(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20221109BHJP
F16H 55/17 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F16H55/17 A
(21)【出願番号】P 2019202526
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】能村 亮
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-105199(JP,A)
【文献】特開2017-101784(JP,A)
【文献】実開昭57-196850(JP,U)
【文献】特開昭58-21060(JP,A)
【文献】特開2012-57547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
F16H 55/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ装置であって、
流体が流れる流路部(36)と、
前記流路部から流出する前記流体の流量を制御する弁体(31)と、
前記弁体に連結された金属製のシャフト(32)と、
前記シャフトを介して前記弁体を回転させるための動力を出力するモータ(71)と、
前記モータの出力を前記シャフトに伝動するギア部(72)とを備え、
前記ギア部は、前記シャフトの軸心方向一方側の端部を構成するシャフト端部(40)が挿入される挿入穴(741)を形成する樹脂製のシャフト挿入部(74)を有し、
前記シャフト端部の外周部分を形成する端部外周部(41)は、前記シャフト端部の径方向断面において直線状に延びる端部平面部(411)および前記シャフト端部の径方向断面における前記シャフト端部の軸心を中心とする円弧を形成する端部曲面部(412)を含んで形成され、
前記挿入穴の内周部分を形成する挿入穴内周部(75)は、前記挿入穴の径方向断面において直線状に延びる挿入穴平面部(751)および前記挿入穴の径方向断面において前記挿入穴の軸心を中心とする円弧を形成する挿入穴曲面部(752)を含んで形成され、
前記シャフト端部は、前記端部平面部の少なくとも一部に前記挿入穴平面部が当接し、前記端部曲面部の少なくとも一部に前記挿入穴曲面部が当接するとともに、前記シャフト端部の軸心および前記挿入穴の軸心が重なるように前記挿入穴に圧入されて
おり、
前記挿入穴内周部は、前記挿入穴の軸心を挟んで互いに対向する一対の前記挿入穴平面部および互いに対向する一対の前記挿入穴曲面部を含んで形成され、
前記端部外周部は、一対の前記挿入穴平面部のそれぞれに対向する一対の前記端部平面部および一対の前記挿入穴曲面部のそれぞれに対向する一対の前記端部曲面部によって形成されるとともに、前記端部平面部と前記端部曲面部との接続部分に端部接続部(413)を有し、
前記挿入穴平面部および前記挿入穴曲面部は、前記端部平面部および前記端部曲面部から離間する部位を介して交互に連なっているバルブ装置。
【請求項2】
前記シャフト挿入部は、筒状に形成され、
前記端部外周部のうち、前記挿入穴内周部に当接しない部分を端部非当接部(414)としたとき、
前記シャフト挿入部は、前記端部非当接部に対向する部分の肉厚が一定に形成されている請求項
1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記端部接続部は、面取りされている請求項
1または
2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記シャフトの外周部に配置される環状のシャフトシール部材(66)を備え、
前記シャフト端部は、前記シャフト端部の径方向断面の外周部分における異なる2点をつなぐ直線の最大の距離が前記シャフトシール部材の内径に比較して小さくなるように形成されている請求項1ないし
3のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体である自動車用冷却水の流量を制御するバルブ装置がある(例えば、特許文献1参照)。このバルブ装置は、流体が流れる流通路と、流通路を開閉する弁体と、弁体に連結された回転軸と、弁体の動力を出力するモータと、モータの動力を弁体に伝動する減速機とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のバルブ装置は、モータの出力軸および弁体の回転軸を構成するシャフトが減速機の従動ギア(以下、ギア部と呼ぶ)を介して接続されており、弁体の回転角度に基づいて、流通路を流れる流体の流量を制御可能に構成されている。また、ギア部は、ギア部の回転角度に基づいて弁体の回転角度が定まるように、シャフトに対して所定の回転角度で固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ギア部は、所定の回転角度でシャフトに配置された状態で、特許文献1に記載のように、ナットで固定されると、ギア部とナットとの当接する部分において、ギア部の回転方向に摩擦力が発生し、所定の回転角度からずれて固定される虞がある。
【0006】
本開示は、ギア部の回転角度に対するシャフトの回転角度のずれを抑制可能なバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
バルブ装置であって、
流体が流れる流路部(36)と、
流路部から流出する流体の流量を制御する弁体(31)と、
弁体に連結された金属製のシャフト(32)と、
シャフトを介して弁体を回転させるための動力を出力するモータ(71)と、
モータの出力をシャフトに伝動するギア部(72)とを備え、
ギア部は、シャフトの軸心方向一方側の端部を構成するシャフト端部(40)が挿入される挿入穴(741)を形成する樹脂製のシャフト挿入部(74)を有し、
シャフト端部の外周部分を形成する端部外周部(41)は、シャフト端部の径方向断面において直線状に延びる端部平面部(411)およびシャフト端部の径方向断面におけるシャフト端部の軸心を中心とする円弧を形成する端部曲面部(412)を含んで形成され、
挿入穴の内周部分を形成する挿入穴内周部(75)は、挿入穴の径方向断面において直線状に延びる挿入穴平面部(751)および挿入穴の径方向断面において挿入穴の軸心を中心とする円弧を形成する挿入穴曲面部(752)を含んで形成され、
シャフト端部は、端部平面部の少なくとも一部に挿入穴平面部が当接し、端部曲面部の少なくとも一部に挿入穴曲面部が当接するとともに、シャフト端部の軸心および挿入穴の軸心が重なるように挿入穴に圧入されており、挿入穴内周部は、挿入穴の軸心を挟んで互いに対向する一対の挿入穴平面部および互いに対向する一対の挿入穴曲面部を含んで形成され、端部外周部は、一対の挿入穴平面部のそれぞれに対向する一対の端部平面部および一対の挿入穴曲面部のそれぞれに対向する一対の端部曲面部によって形成されるとともに、端部平面部と端部曲面部との接続部分に端部接続部(413)を有し、挿入穴平面部および挿入穴曲面部は、端部平面部および端部曲面部から離間する部位を介して交互に連なっている。
【0008】
このように構成されるバルブ装置は、圧入によってギア部にシャフトが固定されているので、ナットによってギア部を固定する場合に比較し、ギア部を固定する際のギア部の回転方向の力の発生を抑制することができる。このため、バルブ装置は、ギア部の回転角度に対するシャフトの回転角度のずれを抑制することができる。
【0009】
