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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】雄端子、および雄コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/41 20060101AFI20221109BHJP
   H01R 13/10 20060101ALI20221109BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01R13/41
H01R13/10 B
H01R13/04 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019179650
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021057208
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺本 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】松永 英樹
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-305601(JP,A)
【文献】特開2002-237344(JP,A)
【文献】特開2012-038548(JP,A)
【文献】特開2005-026109(JP,A)
【文献】特開2013-065500(JP,A)
【文献】実開平02-097763(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/41
H01R 13/10
H01R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングのキャビティ内に収容される雄端子であって、
前端部に形成された板状のタブと、
前記タブの後部に連続し後方に向けて開口する角筒状の箱部と、を備え、
前記タブの一方の板面には前記タブの厚さ方向に突出する第1凸部が形成されており、
前記第1凸部は、前記ハウジングの前記キャビティの内壁に後方から圧入するようになっている雄端子。
【請求項2】
前記タブの他方の板面は、前記ハウジングの前記キャビティの内壁と接触して前記タブの厚さ方向の位置決めがなされる第1位置決め面とされる請求項1に記載の雄端子。
【請求項3】
前記箱部の一の側壁には、前記タブの前記第1凸部と異なる方向に突出する第2凸部が形成されており、
前記箱部の前記一の側壁と対向する他の側壁は、前記ハウジングの前記キャビティの内壁と接触して、前記第2凸部の突出する方向の位置決めがなされる第2位置決め面とされる請求項1または請求項2に記載の雄端子。
【請求項4】
前記第2凸部は、前記箱部を構成する金属板材から膨出した形状をなしており、前記箱部には前記第2凸部の後端部に対応する位置に、貫通孔が形成されている請求項3に記載の雄端子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の雄端子と、
前記雄端子が収容されるキャビティを有するハウジングと、を備えた雄コネクタであって、
前記ハウジングの前記キャビティには前記タブの延びる方向について先細り形状の傾斜面が形成されており、前記傾斜面に前記第1凸部が圧入するようになっている雄コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雄端子、および雄コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003-243065号公報には、雄端子金具を備えたコネクタが記載されている。コネクタのキャビティには雄端子金具の挿入方向と概ね直交する受け面が設けられている。雄端子金具にはその雄端子金具の挿入方向と概ね直交する当接面が設けられている。雄端子金具は、角筒部の前端から前方に突出するタブを有する。当接面は、角筒部の前端縁に設けられている。
【0003】
キャビティ内に挿入された雄端子金具は、その当接面をキャビティ内の受け面に対し、雄端子金具の挿入方向と概ね同じ方向に突き当てることによって前止まりされるので、雄端子金具を所定の正規挿入位置で確実に前止まりさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-243065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近時、雄端子および雄コネクタの小型化が求められている。雄端子を小型化するために、例えば、雄端子を構成する金属板材を以前に比べて薄くすることが考えられる。金属板材を薄くすると、角筒部の前端縁に当接面を設けた場合、当接面がハウジングの受け面と当接したときに、角筒部を構成する金属板材が座屈してしまうおそれがある。すると、雄端子を雄コネクタに対して前止まりさせることができなくなるという問題が生じる。