための図である。
【
図18】中心探索の一例を説明するための図である。
【
図19】中心探索の一例を説明するための図である。
【
図20】中心探索の一例を説明するための図である。
【
図22】
図21の制御部により実行される教示処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図23】
図21の制御部により実行される教示処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図24】
図21の制御部により実行される中心探索処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図29】中心探索の他の例を説明するための図である。
【
図30】中心探索の他の例を説明するための図である。
【
図31】中心探索の他の例を説明するための図である。
【
図32】中心探索の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)試料注入装置の構成
以下、本発明の実施の形態に係る試料注入装置、試料注入装置の教示方法および試料注入装置の教示プログラムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る試料注入装置の構成を示す図である。
図1に示すように、試料注入装置100は、支持部10、シリンジ20、接触子30、接触子駆動部40、接触検出部50、プランジャ駆動部60、記憶部70および制御部80を備える。
【0014】
支持部10は、トレイ110を支持する。トレイ110には、試料が収容された1または複数(
図1の例では5個)の試料容器120が保持される。また、トレイ110には、保持された試料容器120の寸法に関する容器情報を示す情報表示部111が取り付けられる。容器情報は、試料容器120の蓋部の直径および蓋部の上面の高さ等を含む。
【0015】
情報表示部111は、n個(nは1以上の整数)のマグネットであり、2進コードにより容器情報を示してもよい。この場合、情報表示部111は、2n通りの容器情報を示すことが可能である。あるいは、情報表示部111は、RFID(Radio Frequency Identifier)タグ、バーコードまたはQRコード(登録商標)等であってもよい。
【0016】
支持部10には、支持されたトレイ110の情報表示部111から容器情報を読み取る読取部11が設けられる。なお、情報表示部111がマグネットである場合には、読取部11はマグネットセンサである。情報表示部111がRFIDタグ、バーコードまたはQRコードである場合には、読取部11はRFIDリーダ、バーコードリーダまたはQRコードリーダである。
【0017】
シリンジ20および接触子30は、支持部10の上方に配置される。シリンジ20は、針21、バレル22およびプランジャ23を含む。試料容器120内の試料に針21が刺された状態で、プランジャ23が引き上げられることにより、試料容器120内の試料が針21を通してバレル22内に吸引される。また、図示しない試料注入部(例えばガスクロマトグラフの試料気化室)に針21が刺された状態で、プランジャ23が押し下げられることにより、バレル22内の試料が針21を通して試料注入部に注入される。
【0018】
接触子30は、上下方向に延びる棒状の部材であり、下端部31にテーパ面32を含む。本例では、接触子30は、下端部31を除いて円柱形状を有する。また、接触子30の下端部31は、上方から下方に向かって径が漸次減少する円錐形状を有する。これにより、斜め下方を向くテーパ面32が接触子30の下端部31に形成される。さらに、本例では、上下方向における接触子30の略中央部に、外方に突出する平板形状の遮光部33が形成される。
【0019】
接触子駆動部40は、1または複数のアクチュエータを含む。アクチュエータは、例えばステッピングモータである。接触子駆動部40は、接触子30をシリンジ20および接触検出部50とともに上下方向に移動させる。また、接触子駆動部40は、接触子30をシリンジ20および接触検出部50とともに水平方向に移動させる。以下の説明では、シリンジ20および接触検出部50の移動についての言及は省略される。
【0020】
接触子30の下方にいずれかの試料容器120が位置する場合には、接触子30が下降されることにより、接触子30の下端部31が試料容器120の上面と接触する。以下の説明では、接触子30の下端部31と試料容器120の上面とが接触することを、単に接触子30と試料容器120との接触と呼ぶ。また、接触子30の下端部31の高さを単に接触子30の高さと呼ぶ。
【0021】
接触検出部50は、接触子30が試料容器120に接触したか否かを検出する。本例では、接触検出部50は、フォトインタラプタであり、投光部51および受光部52を含む。投光部51と受光部52とは、接触子30が試料容器120に接触していない状態における遮光部33を挟んで対向するように配置される。投光部51により出射された受光部52により光が受光されるか否かに基づいて、接触子30が試料容器120に接触したか否かが検出される。
【0022】
具体的には、接触子30が試料容器120に接触していない場合には、投光部51により出射された光は、遮光部33により遮光されるため、受光部52により受光されない。一方、接触子30が試料容器120に接触した場合には、接触子30が接触検出部50に対して上方に移動するので、投光部51と受光部52とは、遮光部33を挟むことなく直接対向する。そのため、投光部51により出射された光は、受光部52により受光される。
【0023】
プランジャ駆動部60は、ステッピングモータ等のアクチュエータを含み、シリンジ20のプランジャ23を駆動する。記憶部70は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、ハードディスクまたは半導体メモリ等を含み、教示プログラムを記憶する。教示プログラムは、記憶部70とは異なる記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0024】
制御部80は、例えばCPU(中央演算処理装置)を含み、教示プログラムを記憶部70上で実行することにより、後述する教示処理を行う。また、制御部80は、読取部11から容器情報を取得するとともに、接触検出部50から検出結果を取得し、接触子駆動部40およびプランジャ駆動部60の動作を制御する。
【0025】
(2)試料容器の位置の特定
図2は、試料容器120の構成を示す部分断面図である。
図2に示すように、試料容器120は、容器本体121、シール部材122および蓋部123を含む。容器本体121は、上部開口124を有し、試料を収容する。シール部材122、樹脂部材またはゴム部材等により形成されたセプタムであり、容器本体121を密封するように容器本体121の上部開口124に取り付けられる。
【0026】
蓋部123は、容器本体121の上部に取り付けられる。蓋部123の上面中央部には、シール部材122の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する円形の開口部125が形成される。試料の分析時には、
図1のシリンジ20の針21は、蓋部123の開口部125から露出するシール部材122を貫通して、容器本体121内の試料に刺し込まれる。そのため、試料容器120の水平面内における開口部125の位置を特定し、特定された位置を試料容器120の位置として試料注入装置100に教示することが必要となる。
【0027】
図1の制御部80は、いずれかの試料容器120の上方付近に接触子30を搬送するとともに、接触子30を下降させた場合において、接触子30の下端部31について、3段階の高さを検出することができる。
図3~
図5は、接触子30の高さを説明するための図である。
図3に示すように、接触子30が蓋部123に接触した場合、接触子30の高さとして第1の高さH1が検出される。第1の高さH1は、容器情報に含まれる蓋部123の上面の高さと等しい。
【0028】
図4に示すように、接触子30がシール部材122に接触した場合、接触子30の高さとして第2の高さH2が検出される。第2の高さH2は、第1の高さH1よりも下方に位置する。
