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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ごみ分別処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20221109BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20221109BHJP
【FI】
B09B3/30
B09B3/35
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019177982
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021053564
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 萌
(72)【発明者】
【氏名】阿部 盛一
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-99783(JP,A)
【文献】特開平8-10746(JP,A)
【文献】特開平8-10743(JP,A)
【文献】特開平11-80761(JP,A)
【文献】特開2018-141196(JP,A)
【文献】特開昭61-99638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
B07B 1/00-15/00
B03C 1/00- 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を含む可燃性粗大ごみを分別するごみ分別処理方法であって、
粗大ごみピットに貯留された粗大ごみを粗く破砕する第一の破砕工程と、
前記第一の破砕工程で粗く破砕された粗大ごみを磁力選別し鉄類を回収する第一の鉄類回収工程と、
前記第一の鉄類回収工程で回収された鉄類を除く粗大ごみからアルミ類を回収する第一のアルミ類回収工程と、
前記第一の鉄類回収工程で回収された鉄類及び前記第一のアルミ類回収工程で回収されたアルミ類を含む粗大ごみを細かく破砕する第二の破砕工程と、
前記第二の破砕工程で細かく破砕された鉄類及びアルミ類を含む粗大ごみを磁力選別し鉄類を回収する第二の鉄類回収工程と、
前記第二の鉄類回収工程で回収された鉄類を除く粗大ごみからアルミ類を回収する第二のアルミ類回収工程と、
前記第一及び第二のアルミ類回収工程で回収されたアルミ類が取り除かれた粗大ごみを焼却炉に搬送する焼却粗大ごみ搬送工程と、
を含むことを特徴とするごみ分別処理方法。
【請求項2】
前記第二の破砕工程の前に不燃ごみを加える工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のごみ分別処理方法。
【請求項3】
前記第二の鉄類回収工程の出側に、細かい土砂類を不純物として除去する粒度選別工程が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のごみ分別処理方法。
【請求項4】
前記第二の鉄類回収工程の出側及び前記第二のアルミ類回収工程の出側の少なくとも一方に、回収された鉄類やアルミ類に付着している可燃物を除去する可燃物除去工程が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のごみ分別処理方法。
【請求項5】
前記第一及び第二のアルミ類回収工程が省略されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のごみ分別処理方法。
【請求項6】
前記第一の破砕工程に用いる破砕機は二軸せん断式低速破砕機であり、前記第二の破砕工程に用いる破砕機は高速回転式破砕機であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のごみ分別処理方法。
【請求項7】
金属を含む可燃性粗大ごみを分別するごみ分別処理装置であって、
粗大ごみピットに貯留された粗大ごみを粗く破砕する第一の破砕機と、
前記第一の破砕機で粗く破砕された粗大ごみを磁力選別し鉄類を回収する第一の磁力選別機と、
前記第一の磁力選別機で回収された鉄類を除く粗大ごみからアルミ類を回収する第一のアルミ選別機と、