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、雄端子を確実に前止まりさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ハウジングのキャビティ内に収容される雄端子であって、前端部に形成された板状のタブと、前記タブの後部に連続し後方に向けて開口する角筒状の箱部と、を備え、前記タブの一方の板面には前記タブの厚さ方向に突出する第1凸部が形成されており、前記第1凸部は、前記ハウジングの前記キャビティの内壁に後方から圧入するようになっている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、雄端子を確実に前止まりさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1にかかる雄コネクタを示す側断面図である。
図2図2は、雄コネクタを示す一部拡大斜視図ある。
図3図3は、ハウジングを示す平断面図である。
図4図4は、雄端子を示す側面図である。
図5図5は、雄端子を示す一部拡大斜視図である。
図6図6は、第1凸部がタブ挿入孔内に挿入される前の状態を示す一部拡大側断面図である。
図7図7は、雄端子を示す平面図である。
図8図8は、第1凸部がタブ挿入孔内に挿入される前の状態を示す一部拡大平断面図である。
図9図9は、雄コネクタを示す一部拡大側断面図である。
図10図10は、雄コネクタを示す一部拡大側断面図である。
図11図11は、実施形態2にかかる雄コネクタにおいて、タブがタブ挿入孔内に挿入される前の状態を示す一部拡大平断面図である。
図12図12は、雄コネクタを示す一部拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示は、ハウジングのキャビティ内に収容される雄端子であって、前端部に形成された板状のタブと、前記タブの後部に連続し後方に向けて開口する角筒状の箱部と、を備え、前記タブの一方の板面には前記タブの厚さ方向に突出する第1凸部が形成されており、前記第1凸部は、前記ハウジングの前記キャビティの内壁に後方から圧入するようになっている。
【0012】
第1凸部がキャビティの内壁に後方から圧入することにより、ハウジングのキャビティ内に雄端子が前止まり状態で保持される。金属板がハウジングのキャビティに接触する場合に比べて、ハウジング内における雄端子の保持力を向上させることができる。
【0013】
(2)前記タブの他方の板面は、前記ハウジングの前記キャビティの内壁と接触して前記タブの厚さ方向の位置決めがなされる第1位置決め面とされることが好ましい。
【0014】
第1凸部がハウジングのキャビティに圧入すると、タブの他方の面はキャビティの内壁からの反力により、ハウジングのキャビティの内壁に押し付けられる。このとき、タブの他方の面は第1位置決め面とされており、キャビティの内壁と接触する。これにより、タブの厚さ方向について、雄端子と雄コネクタとの相対的な位置決め精度を向上させることができる。
【0015】
(3)前記箱部の一の側壁には、前記タブの前記第1凸部と異なる方向に突出する第2凸部が形成されており、前記箱部の前記一の側壁と対向する他の側壁は、前記ハウジングの前記キャビティの内壁と接触して、前記第2凸部の突出する方向の位置決めがなされる第2位置決め面とされることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、第2凸部がキャビティの内壁に圧入することにより、第2位置決め面はキャビティの内壁からの反力により、ハウジングのキャビティの内壁に押し付けられる。これにより、第2凸部の突出する方向について、雄端子と雄コネクタとの相対的な位置決め精度を向上させることができる。
【0017】
(4)前記第2凸部は、前記箱部を構成する金属板材から膨出した形状をなしており、前記箱部には前記第2凸部の後端部に対応する位置に、貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0018】
貫通孔が形成されていることにより、箱部を構成する金属板材からの第2凸部の突出高さ寸法を大きくすることができる。これにより、第2凸部がキャビティの内壁に深く圧入するので、第2凸部の突出する方向について、雄端子と雄コネクタとの相対的な位置決め精度を向上させることができるとともに、雄端子とハウジングとの保持力を向上させることができる。
【0019】
(5)本開示は、上記のいずれかに記載の雄端子と、前記雄端子が収容されるキャビティを有するハウジングと、を備えた雄コネクタであって、前記ハウジングの前記キャビティには前記タブの延びる方向について先細り形状の傾斜面が形成されており、前記傾斜面に前記第1凸部が圧入するようになっている。
【0020】