図5に示すように、接触子30が試料容器120に接触することなく下限位置まで下降した場合、接触子30の高さとして第3の高さH3が検出される。第3の高さH3は、第2の高さH2よりも下方に位置する。
【0029】
接触子30の高さとして第2の高さH2が検出された場合、接触子30の水平面内における位置が水平面内における開口部125の位置として特定される。一方、接触子30の高さとして第1の高さH1または第3の高さH3が検出された場合、水平面内における開口部125の位置を特定するために、接触子30のさらなる駆動が行われる。以下、接触子30の駆動について説明する。
【0030】
(3)接触子の駆動
(a)第1の駆動例
以下の説明では、接触子30が試料容器120と接触しない状態で接触子30を水平方向に移動させることを水平移動と呼ぶ。一方、接触子30が試料容器120と接触した状態で接触子30を水平方向に移動させることを走査と呼ぶ。また、水平面内において直交する2方向をそれぞれX方向およびY方向と呼ぶ。X方向に平行な一方向を+X方向と呼び、その反対方向を-X方向と呼ぶ。同様に、Y方向に平行な一方向を+Y方向と呼び、その反対方向を-Y方向と呼ぶ。
【0031】
図6および
図7は、接触子30の第1の駆動例を説明するための図である。第1の駆動例においては、
図3と同様に、接触子30が蓋部123に接触することにより、
図1の受光部52が受光状態になるとともに、第1の高さH1が検出される。
【0032】
この場合、
図6に矢印で示すように、接触子30が-X方向に走査される。
図6に点線で示すように、接触子30が蓋部123の縁部(本例では内縁部)を越えると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに下降するとともに、接触子30が試料容器120と接触しなくなる。したがって、受光部52が遮光状態になる。この状態においては、接触子30が蓋部123の開口部125の上方にあるのか、蓋部123の外方にあるのかが特定されていない。
【0033】
そこで、
図7に矢印で示すように、接触子30が下降される。
図7に点線で示すように、接触子30がシール部材122に接触した場合には、受光部52が受光状態になるとともに、第2の高さH2が検出される。このときの接触子30の水平面内における位置が、水平面内における開口部125の位置として特定される。
【0034】
(b)第2の駆動例
図8~
図11は、接触子30の第2の駆動例を説明するための図である。第2の駆動例においては、第1の駆動例と同様に、接触子30が蓋部123に接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第1の高さH1が検出される。
【0035】
この場合、
図8に矢印で示すように、接触子30が-X方向に走査される。
図8に点線で示すように、接触子30が蓋部123の縁部(本例では外縁部)を越えると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに下降するとともに、接触子30が試料容器120と接触しなくなる。したがって、受光部52が遮光状態になる。この状態においては、第1の駆動例と同様に、接触子30が蓋部123の開口部125の上方にあるのか、蓋部123の外方にあるのかが特定されていない。
【0036】
そこで、
図9に矢印で示すように、接触子30が下降される。
図9に点線で示すように、接触子30がシール部材122に接触することなく下限位置まで下降した場合には、受光部52が遮光状態のまま、第3の高さH3が検出される。これにより、接触子30が蓋部123の外方にあることが特定される。
【0037】
この場合、
図10に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば容器情報に含まれる蓋部123の直径分だけ+X方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。これにより、
図10に点線で示すように、接触子30が蓋部123に再度接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第1の高さH1が検出される。
【0038】
次に、
図11に矢印で示すように、接触子30が-X方向に走査される。
図11に点線で示すように、接触子30が蓋部123の縁部(本例では内縁部)を越えると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに下降するとともに、接触子30が試料容器120と接触しなくなる。したがって、受光部52が遮光状態になる。
【0039】
この状態においては、接触子30が蓋部123の外方ではなく、蓋部123の開口部125の上方にある。そのため、このときの接触子30の水平面内における位置が、水平面内における開口部125の位置として特定される。
図11の例においては、
図6から
図7の例のように接触子30を下降させる必要がない。
【0040】
なお、
図10の例においては、接触子30が上昇、水平移動および下降されることにより、接触子30が蓋部123に接触する。しかしながら、移動前の接触子30の位置によっては、接触子30が上昇、水平移動および下降されることにより、接触子30が蓋部123ではなく、シール部材122に接触することもある。この場合、受光部52が受光状態になるとともに、第2の高さH2が検出される。そのため、このときの接触子30の水平面内における位置が、水平面内における開口部125の位置として特定され、
図11に対応する接触子30の駆動は行われない。
【0041】
(c)第3の駆動例
図12は、接触子30の第3の駆動例を説明するための図である。第3の駆動例においては、
図5と同様に、接触子30が試料容器120に接触することなく下限位置まで下降することにより、受光部52が遮光状態のまま、第3の高さH3が検出される。
【0042】
この場合、
図12に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば容器情報に含まれる蓋部123の直径の半分(半径分)だけ-X方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。これにより、
図12に点線で示すように、接触子30がシール部材122に接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第2の高さH2が検出される。このときの接触子30の水平面内における位置が、水平面内における開口部125の位置として特定される。
【0043】
(d)第4の駆動例
図13は、接触子30の第4の駆動例を説明するための図である。第4の駆動例においては、第3の駆動例と同様に、接触子30が試料容器120に接触することなく下限位置まで下降することにより、受光部52が遮光状態のまま、第3の高さH3が検出される。
【0044】
この場合、
図13に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば蓋部123の半径分だけ-X方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。これにより、
図13に点線で示すように、接触子30が蓋部123に接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第1の高さH1が検出される。
【0045】
次に、
図11の例と同様に、接触子30が-X方向に走査される。接触子30が蓋部123の縁部(本例では内縁部)を越えると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに下降するとともに、接触子30が試料容器120と接触しなくなる。したがって、受光部52が遮光状態になる。
【0046】
この状態においては、接触子30が蓋部123の外方ではなく、蓋部123の開口部125の上方にある。そのため、このときの接触子30の水平面内における位置が、水平面内における開口部125の位置として特定される。この例においては、
図11の例と同様に、接触子30を下降させる必要がない。
【0047】
(e)第5の駆動例
図14~