前記第一の磁力選別機で回収された鉄類及び前記第一のアルミ選別機で回収されたアルミ類を含む粗大ごみを細かく破砕する第二の破砕機と、
前記第二の破砕機で細かく破砕された鉄類及びアルミ類を含む粗大ごみを磁力選別し鉄類を回収する第二の磁力選別機と、
前記第二の磁力選別機で回収された鉄類を除くアルミ類を含む粗大ごみからアルミ類を回収する第二のアルミ選別機と、
前記第一及び第二のアルミ選別機で回収されたアルミ類が取り除かれた粗大ごみを焼却炉に搬送する焼却粗大ごみ搬送手段と、
を含むことを特徴とするごみ分別処理装置。
【請求項8】
前記第二の破砕機において、前記第一の磁力選別機で回収された鉄類及び前記第一のアルミ選別機で回収されたアルミ類を含む粗大ごみに加えて不燃ごみも細かく破砕するようにされていることを特徴とする請求項7に記載のごみ分別処理装置。
【請求項9】
前記第二の磁力選別機の出側に、細かい土砂類を不純物として除去する粒度選別機が設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載のごみ分別処理装置。
【請求項10】
前記第二の磁力選別機の出側及び前記第二のアルミ選別機の出側の少なくとも一方に、回収された鉄類やアルミ類に付着している可燃物を除去する風力選別機が設けられていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のごみ分別処理装置。
【請求項11】
前記第一及び第二のアルミ選別機が省略されていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のごみ分別処理装置。
【請求項12】
前記第一の破砕機は二軸せん断式低速破砕機であり、前記第二の破砕機は高速回転式破砕機であることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載のごみ分別処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ分別処理方法及び装置に係り、特に、金属を含む粗大ごみを適切に分別して、粗大ごみを処理するための負荷を掛かりにくくすると共に、安全に処理することが可能な、ごみ分別処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ごみを、焼却、溶融、ガス化等により処理するには、まず破砕処理施設においてごみを所望の大きさに破砕し、有価物や不燃物、可燃物等に選別する処理が行われる。さらに、そのごみが、再利用可能な粗大ごみである場合、再資源化や燃料として有効利用を図るために、破砕機や各種形式の選別機を組み合わせることで多段階に処理し分別する作業が行われる。
【0003】
例えば、可燃性粗大ごみは、一旦ヤードに受けて不燃物を含まない可燃物であることを確認して、せん断式破砕機に投入し、1m以下程度に粗く破砕する。その後は、焼却炉ピットに送り、焼却する。
【0004】
一方、不燃ごみは、一旦ヤードに受けて、ボンベ等の危険物を手作業で除去する。粗大ごみは受入ホッパに直接投入する。
【0005】
その後は高速回転式破砕機に送り、150mm以下(重量割合で85%以上)まで細かく破砕する。細かく破砕されたごみは、磁力選別機にて鉄類を除去し、その後トロンメル選別機で細かい土砂類を除去する。トロンメル選別機で篩上に選別されたごみをアルミ選別機に送り、そこでアルミ類を回収する。残りを焼却炉ピットに送り、焼却する。
【0006】
このような粗大ごみを破砕し分別するシステムの一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された技術によれば、選別処理する際に粗大ごみに含まれる多種類の材料を各々の材料ごとに精度よく選別できるようにし、これにより軽量可燃物中に含まれる異物の減少から減容成形機の摩耗や破損を防止でき、かつ残渣の量を少なくして埋め立て量を少なくすることができる。
【0007】
又、破砕機へ全量を投入する従来のごみ分別処理の模式的な手順を図1及び図2に示す。
【0008】
