(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】フォークリフト及びコンテナ姿勢検出方法
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B66F9/24 L
(21)【出願番号】P 2019162129
(22)【出願日】2019-09-05
【審査請求日】2021-12-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】奥村 俊介
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0312382(US,A1)
【文献】特開2018-158779(JP,A)
【文献】特開2013-230903(JP,A)
【文献】特開2012-021958(JP,A)
【文献】特開2020-175979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に対して傾動可能に設けられた荷役装置と、
鉛直方向に対する照射角度を変更しながら前記荷役装置の前方にレーザーを照射し、前記レーザーが当たった照射点までの距離を照射角度に対応付けて測定するレーザーレンジファインダと、を備えたフォークリフトであって、
前記荷役装置の前方に配置されたコンテナに荷を積載する荷役状態において、前記照射点のうち前記コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する前記照射点の候補である姿勢検出用照射点候補を抽出する姿勢検出用照射点候補抽出部と、
前記コンテナの寸法情報、前記コンテナの位置情報及び前記コンテナの姿勢情報の少なくとも1つが記憶された記憶部と、
前記寸法情報、前記位置情報及び前記姿勢情報の少なくとも1つと、前記姿勢検出用照射点候補とを照合することで、前記コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する前記照射点である姿勢検出用照射点を前記姿勢検出用照射点候補から抽出する抽出部と、
前記姿勢検出用照射点によって得られる直線の傾きから、鉛直方向に対する前記フォークリフトと前記コンテナとの相対角度を検出するコンテナ姿勢検出部と、を備えるフォークリフト。
【請求項2】
前記姿勢検出用照射点候補は、前記コンテナ内に荷を積載するための開口部を囲む前記コンテナの縁のうち互いに鉛直方向に離間した2つの縁のそれぞれに当たる前記照射点の候補である縁照射点候補を含み、
前記姿勢検出用照射点は、前記2つの縁のそれぞれに当たる前記照射点である縁照射点を含む請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記抽出部は、前記寸法情報、前記位置情報及び前記姿勢情報のうちの2つ又は全てと、前記姿勢検出用照射点候補とを照合することで前記姿勢検出用照射点を抽出する請求項1又は請求項2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記姿勢検出用照射点候補抽出部は、隣り合う前記照射点同士を結んだときの線分の傾きから前記姿勢検出用照射点候補を抽出する請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のフォークリフト。
【請求項5】
車体に対して傾動可能に設けられた荷役装置を備えるフォークリフトによって前記荷役装置の前方に配置されたコンテナに荷を積載する荷役状態において、鉛直方向に対する前記フォークリフトと前記コンテナとの相対角度を検出するコンテナ姿勢検出方法であって、
鉛直方向に対する照射角度を変更しながら前記荷役装置の前方にレーザーを照射し、前記レーザーが当たった照射点までの距離を照射角度に対応付けて測定するレーザーレンジファインダから測定結果を取得するステップと、
前記照射点のうち前記コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する前記照射点の候補である姿勢検出用照射点候補を抽出するステップと、
前記コンテナの寸法情報、前記コンテナの位置情報及び前記コンテナの姿勢情報の少なくとも1つと、前記姿勢検出用照射点候補とを照合することで、前記コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する前記照射点である姿勢検出用照射点を前記姿勢検出用照射点候補から抽出するステップと、
前記姿勢検出用照射点によって得られる直線の傾きから、鉛直方向に対する前記フォークリフトと前記コンテナとの相対角度を検出するステップと、を含むコンテナ姿勢検出方法。
【請求項6】
前記姿勢検出用照射点候補は、前記コンテナ内に荷を積載するための開口部を囲む前記コンテナの縁のうち互いに鉛直方向に離間した2つの縁のそれぞれに当たる前記照射点の候補である縁照射点候補を含み、
前記姿勢検出用照射点は、前記2つの縁のそれぞれに当たる前記照射点である縁照射点を含む請求項5に記載のコンテナ姿勢検出方法。
【請求項7】
前記寸法情報、前記位置情報及び前記姿勢情報のうちの2つ又は全てと、前記姿勢検出用照射点候補とを照合することで前記姿勢検出用照射点を抽出する請求項5又は請求項6に記載のコンテナ姿勢検出方法。
【請求項8】
隣り合う前記照射点同士を結んだときの線分の傾きから前記姿勢検出用照射点候補を抽出する請求項5~請求項7のうちいずれか一項に記載のコンテナ姿勢検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト及びコンテナ姿勢検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷の輸送には、荷を積載可能なコンテナが用いられる。コンテナに荷を積載する際には、フォークリフトによってコンテナに荷を搬送する。フォークリフトは、荷が積載されるフォークを備える。コンテナは、開閉可能な扉を備える。荷を積載する際には、扉を開けることで生じた開口部からコンテナに荷を積載する。フォークリフトは、荷が積載されたフォークを開口部からコンテナ内に挿入し、フォークを降下させることでコンテナに荷を積載する。この際、鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度が大きいと、フォークや荷がコンテナの底と干渉したり、荷をコンテナに積載する際に荷が不安定になり、荷の積載を円滑に行えない場合がある。
【0003】
フォークや荷がコンテナの底と干渉したり、荷が不安定になることを抑制するためには、鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度を求め、相対角度に合わせてフォークを傾動させる必要がある。鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度を求めるには、例えば、特許文献1に記載されたマーカーを用いることが考えられる。特許文献1では、自律移動体の自己位置推定のために、自律移動体が用いられる区画にマーカーを配置している。自律移動体は、マーカーを検出する検出部を備え、マーカーを検出することで自己位置を推定している。
【0004】
マーカーを用いて鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度を求める場合、コンテナにマーカーを配置し、フォークリフトにマーカーを検出できる検出部を設ける。例えば、コンテナの2箇所にマーカーを配置し、検出部によって各マーカーまでの距離を検出することで、鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度を求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コンテナにマーカーを設ける場合、それぞれのコンテナにマーカーを取り付ける必要があるため手間がかかる。また、マーカーの取付精度によっては、鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度が正確に求められない場合が生じる。
【0007】