図16は、接触子30の第5の駆動例を説明するための図である。第5の駆動例においては、第3または第4の駆動例と同様に、接触子30が試料容器120に接触することなく下限位置まで下降することにより、受光部52が遮光状態のまま、第3の高さH3が検出される。
【0048】
この場合、
図14に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば蓋部123の半径分だけ-X方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。この場合でも、
図14に点線で示すように、接触子30が試料容器120に接触することなく下限位置まで下降することにより、受光部52が遮光状態のまま、第3の高さH3が検出される。
【0049】
そこで、
図15に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば蓋部123の直径分だけ+X方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。これにより、
図15に点線で示すように、接触子30が蓋部123に接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第1の高さH1が検出される。
【0050】
次に、
図16に矢印で示すように、接触子30が+X方向に走査される。
図16に点線で示すように、接触子30が蓋部123の縁部(本例では内縁部)を越えると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに下降するとともに、接触子30が試料容器120と接触しなくなる。したがって、受光部52が遮光状態になる。
【0051】
この状態においては、接触子30が蓋部123の外方ではなく、蓋部123の開口部125の上方にある。そのため、このときの接触子30の水平面内における位置が、水平面内における開口部125の位置として特定される。
図16の例においては、
図11の例のように接触子30を下降させる必要がない。
【0052】
なお、
図15の例においては、接触子30が上昇、水平移動および下降されることにより、接触子30が蓋部123に接触する。しかしながら、移動前の接触子30の位置によっては、接触子30が上昇、水平移動および下降されることにより、接触子30が蓋部123ではなく、シール部材122に接触することもある。この場合、受光部52が受光状態になるとともに、第2の高さH2が検出される。そのため、このときの接触子30の水平面内における位置が、水平面内における開口部125の位置として特定され、
図16に対応する接触子30の駆動は行われない。
【0053】
(4)中心探索
上記の接触子30の駆動により、水平面内における開口部125の位置が特定される。このときに特定された位置を特定位置と呼ぶ。特定位置が試料注入装置100に教示されてもよい。この場合、短時間で教示を終了することができる。一方で、特定位置の周囲の位置の高さに基づいて特定位置よりも開口部125の中心に近い位置がさらに探索され、探索された位置が試料注入装置100に教示されてもよい。これにより、開口部125よりも小径のインサートが容器本体121に取り付けられている場合でも、シリンジ20の針21をインサート内の試料に容易に刺し込むことができる。
【0054】
以下の説明では、特定位置よりも開口部125の中心に近い位置を探索することを中心探索と呼ぶ。
図17~
図20は、中心探索の一例を説明するための図である。接触子30の下端部31が特定位置にある状態から、
図17に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば蓋部123の半径の半分だけ-X方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。この場合、
図17に点線で示すように、接触子30がシール部材122に接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第2の高さH2が検出される。
【0055】
また、接触子30の下端部31が特定位置にある状態から、
図18に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば蓋部123の半径の半分だけ+X方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。この場合、
図18に点線で示すように、接触子30が蓋部123に接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第1の高さH1が検出される。
【0056】
同様に、接触子30の下端部31が特定位置にある状態から、
図19に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば蓋部123の半径の半分だけ-Y方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。この場合、
図19に点線で示すように、接触子30がシール部材122に接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第2の高さH2が検出される。
【0057】
また、接触子30の下端部31が特定位置にある状態から、
図20に矢印で示すように、接触子30が上昇された後、例えば蓋部123の半径の半分だけ+Y方向に水平移動される。その後、接触子30が下降される。この場合、
図20に点線で示すように、接触子30が蓋部123に接触することにより、受光部52が受光状態になるとともに、第1の高さH1が検出される。
【0058】
図17~
図20の例においては、接触子30は、特定位置から-X方向に蓋部123の半径の半分だけ水平移動しかつ-Y方向に蓋部123の半径の半分だけ水平移動しても、開口部125の上方にある。すなわち、開口部125の中心は、特定位置よりも-X方向側にかつ-Y方向側にあることになる。そこで、教示される開口部125の位置が、特定位置から-X方向に所定距離だけシフトされかつ-Y方向に所定距離だけシフトされた位置に補正される。
【0059】
一方、接触子30が特定位置から-X方向、+X方向、-Y方向および+Y方向のいずれの方向に蓋部123の半径の半分だけ水平移動しても、開口部125の上方にあることがある。あるいは、接触子30が特定位置から-X方向、+X方向、-Y方向および+Y方向のいずれの方向に蓋部123の半径の半分だけ水平移動しても、蓋部123の上方にあることがある。これらの場合、特定位置は、開口部125の中心の十分近傍にあるため、教示される開口部125の位置は補正されず、特定位置のままとなる。
【0060】
なお、中心探索においては、開口部125よりも小径のインサートが容器本体121に取り付けられている場合でも、シリンジ20の針21をインサート内の試料に刺し込むことができる程度に特定位置が補正されればよい。したがって、補正後の位置は、開口部125の真の中心と完全に一致していなくてもよい。
【0061】
(5)制御部
図21は、
図1の制御部80の構成を示す図である。
図21に示すように、制御部80は、機能部として、容器情報取得部81、搬送部82、探索部83、検出結果取得部84、高さ判定部85、走査部86、移動部87、特定部88、中心探索部89および補正部90を含む。制御部80が記憶部70または他の記憶媒体に記憶された教示プログラムを実行することにより、制御部80の機能部が実現される。制御部80の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0062】
容器情報取得部81は、
図1のトレイ110の情報表示部111が示す試料容器120の容器情報を読取部11から取得する。搬送部82は、任意の試料容器120の上方付近における予め定められた位置(以下、デフォルト位置と呼ぶ。)に接触子30を搬送するように接触子駆動部40を制御する。探索部83は、接触子30を下降させることにより試料容器120を探索するように接触子駆動部40を制御する。探索部83が第1の移動制御部の例である。
【0063】
検出結果取得部84は、接触子30が試料容器120に接触したか否かの検出結果を接触検出部50から取得する。高さ判定部85は、容器情報取得部81により取得された容器情報と、検出結果取得部84により取得された検出結果とに基づいて、接触子30の高さが第1~第3の高さH1~H3のいずれであるかを判定する。