図1に示す横型破砕機のみを用いる手順においては、受入ホッパ10で受け入れた粗大ごみを高速(回転式)破砕機12で破砕し、磁力選別機20で鉄類を除いた後、例えばトロンメル選別機などの粒度選別機22により砂や土砂等の不燃物を排除し、アルミ選別機24でアルミ類を選別した後、焼却炉ピット30に送るようにしている。或いは、図2に示す二軸破砕機と竪型破砕機を用いる手順のように、高速(回転式)破砕機12の代わりに二軸低速破砕機14と竪型高速(回転式)破砕機16を設けることも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平7-284686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、破砕工程や選別工程が単純であるため、選別の精度が低く、ごみを分別しきれないという問題があった。また、ごみを分別しきれない状態のまま、次の工程へ粗大ごみが送り込まれるため、各工程に設置されている機器の能力を十分に発揮することができず、負荷もかかりやすくなっていた。
【0011】
更に、従来は破砕機へ全量を投入していたので、ソファー、椅子などの可燃物を含む粗大ごみは、例えば横型又は竪型の高速破砕機12又は16で、硬い金属と共に細かく破砕されるが、焼却処理する可燃物は細かく破砕する必要がないため、そのために費やしている動力は無駄である。又、可燃物は回転式破砕機(12、16)の刃物の磨耗を促進させる原因にもなっている。更に、不燃物や粗大ごみの中には、カセットボンベやリチウムイオン電池が含まれている場合が多く、その場合は、高速回転式破砕機(12、16)で細かく破砕されるときに、爆発や火災を引き起こしやすいという問題がある。
【0012】
一方、硬い不燃物を破砕するための高速回転式破砕機(12、16)は、布団、カーペットなどの柔らかい可燃物を破砕することが困難であるため、図2の例のように例えば二軸低速(せん断式)破砕機14を別途設置する必要がある。
【0013】
更に近年、リサイクル法の施行によって、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの大型ごみが粗大ごみに含まれなくなり、破砕が容易になっているが、この点について従来は考慮されていなかった。
【0014】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、金属を含む粗大ごみを適切に分別して、粗大ごみを処理するための負荷を掛かりにくくすると共に、安全に処理することが可能なごみ分別処理方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、金属を含む可燃性粗大ごみを分別するごみ分別処理方法であって、粗大ごみピットに貯留された粗大ごみを粗く破砕する第一の破砕工程と、前記第一の破砕工程で粗く破砕された粗大ごみを磁力選別し鉄類を回収する第一の鉄類回収工程と、前記第一の鉄類回収工程で回収された鉄類を除く粗大ごみからアルミ類を回収する第一のアルミ類回収工程と、前記第一の鉄類回収工程で回収された鉄類及び前記第一のアルミ類回収工程で回収されたアルミ類を含む粗大ごみを細かく破砕する第二の破砕工程と、前記第二の破砕工程で細かく破砕された鉄類及びアルミ類を含む粗大ごみを磁力選別し鉄類を回収する第二の鉄類回収工程と、前記第二の鉄類回収工程で回収された鉄類を除く粗大ごみからアルミ類を回収する第二のアルミ類回収工程と、前記第一及び第二のアルミ類回収工程で回収されたアルミ類が取り除かれた粗大ごみを焼却炉に搬送する焼却粗大ごみ搬送工程と、を含むことを特徴とするごみ分別処理方法により、前記課題を解決するものである。
【0016】
ここで、前記第二の破砕工程の前に不燃ごみを加える工程を更に含むことができる。
【0017】
又、前記第二の鉄類回収工程の出側に、細かい土砂類を不純物として除去する粒度選別工程を設けることができる。
【0018】
又、前記第二の鉄類回収工程の出側及び前記第二のアルミ類回収工程の出側の少なくとも一方に、回収された鉄類やアルミ類に付着している可燃物を除去する可燃物除去工程を設けることができる。
【0019】
又、前記第一及び第二のアルミ類回収工程を省略することができる。
【0020】
又、前記第一の破砕工程に用いる破砕機を二軸せん断式低速破砕機とし、前記第二の破砕工程に用いる破砕機を高速回転式破砕機とすることができる。
【0021】