本発明の目的は、鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度を検出することができるフォークリフト及びコンテナ姿勢検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するフォークリフトは、車体と、前記車体に対して傾動可能に設けられた荷役装置と、鉛直方向に対する照射角度を変更しながら前記荷役装置の前方にレーザーを照射し、前記レーザーが当たった照射点までの距離を照射角度に対応付けて測定するレーザーレンジファインダと、を備えたフォークリフトであって、前記荷役装置の前方に配置されたコンテナに荷を積載する荷役状態において、前記照射点のうち前記コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する前記照射点の候補である姿勢検出用照射点候補を抽出する姿勢検出用照射点候補抽出部と、前記コンテナの寸法情報、前記コンテナの位置情報及び前記コンテナの姿勢情報の少なくとも1つが記憶された記憶部と、前記寸法情報、前記位置情報及び前記姿勢情報の少なくとも1つと、前記姿勢検出用照射点候補とを照合することで、前記コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する前記照射点である姿勢検出用照射点を前記姿勢検出用照射点候補から抽出する抽出部と、前記姿勢検出用照射点によって得られる直線の傾きから、鉛直方向に対する前記フォークリフトと前記コンテナとの相対角度を検出するコンテナ姿勢検出部と、を備える。
【0009】
直線は、コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する姿勢検出用照射点から得られる。姿勢検出用照射点は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報の少なくとも1つと、姿勢検出用照射点候補とを照合することで抽出できる。鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度は、直線の傾きとなって現れるため、直線の傾きから鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度を検出することができる。
【0010】
上記フォークリフトについて、前記姿勢検出用照射点候補は、前記コンテナ内に荷を積載するための開口部を囲む前記コンテナの縁のうち互いに鉛直方向に離間した2つの縁のそれぞれに当たる前記照射点の候補である縁照射点候補を含み、前記姿勢検出用照射点は、前記2つの縁のそれぞれに当たる前記照射点である縁照射点を含んでいてもよい。
【0011】
上記フォークリフトについて、前記抽出部は、前記寸法情報、前記位置情報及び前記姿勢情報のうちの2つ又は全てと、前記姿勢検出用照射点候補とを照合することで前記姿勢検出用照射点を抽出してもよい。これによれば、より正確に姿勢検出用照射点を抽出することができる。
【0012】
上記フォークリフトについて、前記姿勢検出用照射点候補抽出部は、隣り合う前記照射点同士を結んだときの線分の傾きから前記姿勢検出用照射点候補を抽出してもよい。これによれば、姿勢検出用照射点候補をより正確に抽出することができる。
【0013】
上記課題を解決するコンテナ姿勢検出方法は、車体に対して傾動可能に設けられた荷役装置を備えるフォークリフトによって前記荷役装置の前方に配置されたコンテナに荷を積載する荷役状態において、鉛直方向に対する前記フォークリフトと前記コンテナとの相対角度を検出するコンテナ姿勢検出方法であって、鉛直方向に対する照射角度を変更しながら前記荷役装置の前方にレーザーを照射し、前記レーザーが当たった照射点までの距離を照射角度に対応付けて測定するレーザーレンジファインダから測定結果を取得するステップと、前記照射点のうち前記コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する前記照射点の候補である姿勢検出用照射点候補を抽出するステップと、前記コンテナの寸法情報、前記コンテナの位置情報及び前記コンテナの姿勢情報の少なくとも1つと、前記姿勢検出用照射点候補とを照合することで、前記コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する前記照射点である姿勢検出用照射点を前記姿勢検出用照射点候補から抽出するステップと、前記姿勢検出用照射点によって得られる直線の傾きから、鉛直方向に対する前記フォークリフトと前記コンテナとの相対角度を検出するステップと、を含む。
【0014】
直線は、コンテナの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する姿勢検出用照射点から得られる。姿勢検出用照射点は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報の少なくとも1つと、姿勢検出用照射点候補とを照合することで抽出できる。鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度は、直線の傾きとなって現れるため、直線の傾きから鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度を検出することができる。
【0015】
上記コンテナ姿勢検出方法について、前記姿勢検出用照射点候補は、前記コンテナ内に荷を積載するための開口部を囲む前記コンテナの縁のうち互いに鉛直方向に離間した2つの縁のそれぞれに当たる前記照射点の候補である縁照射点候補を含み、前記姿勢検出用照射点は、前記2つの縁のそれぞれに当たる前記照射点である縁照射点を含んでいてもよい。
【0016】
上記コンテナ姿勢検出方法について、前記寸法情報、前記位置情報及び前記姿勢情報のうちの2つ又は全てと、前記姿勢検出用照射点候補とを照合することで前記姿勢検出用照射点を抽出してもよい。
【0017】
上記コンテナ姿勢検出方法について、隣り合う前記照射点同士を結んだときの線分の傾きから前記姿勢検出用照射点候補を抽出してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鉛直方向に対するフォークリフトとコンテナとの相対角度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】フォークリフトの一部を破断して示す斜視図。
【
図4】フォークリフトが用いられる作業場の模式図。
【
図7】フォークリフトが荷役状態の際に行われる処理を説明するための図。
【
図8】フォークリフトが荷役状態の際に制御装置が行う処理を示すフローチャート。
【
図9】コンテナにレーザーを照射したときの照射点を模式的に示す図。
【
図10】コンテナにレーザーを照射したときの照射点を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、フォークリフト及びコンテナ姿勢検出方法の一実施形態について説明する。
図1及び
図2に示すように、フォークリフト10は、車体11と、車体11の前下部に配置された駆動輪12と、車体11の後下部に配置された操舵輪13と、ピラー15と、ピラー15に支持されたヘッドガード16と、取付部17と、を備える。ピラー15は、車体11から上方に向けて延びている。取付部17は、車幅方向に延びる部材であり、車幅方向に並んで設けられたピラー15に取り付けられている。取付部17は、ピラー15よりも車幅方向の外側に突出している。
【0021】
フォークリフト10は、車体11の前方に荷役装置21を備える。荷役装置21は、ヘッドガード16よりも前方に位置している。荷役装置21は、車体11の前部に立設されたマスト22と、マスト22に固定されたリフトブラケット23と、リフトブラケット23に固定された一対のフォーク24と、を備える。フォーク24には、荷Wが積載される。本実施形態の荷Wは、搬送物を収容したパレットである。パレットとしては、メッシュパレットや平パレット等、任意のパレットを用いることができる。荷役装置21の前方と車体11の前方とは一致している。荷役装置21の前方とは、フォーク24の延びる方向である。荷役装置21は、マスト22を昇降動作させるリフトシリンダ25を備える。荷役装置21は、マスト22を傾動動作させるティルトシリンダ26を備える。ティルトシリンダ26により、荷役装置21は車体11に対して傾動可能である。リフトシリンダ25及びティルトシリンダ26は油圧シリンダである。