また、シャフト挿入部は、挿入穴内周部に端部平面部に当接する挿入穴平面部が設けられているので、挿入穴内周部と端部外周部とが当接する部分に発生する摩擦力に加えて、挿入穴平面部が端部平面部を押圧する力によって、シャフトを回転させることができる。このため、バルブ装置は、挿入穴内周部および端部外周部が曲面形状のみで形成される場合に比較して、ギア部の回転に伴ってシャフトを回転させ易くできるので、ギア部の回転角度に対するシャフトの回転角度のずれを抑制することができる。
【0010】
また、シャフト挿入部は、挿入穴内周部に端部曲面部に当接する挿入穴曲面部が設けられているので、挿入穴内周部および端部外周部が平面形状のみで形成される場合に比較して、挿入穴内周部と端部外周部とが当接する部分の面積を充分に確保することができる。このため、バルブ装置は、シャフト挿入部にシャフト端部が圧入された際のシャフトを保持する力を確保し易くなり、ギア部とシャフトとを一体に回転し易くできるので、ギア部の回転角度に対するシャフトの回転角度のずれを抑制することができる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係るバルブ装置を適用した冷却システムの概略図である。
【
図2】第1実施形態に係るバルブ装置の概略構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る駆動部の概略構成図である。
【
図5】第1実施形態に係るシャフト挿入部およびシャフト端部を説明する図である。
【
図6】第2実施形態に係るシャフト端部を説明する図である。
【
図7】他の実施形態に係るシャフト挿入部およびシャフト端部を説明する図である。
【
図8】他の実施形態に係るシャフト挿入部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態については図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0014】
(第1実施形態)
本実施形態について、
図1~
図5に基づいて説明する。バルブ装置10は、例えば、車両のエンジン2を冷却する冷却水を循環させる冷却システム1に適用されるものであって、冷却システム1を循環する冷却水の流量を制御するものである。以下において、バルブ装置10を冷却システム1に適用した例について説明する。
【0015】
図1に示すように、冷却システム1は、バルブ装置10と、エンジン2と、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5と、ウォータポンプ6とを含んで構成されている。
【0016】
エンジン2は、点火プラグ等を収容するシリンダヘッド501と、シリンダ等を収容するシリンダブロック502と、冷却水の通路であるウォータジャケット503を含んで構成されている。ウォータジャケット503を流れる冷却水は、シリンダ等を駆動させることで発生した熱と熱交換することで加熱される。ウォータジャケット503の出口には、バルブ装置10が接続されている。
【0017】
バルブ装置10は、ウォータジャケット503の出口が配置されているシリンダヘッド501に設けられており、ウォータジャケット503を通過することによって加熱された冷却水が流入される。バルブ装置10は、流入された冷却水を空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して、必要な流量を流出可能に構成されている。
【0018】
空調用熱交換器3は、バルブ装置10から流出された冷却水と、車室内に送風する空気とを熱交換させることによって、冷却水を放熱するものである。空調用熱交換器3は、下流側にウォータポンプ6が接続されており、空調用熱交換器3を通過した冷却水がウォータポンプ6に流れるように構成されている。
【0019】
オイルクーラ4は、バルブ装置10から流出された冷却水をオイルと熱交換させることによって、オイルを冷却するものである。オイルクーラ4は、下流側にウォータポンプ6が接続されており、オイルクーラ4を通過した冷却水がウォータポンプ6に流れるように構成されている。
【0020】
ラジエータ5は、バルブ装置10から流出された冷却水を外気と熱交換させることによって、冷却水を放熱するものである。ラジエータ5は、下流側にウォータポンプ6が接続されており、ラジエータ5を通過した冷却水がウォータポンプ6に流れるように構成されている。
【0021】
ウォータポンプ6は、上流側に空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とが接続されており、下流側にウォータジャケット503の入口側が接続されている。ウォータポンプ6は、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれから流入した冷却水を加圧して、ウォータジャケット503に流出可能に構成されている。
【0022】
このように、冷却システム1は、ウォータポンプ6が冷却水を循環させつつ、バルブ装置10が空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して、必要な流量の冷却水を流出可能に構成されている。
【0023】
続けて、バルブ装置10について説明すると、バルブ装置10は、
図2に示すように、ハウジング20、パイプ部材50、隔壁部60、バルブ30、駆動部70、駆動部カバー80等を備えている。
【0024】
ハウジング20は、バルブ30を収容する収容部であって、例えば、樹脂部材によって有底筒状に形成されている。ハウジング20は、ハウジング20の内部空間23を形成するハウジング内壁21およびハウジング20の外殻を形成するハウジング外壁22によって形成されている。
【0025】
ハウジング内壁21は、内部空間23が円柱形状に形成されるように円筒状に形成されており、内部空間23にバルブ30を収容可能に構成されている。
【0026】
ハウジング外壁22は、エンジン2を取り付けるためのエンジン取付面25と、パイプ部材50を取り付けるためのパイプ取付面26と、底側の面を構成するハウジング底面27と、隔壁部60を取り付けるためのハウジング開口面28とを含んで構成されている。エンジン取付面25およびパイプ取付面26は、互いに対向する位置に配置されており、略平行になるように配置されている。また、ハウジング底面27とハウジング開口面28は、互いに対向する位置に配置されており、略平行になるように配置されている。
【0027】
エンジン取付面25は、略平面状であって、エンジン2を取り付け可能に形成されている。また、エンジン取付面25には、内部空間23に冷却水を流入させるための入口ポート251が形成されている。入口ポート251は、円形状に開口して形成され、ウォータジャケット503が接続されている。
【0028】
パイプ取付面26は、略平面状であって、後述するパイプ部材50を取り付け可能に構成されている。パイプ取付面26には、入口ポート251を介して内部空間23に流入した冷却水をパイプ部材50に流出させるため第1出口ポート261と、第2出口ポート262と、第3出口ポート263とが形成されている。第1出口ポート261、第2出口ポート262、第3出口ポート263は、それぞれが円形状に開口して形成されている。
【0029】
ハウジング底面27は、略平面状であって、エンジン取付面25およびパイプ取付面26に連なって配置されている。また、ハウジング底面27の内側のハウジング内壁21には、後述するシャフト32を回転可能に支持するためのシャフト支持部271が配置されている。