本発明は、又、金属を含む可燃性粗大ごみを分別するごみ分別処理装置であって、粗大ごみピットに貯留された粗大ごみを粗く破砕する第一の破砕機と、前記第一の破砕機で粗く破砕された粗大ごみを磁力選別し鉄類を回収する第一の磁力選別機と、前記第一の磁力選別機で回収された鉄類を除く粗大ごみからアルミ類を回収する第一のアルミ選別機と、前記第一の磁力選別機で回収された鉄類及び前記第一のアルミ選別機で回収されたアルミ類を含む粗大ごみを細かく破砕する第二の破砕機と、前記第二の破砕機で細かく破砕された鉄類及びアルミ類を含む粗大ごみを磁力選別し鉄類を回収する第二の磁力選別機と、前記第二の磁力選別機で回収された鉄類を除くアルミ類を含む粗大ごみからアルミ類を回収する第二のアルミ選別機と、前記第一及び第二のアルミ選別機で回収されたアルミ類が取り除かれた粗大ごみを焼却炉に搬送する焼却粗大ごみ搬送手段と、を含むことを特徴とするごみ分別処理装置を提供するものである。
【0022】
ここで、前記第二の破砕機において、前記第一の磁力選別機で回収された鉄類及び前記第一のアルミ選別機で回収されたアルミ類を含む粗大ごみに加えて不燃ごみも細かく破砕するようにすることができる。
【0023】
又、前記第二の磁力選別機の出側に、細かい土砂類を不純物として除去する粒度選別機を設けることができる。
【0024】
又、前記第二の磁力選別機の出側及び前記第二のアルミ選別機の出側の少なくとも一方に、回収された鉄類やアルミ類に付着している可燃物を除去する風力選別機を設けることができる。
【0025】
又、前記第一及び第二のアルミ選別機を省略することができる。
【0026】
又、前記第一の破砕機を二軸せん断式低速破砕機とし、前記第二の破砕機を高速回転式破砕機とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、金属を含む粗大ごみを適切に分別して、粗大ごみを処理するための負荷を掛かりにくくすると共に、安全に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来のごみ分別処理の一例の手順を示す流れ図
図2】同じく他の例の手順を示す流れ図
図3】本発明の第1実施形態における処理手順を示す流れ図
図4】第1実施形態の具体的構成例を示す図
図5】本発明の第2実施形態における処理手順を示す流れ図
図6】本発明の第3実施形態の処理手順を示す流れ図
図7】従来例と本発明の第1実施形態の消費電力を比較して示す図
図8】従来例と本発明の第1~第3実施形態の物質収支を比較して示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0030】
二軸破砕機による全量破砕と堅型破砕機による金属類破砕を組み合わせた本発明の第1実施形態では、図3に模式的に示す如く、受入ホッパ10に受入れられた可燃性粗大ごみが、第一の破砕機(一次破砕機と称する)(例えば二軸低速破砕機)32に送られて粗く破砕される。一次破砕機32で粗く破砕された粗大ごみは、第一の磁力選別機34で鉄類が選別され回収された後、第一のアルミ選別機36でアルミ類が選別され回収される。第一の磁力選別機34及び第一のアルミ選別機36により選別された鉄類及びアルミ類及び途中で加えられた不燃ごみを含む粗大ごみは、第二の破砕機(二次破砕機と称する)(例えば竪型高速破砕機)38で細かく破砕される。二次破砕機38で細かく破砕された粗大ごみは、第二の磁力選別機40で鉄類が選別され回収された後、第二のアルミ選別機42でアルミ類が選別され回収される。第二の磁力選別機40及び第二のアルミ選別機42の出側には、それぞれ風力選別機44、46が設けられており、第二の磁力選別機40で回収された鉄類に付着している可燃物及び第二のアルミ選別機42で回収されたアルミ類に付着している可燃物が除去される。
【0031】
第一及び第二のアルミ選別機36、42、及び、風力選別機44、46を出た可燃物は焼却炉ピット30に送られる。
【0032】
なお、風力選別機44、46は、いずれか一方又は両方を省略することができる。
【0033】
一次破砕機32には、例えば二軸低速せん断式破砕機を用いることができる。この一次破砕機32は、収集された可燃性粗大ごみ及び不燃性粗大ごみを例えば400mm以下(重量割合で85%以上)に粗く破砕する。粗く破砕された粗大ごみは、コンベアを介して第一の磁力選別機34に送り、そこでアルミ類と可燃物を取り除いて鉄類(可燃物が付着したり絡まった状態の鉄類も含む)を回収する。第一の磁力選別機34で回収されなかったアルミ類と可燃物は、第一のアルミ選別機36に送り、アルミ類(可燃物が付着したり絡まった状態のアルミ類も含む)を回収する。
【0034】