【0022】
図3に示すように、フォークリフト10は、駆動機構31と、油圧機構32と、制御装置33と、ティルト角センサ36と、距離計37と、を備える。駆動機構31は、フォークリフト10を走行動作させるための部材であり、駆動輪12を駆動させるための走行用モータや、操舵輪13を操舵させるための操舵機構を含む。油圧機構32は、リフトシリンダ25及びティルトシリンダ26への作動油の給排を制御するための部材であり、ポンプを駆動させるための荷役モータや、コントロールバルブを含む。ティルト角センサ36は、荷役装置21の傾動角度であるティルト角を検出する。ティルト角は、フォークリフト10の存在する面とフォーク24の上面とが平行であるときの角度を基準=0°とした場合の荷役装置21の傾動角度である。ティルト角センサ36としては、例えば、ポテンショメータが用いられる。
【0023】
距離計37は、レーザーを周辺に照射し、レーザーが当たった照射点から反射された反射光を受信することで周辺環境を認識可能なレーザーレンジファインダである。本実施形態の距離計37としては、一方向への照射角度を変更しながらレーザーを照射する二次元のレーザーレンジファインダが用いられている。距離計37は、鉛直方向への照射角度を変更しながら、車体11の前方に対してレーザーを照射するように取り付けられている。距離計37は、レーザーが荷役装置21に当たることなく車体11の前方に照射されるように、前後方向=フォークリフト10の進行方向に対して荷役装置21と重ならないように配置されている。
図2に示すように、距離計37は、取付部17の車幅方向の端部に取り付けられている。これにより、距離計37は、荷役装置21よりも車幅方向の外側に位置している。
【0024】
レーザーが当たった部分を照射点とすると、距離計37は照射点までの距離を照射角度に対応付けて測定する。即ち、距離計37は、距離計37と照射点との相対座標を測定できる。相対座標は、距離計37を原点、前後方向=フォークリフト10の進行方向に延びる軸をX軸、X軸に直交する軸であって鉛直方向に延びる軸をY軸とする座標系の座標である。なお、図中、X軸に沿う方向を矢印X、Y軸に沿う方向を矢印Yで示している。X軸は、フォークリフト10の存在する面と平行に延びる。Y軸は、フォークリフト10の存在する面に直交するように延びる。X軸は、フォークリフト10が水平面=傾斜0°の面にある場合には水平に延びるといえる。距離計37は、測定結果を制御装置33に出力する。距離計37の測定結果は、照射点の相対座標(X,Y)である。
【0025】
図3に示すように、制御装置33は、処理部34及び記憶部35を備える。記憶部35には、フォークリフト10を制御するための種々のプログラムが記憶されている。制御装置33は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。制御装置33は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。
【0026】
制御装置33は、記憶部35に記憶されたプログラムに従い、駆動機構31及び油圧機構32を制御することで、フォークリフト10を動作させる。本実施形態のフォークリフト10は、搭乗者による操作が行われることなく、制御装置33による制御によって自動で走行、操舵、荷役の動作を行うフォークリフトである。
【0027】
図4に示すように、フォークリフト10は、工場、港湾などの荷Wを搬送する必要のある作業場で使用される。作業場には、荷Wが置かれる第1位置A1と、コンテナCが配置される第2位置A2と、フォークリフト10が荷WをコンテナCに積載する荷役状態になる第3位置A3と、が設定されている。
【0028】
フォークリフト10は、第1位置A1に置かれた荷WをコンテナCまで搬送し、コンテナCに荷Wを積載する。コンテナCに荷Wを積載する場合、フォークリフト10は、第1位置A1でフォーク24に荷Wを積載した後に、第3位置A3に移動する。第3位置A3に到着した状態で、荷役装置21の前方が第2位置A2を向くようにフォークリフト10は第3位置A3に移動する。
【0029】
制御装置33の記憶部35には、地図情報が記憶されている。地図情報とは、環境地図と、第1位置A1の座標と、第2位置A2の座標と、第3位置A3の座標と、を示す情報である。環境地図は、フォークリフト10の用いられる環境の形状、広さなど、フォークリフト10の周辺環境の物理的構造に関する情報である。第1位置A1の座標、第2位置A2の座標及び第3位置A3の座標は、環境地図内に設定されている。
【0030】
環境地図は、フォークリフト10が用いられる周辺環境を予め把握できていれば、予め記憶部35に記憶されていてもよい。環境地図を予め記憶部35に記憶する場合、建築物の壁、柱など位置の変化しにくい物の座標を環境地図として記憶する。環境地図は、SLAM:Simultaneous Localization and Mappingによるマッピングにより作成されてもよい。マッピングは、例えば、カメラや測域センサ等の環境センサによって得られた座標から局所地図を作成し、この局所地図を自己位置に応じて組み合わせることによって行われる。なお、環境センサとしては、距離計37を用いることもできる。
【0031】
制御装置33は、環境地図上でのフォークリフト10の位置を推定する自己位置推定を行いながら駆動機構31を制御することで、第3位置A3にフォークリフト10を移動させることが可能である。自己位置推定は、例えば、走行用モータの回転数を用いてフォークリフト10の自己移動量を推定するオドメトリと、ランドマークと環境地図とのマッチング結果と、をベイズフィルタにより統合することで行われる。即ち、制御装置33は、オドメトリにより得られた自己位置をランドマークとの相対位置で補正することで自己位置を推定する確率的自己位置推定を行う。また、フォークリフト10が用いられる環境が屋外であれば、GPS:Global Positioning Systemを用いて自己位置を推定してもよい。なお、自己位置とは、車体11の一点を示す座標であり、例えば、車体11の水平方向の中央の座標である。
【0032】
コンテナCは、例えば、コンテナトラックTによって第3位置A3に配置される。
図5及び
図6に示すように、コンテナCは中空状であり、内部が荷Wを収容する収容空間になっている。コンテナCは、底部BWと、天部CWと、2つの前壁FW1,FW2と、2つの後壁RW1,RW2と、2つの側壁SW1,SW2と、を備える。底部BW、天部CW、前壁FW1,FW2、後壁RW1,RW2及び側壁SW1,SW2は、それぞれ、四角板状の壁部である。底部BWと天部CWとは互いに向かい合っている。前壁FW1,FW2、後壁RW1,RW2及び側壁SW1,SW2は、底部BWと天部CWとの間に位置する。2つの側壁SW1,SW2同士は、互いに向かい合って配置されている。2つの前壁FW1,FW2と、2つの後壁RW1,RW2とは互いに向かい合って配置されている。前壁FW1はヒンジ等により回動可能な状態で側壁SW1に取り付けられている。前壁FW2はヒンジ等により回動可能な状態で側壁SW2に取り付けられている。後壁RW1はヒンジ等により回動可能な状態で側壁SW1に取り付けられている。後壁RW2はヒンジ等により回動可能な状態で側壁SW2に取り付けられている。前壁FW1,FW2及び後壁RW1,RW2は、扉といえる。前壁FW1,FW2が回動することで、底部BW、天部CW及び側壁SW1,SW2に囲まれた開口部O1の開放と閉塞とが切り替えられる。開口部O1を囲む縁は、天部CWの縁E1、底部BWの縁E2、側壁SW1の縁E3及び側壁SW2の縁E4の4つである。後壁RW1,RW2が回動することで、底部BW、天部CW及び側壁SW1,SW2に囲まれた開口部O2の開放と閉塞とが切り替えられる。なお、コンテナCとは、荷Wが収容される収容体であればどのようなものであってもよい。コンテナCは、荷Wが収容可能な形状であればどのような形状であってもよく、例えば、天部CWがない形状であってもよいし、後壁RW1,RW2が開かない形状であってもよい。