【0030】
ハウジング開口面28は、略平面状であって、後述する隔壁部60を取り付け可能に形成されている。ハウジング開口面28には、内部空間23とハウジング20の外部とを連通させるためのハウジング開口部281が形成されており、ハウジング開口面28に隔壁部60が取り付けられることによって、ハウジング開口部281を閉塞可能に構成されている。
【0031】
パイプ部材50は、例えば、樹脂部材で形成されており、内部空間23に流入した冷却水を空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とに流すためのものである。パイプ部材50は、それぞれが円筒状に形成された第1パイプ部51と、第2パイプ部52と、第3パイプ部53とを含んで構成されるとともに、第1パイプ部51と、第2パイプ部52と、第3パイプ部53とがパイプ連結部54によって連結されている。
【0032】
パイプ連結部54は、第1パイプ部51と、第2パイプ部52と、第3パイプ部53とを連結させるとともに、パイプ部材50をパイプ取付面26に取り付けるためのものである。パイプ連結部54は、パイプ取付面26に当接して固定可能なように形成されている。また、パイプ連結部54とパイプ取付面26との間には、冷却水がバルブ装置10の外部に漏れることを抑制するためのガスケット55が配置されている。
【0033】
第1パイプ部51は、冷却水の流れ上流側が第1出口ポート261の内側に配置され、冷却水の流れ下流側が図示しないホースを介してラジエータ5に接続されている。第2パイプ部52は、冷却水の流れ上流側が第2出口ポート262の内側に配置され、冷却水の流れ下流側が図示しないホースを介して空調用熱交換器3に接続されている。第3パイプ部53は、冷却水の流れ上流側が第3出口ポート263の内側に配置され、冷却水の流れ下流側が図示しないホースを介してオイルクーラ4に接続されている。また、第1パイプ部51~第3パイプ部53と第1出口ポート261~第3出口ポート263とのそれぞれの間には、シールユニット56が配置されている。
【0034】
シールユニット56は、第1パイプ部51~第3パイプ部53と第1出口ポート261~第3出口ポート263とのそれぞれの間の隙間から冷却水が漏れることを抑制するためのものである。シールユニット56には、冷却水の流れ上流側に冷却水の漏れを抑制するためのバルブシール561が配置されている。
【0035】
バルブシール561は、例えば、樹脂部材で略円環状に形成され、内側に形成されるシール開口部562に冷却水が流入可能に構成されている。バルブシール561は、冷却水の流れ上流側の面が後述する弁体31の外周壁に当接するように配置されている。
【0036】
隔壁部60は、ハウジング開口部281を閉塞するとともに、後述するバルブ30を保持するためのものであって、ハウジング開口面28に当接して固定されている。隔壁部60は、例えば、樹脂部材で板状に形成されており、ハウジング開口部281を覆うように配置されている。また、隔壁部60は、ハウジング開口部281の内部に向かって突出して形成される開口閉塞部61を有している。
【0037】
隔壁部60および開口閉塞部61は、後述するバルブ30のシャフト32を挿通させるためのシャフト挿通穴62が形成されており、シャフト32を挿通可能に構成されている。また、隔壁部60には、シャフト挿通穴62に挿通されたシャフト32を保持するための軸受部63が設けられている。
【0038】
開口閉塞部61は、ハウジング開口部281を閉塞するものであって、ハウジング開口部281の内部に配置されている。開口閉塞部61は、略円板状であって、板厚方向がハウジング内壁21の軸心方向と同一方向になるように形成されている。開口閉塞部61は、開口閉塞部61の外周部がハウジング開口部281の内周部に当接するように配置されている。
【0039】
また、開口閉塞部61の外周部とハウジング開口部281の内周部との間には、略円環状のハウジングシール部材65が配置されている。ハウジングシール部材65は、開口閉塞部61の外周部とハウジング開口部281の内周部との間に生じる隙間を塞ぎつつ、シャフト挿通穴62に挿通されたシャフト32の位置を調整可能に構成されている。
【0040】
ハウジングシール部材65は、外径がハウジング開口部281の内径より小さく、開口閉塞部61の外径より大きく形成されており、ハウジング開口部281と開口閉塞部61との間に配置された際に、ハウジング開口部281の径方向内側に圧縮される。すなわち、ハウジングシール部材65は、開口閉塞部61のシャフト挿通穴62にシャフト32が挿通された際に、シャフト32を開口閉塞部61の略中央に配置するように形成されている。
【0041】
また、開口閉塞部61は、シャフト挿通穴62の内周部に、シャフトシール部材66が配置されている。シャフトシール部材66は、内部空間23に流入した冷却水がシャフト挿通穴62に流れることを抑制するためのものであって、樹脂部材で略円環状に形成されている。シャフトシール部材66は、内径がシャフト32の外径に比較して小さく形成されている。なお、シャフトシール部材66には、シャフトシール部材66がシャフト挿通穴62の内周部に配置された状態でシャフト32が挿通される。
【0042】
また、開口閉塞部61は、シャフト挿通穴62に流れ込んだ冷却水を外部に排出するための隔壁貫通穴67が形成されている。隔壁貫通穴67は、シャフト挿通穴62からシャフト挿通穴62の径方向外側に延びて開口閉塞部61を貫通して形成されている。隔壁貫通穴67は、ハウジング20を貫通して形成された図示しないハウジング貫通穴に連通している。
【0043】
シャフト挿通穴62は、軸心方向がハウジング内壁21の軸心方向と同一方向であって、シャフト挿通穴62にシャフト32が挿入された際にシャフト挿通穴62の軸心および軸受部63の軸心がシャフト32の軸心と同一軸心上になるように形成されている。以下、シャフト32の軸心を回転軸Axrとも呼ぶ。
【0044】
軸受部63は、例えば、ボールベアリングで構成されており、シャフト挿通穴62に挿通されたシャフト32を回転させつつ支持可能に構成されている。また、軸受部63の外周部には、軸受部63を配置するための金属環64が配置されている。金属環64は、例えば、金属部材で略円環状に形成されており、軸受部63を内部に圧入可能に構成されている。
【0045】
なお、隔壁部60には、ハウジング開口面28が当接する面と反対側の面に後述する駆動部カバー80が配置されている。
【0046】
続いて、バルブ30について説明すると、バルブ30は、所謂ボールバルブであって、バルブ30から流出する流体の流量を制御する樹脂製の弁体31および弁体31を回転させるための金属製のシャフト32を含んで形成されている。弁体31は、例えば、シャフト32に連結されており、回転軸Axrを中心にシャフト32と一体に回転可能に構成されている。
【0047】
シャフト32は、弁体31を回転させるための回転軸部であって、軸心方向の断面が略真円の円柱形状で形成されている。また、シャフト32は、シャフト32の回転軸Axrの方向一方側の端部が後述するギア部72に接続されており、他方側の端部がシャフト支持部271に接続されている。
【0048】
弁体31は、シャフト32の回転軸Axrに沿って延びて形成されており、第1ボールバルブ33と、第2ボールバルブ34と、第3ボールバルブ35と、筒状接続部314と、筒状バルブ接続部315と、シャフト接続部316とを含んで構成されている。また、弁体31は、第1ボールバルブ33および第2ボールバルブ34が筒状の筒状接続部314を介して接続されており、第2ボールバルブ34および第3ボールバルブ35が筒状の筒状バルブ接続部315を介して接続されている。