第1傾斜面に第1凸部が後方から圧入することにより、雄端子は第1傾斜面に沿ってキャビティの内壁のうち第1傾斜面と反対側の壁面に、次第に押し付けられるようになっている。これにより、雄端子をハウジングに前止まりさせつつ、かつ、タブの厚さ方向について雄端子とハウジングとの位置決めとを同一の工程において実行することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図10を参照しつつ説明する。本実施形態の雄コネクタ10は、ハウジング11と、雄端子40と、を備える。雄端子40の、以下の説明では、図中、矢線Zで示す方向を上方とし、矢線Yで示す方向を前方とし、矢線Xで示す方向を左方とする。また、複数の同一部材については一部の部材にのみ符号を付し他の部材については符号を省略する場合がある。
【0023】
[ハウジング11]
図1に示されるように、ハウジング11は絶縁性の合成樹脂製であって、内部にはキャビティ12がハウジング11の前後に開口して形成されている。キャビティ12のうち、ハウジング11の前壁に形成された部分は、前方に開口するタブ挿入孔13とされている。タブ挿入孔13はキャビティ12と連通している。タブ挿入孔13の上下方向の高さ寸法は、キャビティ12の上下方向の高さ寸法よりも小さくなっている。
【0024】
タブ挿入孔13の下面と、キャビティ12の下面とは平坦に連続している。換言すると、タブ挿入孔13の下面と、キャビティ12の下面との間には段差が形成されていない。
【0025】
ハウジング11の前壁の後面には、キャビティ12の上壁と、タブ挿入孔13の上壁13Aとを連結する傾斜面14が形成されている。キャビティ12の前壁の後面が前方(タブ挿入孔13の延びる方向)に先細り形状に形成されていることにより、傾斜面14は、前斜め下方に傾斜して形成されている。
【0026】
図2および図3に示されるように、ハウジング11には、左方に開口するとともにキャビティ12に連通する前側開口部16が形成されている。また、ハウジング11には、前側開口部16の後方において、左方に開口するとともにキャビティ12に連通する後側開口部17が形成されている。
【0027】
図3に示されるように、前側開口部16の後端部から、後側開口部17の前端部には、左斜め後ろに傾斜する案内斜面15が形成されている。この案内斜面15と、後述する第2凸部47とが摺接するようになっている。
【0028】
[雄端子40]
図4に示されるように、雄端子40は、所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工して成形されたものであって、全体として前後方向に細長い形態となっている。金属板材としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を選択できる。
【0029】
図5に示されるように、雄端子40の前端部には前方に細長く延びるタブ49が形成されている。タブ49は、図示しない相手側の雌端子に接続される。タブ49の上面の後端部寄りの位置には、上方に突出する第1凸部42が形成されている。第1凸部42は、タブ49の左右方向の中心付近に形成されている。第1凸部42はタブ49を構成する金属板材を叩き出して形成される。図6に示されるように、第1凸部42の前面は前下がり傾斜した前側斜面43とされる。前側斜面43の傾斜角度と、キャビティ12の傾斜面14の傾斜角度とは、ほぼ同じに設定されている。
【0030】
図6に示されるように、ハウジング11のタブ挿入孔13の上下方向の高さ寸法は、タブ49のうち、第1凸部42が設けられた部分と異なる部分における上下方向の厚さ寸法よりも大きく形成されている。一方、タブ49と第1凸部42とを合わせた高さ寸法は、タブ挿入孔13の上下方向の高さ寸法よりも大きく設定されている。これにより、タブ49がタブ挿入孔13内に挿入された状態で、タブ挿入孔13の上壁13Aに、第1凸部42が後方から圧入するようになっている。第1凸部42がタブ挿入孔13の上壁13Aに圧入したときに、タブの下面はタブ挿入孔13の下壁13Bに上方から押し付けられるようになっている。これにより、ハウジング11に対して、タブ49の上下方向の位置決めがなされる。タブ49の下面は、第1位置決め面44とされる。タブ挿入孔13の、上壁13Aと下壁13Bとは対向している。
【0031】
図4に示されるように、雄端子40の長さ方向におけるほぼ中央部分は箱部41となっている。箱部41は、前後方向に延びるとともに、全体として上下方向に扁平な角筒状に形成されている。箱部41の前面は前壁によって塞がれている。箱部41は、底壁と、底壁の左右両側縁から上方に延びる左側壁45および右側壁46と、左側壁45または右側壁46の一方の上端部から折り曲げられて他方の上端部に係止される上壁50と、を有する。
【0032】
図7に示されるように、箱部41の左右方向の幅寸法は、タブ49の左右方向の幅寸法よりもやや大きく設定されている。これにより、箱部41の左側壁45および右側壁46は、タブ49よりも左右方向にやや膨出した形状になっている。
【0033】
図7に示されるように、箱部41の左側壁45の後端部寄りの位置には、左方に突出する第2凸部47が形成されている。第2凸部47は、左側壁45を構成する金属板材が叩き出されることにより形成される。第2凸部47の前面は左斜め後方に傾斜して形成されている。これにより、第2凸部47の前面はハウジング11の案内斜面15とスムーズに摺接するようになっている。第2凸部47の後面は鋭く切り立って形成されており、かつ、オーバーハング形状に形成されている。これにより、キャビティ12の左側壁に圧入した第2凸部47は後方へ抜け止めされるようになっている。