【0033】
コンテナCは、冷蔵仕様のコンテナである。コンテナCの内面は、鏡面仕様である。
記憶部35には、コンテナCの情報として、寸法情報、位置情報及び姿勢情報が記憶されている。寸法情報とは、コンテナCの寸法を示す情報である。本実施形態では、開口部O1を囲む縁のうち互いに鉛直方向に離間した縁E1と縁E2との間の寸法d1を示す情報が寸法情報である。寸法d1は、縁E1と縁E2とを最短距離で結ぶ線分の長さともいえる。前壁FW1,FW2の鉛直方向の寸法等、寸法d1と同様な寸法を寸法情報としてもよい。位置情報とは、コンテナCの配置される位置を示す情報である。即ち、第2位置A2の座標である。姿勢情報とは、コンテナCの姿勢を示す情報である。コンテナCの姿勢とは、コンテナCがどのような姿勢で第2位置A2に配置されるかを示す情報である。コンテナCの姿勢としては、例えば、鉛直方向に対するコンテナCの傾斜角度や、コンテナCの開口部O1の向きが挙げられる。
【0034】
なお、便宜上、コンテナCを構成する開閉可能な壁部のうちフォークリフト10がコンテナCと向かい合っている状態でフォークリフト10側に位置している壁部を前壁FW1,FW2、前壁FW1,FW2よりもフォークリフト10から離れて位置する壁部を後壁RW1,RW2と称している。従って、フォークリフト10とコンテナCとの位置関係によって、開閉可能な壁部のうちいずれが前壁FW1,FW2になり、いずれが後壁RW1,RW2になるかが異なる。そして、前壁FW1,FW2と、後壁RW1,RW2との間で延びる壁部が側壁SW1,SW2になる。コンテナCは、開閉可能な壁部である前壁FW1,FW2が第3位置A3を向くように配置される。
【0035】
フォークリフト10が第3位置A3に移動すると、フォークリフト10が荷役状態になる。荷役状態とは、荷役装置21の前方に配置されたコンテナCに荷Wを積載する状態である。荷役状態では、フォークリフト10がコンテナCとの位置関係を調整しながら、コンテナCに荷Wを積載する。
【0036】
図6に示すように、コンテナCの存在している面と、フォークリフト10の存在している面との傾斜が異なる場合がある。この場合、コンテナCの存在している面とフォークリフト10の存在している面との傾斜が同一である場合に比べて、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度が大きくなる。なお、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度とは、X軸と、荷Wが積載される面である底部BWの内面BWSとの鉛直方向に対するずれ角である。言い換えれば、フォークリフト10を車幅方向から見た場合におけるフォークリフト10の進行方向に対する底部BWの内面BWSの傾斜角度が鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度となる。X軸と底部BWの内面BWSとが平行であれば、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度は0°といえる。なお、コンテナCの存在している面と、フォークリフト10の存在している面との傾斜が同一の場合であっても、荷Wの積載状況等によって鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度が大きくなる場合がある。例えば、コンテナCに荷Wが置かれると、荷Wの重量によるサスペンションやタイヤの収縮によりコンテナCが傾斜し、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度が大きくなる場合がある。
【0037】
以下、フォークリフト10が荷役状態の際に制御装置33によって行われる処理について、コンテナ姿勢検出方法とともに説明する。なお、フォークリフト10がコンテナCに荷Wを積載する際には、前壁FW1,FW2が開かれた状態にされる。開口部O1が開放された状態に維持され、開口部O1は、コンテナC内に荷Wを積載するための開口部となる。一例として、
図7に示す状態のコンテナCに荷Wを積載する場合について説明する。
【0038】
図7に示すように、フォークリフト10の存在している面の傾斜と、コンテナCの存在している面の傾斜とは異なる。コンテナCの存在している面は、フォークリフト10の前進方向に向けて上り傾斜となっている。
【0039】
制御装置33は、フォークリフト10が荷役状態になると、フォークリフト10をコンテナCへ接近させ、フォーク24を底部BWの内面BWSよりも上方に上昇させる。フォークリフト10のコンテナCへの接近と、フォーク24の上昇は、種々の制御態様で行うことができる。フォークリフト10のコンテナCへの接近は、例えば、距離計37や距離計37とは異なるセンサによりフォークリフト10とコンテナCとの相対位置を把握しながら、駆動機構31を制御することで行うことができる。フォーク24の上昇は、例えば、距離計37や距離計37とは異なるセンサにより底部BWの内面BWSの高さを検出し、この高さよりも上方にフォーク24が上昇するように油圧機構32を制御することで行われる。更に、制御装置33は、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出する。
【0040】
図8に示すように、ステップS1において、制御装置33は、距離計37の測定結果を取得する。一例として、本実施形態のコンテナCにレーザーを照射することで、
図9に示す照射点Pの座標を取得できた場合について説明する。なお、
図6に示すように、レーザーが照射される範囲θは、鉛直方向に対してコンテナCの全体に亘ってレーザーが照射されるように設定されている。
【0041】
図8及び
図9に示すように、ステップS2において、制御装置33は、複数の照射点Pから縁照射点候補P1~P4を抽出する。縁照射点候補P1~P4とは、縁E1,E2に当たった照射点Pである縁照射点P1,P2の候補である。縁照射点P1,P2は、照射点PのうちコンテナCの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する照射点Pである。コンテナCの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する照射点Pとは、コンテナCが鉛直方向に対して前後方向に傾いた場合に、この傾きと同じように傾く直線が得られる照射点である。鉛直方向に対してコンテナCが前後方向に傾くと、鉛直方向に互いに向かい合う2つの縁E1,E2同士の位置関係も、コンテナCの傾きに追従して変化する。縁E1,E2同士を直線で結んだ場合に得られる直線は、鉛直方向に対してコンテナCが傾いていなければ水平面に直交するのに対し、鉛直方向に対してコンテナCが傾いた場合には、水平面に対して傾くことになる。従って、縁照射点P1,P2により得られる直線は、コンテナCの鉛直方向に対する傾きに追従して傾きが変化するといえる。縁照射点P1,P2は、姿勢検出用照射点であり、縁照射点P1,P2の候補である縁照射点候補P1~P4は、姿勢検出用照射点候補である。
【0042】
なお、コンテナCの内面が鏡面仕様の場合、コンテナCの内面に入射したレーザーが正反射しやすく、照射点Pを取得できない照射角度が多くなる。従って、本実施形態では、内面が鏡面仕様ではないコンテナCに比べて得られる照射点Pの数が少なくなっている。縁E1,E2に対しては、レーザーが垂直に入射しやすいため、縁E1,E2に当たる縁照射点P1,P2を取得しやすい。
【0043】