【0049】
また、弁体31は、第1ボールバルブ33~第3ボールバルブ35の中央にシャフト接続部316が配置されており、シャフト接続部316を介してシャフト32に接続されている。弁体31は、例えば、第1ボールバルブ33と、第2ボールバルブ34と、第3ボールバルブ35と、筒状接続部314と、筒状バルブ接続部315と、シャフト接続部316とが、射出成形によって一体成形で構成されている。
【0050】
第1ボールバルブ33~第3ボールバルブ35は、それぞれ筒状であって、第1ボールバルブ33~第3ボールバルブ35のそれぞれの軸心が回転軸Axrと同一軸心上になるようにシャフト32に沿って並んで配置されている。また、第1ボールバルブ33~第3ボールバルブ35のそれぞれは、回転軸Axrの方向の中央部分が回転軸Axrの方向の両端側に比較して径方向外側に膨らんで形成されている。また、第1ボールバルブ33~第3ボールバルブ35のそれぞれは、回転軸Axrの方向の両端側が開口するとともに、内側に冷却水が流れる流路部36が形成されている。
【0051】
第1ボールバルブ33および第2ボールバルブ34の間には、筒状接続部314の外周部とハウジング内壁21との間に形成される第1バルブ間空間37が設けられている。すなわち、第1ボールバルブ33の内側に形成される流路部36と第2ボールバルブ34の内側に形成される流路部36とは、第1バルブ間空間37を介して連通している。
【0052】
第2ボールバルブ34および第3ボールバルブ35は、互いの外周部が筒状バルブ接続部315の外周部を介して連なり、互いの内周部が筒状バルブ接続部315の内周部を介して連なっている。すなわち、第2ボールバルブ34の内側に形成される流路部36と第3ボールバルブ35の内側に形成される流路部36とは、筒状バルブ接続部315の内部に設けられる第2バルブ間空間38を介して連通している。
【0053】
また、第1ボールバルブ33~第3ボールバルブ35のそれぞれの外周部には、内側に形成される流路部36を第1ボールバルブ33~第3ボールバルブ35の外側に連通させる開口部が形成されている。具体的には、弁体31は、第1ボールバルブ33の外周部に第1弁体開口部331が形成され、第2ボールバルブ34の外周部に第2弁体開口部341が形成され、第3ボールバルブ35の外周部に第3弁体開口部351が形成されている。
【0054】
第1ボールバルブ33は、第1弁体開口部331が第1出口ポート261に連通するとともに、第1出口ポート261に配置されたバルブシール561のシール開口部562に連通可能な位置に配置されている。第2ボールバルブ34は、第2弁体開口部341が第2出口ポート262に連通するとともに、第2出口ポート262に配置されたバルブシール561のシール開口部562に連通可能な位置に配置されている。第3ボールバルブ35は、第3弁体開口部351が第3出口ポート263に連通するとともに、第3出口ポート263に配置されたバルブシール561のシール開口部562に連通可能な位置に配置されている。また、筒状接続部314は、入口ポート251に対向する位置に配置されている。
【0055】
すなわち、バルブ30は、エンジン2から流出した冷却水が入口ポート251を介して内部空間23に流れ込み、第1バルブ間空間37を介して第1ボールバルブ33~第3ボールバルブ35のそれぞれの流路部36に流入可能に構成されている。また、バルブ30は、弁体31が回転することで、第1弁体開口部331~第3弁体開口部351のそれぞれが対応する第1出口ポート261~第3出口ポート263に配置されたバルブシール561のシール開口部562から冷却水を流出可能に構成されている。
【0056】
また、バルブ30は、第1弁体開口部331~第3弁体開口部351と、シール開口部562とが重なる面積に応じて、弁体31から流出する冷却水の流量を制御可能に構成されている。すなわち、第1弁体開口部331からラジエータ5に流れる冷却水の流量と、第2弁体開口部341から空調用熱交換器3に流れる冷却水の流量と、第3弁体開口部351からオイルクーラ4に流れる冷却水の流量は、弁体31の回転角度によって制御される。
【0057】
続いて、駆動部カバー80について説明すると、駆動部カバー80は、駆動部70を収容するためのものであって、隔壁部60に対して、ハウジング開口面28が当接する面と反対側の面に配置されている。駆動部カバー80は、樹脂部材によって中空形状に形成されるとともに、内部に駆動部70を収容するための駆動部空間81が形成されている。
【0058】
また、駆動部カバー80は、図示しないECUに接続するためのコネクタ部82を有している。コネクタ部82は、バルブ装置10をECUに接続させるものであって、駆動部70および回転角センサ73が接続される端子83が挿入されている。
【0059】
駆動部70は、シャフト32を介して弁体31を回転させるための動力を出力するモータ71と、モータ71の出力をシャフト32に伝動するギア部72と、ギア部72の回転角度を検出する回転角センサ73を含んで構成されている。
【0060】
モータ71は、
図3に示すように、モータ本体710と、モータシャフト711と、ウォームギア712と、モータ側端子713とを有しており、モータ側端子713に電力が供給されることでモータ本体710が動力を出力可能に構成されている。モータ本体710は、略円筒状に形成され、モータ本体710の一方側の端部からモータシャフト711が突出している。モータ本体710から出力した動力は、モータシャフト711およびウォームギア712を介して、ギア部72に出力される。
【0061】
ギア部72は、複数の樹脂製の歯車を有する減速機構で構成されており、ウォームギア712から出力された動力をシャフト32に伝動可能に構成されている。具体的には、ギア部72は、第1ギア721と、第1ギア721と噛み合うように構成された第2ギア722と、第2ギア722と噛み合うように構成された第3ギア723とで構成されており、第3ギア723にシャフト32が接続されている。ギア部72は、第1ギア721の外径に比較して第2ギア722の外径が大きく形成され、第2ギア722の外径に比較して第3ギア723の外径が大きく形成されている。
【0062】
また、第1ギア721~第3ギア723は、それぞれの軸心がウォームギア712の軸心に対して直交するように配置されている。また、第3ギア723は、第3ギア723の軸心が回転軸Axrと同一軸心上になるように配置されている。また、第3ギア723は、シャフト32が挿入されるシャフト挿入部74を有している。
【0063】
シャフト挿入部74には、第3ギア723の回転角度に基づいてシャフト32の回転角度が定まるように、シャフト32の端部を形成するシャフト端部40が圧入される。シャフト挿入部74およびシャフト端部40の詳細については後述する。
【0064】
駆動部70およびシャフト32は、ウォームギア712と、第1ギア721~第3ギア723と、シャフト32とが一体に回転するように構成されており、それぞれの回転が互いに相関関係を有する。すなわち、ウォームギア712と、第1ギア721~第3ギア723と、シャフト32とは、それぞれの回転角度が相関関係を有しており、相関関係を有するいずれか1つの構成品の回転角度を他の構成品の回転角度から算出可能に構成されている。
【0065】