第一の磁力選別機34及び第一のアルミ選別機36で可燃物として選別されたものは、後出の可燃物搬送コンベア130(図4参照)を通り、焼却炉ピット30に搬送される。
【0035】
一方、第一の磁力選別機34で回収された鉄類及び第一のアルミ選別機36で回収されたアルミ類は、後出の不燃ごみ投入コンベア140(図4参照)に投入され、不燃ごみと共に二次破砕機38に送られる。この二次破砕機38に送られる回収物の量は、受入ホッパ10への投入量の約半分であり、主に不燃物であるため、二次破砕機38を小型化でき、これまでの半分程度の動力で済むため省エネになる。
【0036】
二次破砕機38には、例えば竪型の高速回転式破砕機を採用し、例えば150mm以下(重量割合で85%以上)まで細かく破砕する。
【0037】
この二次破砕機38は、粗大ごみをより細かく破砕するため、可燃物と絡まった状態の鉄類とアルミ類も、バラバラに分離される。従って、その後に設置する第二の磁力選別機40と第二のアルミ選別機42での鉄類及びアルミ類の回収率が向上する。
【0038】
二次破砕機38の刃の磨耗も、刃物の磨耗を促進させる可燃物の量が半減することにより、延命化が図れる。
【0039】
又、発火の原因となる可燃物の量が少ないため、二次破砕機38でカセットボンベやリチウムイオン電池による爆発・発火があっても延焼が防げる。
【0040】
可燃物は、第二の磁力選別機40及び第二のアルミ選別機42を通さず、可燃物搬送コンベア130で焼却炉ピット30に送付するので、第二の磁力選別機40及び第二のアルミ選別機42も小型化でき、省エネも図れる。
【0041】
第1実施形態の具体的構成例を図4に示す。例えばプラットホーム100上のごみ運搬車102から投入扉104により粗大ごみピット110に投入され貯留された粗大ごみ60は、クレーン112で受入ホッパ10に投入される。更に、一部の粗大ごみは、ごみ運搬車106から直接、受入ホッパ10に投入される。
【0042】
受入ホッパ10に投入された粗大ごみは、その後、投入コンベア116を介して一次破砕機32に搬送され、そこで例えば400mm以下(重量割合で85%以上)に粗く破砕される。
【0043】
一次破砕機32には、二軸せん断式破砕機を採用することができる。刃幅は100mm程度である。二軸せん断式破砕機は、カセットボンベの投入時に、ガス抜き装置としての役割も果たす。
【0044】
一次破砕機32で400mm以下(重量割合で85%以上)に粗く破砕された粗大ごみは、破砕物供給コンベア120で、第一の磁力選別機34に搬送される。第一の磁力選別機34は、選別した鉄類を二次破砕機38の投入コンベア140に直接送る入側磁力選別機34Aと、第一の磁力選別機34を通過した可燃物の中から鉄類を再び選別して第一のアルミ選別機36に送る出側磁力選別機34Bで構成することができる。なお、入側磁力選別機34Aと出側磁力選別機34Bをまとめて第一の磁力選別機34とすることもできる。図において、122は落塵排出コンベアである。
【0045】
第一の磁力選別機34では、鉄類が回収される。なお、本発明では、下流側に更に第二の磁力選別機40を設置して、回収した鉄類の純度を高めている。又、大きな鉄類が存在すると、アルミ選別機は磁石で構成されるために、そこに鉄類が付着し、アルミ選別機を損傷させる可能性があるので、鉄類の回収率を高めることが望ましい。
【0046】
その後、鉄類を回収した粗大ごみを第一のアルミ選別機36に送り、アルミ類を回収する。第一の磁力選別機34および第一のアルミ選別機36で回収されない粗大ごみは、概ね可燃ごみであるため、可燃物搬送コンベア130を介して焼却炉ピット30に送る。図において31は、防臭ダンパである。
【0047】
第一の磁力選別機34及び第一のアルミ選別機36で回収した鉄類・アルミ類は、不燃ごみ受入ホッパ304より投入された不燃ごみと共に不燃ごみ投入コンベア140で二次破砕機38に送り、例えば150mm以下(重量割合で85%以上)まで細かく破砕する。二次破砕機38は、竪型の高速回転式破砕機で、その型式はグラインダー型を採用するのが望ましい。
【0048】
不燃ごみ投入コンベア140により二次破砕機38に投入される鉄類・アルミ類は可燃物と一緒になっているものもあるため、二次破砕機38で処理することで、鉄類・アルミ類と可燃物をバラバラにする。これは、二次破砕機38が例えば衝撃式破砕であり、材質の異なる界面で分離しやすいためである。
【0049】