縁照射点候補P1~P4の抽出は、例えば、隣り合う照射点P同士を比較することで行われる。縁E1,E2は、鉛直方向に対する寸法が僅かであり、縁E1,E2に当たる照射点Pの数は少ない。従って、縁E1に当たる縁照射点P1に隣り合う照射点Pは、天部CWに当たる照射点Pになりやすい。縁E2に当たる縁照射点P2に隣り合う照射点Pは、底部BWに当たる照射点Pになりやすい。同一面に当たる照射点Pは一直線上に位置しやすい一方で、異なる面に当たる照射点Pは一直線上に位置しにくい。従って、コンテナCに当たる照射点P同士を線分で結んだ場合、縁E1,E2に当たる縁照射点P1,P2と、縁照射点P1,P2に隣り合う照射点Pと、を結ぶ線分は、傾斜角度が急激に変化することになる。言い換えれば、縁照射点P1,P2と、縁照射点P1,P2に隣り合う照射点Pを線分で結ぶと、線分の傾きが大きく変化する。縁照射点P1を例に挙げて説明する。縁照射点P1に隣り合う照射点Pのうちの一方と縁照射点P1とを結ぶ線分を線分L1、縁照射点P1に隣り合う照射点Pのうちの他方と縁照射点P1とを結ぶ線分を線分L2とする。線分L1と線分L2では傾きが大きく変化する。従って、傾きの変化量に閾値を設定して、傾きが閾値以上に変化する照射点Pを縁照射点候補P1~P4と判断すればよい。また、照射点P同士を結んだ線分のX軸に沿う方向又はY軸に沿う方向に対する傾斜角度に閾値を設定して、傾斜角度から縁照射点候補P1~P4を抽出してもよい。
図9に示す例では、4つの縁照射点候補P1~P4が抽出されることになる。ステップS2の処理を行うことで、制御装置33は、姿勢検出用照射点候補抽出部として機能する。
【0044】
次に、制御装置33は、ステップS3において、縁照射点候補P1~P4から縁照射点P1,P2を抽出する。縁照射点P1,P2の抽出は、記憶部35に記憶された寸法情報、位置情報及び姿勢情報と、縁照射点候補P1~P4の全てとを照合することで行われる。
【0045】
制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4の全ての組み合わせについて、縁照射点候補P1~P4同士の離間距離を算出する。制御装置33は、算出した離間距離と、寸法情報により示される縁E1と縁E2との間の寸法d1とを比較する。制御装置33は、寸法d1と縁照射点候補P1~P4同士の離間距離との差が許容範囲内の組み合わせが、縁照射点であると判定する。許容範囲は、縁照射点候補P1~P4同士の離間距離の測定精度等を考慮して設定されている。
図9に示す例では、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ、又は、縁照射点候補P3,P4の組み合わせが縁照射点であると判定される。
【0046】
制御装置33は、フォークリフト10から縁照射点候補P1~P4までの距離と、位置情報により示されるコンテナCの位置とを比較する。制御装置33は、位置情報に基づきフォークリフト10からコンテナCの縁E1,E2までの距離の取り得る範囲を算出することができる。制御装置33は、フォークリフト10からの距離が、上記した距離の取り得る範囲内の縁照射点候補P1~P4を縁照射点と判定する。
図9に示す例では、縁照射点候補P1,P2が縁照射点であると判定される。
【0047】
制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4の全ての組み合わせについて、縁照射点候補P1~P4同士を結んだ線分の傾斜角度を算出する。なお、線分の傾斜角度とは、X軸に沿う方向又はY軸に沿う方向に対する線分の傾斜角度である。制御装置33は、姿勢情報から縁E1,E2同士を線分で結んだときの線分の傾斜角度の取り得る範囲を把握できる。制御装置33は、縁照射点候補P1~P4同士を結んだ線分の傾斜角度が、縁E1,E2同士を結んだ線分の傾斜角度の取り得る範囲内の組み合わせを縁照射点と判定する。
図9に示す例では、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ、又は、縁照射点候補P3,P4の組み合わせが縁照射点であると判定される。
【0048】
本実施形態では、寸法情報、位置情報及び姿勢情報と、縁照射点候補P1~P4とを照合した結果、全ての条件に合致する縁照射点候補P1,P2が縁照射点P1,P2として抽出される。制御装置33は、ステップS3の処理を行うことで、抽出部として機能する。
【0049】
次に、制御装置33は、ステップS4において、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出する。鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度は、縁照射点P1,P2同士を結ぶ直線Lの傾きから算出することができる。鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度が0°の場合には、直線LとX軸に沿う方向とは直交するため、X軸に直交する軸であるY軸に沿う方向に対する直線Lの傾斜角θ1が鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度になる。制御装置33は、傾斜角θ1を算出し、この傾斜角θ1を鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度と判断する。制御装置33は、ステップS4の処理を行うことでコンテナ姿勢検出部として機能する。上記したように、制御装置33は、予め定められたプログラムを実行することで、姿勢検出用照射点候補抽出部、抽出部及びコンテナ姿勢検出部として機能している。即ち、姿勢検出用照射点候補抽出部、抽出部及びコンテナ姿勢検出部は、制御装置33の機能要素として実現されている。
【0050】
本実施形態の作用について説明する。
制御装置33は、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出する。そして、制御装置33は、X軸に沿う方向に対する底部BWの内面BWSの傾斜角度と、X軸に沿う方向に対するフォーク24の上面の傾斜角度との差が小さくなるように油圧機構32を制御する。詳細にいえば、制御装置33は、ティルト角センサ36により検出される傾動角度と、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度とが一致するようにティルトシリンダ26への作動油の給排を制御する。なお、ここでいう一致とは、ティルト角センサ36により検出される傾動角度と、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度とが同一になる態様に限られず、相対角度の検出精度や、荷役装置21を傾動させる精度などに起因する誤差を許容するものである。即ち、荷役装置21を傾動させることで、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度よりも、X軸に沿う方向に対する底部BWの内面BWSの傾斜角度と、X軸に沿う方向に対するフォーク24の上面の傾斜角度との差が小さくなればよい。
【0051】
上記したように荷役装置21を傾動させることで、フォーク24の上面は、底部BWの内面BWSに対して平行、あるいは、略平行となる。この状態でフォークリフト10を前進させ、フォーク24を開口部O1からコンテナC内に挿入すると、フォーク24の先端や荷Wが底部BWの内面BWSに接触したり、荷Wを底部BWの内面BWSに積載するためにフォーク24を下降させた際に荷Wの一部が底部BWの内面BWSに偏って接することで荷Wが不安定になることが生じにくい。即ち、コンテナCとフォークリフト10とが同一傾斜の面に存在している場合と同じようにコンテナCに荷Wを積載することができる。コンテナCの存在する面とフォークリフト10の存在する面との傾斜の差異や、荷Wの積載状況を原因として、X軸に沿う方向に対して底部BWの内面BWSが傾いた場合であっても、この傾きに応じてフォーク24は傾動させられる。従って、コンテナCの存在する面とフォークリフト10の存在する面との傾斜の差異や荷Wの積載状況に左右されずに、荷Wを円滑にコンテナCに積載することができる。
【0052】
なお、上記した例では、コンテナCに荷Wを積載する場合について説明したが、コンテナCから荷Wを降ろす際にも同様の制御を行ってもよい。これにより、コンテナCから荷Wを降ろす際にも、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度に合わせてフォーク24を傾動させることができる。
【0053】