本実施形態において、駆動部カバー80の内周部において、第3ギア723に対向する部位には、第3ギア723の回転角度を検出する回転角センサ73が取り付けられている。回転角センサ73は、ホール素子を内蔵したホール式センサであって、第3ギア723の回転角度を非接触で検出可能に構成されている。回転角センサ73は、コネクタ部82を介して図示しないECUに接続されており、検出した第3ギア723の回転角度をECUに送信可能に構成されている。ECUは、回転角センサ73から送信された第3ギア723の回転角度に基づいて、シャフト32の回転角度を算出可能に構成されている。
【0066】
なお、第3ギア723の回転角度を検出するためには、ホール式センサ以外に、MR式センサ、インダクティブ式センサ等の非接触式の角度センサやポテンショメータ式センサ等の接触式の角度センサが用いられてもよい。また、回転角センサ73は、ウォームギア712、第1ギア721、第2ギア722のうち、いずれか1つの回転角度を検出可能に構成されていてもよい。
【0067】
続いて、シャフト端部40およびシャフト挿入部74の詳細について
図4を参照して説明する。シャフト端部40は、シャフト32の回転軸Axrの方向一方側の端部を形成するものであって、シャフト挿入部74に形成された挿入穴741に圧入されている。また、シャフト端部40は、シャフト端部40の軸心が回転軸Axrと同一軸心上になるように形成されている。
【0068】
シャフト端部40の外周部分は、シャフト端部40の径方向断面において直線状に延びる端部平面部411およびシャフト端部40の径方向断面におけるシャフト端部40の軸心を中心とする円弧を形成する端部曲面部412を含んで形成されている。以下、シャフト端部40の外周部分を端部外周部41、シャフト端部40の軸心を端部軸心Axsとも呼ぶ。
【0069】
端部平面部411は、シャフト端部40の径方向断面における直線が端部軸心Axsの方向に延びて形成される部分である。また、端部曲面部412は、シャフト端部40の径方向断面における端部軸心Axsを中心とする円弧が端部軸心Axsの方向に延びて形成される部分である。
【0070】
図4に示すように、端部外周部41は、具体的に、一対の端部平面部411a、411bおよび一対の端部曲面部412a、412bによって構成されており、端部平面部411および端部曲面部412が交互に配置されて形成されている。また、端部外周部41は、端部平面部411と端部曲面部412との接続部分に端部接続部413を有している。本実施形態において、端部接続部413は、端部平面部411a、411bと端部曲面部412a、412bとがそれぞれ接続される4カ所の部位に配置されている。また、本実施形態において、シャフト端部40は、径方向断面の形状が端部軸心Axsを中心として点対称になるように形成されている。
【0071】
ここで、シャフト端部40の径方向断面において、端部平面部411a、411bのそれぞれの中心点を通過する仮想線を仮想線VL1、端部曲面部412a、412bのそれぞれの中心点を通過する仮想線をVL2とする。端部平面部411aおよび411bは、互いに略平行であって、仮想線VL2方向の長さが略等しくなるように形成されている。
【0072】
また、端部外周部41は、端部曲面部412a、412bにおけるそれぞれの円弧の長さが略等しく形成されている。すなわち、端部外周部41は、端部曲面部412a、412bの仮想線VL1方向の長さが略等しくなるように形成されている。また、端部外周部41は、仮想線VL1および仮想線VL2が略直交するように形成されている。
【0073】
また、シャフト端部40は、シャフト端部40の径方向断面の外周部分における異なる2点をつなぐ直線の最大の距離がシャフトシール部材66の内径に比較して小さくなるように形成されている。以下、シャフト端部40の径方向断面の外周部分における異なる2点をつなぐ直線の最大の距離をシャフト端部40の最外径とも呼ぶ。
【0074】
本実施形態において、シャフト端部40は、シャフト端部40の径方向断面が端部軸心Axsを中心とする円弧を形成する一対の端部曲面部412および一対の端部平面部411が交互に配置された形状である。このため、シャフト端部40の最外径は、端部軸心Axsを中心とする円弧の直径である。すなわち、シャフト端部40は、シャフト端部40の径方向断面における端部軸心Axsを中心とする円弧の直径が、シャフトシール部材66の内径に比較して小さくなるように形成されている。
【0075】
続いて、シャフト挿入部74について説明すると、シャフト挿入部74は、第3ギア723の軸心に沿って、隔壁部60に向かって突出して形成されており、樹脂部材によって構成されている。また、シャフト挿入部74は、筒状であって、シャフト端部40が挿入される挿入穴741が形成されている。以下、挿入穴741の外周部分を挿入穴外周部76、挿入穴741の内周部分を挿入穴内周部75、挿入穴741の軸心を挿入穴軸心Axhとも呼ぶ。
【0076】
図4に示すように、シャフト挿入部74は、略角筒状であって、内部にシャフト端部40が圧入されている。また、挿入穴外周部76は、挿入穴741の径方向断面において、4つの辺で構成される略正方形状であって、それぞれの辺が連なる角部分が曲面状に形成されている。
【0077】
また、
図4に示すように、挿入穴内周部75は、挿入穴741の径方向断面において直線状に延びる挿入穴平面部751および挿入穴741の径方向断面において挿入穴軸心Axhを中心とする円弧を形成する挿入穴曲面部752を含んで形成されている。挿入穴平面部751は、挿入穴741の径方向断面における直線が挿入穴軸心Axhの方向に延びて形成される部分である。挿入穴曲面部752は、挿入穴741の径方向断面における挿入穴軸心Axhを中心とする円弧が挿入穴軸心Axhの方向に延びて形成される部分である。
【0078】
また、挿入穴内周部75は、具体的に、挿入穴軸心Axhを挟んで互いに対向する一対の挿入穴平面部751a、751bおよび挿入穴軸心Axhを挟んで互いに対向する一対の挿入穴曲面部752a、752bを有している。
【0079】
また、挿入穴内周部75は、シャフト挿入部74にシャフト端部40が圧入された際に、挿入穴平面部751aが端部平面部411aに対向し、挿入穴平面部751bが端部平面部411bに対向するように配置されている。また、挿入穴内周部75は、シャフト挿入部74にシャフト端部40が圧入された際に、挿入穴曲面部752aが端部曲面部412aに対向し、挿入穴曲面部752bが端部曲面部412bに対向するように配置されている。
【0080】
また、挿入穴内周部75は、挿入穴741にシャフト端部40が圧入された際に、端部平面部411の少なくとも一部に挿入穴平面部751が当接し、端部曲面部412の少なくとも一部に挿入穴曲面部752が当接するように形成されている。本実施形態において、挿入穴内周部75およびシャフト端部40は、挿入穴平面部751a、751bが対向する端部平面部411a、411bに当接し、挿入穴曲面部752a、752bが対向する端部曲面部412a、412bに当接するように形成されている。
【0081】
ここで、挿入穴軸心Axhの径方向断面において、挿入穴平面部751a、751bのそれぞれの中心点を通過する仮想線を仮想線VL3、一対の挿入穴曲面部752a、752bのそれぞれの中心点を通過する仮想線をVL4とする。挿入穴平面部751aおよび751bは、互いに略平行であって、仮想線VL4方向の長さが略等しくなるように形成されている。
【0082】
また、挿入穴内周部75は、挿入穴曲面部752a、752bにおけるそれぞれの円弧の長さが略等しくなるように形成されている。すなわち、挿入穴曲面部752a、752bは、仮想線VL3方向の長さが略等しくなるように形成されている。