【0064】
具体的には、接触子30が試料容器120に接触したときの接触子30の高さが容器情報に含まれる蓋部123の上面の高さと等しい場合、接触子30の高さは第1の高さH1であると判定される。接触子30が試料容器120に接触したときの接触子30の高さが蓋部123の上面の高さよりも低い場合、接触子30の高さは第2の高さH2であると判定される。接触子30が試料容器120に接触しない場合、接触子30の高さは第3の高さH3であると判定される。
【0065】
走査部86は、接触子30が試料容器120と接触した状態で接触子30を水平方向に移動(走査)させるように接触子駆動部40を制御する。走査部86が第2の移動制御部の例である。移動部87は、容器情報取得部81により取得された容器情報に含まれる蓋部123の直径に基づいて、接触子30が試料容器120と接触しない状態で接触子30を水平方向に移動(水平移動)させるように接触子駆動部40を制御する。移動部87が第3の移動制御部の例である。
【0066】
特定部88は、高さ判定部85による判定結果または検出結果取得部84による検出結果に基づいて、試料容器120の水平面内における開口部125の位置を特定する。中心探索部89は、特定部88により特定された位置(特定位置)に基づいて中心探索が行われるように接触子駆動部40を制御する。具体的には、接触子30が特定位置の周囲の位置に順次接触するように接触子駆動部40が制御される。
【0067】
補正部90は、中心探索部89により中心探索が行われたときに高さ判定部85により判定される接触子30の高さに基づいて、特定部88により特定された位置を補正する。補正部90により補正された位置が記憶部70に記憶されることにより、試料容器120の位置が試料注入装置100に教示される。
【0068】
なお、試料容器120にインサートが取り付けられない場合には、中心探索が行われなくてもよい。したがって、制御部80は、中心探索部89および補正部90を含まなくてもよい。この場合、特定部88により特定された位置が記憶部70に記憶されることにより、試料容器120の位置が試料注入装置100に教示される。
【0069】
(6)教示処理
図22および
図23は、
図21の制御部80により実行される教示処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。まず、容器情報取得部81は、読取部11から容器情報を取得する(ステップS1)。また、搬送部82は、デフォルト位置に接触子30を搬送させる(ステップS2)。ステップS1,S2は、いずれが先に実行されてもよいし、同時に実行されてもよい。
【0070】
次に、探索部83は、接触子30により試料容器120を探索する(ステップS3)。続いて、検出結果取得部84は、接触検出部50から検出結果を取得する(ステップS4)。その後、高さ判定部85は、接触子30の高さを判定することにより、接触子30がシール部材122に接触しているか否かを判定する(ステップS5)。接触子30がシール部材122に接触している場合、高さ判定部85はステップS31に進む。
【0071】
接触子30がシール部材122に接触していない場合、高さ判定部85は、接触子30が蓋部123に接触しているか否かを判定する(ステップS6)。接触子30が蓋部123に接触している場合、走査部86は、接触子30を-X方向に走査する(ステップS7)。次に、検出結果取得部84は、接触子30が蓋部123に接触しなくなったか否か、すなわち接触検出部50の受光部52が遮光状態になったか否かを判定する(ステップS8)。
【0072】
受光部52が遮光状態になっていない場合、検出結果取得部84はステップS7に戻る。受光部52が遮光状態になるまでステップS7,S8が繰り返される。受光部52が遮光状態になった場合、探索部83は、接触子30により試料容器120を探索する(ステップS9)。続いて、検出結果取得部84は、接触検出部50から検出結果を取得する(ステップS10)。その後、高さ判定部85は、接触子30がシール部材122に接触しているか否かを判定する(ステップS11)。接触子30がシール部材122に接触している場合(
図6および
図7における接触子30の第1の駆動例を参照)、高さ判定部85はステップS31に進む。
【0073】
ステップS11で接触子30がシール部材122に接触していない場合、接触子30は蓋部123の外方にあることとなる。この場合、移動部87は、ステップS1で取得された容器情報に基づいて、接触子30を蓋部123の直径分だけ+X方向に水平移動させる(ステップS12)。
【0074】
次に、探索部83は、接触子30により試料容器120を探索する(ステップS13)。続いて、検出結果取得部84は、接触検出部50から検出結果を取得する(ステップS14)。その後、高さ判定部85は、接触子30がシール部材122に接触しているか否かを判定する(ステップS15)。接触子30がシール部材122に接触している場合(
図8~
図10における第2の駆動例のなお書きを参照)、高さ判定部85はステップS31に進む。
【0075】
ステップS15で接触子30がシール部材122に接触していない場合、接触子30は蓋部123に接触し、かつ、開口部125は接触子30よりも-X方向側にあることとなる。この場合、走査部86は、接触子30を-X方向に走査する(ステップS16)。次に、検出結果取得部84は、受光部52が遮光状態になったか否かを判定する(ステップS17)。
【0076】
受光部52が遮光状態になっていない場合、検出結果取得部84はステップS16に戻る。受光部52が遮光状態になるまでステップS16,S17が繰り返される。受光部52が遮光状態になった場合、接触子30は開口部125の上方にある(
図8~
図11における接触子30の第2の駆動例を参照)。この場合、検出結果取得部84はステップS31に進む。
【0077】
ステップS6で接触子30が蓋部123に接触していない場合には、接触子30は蓋部123の外方にあることとなり、高さ判定部85はステップS18に進む。ステップS18において、移動部87は、ステップS1で取得された容器情報に基づいて、接触子30を蓋部123の半径分だけ-X方向に水平移動させる(ステップS18)。
【0078】
次に、探索部83は、接触子30により試料容器120を探索する(ステップS19)。続いて、検出結果取得部84は、接触検出部50から検出結果を取得する(ステップS20)。その後、高さ判定部85は、接触子30がシール部材122に接触しているか否かを判定する(ステップS21)。接触子30がシール部材122に接触している場合(
図12における接触子30の第3の駆動例を参照)、高さ判定部85はステップS31に進む。
【0079】
接触子30がシール部材122に接触していない場合、高さ判定部85は、接触子30が蓋部123に接触しているか否かを判定する(ステップS22)。接触子30が蓋部123に接触している場合、開口部125は接触子30よりも-X方向側にあることとなる(
図13における接触子30の第4の駆動例を参照)。この場合、走査部86は、接触子30を-X方向に走査する(ステップS23)。
【0080】
次に、検出結果取得部84は、受光部52が遮光状態になったか否かを判定する(ステップS24)。受光部52が遮光状態になっていない場合、検出結果取得部84はステップS23に戻る。受光部52が遮光状態になるまでステップS23,S24が繰り返される。受光部52が遮光状態になった場合、接触子30は開口部125の上方にある。この場合、高さ判定部85はステップS31に進む。
【0081】
ステップS22で接触子30が蓋部123に接触していない場合、接触子30は依然として蓋部123の外方にあり、かつ、試料容器120は接触子30の+X方向側にあることとなる。この場合、高さ判定部85はステップS25に進む。ステップS25において、移動部87は、ステップS1で取得された容器情報に基づいて、接触子30を蓋部123の直径分だけ+X方向に水平移動させる(ステップS25)。
【0082】
次に、探索部83は、接触子30により試料容器120を探索する(ステップS26)。続いて、検出結果取得部84は、接触検出部50から検出結果を取得する(ステップS27)。その後、高さ判定部85は、接触子30がシール部材122に接触しているか否かを判定する(ステップS28)。接触子30がシール部材122に接触している場合(