【0034】
箱部41には、第2凸部47の後端部に対応する位置に、箱部41の左側壁45を貫通する貫通孔47Aが形成されている。貫通孔47Aは、第2凸部47の後端部よりもやや後方にまで開口している。
【0035】
図10に示されるように、キャビティ12の左右方向の幅寸法は、箱部41と第2凸部47とを合わせた幅寸法よりも小さく設定されている。これにより、キャビティ12に箱部41が収容された状態で、第2凸部47はキャビティ12の左側壁12Aに圧入するようになっている。第2凸部47がキャビティ12の左側壁12Aに圧入した状態で、箱部41の右側面は、キャビティ12の右側壁12Bに左方から押し付けられる。これにより、ハウジング11に対して、箱部41の左右方向の位置決めがなされるようになっている。箱部41の右側面は第2位置決め面48とされる。
【0036】
詳細には図示しないが、箱部41の後端には、電線が接続される電線接続部が設けられている。電線と電線接続部との接続構造は特に限定されず、例えば、圧着、圧接、半田付け、溶接等、任意の手法を用いることができる。
【0037】
[雄コネクタ10の組み立て工程]
続いて、雄コネクタ10の組み立て工程の一例について説明する。雄コネクタ10の組み立て工程は以下の記載に限定されない。
【0038】
ハウジング11のキャビティ12内に、雄端子40が後方から挿入され、さらにタブ49の前端部がタブ挿入孔13へと達する。
【0039】
タブ49の前端部がタブ挿入孔13内に後方から挿入される。さらに雄端子40が前方に押されると、図6に示されるように、タブ49の第1凸部42がハウジング11の傾斜面14に後方から当接する。第1凸部42の前側斜面43の傾斜角度と、ハウジング11の傾斜面14の傾斜角度とはほぼ同じように形成されているので、第1凸部42は傾斜面14にスムーズに案内されて、タブ挿入孔13の後端部へと到達する。
【0040】
さらに雄端子40を前方に押圧すると、図9に示されるように、第1凸部42がタブ挿入孔13の上壁13Aに圧入する。すると、雄端子40は反力によって下方に押し下げられ、タブ49の第1位置決め面44がタブ挿入孔13の下壁13Bに上方から押し付けられる。さらに雄端子40が前方に押圧され、雄端子40が前止まり状態で保持される。
【0041】
一方、第2凸部47は、ハウジング11の案内斜面15に摺接することにより、図8に示されるように、前側開口部16内に案内される。前側開口部16内においては、第2凸部47はハウジング11と接触しないようになっている。
【0042】
雄端子40がさらに前方に押圧されると、図10に示されるように、第2凸部47がキャビティ12の左側壁12Aに圧入する。すると、箱部41は、反力によって右方に押圧され、箱部41の第2位置決め面48がキャビティ12の右側壁12Bに左方から押し付けられる。これにより、雄端子40が後止まり状態でキャビティ12内に保持される。
【0043】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態は、ハウジング11のキャビティ12内に収容される雄端子40であって、前端部に形成された板状のタブ49と、タブ49の後部に連続し後方に向けて開口する角筒状の箱部41と、を備え、タブ49の一方の板面にはタブ49の厚さ方向に突出する第1凸部42が形成されており、第1凸部42は、ハウジング11のキャビティ12のうちタブ挿入孔13の上壁13Aに後方から圧入するようになっている。
【0044】
第1凸部42がキャビティ12ののうちタブ挿入孔13の上壁13Aに後方から圧入することにより、ハウジング11のキャビティ12内に雄端子40が前止まり状態で保持される。金属板がハウジング11のキャビティ12に接触する場合に比べて、ハウジング11内における雄端子40の保持力を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、タブ49の他方の板面は、ハウジング11のキャビティ12のうちタブ挿入孔13の下壁13Bと接触してタブ49の厚さ方向の位置決めがなされる第1位置決め面44とされる。
【0046】
第1凸部42がハウジング11のキャビティ12に圧入すると、タブ49の他方の面はキャビティ12のうちタブ挿入孔13の上壁13Aからの反力により、ハウジング11のキャビティ12のうちタブ挿入孔13の下壁13Bに押し付けられる。このとき、タブ49の他方の面は第1位置決め面44とされており、キャビティ12のうちタブ挿入孔13の下壁13Bと接触する。これにより、タブ49の厚さ方向について、雄端子40と雄コネクタ10との相対的な位置決め精度を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、箱部41の一の側壁には、タブ49の第1凸部42と異なる方向に突出する第2凸部47が形成されており、箱部41の一の側壁と対向する他の側壁は、ハウジング11のキャビティ12の右側壁12Bと接触して、第2凸部47の突出する方向の位置決めがなされる第2位置決め面48とされる。