【0083】
また、挿入穴軸心Axhは、回転軸Axrと同一軸心上になるように配置されている。また、挿入穴内周部75は、仮想線VL3および仮想線VL4が略直交するとともに、仮想線VL3が仮想線VL1に重なり、仮想線VL4が仮想線VL2に重なるように形成されている。
【0084】
また、挿入穴内周部75は、挿入穴平面部751および挿入穴曲面部752が端部平面部411および端部曲面部412から離間する部位を介して交互に連なって形成されている。具体的に、挿入穴内周部75は、挿入穴平面部751a、751bと挿入穴曲面部752a、752bとの間に、挿入穴軸心Axhから遠ざかる方向に窪んで形成される窪部753が配置されている。すなわち、窪部753は、端部平面部411a、411bおよび端部曲面部412a、412bに当接しないように配置されている。
【0085】
なお、挿入穴741にシャフト端部40が圧入された際に、挿入穴内周部75が端部外周部41に当接する面積をできるだけ大きくするため、端部平面部411a、411bから離間する部位は、できるだけ小さく形成されているのが好ましい。同様に、端部曲面部412a、412bから離間する部位は、できるだけ小さく形成されているのが好ましい。
【0086】
本実施形態において、窪部753は、4つの端部接続部413のそれぞれに対向する位置に設けられている。それぞれの窪部753は、挿入穴741の径方向断面において、端部平面部411a、411bから離間する部位が端部平面部411a、411bの形状に沿って直線状に形成されている。また、それぞれの窪部753は、挿入穴741の径方向断面において、端部曲面部412a、412bから離間する部分が、端部曲面部412a、412bの形状に沿って、円弧状に形成されている。
【0087】
ここで、端部外周部41のうち、挿入穴内周部75に当接しない部分を端部非当接部414としたとき、シャフト挿入部74は、
図5に示すように、端部非当接部414に対向する部分の肉厚が一定に形成されている。なお、シャフト挿入部74の肉厚とは、挿入穴外周部76と挿入穴内周部75との間の距離である。また、シャフト挿入部74の肉厚が一定とは、挿入穴外周部76と挿入穴内周部75との間の距離が略一定であること意味し、製造上の誤差等に起因する僅かな差を有する状態を含むものである。
【0088】
続いて、バルブ装置10の作動について説明する。図示しないECUは、車両の運転状態に基づいて、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して必要な冷却水の流量を算出し、必要な流量を流出するための弁体31の回転角度、すなわちモータ71の回転角度を算出する。そして、ECUは、算出したモータ71の回転角度の情報をバルブ装置10に送信する。
【0089】
バルブ装置10は、ECUから受信した回転角度の情報に基づいて、モータ71を回転させる。そして、バルブ装置10は、モータ71を回転させることで、ギア部72およびシャフト32を介して弁体31を回転させ、第1弁体開口部331~第3弁体開口部351から必要な流量の冷却水を流出させる。具体的に、バルブ装置10は、第1弁体開口部331からラジエータ5に必要な流量の冷却水を流出し、第2弁体開口部341から空調用熱交換器3に必要な流量の冷却水を流出し、第3弁体開口部351からオイルクーラ4に必要な流量の冷却水を流出する。
【0090】
また、バルブ装置10は、回転角センサ73が第3ギア723の回転角度を検出し、検出した回転角度の情報をECUに送信する。ECUは、バルブ装置10から受信した第3ギア723の回転角度の情報に基づいて、シャフト32の回転角度を算出し、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して必要な流量の冷却水が過不足なく供給されているかを判定する。そして、ECUは、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して流出する冷却水が過多または不足する場合、流量が最適となるモータ71の回転角度を算出し、バルブ装置10に算出した回転角度の情報を送信する。
【0091】
バルブ装置10は、モータ71の回転角度の情報をECUから受信し、受信した回転角度の情報に基づいて、モータ71の回転角度の調整を行う。
【0092】
以上説明した本実施形態のバルブ装置10は、圧入によってギア部72の一部を構成する第3ギア723にシャフト32が固定されているので、第3ギア723にシャフト32を固定する際に働く力が回転軸Axrの方向になる。このため、ギア部72を所定の回転角度でシャフト32に固定する場合、ナットによってギア部72を固定する場合に比較し、ギア部72を固定する際のギア部72の回転方向の力の発生を抑制することができる。したがって、バルブ装置10は、ギア部72の回転角度に対するシャフト32の回転角度のずれを抑制することができる。
【0093】
ところで、第3ギア723にシャフト32をナットで固定すると、シャフト32は、ねじのがたつきによって、端部軸心Axsに対して挿入穴軸心Axhがずれて固定される虞がある。これに対して、バルブ装置10は、圧入によって第3ギア723にシャフト32が固定されているので、ねじのがたつきによる端部軸心Axsと挿入穴軸心Axhとのずれを抑制することができる。
【0094】
また、シャフト端部40は、端部外周部41に挿入穴平面部751に当接する端部平面部411が設けられており、挿入穴曲面部752に当接する端部曲面部412が設けられている。このため、バルブ装置10は、ギア部72が回転する際に、端部曲面部412と挿入穴曲面部752とが当接する部分に発生する摩擦力に加えて、挿入穴平面部751が端部平面部411を押圧する力によって、シャフト32を回転させることができる。
【0095】
したがって、バルブ装置10は、摩擦力のみでシャフト32を回転させる場合に比較して、ギア部72の回転に伴ってシャフト32を回転させ易くできるので、ギア部72の回転角度に対するシャフト32の回転角度のずれを抑制することができる。
【0096】
また、シャフト端部40は、端部曲面部412が設けられているので、端部外周部41および挿入穴内周部75が平面形状のみで形成される場合に比較して、端部外周部41と挿入穴内周部75とが当接する部分の面積を充分に確保することができる。
【0097】
このため、バルブ装置10は、シャフト挿入部74にシャフト端部40が圧入された際のシャフト32を保持する力を確保し易くできる。したがって、バルブ装置10は、ギア部72とシャフト32とを一体に回転し易くできるので、ギア部72の回転角度に対するシャフト32の回転角度のずれを抑制することができる。
【0098】
また、挿入穴平面部751および端部平面部411は、平面状に形成されているので、シャフト32を回転させる際に、挿入穴平面部751が端部平面部411に対して押圧する力を略均一に力をすることができる。このため、バルブ装置10は、挿入穴平面部751および端部平面部411に凹凸が形成されている等、挿入穴平面部751および端部平面部411が平面状に形成されていない場合に比較して、挿入穴平面部751が変形することを抑制することができる。したがって、バルブ装置10は、挿入穴平面部751が変形することに起因するギア部72の回転角度に対するシャフト32の回転角度のずれを抑制することができる。
【0099】