図14および
図15における接触子30の第5の駆動例のなお書きを参照)、高さ判定部85はステップS31に進む。
【0083】
接触子30がシール部材122に接触していない場合、接触子30は蓋部123に接触し、かつ、開口部125は接触子30の下端部31よりも+X方向側にあることとなる。この場合、走査部86は、接触子30を+X方向に走査する(ステップS29)。次に、検出結果取得部84は、受光部52が遮光状態になったか否かを判定する(ステップS30)。
【0084】
受光部52が遮光状態になっていない場合、検出結果取得部84はステップS29に戻る。受光部52が遮光状態になるまでステップS29,S30が繰り返される。受光部52が遮光状態になった場合、接触子30は開口部125の上方にある(
図14~
図16における接触子30の第5の駆動例を参照)。この場合、検出結果取得部84はステップS31に進む。
【0085】
ステップS31において、特定部88は、接触子30の水平面内における位置を水平面内における開口部125の位置として特定し、特定された位置を記憶部70に記憶させる(ステップS31)。これにより、特定位置が試料容器120の位置として試料注入装置100に教示され、教示処理が終了する。
【0086】
(7)中心探索処理
教示処理のステップS31の後、以下の中心探索処理が実行されてもよい。
図24は、
図21の制御部80により実行される中心探索処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。まず、中心探索部89は、教示処理のステップS31で特定された位置の周囲の位置に接触子30を水平移動および下降させる(ステップS41)。次に、検出結果取得部84は、接触検出部50から検出結果を取得する(ステップS42)。
【0087】
続いて、高さ判定部85は、ステップS42の検出結果に基づいて、特定位置の周囲の位置の高さを取得する(ステップS43)。その後、中心探索部89は、他の位置の高さを取得するか否かを判定する(ステップS44)。本例では、特定位置の周囲の4か所の位置が取得されていない場合、中心探索部89は、他の位置の高さを取得すると判定し、ステップS41に戻る。特定位置の周囲の4か所の位置が取得されるまで、ステップS41~S44が繰り返される。
【0088】
特定位置の周囲の4か所の位置が取得された場合、中心探索部89は、他の位置の高さを取得しないと判定する。この場合、補正部90は、ステップS43で取得された高さに基づいて、ステップS45で特定された位置を補し、補正された位置を記憶部70に記憶させる(ステップS45)。これにより、補正された位置が試料容器120の位置として試料注入装置100に教示され、中心探索処理が終了する。
【0089】
(8)効果
本実施の形態に係る試料注入装置100においては、試料容器120を支持する支持部10の上方において、上下方向に延びかつ蓋部123の開口部125内に挿入可能な下端部31を有する接触子30が下方に移動される。また、接触子30の下端部31が試料容器120の上面に接触したか否かが接触検出部50により検出される。接触検出部50による検出結果に基づいて、接触子30の下端部31が、試料容器120の蓋部123の上面の高さに対応する第1の高さH1と、第1の高さH1よりも低くかつ試料容器120のシール部材122の上面の高さに対応する第2の高さH2と、第2の高さH2よりも低い第3の高さH3とのいずれにあるかが判定される。
【0090】
接触子30の下端部31が第1の高さH1にあると判定された場合、接触子30の下端部31が試料容器120の蓋部123の上面に接触した状態で、接触子30が走査される。また、接触子30の下端部31が第3の高さH3にあると判定された場合、試料容器120よりも上方でかつ接触子30が試料容器120に接触しない状態で、接触子30が水平移動される。接触子30の移動と接触子30の下端部31の高さの判定結果との組み合わせおよび面上における接触子30の位置に基づいて試料容器120の位置が特定される。
【0091】
この構成によれば、接触子30の下端部31がシール部材122の上面の高さに対応する第3の高さH3にあるか否かを判定することにより、接触子30が試料容器120の蓋部123の外方に位置するか否かを判定することが可能である。接触子30が試料容器120の蓋部123の外方に位置する場合には、試料容器120よりも上方でかつ接触子30が試料容器120に接触しない状態で、接触子30を水平移動させることにより、接触子30を試料容器120の上方に近づけることが可能である。そのため、接触子30が試料容器120の蓋部123の外方に位置していた場合でも、試料容器120の位置を特定することができる。
【0092】
また、接触子30の下端部31が蓋部123の上面の高さに対応する第1の高さH1にあるか否かを判定することにより、接触子30の下端部31が試料容器120の蓋部123の上面に接触したか否かを判定することが可能である。接触子30の下端部31が蓋部123の上面に接触した場合には、接触子30の下端部31が蓋部123の上面に接触した状態で、接触子30が走査される。したがって、接触子30の上昇および下降を繰り返すことなく、高い分解能で蓋部123の範囲を特定することが可能になる。これにより、試料容器120の位置を効率よくかつ高精度で特定することができる。
【0093】
本実施の形態において、試料容器120の探索範囲を小さくすることにより、より短時間で効率よく試料容器120の位置を試料注入装置100に教示することができる。また、接触子30は下端部31にテーパ面32を有するので、接触子30の走査時に、蓋部123の範囲を高い精度で特定することができる。さらに、試料容器120の直径が小さい場合でも、開口部125を検知することができる。
【0094】
(9)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、接触子30の下端部31はテーパ面32を含む円錐形状を有するが、実施の形態はこれに限定されない。接触子30の下端部31は、テーパ面32を含む他の形状を有してもよい。
図25~
図28は、接触子30の形状の他の例を示す図である。例えば、
図25に示すように、接触子30の下端部31は、上方から下方に向かって径が漸次減少する円錐台形状を有してもよい。あるいは、
図26に示すように、テーパ面32は、平面形状ではなく、曲面形状を有してもよい。
【0095】
また、接触子30は、下端部31が試料容器120の開口部125内に挿入可能である限り、テーパ面32を含まなくてもよい。例えば、
図27に示すように、接触子30の下端部31の直径が開口部125の直径よりも小さくてもよい。あるいは、
図28に示すように、接触子30の全体の直径が開口部125の直径よりも小さくてもよい。これらの場合には、接触子30は、下端部31にテーパ面32を含まなくてもよい。
【0096】
(b)上記実施の形態において、接触子30が上昇、水平移動および下降されることにより中心探索が行われるが、実施の形態はこれに限定されない。接触子30が下端部31にテーパ面32を含む場合、接触子30が上昇および下降されずに、水平移動されることにより中心探索が行われてもよい。
【0097】
図29~
図32は、中心探索の他の例を説明するための図である。中心探索の他の例では、特定位置において、接触子30が上昇された後、シール部材122と接触寸前になる高さまで下降される。この場合、接触子30は、シール部材122と接触寸前であるものの、シール部材122と接触していないので、受光部52は遮光状態になる。
【0098】
この状態から、
図29に矢印で示すように、接触子30が-X方向に水平移動される。接触子30が開口部125の内壁に接触すると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに上昇することにより、
図29に点線で示すように、接触子30が蓋部123と接触するとともに、受光部52が受光状態になる。このときの接触子30の水平面内における位置が取得される。
【0099】
また、