ここで、縁E1,E2に当たる複数の照射点Pの点群と、縁E1,E2の形状とを照合することで縁E1,E2の位置を検出することも考えられる。しかしながら、点群を用いる場合、点群が縁E1,E2に当たった照射点Pの集合なのか構造物に当たった照射点Pの集合なのかを判別することが困難である。更に、距離計37から縁E1,E2までの距離が遠くなると、形状を判別するために必要となる点群を得られない場合もある。これに対し、本実施形態では、縁E1,E2に当たる照射点Pが1つであっても、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出することが可能である。
【0054】
本実施形態の効果について説明する。
(1)制御装置33は、直線Lの傾きから鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出している。直線Lは、縁E1,E2に当たる縁照射点P1,P2同士を結ぶことで得られる。縁照射点P1,P2は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報と、縁照射点候補P1~P4とを照合することで抽出できる。鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度は、直線Lの傾きとなって現れるため、直線Lの傾きから鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出することができる。
【0055】
(2)制御装置33は、姿勢検出用照射点として、縁照射点P1,P2を抽出している。コンテナCの内面に照射された照射点Pから鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出することも考えられる。しかしながら、本実施形態のように、コンテナCの内面が鏡面仕様の場合、コンテナCの内面に当たった照射点Pを十分に得ることができず、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出できない場合がある。縁E1,E2に当たる縁照射点P1,P2は取得しやすいため、コンテナCの内面が鏡面仕様であっても、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出しやすい。
【0056】
(3)直線Lは、縁E1,E2に当たる縁照射点P1,P2同士を結ぶことで得られる。従って、コンテナCにマーカーを設けることなく、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出することができる。
【0057】
(4)制御装置33は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報と、縁照射点候補P1~P4とを照合することで縁照射点P1,P2を抽出している。従って、寸法情報、位置情報及び姿勢情報のうちの1つと、縁照射点候補P1~P4とを照合することで縁照射点P1,P2を抽出する場合に比べて、より正確に縁照射点P1,P2を抽出することができる。
【0058】
(5)制御装置33は、隣り合う照射点P同士を結んだときの線分の傾きから縁照射点候補P1~P4を抽出している。従って、縁照射点候補P1~P4をより正確に抽出することができる。
【0059】
(6)制御装置33は、縁照射点候補P1~P4を抽出した後に、縁照射点P1,P2を抽出している。従って、縁照射点候補P1~P4を抽出せずに、全ての照射点Pについて縁照射点P1,P2か否かを判定する場合に比べて制御装置33の負荷を軽減できる。
【0060】
(7)距離計37を用いたコンテナ姿勢検出方法では、直線Lの傾きから鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出している。従って、(1)~(6)と同様の効果を得ることができる。
【0061】
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4と、寸法情報との照合結果のみから縁照射点P1,P2を抽出してもよい。この場合、記憶部35には、コンテナCの情報として、寸法情報のみが記憶される。実施形態で記載したように、制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4の全ての組み合わせについて、縁照射点候補P1~P4同士の離間距離を算出し、寸法d1との比較を行う。これにより、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ、又は、縁照射点候補P3,P4の組み合わせが縁照射点であると判定することができる。制御装置33は、例えば、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ及び縁照射点候補P3,P4の組み合わせのうち、フォークリフト10に近い方を縁照射点P1,P2として抽出する。
【0062】
制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4と、寸法情報及び位置情報との照合結果から縁照射点P1,P2を抽出してもよい。この場合、記憶部35には、コンテナCの情報として、寸法情報及び位置情報が記憶される。制御装置33は、寸法情報から縁照射点候補P1,P2の組み合わせ、又は、縁照射点候補P3,P4の組み合わせが縁照射点であると判定する。制御装置33は、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ及び縁照射点候補P3,P4のうち、位置情報から算出したフォークリフト10からコンテナCの縁E1,E2までの距離の取り得る範囲内のものを縁照射点P1,P2であると判定する。
【0063】
制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4と、寸法情報及び姿勢情報との照合結果から縁照射点P1,P2を抽出してもよい。この場合、記憶部35には、コンテナCの情報として、寸法情報及び姿勢情報が記憶される。制御装置33は、寸法情報から縁照射点候補P1,P2の組み合わせ、又は、縁照射点候補P3,P4の組み合わせが縁照射点であると判定する。制御装置33は、姿勢情報から開口部O1の向きを把握できる。従って、制御装置33は、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ及び縁照射点候補P3,P4の組み合わせのうちいずれがフォークリフト10を向いた縁E1,E2に当たった縁照射点P1,P2かを判定することができる。従って、制御装置33は、縁照射点P1,P2を抽出できる。
【0064】
制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4と、位置情報との照合結果のみから縁照射点P1,P2を抽出してもよい。この場合、記憶部35には、コンテナCの情報として、位置情報のみが記憶される。実施形態で記載したように、制御装置33は、位置情報に基づきフォークリフト10からコンテナCの縁E1,E2までの距離の取り得る範囲を算出することができる。制御装置33は、縁照射点候補P1,P2が縁照射点P1,P2であると判定できる。従って、制御装置33は、縁照射点P1,P2を抽出できる。
【0065】
制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4と、位置情報及び姿勢情報との照合結果から縁照射点P1,P2を抽出してもよい。この場合、記憶部35には、コンテナCの情報として、位置情報及び姿勢情報が記憶される。制御装置33は、位置情報から縁照射点候補P1,P2が縁照射点P1,P2であると判定できる。また、制御装置33は、姿勢情報から、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ、又は、縁照射点候補P3,P4の組み合わせが縁照射点であると判定できる。
図9に示す例では、位置情報のみで縁照射点候補P1,P2が縁照射点P1,P2であると判定することができるが、障害物に当たった照射点Pの影響によっては位置情報のみで縁照射点P1,P2を判定できない場合がある。このような場合、姿勢情報を用いることで縁照射点P1,P2を判定することができる。従って、制御装置33は、縁照射点P1,P2を抽出できる。
【0066】