ところで、本実施形態のように、シャフト端部40が金属部材で構成されている場合、端部外周部41に曲面形状を形成するには、端部軸心Axsを中心にシャフト端部40を回転させ、工作機械等で端部外周部41を旋盤加工する方法が一般的である。また、端部外周部41に平面形状を形成するには、シャフト端部40を保持し、工作機械等で端部外周部41をフライス加工する方法が一般的である。そして、旋盤加工は、フライス加工に比較して、端部軸心Axsから加工部分までの距離である加工距離の精度を高精度にし易い。
【0100】
このため、バルブ装置10は、例えば、端部軸心Axsを中心にシャフト端部40を旋盤加工によって形成することによって、端部平面部411に比較して端部曲面部412を高精度に加工し易い。すなわち、バルブ装置10は、シャフト端部40を挿入穴741に圧入する際に、端部平面部411と挿入穴平面部751との嵌め合い公差に比較して、端部曲面部412と挿入穴曲面部752との嵌め合い公差を調整し易い。
【0101】
したがって、バルブ装置10は、シャフト端部40が挿入穴741に圧入された際に、端部軸心Axsおよび挿入穴軸心Axhを重なり易くできるとともに、挿入穴曲面部752に対して端部曲面部412の圧入時の締めしろを確保し易くできる。換言すれば、バルブ装置10は、挿入穴平面部751に対して端部平面部411の圧入時の締めしろを充分に確保できない場合であっても、シャフト挿入部74がシャフト端部40を充分に保持することができる。
【0102】
また、バルブ装置10は、シャフト端部40を挿入穴741に圧入し、固定するため、シャフト32にナットを締結するための雄ねじ部分を設けるスペースが不要になるとともに、締結するためのナットが不要になる。このため、本実施形態のバルブ装置10は、ナットによってギア部72をシャフト32に固定する場合に比較して、シャフト32の回転軸Axrの方向の大きさを小さくできるとともに、バルブ30を構成する部品を少なくすることができる。
【0103】
また、バルブ装置10は、シャフト32を回転させる際に、互いに対向する一対の挿入穴平面部751のそれぞれが、当接するそれぞれの端部平面部411に対して挿入穴軸心Axhの方向に直交方向であって、互いに逆向きの成分を含む力で押圧することができる。このため、バルブ装置10は、挿入穴軸心Axhを中心とする偶力によってシャフト32を回転させることができるので、端部外周部41が一対の端部平面部411を含まずに形成される場合に比較して、シャフト32を回転させ易くできる。
【0104】
また、シャフト挿入部74には、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、挿入穴内周部75と端部外周部41が当接する部分には、圧入方向の応力が発生する。また、本実施形態において、シャフト端部40は、端部接続部413が尖っているため、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、端部接続部413が挿入穴内周部75に当接すると、端部接続部413が当接する部分に応力が集中し易い。
【0105】
これに対して、挿入穴内周部75は、挿入穴平面部751と挿入穴曲面部752との間に、端部平面部411および端部曲面部412から離間する窪部753が設けられている。このため、バルブ装置10は、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、端部接続部413が挿入穴内周部75に当接し難くなる。したがって、バルブ装置10は、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、端部接続部413が当接する部分に応力が集中することを抑制することができるので、シャフト端部40を圧入する際にシャフト挿入部74が壊れることを抑制することができる。
【0106】
また、シャフト挿入部74には、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、挿入穴741の内径を拡張する力が発生するところ、シャフト挿入部74の肉厚が薄い部分に挿入穴741の内径を拡張する力が集中し易い。
【0107】
これに対して、シャフト挿入部74は、端部非当接部414に対向する部分の肉厚が一定に形成されているので、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、挿入穴741の内径を拡張する力が集中することを抑制することができる。このため、バルブ装置10は、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、シャフト挿入部74が壊れることを抑制することができる。
【0108】
また、バルブ装置10は、シャフト端部40の最外径がシャフトシール部材66の内径に比較して小さくなるように形成されている。このため、シャフトシール部材66がバルブ装置10に配置された状態でシャフト端部40がシャフトシール部材66を貫通して挿入穴741に圧入される場合であっても、シャフト端部40がシャフトシール部材66の内周部に当接し難くなる。したがって、バルブ装置10は、シャフトシール部材66の内周部にシャフト端部40が当接することによってシャフトシール部材66が破損することを抑制することができる。
【0109】
また、シャフト端部40は、径方向断面の形状が端部軸心Axsを中心として点対称になるように形成されている。このため、バルブ装置10は、シャフト32が所定の回転角度で挿入穴741に圧入される際に、シャフト32を所定の回転角度に対して回転軸Axrの周方向に180°回転させた状態でも、挿入穴741に挿入することができる。すなわち、バルブ装置10は、シャフト端部40の径方向断面の形状が端部軸心Axsを中心として点対称で形成されない場合に比較して、シャフト端部40を挿入穴741に圧入し易くなる。
【0110】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図6を参照して説明する。本実施形態では、端部接続部413が面取りされている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0111】
図6に示すように、本実施形態の端部接続部413は、面取りされており、シャフト端部40の径方向断面において、曲線状に形成されている。すなわち、本実施形態の端部外周部41は、第1実施形態の端部外周部41に比較して、端部接続部413が形成されている部位がシャフト端部40の径方向内側に向かって小さくなっている。ここで、面取りとは、第1実施形態で説明した端部平面部411と端部曲面部412との接続部分における尖った部分を切削加工等によって取り除くことをいう。
【0112】
なお、端部接続部413は、シャフト端部40の径方向断面において、曲線状に面取りされるものに限定されず、例えば、直線状に面取りされていてもよい。
【0113】
以上説明した本実施形態のバルブ装置10は、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、端部接続部413が当接し難くなる。したがって、バルブ装置10は、シャフト端部40が挿入穴741に圧入される際に、端部接続部413が当接する部分に応力が集中することを抑制することができるので、シャフト端部40を圧入する際にシャフト挿入部74が壊れることを抑制することができる。
【0114】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0115】