図30に矢印で示すように、接触子30が+X方向に水平移動される。接触子30が開口部125の内壁に接触すると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに上昇することにより、
図30に点線で示すように、接触子30が蓋部123と接触するとともに、受光部52が受光状態になる。このときの接触子30の水平面内における位置が取得される。
【0100】
同様に、
図31に矢印で示すように、接触子30が-Y方向に水平移動される。接触子30が開口部125の内壁に接触すると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに上昇することにより、
図31に点線で示すように、接触子30が蓋部123と接触するとともに、受光部52が受光状態になる。このときの接触子30の水平面内における位置が取得される。
【0101】
また、
図32に矢印で示すように、接触子30が+Y方向に水平移動される。接触子30が開口部125の内壁に接触すると、接触子30がテーパ面32に沿ってわずかに上昇することにより、
図32に点線で示すように、接触子30が蓋部123と接触するとともに、受光部52が受光状態になる。このときの接触子30の水平面内における位置が取得される。
【0102】
図29~
図32の点線で示された4か所の接触子30の位置に基づいて、開口部125の範囲を特定することが可能である。そこで、特定位置が開口部125の中心の位置に補正され、補正された位置が試料容器120の位置として試料注入装置100に教示される。
【0103】
(c)上記実施の形態において、接触子30がX方向に水平移動または走査されることにより開口部125の位置が特定されるが、実施の形態はこれに限定されない。接触子30がY方向に水平移動または走査されることにより開口部125の位置が特定されてもよい。
【0104】
また、教示処理において、接触子30の移動方向および移動量は
図22および
図23の例に限定されない。例えばステップS7において、接触子30は-X方向ではなく+X方向に走査されてもよい。この場合、ステップS12において、接触子30は+X方向ではなく-X方向に水平移動される。
【0105】
あるいは、ステップS12において、接触子30は蓋部123の直径分ではなく、半径分だけ+X方向に水平移動されてもよい。この場合、ステップS16において、接触子30は-X方向ではなく+X方向に走査される。
【0106】
(10)態様
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0107】
(第1項)一態様に係る試料注入装置は、
試料容器の位置が教示される試料注入装置であって、
前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、
前記試料注入装置は、
前記試料容器を支持する支持部と、
前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子と、
前記接触子を駆動する接触子駆動部と、
前記支持部の上方において、前記接触子駆動部を制御することにより、前記接触子を下方に移動させる第1の移動制御部と、
前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを検出する接触検出部と、
前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定する高さ判定部と、
前記高さ判定部により前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子駆動部を制御することにより、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させる第2の移動制御部と、
前記高さ判定部により前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記接触子駆動部を制御することにより、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させる第3の移動制御部と、
前記第1、第2または第3の移動制御部による制御と前記高さ判定部による判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定する特定部とを備えてもよい。
【0108】
この試料注入装置においては、試料容器を支持する支持部の上方において、上下方向に延びかつ蓋部の開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子が下方に移動される。また、接触子の下端部が試料容器の上面に接触したか否かが接触検出部により検出される。接触検出部による検出結果に基づいて、接触子の下端部が、試料容器の蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、第1の高さよりも低くかつ試料容器のシール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかが判定される。
【0109】
接触子の下端部が第1の高さにあると判定された場合、接触子の下端部が試料容器の蓋部の上面に接触した状態で、接触子が移動される。また、接触子の下端部が第3の高さにあると判定された場合、試料容器よりも上方でかつ接触子が試料容器に接触しない状態で、上下方向に交差する面内で接触子が移動される。接触子の移動と接触子の下端部の高さの判定結果との組み合わせおよび面上における接触子の位置に基づいて試料容器の位置が特定される。
【0110】
この構成によれば、接触子の下端部がシール部材の上面の高さに対応する第3の高さにあるか否かを判定することにより、接触子が試料容器の蓋部の外方に位置するか否かを判定することが可能である。また、接触子が試料容器の蓋部の外方に位置する場合には、試料容器よりも上方でかつ接触子が試料容器に接触しない状態で、上下方向に交差する面内で接触子を移動させることにより、接触子を試料容器の上方に近づけることが可能である。そのため、接触子が試料容器の蓋部の外方に位置していた場合でも、試料容器の位置を特定することができる。
【0111】
また、接触子の下端部が蓋部の上面の高さに対応する第1の高さにあるか否かを判定することにより、接触子の下端部が試料容器の蓋部の上面に接触したか否かを判定することが可能である。接触子の下端部が蓋部の上面に接触した場合には、接触子の下端部が蓋部の上面に接触した状態で、接触子が移動される。したがって、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、高い分解能で蓋部の範囲を特定することが可能になる。これにより、試料容器の位置を効率よくかつ高精度で特定することができる。
【0112】
(第2項)第1項に記載の試料注入装置において、
前記高さ判定部は、前記第1の移動制御部により前記接触子が下方に移動されたときに、第1回目の高さ判定を行い、
前記第1回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定してもよい。
【0113】
この場合、第1回目の高さ判定で、試料容器の位置を容易に特定することができる。
【0114】
(第3項)第2項に記載の試料注入装置において、
前記第1回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、
前記第2の移動制御部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触しなくなるまで前記接触子を第1の方向に移動させ、
前記第1の移動制御部は、前記第2の移動制御部による制御の終了後、前記接触子を下方に移動させ、
前記高さ判定部は、第2回目の高さ判定を行い、
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定してもよい。
【0115】
第1回目の高さ判定で、接触子の下端部が蓋部の上面に接触したと判定された場合、接触子の下端部が蓋部の上面に接触した状態で所定の方向に移動される。ここで、接触子が蓋部の開口部の上方に到達することがある。この場合、第2回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第2の高さにあることが判定されることにより、接触子が蓋部の開口部の上方にあることが特定される。そのため、このときの面上における接触子の位置を特定することにより、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、試料容器の位置を効率よく特定することができる。