制御装置33は、4つの縁照射点候補P1~P4と、姿勢情報との照合結果のみから縁照射点P1,P2を抽出してもよい。この場合、記憶部35には、コンテナCの情報として、姿勢情報が記憶される。制御装置33は、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ、又は、縁照射点候補P3,P4の組み合わせが縁照射点であると判定できる。制御装置33は、例えば、縁照射点候補P1,P2の組み合わせ及び縁照射点候補P3,P4の組み合わせのうち、フォークリフト10に近い方を縁照射点P1,P2として抽出する。
【0067】
上記したように、制御装置33は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報のうちの1つ又は2つの組み合わせと、縁照射点候補P1~P4とを照合することで縁照射点P1,P2を抽出することができる。なお、寸法情報、位置情報及び姿勢情報のうちの1つ又は2つの組み合わせと、縁照射点候補P1~P4とを照合することで縁照射点P1,P2を抽出できるか否かは、コンテナCの周辺環境によって異なる。縁照射点候補P1~P4との照合に用いる情報が多いほど、制御装置33は周辺環境に依存することなく、縁照射点P1,P2を抽出することができる。従って、縁照射点P1,P2の抽出に用いる情報は、コンテナCの周辺環境に応じて、適宜選択すればよい。
【0068】
○
図10に示すように、姿勢検出用照射点候補は、コンテナCの内面に照射された内面照射点P11,P12,P13の候補である内面照射点候補P11,P12,P13であってもよい。内面照射点P11は、底部BWの内面BWSに当たる照射点Pである。内面照射点P12は、後壁RW1,RW2の内面RWSに当たる照射点Pである。内面照射点P13は、天部CWの内面CWSに当たる照射点Pである。なお、
図10に示す例では、内面照射点候補P11,P12,P13と内面照射点P11,P12,P13とが一致する。コンテナCの内面のうち底部BWの内面BWS、後壁RW1,RW2の内面RWS、及び天部CWの内面CWSのそれぞれは、コンテナCが鉛直方向に対して前後方向に傾くと、この傾きに追従して鉛直方向に傾く。従って、内面照射点P11同士を結んだときの直線の傾きは、コンテナCの鉛直方向に対する傾きに追従する。内面照射点P11は、コンテナCの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する姿勢検出用照射点といえる。内面照射点P12,P13についても同様に、コンテナCの鉛直方向に対する傾きに追従して2点間を結んだときの直線の傾きが変化する姿勢検出用照射点といえる。なお、2点間を結んだときの直線の傾きが変化する照射点Pとは、2つの照射点Pのみを示すものではなく、2点間を結んだときの直線の傾きが変化する2つの照射点Pの組み合わせであれば、任意の数を抽出することができる。
【0069】
制御装置33は、内面照射点P11,P12,P13を抽出し、同一面に照射された複数の内面照射点P11,P12,P13から直線を得ることで鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出することができる。以下、詳細に説明を行う。
【0070】
制御装置33は、内面照射点候補P11,P12,P13を抽出する。なお、内面照射点候補P11,P12,P13として、コンテナCの内面のうち底部BW、後壁RW1,RW2、及び天部CWのうち少なくともいずれかの内面に照射された内面照射点P11,P12,P13の候補を抽出できればよい。即ち、制御装置33は、内面照射点候補P11,P12,P13のうちの1つを抽出してもよいし、複数を抽出してもよい。内面照射点候補P11,P12,P13の抽出は、種々の態様で行うことができる。底部BWの内面BWS、後壁RW1,RW2の内面RWS及び天部CWの内面CWSのそれぞれに当たった照射点Pは、それぞれの内面に沿って一直線上に位置しやすい。このため、一直線上に位置しているとみなせる複数の照射点Pを内面照射点候補P11,P12,P13として抽出することができる。例えば、隣り合う照射点P同士を結んだときの線分の傾きの変化量に内面判定用閾値を設定し、線分の傾きの変化量が内面用判定閾値内に収まる複数の照射点Pを内面照射点候補P11,P12,P13として抽出するようにしてもよい。コンテナCの内面のうち底部BWの内面BWS及び天部CWの内面CWSはそれぞれ、後壁RW1,RW2の内面RWSに垂直に交わる。このため、底部BWの内面BWSに当たる内面照射点P11と後壁RW1,RW2の内面RWSに当たる内面照射点P12とを結ぶと、線分の傾きが大きく変化する。後壁RW1,RW2の内面RWSに当たる内面照射点P12と、天部CWの内面CWSに当たる内面照射点P13についても同様である。制御装置33は、照射点P同士を結んだときの線分の傾きから、内面照射点候補P11,P12,P13が、底部BWの内面BWS、後壁RW1,RW2の内面RWS、及び天部CWの内面CWSのうちのいずれに照射されたものかを判別することができる。即ち、制御装置33は、底部BWの内面BWSに照射された内面照射点候補P11、天部CWの内面CWSに照射された内面照射点候補P13、及び後壁RW1,RW2の内面RWSに照射された内面照射点候補P12のそれぞれを個別に抽出することができる。なお、制御装置33は、照射点P同士の離間距離から内面照射点候補P11,P13を抽出してもよい。例えば、天部CWの内面CWSに照射された内面照射点P13と、底部BWの内面BWSに照射された内面照射点P11では、天部CWの内面CWSと底部BWの内面BWSとの間の寸法分だけY座標に差が生じる。従って、複数の照射点PのうちY軸に沿う方向に互いに離間した2つの照射点PのY座標の差を、天部CWの内面CWSと底部BWの内面BWSとの間の寸法とみなせる場合、これらの2つの照射点Pを内面照射点P11と内面照射点P13の組み合わせとみなしてもよい。
【0071】
制御装置33は、内面照射点候補P11,P12,P13から内面照射点P11,P12,P13を抽出する。なお、制御装置33は、内面照射点P11,P12,P13のうちの1つを抽出してもよいし、複数を抽出してもよい。内面照射点P11,P12,P13の抽出は、記憶部35に記憶された寸法情報、位置情報及び姿勢情報の少なくとも1つと、内面照射点候補P11,P12,P13とを照合することで行われる。即ち、制御装置33は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報のうち1つを用いて内面照射点P11,P12,P13を抽出してもよいし、寸法情報、位置情報及び姿勢情報から複数を組み合わせて内面照射点P11,P12,P13を抽出してもよい。なお、以下では、一例として、底部BWに照射された内面照射点P11を抽出する場合について説明するが、後壁RW1,RW2及び天部CWに照射された内面照射点P12,P13であっても同様の手法で抽出することができる。
【0072】
制御装置33は、内面照射点候補P11同士を結ぶことで得られた線分の長さと、寸法情報により示される底部BWの前後方向に対する寸法との差とを比較する。制御装置33は、底部BWの前後方向に対する寸法と、内面照射点候補P11から得られた線分の長さとの差が許容範囲内であれば、当該内面照射点候補P11を内面照射点P11として抽出する。なお、許容範囲は、線分の長さの測定精度やコンテナCが鏡面仕様であることを考慮して設定される。
【0073】
制御装置33は、フォークリフト10から内面照射点候補P11までの距離と、位置情報により示されるコンテナCの位置とを比較する。制御装置33は、位置情報に基づきフォークリフト10から底部BWの後端までの距離の取り得る範囲を算出することができる。制御装置33は、上記した距離の取り得る範囲内の内面照射点候補P11を内面照射点P11として抽出する。
【0074】
制御装置33は、内面照射点候補P11により得られる線分の傾きを算出する。制御装置33は、姿勢情報から内面照射点P11同士を線分で結んだときの傾斜角度の取り得る範囲を把握できる。制御装置33は、内面照射点候補P11同士を線分で結んだときの傾斜角度が、内面照射点P11同士を線分で結んだときの傾斜角度の取り得る範囲内のものを内面照射点P11として抽出する。
【0075】