上述の実施形態では、端部外周部41が、一対の端部平面部411a、411bおよび一対の端部曲面部412a、412bによって構成されている例について説明したが、これに限定されない。また、挿入穴内周部75が、挿入穴軸心Axhを挟んで互いに対向する一対の挿入穴平面部751a、751bおよび挿入穴軸心Axhを挟んで互いに対向する一対の挿入穴曲面部752a、752bを有している例について説明したが、これに限定されない。
【0116】
例えば、端部外周部41は、端部平面部411および端部曲面部412のそれぞれを一部に含んだ形状で、適宜設定することが可能である。また、挿入穴内周部75は、挿入穴平面部751および挿入穴曲面部752のそれぞれを一部に含んだ形状で、適宜設定することが可能である。
【0117】
具体的には、例えば、端部外周部41は、
図7に示すように、端部平面部411および端部曲面部412がそれぞれ1つ含まれて構成されていてもよい。また、挿入穴内周部75は、
図7に示すように、挿入穴平面部751および挿入穴曲面部752が1つずつ含まれて構成されていてもよい。この場合、端部外周部41には、端部平面部411と端部曲面部412とが接続する2カ所の部分に端部接続部413を有している。また、挿入穴内周部75には、窪部753が2つの端部接続部413のそれぞれに対向する位置に設けられる。
【0118】
また、上述の実施形態では、挿入穴平面部751および挿入穴曲面部752が端部平面部411および端部曲面部412から離間する部位を介して交互に連なって形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、挿入穴平面部751および挿入穴曲面部752は、端部平面部411および端部曲面部412から離間する部位を介さずに、交互に連なって形成されていてもよい。
【0119】
また、上述の実施形態では、シャフト挿入部74が端部非当接部414に対向する部分において、肉厚が一定に形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、シャフト挿入部74は、
図8に示すように、端部非当接部414に対向する部分において、肉厚が一定に形成されていなくてもよい。
【0120】
また、上述の実施形態では、シャフト端部40の最外径がシャフトシール部材66の内径に比較して小さく形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、シャフト端部40の最外径は、シャフトシール部材66の内径と同じ大きさや、シャフトシール部材66に比較して大きく形成されていてもよい。
【0121】
また、上述の実施形態では、バルブ装置10が冷却システム1に流れる冷却水の流量を制御する例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、冷却システム1以外の各種機器に適用されてもよい。また、バルブ装置10は、冷却水以外の流体の流量を制御するために適用されてもよい。
【0122】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0123】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0124】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0125】
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、バルブ装置は、流体の流量を制御する弁体と、弁体に連結された金属製のシャフトと、シャフト端部が挿入される挿入穴を形成する樹脂製のシャフト挿入部を有し、ギア部とを備える。バルブ装置は、端部外周部が端部平面部および端部曲面部を含んで形成されており、挿入穴内周部が挿入穴平面部および挿入穴曲面部を含んで形成されている。シャフト端部は、端部平面部の少なくとも一部に挿入穴平面部が当接し、端部曲面部の少なくとも一部に挿入穴曲面部が当接するとともに、シャフト端部の軸心および挿入穴の軸心が重なるように挿入穴に圧入されている。
【0126】
第2の観点によれば、挿入穴内周部は、挿入穴の軸心を挟んで互いに対向する一対の挿入穴平面部および互いに対向する一対の挿入穴曲面部を含んで形成されている。端部外周部は、一対の挿入穴平面部のそれぞれに対向する一対の端部平面部および一対の挿入穴曲面部のそれぞれに対向する一対の端部曲面部によって形成されている。
【0127】
これによると、バルブ装置は、シャフトを回転させる際に、互いに対向する一対の挿入穴平面部のそれぞれが、当接するそれぞれの端部平面部に対して、挿入穴軸心方向に直交方向であって、互いに逆向きの成分を含む力で押圧することができる。このため、バルブ装置は、挿入穴軸心を中心とする偶力によってシャフトを回転させることができるので、端部外周部が一対の端部平面部を含まずに形成される場合に比較して、シャフトを回転させ易くできる。
【0128】
第3の観点によれば、端部外周部は、端部平面部と端部曲面部との接続部分に端部接続部を有する。挿入穴平面部および挿入穴曲面部は、端部平面部および端部曲面部から離間する部位を介して交互に連なっている。
【0129】
これによると、バルブ装置は、シャフト端部が挿入穴に圧入される際に、端部接続部が挿入穴内周部に当接し難くなる。したがって、バルブ装置は、シャフト端部が挿入穴に圧入される際に、端部接続部が当接する部分に応力が集中することを抑制することができるので、シャフト端部を圧入する際にシャフト挿入部が壊れることを抑制することができる。
【0130】
第4の観点によれば、シャフト挿入部は、筒状に形成されている。端部外周部のうち、挿入穴内周部に当接しない部分を端部非当接部としたとき、シャフト挿入部は、端部非当接部に対向する部分の肉厚が一定に形成されている。
【0131】
これによると、シャフト挿入部は、端部非当接部に対向する部分の肉厚が一定に形成されているので、シャフト端部が挿入穴に圧入される際に、挿入穴の内径を拡張する力が集中することを抑制することができる。このため、バルブ装置は、シャフト端部が挿入穴に圧入される際に、シャフト挿入部が壊れることを抑制することができる。
【0132】
第5の観点によれば、端部接続部は、面取りされている。
【0133】
これによると、挿入穴内周部は、シャフト端部が挿入穴に圧入される際に、端部接続部が当接し難くなる。したがって、バルブ装置は、シャフト端部が挿入穴に圧入される際に、端部接続部が当接する部分に応力が集中することを抑制することができるので、シャフト端部を圧入する際にシャフト挿入部が壊れることを抑制することができる。
【0134】
第6の観点によれば、バルブ装置は、シャフトの外周部に配置される環状のシャフトシール部材を備えている。シャフト端部は、シャフト端部の径方向断面の外周部分における異なる2点をつなぐ直線の最大の距離がシャフトシール部材の内径に比較して小さくなるように形成されている。
【0135】
これによると、シャフトシール部材がバルブ装置に配置された状態でシャフト端部がシャフトシール部材を貫通して挿入穴に圧入される場合であっても、シャフト端部は、シャフトシール部材の内周部に当接し難くなる。したがって、バルブ装置は、シャフトシール部材の内周部にシャフト端部が当接することによってシャフトシール部材が破損することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0136】
31 弁体
32 シャフト
36 流路部
40 シャフト端部
41 端部外周部
74 シャフト挿入部
75 挿入穴内周部
741 挿入穴