【0116】
(第4項)第3項に記載の試料注入装置において、
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、
前記第3の移動制御部は、前記接触子を前記第1の方向とは反対の方向に前記蓋部の直径よりも短い距離だけ移動させ、
前記第1の移動制御部は、前記第3の移動制御部による制御の終了後、前記接触子を下方に移動させ、
前記高さ判定部は、第3回目の高さ判定を行い、
前記第3回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定してもよい。
【0117】
接触子の下端部が蓋部の上面に接触した後、接触子の下端部が蓋部の上面に接触した状態で所定の方向に移動された場合には、接触子が蓋部の外方に到達することがある。この場合、第2回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第3の高さにあることが判定されることにより、接触子が蓋部の外方にあることが特定される。
【0118】
したがって、その後、接触子が反対の方向に移動されることにより、接触子を蓋部の上方に移動させることができる。また、第3回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第2の高さにあることが判定された場合には、接触子が蓋部の開口部の上方にあることが特定される。そのため、このときの面上における接触子の位置を特定することにより、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、試料容器の位置を効率よく特定することができる。
【0119】
(第5項)第4項に記載の試料注入装置において、
前記第3回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、
前記第2の移動制御部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触しなくなるまで、前記接触子が前記蓋部の前記開口部に近づくように前記接触子を前記第1の方向または前記第1の方向とは反対の方向に移動させ、
前記第2の移動制御部による制御の終了後、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定してもよい。
【0120】
第3回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第1の高さにあることが判定された場合には、接触子が蓋部の開口部の上方にないことが特定される。一方、第2回目の高さ判定後の接触子の移動距離から、開口部の方向を特定することが可能である。
【0121】
したがって、接触子の下端部が蓋部の上面に接触した状態で、接触子が開口部に近づくように移動される。接触子が開口部の上方に到達した場合には、接触子の下端部が蓋部の上面に接触しなくなる。そのため、このときの面上における接触子の位置を特定することにより、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、また、接触子の下端部が第2の高さにあることを判定することなく、試料容器の位置を効率よく特定することができる。
【0122】
(第6項)第2~5のいずれか一項に記載の試料注入装置において、
前記第1回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、
前記第3の移動制御部は、前記蓋部の直径よりも短い距離だけ前記接触子を第2の方向に移動させ、
前記第1の移動制御部は、前記第3の移動制御部による制御の終了後、前記接触子を下方に移動させ、
前記高さ判定部は、第2回目の高さ判定を行い、
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定してもよい。
【0123】
第3回目の高さ判定で、接触子が蓋部の外方にあると判定された場合、接触子が試料容器よりも上方でかつ接触子が試料容器に接触しない状態で、所定の方向に移動される。ここで、接触子が蓋部の開口部の上方に到達することがある。この場合、第2回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第2の高さにあることが判定されることにより、接触子が蓋部の開口部の上方にあることが特定される。そのため、このときの面上における接触子の位置を特定することにより、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、試料容器の位置を効率よく特定することができる。
【0124】
(第7項)第6項に記載の試料注入装置において、
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、
前記第2の移動制御部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触しなくなるまで、前記接触子が前記蓋部の前記開口部に近づくように前記接触子を前記第2の方向または前記第2の方向とは反対の方向に移動させ、
前記第2の移動制御部による制御の終了後、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定してもよい。
【0125】
第2回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第1の高さにあることが判定された場合には、接触子が蓋部の開口部の上方にないことが特定される。一方、第1回目の高さ判定後の接触子の移動距離から、開口部の方向を特定することが可能である。
【0126】
したがって、接触子の下端部が蓋部の上面に接触した状態で、接触子が開口部に近づくように移動される。接触子が開口部の上方に到達した場合には、接触子の下端部が蓋部の上面に接触しなくなる。そのため、このときの面上における接触子の位置を特定することにより、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、また、接触子の下端部が第2の高さにあることを判定することなく、試料容器の位置を効率よく特定することができる。
【0127】
(第8項)第6または7項に記載の試料注入装置において、
前記第2回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、
前記第3の移動制御部は、前記第1回目の高さ判定における前記接触子の位置から前記蓋部の直径よりも短い距離だけ前記接触子を前記第2の方向とは反対の方向に移動させ、
前記高さ判定部は、第3回目の高さ判定を行い、
前記第3回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第2の高さにあると判定された場合、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定してもよい。
【0128】
第2回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第3の高さにあることが判定された場合には、接触子が蓋部の上方にないことが特定される。一方、第1回目の高さ判定後の接触子の移動方向とは反対の方向に蓋部があることを特定することが可能である。
【0129】
したがって、接触子が試料容器よりも上方でかつ接触子が試料容器に接触しない状態で、第1回目の高さ判定後の接触子の移動方向とは反対の方向に移動される。ここで、接触子が蓋部の開口部の上方に到達することがある。この場合、第3回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第2の高さにあることが判定されることにより、接触子が蓋部の開口部の上方にあることが特定される。そのため、このときの面上における接触子の位置を特定することにより、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、試料容器の位置を効率よく特定することができる。