上記したように、制御装置33は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報のうちの1つを用いて内面照射点P11,P12,P13を抽出することができる。また、制御装置33は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報の複数を用いて内面照射点P11,P12,P13を抽出することで、周辺環境に依存することなく、内面照射点P11,P12,P13を抽出することができる。従って、内面照射点P11,P12,P13の抽出に用いる情報は、コンテナCの周辺環境に応じて、適宜選択すればよい。
【0076】
制御装置33は、内面照射点P11,P12,P13を抽出すると、内面照射点P11,P12,P13から得られる直線の傾きから鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出する。底部BWの内面BWSに当たった内面照射点P11により得られた直線L11であれば、X軸に沿う方向に対する直線L11の傾きにより得られる傾斜角θ1が鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度となる。後壁RW1,RW2の内面RWSに当たった内面照射点P12により得られた直線L12であれば、Y軸に沿う方向に対する直線L12の傾きにより得られる傾斜角θ1が鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度となる。天部CWの内面CWSに当たった内面照射点P13により得られた直線L13であれば、X軸に沿う方向に対する直線L13の傾斜角θ1が鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度となる。なお、複数の内面照射点P11,P12,P13を抽出し、複数の直線L11,L12,L13が得られた場合、得られた直線L11,L12,L13の数だけ傾斜角θ1が得られることになる。この場合、制御装置33は、複数の傾斜角θ1から任意の傾斜角θ1を選択してもよいし、複数の傾斜角θ1の平均値を算出し、当該平均値を鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度としてもよい。
【0077】
制御装置33は、縁照射点P1,P2と内面照射点P11,P12,P13の両方を抽出し、縁照射点P1,P2により得られる直線Lの傾きと、内面照射点P11,P12,P13により得られる直線L11,L12,L13の傾きの両方を算出してもよい。この場合、制御装置33は、縁照射点P1,P2により得られる直線Lの傾きから算出される傾斜角θ1と、内面照射点P11,P12,P13により得られる直線L11,L12,L13の傾きから算出される傾斜角θ1の平均値を算出し、当該平均値を鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度としてもよい。また、制御装置33は、直線Lの傾きから算出された傾斜角θ1と、直線L11,L12,L13の傾きから算出された傾斜角θ1から任意の傾斜角θ1を選択してもよい。
【0078】
制御装置33は、縁照射点P1,P2を抽出できなかった場合に内面照射点P11,P12,P13を抽出し、内面照射点P11,P12,P13から鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を算出してもよい。制御装置33は、内面照射点P11,P12,P13を抽出できなかった場合に縁照射点P1,P2を抽出し、縁照射点P1,P2から鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を算出してもよい。上記したように、制御装置33は、照射点Pから縁照射点P1,P2及び内面照射点P11,P12,P13の少なくともいずれかを抽出し、抽出された姿勢検出用照射点から鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出できればよい。
【0079】
実施形態に記載したように、コンテナCの内面が鏡面仕様の場合、制御装置33は、コンテナCの内面に当たった照射点Pを十分に得ることができない場合がある。従って、内面照射点P11,P12,P13から鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出する場合、コンテナCとして、内面が鏡面仕様ではないコンテナを用いることが望ましい。
【0080】
○制御装置33は、縁照射点P1,P2同士を結ぶ直線L及び内面照射点P11,P12,P13同士を結ぶ直線L11,L12,L13以外の直線の傾きから鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を算出してもよい。例えば、縁照射点P1と、縁照射点候補P4とを結ぶ直線の傾きから鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を算出してもよい。
【0081】
○制御装置33は、縁照射点候補P1~P4を線分の傾き以外の方法で抽出してもよい。例えば、照射点P同士を結ぶ線分が予め設定された所定角度以上で交わる照射点Pを縁照射点候補と判定してもよい。
【0082】
○制御装置33は、寸法情報、位置情報及び姿勢情報と、姿勢検出用照射点候補とを照合する際に、全ての縁照射点候補P1~P4についての照合を行う前に縁照射点P1,P2が抽出されれば、その時点で縁照射点P1,P2の抽出を終えてもよい。即ち、全ての縁照射点候補P1~P4について寸法情報、位置情報及び姿勢情報との照合を行わなくてもいい場合が生じ得る。
【0083】
○距離計37は、照射されたレーザーが荷役装置21に当たらず、かつ、荷役装置21とともに昇降及び傾動しなければ、どのような位置に取り付けられていてもよい。例えば、距離計37は、車体11やヘッドガード16に取り付けられていてもよい。
【0084】
○距離計37として、鉛直方向に対するレーザーの照射角度に加えて、水平方向に対するレーザーの照射角度も変更可能な3次元のレーザーレンジファインダを用いてもよい。
○フォークリフト10は、搭乗者による操作によって手動で動作するフォークリフト10であってもよいし、自動での動作と手動での動作を切り替え可能なフォークリフト10であってもよい。この場合、制御装置33は、搭乗者の視認可能な表示部に、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を表示する。搭乗者は、表示部の表示から鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を把握できるため、フォークリフト10を操作してフォーク24の上面と底部BWの内面BWSとが平行になるように荷役装置21を傾動させることができる。
【0085】
○駆動機構31及び油圧機構32を制御することでフォークリフト10を動作させる制御装置と、鉛直方向に対するフォークリフト10とコンテナCとの相対角度を検出する制御装置とを別々に設けてもよい。
【0086】
○姿勢検出用照射点候補抽出部、抽出部及びコンテナ姿勢検出部は、それぞれ、個別の制御装置の機能要素として実現されていてもよい。
○コンテナCは、冷蔵仕様のコンテナでなくてもよい。この場合であっても、実施形態と同様の効果が得られる。
【0087】
○フォークリフト10は、リーチ式のフォークリフト等、どのような形式のフォークリフト10であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
C…コンテナ、E1,E2…縁、L、L11,L12,L13…直線、L1,L2…線分、O1…開口部、P…照射点、P1~P4…姿勢検出用照射点候補としての縁照射点候補、P1,P2…姿勢検出用照射点としての縁照射点、P11,P12,P13…姿勢検出用照射点候補としての内面照射点候補、及び姿勢検出用照射点としての内面照射点、W…荷、10…フォークリフト、11…車体、21…荷役装置、33…姿勢検出用照射点候補抽出部、抽出部及びコンテナ姿勢検出部として機能する制御装置、35…記憶部、37…レーザーレンジファインダとしての距離計。