【0048】
上記の構成によれば、第2凸部47がキャビティ12の左側壁12Aに圧入することにより、第2位置決め面48はキャビティ12の左側壁12Aからの反力により、ハウジング11のキャビティ12の右側壁12Bに押し付けられる。これにより、第2凸部47の突出する方向について、雄端子40と雄コネクタ10との相対的な位置決め精度を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、第2凸部47は、箱部41を構成する金属板材から膨出した形状をなしており、箱部41には第2凸部47の後端部に対応する位置に、貫通孔47Aが形成されている。
【0050】
貫通孔47Aが形成されていることにより、箱部41を構成する金属板材からの第2凸部47の突出高さ寸法を大きくすることができる。これにより、第2凸部47がキャビティ12の左側壁12Aに深く圧入するので、第2凸部47の突出する方向について、雄端子40と雄コネクタ10との相対的な位置決め精度を向上させることができるとともに、雄端子40とハウジング11との保持力を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態は、雄端子40と、雄端子40が収容されるキャビティ12を有するハウジング11と、を備えた雄コネクタ10であって、ハウジング11のキャビティ12にはタブ49の延びる方向について先細り形状の傾斜面14が形成されており、傾斜面14に第1凸部42が圧入するようになっている。
【0052】
傾斜面14に第1凸部42が後方から圧入することにより、雄端子40は傾斜面14に沿ってキャビティ12の内壁のうち傾斜面14と反対側の壁面に、次第に押し付けられるようになっている。これにより、雄端子40をハウジング11に前止まりさせつつ、かつ、タブ49の厚さ方向について雄端子40とハウジング11との位置決めとを同一の工程において実行することができる。
【0053】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2について、図11から図12を参照しつつ説明する。本実施形態にかかる雄端子70においては、タブ71の右側面71Aと、箱部72の右側面72Aとは平坦に連続している。換言すると、タブ71の右側面71Aと、箱部72の右側面72Aとの間には段差が形成されていない。
【0054】
図11に示されるように、本実施形態にかかるハウジング60においては、タブ挿入孔61の右側壁61Aと、キャビティ62の右側壁62Aとは平坦に連続している。換言すると、タブ挿入孔61の右側壁61Aと、キャビティ62の右側壁62Aとの間は段差が形成されていない。
【0055】
上記以外の構成については、実施形態1とほぼ同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0056】
図12に示されるように、雄端子70がハウジング60のキャビティ62内に挿入された状態では、タブ71の右側面71Aはタブ挿入孔61に右側壁61Aに左方から押圧され、箱部72の右側面72Aはキャビティ62の右側壁62Aに左方から押圧されるようになっている。これによりタブ71においては、タブ71と箱部72とが一体なって前後方向に延びた位置決め用の平面が形成され、ハウジング60においては、タブ挿入孔61とキャビティ62とが一体となって前後方向に延びた位置決め用の平面が形成されるようになっている。この結果、キャビティ62内において、左右方向についての雄端子70の位置精度を向上させることができる。
【0057】
<他の実施形態>
(1)1つの雄コネクタ10に、複数の雄端子40が収容される構成としてもよい。
【0058】
(2)第1凸部42はタブ49の下面に形成されていてもよい。この場合、第1位置決め面44はタブ49の上面に設ける。
【0059】
(3)第2凸部47は箱部41の右側壁に形成されていてもよい。この場合、第2位置決め面48は箱部41の左側壁45に設ける。
【0060】
(4)第2凸部47を省略し、キャビティ12の内壁からキャビティ12内に突出して設けられたランスによって、雄端子40をハウジング11に係止する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10: 雄コネクタ
11,60: ハウジング
12,62: キャビティ
12A: キャビティの左側壁
12B: キャビティの右側壁
13,61: タブ挿入孔
13A:タブ挿入孔の上壁
13B:タブ挿入孔の下壁
14: 傾斜面
15: 案内斜面
16: 前側開口部
17: 後側開口部
40,70: 雄端子
41,72: 箱部
42: 第1凸部
43: 前側斜面
44: 第1位置決め面
45: 左側壁
46: 右側壁
47: 第2凸部
47A:貫通孔
48: 第2位置決め面
49,71: タブ
50: 上壁
60: ハウジング
61A: タブ挿入孔の右側壁
62A: キャビティの右側壁
71A: タブの右側面
72A: 箱部の右側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12