このようにして、第一の磁力選別機34及び第一のアルミ選別機36で回収された鉄類・アルミ類は可燃物と絡まっている状態だったものが、二次破砕機38を通ることで、絡まっていた鉄類・アルミ類と可燃物がバラバラになり、その下流側に設けられた第二の磁力選別機40及び第二のアルミ選別機42で回収される鉄類・アルミ類の純度が高くなる。
【0050】
二次破砕機38で150mm以下(重量割合で85%以上)まで細かく破砕された粗大ごみを破砕物搬送コンベア150、152で第二の磁力選別機40に搬送し、ここで主として不燃ごみ中の鉄類を回収する。図において、154は落塵排出コンベアである。
【0051】
第二の磁力選別機40で回収された鉄類の純度を更に高めるために、鉄類搬送コンベア160で第一の風力選別機44に搬送し、ここで鉄類に付着している紙等の軽い可燃物を除去する。軽い可燃物が除去された鉄類は、鉄類搬送コンベア162で鉄類ヤード164に搬送され、回収される。
【0052】
又、第二の磁力選別機40で鉄類を除去した粗大ごみを第二のアルミ選別機42に送りアルミ類を回収する。第二のアルミ選別機42で回収されたアルミ類は、その純度を更に高めるために、第二の風力選別機46にて、アルミ類に付着している紙等の軽い可燃物を除去する。軽い可燃物が除去されたアルミ類は、アルミ類搬送コンベア170でアルミ類ヤード172に搬送され、回収される。
【0053】
第二の磁力選別機40及び第二のアルミ選別機42で鉄類とアルミ類を除去した粗大ごみは、可燃物搬送コンベア180及び可燃物搬送コンベア130で焼却炉ピット30に送られ焼却される。
【0054】
図4中における鉄類の流れを実線の矢印X、アルミ類の流れを破線の矢印Y、可燃物の流れを一点鎖線のZで示す。
【0055】
図4において、200は防臭用ラインファン、300は不燃ごみダンピングボックス302を介して不燃ごみ受入ホッパ304へ不燃ごみを投入するためのごみ運搬車、310は破砕物排出コンベア、312は落塵排出コンベア、330、332は分離機、340、342は集塵機、344はスクリューコンベア、350、352は脱臭装置、370、372は排風機、380、382は消音器である。
【0056】
なお、第1実施形態においては、従来設けられていた粒度選別機が省略されていたが、図5に示す第2実施形態のように、例えば第二の磁力選別機40と第二のアルミ選別機42の間に、例えばトロンメルのような粒度選別機48を設けて細かい土砂類を除去し、篩上に選別されたごみを第二のアルミ選別機42に送ってアルミ類を回収するようにすることも可能である。
【0057】
或いは、ストーカ炉ではないガス化炉等で可燃物を焼却する場合のように、可燃物にアルミ類が混入しても問題ない場合には、図6に示す第3実施形態のように、第一及び第二のアルミ選別機36、42を省略することも可能である。
【0058】
次に、各破砕機における消費電力の比較を図7に示す。図1図2に示した従来フローに比べて、図3に示した本発明によるフローで消費電力が大幅に低減していることが明らかである。
【0059】
又、物質収支を図8に示す。従来に比べて、本発明の第1、第2、第3実施形態のいずれも、鉄類とアルミ類以外の不燃物の量が激減していることが明らかである。
【0060】
本発明の実施形態によれば、これまでは可燃物粗大ごみと不燃ごみ、粗大ごみと分けて処理していたものを同じ設備で行うことができ、可燃物は低速の破砕機で粗く破砕するだけで選別するので、不必要な動力を要しない。又、高速の破砕機でカセットボンベやリチウム電池による爆発や発火があっても、可燃物が少ない状況であるため、延焼しにくい等の優れた効果を有する。
【0061】
なお、本発明の実施形態においては、一次破砕機32として二軸(せん断式)低速破砕機が設けられ、二次破砕機38として竪型の高速(回転式)破砕機が設けられていたが、破砕機の種類や組み合わせはこれに限定されない。
【符号の説明】
【0062】
10…受入ホッパ
30…焼却炉ピット
32…第一の破砕機(一次破砕機)(二軸低速破砕機)
34、34A、34B…第一の磁力選別機
36…第一のアルミ選別機
38…第二の破砕機(二次破砕機)(竪型高速破砕機)
40…第二の磁力選別機
42…第二のアルミ選別機
44、46…風力選別機
48…粒度選別機
60…粗大ごみ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8