【0130】
(第9項)第8項に記載の試料注入装置において、
前記第3回目の高さ判定で、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、
前記第2の移動制御部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触しなくなるまで、前記接触子が前記蓋部の前記開口部に近づくように前記接触子を前記第2の方向または前記第2の方向とは反対の方向に移動させ、
前記第2の移動制御部による制御の終了後、前記特定部は、前記面上における前記接触子の位置を前記試料容器の位置として特定してもよい。
【0131】
第3回目の高さ判定で、接触子が下方に移動され、接触子の下端部が第1の高さにあることが判定された場合には、接触子が蓋部の開口部の上方にないことが特定される。一方、第2回目の高さ判定後の接触子の移動距離から、開口部の方向を特定することが可能である。
【0132】
したがって、接触子の下端部が蓋部の上面に接触した状態で、接触子が開口部に近づくように移動される。接触子が開口部の上方に到達した場合には、接触子の下端部が蓋部の上面に接触しなくなる。そのため、このときの面上における接触子の位置を特定することにより、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、また、接触子の下端部が第2の高さにあることを判定することなく、試料容器の位置を効率よく特定することができる。
【0133】
(第10項)第1~9のいずれか一項に記載の試料注入装置において、
前記接触子の前記下端部は、斜め下方を向くテーパ面を有してもよい。
【0134】
この場合、接触子の下端部を蓋部の開口部内に容易に挿入可能にすることができる。
【0135】
(第11項)第1~10のいずれか一項に記載の試料注入装置において、
前記試料容器の前記蓋部の上面の高さを示す容器情報を取得する容器情報取得部をさらに備え、
前記高さ判定部は、前記容器情報取得部により取得された容器情報と前記接触検出部による検出結果とに基づいて、前記接触子の前記下端部が前記第1の高さと、前記第2の高さとのいずれにあるかを判定してもよい。
【0136】
この場合、高さ判定部は、接触子の下端部が第1の高さと第2の高さとのいずれにあるかを容易に判定することができる。
【0137】
(第12項)第1~11のいずれか一項に記載の試料注入装置において、
前記高さ判定部は、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触しないときに、前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定してもよい。
【0138】
この場合、高さ判定部は、接触子の下端部が第3の高さにあるか否かを容易に判定することができる。
【0139】
(第13項)第1~12のいずれか一項に記載の試料注入装置において、
前記特定部により特定された前記試料容器の位置の周囲の部分と前記接触子の前記下端部との接触が前記接触検出部により検出されるように前記接触子駆動部を制御する中心探索部と、
前記周囲の部分の位置に基づいて前記特定部により特定された位置が前記試料容器の前記開口部の中心に近づくように前記特定部により特定された位置を補正する補正部とをさらに備えてもよい。
【0140】
この構成によれば、蓋部の開口部よりも小径のインサートが容器本体に取り付けられている場合でも、インサートの位置を特定することが容易になる。
【0141】
(第14項)他の態様に係る試料注入装置の教示方法は、
試料注入装置に試料容器の位置を教示する試料注入装置の教示方法であって、
前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、
前記試料注入装置の教示方法は、
前記試料容器を支持する支持部の上方において、前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子を下方に移動させるステップと、
前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを接触検出部により検出するステップと、
前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定するステップと、
前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させるステップと、
前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させるステップと、
前記接触子の移動と前記接触子の前記下端部の高さの判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定するステップとを含んでもよい。
【0142】
この試料注入装置の教示方法によれば、接触子が試料容器の蓋部の外方に位置していた場合でも、試料容器の位置を特定することができる。また、接触子の下端部が蓋部の上面に接触した場合には、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、高い分解能で蓋部の内縁または外縁を特定することが可能になる。これにより、試料容器の位置を効率よくかつ高精度で特定することができる。
【0143】
(第15項)さらに他の態様に係る試料注入装置の教示プログラムは、
処理装置により実行可能な試料注入装置に試料容器の位置を教示する試料注入装置の教示プログラムであって、
前記試料容器は、上部開口を有しかつ試料を収容する容器本体と、前記容器本体の前記上部開口に取り付けられるシール部材と、前記シール部材の上面中央部を露出させるように上下方向に貫通する開口部を有しかつ前記容器本体の上部に取り付けられる蓋部とを含み、
前記試料注入装置の教示プログラムは、
前記試料容器を支持する支持部の上方において、前記上下方向に延びかつ前記蓋部の前記開口部内に挿入可能な下端部を有する接触子を下方に移動させる処理と、
前記接触子の前記下端部が前記試料容器の上面に接触したか否かを接触検出部により検出する処理と、
前記接触検出部による検出結果に基づいて、前記接触子の前記下端部が、前記試料容器の前記蓋部の上面の高さに対応する第1の高さと、前記第1の高さよりも低くかつ前記試料容器の前記シール部材の上面の高さに対応する第2の高さと、前記第2の高さよりも低い第3の高さとのいずれにあるかを判定する処理と、
前記接触子の前記下端部が前記第1の高さにあると判定された場合、前記接触子の前記下端部が前記試料容器の前記蓋部の上面に接触した状態で、前記接触子を移動させる処理と、
前記接触子の前記下端部が前記第3の高さにあると判定された場合、前記試料容器よりも上方でかつ前記接触子が前記試料容器に接触しない状態で、前記上下方向に交差する面内で前記接触子を移動させる処理と、
前記接触子の移動と前記接触子の前記下端部の高さの判定結果との組み合わせおよび前記面上における前記接触子の位置に基づいて前記試料容器の位置を特定する処理とを、
前記処理装置に実行させてもよい。
【0144】
この試料注入装置の教示プログラムによれば、接触子が試料容器の蓋部の外方に位置していた場合でも、試料容器の位置を特定することができる。また、接触子の下端部が蓋部の上面に接触した場合には、接触子の上昇および下降を繰り返すことなく、高い分解能で蓋部の内縁または外縁を特定することが可能になる。これにより、試料容器の位置を効率よくかつ高精度で特定することができる。
【符号の説明】
【0145】
10…支持部,11…読取部,20…シリンジ,21…針,22…バレル,23…プランジャ,30…接触子,31…下端部,32…テーパ面,33…遮光部,40…接触子駆動部,50…接触検出部,51…投光部,52…受光部,60…プランジャ駆動部,70…記憶部,80…制御部,81…容器情報取得部,82…搬送部,83…探索部,84…検出結果取得部,85…高さ判定部,86…走査部,87…移動部,88…特定部,89…中心探索部,90…補正部,100…試料注入装置,110…トレイ,111…情報表示部,120…試料容器,121…容器本体,122…シール部材,123…蓋部,124…上部開口,125…開口部